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【事件名】LINEマーケティングツール開発事件
【年月日】令和2年3月19日
 東京地裁 平成30年(ワ)第33203号 著作権侵害差止等請求事件
 (口頭弁論終結日 令和2年1月21日)

判決
原告 株式会社Blast
同訴訟代理人弁護士 大熊裕司
同 島川知子
被告 株式会社Z−Style Japan(以下「被告会社」という。)
被告 甲(以下「被告甲」という。)
被告両名訴訟代理人弁護士 中野秀俊
同 鈴木健人


主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 被告会社は、別紙物件目録記載のアプリケーションを複製し、送信可能化し、又は公衆送信してはならない。
2 被告会社は、別紙物件目録記載のアプリケーション及びその複製物(同アプリケーションを格納した記録媒体を含む。)を廃棄せよ。
3 被告らは、原告に対し、連帯して、2376万円及びこれに対する平成30年11月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は、インターネットを利用した各種サービス等を提供する原告が、同様にインターネットを利用した各種サービス等を提供する被告に対し、被告が原告に無断で別紙物件目録記載のアプリケーション(以下「被告商品」という。)を製作し、インターネットを通じて顧客に提供した行為が、原告が開発した「Linect」(以下「原告商品」という。)について原告が有する著作権(複製権、送信可能化権、公衆送信権)を侵害すると主張して、@著作権法112条1項に基づき、被告商品の複製、送信可能化又は公衆送信の差止めを、A同条2項に基づき、被告商品及びその複製物(被告商品を格納した記録媒体を含む。)の廃棄を、B被告会社に対し、民法709条に基づき、被告甲に対し、会社法429条1項に基づき、連帯して、損害賠償金2376万円及び不法行為後(本訴状送達の日の翌日)である平成30年11月3日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠(枝番を付したものは各枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)当事者
 原告は、ウェブサイト、ウェブコンテンツ、映像コンテンツ、その他インターネットを利用した各種サービス等の企画、デザイン、製作、販売、配信、運営及び管理等を目的とする株式会社である。
 被告会社は、ウェブサイト、ウェブコンテンツ、その他インターネットを利用した各種サービス等の企画、製作、販売、配信、運営及び管理等を目的とする株式会社であり、被告甲は、被告会社の代表取締役である。
(2)LINE
 LINEとは、訴外LINE株式会社が開発し、提供するソーシャル・ネットワーキング・サービス及び同サービスにおけるクライアントソフトウェアの名称である。LINEを利用するためにはLINEというアプリケーションをスマートフォンやパソコンにインストールしてアカウントを開設する必要がある
 LINEは、プライベートでのやりとりに特化したコミュニケーションツールであり、LINEを用いて他のユーザーと通話をしたり、他のユーザーにメッセージを送るには、他のユーザーのアカウントを自身のアカウントに「友だち」として追加する必要がある。LINEでは、「友だち」同士で1:1のメッセージのやりとりをするほか、「友だち」同士でグループを作成することによって、LINEを用いて複数の「友だち」と情報を共有しながらメッセージのやりとりをすることが可能であり、自身のアカウントのタイムラインに投稿すれば、自分の近況等を「友だち」に報告することができる。(甲15、16)
(3)LINE@
 訴外LINE株式会社が提供するサービスには、一般ユーザー向けのLINEサービスのほか、企業や店舗ビジネス向けのアカウントであるLINE@がある。LINE@は、LINE公式アカウントの一種であり、一般ユーザーへの情報発信やコミュニケーションに活用することができる。(甲16)
 原告商品が開発された平成30年2月当時、LINE@においては、基本的な機能として、@メッセージ配信、Aタイムライン配信、B1:1トーク、Cショップカード、Dクーポンといった機能が利用可能であった。@のメッセージ配信とは、企業等のアカウントを「友だち」として追加している複数のユーザーに対し、一斉にメッセージ(動画や音声を含む。)を配信することができる機能であり、Aのタイムライン配信とは、メッセージ配信とは異なり、不特定多数のユーザーのタイムラインに、ニュース等を配信することができる機能であり、Bの1:1トークとは、ユーザーと個別でメッセージのやりとりをする機能であり、Cのショップカードとは、ショップの会員カードやポイントカードを作成する機能であり、Dのクーポンとは、クーポンを配信するとともに、開封数や使用回数を管理画面で確認する機能である。(甲8、16)
(4)原告商品の開発
 原告は、平成29年5月12日より前に、訴外株式会社RILARC(以下「訴外RILARC」という。)との間で、LINE@を利用した集客、マーケティングを支援するためのツールの開発を原告が訴外RILARCに委託することについて基本合意を締結した。
 訴外RILARCは、平成29年5月12日、訴外WatermelonSoftwareSolutionJapan株式会社(以下「訴外Watermelon」という。)との間で、上記基本合意に係るツールの開発について業務委託基本契約を締結し、同日付で業務委託基本契約書及び覚書が作成された。同契約書の第11条1項には、「成果物の著作権(著作権法第21条から第28条に定める全ての権利を含む)は、特段の定めがない限り、成果物の給付完了の日に乙(判決注:訴外Watermelon)から甲(判決注:訴外RILARC)へ移転するものとする。」との記載がある。(甲11ないし14)
 原告は、平成29年11月7日、訴外RILARCとの間で、上記基本合意に基づき、上記基本合意に係るツールの開発について業務委託基本契約を締結し、同日付で業務委託基本契約書及び覚書が作成された。同契約書の第11条1項には、「成果物の著作権(著作権法第21条から第28条に定める全ての権利を含む)は、特段の定めがない限り、成果物の給付完了の日に乙(判決注:訴外RILARC)から甲(判決注:原告)へ移転するものとする。」との記載がある。(甲2、3)
 訴外RILARCは、平成30年2月28日、訴外Watermelonから納品を受けた原告商品を原告に納品した。
(5)原告商品の構成、機能等
 原告商品は、LINE@を利用した集客やマーケティングをより効果的に行うためのツールである。原告商品は、消費者にサービスや商品の魅力を伝えること及び消費者とのコミュニケーションを綿密にとることを可能にすることにより、消費者のロイヤルティーを高め、商品やサービスの購入に繋げることを促すことを目的とするものである。
 原告商品とLINE@は、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)で繋がっており、原告商品上で操作をすることによって、同時にLINE@を作動させることが可能であり、原告商品は、以下のとおり、LINE@にはない固有の機能を具備している。まず、原告商品は、LINE@とは異なり、客を分類するための情報であるLINE@への登録時点、クリック数、サイト滞在時間等の顧客情報を保持しているため、顧客情報に基づいて対象者を絞ってメッセージを送ることができる。また、原告商品は、LINE@とは異なり、SMS送信機能(ショートメッセージを送る機能)及びアフィリエイトセンター機能(アフィリエイターを管理するツール)を具備している。さらに、LINE@は、メッセージを一斉に今すぐ配信するか、日付を指定して配信することができるにとどまるのに対し、原告商品は、シナリオ(あらかじめ登録しておいた複数のメッセージ)配信機能を有しているため、シナリオをタグで分岐させて、過去に配信したメッセージリンクをクリックした客を対象としてメッセージを配信したり、「Line@への登録から数日後の午後6時にメッセージAを配信する。その数日後の午後6時にメッセージBを配信する。」という形で指定したタイミングでメッセージを自動で配信したりすることができる。
 原告商品の販売が開始される前に被告商品の販売が開始され、原告商品は販売されていない。
(6)被告商品の開発及び販売
 被告会社は、LINE@を利用した集客、マーケティング支援ツールである被告商品の開発を外部に委託した。被告会社は、平成30年7月25日、被告商品の販売を開始した。(甲4、5)
(7)原告商品の表示画面の構成と被告商品の表示画面の構成
 原告商品は、それを購入した者がパソコン等において操作して利用するものであり、パソコン等には原告商品を利用するための画面が表示される。
 原告商品のパソコン等における表示画面は、4段階の階層構造となっているといえるものであり、その詳細は後記第4の1(1)アないしウのとおりである(甲1)。原告商品の表示画面の構造をその画面に対応する表示の名称に従って表の形にすると別紙対比表(原告商品・被告商品)の原告商品のとおりである(以下、当該画面に対応する表示の名称をカテゴリーといい、上記対比表にしたがってそれぞれのカテゴリーについて、「親カテゴリー」、「大カテゴリー」、「中カテゴリー」及び「小カテゴリー」という。)。
 被告商品もそれを購入した者がパソコン等において操作して利用するもので、そのパソコン等における表示画面は4段階の階層構造となっているといえるものであり、その概要被告商品の表示画面の構造をその画面に対応するカテゴリーに従って表の形にすると別紙対比表(原告商品・被告商品)の被告商品のとおりである。
2 争点
(1)原告商品の編集著作物(著作権法12条1項)該当性(争点1)
(2)被告商品の依拠性・類似性(争点2)
(3)被告会社の故意・過失の有無(争点3)
(4)被告甲の悪意・重過失による任務懈怠の有無(争点4)
(5)損害の有無及び額(争点5)
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点1(原告商品の編集著作物(著作権法12条1項)該当性)
(原告の主張)
(1)原告商品における素材はパソコン画面等で表示される親カテゴリーから小カテゴリーに至る各カテゴリー名であるところ、その選択にも配列にも創作性が認められるから、原告商品は編集著作物に該当する。
 すなわち、原告商品は、@パソコンの操作に不慣れな者でもLINE@を簡単に利用できるように一画面当たりの機能を一つに絞り、機能表示を階層化し、Aキーボードによる入力作業を行うことをできるだけ少なくし、Bスマートフォンを使用して社外からでも使用できるように、一画面当たりの表示要素を小さくし、ファイルサイズをできるだけ小さくするという編集方針の下、別紙対比表(原告商品・被告商品)の原告商品のとおり、原告商品が実現する機能をカテゴリー化した上で、階層化して表示している。原告は、上記編集方針に基づいて、実現しようとする機能との適合性、ユーザーにとっての内容的・視覚的な理解容易性などを踏まえて複数の選択肢の中から各カテゴリー名を選択し、各カテゴリーの配列についても、何段階に階層化するか、各階層を何個に細分化するかについては多数の選択肢の中から選択した。したがって、原告商品における「素材」の選択にも、配列にも原告の個性が現れている。
 具体的には、素材の選択又は配列については、@企業がLINE@を用いて消費者とコミュニケーションを図ることがLINE@を用いたマーケティング支援ツールである原告商品にとって重要であることに鑑み、消費者とのコミュニケーションを図る上で利用可能な機能を取りまとめたカテゴリーを最上位カテゴリーとして設けることとし、その名称については、ユーザーにとっての内容的・視覚的な理解しやすさを重視して、「基本」、「マスターデーター」、「基本設定事項」、「初期設定項目」といった複数の選択肢の中から「基本」を選択し、A企業の商品やサービスを紹介する「LINE@」の消費者への露出を高めて売上げ増につなげることが原告商品にとって重要であることに鑑み、「LINE@」を用いたマーケティングに関するカテゴリーを親カテゴリーの一つとして設けることとし、その名称については、ユーザーにとっての内容的・視覚的な理解しやすさを重視して、「アフィリエイト」、「マーケティング」、「紹介報酬制度」といった複数の選択肢の中から「アフィリエイト」を選択し、B親カテゴリー「基本」の下の階層として、「LINE@」を用いて消費者とコミュニケーションを図る上でユーザーが日常的に利用する機能を取りまとめた上位カテゴリー(大カテゴリー)を設定し、その名称としては、ユーザーにとっての内容的・視覚的な理解しやすさのほか、ユーザーに毎日閲覧して欲しいといった思いを込めて複数の選択肢の中から「ホーム」を選択し、その他の3つの大カテゴリーが担う機能については、「ホーム」の下の階層に対応するカゴリーを設けることも可能であったが、「ホーム」以外にも3つの大カテゴリーを設けることとした。
 そして、編集著作物における創作性として高度の創作性は要求されておらず、通常の著作物と同様に、素材の選択又は配列に何らかの個性が発揮されていれば足りるのであるから、原告商品は編集著作物に該当する。
(2)これに対し、被告らは、原告商品におけるカテゴリーの分類方法は、LINE@のシステムから派生したものにならざるを得ず、他社が販売するLINE@の集客、マーケティング支援ツールの各カテゴリー名の選択又は配列と原告商品の各カテゴリー名の選択又は配列とが一部において完全に一致していたり、類似している点が多いことなどを理由に、原告商品における各カテゴリー名の選択又は配列には創作性は認められないと主張する。
 しかし、上記の他社商品においては原告商品のような機能表示の階層化はされておらず、原告商品にはそれらとは異なる創作性を看取し得るのであるから、原告商品における素材の選択又は配列をありふれたものとは評価できない。
(被告らの主張)
(1)著作権法12条1項の「素材」とは、当該編集物の目的や性質等に照らして、当該編集物の本質的な特徴をなす選択、配列的な要素をいい、当該編集物にとって付随的、派生的な要素は編集著作物にいう素材とはならない。原告商品はLINE@を利用した集客、マーケティング支援を目的としたツールであり、そのために多様な機能を具備しているとのことであるが、原告の主張する原告商品の目的やその特徴と、原告が「素材」として主張する各カテゴリー名との間には全く関連性がなく、パソコン画面等で表示される親カテゴリーから小カテゴリーに至る各カテゴリー名は、原告商品の本質的特徴をなす要素とはいえず、「素材」たり得ない。
(2)仮に、各カテゴリー名が「素材」に当たるとしても、原告の主張する原告商品の目的やその特徴と「素材」の選択又は配列との間には何らの関連性もないのであるから、原告の主張は編集物から離れた編集方針やアイディア自体の保護を主張するものであり、失当である。
(3)また、LINE@を利用した集客、マーケティング支援を目的とし、その機能を拡張したツールは一般市場で多数流通しているところ、原告商品の各カテゴリー名の選択又は配列は同種機能を有する他社商品の各カテゴリー名の選択又は配列と酷似している。すなわち、原告商品の各カテゴリー名の選択又は配列と上記他社商品の各カテゴリー名の選択又は配列とを比較すると、原告が表現の選択の幅がかなり広いと主張する原告商品の中カテゴリー「メッセージ」の下の小カテゴリーについてさえ、カテゴリー名の選択又は配列は原告商品と上記他社商品とで一部において完全に一致しているほか、類似している点も多い。
 以上の事情に照らせば、原告商品における「素材」の選択又は配列は、同種の機能を有する上記他社商品のそれを模倣したに過ぎず、原告商品の「素材」の選択又は配列には創作性は認められないから、原告商品は編集著作物には該当しない。
2 争点2(被告商品の依拠性・類似性)
(原告の主張)
(1)「LINE@」を利用したマーケティング支援ツールを製作するに当たり、素材たる各カテゴリー名の選択又は配列における表現の選択の幅は広いと考えられるところ、別紙対比表(原告商品・被告商品)のとおり、被告商品における各カテゴリー名の選択又は配列は原告商品のそれとほぼ同一である上、被告商品の各カテゴリーの表示画面は原告商品のそれと酷似している。
 そして、被告商品が原告商品と上記のとおり酷似しているというのが偶然の一致とは考え難い上、原告商品も被告商品もベトナム人プログラマーによってベトナムで開発されたものであること、被告商品が短期間で商品化され、ゼロから開発したとは到底考えられないような低価格で販売されていることなども考慮すると、被告商品が原告商品に依拠して製作されたことは明らかである。
(2)これに対し、被告らは、原告商品が現在においても販売されていないことを理由に、被告商品を開発する際に被告会社が原告商品の内容を知ることは不可能であった旨主張する。しかし、被告商品が販売される前に原告商品は完成していたことのほか、原告商品も被告商品も実際に開発を担ったのは委託を受けた外部のプログラマーであることなどに照らすと、被告商品を開発した者が原告商品にアクセスする可能性はあったのであるから、被告らが主張する事情は依拠性を否定するものではない。
(被告らの主張)
(1)被告商品は、市場に流通する他社商品を参考に製作されたものであり、原告商品に依拠して製作されたものではない。
(2)被告商品の各カテゴリー名の選択又は配列は、原告商品ではなく、他社商品の選択又は配列と類似している。他方、原告商品には、被告商品が有する「BOT操作」、「マニュアルサイトへ」、「お問い合わせ」、「QRコード管理」というカテゴリーが存在していない。また、被告商品は原告商品が有するSMS送信機能を有していないため、被告商品には、原告商品に存在する「SMS一覧」、「1:1SMSチャット」、「SMS配信」、「SMS設定」というカテゴリーは存在していないし、「管理者編集」、「マニュアルダウンロード」といったカテゴリーも存在していない。
(3)原告商品は現在においても販売されておらず、被告らが原告商品の各カテゴリー名の選択又は配列を知ることは不可能である。
3 争点3(被告会社の故意・過失の有無)
(原告の主張)
 性質上容易に複製することができるアプリケーションの開発を、委託業者を通じて外部のプログラマーに委ねる以上、被告会社は、管理が十分に行き届かないことを認識した上で、被告製品が第三者の著作権を侵害していないかを委託業者に確認するなどして著作権侵害を回避するために必要な措置を講じる義務を負っていたにも関わらずこれを怠ったのであるから、被告会社には少なくとも過失が認められる。
(被告会社の主張)
 被告会社は、外部に委託して被告商品の開発を行ったところ、被告会社は委託業者に対して著作権侵害の有無を確認していたし、契約当事者の合理的意思からすれば第三者の著作権を侵害しない商品を製作することは契約の当然の前提であり、権利侵害の有無を確認する義務を被告会社に観念することはできない。
4 争点4(被告甲の悪意・重過失による任務懈怠の有無)
(原告の主張)
 被告会社は被告甲の個人企業であり、被告甲は被告会社の代表者として、原告商品を複製した被告商品の販売に自ら関与しているのであるから、被告会社による著作権侵害について被告甲に悪意・重過失による任務懈怠があることは明らかである。
(被告甲の主張)
 被告甲は委託業者に対して著作権侵害の有無を確認していたし、権利侵害の有無を確認する義務を被告甲に観念することはできないことは争点3において主張したとおりである。
5 争点5(損害の有無及び額)
(原告の主張)
 原告は、被告らによる著作権侵害行為がなければ、原告商品の上位版50個を販売することができていたはずであるから、被告らによる著作権侵害によって原告の受けた損害は2160万円であると推定される(著作権法114条1項)。また、著作権侵害と因果関係がある弁護士費用相当額は216万円である。
 よって、被告らの行為によって原告に生じた損害は2376万円である。
(被告らの主張)
 否認ないし争う。
第4 当裁判所の判断
1 認定事実
 上記第2の1の前提事実に加え、後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件に関し、次の事実が認められる。
(1)原告商品の内容(甲1)
ア 原告商品の階層構造の概要
(ア)前記前提事実1(7)のとおり、原告商品をパソコン等で利用する場合には様々な画面が表示されるところ、その画面は、階層構造を有するといえるものであり、その内容は別紙対比表(原告商品・被告商品)の原告商品のとおりである。親カテゴリーとしては、「基本」、「アフィリエイト」、「サポート」及び「設定」が設けられている。親カテゴリー「基本」の下の階層には小カテゴリーまでの階層が設けられているが、親カテゴリー「アフィリエイト」及び「サポート」の下の階層としては大カテゴリーまでが設けられ、中カテゴリー以下の階層は設けられておらず、親カテゴリー「設定」の下には階層は設けられていない。
(イ)親カテゴリー「基本」の下の階層には、大カテゴリーとして、「ホーム」、「Bot追加」、「SMS設定」及び「管理者編集」というカテゴリーが設けられており、そのうち「ホーム」には中カテゴリー以下の階層が設けられているが、その余のカテゴリーには中カテゴリー以下の階層は設けられていない。
(ウ)大カテゴリー「ホーム」の下の階層には、中カテゴリーとして、「基本」、「チャット」、「メッセージ」及び「統計情報」が設けられている。中カテゴリー「基本」の下の階層には、小カテゴリーとして、「ホーム」、「友達リスト」、「タグ管理」、「トーク管理」、「SMS一覧」、「登録メディア一覧」及び「エラー一覧」が設けられている。
 中カテゴリー「チャット」の下の階層には、小カテゴリーとして、「1:1チャット」、「グループチャット」及び「1:1SMSチャット」が設けられている。
 中カテゴリー「メッセ―ジ」の下の階層には、小カテゴリーとして、「シナリオ一覧」、「SMS配信」、「一斉送信」、「自動返信」、「テンプレート」及び「回答フォーム」が設られている。
 中カテゴリー「統計情報」の下の階層には、小カテゴリーとして、「URLクリック測定」、「コンバージョン」及び「サイトスクリプト」が設けられている。
(エ)親カテゴリー「アフィリエイト」の下には、大カテゴリーとして、「設定」、「アフィリエイター」及び「成果確認」が設けられ、中カテゴリー以下の階層は設けられていない。
(オ)親カテゴリー「サポート」の下には、大カテゴリーとして、「マニュアルダウンロード」及び「チャット」が設けられ、中カテゴリー以下の階層は設けられていない。
イ 原告商品の表示画面の概要
(ア)トップ画面
 原告商品のトップ画面は、別紙画面記載1のような画面であり、上部が黒く塗りつぶされ、そのうち、左側にはロゴが表示されており、右側には「設定」との表示やログイン状態を示す「ログイン中」、「ログアウト」などと表示されたボタンがある(これらの表示は、原告商品の全ての画面に共通する表示であり、以下、「ロゴ等表示部分」という。)、その下にやや太い青みがかった横線があり、そこには、白抜き文字で「基本」、「アフィリエイト」、「サポート」との表示がされている(以下、この表示を「親カテゴリー表示部分」という。)。更にその下にやや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「お知らせ」との表示がされ、証拠(甲1)ではその下は空欄で、更にその下にやや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「注意」との表示がされ、その下には、証拠(甲1)では、「LINEプロへの加入が必須となりました。」と表示されている。更にその下にやや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「管理者一覧」との表示がされ、その下に、「名前」、「WebhookURL」、「登録数」、「有効数」、「解除数」との表示欄があり、証拠(甲1)では、その下に一つの欄が表示され、具体的な名前や数字が記載されている。
(イ)大カテゴリーの表示
 トップ画面で、親カテゴリー表示部分にある「基本」、「アフィリエイト」、「サポート」をクリック等して選択すると、それぞれの表示の下には、各親カテゴリーに属する大カテゴリーが白抜き文字で記載されたやや青みがかった長方形の欄が、別紙対比表(原告商品・被告商品)の原告商品の記載のとおりの順序で、もとの画面の前面に表示される。例えば、「基本」を選択した場合の画面は、別紙画面記載2のような画面であり、「基本」の下に、順に白抜き文字で「ホーム」、「Bot追加」、「SMS設定」、「管理者編集」と記載された欄が表示される。他はトップ画面と同じ画面である。
 トップ画面で、ロゴ等表示部分にある「設定」をクリック等して選択すると、上部にロゴ等表示部分、親カテゴリー表示部分があり、その下にやや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「設定」との表示がされ、その下には「管理者設定」との表示があり、その下に黒い長方形の枠が設けられ、その中には、白抜き文字で「管理者名」、「メールアドレス」、「現在のパスワード」などの表示がされ、それぞれの枠の右側には入力欄が設けられている。最下部には、青い長方形の中に白抜き文字で「設定を更新する」と表示されたボタンがある。
(ウ)中カテゴリーの表示
 親カテゴリーで「基本」を選択し、大カテゴリーで「ホーム」をクリック等して選択した場合の画面は、別紙画面記載3のような画面であり、上部のロゴ等表示部分の下には、やや太い青みがかった横線があり、そこには、白抜き文字で「基本」、「チャット」、「メッセージ」、「統計情報」との表示がされている(以下、この表示を「中カテゴリー表示部分」という。)。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「有効友達数」、「ブロック/友達解除数」、「メインシナリオ購読中」との表示がされて、それぞれの下にその人数が表示され、また、「友だち数遷移」との表示があり、その下に、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「日付」、「前日比」、「登録数」、「ブロックされた数」、「有効友だち数」との表示があり、その下に、日ごとのそれらに対応する数字が記載されている。また、その下に「最新受信メッセージ一覧」との表示がされ、その下に、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「送信日時」、「名前」、「メッセージ」との表示があり、多数のメッセージについて、メッセージの内容や、送信日時、名前が表示され、それぞれのメッセージについての詳細を表示するボタンが、青い長方形の中に白抜き文字で「詳細表示」と表示する形で設けられている。
(エ)小カテゴリーの表示
 上記の画面で、上部のロゴ等表示部分の下に中カテゴリー表示部分が表示されるところ、その中カテゴリーの「基本」、「チャット」、「メッセージ」、「統計情報」をクリック等して選択すると、それぞれの表示の下には、各中カテゴリーに属する小カテゴリーが白抜き文字で記載されたやや青みがかった長方形の欄が、別紙対比表(原告商品・被告商品)の原告商品の記載のとおりの順序で、もとの画面の前面に表示される。例えば、「基本」を選択した場合の画面は、別紙画面記載4のような画面であり、「基本」の下に、順に白抜き文字で「ホーム」、「友達リスト」、「タグ管理」、「トーク管理」、「SMS一覧」、「登録メディア一覧」、「エラー一覧」と記載された欄が現れる。他は上記の画面と同じである。
ウ 原告商品の表示画面の詳細
 原告商品では、上記のとおり、親カテゴリー名、大カテゴリー名、中カテゴリー名、小カテゴリー名が表示される。そして、そのように表示されたカテゴリー名を選択していくことで、それに対応した画面が表示されることとなる。
 そのような選択をして最終的に表示される画面には、以下のようなものがある(別紙対比表(原告商品・被告商品)の原告商品の上から記載する。同表で最も右のカテゴリー名となる。)。
@小カテゴリー「ホーム」(親カテゴリー「基本」、大カテゴリー「ホーム」、中カテゴリー「基本」で、当該小カテゴリーを選択した場合。以下、この項では、別段の表記がない限り、選択されるカテゴリーを、親カテゴリー、大カテゴリー、中カテゴリーの順に記載する。)
 前記イ(ウ)の中カテゴリーの画面と同じ。
A小カテゴリー「友達リスト」(「基本」、「ホーム」、「基本」)
 上部にロゴ等表示部分、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下に、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「友だちリスト」との表示がされ、その下には、黒い線があり、そこには、友だちに関する情報のカテゴリーを示すものとして、白抜き文字で「イメージ」、「名前」、「シナリオ」、「受信メッセージ」との表示があり、各友だちについての上記各情報が表示されている。また、その下には、「友だち一括操作」という表示があり、その下には、操作内容を示すものとして、白抜き文字で「テンプレート送信」、「シナリオ」、「タグ」との表示があり、最下部には、青い長方形の中に白抜き文字で「この検索条件でCSVエクスポート」と表示されたボタンと白い長方形の中に「CSVインポート」と表示されたボタンがある。
B小カテゴリー「タグ管理」(「基本」、「ホーム」、「基本」)
 上部にロゴ等表示部分、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下に、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「タグ管理」との表示がされ、その下には「タグの新規作成・フォルダ分けを行うことが出来ます。」との表示がある。その下には、緑色の長方形の中に白抜き文字で「+新しい分類」との表示がされ、その横には、青い長方形の中に白抜き文字で「+新しいタグ」と表示されたボタン、白い長方形の中に「並び替え」と表示されたボタン、グレーの長方形の中に「検索」と表示されたボタンと検索条件を入力するための空欄が設けられている。その下には、黒い線があり、そこには、タグに関する情報のカテゴリーを示すものとして、白抜き文字で「タグ名」、「メンバー」、「作成日」との表示があり、その下にはそれぞれに対応する情報が表示される。
C小カテゴリー「トーク管理」(「基本」、「ホーム」、「基本」)
 上部にロゴ等表示部分、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下に、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「トーク管理」との表示がされ、その下には「最新のメッセージを確認することが出来ます(※タイムライン表示)」との表示がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、メッセージに関する情報のカテゴリーを示すも
のとして、白抜き文字で、「送信日時」、「名前」、「メッセージ」との表示があり、その下に各メッセージについての上記各情報が表示され、各メッセージについて、青い長方形の中に白抜き文字で「詳細表示」と表示されたボタンがある。
D小カテゴリー「SMS一覧」(「基本」、「ホーム」、「基本」)
 上部にロゴ等表示部分、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下に、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「SMS一覧」との表示がされ、その下には「最新のSMSを確認することができます」との表示がある。その下には、黒い線があり、そこには、SMSに関する情報のカテゴリーを示すものとして、白抜き文字で「送信日時」、「名前」、「メッセージ」、「送信状態」との表示がある。
E小カテゴリー「登録メディア一覧」(「基本」、「ホーム」、「基本」)
 上部にロゴ等表示部分、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下に、やや大きい文字で「登録メディア一覧」との表示がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「登録した画像や動画などの一覧を管理することが出来ます。」との表示がされ、その下には、青い長方形の中に白抜き文字で「画像アプロード」、「音声アップロード」、「動画アップロード」と表示された3つのボタンがあり、その下には、登録された画像や動画等が表示されている。
F小カテゴリー「エラー一覧」(「基本」、「ホーム」、「基本」)
 上部にロゴ等表示部分、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「エラーメッセージ一覧(直近1週間)」との表示がされ、その下には、やや大きい文字で「エラーメッセージ一覧」との表示があり、その下には、黒い線があり、そこには、エラーメッセージに関する情報のカテゴリーを示すものとして、白抜き文字で「送信失敗日時」、「名前」、「種別」、「メッセージ」との表示がある。
G小カテゴリー「1:1チャット」(「基本」、「ホーム」、「チャット」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。画面の左側に友だちの一覧が表示され、その右側には、選択した友だちとしたチャットが表示され、その下にメッセージ入力欄が設けられている。
H小カテゴリー「グループチャット」(「基本」、「ホーム」、「チャット」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。画面の左側にグループの一覧が表示され、その右側には、選択したグループ内でしたチャットが表示され、その下にメッセージ入力欄が設けられている。
I小カテゴリー「1:1SMSチャット」(「基本」、「ホーム」、「チャット」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。画面の左側に友だちの一覧が表示され、その右側には、選択した友だちとしたSMSが表示され、その下にメッセージ入力欄が設けられている。
J小カテゴリー「シナリオ一覧」(「基本」、「ホーム」、「メッセージ」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「シナリオ一覧」との表示がされ、その下には、「シナリオ配信では、あらかじめ登録しておいた複数のLINEメッセージを、決められたタイミングに、自動で配信することができます。」との表示がされ、その下には、青い長方形の中に白抜き文字で「+新規登録」、「シナリオ配信設定」と表示された二つのボタンと白い長方形の中に「並び替え」と表示されたボタンが設けられている。その下には、黒い線があり、そこには、シナリオに関する情報のカテゴリー等を示すものとして、白抜き文字で「シナリオ名」、「配信方式」、「状態」、「購読中」、「終了後」、「編集」との表示があり、「編集」以外の下には各シナリオについての上記各情報が表示されるとともに、「編集」の下には、各シナリオ対して操作をするためのボタンとして、青い長方形の中に白抜き文字で「設定・解除・複製」と表示されたボタンがある。
K小カテゴリー「SMS配信」(「基本」、「ホーム」、「メッセージ」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「SMS配信」との表示がされ、その下には、「友だちに一斉配信することが出来ます」との表示があり、その下には、青い長方形の中に白抜き文字で「新規配信」と表示されたボタンがあり、その下には「履歴」との表示があり、その下には、黒い線があり、そこには、白抜き文字で「編集」、「宛先」、「内容」、「送信日時」、「配信数」との表示がされている。
L小カテゴリー「一斉送信」(「基本」、「ホーム」、「メッセージ」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「一斉配信」との表示がされ、その下には、「友だちに一斉配信することが出来ます」との表示がされ、その下には、青い長方形の中に白抜き文字で「新規配信」と表示されたボタンと緑色の長方形の中に白抜き文字で「テンプレート配信」と表示されたボタンがある。その下には「履歴」という表示があり、その下には、黒い線があり、そこには、白抜き文字で「編集」、「宛先」、「内容」、「送信日時」、「配信数」との表示がされ、「編集」の下には、青い長方形の中に白抜き文字で「コピー」と表示されたボタンがあり、その他の「宛先」等の下にはそれぞれに対応する情報が表示されている。
M小カテゴリー「自動返信」(「基本」、「ホーム」、「メッセージ」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下には、やや大きい文字で「自動応答」との表示があり、その下には、黒い線があり、そこには、白抜き文字で「キーワード応答や、時間帯に応じた自動応答を設定することが出来ます。」との表示がある。その下には、緑色の長方形の中に白抜き文字で「+新しい分類」と表示されたボタン、青い長方形の中に白抜き文字で「+新しい自動応答」と表示されたボタン、長方形の中に「並び替え」と表示されたボタンがある。
 その下には、黒い線があり、そこには、白抜き文字で「アクション」、「ヒット数」、「分類」との表示がされ、その下には、「キーワードご飯・rise・com」、「どれか一つにマッチするとき応答」という表示があり、「アクション」の下には、「返信 ご飯を食べている習慣でしょうね!」などと表示されている。
N小カテゴリー「テンプレート」(「基本」、「ホーム」、「メッセージ」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「テンプレート」と表示されている。その下には、「1:1トーク・シナリオ配信・一斉配信・自動応答などで使用できるテンプレートを登録・管理することが出来ます。」との表示がされ、その下には、緑色の長方形の中に白抜き文字で「+新しい分類」と表示されたボタン、青い長方形の中に白抜き文字で「+新規テンプレート」と表示されたボタン、長方形の中に「並び替え」と表示されたボタン、薄い赤色の長方形の中に「一括削除」と表示されたボタンがある。その下には、登録されたテンプレートとして、文面や画像が表示されている。
O小カテゴリー「回答フォーム」(「基本」、「ホーム」、「メッセージ」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「回答フォーム」と表示され、その下には、「友だちにURLを送信し回答を入力していただくことによって、タグ付けや友だち情報の書き換えを自動で行うことができます。」との表示がある。その下には、緑色の長方形の中に白抜き文字で「新規作成」と表示されたボタンがある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「フォーム名」、「呼び出しタグ」、「回答人数」、「回答後設定(v1)」、「作成日」との表示がされており、その下にはそれぞれに対応する情報が表示されている。
P小カテゴリー「URLクリック測定」(「基本」、「ホーム」、「統計情報」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「URLクリック測定」との表示がされ、その下には、「URLを登録することでそのリンクをクリックした人数を算出し、クリック率を測定することが出来ます。また、どの友だちがリンクをクリックしたか特定することが出来ます。」との表示がある。その下には、緑色の長方形の中に白抜き文字で「+新しい分類」と表示されたボタン、その隣の青い長方形の中に白抜き文字で「+新しいサイト」と表示されたボタン、その隣の長方形には「並び替え」と表示されたボタンがある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「サイト名」、「分類」、「訪問/発行」と表示され、その下にはそれぞれに対応する情報が表示されている。
Q小カテゴリー「コンバージョン」(「基本」、「ホーム」、「統計情報」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下には、やや大きな文字で「コンバージョン」という表示があり、その下は、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「コードをサイトに埋め込むことによってそのサイトを訪れたユーザーに自動でタグ付けを行ったり、テンプレートを送信することができます。」と表示され、その下には、緑色の長方形の中に白抜き文字で「新規作成」と表示されたボタンがある。その下には、コンバージョンに関して表示される情報のカテゴリーとして、「コンバージョン名」、「特定時」、「サイト埋め込みコード」、「作成日」、「特定人数」との表示があり、その下にはそれぞれに対応する情報が表示されている。
R小カテゴリー「サイトスクリプト」(「基本」、「ホーム」、「統計情報」)
 上部にロゴ等表示部分があり、その下に中カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「サイトスクリプト」との表示がされ、その下には、「Webサイトに埋め込むJavaScriptコードを管理することが出来ます。また、URLを登録することで友だちのサイト滞在時間を計測し、滞在時間に応じてタグを付けることが出来ます。」との表示がある。その下には、緑色の長方形の中に白抜き文字で「+新しい分類」と表示されたボタン、その隣の青い長方形の中に白抜き文字で「+新しいスクリプト」と表示されたボタン、その隣の長方形には「並び替え」と表示されたボタンがある。その下には、黒い線があり、そこには、白抜き文字で「スクリプト名」、「オプション」、「分類」との表示があり、その下にはそれぞれに対応する情報が表示されている。
S大カテゴリー「Bot追加」(親カテゴリー「基本」)
 上部にロゴ等表示部分、親カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「Bot登録」と表示され、その下に「情報入力」との文字が表示され、その下に黒い長方形の枠が設けられ、その中には、白抜き文字で「Bot名」、「Bot画像」、「友だち追加URL」などの表示がされ、それぞれの枠の右側には入力欄が設けられている。最下部には、青い長方形の中に白抜き文字で「完了」と表示されたボタンがある。
(21)大カテゴリー「SMS設定」(親カテゴリー「基本」)
 上部にロゴ等表示部分、親カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「SMSアカウント設定」との表示がされ、その下に黒い長方形の枠が設けられ、その中には、白抜き文字で「TwilioAccountSID」、「AuthToken」との表示がされ、それぞれ枠の右側には入力欄が設けられている。最下部には、青い長方形の中に白抜き文字で「設定を更新する」と表示されたボタンがある。
(22)大カテゴリー「管理者編集」(親カテゴリー「基本」)
 上部にロゴ等表示部分、親カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「管理者情報一覧」との表示がされ、その下に黒い長方形の枠が設けられ、その中には、白抜き文字で「管理人名」、「担当Bot名」との表示がされ、それぞれの枠の下には入力欄が設けられている。
(23)大カテゴリー「設定」(親カテゴリー「アフィリエイト」)
 上部にロゴ等表示部分、親カテゴリー表示部分がある。その下には、やや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「アフィリエイト設定」との表示がされ、その下には、「アフィリエイター用URL」との表示があり、その下には、「登録URL」と「ログインURL」との表示がある。その下には、「アフィリエイター用URL」と同様の形式で「基本設定」との表示があり、その下に黒い長方形の枠が設けられ、その中には、白抜き文字で「アフィリエイトセンター名」、「締め日」、「支払日」などの表示がされ、それぞれの枠の右側には入力欄が設けられている。その下には、青い長方形の中に白抜き文字で「設定を更新する」と表示されたボタンがある。さらに、その下には、「アフィリエイター用URL」と同様の形式で「案件設定」との表示があり、その下には、入力欄が設けられ、その下には、青い長方形の中に白抜き文字で「設定を更新する」と表示されたボタンがある。
(24)大カテゴリー「アフィリエイター」(親カテゴリー「アフィリエイト」)
 上部にロゴ等表示部分、親カテゴリー表示部分がある。その下にやや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「アフィリエイター一覧」と表示され、その下には、青い長方形の中に白抜き文字で「新規登録」と表示されたボタンがあり、その下には、黒い線があり、その中には、白抜き文字で「ID」、「アフィリエイター名」、「メールアドレス」、「ランク」との表示がされ、その下にはそれぞれに対応する情報が表示されている。
(25)大カテゴリー「成果確認」(親カテゴリー「アフィリエイト)
 上部にロゴ等表示部分、親カテゴリー表示部分がある。その下にやや太い黒い線があり、そこには、白抜き文字で「成果確認」と表示され、その下には、黒い線があり、そこには、白抜き文字で「案件(Bot)」、「アフィリエイター名」、「メールアドレス」などの表示がされ、その下にはそれぞれに対応する情報の表示欄が設けられている。
(2)原告商品の機能
ア 親カテゴリーの機能
 親カテゴリーのうち、@「基本」は、LINE@を用いて消費者とコミュニケーションを図る上で利用可能な機能を取りまとめたカテゴリーであり、A「アフィリエイト」は、LINE@を用いたマーケティングに関するカテゴリーであり、ユーザーが自身の商品サービスの広告を依頼したアフィリエイターを管理するための機能を取りまとめたカテゴリーであり、B「サポート」は、原告商品の操作方法を容易に理解するために必要な機能を取りまとめたカテゴリーであり、C「設定」は、原告商品を使用するに当たり必要となる管理者設定(管理者名、メールアドレス、パスワード等)に関するカテゴリーである。
イ 大カテゴリーの機能
 大カテゴリーのうち、「ホーム」は、LINE@を用いて消費者とコミュニケーションを図る上で日常的に利用する機能をとりまとめたカテゴリーであり、「Bot追加」は、原告商品を利用するために必要となるLINE@の追加に関するカテゴリーであり、IT業界では自動で作業をしてくれるアカウントという意味で用いられることが多い「Bot」という語が用いられており、「SMS設定」は、SMS配信に必要な設定をすることに関するカテゴリーであり、「管理者編集」は、アカウント管理者の登録等の編集をすることに関するカテゴリーである。
ウ 大カテゴリー「ホーム」の下の階層の機能10
 中カテゴリーのうち、「基本」は、原告商品を用いて消費者とコミュニケーションを図る上で共通して使用すると考えられる機能を取りまとめたカテゴリーであり、「チャット」は、消費者とのコミュニケーションをリアルタイムに行うためのカテゴリーであり、「メッセージ」は、消費者に送信するメッセージを事前に定めておき、適切なタイミングで消費者にメッセージを配信する機能を取りまとめたカテゴリーであり、「統計情報」は、コミュニケーションをとった消費者の行動を計測する機能を取りまとめたカテゴリーである。
 中カテゴリー「基本」の下の階層である小カテゴリーのうち、「ホーム」は、現時点での友達数やその推移等を一覧で確認できる機能を有するカテゴリーであり、「友達リスト」は、LINE@に登録した消費者を一覧で確認できる機能を有するカテゴリーであり、「タグ管理」は、消費者の行動に応じて消費者毎にタグを付け、適切なメッセージを適切な消費者に配信するための機能を有するカテゴリーであり、「トーク管理」は、消費者にLINE@で配信したメッセージを一覧で管理できる機能を有するカテゴリーであり、「SMS一覧」は、SMSでの過去の送信履歴を管理するための機能を有するカテゴリーであり、「登録メディア一覧」は、LINE@によって配信する画像や音声データをあらかじめ取り込み、管理するための機能を有するカテゴリーであり、「エラー一覧」は、配信が失敗したメッセージを管理する機能を有するカテゴリーである。
 中カテゴリー「チャット」の下の階層である小カテゴリーのうち、「1:1チャット」は、消費者一人一人とコミュニケーションすることができる機能を有するカテゴリーであり、「グループチャット」は、複数の消費者とコミュニケーションをすることができる機能を有するカテゴリーであり、「1:1SMSチャット」は、SMSを用いて消費者一人一人とコミュニケーションすることができる機能を有するカテゴリーである。
 中カテゴリー「メッセ―ジ」の下の階層である小カテゴリーのうち、「シナリオ一覧」は、消費者に自社製品・サービスを購入してもらうために配信すべき情報及び順序をあらかじめ定めておき、一定のタイミングで配信することができる機能を有するカテゴリーであり、「SMS配信」は、まとめて多数の消費者にSMSを配信することができる機能を有するカテゴリーであり、「一斉送信」は、一斉にLINE@でメッセージを送信する機能を有するカテゴリーであり、「自動返信」は、消費者が特定のキーワードを呟いたときに、自動で当該キーワードに対応したメッセージを返信する機能を有するカテゴリーであり、「テンプレート」は、自動返信するメッセージとして頻繁に用いられるメッセ―ジを登録する際に、当該メッセージをテンプレートとして登録しておく機能を有するカテゴリーであり、「回答フォーム」は、消費者の具体的な回答内容に応じて、シナリオ分岐やタグ分類を行う機能を有するカテゴリーである。
 中カテゴリー「統計情報」の下の階層である小カテゴリーのうち、「URLクリック測定」は、どの程度の消費者がリンク先を閲覧しているのかを計測することができる機能を有するカテゴリーであり、「コンバージョン」は、ある一定のサイトまでアクセスした消費者を把握することができる機能を有するカテゴリーであり、「サイトスクリプト」は、消費者がサイトに滞在した時間を計測し、それに応じて適切なコミュニケーションを図る機能を有するカテゴリーである。
エ 親カテゴリー「アフィリエイト」の下の階層の機能
 親カテゴリー「アフィリエイト」の下の階層である大カテゴリーのうち、「設定」は、アフィリエイターが登録する際のURL等を発行するアフィリエイトセンター及びアフィリエイターの報酬の登録等に関する機能を取りまとめたカテゴリーであり、「アフィリエイター」は、ユーザーが自社の商品・サービスに携わっているアフィリエイターを把握するための機能を取りまとめたカテゴリーであり、「成果確認」は、実際にどの程度の紹介が行われているかを確認するための機能を取りまとめたカテゴリーである。
オ 親カテゴリー「サポート」の下の階層の機能
 親カテゴリー「サポート」の下の階層である大カテゴリーのうち、「マニュアルダウンロード」は、ユーザー向けに用意された原告商品の操作についての不明点を解決するためのマニュアルを入手するためのカテゴリーであり、「チャット」は、原告商品の操作についての質問をリアルタイムで行うためのカテゴリーである。
カ 親カテゴリー「設定」の機能
 原告商品の親カテゴリー「設定」は、原告商品を使用するにあたり、管理者名、メールアドレス、パスワード等の管理者設定をするためのカテゴリーである。
(3)被告商品の表示画面の概要(甲6)
 被告商品のトップ画面には、最上部にログイン状態を示す「ログイン中」、「ログアウト」などと表示されたボタンがある(この表示は、被告商品の全ての画面に共通する表示である。)。その下にやや太い黒い線があり、そこには、最も左側に緑文字で「トクマガ」「TalkM@gazine」と上下に表示され(以下、この表示を「被告商品ロゴ」という。)、その右側に順に、白抜き文字で「基本」、「アフィリエイト」、「サポート」、「BOT操作」、「設定」との親カテゴリーの表示がされている。その下に、「トクマガ事務局よりご挨拶」として、注意事項の表示がされたり、管理者一覧として、名前などが表示されている。
 トップ画面で、やや太い黒い線にある「基本」、「アフィリエイト」、「サポート」(親カテゴリー)をクリック等して選択すると、それぞれの表示の下には、各親カテゴリーに属する大カテゴリーが白抜き文字で表示された黒い長方形の欄が、別紙対比表(原告商品・被告商品)の被告商品の記載のとおりの順序で、もとの画面の前面に表示される。例えば、「基本」を選択すると、その下に、順に白抜き文字で「ホーム」、「Bot追加」と記載された欄が表示される。他はトップ画面と同じ画面である。
 トップ画面の親カテゴリーで「基本」を選択し、大カテゴリーで「ホーム」を選択した場合、上部のやや太い黒い線の最も左側に被告商品ロゴが表示され、その右側に、順に白抜き文字で「基本」、「チャット」、「メッセージ」、「統計情報」との中カテゴリーの表示がされ、その右側に、「BOT操作」「アフィリエイト」、「設定」との表示がされる。その下には、「現在のマーク別人数」や、「友達数遷移」、「最新受信メッセージ一覧」との表示があり、その下にはそれぞれに対応する情報が表示されている。
 上記の画面で、例えば、上部のやや太い黒い線にある白抜き文字の「基本」を選択すると、その表示の下には、その中カテゴリーに属する小カテゴリーである「ホーム」、「友だちリスト」、「タグ管理」、「トーク管理」、「管理メディア一覧」、「エラー一覧」が順に白抜き文字で記載された黒い長方形の欄が、もとの画面の前面に表示される。その画面で、例えば、「友だちリスト」を選択すると、被告商品ロゴや中カテゴリーが表示されている上部のやや太い黒い線の下に、黒い線があり、そこには、白抜き文字で「友だちリスト」との表示がされ、その下の「友だちリストの確認や検索、友達の詳細情報を確認することが出来ます。」との表示の下に、検索結果の人数やそれにより検索された者についてのイメージ、名前、受信メッセージなどの情報が表示される。
2 原告は、本件において、パソコン画面等で表示される原告商品の親カテゴリーから小カテゴリーに至る「各カテゴリー名」が「素材」であって、その「素材」の選択及び配列に創作性が認められるとして、原告商品が編集著作物(著作権法12条)であると主張する。
 しかし、前記認定事実及びウのとおり、原告商品は、パソコン等において各種の確認や作業等を行うことができるものであり、その確認、作業等を行ったりするためにパソコン等において、様々な内容が表示される複数の画面を表示することができるものである。ここで、原告が素材と主張する「カテゴリー名」は、パソコン等の画面において、原告商品において選択することができる機能に対応する画面を示すために、画面の上部に、ロゴ等表示部分の下のやや太い青みがかった線に、白抜き文字で表示されているものであったり(親カテゴリー名、中カテゴリー名)、親カテゴリー名又は中カテゴリー名を選択した場合に、そのカテゴリー名の下に、もとの画面の前面に、表示されるものであったり(大カテゴリー名、小カテゴリー名)、各画面において、ロゴ等表示部分及びカテゴリー名を表示するやや太い青みがかった線の下に、示されるものである(小カテゴリー名)。
 このような原告商品とそこにおけるカテゴリー名の使用の態様に照らせば、これらの「カテゴリー名」は、原告商品の異なる画面において、他にも多くの記載がある画面の表示の一部として表示されるものであって、原告商品をもって、「カテゴリー名」を「素材」として構成される編集物であるとはいえない。
 そうすると、原告商品が編集著作物であり、カテゴリー名自体が原告商品の素材であると主張する原告の主張は、その余を判断するまでもなく理由がない。
3 また、原告は原告商品を編集著作物であると主張し、「カテゴリー名」の選択と配列において創作性を有し、その「カテゴリー名」の選択と配列において被告商品と共通すると主張するところ、原告商品を利用した場合には、前記認定事実1(1)イ及びウのとおり、パソコン等において、視覚的に認識することができる様々な画面が表示される。それらの各画面は、前記のように、原告が選択したカテゴリー名に対応するものといえ、また、それらはパソコン等の画面において、階層的に配列されているともいえる。他方、被告商品においても、「カテゴリー名」に対応する画面が表示されるといえる。
 しかし、原告商品の各画面は、そのカテゴリー名に対応する機能を実現するために表示されるものである。そうすると、原告商品における各カテゴリー名と各画面の表示との関係は、何らかの素材をカテゴリー名やその階層構造に基づいて選択、配列したというものではなく、カテゴリー名に対応する機能を実現するための画面の表示があるといえるものである。そして、カテゴリー名は、結局、それに対応して原告商品が有する機能・利用者が利用しようとする機能を表すものである。そうすると、原告は原告商品はカテゴリー名の選択、配列において編集著作物としての創作性を有し、その点で原告商品と被告商品が共通していると主張するのであるが、それらの選択と配列が共通しているとの主張は、結局、ある商品において採用された機能やその機能の階層構造が共通していると主張しているのに等しい部分がある。ある商品においてどのような機能を採用するかやその機能をどのような階層構造とするか自体は、編集著作物として保護される対象となるものではない。
4(1)さらに、原告は、原告商品におけるカテゴリーの名称そのものについて選択の幅があること、その階層構造などから、カテゴリー名の選択、配列に創作性があると主張する。
 前記のとおり、原告商品がカテゴリー名を素材とする編集著作物として保護されることはないが、以下に述べるとおり、原告商品のカテゴリーの名称やその階層構造は、ありふれたものであり、それら自体に著作権法上の創作性があるともいえない。
(2)ア 原告商品と同様にLINE@を利用した集客、マーケティング支援ツールである「LINESTEP」のパソコン等における表示画面は2段階の階層構造となっているといえるものであり、その詳細は以下のとおりである(乙1、2)。なお、同商品の階層構造を対比表の形式にすると別紙対比表(他社商品)1(LINESTEP)のとおりである。
(ア)上位の階層として、「1対1トーク」、「メッセージ」、「友だち属性」、「統計情報」、「コンテンツ」、「LINE@設定」、「メルカリオンスタッフ」及び「サポート」というカテゴリーが設けられている。
(イ)上記の階層のカテゴリーのうち、@「1対1トーク」の下の階層には、「友だちリスト」、「トーク一覧」及び「個別トーク」というカテゴリーが設けられ、A「メッセージ」の下の階層には、「シナリオ配信」、「一斉配信」、「自動応答」、「テンプレート」、「回答フォーム」、「リマインダ配信」及び「友だち追加時設定」というカテゴリーが設けられ、B「友だち属性」の下の階層には、「タグ管理」、「友だち情報欄管理」及び「カスタム検索管理」というカテゴリーが設けられ、C「統計情報」の下の階層には、「URLクリック測定」、「コンバージョン」、「サイトスクリプト」、「クロス分析」及び「流入経路分析ベータ」というカテゴリーが設けられ、D「コンテンツ」の下の階層には、「登録メディア一覧」及び「リッチメニューベータ」というカテゴリーが設けられ、E「LINE@設定」の下の階層には、「LINE@MANAGER」、「アカウント設定」、「スタッフ権限設定」及び「データ移行ベータ」というカテゴリーが設けられ、F「メルカリオンスタッフ」の下の階層には、「マイページ」、「新規アカウント発行」及び「LIGET追加申し込み(登録経路計測ツール兼ASP)」というカテゴリーが設けられ、G「サポート」の下の階層には、「ご利用マニュアル」、「LINE教材購入」及び「LINE活用ブログ」というカテゴリーが設けられている。
イ 原告商品と同様にLINE@を利用した集客、マーケティング支援ツールである「Liny」のパソコン等における表示画面は2段階の階層構造となっているといえるものであり、その詳細は以下のとおりである(乙3、4)。なお、同商品の階層構造を対比表の形式にすると別紙対比表(他社商品)2(Liny)のとおりである。
(ア)上位の階層として、「1対1トーク」、「メッセージ」、「友だち属性」、「統計情報」、「コンテンツ」、「LINE@設定」、というカテゴリーが設けられている。
(イ)そして、上位の階層のカテゴリーのうち、@「1対1トーク」の下の階層には、「友だちリスト」、「トーク一覧」及び「個別トーク」というカテゴリーが設けられ、A「メッセージ」の下の階層には、「シナリオ配信」、「一斉配信」、「自動応答」、「テンプレート」、「回答フォーム」、「リマインダ配信」及び「友だち追加時設定」というカテゴリーが設けられ、B「友だち属性」の下の階層には、「タグ管理」、「友だち情報欄管理」及び「カスタム検索管理」というカテゴリーが設けられ、C「統計情報」の下の階層には、「URLクリック測定」、「コンバージョン」、「サイトスクリプト」、「クロス分析」及び「流入経路分析ベータ」というカテゴリーが設けられ、D「コンテンツ」の下の階層には、「登録メディア一覧」及び「リッチメニューベータ」というカテゴリーが設けられている(なお、「LINE@設定」の下の階層にカテゴリーが設けられているかどうか、設けられているとしてどのような名称のカテゴリーが設けられているかは証拠上明らかではない。)。
ウ 原告商品と同様にLINE@を利用した集客、マーケティング支援ツールである「next」のパソコン等における表示画面は2段階の階層構造となっているといえるものであり、その詳細は以下のとおりである(乙5、6)。なお、同商品の階層構造を対比表の形式にすると別紙対比表(他社商品)3(next)のとおりである。
(ア)上位の階層として、「1対1トーク」、「メッセージ」、「友だち属性」、「分析機能」、「コンテンツ」、「プレミアム機能」、「設定」及び「アカウント名」というカテゴリーが設けられている。
(イ)そして、上位の階層のカテゴリーのうち、@「1対1トーク」の下の階層には、「友達リスト」、「トーク一覧」及び「個別トーク」というカテゴリーが設けられ、A「メッセージ」の下の階層には、「シナリオ配信」、「一斉配信」、「自動応答」、「テンプレート」、「回答フォーム」、「リマインダ配信」、「友だち追加時設定」及び「アクション管理」というカテゴリーが設けられ、B「友だち属性」の下の階層には、「タグ管理」、「友だち情報欄管理」及び「カスタム検索管理」というカテゴリーが設けられ、C「分析機能」の下の階層には、「URLクリック測定」、「コンバージョン」及び「サイトスクリプト」というカテゴリーが設けられ、D「コンテンツ」の下の階層には、「登録メディア一覧」及び「追跡QRコードベータ」というカテゴリーが設けられ、E「プレミアム機能」の下の階層には、「ダッシュボード」及び「リッチメニューベータ」というカテゴリーが設けられ、F「設定」の下の階層には、「LINE公式アカウント設定」、「アカウント設定」及び「スタッフ設定」というカテゴリーが設けられ、G「アカウント名」の下の階層には、「マイページ」、「お問い合わせ」、「ご利用マニュアル」及び「新規アカウント発行」というカテゴリーが設けられている。
(3)LINE@を用いた集客、マーケティング支援ツールという原告商品においてどのような機能を実装するかはアイディアに過ぎず、それ自体は著作権法の保護の対象になるものではない。そして、「素材」たる各カテゴリーの名称の選択についてみると、上記のような原告商品の性質上、各カテゴリーに付す名称は、各カテゴリーが果たす機能を一般化・抽象化し、ユーザーにとって容易に理解可能なものとする必要があるため、その選択の幅は自ずと限定される。そのような視点で選択された原告商品の各カテゴリー名は、それ自体をみてもありふれたものであり、現に、原告商品の「メッセージ」、「統計情報」というカテゴリー名は他社商品でも用いられているほか、原告商品の「メッセージ」の下に設けられた小カテゴリーの各カテゴリー名や「統計情報」の下に設けられた小カテゴリーの各カテゴリー名と同一ないし類似したカテゴリー名が他社商品においても用いられている。また、原告商品において用いられている「基本」や「ホーム」といったカテゴリー名は、他社商品においては用いられてはいないものの、消費者とのコミュニケーションを図るという観点から頻繁に使われる機能を取りまとめたカテゴリーに付されたものであり、上記のような原告商品の性質を踏まえると、カテゴリー名の選択としてはありふれたものである。
 したがって、原告商品における各カテゴリーの名称は、各カテゴリーが果たす機能を表現するものとしてはありふれたものといえる。
 次に、各カテゴリー名の配列についてみても、原告商品においては、「基本」という最上位の階層に、消費者とのコミュニケーションを図る上で利用可能な機能を取りまとめ、その中でも消費者とのコミュニケーションを図る上で日常的に利用する機能を「基本」の下の階層の「ホーム」に取りまとめるなどされているほか、多種多様な機能を果たす「ホーム」より下のカテゴリーについては、小カテゴリーに至るまで階層を設けてカテゴリー分けがされるなど他社商品に比して複雑な階層構造が採用されており、各カテゴリー名の配列について一定程度の工夫はされていると認められる。
 しかし、ユーザーによる操作や理解を容易にするという観点から、実装した機能の中から関連する機能を取りまとめて上位階層のカテゴリーを設定し、機能の重要性や機能同士の関連性に応じて順次下位の階層にカテゴリー分けをしていくというのは通常の手法であり、原告商品の各カテゴリー名の配列は、複数の選択肢の中から選択されたものではあるものの、ありふれたものというべきである。
第5 結論
 以上によれば、原告商品は「カテゴリー名」を素材とする編集著作物であるとは認められないし、原告が主張するカテゴリーの名称やその配列について検討しても、その選択又は配列に著作権法上の創作性があるとは認められない。そうすると、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求には理由がないからこれをいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第46部
 裁判長裁判官 柴田義明
 裁判官 佐藤雅浩
 裁判官 古川善敬


別紙 物件目録
 LINE MARKETING TOOLS「トクマガ」

添付文書
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