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【事件名】「ふみとやすおの歌」事件
【年月日】平成31年4月26日
 東京地裁 平成30年(ワ)第38579号 損害賠償請求事件
 (口頭弁論終結日 平成31年3月25日)

判決
 当事者の表示 別紙1当事者目録記載のとおり


主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 被告日本放送協会は、原告に対し、264万6384円及び別紙2訴額計算書の同被告に係る表の「訴額(円)」欄記載の各金額に対する、対応する「支払い起算日」欄記載の日(同欄が空欄の場合は平成31年2月26日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告日本テレビ放送網株式会社は、原告に対し、287万1008円及び別紙2訴額計算書の同被告に係る表の「訴額」欄記載の各金額に対する、対応する「支払い起算日」欄記載の日(同欄が空欄の場合は平成31年2月26日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告BS日本株式会社は、原告に対し、7万4976円及び別紙2訴額計算書の同被告に係る表の「訴額」欄記載の各金額に対する、対応する「支払い起算日」欄記載の日(同欄が空欄の場合は平成31年2月26日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告株式会社テレビ朝日は、原告に対し、273万9952円及び別紙2訴額計算書の同被告に係る表の「訴額」欄記載の各金額に対する、対応する「支払い起算日」欄記載の日(同欄が空欄の場合は平成31年2月26日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 被告株式会社ビーエス朝日は、原告に対し、7万6032円及びこれに対する平成29年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6 被告株式会社TBSテレビは、原告に対し、392万5472円及び別紙2訴額計算書の同被告に係る表の「訴額」欄記載の各金額に対する、対応する「支払い起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
7 被告株式会社BS−TBSは、原告に対し、441万0784円及び別紙2訴額計算書の同被告に係る表の「訴額」欄記載の各金額に対する、対応する「支払い起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
8 被告株式会社テレビ東京は、原告に対し、532万7056円及び別紙2訴額計算書の同被告に係る表の「訴額」欄記載の各金額に対する、対応する「支払い起算日」欄記載の日(同欄が空欄の場合は平成31年2月26日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
9 被告株式会社BSテレビ東京は、原告に対し、52万9888円及び別紙2訴額計算書の同被告に係る表の「訴額」欄記載の各金額に対する、対応する「支払い起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
10 被告株式会社フジテレビジョンは、原告に対し、671万3552円及び別紙2訴額計算書の同被告に係る表の「訴額」欄記載の各金額に対する、対応する「支払い起算日」欄記載の日(同欄が空欄の場合は平成31年2月26日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
11 被告株式会社ビーエスフジは、原告に対し、66万0304円及び別紙2訴額計算書の同被告に係る表の「訴額」欄記載の各金額に対する、対応する「支払い起算日」欄記載の日(同欄が空欄の場合は平成31年2月26日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 当事者の主張
1 原告の主張(請求原因)
 原告の主張は、別紙3「請求の原因」記載のとおりであるが、概要は次のとおりである。すなわち、@原告とBが作詞作曲した「ふみとやすおの歌」(以下「原告作品」という。)が言語及び音楽の著作物(著作権法10条1項1号、2号)に当たるところ、被告らが原告の許諾なくこれを変形するなどして放送したこと又はそのDVDを販売するなどしたことが原告の著作権(複製権、翻案権、同一性保持権又は公表権)の侵害であるとし、A原告を「暴走族」などと発言した映像を放送したこと又はそのDVDを販売するなどしたことが原告の名誉権の侵害であるとし、B原告のプライバシーを発言した映像を放送したこと又はそのDVDを販売するなどしたことが原告のプライバシーの侵害であるとし、C原告を殺害する趣旨を発言した映像を放送したこと又はそのDVDを販売するなどしたことが脅迫に該当するとし、D原告を「デーブー」などと発言した映像を放送したこと又はそのDVDを販売するなどしたことが侮辱に該当するとし、E「Aストップ」などと発言した映像を放送したこと又はそのDVDを販売するなどしたことが原告の人格権の一種である平穏生活権の侵害であるとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告らに対して、前記第1(請求)記載の金額の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めるものである(一部請求)。
 被告日本放送協会に対する請求については、本件第1回口頭弁論期日において、請求金額を別紙2訴額計算書記載の157万2464円から264万6384円に拡張した。
2 被告らの主張(請求原因に対する認否等)
 著作権侵害、名誉権侵害、プライバシーの侵害、脅迫、侮辱及び平穏生活権侵害の主張に対しては否認ないし争う。原告の主張に対して個別にみると、原告作品は著作権法2条1項1号にいう「著作物」に当たらず、原告が原告作品の著作者及び著作権者である根拠はない上、本件各証拠上、原告作品若しくはその変形物、「暴走族」などとの発言、原告のプライバシーに関する発言、原告を脅迫する趣旨の発言、原告を侮辱する趣旨の発言、若しくは「Aストップ」などとの発言が含まれている映像を放送したこと又はそのDVDを販売するなどしたことはない(なお、被告株式会社フジテレビジョンに対する請求につき、甲57の1、甲61の1及び甲62の1に、反訳書(甲57の2、甲61の2及び甲62の2)に記載された音声と認識される可能性がある箇所が存在するが、その内容からして原告の権利を侵害するものではないことは明らかである。)。したがって、原告の被告らに対する不法行為による損害賠償請求はいずれも理由がない。
第3 当裁判所の判断
1 原告は、被告らが放送した映像又は販売するなどしたDVDの映像中に、原告が指摘する発言が含まれており、これらが原告の著作権(複製権、翻案権、同一性保持権又は公表権)、名誉権、プライバシー又は平穏生活権を侵害し、又は脅迫若しくは侮辱に該当すると主張して、被告らが放送した映像又は販売するなどしたDVDの映像(甲1ないし68の各1)及びそれらの反訳書(甲1ないし68の各2)を提出する。
 そこで検討するに、被告株式会社フジテレビジョン作成のDVDに収録されている音声には、「A」(甲57の1)、「ストップ。ははははは。」(甲61の1)、「あたた」(甲62の1)と認識される可能性が否定できないものがあるが、これらの音声はいずれもその発言者が上記のように認識される可能性がある音声を偶々発言したにすぎないものと認められるから、その意味内容や表現として、原告の名前を発言したものとも、原告の平穏生活権を侵害する発言とも、原告作品を発言したものとも認められない。そして、原告が提出する映像(甲1ないし68の各1)には、上記以外に、その反訳書(甲1ないし68の各2)において原告が指摘する発言が収録されているとは認められないから、被告らにおいて、原告の著作権(複製権、翻案権、同一性保持権又は公表権)、名誉権、プライバシー又は平穏生活権を侵害し、又は脅迫若しくは侮辱に該当する発言が収録された映像を放送したこと又はそのDVDを販売するなどしたことを認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。そうすると、原告の被告らに対する請求はいずれも理由がない。
2 結論
 以上のとおりであるから、原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第29部
 裁判長裁判官 山田真紀
 裁判官 西山芳樹
 裁判官 伊藤清隆は、転官のため、署名押印することができない。
裁判長裁判官 山田真紀


(別紙1)当事者目録
原告 A
被告 日本放送協会
同訴訟代理人弁護士 梅田康宏
同 丸山雄毅
被告 日本テレビ放送網株式会社
同訴訟代理人弁護士 大矢勝美
同 植村周平
被告 株式会社BS日本
同訴訟代理人弁護士 鎌倉広明
被告 株式会社テレビ朝日
被告 株式会社ビーエス朝日
上記両名訴訟代理人弁護士 西脇亨輔
同 添田浩之
被告 株式会社TBSテレビ
被告 株式会社BS−TBS
上記両名訴訟代理人弁護士 桑原育朗
被告 株式会社テレビ東京
被告 株式会社BSテレビ東京
上記両名訴訟代理人弁護士 尾崎行正
同 岩知道真吾
同 佐藤淳子
同 井上 毅
同 岡本雅美
被告 株式会社フジテレビジョン
被告 株式会社ビーエスフジ
上記両名訴訟代理人弁護士 小林好則
同 近藤勝彦
同 守田大地

(別紙2)訴額計算書 添付略
(別紙3)請求の原因 添付略
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