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【事件名】コミュニティFMのサイマル配信事件(2) 【年月日】平成28年12月22日 知財高裁 平成28年(ネ)第10072号 地位確認請求控訴事件 (原審・東京地裁平成27年(ワ)第8615号) (口頭弁論終結日 平成28年10月13日) 判決 当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は、控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 別紙「控訴の趣旨」記載のとおり 第2 事案の概要 1 本件は、コミュニティ放送を行う放送局(FMラジオ局)を運営する控訴人ら(一審原告ら)が、被控訴人(一審被告)に対し、被控訴人による本件更新拒絶(控訴人らがそれぞれラジオ音楽番組をスマートフォン及びパソコン向け無料配信サービス「Listen Radio」〔リスラジ〕においてインターネット配信〔本件各音楽番組配信〕しているのは、被控訴人が管理するレコード〔管理レコード〕の利用に関する、控訴人らと被控訴人との間の利用許諾契約〔本件利用許諾契約〕に基づく使用料規程〔本件使用料規程〕の細則〔本件使用料規程細則〕の適用基準に違反するとして、本件利用許諾契約の更新を拒絶した行為)は、著作権等管理事業法(管理事業法)16条所定の正当な理由のない利用の許諾の拒否、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独禁法)所定の不公正な取引方法に該当し、又は信義則に反するから、私法上無効であると主張して、本件利用許諾契約に基づき、@主位的に、本件使用料規程細則第3条に定める使用料を支払うことにより、被控訴人による著作隣接権管理に係る商業用レコード(被控訴人の管理レコード)を録音したコミュニティ放送番組をインターネット上で同時に配信することを目的として、被控訴人の管理レコードを複製及び送信可能化する方法で利用することができる契約上の地位にあることの確認を求め、A予備的に、本件使用料規程「第3節1(2)本表」(本件使用料規程本則)に定める使用料(本件使用料規程細則第3条に定める使用料よりも高額である。)を支払うことにより、上記契約上の地位にあることの確認を求める事案である。 原判決は、本件更新拒絶について、控訴人らの主張(管理事業法16条所定の正当な理由のない利用の許諾の拒否、独禁法所定の不公正な取引方法、信義則違反)をいずれも認めず、控訴人らの請求を棄却したため、これを不服として控訴人らが控訴した。 なお、略称の表記や用語の定義については、特に断らない限り、原判決のそれに従うものとする。 2 前提事実 次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決「事実及び理由」の第2の2(原判決3頁12行目から同14頁19行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決4頁1行目から2行目にかけての「地上波放送と『同時に』といっても、」を削除する。 (2) 同7頁2行目の「本件利用許諾契約約款には、」の後に「概ね」を加えるとともに、同頁3行目の「各原告により約款の具体的な記載が異なることがある」を「各原告により約款の具体的な記載や条数が異なることがある」と改める。 (3) 同8頁12行目の「7の35、」の後に「7の36、」を加える。 (4) 同9頁下から7行目の「使用料を定めるものとする。」の後に鍵括弧(閉じる)を加える。 (5) 同頁下から5行目の冒頭に「被控訴人は、」を加える。 (6) 同11頁21行目から22行目の「10の35、」の後に「10の36、」を挿入する。 (7) 同12頁2行目の末尾に、次のとおり加える。 「なお、従来の契約書(甲7)の文言は代表例であり、作成時期によって表現に若干の相違が存在する。」 第3 争点及び争点に関する当事者の主張 1 以下のとおり原判決を付加、訂正し、次項のとおり「当審における当事者の主張」を加えるほかは、原判決「事実及び理由」の第3(原判決14頁20行目から同32頁4行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決14頁24行目の「本件ご連絡文書」を「本件ご連絡書面」と改める。 (2) 同15頁4行目から5行目にかけての「本件利用許諾契約約款12条ただし書」の後に「(ただし、控訴人らによっては、13条ただし書のことがある。以下同じ。)」を加える。 (3) 同頁7行目の「上記被告の解除」を「上記解除の予告による解除」と、同12行目から13行目にかけての「意思表示」を「意思表示を」と各改める。 (4) 同頁16行目の「本件ご連絡文書」を「本件ご連絡書面」と改める。 (5) 同16頁22行目及び26行目の「自社において製作する」を「自社において制作する」と各改める。 (6) 同22頁26行目の「コミュニティ放送事業者が自ら制作し」の部分に下線を付した上、同23頁3行目の「下線は引用に際して付したもの」の後に「。以下同じ。」を加える。 (7) 同24頁18行目の「管理委託契約約款3条(2)アB」の前に「本件管理委託契約の内容を定める」を加える。 (8) 同27頁15行目の「使用料規程細則」を「本件使用料規程細則」と改める。 (9) 同28頁26行目の「レコード制作者」を「レコード製作者」と改める。 (10) 同29頁9行目の「MTIの」を「MTIを」と改める。 (11) 同31頁17行目の「取り扱い」を「取扱い」と改める。 (12) 同頁22行目の「本件利用許諾契約書」を「本件利用許諾契約」と改める。 2 当審における当事者の主張 (1) 争点1(被控訴人の本件更新拒絶は、管理事業法16条にいう「正当な理由がなく」利用の許諾を拒んでいるものとして無効〔民法90条〕といえるか)について (控訴人らの主張) ア コミュニティ放送事業者たる控訴人らは、被控訴人策定・公表に係る使用料規程(本件使用料規程)に基づき、所定の使用料を支払うことにより、「自ら制作し放送するラジオ番組」(以下「自主制作番組」という。)を放送と同時にストリーム送信(サイマル配信)する目的で、被控訴人が管理するレコードを録音した放送番組等を送信可能化することが許容される(甲4の使用料規程2頁の「1.放送と同時のストリーム送信を目的とする利用」のうち、「(2)コミュニティ放送事業者が自ら制作し放送するラジオ番組(コマーシャルを除く。)」を参照)。 控訴人らと被控訴人との間の本件利用許諾契約は、本件使用料規程の上記内容を踏襲したものであるため、結局のところ、被控訴人による本件更新拒絶が、管理事業法16条にいう「正当な理由がなく」利用の許諾を拒んでいるものとして公序良俗(民法90条)に反し無効となるか否かは、本件各音楽番組が控訴人らの「自主制作番組」に該当するか否かに帰着する。 イ 本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組に該当することは、以下のとおりである。 (ア) 自主制作とは、自社が制作著作となるものであり、制作著作とは、発意と責任を有し、制作に必要な手配をするものとしての権利と責任の主体の表示をするものである(甲96)。そして、本件各音楽番組の制作に「発意」を有するとは、必ずしも最初にその企画を立案することを要するものではなく、第三者からの働きかけにより当該番組を制作する意思を有するに至った場合も含まれる。控訴人らは、MTIからの提案を契機としてはいるが、放送事業者としての自らの経営判断によって本件各音楽番組を制作するに至ったものであるから、本件各音楽番組の制作に「発意」を有する者は控訴人らにほかならない。すなわち、 a 控訴人らによる本件各音楽番組の企画への参加 控訴人らコミュニティ放送事業者は、そもそも本件各音楽番組の企画に参加するか否かにつき、自社内で慎重に検討を行っている。そして、その検討に際しては、本件各音楽番組については、自局において地上波放送をすることから、放送番組として自社の放送方針、地域テイスト、放送番組の編集の基準(番組基準)等に合致するかが慎重に判断されることになる。無論、MTIや他のコミュニティ放送事業者から参加を強要されることはない。 また、MTI等の要望によって、直ちに控訴人らの番組の企画や編成が変更されることもない。かかる判断は、飽くまで放送事業者たる控訴人らによってなされる。このことは、放送法3条において「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と定められていることからも明らかである。 b 控訴人らによるFM KENTOに対する本件各音楽番組に係る意向や要望の伝達 控訴人らコミュニティ放送事業者が本件各音楽番組の企画に参加する際には、コミュニティ放送事業者として控訴人の一人であり、他の控訴人らコミュニティ放送事業者から本件各音楽番組の制作の委託を受けているFM KENTOに対し、自局の音楽番組として使用できる音楽の種別(洋楽、Jポップ、演歌、ROCK等)、番組や選曲に係る意向や要望等を伝え、番組制作を委託している。 c FM KENTOによる本件各音楽番組の制作と控訴人らコミュニティ放送事業者への納品 FM KENTOは、もともと洋楽を中心とした音楽番組を数多く制作・放送していた実績があり、控訴人らコミュニティ放送事業者が求める、よりラジオライクな音楽番組(DJが曲目を読み上げる、効果音を入れるなどの技術によりラジオファンを惹きつけるような演出を行う音楽番組)を制作する能力を有していた。そのため、本件各音楽番組の企画においても、こうした能力を買われ、制作費の見積りや試作品の提供等を経て、控訴人らコミュニティ放送事業者から本件各音楽番組の制作を受託するに至った。 FM KENTOは、合算すると、毎月、24時間分の本件各音楽番組を毎週1セットのペースで計4セット制作するが(1時間につき1本、計96本)、本件各音楽番組を制作するに当たっては、まず自局内で制作会議を開催し、週ごとに、本件各音楽番組それぞれのテーマ(例えば、80年代のヒットチャート、夏の名曲トップ10等)を決定する。この検討に際しては、各コミュニティ放送事業者から事前に聴取していた意向や要望を十分に踏まえつつ、流行、季節等の要素を取り入れ、放送時間帯等に配慮しながら、テーマを決定する。その上で、これらに沿って、DJ等の経験により様々なジャンルの音楽に精通したスタッフらが、本件各音楽番組の楽曲を選定する。1時間枠で必要な楽曲数は30〜40曲程度であり、1か月の放送のために必要な楽曲数は2880曲〜3840曲にも上るが、かかる楽曲の音源は全てFM KENTOが調達する(甲20の1〜11)。 楽曲の選定に当たっては、候補とされた楽曲全てにつき、当該楽曲が当該音楽番組のテーマと実際に合致しているか等を調査する。具体的には、例えば、テーマが「90年代の音楽」であった場合には、選定した楽曲の発売日等を調べ、正しく90年代の音楽に該当するかなどを調査する。 また、選定した楽曲について、FM KENTOに楽曲が存在しない場合には、iTunes(アイチューンズ)からの購入等(甲20の1〜11)により楽曲のデータをパソコンに取り込む方法により取り揃える(甲21)。 パソコンに取り込まれた楽曲は、一曲ごとに、ワンフレーズでカットするとともに、音量調節、フェードアウトなど様々な調節を行う必要がある。これらの調節には、特別なソフトウェアが必要であるとともに、音楽編集の技術も必要となる。FM KENTOでは、かかる音楽編集の技術を有する数人のスタッフを雇用しており、これらのスタッフが手分けして調節を行っている。そして、FM KENTOにおいて収録したナレーション等を織り交ぜながら、一番組当たり30〜40曲の楽曲を繋ぎ合わせ、通しで聴取することにより内容を確認の上、番組音声データのコピーを取る。その後、各放送局が使用しやすいように、wavデータとして編集した番組音声データをmp3データに変換する。その上で、番組音声データとして必要な情報が全て網羅させているか等を確認するため、FM KENTO独自で作成したエクセルシートを用い、合計1000カ所にも及ぶチェックを行っている。 上記チェックを完了した番組音声データは、FM KENTOが契約し、管理しているインターネットのクラウドサービス上で、控訴人らごとに仕分けされたフォルダにアップロードすることによって、控訴人らに納品される(甲119)。その際には、本件各音楽番組で使用される楽曲の曲名などが記載された番組表・タイムテーブル(放送番組データ)も、同時に同様の方法により納品される(甲118の1、甲118の2)。なお、控訴人らの中には、CD―Rでの納品を求めるコミュニティ放送事業者も存在するため、当該事業者に対しては、CD―Rを郵送することにより納品される。 d 納品後の本件各音楽番組に係る控訴人らの意向・要望等の反映 前記のとおり、控訴人らは、本件各音楽番組企画の参加時に、あらかじめFM KENTOに対し自社の番組として使用できる音楽の種別やテイスト等を伝えているが、当然、具体的にFM KENTOによって制作された本件各音楽番組についても控訴人らによる検収がなされ、番組内容に問題がないと判断された場合にのみ放送、配信されることになる。番組内容に不都合がある場合には、各控訴人からFM KENTOに連絡が入ることになっており(甲120の1〜3)、FM KENTOはこれに対応して番組内容を修正する。 さらに、控訴人らは、FM KENTOが制作した本件各音楽番組について不満や懸念すべき事由があった場合には、その都度選曲の要望などをFM KENTOに伝え(甲47、甲120の4及び5)、FM KENTOは、こうした控訴人らの要望を踏まえ、番組内容を変更・決定する。 e MTIが本件各音楽番組の制作者たり得ないこと 前記のとおり、本件各音楽番組については、控訴人らの意向及び要望がFM KENTOに伝えられ、これらを受けたFM KENTOによってその制作が具体的に進められる。 一方で、MTIは、本件各音楽番組のスポンサーとして、広告代理店であるCWLを通じて、控訴人らから必要な放送枠を購入し、放送枠を調整するが、本件各音楽番組の制作過程は前記a〜dのとおりであって、同過程には一切関与していない。したがって、MTIが本件各音楽番組の制作者たり得ないことは明らかである。 (イ) 本件各音楽番組の制作費の負担と収支、責任等の帰属主体が控訴人らであることも、次のa〜cからすれば、明らかである。 a 本件各音楽番組の制作費については、FM KENTOがMTIから月額55万円程度を受領しているが、控訴人らは、スポンサーであるMTIに対し本件各音楽番組の放送枠を通常より安価で提供しており、これにより、本件各音楽番組の制作費については、MTIではなく、控訴人らが実質的に負担しているといえる。 b 本件各音楽番組には、MTIのほか、控訴人らの地元企業や地域店舗等がスポンサーとして広告を出しているところ、かかる広告料収入は全て控訴人らに帰属するほか、その他のスポンサーとの契約に係る権利義務の一切も控訴人らコミュニティ放送事業者に帰属する。 c 本件各音楽番組の内容等についての責任や権利義務も、全て放送事業者である控訴人らに帰属する(例えば、本件各音楽番組において放送及び配信された楽曲の歌詞に不適切な表現が含まれていた場合、その責任は放送事業者たる控訴人らが負担することになる。)。 (ウ) 以上のとおり、控訴人らは、自局の放送方針、地域テイスト、放送番組の編集の基準(番組基準)等に合致するか否かについて慎重に判断した上で本件各音楽番組の企画に参加するに至ったものであり、委託先であるFM KENTOが制作した本件各音楽番組の内容についても逐一チェックを行っている。また、本件各音楽番組の制作費についても、本件各音楽番組の放送枠をスポンサーであるMTIに対し通常より安価で提供することにより、実質的には控訴人らが負担している。また、その他本件各音楽番組の放送及び配信に係る責任や権利義務の一切は、控訴人ら各コミュニティ放送事業者に帰属する。これらの事実からすれば、控訴人らこそが、本件各音楽番組について発意と責任を有する者であり、本件各音楽番組が控訴人らによる「自主制作番組」に該当することは明らかである。 ウ 被控訴人による本件更新拒絶は、本件各音楽番組がスマートフォン等用アプリケーションソフトウェア「Listen Radio」(リスラジ/リスラジアプリ)のまとめチャンネル機能により聴取され得ることを理由とするものであるが、自主制作番組として制作された本件各音楽番組が、リスラジのまとめチャンネル機能により聴取され得ることをもって、事後的に「自主制作番組」でなくなるなどということはあり得ない。 エ そもそも本件使用料規程及び本件利用許諾契約における「自主制作番組」との要件は、いずれも「他から供給を受ける放送番組」を排除する趣旨で設けられたものにすぎない。 すなわち、本件使用料規程に「自主制作番組」との内容が加えられたのは、平成18年の規程改訂時であったところ、被控訴人は、同年3月3日に「商業用レコードを用いた放送番組のネット利用に係る集中管理」と題する文書(甲45)において、サイマル配信における送信可能化権についても集中管理を行うことを公表し(同1頁)、併せて、コミュニティ放送番組のうち、「自主制作番組」に限り管理対象とするとの方針を発表した(同2頁図の赤枠中の青色欄、3頁)。 ここで企図されていたのは、左欄の「衛星放送番組」のうち、MUSIC BIRD(ミュージックバード)やJ−WAVE(ジェイウェイブ)を含む、衛星放送を使用したデジタル方式のラジオである「衛星ラジオ」について集中管理の対象としない(同2頁図の灰色欄)、つまり被控訴人として利用許諾の対象としないということであった(原告第3準備書面3、4頁)。 この点に関し、被控訴人は、平成23年10月まではミュージックバードが提供する音楽番組について、コミュニティ放送事業者によるサイマル配信を認めていなかったが、現在は、サイマル配信を許容するに至っている。しかしながら、ミュージックバードが制作しコミュニティ放送事業者に提供する音楽番組は、コミュニティ放送事業者の意向が反映される余地が全くない、完全な「他者制作番組」であり(甲83、98)、コミュニティ放送事業者が同番組の提供を受けた場合には「他から供給を受ける放送番組」となるはずである。本件各音楽番組が「自主制作番組」に該当しないとの被控訴人の立場を前提とすれば、かかる音楽番組のサイマル配信が許容される余地はないはずであるが、被控訴人は、ミュージックバード及び各コミュニティ放送事業者に対し、かかる音楽番組が「自主制作番組」であるとのお墨付きを与えている。このことは、ミュージックバードのコミュニティ放送事業者向けセールスシート(甲98)のスライド12に、「◇音楽の権利団体から、コミュニティ局の自主制作番組として認定されています」「・ミュージックバードの制作番組は、ご契約局様からの制作委託番組です」との記載があることからも明らかである。 オ 本件各音楽番組は控訴人らによる「自主制作番組」であり、被控訴人が控訴人らに対し本件各音楽番組の送信可能化を許諾することは、被控訴人がレコード製作者等から委託された利用許諾権限の範囲内であることが明らかである(乙1の第3条(2)アのB)。 カ 以上のとおり、本件各音楽番組が本件使用料規程及び本件利用許諾契約における「自主制作番組」に該当し、被控訴人による本件更新拒絶が管理事業法16条にいう「正当な理由がなく」利用の許諾を拒んでいるものとして無効(民法90条)となることは明らかである。 (被控訴人の主張) ア 本件各音楽番組は、控訴人らがFM放送することを主たる目的として制作されるものではなく、MTI側でその制作・放送・配信を企画・発意した上で、MTI又はMTIの広告代理店であるCWLが控訴人らに参加を呼びかけ、控訴人らに分散して放送を担当させることにより、結果として24時間連続してヒット曲を流し続けることを目的として制作されている番組である。本件各音楽番組で流す音楽の選択・決定を行う主体はMTIであり、MTIが番組制作費を負担している。そして、本件各音楽番組の「番組音声」は、全てMTIがエヌ・ティ・ティ・スマートコネクトの代行サービスを利用して配信している。かかる事情を総合的に考慮すれば、本件各音楽番組が控訴人らの「自主制作番組」に該当しないことは明らかである。 イ 控訴人らは、被控訴人がミュージックバードについて「自主制作番組」であるとの「お墨付き」を与えており、そのことは甲98の記載からも明らかであると主張する。 しかし、ミュージックバードが制作した番組をコミュニティ放送局がサイマル配信することについて、現時点において被控訴人が許諾したり公認したりしている事実はない。甲98は飽くまでミュージックバードが作成した資料にすぎず、被控訴人の見解を記載したものではないし、記載内容について被控訴人がミュージックバードから確認を依頼された事実もない。また、そもそも被控訴人以外にも「音楽の権利団体」は存在しており、これが被控訴人に関する言及であるかも不明である。 ただし、ミュージックバードの番組をコミュニティ放送局が放送する場合には、音楽だけを24時間連続して聴き続けられるように複数のコミュニティ放送局の放送時間が調整されているような事実は一切なく、利用者がアプリを使って当該番組を自動的に連続して聴き続けられるような方法もない(「FM聴」や「i−コミュラジ」のアプリによってもそのような聴取方法はできない。)。同番組は、リスラジを通じて24時間連続して音楽番組を流すという特徴を有するリスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルの番組編成に合うように作成された音楽番組である本件各音楽番組とは全く異なるものである。そのため、被控訴人の知る限り、各レコード会社はミュージックバードを事実上問題視しておらず、本件各音楽番組とは前提が異なっている。 ウ 仮に、本件各音楽番組が控訴人らの「自主制作番組」に該当するとしても、本件更新拒絶が管理事業法16条にいう「正当な理由がなく」利用の許諾を拒むものとして無効(民法90条)となるものではない。 すなわち、被控訴人がレコード製作者から許諾権限を与えられていない(管理委託を受けていない)レコードの利用についてこれをコミュニティ放送事業者に許諾できないのは当然である。レコード製作者がどのような番組のインターネット配信について許諾権限を被控訴人に管理委託しているのかは、専らレコード製作者と被控訴人との間の管理委託契約によって定まる。そして被控訴人は、「レコード製作者自らの音楽配信事業と競合しないと考えられる範囲の利用を対象」として管理事業を行うものであって(乙8の2枚目)、それを前提としてレコード製作者から管理委託を受けているのであるから、24時間連続して音楽を聴けるようにして全国の需要を満たすリスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルの番組編成に合うように作成される本件各音楽番組のインターネット配信に対する許諾権限は、管理委託契約の双方当事者であるレコード製作者と被控訴人の合理的な意思解釈からしても、被控訴人に管理委託されていないことが明らかである。 仮に百歩譲って、被控訴人が、形式的には本件各音楽番組のインターネット配信に対する許諾権限を有しており、しかも本件更新拒絶をした上で「3月6日契約書案」を提示して控訴人らに申込みの誘引をする被控訴人の対応が「許諾を拒む」ものであるとしても、一般に、@許諾をすることが委託者の意思に反する場合、A許諾をすることが通常委託者の合理的意思に反すると認められる場合には、管理事業法16条にいう「正当な理由」があるとされているところ(乙9の2枚目)、リスラジを通じて24時間いつでも音楽を連続して聴けるようにして全国の需要を満たすことを目的として制作された番組のインターネット配信に対して許諾をすることは、「レコード製作者自らの音楽配信事業と競合」する利用を対象とするものであるから、委託者であるレコード製作者の意思に反し、通常委託者の合理的意思にも反する。よって、そのような許諾を拒むことには「正当な理由」がある。 (2) 争点2(被控訴人の本件更新拒絶は、信義則に反し、無効であるといえるか)について (控訴人らの主張) 前記のとおり、被控訴人は、本件各音楽番組とミュージックバードが制作しコミュニティ放送事業者に供給している音楽番組とで不当に取扱いを異にしており、控訴人らに対してのみ本件更新拒絶により本件各音楽番組のサイマル配信を認めていないが、かかる取扱いが信義則に反することは明らかである。 したがって、本件更新拒絶は、信義則に反し無効である。 (被控訴人の主張) 被控訴人は、全てのコミュニティ放送事業者に対して同一内容の契約を提示しており、ミュージックバードの番組を配信しているコミュニティ放送事業者との間で特別の条件で許諾契約を締結しているという事実は一切ない。 したがって、ミュージックバードとの関係を議論するまでもなく、本件更新拒絶が信義則に反することはあり得ない。 (3) 争点3(被控訴人の本件更新拒絶は、「共同の取引拒絶」〔独禁法19条、2条9項1号イ又は同項6号イ、一般指定1項〕又は「その他の取引拒絶」〔独禁法19条、2条9項6号イ、一般指定2項〕に該当するため、無効〔民法90条〕といえるか)について (控訴人らの主張) 前記のとおり、被控訴人は、本件各音楽番組とミュージックバードが制作しコミュニティ放送事業者に供給している音楽番組とで不当に取扱いを異にしている。すなわち、後者を各コミュニティ放送事業者による自主制作番組として認めながら、本件各音楽番組は自主制作番組ではないとして本件更新拒絶を行った。 かかる被控訴人の行為が、被控訴人の圧倒的市場支配力に照らし、強度の公正競争阻害性を生じさせることは論をまたないというべきであり、これが独禁法上の「共同の取引拒絶」又は「その他の取引拒絶」に該当することは明らかである。 (被控訴人の主張) 前記のとおり、本件各音楽番組は自主制作番組に当たらず、被控訴人は管理レコードについての許諾権限を有していない。そもそも許諾権限を有していない被控訴人が、控訴人らを排除する目的で本件更新拒絶を行うなどということはあり得ず、本件更新拒絶が「共同の取引拒絶」や「その他の取引拒絶」に当たらないことは明らかである。 また、前記のとおり、被控訴人は、全てのコミュニティ放送事業者に対して3月6日契約書案を提示して申込みの誘引をしており、申込みがあった全てのコミュニティ放送事業者との間で同契約書案の内容による許諾契約を締結しているところ、被控訴人は、控訴人らに対しても同様に同契約書案を提示してそれに基づく申込みを誘引しており、本件訴訟の元原告であったコミュニティ放送事業者からの申込みについても(過去の使用料の未払分を清算しておらず許諾を拒む正当な理由のあるコミュニティ放送事業者からの申込みを除いては)それに応じて許諾契約を締結しているのであるから、そもそも被控訴人が控訴人らの取引を拒絶している事実がない。 以上に加え、そもそも音楽配信ビジネスを行うことを希望する事業者は、被控訴人からではなく、各レコード製作者から個別に許諾を受けて実施している。放送のサイマル配信に係る仕組みを悪用して実質的な音楽配信ビジネスを行っている事業者は、控訴人ら及びMTIのほかにはいない。ミュージックバードの番組がこれに該当しないことは前記のとおりである。したがって、控訴人らが被控訴人から本件各音楽番組のサイマル配信の許諾が得られないとしても、それによって控訴人らが他の事業者との関係で競争上不利になることはないし、控訴人らによるコミュニティFM事業の提供が困難となることもない。よって、いわゆる公正競争阻害性も認められない。 (4) 争点4(被控訴人の本件更新拒絶は、「取引条件等の差別的取扱い」〔独禁法19条、2条9項6号イ、一般指定4項〕に該当するため、無効〔民法90条〕といえるか)について (控訴人らの主張) 前記のとおり、被控訴人は、本件各音楽番組とミュージックバードが制作しコミュニティ放送事業者に供給している音楽番組とで不当に取扱いを異にしている。すなわち、後者を各コミュニティ放送事業者による自主制作番組として認めながら、本件各音楽番組は自主制作番組ではないとして本件更新拒絶を行った。 かかる被控訴人の行為が、独禁法上の取引条件等の差別的取扱いに該当することは明らかである。 (被控訴人の主張) 前記のとおり、被控訴人は、全てのコミュニティ放送事業者に対して3月6日契約書案を提示して申込みの誘引をしており、申込みがあった全てのコミュニティ放送事業者との間で同契約書案の内容による許諾契約を締結しているところ、被控訴人は、控訴人らに対しても同様に同契約書案を提示してそれに基づく申込みを誘引しており、本件訴訟の元原告であったコミュニティ放送事業者からの申込みについてもそれに応じて同契約書案の内容にて許諾契約を締結している。 また、本件更新拒絶を行った平成27年2月より前に被控訴人がコミュニティ放送事業者と締結していた全ての許諾契約について、被控訴人は自動更新を拒絶して一旦許諾契約を終了させた上で、3月6日契約書案を提示して申込みを誘引し、その内容の許諾契約を締結している(平成27年1月6日に締結した甲29の許諾契約についても、被控訴人は締結後数か月しか経ていない同年9月9日に更新拒絶の意思表示をした上、同契約の許諾先であるコミュニティ放送事業者との間で、3月6日契約書案による許諾契約を締結している。)。 さらに、被控訴人が、ミュージックバードの番組を配信しているコミュニティ放送事業者に対しては更新拒絶をしていないとか、3月6日契約書案とは異なる特別の条件で許諾契約を締結しているというような事実は一切ない。 したがって、本件更新拒絶が「取引条件等の差別的取扱い」に当たるとの控訴人らの主張には理由がない。 第4 当裁判所の判断 1 事実関係 次のとおり付加、訂正、削除するほかは、原判決「事実及び理由」の第4の1(原判決32頁6行目から同46頁2行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決34頁4行目の「(乙4・7頁、11頁)」を「(乙4・7頁〜11頁)」と、同16行目の「分離」を「分類」と各改める。 (2) 同頁24行目から同35頁2行目までを次のとおり改める。 「総務省開催の『ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会』(座長:A 日本大学芸術学部教授)が取りまとめた平成22年7月9日付け報告書(甲96、97)87頁においては、『自社において制作する番組』について、次のような説明がなされている。 ・『自社において制作する放送番組』とは、自社が『制作著作』となるものをいう。 ・『制作著作』とは、発意と責任を有し、制作に必要な手配をするものとしての権利と責任の主体の表示とする。 ・『自社において制作する番組』は、下記により区分する。」 (3) 同35頁12行目から同36頁22行目までを次のとおり改める。 「ア 従前、商業用レコードの利用に関する被控訴人の関与(著作権等管理)は限定的であり、送信可能化権については、各レコード製作者が、利用者、利用音源、利用目的及び利用時間等を勘案し、個別に許諾の可否と許諾料を決定しているのが実態であった。 しかし、インターネットの急速な普及により、平成13年頃から、過去のテレビ番組のオンデマンドサービスや放送の補完として放送と同時のインターネット送信(サイマルキャスト)等の新たなビジネスの試みが行われるようになり、レコードを録音した放送番組のインターネットにおける利用において、レコード製作者が有する送信可能化権についても被控訴人が集中管理することを求める声が高まった。 そこで、被控訴人は、商業用レコードを録音した放送番組のネットワークにおける二次利用を促進するため、当該利用に係るレコード製作者の権利の一任型管理事業を開始することとし、関係諸団体との協議を重ねた後、平成18年9月8日付けで、管理事業法に基づき使用料規程及び管理委託契約約款等を文化庁に届出し、同年10月に同管理事業を開始するに至った。 イ 事業開始に先立つ同年3月には、被控訴人は、日本コミュニティ放送協会の会員各社に対し、『商業用レコードを用いた放送番組のネット利用に係る集中管理』と題する資料(甲45)を配布して、同管理事業に関する説明を行っており、同資料において、放送番組をインターネット送信するいわゆるサイマル配信における送信可能化権について、これまではレコード会社で個別に許諾の判断をしていたところ、被控訴人において包括許諾する形式の集中管理を導入すること(同1頁)、コミュニティ放送のインターネット利用に関しては、集中管理の対象となる放送番組は、『コミュニティ放送事業者が自らの放送のために制作したラジオ放送番組(ただし、コマーシャルを除く)』とし、対象となる利用方法については、『コミュニティ放送と同時に送信可能化し、ストリーム送信する方法』とし、使用レコードについては、『全曲の報告をお願いする』こと等の方針が示された(同2頁の図の赤枠中の青色欄、及び同3頁)。 ウ また、事業開始時である同年11月には、被控訴人事務局長Bが、コピライト2006年11月号に『放送番組のインターネット利用に関するレコード製作者の権利の一任型管理事業について』と題する論稿(乙8)を寄稿して、同管理事業に関する被控訴人の取組やこれまでの経緯を紹介しているところ、同論稿においては、今後の課題として、『新たな管理事業は限定した範囲内でスタートするが、これは、現時点において、レコード製作者自らの音楽配信事業等と競合しないと考えられる範囲の利用を対象としており、今後のインターネットにおけるコンテンツの流通状況やビジネス環境の変化等により、必要に応じて見直しする予定である』ことなどが説明されていた。 エ 同管理事業開始後、被控訴人と控訴人らとの間で締結された本件利用許諾契約の内容及び本件使用料規程等の内容は、第2の2(4)及び(5)のとおりである。 また、被控訴人が作成した平成25年9月付け『コミュニティFMのネット同時配信(サイマルラジオ)に係るレコード利用許諾契約のご案内』と題する書面(甲8)には、レコードの利用許諾範囲として、『1 配信サイト・配信サーバ』の欄に、『利用許諾契約書に記載の配信サイト・配信サーバのみが許諾対象です。配信サイト・配信サーバを変更するときは、事前にレコード協会(判決注:被控訴人)宛てに書面にてお知らせ下さい。』、『各局様が送出するサイマルラジオのストリームを、第三者が受信して更に公衆向けに配信する行為は許諾対象外です。』などと記載され、『2 配信番組』の欄には、『各局様が自ら制作し放送するラジオ番組(コマーシャルを除く)のみが許諾対象です。』、『他社への制作発注番組、他社との共同制作番組等の取扱いにつきましては、各局様から個別具体的なご相談を承った上で諾否を判断します。』などと記載されていた。」 (4) 同37頁10行目末尾の鍵括弧(閉じる)を削除し、同14行目から15行目までの「放送の二次使用料金と同額(…)する」を「放送の二次使用料金と同額(…)とする」と改める。 (5) 同38頁4行目の「1週間に8時間だけ」の後に「(毎週月曜日から土曜日までは午後10時から午後11時までの1時間、毎週日曜日は午後9時から午後11時までの2時間)」を加える。 (6) 同頁19行目の「MTIが」を「MTIに」と改める。 (7) 同39頁3行目の「MTIは」から同12行目の「無料とした」までを次のとおり改める。 「同日のプレスリリース(乙7)によれば、同サービスは、音楽番組に特化したラジオアプリであり、専用のアプリをダウンロードして起動するだけで、無料で24時間音楽番組を聴くことができ、日本全国どこにいても楽しめること、同サービスは、CSRA加盟局で放送する音楽番組『Find your music!』をスマートフォンでも同時に楽しめるサービスであること、他のアプリや地上波のラジオが休止中の、日曜深夜から早朝も含めた24時間放送を行っているので、いつでも聴けることが特長であること、『music.jp』のダウンロードランキングを全曲紹介する『週間ランキングTOP30』を始め、邦楽・洋楽・アニメソング・韓流などのヒット曲や最新曲を幅広く放送していることなどが謳い文句とされており、また、アプリケーションにかかる課金額は無料とされていた」 (8) 同40頁3行目の「都会での地方の」を「都会で地方の」と改める。 (9) 同頁6行目の「リスラジの画面上に」を「リスラジのウェブサイト上に」と改める。 (10) 同頁11行目から同42頁2行目までを次のとおり改める。 「ア 前記のとおり、平成24年4月には、ほぼ24時間にわたり、『Find Your Music!』番組が放送されるようになったところ、同年12月、被控訴人担当者は、CSRA事務局に対し、リスラジアプリのサービス内容について問合せを行い、CSRA事務局は、MTIとの共同制作番組(MTIにサポートしてもらっている番組)として同番組を放送しており、そのサイマル放送を視聴するのをナビゲートするシステムである旨回答した(甲71の1・2、乙27の1・2)。 イ 被控訴人担当者は、その後もCSRA事務局との間でリスラジアプリについての協議を重ね、平成25年4月、同事務局に対し、改めて同旨の問合せを行うとともに(乙27の3・4)、同年9月には、被控訴人からリスラジでの共同制作番組配信がサイマル配信に係る従前の許諾契約の範囲外である旨の指摘を受けてお詫びする旨の文書を自ら起案し、これを同事務局に示した上、CSRA事務局長名義で提出するよう促すに至った(甲72)。これに対し、同事務局長は、飽くまで従前からの規程に従った利用の範囲内であるとの認識であった旨の文書を作成して被控訴人担当者に示したが、同文書においては、リスラジアプリを開始した経緯として、『各コミュニティ放送局は、サイマル放送するにあたり、連携して、各コミュニティ放送局の放送をタイムテーブル上組み合わせて、サイマル放送時には連続して1つのアクセス先から聴取できるサービスを提供したいとの考え』に至り、MTIからリスラジアプリの提供を受けてサイマル放送を実施することにした旨の説明がなされていた(乙24の2)。 ウ 被控訴人は、同月、控訴人らを含むコミュニティ放送事業者に対し、『サイマルラジオに係る平成25年度レコード使用料の取扱いについて』と題する書面(甲73)を送付し、同書面において、『情報料又は広告料等収入がなく、放送区域における電波不到達地域の解消を目的とした送信で一定の基準を満たす』サイマルラジオについては、使用料規程本則によらず、被控訴人が年度ごとに策定する細則に基づき使用料を申し受けているところ、このたび、平成25年度使用料に係る細則を策定したとして、同細則の適用を希望する事業者は届出書を提出するよう促した(甲73)。 同細則においては、前年までのそれと比較して、第2条が定める『情報料又は広告料等収入がなく、放送区域内における電波不到達地域の解消を目的とした送信で別に定める基準』としての三要件が、それぞれ次のとおり変更されていた。すなわち、『(1) 放送番組の同時ストリーム送信から得る収入がないこと』が『(1) コミュニティ放送事業者その他の者が放送番組の同時ストリーム送信から一切の情報料及び広告料収入を得ないこと』に、(2) 放送区域内に電波不到達地域が存在し、著しく大きな支障が生じていること』が『(2) 放送区域内における電波不到達地域の解消を専らの目的として送信すること』にそれぞれ変更されるとともに、『(3) 以下のいずれかの条件を満たすこと @ 同時ストリーム送信の対象となる番組時間のうち、放送事項別分類が「報道」、「教育」、「教養」、「行政情報」、「生活情報」又は「観光情報」に該当する番組時間が8割を超える(放送事項別分類は、年2回総務省に提出する事業計画変更届けに記載する分類に基づくものとする)。A送信する曲名等の事前告知を行わず、なおかつ、楽曲のフルサイズを送信しない。』のうち、『(放送事項別分類は、年2回総務省に提出する事業計画変更届けに記載する分類に基づくものとする)』の部分が削除されていた(甲5)。 また、被控訴人は、甲73の書面に添付された『届出書の記載に係る注意点』と題する書面(甲74)において、上記変更後の文言についての解釈を示した(その解釈は、原判決添付の別紙『届出書の記載に係る注意点』に記載されているものと同一である。)。 エ その後、被控訴人は、平成26年3月には、控訴人らとの利用許諾契約を自動更新したものの、MTIを含む当事者間においては、引き続きリスラジによるサイマル配信についての協議が続けられ、同年5月に行われた被控訴人とMTIとの打合せ時には、被控訴人担当者が、MTI側に対し、@基本的にはリスラジについてはサービスを停止してほしい、Aインターネット放送部分とサイマル放送部分についてはサービス可能としても、『Find Your Music!』番組についてはすぐにでもサービスを停止してほしいなどと強く要請しており、今後の対応としても、文書か口頭か何らかの形でサービス停止要請を行うか、それとも別の形で調整を行うか、理事と検討する旨の方向性を伝えていた(甲76)。 また、同年6月に行われた被控訴人担当者とCSRA事務局との間での協議においても、被控訴人担当者は、同事務局に対し、『Find Your Music!』番組について、ユーザやレコード会社としては音楽アプリに見えてしまうし、MTIに許諾をしていない楽曲も流れているのが問題であること、リスラジのサービスは、レコード会社のビジネスとバッティングするので看過できないこと、あるレコード会社は、被控訴人に信託をしていることができなくなるので引き上げるとも言っており、そうなると他のアプリ(サービス)もサイマルができなくなるので大ごとになることなどを伝えていた(甲75)。 オ 平成27年1月末に行われた被控訴人とMTIとの協議においては、MTI側が、番組まとめ機能の一時停止、ユーザが既存の番組を任意に登録したマイ番組表(ユーザオリジナルの番組表)を作成し、マイ番組表を選択すると、登録されたとおりに番組を視聴できる仕組に変更するなどの一定の変更を検討した案(甲77)を提案したが、協議の成立には至らず、被控訴人は、同年2月9日付けで、控訴人らに対し、本件催告書を送付して本件各番組配信の即時中止を求めるに至った。 (個別に掲記した証拠のほか、甲89、90)」 (11) 同45頁17行目から18行目にかけての「「11:00−12:00娯楽・音楽番組」といった包括的な表示、又は、」を「時間帯と番組名などの包括的な番組情報や」と、同46頁1行目の「ほか、企業のバナー広告等も常時表示されている。」を「。なお、リスラジのアプリにおいては企業のバナー広告等が常時表示されるが、他のアプリ(FM聴、i−コミュラジ)においてはこれが表示されない。」と各改め、同2行目の「107、」の後に「乙21、22、25、」を加える。 (12) 同46頁2行目の後に改行して次のとおり加える。 「(11) 本件各音楽番組の制作費の負担等 控訴人らは、本件各音楽番組の制作費は全てMTIが負担しており、MTIが同制作費としてFM KENTOに対し月額55万円程度を支払っている事実を認めている(控訴理由書22〜24頁。なお、控訴人らは、かかる事実を前提にしながらも、スポンサーであるMTIに対し、本件各音楽番組の放送枠を通常より安価で提供することにより、番組の制作費は控訴人らが実質的に負担している旨主張するが、もともと控訴人らが『Find Your Music!』番組に参加した動機は、スポンサーの付きにくい夜間・深夜の時間帯の放送枠を購入してもらえることにあったのであるから、この点も放送枠の価格に反映しているとみるのが合理的である上、控訴人らが、個々の番組制作費を具体的にどのように見積もって、どのように割引額に反映させているのかについての説明もなされていないのであるから、控訴人らの主張は容易に採用することはできない。)。 また、本件各音楽番組に係る番組ファイルの納品は、少なくとも、平成23年11月頃までは、MTIが行っており、しかも、MTIは、一旦納品した後は、選曲に偏りがあるなどとして変更を求められても、同一の番組を他局にも納品していることを理由に改めて番組を制作することは難しいなどとして、そのまま放送するよう要請していた(甲120の4)。 (12) 本件各音楽番組の配信状況等 被控訴人担当者が、平成28年8月22日午前0時から同月25日午後11時までの間、リスラジの『おすすめ番組まとめ』チャンネルで流れる番組内容を調査したところ、1時間ごとに配信元となる放送局が自動的に切り替わっていくが、調査に失敗した2時間分を除く1時間ごとの93番組の配信は、20番組の繰り返し配信であり、繰り返し配信されている番組は、異なる放送局の、異なる番組名の番組として配信されているにもかかわらず、内容が完全に同一であることが確認されている(乙25)。 また、控訴人らは、少なくとも、本件各音楽番組の制作に当たり、MTIから、同社が音楽配信サービスによって蓄積したデータに基づく聴取者に好まれる楽曲のトレンドや聴取者からのリクエスト曲等に関する情報の提供を受けていることを認めている(控訴理由書24頁)。」 2 検討 (1) 争点1(被控訴人の本件更新拒絶は、管理事業法16条にいう「正当な理由がなく」利用の許諾を拒んでいるものとして無効(民法90条)といえるか)について ア 本件更新拒絶の理由が、控訴人らがリスラジのまとめチャンネル機能を利用して配信する本件各音楽番組が控訴人ら・被控訴人間の本件利用許諾契約において管理レコードの利用許諾の前提となっている「自ら制作し放送するラジオ番組」(自主制作番組)に当たらず、同番組における管理レコードの配信が本件利用許諾契約に反するとされている点にあることは明らかである。よって、まず、この点に誤認がないかどうか、すなわち、本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組といえるか否かについて検討する。 イ 本件各音楽番組が本件利用許諾契約における控訴人らの自主制作番組といえるか (ア) 前記認定事実によれば、控訴人らは、市区町村の一部の区域において、地域に密着した情報を提供するために制度化されたFM放送局であるコミュニティ放送局を運営するものであり、コミュニティ放送局を開設するに当たっては、総務大臣の免許を受けなければならず、特に、コミュニティ放送局が行う放送においては、コミュニティ放送局の特色である地域密着性の確保のため、地域に密着した各種の情報に関する番組等、地域住民の要望に応える放送が、できる限り1週間の放送時間の50%以上を占めていることなどが定められているほか、「自社において制作する放送番組」(「完全局制作」、「制作会社協力」、「共同制作」、「制作委託」及び「再放送」の5つに区分される。)と「他から供給を受ける放送番組」のそれぞれにおける時間と比率についても免許申請時に明らかにすることが求められている。 また、総務省開催の有識者会議において、コミュニティ放送における「自社において制作する放送番組」とは、自社が「制作著作」となるものをいい、「制作著作」とは、「発意と責任を有し、制作に必要な手配をするものとしての権利と責任の主体の表示とする」ものとされており、さらに、「自社において制作する番組」は、上記と同様に、「完全局制作」、「制作会社協力」、「共同制作」、「制作委託」及び「再放送」の5つに区分されるものとされている。 しかるところ、本件管理委託契約3条における「コミュニティ放送事業者が自ら制作し放送するラジオ番組」及び本件利用許諾契約における「乙が自ら制作し放送するラジオ番組」の各文言が、上記「自社において制作する(放送)番組」を念頭に置いて定められていることは明らかであるから、コミュニティ放送事業者である控訴人らと被控訴人との間の本件利用許諾契約における自主制作番組の意義についても、基本的には、上記と同様に解するのが相当である(この点は、控訴人ら及び被控訴人も積極的に争うものではない。)。 したがって、本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組といえるか否かについては、まずは、本件各音楽番組が、控訴人らの発意と責任により制作されたものといえるかどうか、前記5つの区分のうち「再放送」以外のいずれかに該当し得るものであるかどうかという観点から検討するのが相当であり、その際、控訴人らが地域密着メディアとして独自性のある番組制作が求められていることからすれば、番組制作の全体を通じてコミュニティ放送事業者の自主制作番組であるといい得るだけの主体的な関与が行われているか否かという点を考慮してこれを決するのが相当である。 (イ) そこで、前記認定事実に基づいて検討すると、本件各音楽番組については、次の点を指摘することができる。すなわち、 a 本件各音楽番組は、そもそも、MTIが、スマートフォンやタブレット端末を媒体として、音楽産業の活性化を図り、その収益を向上させるという名目で、コミュニティ放送局の番組放送枠を買い取り、「スポンサー」となることで、音楽情報番組である「Find your music!」番組を各コミュニティ放送局に流してもらい、これをサイマル放送で配信するアプリケーションソフトであるリスラジ(アプリ)を開発提供することを企画して始まったものであり、控訴人らコミュニティ放送事業者側からの企画・提案によるものではない。 b 本件各音楽番組は、当初は、週8時間だけの試験的な運用であったが、MTIと当時の子会社であるリッスンジャパンは、未放送時間枠を活用するため、レコード製作者らに対し、その利用を呼び掛けており、その際の説明資料には、「Find your music!」番組はリッスンジャパンが提供する音楽番組であることが明記されていた。 c 平成24年にリスラジの24時間放送サービスが開始したときも、MTIがプレスリリースを行っており、同プレスリリースにおいて、同サービスは、音楽番組に特化したラジオアプリであり、専用のアプリをダウンロードして起動するだけで、無料で24時間音楽番組を聴くことができ、日本全国どこにいても楽しめること、他のアプリや地上波のラジオが休止中の、日曜深夜から早朝も含めた24時間放送を行っているので、いつでも聴けることが特長であることなどが謳い文句とされていた。 d 本件各音楽番組で使用される楽曲は、FM KENTOが調達しており、その選曲において、控訴人らは少なくともMTIから情報提供を受けていることを認めている。また、FM KENTOは、あらかじめMTIの広告代理店であるCWLによって調整された放送枠に合わせて控訴人ごと(ただし、異なる放送局が同一の音楽番組を配信している事実が認められることは、後記fのとおりである。)に楽曲を編成して番組(放送音声部分)を制作しており、楽曲と楽曲の間には数曲ごとにMTIが運営する音楽配信事業である「music.jp」や「リスラジ」のCMが流れるように編成されていた。さらに、FM KENTOは、放送音声部分に対応した本件各音楽番組の番組表及びタイムテーブルのテキストデータ(放送番組データ)を作成し、これをMTIが管理する管理システムへと送付することになっていた。他方、控訴人らは、FM KENTOから納品された番組(放送音声)を地上波放送として放送する際、同時にエンコーダサーバーを通じてデジタル放送にエンコードした上、デジタル音声をMTIが提供を受けている番組配信用リアルタイムクラウドサーバーに送信していた。 e このようにして制作された本件各音楽番組を、リスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルを利用して視聴すると、各番組が自動的に切り替わり、24時間連続して音楽番組を視聴することができる。その際、各放送局固有のCMなどは流れず、また、画面上には、現に放送中の楽曲のみならず、それまでに放送された楽曲名及びアーティスト名が表示されるところ、同機能を利用しないで番組を視聴する際には、そのようなことは生じない(なお、リスラジのアプリにおいては企業のバナー広告等が常時表示される。)。 f 被控訴人従業員の調査によれば、リスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルで流れる本件各音楽番組は、複数の音楽番組の繰り返し配信であり、繰り返し配信されている番組は、異なる放送局の、異なる番組名の番組として配信されているにもかかわらず、内容が完全に同一であることが確認されている。 g 本件各音楽番組の制作費は全てMTIが負担しており、控訴人らはこれを負担していない(当然のことながら、控訴人らとMTIとの間、あるいは、FM KENTOを除く控訴人らとFM KENTOとの間において、MTIあるいはFM KENTOを受託者とする番組制作委託契約が締結されたこと及びその具体的内容を認めるに足りる的確な証拠もない。)。また、本件各音楽番組に係る番組ファイルの納品は、少なくとも、平成23年11月頃までは、MTIが行っており、一旦納品した後は、同一の番組を他局にも納品していることを理由に、改めて番組を制作することが難しい旨も、MTIから放送局側に伝えられていた。 (ウ) 以上のとおり、本件各音楽番組は、個々的に見れば、控訴人らが地上波放送している音楽番組のサイマル配信であるかのような体裁がとられているものの、もともとMTIが企画したリスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルに提供されることを目的として制作されたものであって、あらかじめMTI側によって調整された放送枠に合わせて楽曲等が編成され(しかも、各番組の内容は、控訴人ら各社のニーズや要望に応えて個別的に作られるというよりは、控訴人らをグループ分けした上、それぞれのグループに同一の番組が割り当てられていたにすぎない疑いが高い。)、放送番組データとデジタル化された放送音声は全てMTIに提供されている(すなわち、放送番組データは、FM KENTOからMTIに提供され、デジタル化された放送音声は、MTIが提供を受けているクラウドサーバーを通じて配信されている。)。そして、制作された番組をリスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルを利用して視聴すると、各番組が自動的に切り替わり、あたかも一つの音楽チャンネルであるかのように、24時間連続して音楽番組を視聴することができるようになっていることに加えて、その制作費は全てMTIが負担しており、控訴人らはこれを一切負担していないことや、控訴人らを委託者とし、MTIないしFM KENTOを受託者とする番組制作委託契約が締結された事実も認められないこと、番組データの納品についてもMTIが行っていた時期があり、しかも、一旦納品した後は他局にも納品している関係で容易に変更できないとされていたこと等の事情も認められるのであって、これらの事情を総合すると、本件各音楽番組は、飽くまでMTIの企画により、MTIのサービスに合致するよう制作されるものであって、全体を通じてMTIの意向が強く反映され、経済的負担もMTIが負っているものであるということができる。 以上によれば、本件各音楽番組はMTIの発意と責任の下で制作されていると認めるのが合理的であって、およそ控訴人らの主体的な関与の下で制作されたものとはいえず、控訴人らの「完全局制作」や「制作会社協力」に当たらないのはもちろんのこと(この点は、控訴人らも争っていない。)、「共同制作」や「制作委託」にも当たらないというのが相当である。 (エ) これに対し、控訴人らは、@本件各音楽番組の企画に参加するかどうかは、MTIや他のコミュニティ放送事業者に強要されることなく自主的に検討及び判断していること、A本件各音楽番組に参加する際は、FM KENTOに対し、選曲等に関する意向や要望を伝えて番組制作を委託していることや、BFM KENTOにおける具体的な番組制作過程においても控訴人らの意向が十分に反映されていること、C納品後も控訴人らの検収がなされ、番組内容に問題がないと判断された場合にのみ放送及び配信されることなどの事情を指摘してMTIが本件各音楽番組の制作者たり得ないことは明らかであるとし、また、D控訴人らがスポンサーであるMTIに対し本件各音楽番組の放送枠を通常より安価で提供することにより、実質的に同番組の制作費を負担していること、E控訴人らの地元企業や地域店舗等からの広告料収入は全て控訴人らに帰属し、スポンサー契約に係る権利義務も全て控訴人らに帰属すること、F本件各音楽番組の内容等についての責任や権利義務も、全て控訴人らに帰属することなどを指摘して、経済的にも責任の帰属主体は控訴人らであることが明らかであるから、本件各音楽番組は控訴人らの自主制作番組に当たると主張する。 しかしながら、@に関しては、本件各音楽番組の企画への参加を控訴人らが自主的に検討及び判断しているからといって、直ちに同番組が控訴人らの自主制作番組になるわけではないし、ABに関しても、飽くまで視聴者が24時間連続して音楽番組が楽しめるよう、全体を通じて番組の内容が調整されることは既に説示したとおりであって、控訴人らの独自性を反映するには限界があるといわざるを得ない(事実、リスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルで流れる本件各音楽番組は、複数の音楽番組の繰り返し配信であり、繰り返し配信されている番組は、異なる放送局の、異なる番組名の番組として配信されているにもかかわらず、内容が完全に同一であることが確認されていることは、前記のとおりである。)。Cに関しても、検収の結果、実際に放送及び配信に至らなかった例は示されておらず(証拠が提出されているのは、事後的に要望や意見が伝えられた例のみであり、検収の結果、放送及び配信に至らなかった例ではない。むしろ、放送音源の誤りのため、放送音声とリスラジの画面上に表示された楽曲等の食い違い等が生じると、MTIから確認を求められ、後日番組枠料の減額処理がなされること〔甲57の1・2〕、台風等の地域災害が発生した際も、リスラジの放送枠で災害情報を伝える際には、MTIから事前に連絡を求められていること〔甲59、60〕等の事実からは、一旦参加した後は、控訴人らの自主性は相当程度制約されていたことがうかがわれる。)、Dに関しては、控訴人らの主張が採用できないことは前記1(11)のとおりである。EFの点も、控訴人ら名義で番組配信が行われる以上当然のことを指摘しているにすぎず、これらの点は、何ら本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組に当たるかどうかを左右するものではない。 控訴人らの主張は、総合的にみても、前記(イ)(ウ)の認定及び判断を覆すには足らず、採用することができない。 (オ) 以上の次第であるから、本件各音楽番組は、本件利用許諾契約における控訴人らの自主制作番組とはいえないとするのが相当である。 ウ 被控訴人の管理レコードに係る利用許諾の権限について レコードの管理委託の範囲を定める管理委託契約3条(2)アBは、「コミュニティ放送事業者が自ら制作し放送するラジオ番組(コマーシャルを除く。)」と定めており、これによれば、被控訴人がコミュニティ放送事業者に対し管理レコードに係る利用許諾の権限を有するのは、自主制作番組に限られることが明らかである。 しかるところ、控訴人らが放送する本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組に当たらないことは、前記イのとおりであるから、リスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルに提供されることを前提とした本件各音楽番組の配信に関する利用許諾権限を被控訴人が有していないこともまた明らかというべきである。 エ 以上のとおり、リスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルを通じての本件各音楽番組の配信については、そもそも本件利用許諾契約の効力は及ばないものと解されるから、そのような配信に係る管理レコードの利用許諾は、本件利用許諾契約に反するものであるし、もともと、被控訴人に与えられた許諾の権限の範囲外のものでもある。このことを明確にし、契約違反状態を解消するために、被控訴人が、本件利用許諾契約の自動更新をせずに本件更新拒絶をし、正しい契約の趣旨を明確にした3月6日契約書案(別紙「届出書の記載に係る注意点」と題する書面を含む。)を提示して、新たな契約文言での利用許諾契約締結の申込みの誘引をしたことは、正当である。したがって、本件更新拒絶は、管理事業法16条所定の正当な理由のない利用の許諾の拒否には該当しない。 よって、本件更新拒絶が民法90条により無効になることはない。 オ 控訴人らの主張について (ア) 控訴人らは、本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組に当たる旨を主張するが、同主張が採用できないことは前記のとおりである。よって、本件各音楽番組が控訴人らの自主制作番組であることを前提とするその余の主張もまた失当である。 (イ) また、控訴人らは、ミュージックバードが提供する音楽番組について、同音楽番組は完全な「他者制作番組」であり、被控訴人の立場を前提とすれば、同音楽番組のサイマル配信が許容される余地はないはずであるが、被控訴人はミュージックバード及び各コミュニティ放送事業者に対し、同音楽番組が「自主制作番組」であるとのお墨付きを与えていると主張する。 しかしながら、被控訴人はかかる事実を全面的に否定しており、同事実を認めるに足りる的確な証拠もない(控訴人らが提出する甲98はミュージックバードが作成した資料であって、被控訴人の認識を表すものではないし、そこに記されている「音楽の権利団体」が被控訴人を示すものであることを認めるに足りる証拠もない。)。また、そもそも、同音楽番組において、リスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルのように、音楽だけを24時間連続して聴き続けられるように複数のコミュニティ放送局の放送時間が調整されているような事実も認められないのであるから、控訴人らの主張は、比較の前提を欠くものであり、失当である。 (ウ) 以上の次第であるから、控訴人らの主張はいずれも採用することができない。 (2) 争点2(被控訴人の本件更新拒絶は、信義則に反し、無効であるといえるか)について 次のとおり付加するほかは、原判決「事実及び理由」の第4の2(2)(原判決57頁7行目から同58頁4行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 「原判決が説示するように、被控訴人は、リスラジの『おすすめ番組まとめ』チャンネルについて、配信開始後間もない時期から問題視し、CSRAなどと協議を重ねてきており、協議の経過においては、明確に、被控訴人の利用許諾権限の範囲外であることも伝えていたことが認められるのであって、被控訴人が、最終的に、協議が整う見込みがないと判断して、本件利用許諾契約を自動更新させないという対応をとったことが、信義則に反するとはいえないし、協議の継続中に契約が自動更新されたことをもって、直ちに被控訴人が控訴人らによる本件各音楽番組の配信を黙示に承諾したとか、黙認したと評価することも相当でない。リスラジの『おすすめ番組まとめ』チャンネルを通じた本件各音楽番組の配信が本件利用許諾契約の範囲外である以上、これを明確に除外する意図で規定された3月6日契約書案の内容についても合理性があり、被控訴人が、本件更新拒絶の後も、同契約書案を控訴人らに提示して、かかる利用許諾の範囲内での契約締結に応じる旨も明らかにしていたことも踏まえれば、被控訴人の控訴人らに対する本件更新拒絶が信義則に反し、無効であるとはいえない。 また、控訴人らは、被控訴人が本件各音楽番組とミュージックバードが制作しコミュニティ放送事業者に供給している音楽番組とで不当に取扱いを異にしているとして、この点をも信義則違反の理由として主張するが、かかる主張が失当であることは、前記のとおりである。 以上によれば、信義則違反を理由とする控訴人らの主張は採用することができない。」 (3) 争点3(被控訴人の本件更新拒絶は、「共同の取引拒絶」(独禁法19条、2条9項1号イ又は同項6号イ、一般指定1項)又は「その他の取引拒絶」(独禁法19条、2条9項6号イ、一般指定2項)に該当するため、無効(民法90条)といえるか)について 既に説示したとおり、本件更新拒絶は、控訴人らによる契約違反状態を解消し、正しい契約の趣旨を明確にするために行われたものであるから、それが(正しい契約の趣旨を明確にすることに応じようとしない者にとっては)取引の拒絶に当たるとしても、契約に基づいた正当なものであるということができるから、これを正当な理由がない共同の取引拒絶であるとか、不当な取引拒絶であると認めることはできない。そして、本件利用許諾契約の内容や、本件更新拒絶に至る経緯等本件において現れた諸般の事情に照らしてみても、他に本件更新拒絶が、独禁法違反行為としての「共同の取引拒絶」や「その他の取引拒絶」に当たると判断すべき契機を見出すことはできない。 したがって、本件更新拒絶は、前記「共同の取引拒絶」にも「その他の取引拒絶」にも該当するとは認められず、控訴人らの主張は採用することができない。 (4) 争点4(被控訴人の本件更新拒絶は、「取引条件等の差別的取扱い」(独禁法19条、2条9項6号イ、一般指定4項)に該当するため、無効(民法90条)といえるか)について 控訴人らは、本件更新拒絶は、リスラジの「おすすめ番組まとめ」チャンネルに参加しているコミュニティ放送局だけを差別的に取り扱うために行われたもので、取引条件等の差別的取扱い(独禁法19条、2条9項6号イ、一般指定4項)に該当するため、無効(民法90条)である旨主張するが、そのような差別的取扱いが行われていることを認めるに足りる的確な証拠はない。また、被控訴人が、本件各音楽番組とミュージックバードが制作しコミュニティ放送事業者に供給している音楽番組とで不当に取扱いを異にしているとの主張が失当であることも前記のとおりである。 したがって、本件更新拒絶は、前記「取引条件等の差別的取扱い」に該当するとは認められず、控訴人らの主張は採用することができない。 第5 結論 以上の次第であるから、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件各控訴はいずれも理由がない。よって、本件各控訴をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 鶴岡稔彦 裁判官 大西勝滋 裁判官 寺田利彦 (別紙)当事者目録 控訴人 株式会社えふえむ・エヌ・ワン 控訴人 株式会社フラワーコミュニティ放送 控訴人 株式会社クレスト 控訴人 株式会社MID−FM 控訴人 株式会社らむれす 控訴人 株式会社いわき市民コミュニティ放送 控訴人 株式会社エフエムびざん 控訴人 株式会社FMうるま 控訴人 敦賀FM放送株式会社 控訴人 大和ラジオ放送株式会社 控訴人 株式会社ラヂオもりおか 控訴人 せんだい泉エフエム放送株式会社 控訴人 株式会社Mot.Comもとみや 控訴人 つくばコミュニティ放送株式会社 控訴人 水戸コミュニティ放送株式会社 控訴人 エフエム高松コミュニティ放送株式会社 控訴人 すまいるエフエム株式会社 控訴人 株式会社エフエム会津 控訴人 エフエムラジオ立川株式会社 控訴人 株式会社おびひろ市民ラジオ 控訴人 株式会社けんと放送 控訴人 株式会社DARAZコミュニティ放送 控訴人 株式会社FMしまじり 控訴人 エフエムベイエリア株式会社 控訴人 海老名エフエム放送株式会社 控訴人 沖縄ラジオ株式会社 控訴人 株式会社ニセコリゾート観光協会 上記27名訴訟代理人弁護士 安保智勇 同 國吉雅男 同訴訟復代理人弁護士 江藤寿美怜 被控訴人 一般社団法人日本レコード協会 訴訟代理人弁護士 前田哲男 同 中川達也 同 福田祐実 以上 (別紙)控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2(主位的請求) (1) 控訴人株式会社えふえむ・エヌ・ワンは、被控訴人との間で締結した被控訴人の管理にかかる商業用レコード製作者の複製権、譲渡権および送信可能化権等に関する権利の利用許諾契約(以下、本別紙において、各控訴人共通して、単に「利用許諾契約」という。)に基づき、被控訴人作成、届出及び公表に係る使用料規程(平成14年3月1日届出、平成26年6月30日最終変更届出。以下、本別紙において、各控訴人共通して、単に「使用料規程」という。)の第3節1.(2)の備考@に基づき作成された使用料規程細則(以下、本別紙において、各控訴人共通して、単に「細則」という。)第3節(レコードを録音した放送番組の送信可能化)第3条に定める使用料を支払うことによって、被控訴人による著作隣接権管理に係る商業用レコードを録音したコミュニティ放送番組をインターネット上で同時に配信することを目的として、当該商業用レコードを複製及び送信可能化する方法で利用することができる契約上の地位(以下、本別紙において、各控訴人共通して、単に「本件契約上の地位」という。)にあることを確認する。 (2) 控訴人株式会社フラワーコミュニティ放送は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (3) 控訴人株式会社クレストは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (4) 控訴人株式会社MID−FMは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (5) 控訴人株式会社らむれすは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (6) 控訴人株式会社いわき市民コミュニティ放送は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (7) 控訴人株式会社エフエムびざんは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (8) 控訴人株式会社FMうるまは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (9) 控訴人敦賀FM放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (10) 控訴人大和ラジオ放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (11) 控訴人株式会社ラヂオもりおかは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (12) 控訴人せんだい泉エフエム放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (13) 控訴人株式会社Mot.Comもとみやは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (14) 控訴人つくばコミュニティ放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (15) 控訴人水戸コミュニティ放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (16) 控訴人エフエム高松コミュニティ放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (17) 控訴人すまいるエフエム株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (18) 控訴人株式会社エフエム会津は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (19) 控訴人エフエムラジオ立川株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (20) 控訴人株式会社おびひろ市民ラジオは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (21) 控訴人株式会社けんと放送は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (22) 控訴人株式会社DARAZコミュニティ放送は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (23) 控訴人株式会社FMしまじりは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (24) 控訴人エフエムベイエリア株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (25) 控訴人海老名エフエム放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (26) 控訴人沖縄ラジオ株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (27) 控訴人株式会社ニセコリゾート観光協会は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の細則第3節第3条に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 3(予備的請求) (1) 控訴人株式会社えふえむ・エヌ・ワンは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の第3節1.(2)本表(以下、本別紙において、各控訴人共通して、単に「本則」という。)に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (2) 控訴人株式会社フラワーコミュニティ放送は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (3) 控訴人株式会社クレストは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (4) 控訴人株式会社MID−FMは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (5) 控訴人株式会社らむれすは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (6) 控訴人株式会社いわき市民コミュニティ放送は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (7) 控訴人株式会社エフエムびざんは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (8) 控訴人株式会社FMうるまは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (9) 控訴人敦賀FM放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (10) 控訴人大和ラジオ放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (11) 控訴人株式会社ラヂオもりおかは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (12) 控訴人せんだい泉エフエム放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (13) 控訴人株式会社Mot.Comもとみやは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (14) 控訴人つくばコミュニティ放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (15) 控訴人水戸コミュニティ放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (16) 控訴人エフエム高松コミュニティ放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (17) 控訴人すまいるエフエム株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (18) 控訴人株式会社エフエム会津は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (19) 控訴人エフエムラジオ立川株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (20) 控訴人株式会社おびひろ市民ラジオは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (21) 控訴人株式会社けんと放送は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (22) 控訴人株式会社DARAZコミュニティ放送は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (23) 控訴人株式会社FMしまじりは、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (24) 控訴人エフエムベイエリア株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (25) 控訴人海老名エフエム放送株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (26) 控訴人沖縄ラジオ株式会社は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 (27) 控訴人株式会社ニセコリゾート観光協会は、被控訴人との間で締結した利用許諾契約に基づき、使用料規程の本則に定める使用料を支払うことによって、本件契約上の地位にあることを確認する。 4 訴訟費用は1、2審とも被控訴人の負担とする。 以上 |
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