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【事件名】総合業務管理ソフトの譲渡契約事件
【年月日】平成28年10月25日
 東京地裁 平成28年(ワ)第360号、同第2943号 不正競争行為差止請求事件、同承継参加申出事件(第1事件)、
 平成28年(ワ)第4961号 プログラム著作権確認請求事件(第2事件)
 (口頭弁論終結日 平成28年9月20日)

判決 
第1事件原告兼第2事件原告 ソフトウェア部品株式会社(以下「原告ソフトウェア部品社」という。)
第1事件承継参加人兼第2事件原告 株式会社ビーエスエス(以下「原告ビーエスエス社」という。)
第1事件承継参加人兼第2事件原告 ソフトウエア部品開発株式会社(以下「原告ソフトウエア部品開発社」という。)
第1事件承継参加人兼第2事件原告 A(以下「原告A」という。)
第1事件承継参加人兼第2事件原告 B(以下「原告B」という。)
 (以下、上記5名を併せて「原告ら」という。)
第1事件被告兼第2事件被告 日本電子計算株式会社(以下「被告」という。)
同訴訟代理人弁護士 難波修一
同 三谷革司
同 和氣礎


主文
 原告らの請求をいずれも棄却する。
 訴訟費用は、第1事件及び第2事件を通じ、原告らの負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 第1事件
 (1) 被告は、JIPROS(以下「被告製品」という。)を販売してはならない。
 (2) 被告は、被告製品及びそのカタログ類を全て廃棄せよ。
 (3) 被告は、被告のホームページ上及びインターネットを利用した広告媒体上から被告製品に関係する掲載情報を全て削除せよ。
 (4) 被告は、被告製品のファイルを含むプログラム(オブジェクトコード及びソースコード)及び別紙BSS−PACK中核部(ミドルソフト)営業秘密部プログラム目録記載のプログラム(オブジェクトコード及びソースコード。以下「本件営業秘密部プログラム」という。)をこれらが保存されている記録媒体を含むコンピューターから全て削除せよ。
2 第2事件
 別紙プログラム目録記載1〜3の各プログラム(以下「本件先行ソフトウェア部品プログラム」と総称する。)の著作権は原告らが保有することを確認する。
第2 事案の概要
1 事案の要旨
 第1事件は、原告ソフトウェア部品社が、被告に対し、本件営業秘密部プログラムが第1事件原告の営業秘密に当たるところ、被告がこれを取得して使用し、被告製品を製造して販売したことが不正競争(不正競争防止法2条1項4号又は5号、10号)に当たると主張して、同法3条1項及び2項に基づき被告製品の販売差止め及び廃棄等を求めるとともに、第1事件承継参加人らが、被告に対し、原告ソフトウェア部品社と本件営業秘密部プログラムを共有するに至ったと主張して承継参加を申し出て、上記請求と同趣旨の請求をする事案である。
 第2事件は、原告らが、被告に対し、本件先行ソフトウェア部品プログラムについて、@これを創作したことによる著作権、A「オリジナルソフトウェア部品」という名称のプログラム(以下「本件オリジナルソフトウェア部品プログラム」という。)を原著作物とする二次的著作物である本件先行ソフトウェア部品プログラムについての原著作者の著作権(以下、上記@の著作権と併せて「本件各著作権」という。)を有することの確認を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠(書証の枝番は省略する。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1) 当事者
ア 原告ソフトウェア部品社、原告ビーエスエス社及び原告ソフトウエア部品開発社は、いずれもソフトウェア開発とその販売等を業とする株式会社である。
 原告Aは原告ビーエスエス社の、原告Bは原告ソフトウェア部品社及び原告ソフトウエア部品開発社の各代表取締役である。
イ 被告は、コンピュータシステムによる情報処理サービス及びソフトウェアの開発、販売等を業とする株式会社である。
(2) 原告ビーエスエス社による「BSS−PACK」の開発及び販売(甲5、6)
ア 原告ビーエスエス社は、平成2年〜平成9年3月頃、総合業務管理ソフトウェアパッケージである「BSS−PACK(VAX/VMS版)」(以下「旧BSS−PACK」という。)を開発し、これを販売していた。旧BSS−PACKは、「オリジナルソフトウェア部品」及び「中核部(ミドルソフト)」の各プログラムから構成されていた。
イ 原告ビーエスエス社は、平成9年4月、データベースを統合したERP(Enterprise Resource Planning)システムである「BSS−PACK」(以下「BSS−PACK」という。)を開発し、その販売を開始した。BSS−PACKについては、UNIX、WindowsNT、LINUX、Windows2000、WindowsXPの各OS(operating system)に対応する製品が販売されていた。
 BSS−PACKは、「先行ソフトウェア部品」と本件営業秘密部プログラムを含む「中核部(ミドルソフト)」の各プログラムから構成されているところ、「先行ソフトウェア部品」のプログラムは本件オリジナルソフトウェア部品プログラムを翻案したものであった。
ウ 原告ビーエスエス社は、プログラム著作物である「BSS−PACKクライアント(メニュークリエイト)」、「BSS−PACKサーバー(UNIX)」、「BSS−PACKサーバー(WindowsNT版)」、「部品マイスター」及び「部品ビュー」(以下、これらを「本件登録プログラム」と総称する。)を創作したとして、それぞれ平成7年10月16日、平成8年1月16日、平成9年3月14日、平成10年2月13日及び平成11年5月13日に創作年月日の登録を受けた。(乙1)
(3) 原告ビーエスエス社と株式会社サンライズ・テクノロジー(以下「サンライズ社」という。)との間の契約
ア 原告ビーエスエス社は、サンライズ社との間で、平成18年3月28日、サンライズ社による原告ビーエスエス社の事業継続の支援に関する合意(以下「本件合意」という。)をした。本件合意においては、原告ビーエスエス社が有する本件登録プログラムその他の著作物及びこれに関する著作権等の一切の権利をサンライズ社へ譲渡すること(なお、この譲渡に当たって詳細な条件を定めた最終契約書の作成が予定されていた。)、原告ビーエスエス社の全従業員をサンライズ社の指定する会社へ移籍させて雇用を確保し、当該会社が上記譲渡の対象となったプログラムに関わる開発を行うことができるようサンライズ社が支援を行うことなどが定められていた。(乙3)
イ 原告ビーエスエス社は、サンライズ社との間で、平成18年3月30日、原告ビーエスエス社が有する上記アの著作物及び権利(ただし、譲渡の対象範囲については当事者間に争いがある。)を代金11億5000万円で譲渡する旨の契約(以下「本件譲渡契約」という。)を締結した。(甲20)
(4) 本件登録プログラムの譲渡の登録
 本件登録プログラムに係る著作権(著作権法27条及び28条に規定する権利を含む。)は、平成18年4月7日譲渡(ただし、部品マイスターのみ同年9月27日)を原因として、同年4月17日(同、同年10月4日)に原告ビーエスエス社からサンライズ社への移転登録がされた。その後、上記著作権は、平成19年にサンライズ社から株式会社フロンテックへ、平成21年に同社から被告へそれぞれ譲渡され、その旨の登録がされた。(乙1)
(5) 被告製品の販売
 被告は、平成15年頃に統合管理パッケージソフトウェアである被告製品の販売を開始した。(乙5)
3 争点及びこれに関する当事者の主張
(1) 本件営業秘密部プログラムは原告らの営業秘密であるか(第1事件)
 (原告らの主張)
 本件営業秘密部プログラムは有用性、非公知性及び秘密管理性の要件を満たすところ、原告らは現在これを共有しているから、本件営業秘密部プログラムは原告らの営業秘密である。
  これに対し被告は後記のとおり主張するが、本件譲渡契約における譲渡対象は本件登録プログラム及びこれに付随するプログラムであり、本件営業秘密部プログラムはこれに含まれていない。
(被告の主張)
 原告らのいう本件営業秘密部プログラムは、その主張する対象が特定されておらず、秘密管理性その他不正競争防止法上の営業秘密に当たるかも明らかでない。
 この点をおくとしても、本件譲渡契約の契約書には、本件登録プログラムのみならず、バージョンアップ等改良後のプログラム著作物その他関連する一切のプログラム著作物も譲渡対象として記載されており、本件譲渡契約は旧BSS−PACK及びBSS−PACKに関する一切のプログラム著作物を譲渡対象としていた。そして、本件営業秘密部プログラムは上記のプログラム著作物に含まれるから、本件譲渡契約によってサンライズ社に譲渡された。したがって、本件営業秘密部プログラムは原告らの営業秘密ということはできない。
(2) 被告は営業秘密の取得、使用又は使用により生じた物の譲渡等を行ったか
(第1事件)
(原告らの主張)
 本件営業秘密部プログラムは本件譲渡契約の対象となっていなかったにもかかわらず、サンライズ社は原告ビーエスエス社に対してエスクロウ目的のためと虚偽の説明をして、本件営業秘密部プログラムのソースコードを不正取得した。そして、被告は、上記不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで本件営業秘密部プログラムを取得し、これを使用して被告製品を製造し、販売したから、被告の行為は不正競争(不正競争防止法2条1項4号又は5号、10号)に当たる。
(被告の主張)
 被告は、旧BSS−PACK及びBSS−PACKに関する一切のプログラム著作物を適法に譲り受けたのであり、本件営業秘密部プログラムにつき何らの不正取得行為は存在しない。また、被告製品はBSS−PACKと無関係に被告が開発したものであり、本件営業秘密部プログラムを使用していない。
(3) 本件各著作権は本件譲渡契約によりサンライズ社に移転したか(第2事件)
(原告らの主張)
 原告ビーエスエス社は、本件先行ソフトウェア部品プログラムの著作者である。また、本件オリジナルソフトウェア部品プログラムの著作者でもあるところ、本件先行ソフトウェア部品プログラムはこれを翻案した二次的著作物であるから、原著作者として著作権を有する。そして、原告らはこれら本件各著作権を共有する旨の合意をした。
 これに対し被告は後記のとおり主張するが、本件譲渡契約の譲渡対象は本件登録プログラム及びこれに付随するプログラムであるから、本件先行ソフトウェア部品プログラムは含まれていない。仮にこれが譲渡対象になっていたとしても、本件譲渡契約の契約書には著作権法27条及び28条に規定する権利について定めがないから、これらの権利は原告ビーエスエス社に留保されている(同法61条2項)。
 したがって、本件各著作権は本件譲渡契約によりサンライズ社に譲渡されていない。ところが、被告はこれを争うので、原告らは被告に対し原告らが本件各著作権を有することの確認を求める。
(被告の主張)
 本件譲渡契約は、譲渡対象となる著作物を旧BSS−PACK及びBSS−PACKに関する一切のプログラム著作物とし、譲渡対象となる権利を著作権その他一切の知的財産権としていたから、本件各著作権は本件譲渡契約によりサンライズ社に譲渡された。
 原告らは、著作権法27条及び28条に規定する権利が原告らに留保されていたものと推定される旨主張する。しかし、本件譲渡契約の契約書において、原告ビーエスエス社が著作権その他一切の知的財産権を譲渡するとされていたこと、本件登録プログラムについてはその登録原簿において同法27条及び28条に規定する権利も譲渡するとされていることなどからすれば、これらの権利も含む著作権が譲渡されたというべきである。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(本件営業秘密部プログラムは原告らの営業秘密であるか)及び(3)(本件各著作権は本件譲渡契約によりサンライズ社に移転したか)について
(1) 原告らが、本件営業秘密部プログラムが原告らの営業秘密であり、本件各著作権が原告らに帰属する旨主張するのに対し、被告は、これらに係る権利は本件譲渡契約によりサンライズ社に譲渡されたことから、第1事件及び第2事件の原告らの請求はいずれも認められない旨主張するので、以下検討する。
(2) 前記前提事実に加え、後掲の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。
ア 原告ビーエスエス社は、平成8年1月以降、本件登録プログラムの著作権(著作権法27条及び28条に規定する権利を含む。)に譲渡担保権を設定して金融機関から融資を受けることを繰り返していた。(乙1)
イ 原告とサンライズ社は、平成18年3月28日、サンライズ社が原告ビーエスエス社の事業継続を支援することについて、原告ビーエスエス社がサンライズ社に対しソフトウェアに関する権利を譲渡すること、譲渡価格は11億5000万円とすること、原告ビーエスエス社はサンライズ社に対し上記ソフトウェアにつき著作者人格権を一切行使しないこと、原告ビーエスエス社の従業員全員をサンライズ社が指定する会社に移籍させ雇用を確保するとともに同会社に対して上記ソフトウェアの開発を委託するものとして、同会社が継続的に事業を行えるようサンライズ社が支援を行うことを内容とする本件合意をした。譲渡の対象とされたのは、@本件登録プログラム、A非登録プログラム著作物(本件登録プログラムのバージョンアップ等改良後のプログラム著作物、その他関連する一切のプログラム著作物)並びにB上記@及びAのプログラムの関連著作物(ユーザーズガイド一式及び環境開発マニュアル一式に係る著作物)その他の著作物並びにこれらに関する著作権その他一切の知的財産権であり、これらの譲渡に当たっては、「より詳細な条件を定めた最終契約書を別途締結するものとする」とされた。(乙3)
ウ 本件譲渡契約は、本件合意の2日後の同月30日付けで締結されたものであり、譲渡対象は上記イの本件合意と同一であるが、本件登録プログラムに係る譲渡担保権の抹消及びサンライズ社への譲渡の登録等に関する定めがされた。一方、本件合意及び本件譲渡契約には、譲渡の対象として著作権法27条及び28条に規定する権利は明記されていない。(甲20)
エ 本件登録プログラムについては、本件譲渡契約締結後に著作権譲渡の登録がされた(前記前提事実(4))。その登録簿の【登録の原因】欄には「著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む)の譲渡があった。」旨の記載がある。(乙1)
(3) 上記(2)の認定事実によれば、本件合意及びこれに引き続いて締結された本件譲渡契約は、実質的に原告ビーエスエス社のBSS−PACKに関する事業を従業員ごと他の会社に移転させ、その事業をサンライズ社の支援の下で継続させることを念頭に置いたものということができ、本件譲渡契約の契約書上、譲渡対象については包括的な記載となっており、本件営業秘密部プログラム及び本件先行ソフトウェア部品プログラムを含め明示的に譲渡対象から除かれたプログラムはない。そうすると、本件譲渡契約により譲渡されたのは旧BSS−PACKないしBSS−PACKに関するプログラム著作物の全てについての著作権その他の知的財産権であったと解するのが相当であり、本件営業秘密部プログラムについて原告ビーエスエス社が有していたという営業秘密や、本件先行ソフトウェア部品プログラムに係る著作権も譲渡対象であったものと認められる。
 これに加え、前記(2)の認定事実によれば、原告ビーエスエス社はサンライズ社に対し著作者人格権を行使しないとされたこと、本件登録プログラムについては著作権法27条及び28条に規定する権利を含めて譲渡されたことが明らかであることを併せ考えれば、原告ビーエスエス社とサンライズ社との間では、上記事業を移転させるため、登録の有無を問わず、著作権法27条及び28条に規定する権利を含めて、本件オリジナルソフトウェア部品プログラムが含まれている旧BSS−PACKや本件先行ソフトウェア部品プログラムが含まれているBSS−PACKに係る一切の著作権を譲渡する旨の合意があったものと認められる。
 以上によれば、本件営業秘密部プログラムについての営業秘密や本件先行ソフトウェア部品プログラムについての本件各著作権を原告ビーエスエス社が有していたとしても、これらは本件譲渡契約によりサンライズ社に譲渡されており、原告らが現時点においてこれを有するということはできないから、原告らの第1事件及び第2事件の請求はいずれも理由がない。
(4) これに対し、原告らは、@原告ビーエスエス社とサンライズ社との間で購入条件等に関して別途の契約(第二の契約)の締結が予定されていたこと、A本件譲渡契約の契約書には譲渡対象となる「当該著作物を引き渡す」と規定されているが(同契約書第1条の1)、原告ビーエスエス社は、サンライズ社からエスクロウ(ソフトウェアの著作権者の倒産等に備えてそのソースコードを第三者に預託しておくこと。甲42)の協力要請を受けて本件営業秘密部プログラムのソースコードを送付したにとどまり、サンライズ社に対して本件営業秘密部プログラムを引き渡していないことなどからすれば、本件営業秘密部プログラムは本件譲渡契約の対象となっていない、B本件譲渡契約の譲渡対象に本件先行ソフトウェア部品プログラムが含まれているとしても、著作権法27条及び28条に規定する権利は原告ビーエスエス社に留保されている(同法61条2項)、C原告ビーエスエス社は本件オリジナルソフトウェア部品プログラムの著作者として二次的著作物である本件先行ソフトウェア部品につき著作権を有する旨主張する。
 そこで判断するに、上記@について、本件合意では「より詳細な条件を定めた最終契約書を別途締結するものとする」とされていたところ(前記(2)イ)、その合意書と本件譲渡契約の契約書の記載内容及び作成日をみると、最終契約書とは本件譲渡契約の契約書を意味していると解することができる。なお、原告ビーエスエス社がこれとは別に「第二の契約」の締結を望んでいたとしても、その締結に至らなかった以上、本件譲渡契約による前述の権利移転の効果が妨げられることはないというべきである。
 上記Aについて、本件譲渡契約にいう「当該著作物を引き渡す」とは、同契約により原告ビーエスエス社が譲渡するとされた著作物(その範囲は前記(3)のとおりである。)についてのソースコード等を印刷した文書、保存した記録媒体等を引き渡すべき同原告の義務について定めたものであって、引渡しのされなかったものが本件譲渡契約の譲渡対象に含まれていないことを意味するものでないことはその文言上明らかと解される。
 上記B及びCについて、前記(3)で説示したとおり、本件譲渡契約により本件オリジナルソフトウェア部品及び本件先行ソフトウェア部品を含む旧BSS−PACKないしBSS−PACKに関するプログラム著作物及びこれらに関する一切の著作権(著作権法27条及び28条に規定する権利を含む。)がサンライズ社に譲渡されたものと認められ、同法61条2項の推定は覆ったというべきである。
 したがって、原告らの上記主張はいずれも採用することができない。
2 結論
 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第46部
 裁判長裁判官 長谷川浩二
 裁判官 萩原孝基
 裁判官 中嶋邦人


別紙 BSS−PACK 中核部(ミドルソフト)営業秘密部プログラム目録
プログラム名称とその機能
 株式会社ビーエスエスが開発したBSS−PACK製品が共通して使用する中核部(ミドルソフト)「営業秘密部プログラム」は次のとおりである。
1 プログラム名称
 (1)SSDBaccs (擬似統合データベース機能)
 (2)SCtsusin (ハードロックチェック機能)
 (3)SCpjktsu (擬似統合データベース機能)
 (4)SCbra (擬似統合データベース機能)
 (5)SCUSRbra (擬似統合データベース機能)
 (6)BPPRINT
 (7)SDaemon
 (8)エンドユーザー情報ファイル (ソフトロック)
2 その機能
(1)SSDBaccs(擬似統合データベース機能)
 どのDBMSに対応するべきかの指令がまとめられているプログラムである。これにより、複数種のDBMSへの対応が可能となる。
(2)SCtsusin (ハードロックチェック機能) 
 個々のソフトウェア部品の三相間、ソフトウェア部品とDBMS間、クライアントとサーバー間などの通信時に必要となる各種機能をまとめている。特に、ソフトウェア部品の三相構造が作動するためには必須の機能である。その内容は、必ず使用される初期処理及び環境変数の取得時におけるハードロックキー装着チェック機能が含まれている重要なプログラムである。
(3)SCpjktsu (擬似統合データベース機能)
 BSS−PACKは業務分類(販売管理、仕入管理、一般会計管理等)ごとにDBをもっている(分散DBサーバー)ことにより、ソフトウェア部品を実行して業務処理を行うにあたりどのDBにデータを書き込むかの振り分け機能のあるプログラムである。同時に分散しているDBサーバーを統合し、一つのDBサーバーであるかのように機能させるプログラムである。
(4)SCbra (擬似統合データベース機能)
 BSS−PACKの業務分類ごとのDBの識別名(ヘッダー)を受信するための機能をするプログラムである。SCPjktsuと対になって働く。
(5)SCUSRbra (擬似統合データベース機能)
 BSS−PACK以外に設置された外部DBにアクセスし、これを取り込むための機能をするプログラムである。BSS−PACKの作動範囲を拡大するために必要である。
(6)BPPRINT
 個々のソフトウェア部品の帳票印刷を制御するための機能があるプログラムである。 (ソースコードを開示したことがある唯一のプログラム)
(7)SDaemon
 ビーエスエス社が開発したBSS−PACK用の通信デーモンである。個々のソフトウェア部品の三相間の通信制御を行う機能で、(2)SCtsusinと関連してBSS−PACK中核部(ミドルソフト)の頭脳から発せられ、関数インターフェース部の働きを制御する神経伝達物質的な役割を果たすものである。間接的にハードロックチェック機能があり、営業秘密機能の中心的な役割を果たしている。
(8)エンドユーザー情報ファイル(ソフトロック)
 営業秘密部の作動条件を示すファイルであり、営業秘密部を保護するロック機能を果たす。サーバー機に設定されなければシステムは作動しない。
 以上

別紙 プログラム目録 BSS−PACK(営業秘密部)で使用される次のプログラム
1 BSS−PACK(サーバー)LINUX に付属する先行ソフトウェア部品
2 BSS−PACK(サーバー)Windows2000に付属する先行ソフトウェア部品
3 BSS−PACK(サーバー)WindowsXP に付属する先行ソフトウェア部品
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日本ユニ著作権センター
http://jucc.sakura.ne.jp/