判例全文 line
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【事件名】「ミヤネ屋」のASKA未公表曲事件
【年月日】平成30年12月11日
 東京地裁 平成29年(ワ)第27374号 損害賠償請求事件
 (口頭弁論終結日 平成30年9月11日)

判決
原告 A
同訴訟代理人弁護士 宮村啓太
同 大石昌彦
同 コ永響
被告 B(以下「被告B」という。)
同訴訟代理人弁護士 嵩原安三郎
同 西山宏昭
被告 讀賣テレビ放送株式会社(以下「被告讀賣テレビ」という。)
同訴訟代理人弁護士 岩井泉
同 關健一


主文
1 被告らは、原告に対し、連帯して117万4000円及びこれに対する平成28年11月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを25分し、その24を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求
 被告らは、原告に対し、連帯して3307万0400円及びこれに対する平成28年11月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は、作曲等の音楽活動を行う原告が、被告讀賣テレビの放送番組に出演していた被告Bにおいて原告の創作した未発表の楽曲の一部を原告の許諾なく同番組内で再生したことにより、被告らが共同して上記楽曲に係る原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)を侵害したと主張して、被告らに対し、民法719条(共同不法行為)及び著作権法(以下「法」という。)114条3項に基づき、損害賠償金3307万0400円及びこれに対する不法行為後である平成28年11月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。
1 前提事実(争いのない事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)当事者
ア 原告は、「ASKA」の芸名で作詞作曲及び歌手活動等を行う芸術家である(争いなし)。なお、原告は、平成26年9月、覚せい剤取締法違反等の罪により執行猶予付きの有罪判決を受けており、平成28年11月当時、その執行猶予期間中であった(弁論の全趣旨)。
イ 被告Bは、芸能人などの情報を収集してテレビやラジオの番組に出演し、論評などを行う、いわゆる芸能リポーターを業としている(弁論の全趣旨)。
ウ 被告讀賣テレビは、放送法による基幹放送事業、放送番組の企画、制作及び販売等を主な事業内容とする株式会社である(争いなし)。
(2)原告の著作権及び著作者人格権
 原告は、平成27年9月頃、「1964to2020東京Olympic」という題名で、演奏時間が約6分間の楽曲(以下「本件楽曲」という。)を創作し(甲6、弁論の全趣旨)、もって本件楽曲につき著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)を取得した。
(3)本件楽曲の再生と放送
ア 原告は、平成27年12月22日、被告Bに対し、本件楽曲の録音データ(以下「本件録音データ」という。)をメールで送信した(弁論の全趣旨)。
イ 被告讀賣テレビは、平成28年11月28日午後1時55分から同日午後3時50分まで放送していたテレビの生放送番組「情報ライブミヤネ屋」(以下「本件番組」という。)内において、同日午後2時22分頃から同日午後3時44分頃までの間(ただし、うち16分間はコマーシャルが、うち約4分間はニュースがそれぞれ放送された。)、警視庁が原告に対する覚せい剤使用の疑いで逮捕状を請求する予定であることが明らかになったとして、これに関連する報道をした(乙B1、弁論の全趣旨)。
ウ その際、本件番組に芸能リポーターとして出演していた被告Bは、本件録音データの一部を約1分間にわたって再生した(乙B1の52、53頁、弁論の全趣旨)。
エ なお、原告は、上記ウの時点より前に、本件楽曲を公衆(特定かつ多数の者を含む。以下、同様とする。)に提供し、又は提示しておらず、被告Bに対し、本件録音データを再生して本件楽曲を公表及び公衆送信することにつき、少なくとも明示の許諾はしていなかった(弁論の全趣旨)。
2 争点
(1)公衆送信権侵害及び公表権侵害の成否
 下記イないしエ及びカは公衆送信権侵害に関し、下記ア、イ、オ及びカは公表権侵害に関する。
ア 本件楽曲は未公表の著作物であったか
イ 公衆送信及び公表につき黙示の許諾があったか
ウ 被告らによる公衆送信行為は法41条所定の時事の事件の報道のための利用に当たるか
エ 被告らによる公衆送信行為は法32条1項所定の引用に当たるか
オ 正当業務行為等により公表権侵害の違法性が阻却されるか
カ 被告Bは公衆送信権及び公表権の侵害主体となるか
(2)故意・過失の存否
(3)損害の有無及びその額
3 争点に対する当事者の主張
(1)本件楽曲は未公表の著作物であったか(争点(1)ア)
【原告の主張】
 本件番組の放送当時、本件楽曲は未公表の著作物であった。
 なお、芸能リポーターも法令を遵守して業務を遂行する必要があるから、入手した楽曲等の著作物を多数人に提供すれば著作権等を侵害すると判断した場合には、その提供を当然控えるはずであり、原告も、芸能リポーターである被告Bが本件楽曲を無断で公表するとは考えていなかった。したがって、原告が被告Bに本件録音データを提供したことをもって、本件楽曲の公表に当たるとはいえない。
【被告らの主張】
 以下のとおり、本件番組の放送当時、本件楽曲は既に公表されていた。
 本件録音データは、原告が、被告Bが芸能リポーターであることを認識した上で、「公表しないでほしい」との断りもなく、メールに添付して被告Bに送信したものである。
 被告Bは、芸能リポーターとして、テレビやラジオ等で広く発信することを前提にして芸能人の情報を入手しているのであるから、原告が被告Bに本件録音データを提供するに当たり、被告Bによって本件楽曲が多数人に公表されることを認識していたことは明らかである。
 したがって、原告が「公表しないでほしい」との断りもなく被告Bに本件録音データを提供したことは、公衆に提示したものと同視し得るから、本件楽曲の公表に当たるというべきである。
(2)公衆送信及び公表につき黙示の許諾があったか(争点(1)イ)
【被告らの主張】
 原告は、芸能リポーターである被告Bが入手した芸能人の情報を公開することを認識していたから、原告が被告Bに本件録音データを提供したのは、原告が有罪判決後に停止していた音楽活動を再開したことが被告Bによってテレビ放送等で告知されることを期待したからにほかならない。
 したがって、原告は、被告Bに本件録音データを提供したことにより、被告Bが本件楽曲を公衆送信及び公表することを黙示に許諾したというべきである。
【原告の主張】
 原告は、芸能リポーターとして芸能に携わっている被告Bに本件楽曲を聴いてもらい、その感想をその後の作曲活動に反映させるために、被告Bに本件録音データを提供したのであり、被告Bも、そのことを認識していたから、被告Bが他人に本件楽曲を聴かせることは許されていなかった。
 しかも、原告は、被告Bに本件録音データを提供するのに先立ち、被告Bに対して、本件楽曲を公開しないように求めていた。
 したがって、原告が被告Bに本件録音データを提供したことをもって、被告Bが本件楽曲を公衆送信及び公表することを黙示に許諾したことにはならない。
(3)被告らによる公衆送信行為は法41条所定の時事の事件の報道のための利用に当たるか(争点(1)ウ)
【被告らの主張】
 被告讀賣テレビは、本件番組内において、@警視庁が原告を覚せい剤使用の疑いで逮捕する方針であること、A原告が有罪判決後の執行猶予期間中に音楽活動を行い更生に向けた活動をしていたこと、B原告が自己のブログにおいて覚せい剤使用の事実を否定していることの各時事の事件を報道しているところ、本件楽曲は、原告が執行猶予期間中に更生に向けて行っていた音楽活動の成果物であるという点において上記Aの時事の事件を構成するものであるし、視聴者に対して原告による覚せい剤使用の事実の真偽を判断するための材料を提供するという点において上記@の時事の事件を構成するものである。
 そして、被告讀賣テレビは、原告が更生に向けて行っていた音楽活動の内容を具体的に報道するとともに、視聴者に対して原告による覚せい剤使用の事実の真偽を判断するための材料を提供することが、国民の知る権利に資する報道機関として公正公平な報道を行うことになるものと判断し、視聴者が本件楽曲の概要を聴覚的に認識し理解するのに必要な限度で本件楽曲の一部を放送したにすぎないから、報道の目的上正当な範囲内であったことは明らかであるし、本件楽曲を放送するに当たってその出所が原告であることを明示している。
 したがって、本件番組内における本件楽曲の放送は法41条に基づく適法な利用であるというべきである。
【原告の主張】
 前記Aは、原告の音楽活動の状況に関するものであるから、そもそも時事の事件に当たらない。
 また、前記@は時事の事件に当たり、前記Bは前記@に関連する事柄とはいえるものの、覚せい剤使用の嫌疑と音楽活動の内容とは関係がないから、本件楽曲は、上記各事件を構成するものとはいえない。
 したがって、本件番組内における本件楽曲の放送が法41条に基づく適法な利用であったとは認められない。
(4)被告らによる公衆送信行為は法32条1項所定の引用に当たるか争点(1)エ)
【被告らの主張】
ア 本件楽曲は本件番組の放送時点で既に公表された曲であった。詳細は前記(1)【被告らの主張】のとおり。
イ 本件番組内で本件楽曲が放送された部分は、本件番組の司会者がその始まりと終わりを明確にして他の部分と分けられていた上、本件楽曲を放送した目的、態様及び分量などに照らすと、本件番組の中で従たるものであったことが明らかである。
ウ また、本件楽曲は、原告から提供されたものであることが明らかにされ、その出所が明示されて公正な慣行に合致する態様で放送されている。
エ そして、被告讀賣テレビは、原告が更生に向けて行っていた音楽活動の内容を具体的に報道するとともに、視聴者に対して原告による覚せい剤使用の事実の真偽を判断するための材料を提供することが、国民の知る権利に資する報道機関として公正公平な報道を行うことになるものと判断し、視聴者が本件楽曲の概要を聴覚的に認識し理解するのに必要な限度で本件楽曲の一部を放送したにすぎないから、報道の目的上正当な範囲内であったことは明らかである。
オ したがって、本件番組における本件楽曲の放送は、法32条1項に基づく適法な利用である。
【原告の主張】
ア 本件楽曲は本件番組の放送時点で未公表の曲であったから、そもそも法32条1項に基づく引用が許される著作物ではなかった。詳細は前記(1)【原告の主張】のとおり。
イ この点を措くとしても、被告らは、被告Bが原告から取得していた本件楽曲をいつでも放送することができたにもかかわらず、原告が覚せい剤使用の疑いで逮捕される見込みであるとのニュースが報道された機会に、「独占入手」との宣伝文句とともに本件楽曲を放送したものであって、その放送の目的が、他局の有しない独占情報として一般視聴者の興味を引き、視聴率を稼ぐことにあったことは明らかであるから、法32条1項の「引用」には当たらないというべきである。
ウさらに、被告B以外に提供されていなかった本件楽曲を、改めて許諾を受けることなく全国放送のテレビ番組で放送して批評するなどという慣行は、我が国の音楽業界には一切ないから、法32条1項の「公正な慣行」にも合致しない。
(5)正当業務行為等により公表権侵害の違法性が阻却されるか(争点(1)オ)
【被告らの主張】
 本件楽曲の公表は、執行猶予中の原告が覚せい剤の使用により逮捕されそうであるという差し迫った状況において、有罪判決後の原告の音楽活動や更生に向けた活動等を具体的に報道するとともに、視聴者に対して原告による覚せい剤使用の事実の真偽を判断するための材料を提供するという、表現の自由に照らして重要な目的をもって行われたものであるところ、公表された部分は約6分ある本件楽曲の冒頭1分程度にすぎないこと、本件楽曲の公表は原告が芸能リポーターである被告Bに任意に交付した本件録音データを再生したものであったこと、原告が有罪判決後に創作して公表した楽曲は存在せず、本件楽曲は報道可能な唯一の素材であったこと、そもそも、本件楽曲は近い将来に公表されることが予定されていたのであって、原告において本件楽曲を未公表にしておく特段の心情があったとはいえないことといった具体的事情の下では、被告らによる本件楽曲の公表は、法41条の趣旨の準用、正当業務行為その他の事由により違法性が阻却されると解すべきである。
【被告Bの主張】
 被告Bは、執行猶予中の原告が覚せい剤の使用により逮捕される見込みであるとの報道に関連して、原告が更生していることを示すために、本件録音データの一部のみを再生したものであって、その目的は正当であり、かつ、その手段も必要最低限度なものであるから、芸能リポーターとしての正当な業務行為であって、違法性がないことは明らかである。
【原告の主張】
 被告らは、覚せい剤使用の疑いとは何ら関係のない本件楽曲を原告に無断で放送したものであって、本件楽曲を放送する正当な目的も認められないから、被告らによる本件楽曲の公表が法41条の趣旨の準用等により違法性が阻却される余地はないというべきである。
 被告Bの上記主張については、芸能リポーターも当然のことながら法令を遵守して業務を遂行する必要があるところ、被告Bを含む本件番組の出演者らは、本件録音データが再生された前後で、原告の更生について本件楽曲と関連付けたやり取りをしておらず、本件楽曲の放送が終わると曲調について若干の感想を述べただけで別の話題に移行しているから、原告が更生していることを示すために本件楽曲を放送したというのは後付けの理由にすぎない上、本件楽曲にとって極めて重要な最初の部分が放送されたのであるから、必要最低限の行為であったともいえない。したがって、被告Bの行為は正当業務行為には当たらない。
(6)被告Bは公衆送信権および公表権の侵害主体となるか(争点(1)カ)
【原告の主張】
 被告Bが本件番組内で本件録音データを再生した行為は、公衆送信権及び公表権の侵害に当たる。
【被告Bの主張】
 被告Bは、被告讀賣テレビによる放送の履行補助者にすぎないから、公衆送信権及び公表権の侵害主体とはならない。
(7)故意・過失の存否(争点(2))
【原告の主張】
ア 故意
 被告らは、本件番組内で本件楽曲を放送した時点で、本件楽曲が未公表であること及び公表につき原告の同意がないことをいずれも認識していたから、原告の公衆送信権及び公表権を侵害することにつき故意があった。
 なお、被告らは、本件楽曲を公表することにつき原告の同意がないことを認識していなかった旨主張するが、本件楽曲を公表した際の本件番組の司会者と被告Bとのやり取りを見れば、被告らが、本件楽曲を公表することにつき原告の同意があると認識していたということはあり得ない。また、原告が本件番組の放送終了後に本件楽曲が放送されたことを抗議した際、被告Bが本件楽曲は公表されたものであったとか、本件楽曲を公表することにつき同意があったとは弁明しなかったこと、さらには、後日、被告B及び本件番組の司会者が本件楽曲を放送したことを謝罪したことからも、被告らに故意があったことは明らかである。
イ 過失
 被告Bは、芸能リポーターとして、自らが出演する番組において自らが収集した映像や楽曲を放送するに当たり、これらの映像等に関する他者の権利を侵害しないか確認すべき義務を負っているのであって、本件楽曲を放送するに当たっても、原告に対して、本件楽曲が既に公表されたものであるか、また、本件楽曲を放送することにつき原告の許諾があるかを確認すべきであった。したがって、被告Bには、これらを確認しないまま本件楽曲を放送したことにつき過失がある。
 また、被告讀賣テレビは、放送事業を行う事業者として、放送番組の企画、制作及び販売等を主たる事業内容としているのであるから、自社の放送番組内で映像や楽曲を使用するに当たり、これらの映像等に関する他者の権利を侵害しないか確認すべき義務を負っているのであって、本件楽曲を放送するに当たっても、被告Bや原告に対して、本件楽曲が既に公表されたものであるか、また、本件楽曲を放送することにつき原告の許諾があるかを確認すべきであった。したがって、被告讀賣テレビには、これらを確認しないまま本件楽曲を放送したことにつき過失がある。
【被告Bの主張】
ア 故意について
 原告は、被告Bが芸能リポーターであることを認識した上で被告Bに接触してきたのであるから、被告Bとしては、原告が提供した情報は公開することを前提にしたもの、あるいは、公開することに同意したものと考えるのが当然である。
 そして、被告Bは、本件楽曲が放送された際も、著明な芸能リポーターとして機会を見て芸能人に関する情報を公表することが期待されており、原告もそれを知りながら本件楽曲を提供したと認識していたのであって、本件楽曲は原告が提供した時点で公表されたものか、その公表が自らの手に委ねられたものと認識していたものである。
 したがって、被告Bには、本件楽曲が公表されていないとの認識がなく、本件楽曲を放送することにつき原告の同意がないとの認識もなかった。
イ 過失について
 本件番組内で本件録音データを再生することを決定したのは被告讀賣テレビであるから、被告Bには、原告に対して本件楽曲が既に公表されたものであるか、あるいは本件楽曲を放送することを許諾したかを確認すべき義務はなかった。
 また、芸能リポーターである被告Bの職業に鑑みれば、情報提供者が被告Bに対して何らの留保を付すことなく芸能人に関する情報を提供した時点で、その情報は公表されることが予定されており、情報提供者もそれを認識し得たから、被告Bとしては、その情報を公表するたびに情報提供者に確認を求める必要はない。本件においても、原告が被告Bに自らが現在、音楽活動を行っていることを知らせ、その成果物である本件楽曲を提供した時点で、被告Bがテレビ等で原告が音楽活動を行っていることを告知し、本件楽曲が公表されることは当然の前提になっていたから、被告Bが本件番組内で本件録音データの一部を再生するに当たり、原告に対して公表の可否を確認しなかったからといって、被告Bに過失はない。
【被告讀賣テレビの主張】
ア 故意について
 本件番組の司会者らとしては、原告がアルバム用に楽曲を作成しており、その楽曲をインターネット上で視聴することができるようにする予定であることを認識していたにすぎず、本件楽曲が未公表であることや公表することにつき原告の同意がないことは認識していなかった。
イ 過失について
 被告讀賣テレビの担当者は、本件番組の放送時に、原告が被告Bに本件楽曲を提供していたことを知り、被告Bにその入手経路を確認した上で、本件番組において本件楽曲を放送したものであるから、被告讀賣テレビには過失はない。
(8)損害の有無及びその額(争点(3))
【原告の主張】
ア 法114条3項による損害金6万4000円テレビで楽曲を放送するために支払われるべき使用料は、1曲につき1回当たり少なくとも6万4000円である。
イ 公表権侵害による慰謝料3000万円
 本件番組は日本全国でテレビ放送されており、その視聴者は関東地区及び関西地区だけでも300万人と推定されるから、本件楽曲が本件番組内で公表されたことによる社会的影響は極めて大きい。しかも、被告らは、原告が薬物使用の影響下で本件楽曲を作曲したかのような印象を視聴者に与え、本件楽曲のイメージを著しく損なわせた。
 未発表曲の公表は作曲をした芸術家にとって極めて重要な機会であり、被告らによる行為はその機会をないがしろにし、芸術家の心情を逆なでするものである。
 このような事情を考慮すれば、被告らが原告の公表権を侵害したことによる慰謝料の額は3000万円を下らないというべきである。
ウ 弁護士費用300万6400円
 被告らによる著作権侵害及び著作者人格権侵害と相当因果関係のある弁護士費用として、上記ア及びイの合計額の1割に当たる300万6400円が損害として認められるべきである。
【被告Bの主張】
ア 法114条3項による損害金について
 本件楽曲の使用は包括的利用許諾契約の適用を受けるものであるから、原告主張の金額は必ずしも正当な金額とはいえないが、被告Bは、同契約に基づく利用料算定の基礎となる放送局の事業収入の資料を持ち合わせていない。
イ 公表権侵害による慰謝料について
 被告Bによる本件録音データの再生は、原告が音楽活動を行っていたという有利な事実を摘示し、逮捕予定であるという報道がされたことによる原告のイメージの減退を最小限に抑えるものであった。
 これに加えて、本件楽曲を入手したことが本件番組の放送中にテロップで流れてしまったため、被告Bとしては、被告讀賣テレビの依頼を断ることは困難であったこと、本件録音データは被告Bにとって通常の情報収集方法で入手したものであって、通常は公開されることが前提となっているものであったこと、原告自身も公表自体を重視していないことが明らかであったこと等の事情を併せ考慮すれば、違法性は極めて低く、原告の損害は楽曲使用料を超えないことが明らかである。
ウ 弁護士費用について
 争う。
【被告讀賣テレビの主張】
ア 法114条3項による損害金について
 番組放送中の楽曲利用については、一般社団法人日本音楽著作権協会との包括的利用許諾契約が締結されている場合、放送局の事業収入に一定の料率をかけた金額を支払うことで放送回数にかかわらず利用することができることになっており、1曲当たりの利用料を算出することは困難である。
イ 公表権侵害による慰謝料について
 本件番組の視聴者数はその視聴率を基にすると164万人程度と算出されるのであって、原告が主張する本件番組の視聴者数は多すぎる。そもそも、本件番組の視聴者数は原告が主張する精神的苦痛の金銭評価を基礎付ける事実となるものではない。
 また、本件楽曲の放送は、有罪判決後の原告の音楽活動や更生に向けた活動の具体的内容を、その成果物を示して紹介し、視聴者に対して原告による覚せい剤使用の事実の真偽を判断するための材料を提供するものであって、原告が薬物使用の影響下で本件楽曲を作曲したものであるかのような印象を視聴者に与えるものではなく、本件楽曲のイメージを著しく損なわせるものでもなかった。
 したがって、原告が主張する損害額は高額にすぎる。
ウ 弁護士費用について
 争う。
第3 当裁判所の判断
1 本件楽曲は未公表の著作物であったか(争点(1)ア)について
(1)前記前提事実(3)エのとおり、本件楽曲は被告Bが本件番組内で本件録音データを再生した時点より前に、公衆に提供又は提示されていなかったから、本件楽曲は法18条1項にいう「著作物でまだ公表されていないもの」に当たる。
(2)この点、被告らは、原告が芸能リポーターである被告Bに対して本件録音データを提供したことは公衆に提示したものと同視し得るから、本件楽曲は本件番組内で放送された時点で「著作物でまだ公表されていないもの」には当たらない旨主張する。
 しかしながら、法にいう「公衆」とは飽くまでも不特定多数の者又は特定かつ多数の者をいう(法2条5項参照)のであって、被告B個人が公衆に当たると解する余地はない。したがって、原告が被告Bに対して本件録音データを提供したことにより、本件楽曲が公表されたものとは認められない。
2 公衆送信及び公表につき黙示の許諾があったか(争点(1)イ)について
(1)証拠(甲7、乙A4)及び弁論の全趣旨によると、原告が被告Bに対して本件録音データを提供した経緯について、次の事実が認められる。
ア 原告は、平成27年12月上旬頃、自らが執筆した自叙伝の原稿について芸能リポーターである被告Bの感想等を聞くため、知人を介して被告Bの連絡先を入手した。そして、原告は、被告Bと電話で連絡を取り、その感想等を求める趣旨であることを伝えた上、被告Bに対して上記原稿のデータをメールで送付した。
イ その後、原告は、被告Bと電話で連絡を取り、被告Bが上記原稿を読んだ感想等を聞いた。その際、原告が被告Bに自らが音楽活動を行っていることを伝え、自らが創作した曲を聴いた感想等を聞かせてほしいと頼んだところ、被告Bは、この依頼を承諾した。
 (なお、原告は、被告Bに感想等を求めた際に、提供する楽曲を公表しないように求めた旨主張し、その陳述書(甲7)には、これに沿う部分があるが、被告Bの陳述書(乙A4)にはこれに反する記載がある上、当該主張は原告の平成30年3月6日付け準備書面で初めてされたものであって、それ以前はかかる明示的な求めはないことを前提とした主張がされていたという経緯も考慮すると、原告の上記主張及び陳述部分は採用できない。)ウ そこで、原告は、平成27年12月22日、被告Bに対し、本件録音データをメールで送信した(前記前提事実(3)ア)。
(2)被告らは、原告は音楽活動を再開したことが被告Bによってテレビ放送等で告知されることを期待して本件録音データを提供したものであるから、本件楽曲を公衆送信及び公表することを黙示に許諾したというべきであると主張する。
 しかしながら、上記(1)の認定事実によれば、原告は、本件楽曲を聴いた被告Bの感想等を聞くために、被告Bに対して本件録音データを提供したにすぎないから、原告が本件録音データを提供したことをもって、本件楽曲を公衆送信ないし公表することを黙示に許諾したとは認められない。被告Bが芸能リポーターであるからといって、それのみでは上記説示を左右しない。
3 被告らによる公衆送信行為は法41条所定の時事の事件の報道のための利用に当たるか(争点(1)ウ)について
(1)被告らは、本件楽曲は、@視聴者に対して原告による覚せい剤使用の事実の真偽を判断するための材料を提供するという点において「警視庁が原告を覚せい剤使用の疑いで逮捕する方針であること」という時事の事件を構成するものであるし、A原告が執行猶予期間中に更生に向けて行っていた音楽活動の成果物であるという点において「原告が有罪判決後の執行猶予期間中に音楽活動を行い更生に向けた活動をしていたこと」という時事の事件を構成するものである旨主張する。
(2)上記@の主張について検討するに、前記前提事実(3)イ及びウによれば、本件楽曲は、警視庁が原告に対する覚せい剤使用の疑いで逮捕状を請求する予定であることやこれに関連する報道がされた際に放送されたものであると認められるところ、警視庁が原告に対する覚せい剤使用の疑いで逮捕状を請求する予定であることが時事の事件に当たることについては、当事者間に争いがない。
 しかしながら、本件楽曲は、警視庁が原告に対する覚せい剤使用の疑いで逮捕状を請求する予定であるという時事の事件の主題となるものではないし、かかる時事の事件と直接の関連性を有するものでもないから、時事の事件を構成する著作物に当たるとは認められない。これに反する被告らの主張は採用できない。
(3)次に、上記Aの主張について検討する。
ア 前記前提事実(3)イ及び乙B第1号証によると、以下の事実が認められる。
(ア)警視庁が原告に対する覚せい剤使用の疑いで逮捕状を請求する予定であることやこれに関連する報道がされた放送時間は、コマーシャルや他のニュースが放送された時間を除くと約62分間であった。
(イ)このうち、本件録音データの再生に伴って原告の音楽活動に言及があった時間は、午後3時31分頃から同36分頃までの約5分間であるが、うち約3分間はコマーシャルが放送された時間であった。具体的内容は、別紙本件楽曲放送部分に記載のとおりである。
 すなわち、本件番組の司会者は、「うーん。で、ASKAさんが、来月ですか、新曲をYouTubeで……。」「まあ、発表されるってことで、Bさんが……。」と切り出し、被告Bは、この発言を受けて、「実は、昨年送ってきた曲がありますんで、コマーシャルの後にちょっとお伝えしたいと思います。」と発言した。
 コマーシャルの放送後、被告Bは、「これ、送られてきたんで。えー、去年の12月22日で、まあ、タイトルとしては『2020年東京オリンピック曲』っていうふうについてたんです。」と説明した上で本件録音データを再生した。本件司会者は、本件楽曲を聴いた感想として、「今までの曲調とは全然違いますよね。」、「どっちかというと幻想的な。」と発言し、被告Bも、この感想に同調し、「ちょっと違う感じしますよね。まあ、きれいなメロディではあると思いますけど。」と発言した。
 また、本件司会者は、「こういうのを作って、来月YouTubeで発表しようと。音楽活動に向けて動こうと。」と発言し、被告Bも、「そうですね、この時点では、ご本人もいろいろブログを自分で書いているんで。」などと発言して、本件録音データの再生を止めた。
 そして、本件録音データの再生が終わるとすぐに、本件番組の司会者その他の出演者は、再び、警視庁が原告を覚せい剤使用の疑いで逮捕する方針であることを話題にし、それぞれ意見を述べるなどした。
(ウ)また、上記(イ)以外の部分でも、原告の音楽活動に関する部分がある(14:23頃、14:29頃、14:33頃、15:08頃)ものの、その内容は、上記と同様に、原告が、2020年のオリンピックのテーマソングとして作曲した本件楽曲を被告Bに送付し、来月、YouTubeでアルバムを発売したり、友人のライブに出たりといった音楽活動に向けて動こうとしている、ということを断片的に紹介する程度にとどまっている。
イ 上記認定事実によれば、本件番組中における原告の音楽活動に関する部分は、警視庁が原告を覚せい剤使用の疑いで逮捕する予定であることを報道する中で、ごく短時間に、原告が2020年のオリンピックのテーマソングとして作曲した本件楽曲を被告Bに送付し、来月、YouTubeで新曲を発表するなど音楽活動に向けて動こうとしている、ということを断片的に紹介する程度にとどまっており、本件楽曲の紹介自体も、原告がそれまでに創作した楽曲とは異なる印象を受けることを指摘するにすぎないもので、これ以上に原告の音楽活動に係る具体的な事実の紹介はないものであるから、このような放送内容に照らせば、本件番組中における原告の音楽活動に関する部分が「原告が有罪判決後の執行猶予期間中に音楽活動を行い更生に向けた活動をしていたこと」という「時事の事件の報道」に当たるとは、到底いうことができない。
(4)したがって、被告らによる本件楽曲の公衆送信行為は法41条の時事の事件の報道のための利用に当たるとは認められない。
4 被告らによる公衆送信行為は法32条1項所定の引用に当たるか(争点(1)エ)について
 前記1で判示したとおり、原告が被告Bに対して本件録音データを提供したことにより、本件楽曲が公表されたものとは認められず、本件番組の放送時において本件楽曲は未公表の著作物であったと認められるから、被告らによる本件楽曲の公衆送信行為は法32条1項所定の引用には当たらない。
5 正当業務行為等により公表権侵害の違法性が阻却されるか(争点(1)オ)について
(1)被告らは、本件楽曲の公表は、原告が逮捕されそうであるという差し迫った状況において、有罪判決後の原告の音楽活動や更生に向けた活動等を具体的に報道するとともに、視聴者に対して原告による覚せい剤使用の事実の真偽を判断するための材料を提供するという目的で行われたものであり、その具体的事情の下では、法41条の趣旨の準用、正当業務行為その他の事由により違法性が阻却される旨主張する。
 しかしながら、本件番組では原告の音楽活動にごく簡単に触れたに止まり、それに係る具体的な事実の紹介がないことは前記3で説示したとおりであるし、本件楽曲が原告による覚せい剤使用の事実の真偽を判断するための的確な材料であるとも認められないから、被告らの上記主張は、その前提を欠くものであり採用できない。
(2)また、被告Bは、原告が逮捕見込みであるとの報道に関連して、原告が更生していることを示すために、本件録音データの一部のみを再生したものであるから、芸能リポーターとしての正当な業務行為として違法性がない旨主張する。
 しかしながら、原告の音楽活動に係る具体的な事実の紹介がないまま、本件録音データの一部を再生したからといって、原告が更生していることを具体的に示すことにはならないから、被告Bの上記主張も、その前提を欠くものであり採用できない。
6 被告Bは公衆送信権及び公表権の侵害主体となるか(争点(1)カ)について
 前記前提事実(3)イ及びウによれば、被告Bは、本件番組の生放送中に出演者として本件楽曲の録音データ(本件録音データ)の一部を再生し、被告讀賣テレビは本件番組を放送したのであるところ、前記1ないし5の説示を踏まえれば、被告らは共同して原告が本件楽曲につき有する公衆送信権及び公表権を侵害したものと認められる。
 これに対し、被告Bは、被告讀賣テレビによる放送の履行補助者にすぎなかった旨主張するところ、その趣旨は判然としないものの、上記説示に照らして採用できない。
7 故意・過失の存否(争点(2))について
(1)被告Bはいわゆる芸能リポーターを業とし、被告讀賣テレビは基幹放送事業を業とするものであるから、被告らは、放送番組中において楽曲を再生し放送する場合には著作権や著作者人格権の侵害がないように十分注意すべき高度の注意義務を負っているというべきところ、原告が本件楽曲を公衆送信及び公表することを黙示に許諾したとは認められないにもかかわらず、その認識を欠いて本件楽曲を公衆送信及び公表することが許されると誤信した点などにおいて、少なくとも過失があったと認められる。これに反する被告らの主張は採用できない。
(2)なお、原告は、本件楽曲を公表した際の本件番組の司会者と被告Bとのやり取りや本件番組の放送終了後の上記両名の言動を見れば、被告らが本件楽曲を公衆送信及び公表することにつき原告の同意がないことを認識していたことは明らかであるから、被告らには故意がある旨主張する。
 しかし、本件楽曲を公表した際の本件番組の司会者と被告Bとのやり取りは前記3(3)ア(イ)で認定したとおりであるところ、これらのやり取りを見ても、上記両名が本件楽曲を公表することにつき原告による黙示の許諾がないことを認識していたことはうかがわれない。また、証拠(乙A4)及び弁論の全趣旨によれば、原告が本件番組の放送翌日に、被告Bに対して電話で本件楽曲を放送したことを抗議した際、被告Bは、原告が本件楽曲を公表することに同意していると認識していた旨の弁明をしていないものの、原告の抗議は未発表であった本件楽曲を公表したことを明示的に指摘したものではなかったことが認められるから、被告Bが上記のような弁明をしなかったからといって、本件楽曲を公表することにつき原告の同意がないことを認識していたとは認められない。さらに、弁論の全趣旨によれば、本件番組の司会者と被告Bは、平成28年12月23日に放送された番組内で、原告に対して謝罪していることが認められるものの、その謝罪が未発表の本件楽曲を公表したことに対するものであったと認めるに足りる証拠はない。
 その他、被告らが、本件楽曲を公表することにつき原告の同意がないと認識していたことや公衆送信権ないし公表権侵害の故意を有していたことを認めるに足りる証拠はないから、被告らの故意に係る原告の主張は採用できない。
8 損害の有無及びその額(争点(3))について
(1)法114条3項による損害金
ア 証拠(甲3)によると、一般社団法人日本音楽著作権協会が、使用料規程において、放送及び当該放送の録音に音楽著作物を利用する場合の使用料について、年間の包括的利用許諾契約を締結する方法と1曲1回当たりの使用料を積算する方法とを定めているところ、著作権侵害による損害額を算定するに当たっては、音楽著作物の継続的な利用を前提とする前者の方法を基準とするではなく、1曲1回の利用ごとに使用料が発生することを前提とする後者の方法を基準とするのが合理的であり、これに反する被告らの主張は採用できない。
イ 上記使用料規程によれば、全国放送の場合、1曲1回当たりの使用料は、利用時間が5分までは6万4000円、その後利用時間が5分を超えるごとに6万4000円と定められている(同規定第2章第2節5項(1))ところ、本件番組において本件楽曲が放送された時間は約1分間であった(前記前提事実(3)ウ)から、その相当対価額は6万4000円と認めるのが相当である。
(2)公表権侵害による慰謝料
 前記2(1)及び3(3)で認定した各事実並びに証拠(甲7)及び弁論の全趣旨によれば、本件楽曲は平成32年(2020年)に開催される東京オリンピックのテーマ曲として応募することを目的として創作されたものであり、原告としては、本件楽曲を聴いた感想を聞くために、被告Bに対して本件録音データを提供したにすぎなかったにもかかわらず、本件番組(日本テレビ系列28社により放送されている。)において本件楽曲が放送されたことにより、原告は本件楽曲を創作した目的に即した時期に本件楽曲を公表する機会を失ったこと、しかも、本件楽曲は、本件番組において、警視庁が原告に対する覚せい剤使用の疑いで逮捕状を請求する予定であるという報道に関連する一つの事情として紹介されたことにより、本件番組の司会者及び被告Bの発言と相まって、本件番組の視聴者に対して原告が本件楽曲を創作した目的とは相容れない印象を与えることとなったことが認められる。
 なお、原告は、本件番組において、原告が覚せい剤の使用により精神的に異常を来したかのような報道をされたことにより、原告の音楽家としてのイメージを毀損され、精神的苦痛を受けた旨主張し、その陳述書(甲7)にはこれに沿う陳述部分があるが、本件における慰謝料請求は飽くまで本件楽曲に係る公表権侵害を理由とするものであるから、上記認定のとおり、公表権侵害の方法・態様として評価し得る事情の限度で考慮するにとどめるのが相当である。
 これらの事情に加え、本件で顕れた一切の事情を併せ考慮すると、被告らによる公表権侵害に対する慰謝料の額は100万円と認めるのが相当である。
(3)弁護士費用
 被告らによる公衆送信権侵害及び公表権侵害と相当因果関係のある弁護士費用の額は11万円と認めるのが相当である。
結論
 以上によれば、原告の本件請求は、被告らに対し、損害賠償金117万4000円及びこれに対する不法行為後の日である平成28年11月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり、その余は理由がない。
 よって、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第47部
 裁判長裁判官 沖中康人
 裁判官 横山真通
 裁判官櫻 慎平


(別紙)本件楽曲放送部分
(C) うーん。で、ASKAさんが、来月ですか、新曲をYouTubeで……。
(D) 発表される……。
(C) まあ、発表されるってことで、Bさんが……。
(B) 僕はその曲かどうか分からないんですけど、実は、昨年送ってきた曲がありますんで、コマーシャルの後にちょっとお伝えしたいと思います。
【CM3分】
(C) それ、Bさんは、そのー、ASKAさんから送られてきたんですか、曲が。
(B) はい、これ、送られてきたんで。えー、去年の12月22日で、まあ、タイトルとしては『2020年東京オリンピック曲』っていうふうについてたんです。
(C) 今聴けるんですか。
(B) はい、聴けます。ちょっと小さいかもしれませんけど。あのー、歌はないですよ。
(C) ああ、音だけ。
(B) 曲。
(C) はい。聞こえます?
(B) もうかかってきます。
(C) はい。
〔曲が流れる〕
(C) ああ、これ。これ、2020年の東京オリンピックの……。
(B) テーマ曲って。
(C) テーマ曲。まあ、あのー、我々はね、そのー、CHAGEandASKAだったり、ASKAさんの曲っていうのはほぼほぼ知っているわけですけど、そのー、今までの曲調とは全然違いますよね。
(B) ちょっと違う感じしますよね。まあ、きれいなメロディではあると思いますけど。
(C) そうですね。どっちかというと、幻想的な。
(B) うん。
(C) こういうのを作って、来月、YouTubeで発表をしようと。音楽活動に向けて動こうと。
(B) そうですね、この時点では、ご本人もいろいろブログを自分で書いているんで。文章を書いてるんで。
〔曲ストップ〕
(B) ああ、ここまでですね。あのー、曲に……。あのー、一冊の本にしたいと。
 (以後略)
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