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【事件名】ソフトバンクへの発信者情報開示請求事件F 【年月日】平成31年3月27日 東京地裁 平成30年(ワ)第34818号 発信者情報開示請求事件 (口頭弁論終結日 平成31年2月27日) 判決 当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 主文同旨 第2 事案の概要 1 本件は、原告が、経由プロバイダである被告に対し、氏名不詳者がインターネット上のウェブサイトに原告が著作権を有する動画をアップロードし、原告の公衆送信可能化権を侵害したことが明らかであるとして、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき、上記著作権侵害行為に係る別紙発信者情報目録記載の発信者情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実。なお、本判決を通じ、証拠を摘示する場合には、特に断らない限り、枝番を含むものとする。) (1)当事者 ア 原告は、映画、ビデオの映像製作、編集業務、販売等を営む株式会社である。原告は、平成28年12月1日、株式会社CA(以下「CA」という。)を吸収合併し、CAが有していた権利及び義務を承継した。(甲1) イ 被告は、電気通信事業を営む株式会社であり、一般利用者に向けて広くインターネット接続サービスを提供している経由プロバイダである。 (2)本件各著作物 別紙著作物目録記載の著作物(以下、別紙の符号に従い「本件著作物1」などといい、併せて「本件各著作物」という。また、本件各著作物を収録したDVDを、その符号に従い「本件DVD1」などといい、併せて「本件各DVD」という。)は映画の著作物である。(甲9〜11、13、14、16〜19、23、35〜38) (3)本件各発信者の行為 氏名不詳者(以下「本件各発信者」という。)は、別紙侵害動画目録の投稿日時欄記載の日時に、インターネット上のウェブサイト「FC2コンテンツマーケットアダルト」(以下「本件動画サイト」という。)に、同目録記載の動画1〜5(以下、同目録の番号に従って「本件動画1」などといい、併せて「本件各動画」という。)を投稿した(以下「本件投稿」という。)。(甲8) (4)IPアドレスの開示 原告は、本件訴訟の提起に先立ち、平成30年6月、アメリカ合衆国ネバダ州地区連邦裁判所に民事訴訟を提起し、本件動画サイトを運営するFC2、Inc.(以下「FC2」という。)に対し、本件各動画の販売ページである甲8の「販売者」欄記載のIDを提示しつつ、侵害者及び「「侵害作品」(判決注:本件各動画をいう。)をアップロード及び/又は投稿したFC2.comに登録しているその他FC2ユーザーを特定するに足りる全情報」を求め、FC2から、別紙侵害動画目録のIPアドレス欄記載のIPアドレス(以下「本件各IPアドレス」という。)の開示を受けた。原告は、FC2に上記情報の開示を求める際、開示を求める情報には、「各「侵害作品」のアップロード及びFC2.comにおける本件侵害者のアカウントへのアクセスに使用されたIPアドレスのあらゆるログ」が含まれるが、これに限られないとしていた。(甲3〜6) 3 争点 (1)特定電気通信該当性 (2)開示関係役務提供者該当性 (3)権利侵害に係る発信者情報該当性 (4)権利侵害の明白性の有無 (5)発信者情報開示を受けるべき正当な理由の有無 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(特定電気通信該当性)について 〔原告の主張〕 本件動画サイトは、インターネットに接続する環境を有する者であれば、誰でも閲覧することが可能であるから(甲8)、本件動画サイトは、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信である「特定電気通信」に該当する。 〔被告の主張〕 本件動画サイトそれ自体が特定電気通信に該当するものではない。 2 争点(2)(開示関係役務提供者該当性)について 〔原告の主張〕 (1)被告は、電気通信事業を営んでいるところ、被告が管理する端末機器等は、特定電気通信の用に供される電気通信設備であり、本件動画サイトは、特定電気通信設備を経由して行われたものであるため、当該設備は、特定電気通信設備(プロバイダ責任制限法2条2号)に該当する。 被告は、本件各IPアドレスを割り当てられた被告の契約者に係る発信者情報を保有しているから、本件各発信者による本件各著作物の送信可能化権侵害との関係において、開示関係役務提供者に該当する。 (2)被告は、本件各IPアドレスが、本件投稿に係るものではなく、本件動画サイトのログインに使用されたIPアドレスにすぎない可能性があるとして、そのような権利侵害情報ではない情報の発信を媒介したにすぎない被告は、開示関係役務提供者に該当しないと主張する。 しかし、FC2は、原告から「各「侵害作品」のアップロード及びFC2.comにおける本件侵害者のアカウントへのアクセスに使用されたIPアドレス」の開示を求められ(甲3、5)、これに該当する本件各IPアドレスを開示したのであるから(甲4、6)、FC2から開示された本件各IPアドレスは本件各動画のアップロードに使用されたものである。 また、本件各IPアドレスは固定IPアドレスであり、本件動画サイトへのログインに使用されたIPアドレスと本件投稿に使用された本件各IPアドレスは同一であるから、本件各IPアドレスが本件各動画のアップロードに使用されたことは明らかである。 仮に、本件各IPアドレスが本件動画サイトへのログインに使用されたものにすぎないとしても、本件動画サイトのようにアカウント及びパスワードを入力しなければ利用できないサービス(甲43)については、ログインした時点でのIPアドレスに基づいた発信者情報開示が認められるべきである。 〔被告の主張〕 本件各IPアドレスは、原告がFC2に対して、@本件各動画の販売者を特定するに足りる情報及びA本件各動画をアップロード及び/又は投稿したFC2.comに登録しているその他FC2ユーザーを特定するに足りる情報を開示するよう求めたのに対し、FC2が、いかなる通信に係るIPアドレスであるかを明示することなく開示したものにすぎないから、FC2.comのアカウントへのアクセス・ログインに使用されたIPアドレスである可能性もある。また、FC2は、本件各IPアドレスについてその割当日時を明らかにしておらず、本件各IPアドレスの割当日時として原告が主張する日時は、原告が本件各動画の販売日をもとに記載したにすぎないものと思われる。 このように、本件各IPアドレスと割当日時がいかなる通信に係るものであるかは明らかでないから、被告は、本件各IPアドレスを用いてなされた、原告が主張する割当日時における本件動画サイトのアカウントへのログインという、権利侵害情報でない情報の発信を媒介したにすぎない可能性がある。 仮に、本件各動画のアップロード行為が存在するとしても、当該行為に使用されたIPアドレス及び割当日時が明らかでなく、被告が本件各動画のアップロードの用に供される特定電気通信設備を用いて当該通信を媒介したことについて主張立証がない以上、被告がプロバイダ責任制限法4条1項にいう「開示関係役務提供者」に該当するということはできない。 3 争点(3)権利侵害に係る発信者情報該当性 〔原告の主張〕 上記2の原告の主張のとおり、本件各IPアドレスは本件各動画のアップロードに使用されたものであるから、原告が開示を求める本件発信者情報は、権利侵害に係る発信者情報に該当する。 〔被告の主張〕 上記2の被告の主張のとおり、本件各IPアドレスは本件動画サイトにログインする際に使用されたものにすぎない可能性があるから、原告が開示を求める発信者情報は、権利侵害に係る発信者情報に該当しない。プロバイダ責任制限法4条1項は、あくまでも侵害情報の流通があった場合のその侵害情報そのものの流通に係る者の情報の開示について定めるものと解すべきであるから、仮に原告が開示を求める発信者情報に、本件各動画のアップロードを行った者の情報が含まれる可能性があるとしても、他に本件動画サイトへのログインという、非侵害情報が含まれる可能性がある場合には、非侵害情報の発信に係る者の情報は、開示請求の対象とはならない。 4(権利侵害の明白性の有無)について 〔原告の主張〕 (1)本件各著作物の著作権者 以下のとおり、本件各著作物の著作権者は、CAを吸収合併してその著作権を承継した原告である。 ア CAは、本件各著作物を製作し、別紙著作物目録の発売日欄記載の日に本件各DVDを販売した。CAは、「美」(後に「痴女ヘブン」への名称変更)、「E−BODY」のメーカー名(屋号)を使用してアダルトDVDを製作していたところ、本件DVD1及び2のパッケージ及びこれを販売する原告が管理するウェブサイトには、「美」又は「痴女ヘブン」と記載され(甲9〜11、16、17、23)、本件DVD3のパッケージ及びこれを販売する原告が管理するウェブサイトには、「E−BODY」と記載されている(甲18、19、36)。「美」及び「E―BODY」は、CAの変名として広く周知されていたから(甲22)、CAが本件各著作物の著作権者であったことは明らかである(著作権法14条)。そして、原告はCAを吸収合併したから、原告は本件各著作物の著作権を承継した。 イ 本件各著作物は映画の著作物であるところ、本件各著作物の監督は、X(以下「本件監督」という。)である(甲16、17、19、29〜33)。本件監督は、脚本の創作や映像の編集等の総指揮を行って、本件各著作物の脚本や映像内容に関する最終決定権限を有し、本件各著作物の全体的形成に創作的に寄与した者(著作権法16条)に該当するから、本件監督は、本件各著作物の著作者である。CAは、本件各著作物を最初に発意して企画し、本件各著作物の製作費用全てを負担する等の責任を負う主体であったため(甲29〜34)、映画製作者(著作権法2条10号)に該当する。そして、著作者である本件監督は、映画製作者であるCAに対し、本件各著作物の製作に参加することを約束してこれらの製作を行ったのであるから、本件各著作物の著作権は、CAに帰属し(著作権法29条1項)、C Aを吸収合併した原告がこれを承継した。 (2)公衆送信可能化権侵害の成否 以下のとおり、本件各発信者が本件各動画をアップロードしたことにより、原告の公衆送信可能化権が侵害されていることが明らかである。 ア 動画の同一性 本件著作物1は、総再生時間が168分5秒(2時間48分5秒)、予告及び宣伝等を除外した本編映像が約150分(2時間30分)の動画であるところ(甲9)、本件動画1は、本件著作物1の再生時間約35分03秒から約1時間03分29秒まで(甲13)、本件動画2は、本件著作物1の再生時間約1時間50分40秒から約2時間30分54秒までと一致する(甲14)。 本件著作物2は、総再生時間が3時間27分9秒(207分9秒)、他作品の紹介等を除外した本編映像が約3時間10分(190分)の動画であるところ(甲16、23)、本件動画3は、別紙侵害箇所特定目録記載の再生時間において、本件著作物2の一部と一致する(甲35)。 本件著作物3は、総再生時間が1時間56分13秒(116分13秒)、宣伝等を除外した本編映像が約1時間50分(110分)の動画であるところ(甲18、36)、本件動画4は、本件著作物3の再生時間約1時間29分29秒から約1時間51分5秒まで(甲37)、本件動画5は、本件著作物3の再生時間約54分48秒から1時間17分30秒までと一致する(甲38)。 以上のとおり、本件各動画は、本件各著作物の一部を複製したものであることは明らかである。 被告は、本件各著作物と本件各動画は、モザイクの有無が異なることから、本件各著作物を複製したものか明らかではないと主張する。しかし、著作物の複製は実質的に同一である場合も含むのであり、本件各動画の動画タイトルには、本件各著作物の出演者の伏せ字が使われ、本件各動画は、モザイクの有無のほか、一部のエフェクト(特殊な効果)が異なる以外に本件各著作物と何ら異なるところがないから(甲13、14、35、37、38)、本件各著作物と本件各動画は実質的に同一であり、本件各動画は、本件各著作物を複製したものである。 イ アップロードの有無 本件各発信者は、本件各IPアドレスの割当てを受けてインターネットに接続し、本件各動画を、本件動画サイト内に設けられた別紙侵害動画目録記載の「販売画面URL」欄記載のインターネット上にアップロードし、本件各動画を購入した者が本件各動画をダウンロードし得る状態に置いており(甲8、15、39、40)、当該行為は、本件各動画を公衆の求めに応じて自動的に公衆送信が行われる状態に置いたものであり、原告の送信可能化権を侵害する。 被告は、本件各発信者と本件各動画の販売者の同一性を争うが、本件動画3の販売ページ(甲8の3)に埋め込まれたサンプル動画(甲42)の再生後、投稿者のFC2のIDが表示され、これは本件動画3の販売者のIDと同一であるから、本件各動画の投稿(アップロード)を行った者、すなわち本件各発信者と、本件各動画の販売ページ(甲8)の販売者は同一である。 したがって、本件各発信者が本件各動画を本件動画サイトにアップロードした行為により、原告の送信可能化権が侵害されていることが明らかである。 ウ 非侵害事由の有無 本件各動画について、本件各発信者から権利許諾を受けているという回答はされていない。また、本件動画サイトは、投降したデジタルコンテンツが購入された場合、販売価格の一部が換金可能なポイントとして販売者の報酬となる(甲43)。このように、本件動画サイトにおけるデジタルコンテンツの販売者は、金銭的報酬を目的としてアップロードを行うから、当該アップロード行為について、私的使用、引用その他の著作権法30条以下に定める制限事由が存在しないことが明らかである。 〔被告の主張〕 (1)本件各著作物の著作権者 ア 原告は、本件各著作物の著作権者は原告であると主張するが、本件各著作物を収録したDVD及び本件各著作物のデジタルデータを販売するウェブサイトにおいて表示されている「美」、「痴女ヘブン」、「E−BODY」という名称が、原告又は原告が吸収合併したCAの変名であることは周知のものとはいえず、原告が著作権者であることを推定することはできない(著作権法第14条)から、各原映像の著作権者が原告であることが明らかとはいえない。 イ 上記4〔原告の主張〕(1)イは、否認又は争う。 (2)公衆送信可能化権侵害の成否 ア 画像の同一性 本件各著作物と本件各動画は、モザイクの有無が異なり、本件各動画が本件各著作物を複製したものであるかは明らかではない。 イ アップロードの有無 原告は、送信可能化権が侵害されていると主張するが、甲8の本件各動画の販売ページからは、本件各動画がサーバー等にアップロードされているか否かは明らかでない。 また、当該各販売ページの「販売者」が、本件各動画をアップロードしたか否かも明らかではない。 したがって、本件各発信者が本件各動画を本件動画サイトにアップロードしたことにより、原告の送信可能化権が侵害されているか否かは明らかではない。 ウ 非侵害事由の有無 仮に、原告の公衆送信可能化権が侵害されているとしても、著作権法第30条以下に定める非侵害事由がいずれも存在しないことが明らかであるとはいえない。 5 争点(5)(発信者情報開示を受けるべき正当な理由の有無)について 〔原告の主張〕 原告は、本件各著作物の公衆送信可能化権を侵害した本件各発信者に対し、不法行為に基づく損害賠償等の請求をする予定であり、そのためには、本件各発信者について別紙発信者情報目録記載の各情報が必要であるから、原告には発信者情報の開示を受ける正当な理由がある。 〔被告の主張〕 損害賠償請求等を行うためには、住所及び氏名が判明すれば十分であり、電子メールアドレスの開示を受ける必要はないから、電子メールアドレスについては、発信者情報開示を受けるべき正当な理由は認められない。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(特定電気通信該当性)について 証拠(甲8)によれば、本件動画サイトにおける別紙侵害動画目録の販売画面URL記載の各ウェブページは、インターネットに接続する環境を有する者であれば、誰でも閲覧することが可能であると認められるから、当該各ウェブページは、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信である「特定電気通信」に該当する。 2 争点(2)(開示関係役務提供者該当性)について 証拠(甲43)によれば、本件動画サイトは、FC2からユーザーID(アカウント)及びパスワードを貸与されることによって、動画の投稿、販売等が可能となることが認められる。そして、前提事実(4)によれば、FC2は、米国の訴訟において、原告から本件各動画のアップロード及びFC2.comのアカウントへのアクセスに使用されたIPアドレスの開示を求められ、何らの説明や留保を付すことなく、本件各IPアドレスを開示していることに照らすと、本件各IPアドレスは、本件各発信者が本件各動画のアップロードをするために本件動画サイトにログインし、本件各動画のアップロードをする際に割り当てられたものと認めるのが相当である。 そうすると、本件各発信者に対してインターネット接続サービスを提供していた被告は、プロバイダ責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に当たる。そして、被告は、本件発信者情報を保有しているものと認められるから(甲7)、原告は、被告に対して、本件発信者情報の開示を求めることができる。 3 争点(3)(権利侵害に係る発信者情報該当性)について 前記2で判示したところによれば、原告が開示を求める発信者情報は、権利侵害に係る発信者情報に該当する。 4 争点(4)(権利侵害の明白性の有無) (1)本件各著作物の著作権者 証拠(甲9〜11、13、14、16〜19、23、29〜38)によれば、@本件各著作物は映画の著作物であること、A本件監督が本件各著作物の全体的形成に創作的に関与した者として著作者に当たること、BCAは、本件各著作物を最初に発意して企画し、本件各著作物の製作費用全てを負担する等の責任を負う主体であり、映画製作者に該当すること、C本件監督は、CAに対し、本件各著作物の製作に参加することを約束してこれらの製作を行ったことがそれぞれ認められる。そのため、本件各著作物の著作権は、CAに帰属し(著作権法29条1項)、CAを吸収合併した原告がこれを承継したと認められる。 (2)公衆送信可能化権侵害の成否 証拠(甲8、13〜15、35、37〜42)によれば、本件各発信者は、本件各著作物と実質的に同一である本件各動画を本件動画サイトのサーバーにアップロードして、公衆に送信し得る状態に置いたと認められ、当該行為について著作権法30条以下の権利制限事由が存在することもうかがわれないから、本件各発信者が本件各著作物のデータを本件動画サイトにアップロードした行為は、原告の公衆送信可能化権を侵害することが明白であると認められる。 そうすると、原告は、本件各発信者に対して、上記侵害行為による損害賠償等を求めることができる。 5 争点(5)(発信者情報開示を受けるべき正当理由の有無)について 以上のとおり、原告は本件各発信者に対して著作権(送信可能化権)侵害を理由とする損害賠償請求権等を有するところ、原告が本件各発信者に対してその権利を行使するためには、本件発信者情報の開示が必要である。 開示すべき発信者情報に関し、被告は、電子メールアドレスの開示を受ける必要はないと主張するが、プロバイダ責任制限法4条1項に係る総務省令においては、電子メールアドレスも侵害情報の発信者の特定に資する情報として規定されている上、転居などの事情によって本件各発信者の実際の住所が、被告が本件各発信者の住所として保有しているものと異なる可能性もあることに照らすと、電子メールアドレスの開示が不要ということはできない。 したがって、原告には被告から本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある。 6 結論 よって、本訴請求は理由があるからこれを認容することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 佐藤達文 裁判官 三井大有 裁判官 今野智紀 当事者目録 原告 株式会社WILL 同訴訟代理人弁護士 山口孝太 同 芝崎晴哉 同 原木航 被告ソフトバンク株式会社 同訴訟代理人弁護士 五十嵐敦 同 梶原圭 同 小塩康祐 同 稲葉大輔 同 中山祥 同 大山貴俊 同 菅野邑斗 同 丸山駿 同 川上貴寛 同 近藤翔太 同 陳裕真 発信者情報目録 別紙侵害動画目録記載のIPアドレスを同目録記載の投稿日時に使用して情報を送信していた者に関する情報であって、次に掲げるもの。 @氏名又は名称 A住所 B電子メールアドレス 著作物目録 1.作品名:小悪魔痴女大乱交 発売日:2011年3月25日 メーカー:痴女ヘブン 2.作品名:僕を犯してくれる痴女お姉さん達 発売日:2011年7月22日 メーカー:痴女ヘブン 3.作品名:E−BODY成瀬心美 発売日:2012年2月13日 メーカー:E−BODY 侵害動画目録 1 IPアドレス:60.104.32.197 投稿日時:2018年5月4日 販売画面URL及び動画タイトル: ・動画1 http://以下省略 大〇〇加 3P動画 ・動画2 http://以下省略 大〇〇加 乱交動画 2 IPアドレス:60.104.32.197 投稿日時:2018年3月7日 販売動画URL及び動画タイトル: ・動画3 http://以下省略 大〇〇加その@【期間限定】【無修正】 3 IPアドレス:60.104.32.197 投稿日時:2018年3月6日 販売動画URL及び動画タイトル: ・動画4 http://以下省略 成瀬〇美その@【期間限定】【無修正】 ・動画5 http://以下省略 成瀬〇美そのA【期間限定】【無修正】 侵害箇所特定目録
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