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【事件名】トラベル管理ソフト「旅行業システムSP」事件(2) 【年月日】平成28年1月19日 知財高裁 平成26年(ネ)第10038号 著作権侵害差止請求控訴事件 (原審・東京地裁平成21年(ワ)第16019号) (口頭弁論終結日 平成27年11月25日) 判決 控訴人兼被控訴人 株式会社ブロードリーフ訴訟承継人 株式会社ブロードリーフ(以下「1審原告」という。) 訴訟代理人弁護士 吉田正夫 同 井口加奈子 被控訴人兼控訴人株式会社 アゼスタ(以下「1審被告アゼスタ」という。) 被控訴人兼控訴人 Y1(以下「1審被告Y1」という。) 被控訴人兼控訴人 Y2(以下「1審被告Y2」という。) 被控訴人兼控訴人 Y3(以下「1審被告Y3」という。) 被控訴人兼控訴人 Y4(以下「1審被告Y4」という。) 被控訴人兼控訴人 Y5(以下「1審被告Y5」という。) 被控訴人兼控訴人 Y6(以下「1審被告Y6」という。) 上記7名訴訟代理人弁護士 野間自子 同 中島健太郎 同 浅田登志雄 主文 1 1審原告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。 (1) 1審被告アゼスタは、別紙物件目録1ないし22記載の各データベースを複製し、頒布し又は公衆送信(送信可能化を含む。)してはならない。 (2) 1審被告アゼスタは、別紙物件目録1ないし22記載の各データベースを格納したCD−ROM等の記録媒体を廃棄し、各データベースの記録内容を消去せよ。 (3) 1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4は、1審原告に対し、連帯して、2億1473万3000円及びうち1億4315万5333円に対する平成21年5月28日から、うち7157万7667円に対する平成23年11月2日から各支払済みまで年5分の割合による金員(ただし、1億9087万3777円及びうち1億1929万6110円に対する平成21年5月28日から、うち7157万7667円に対する平成23年11月2日から各支払済みまで年5分の割合による金員の限度で1審被告Y6と、9941万3425円及びこれに対する平成21年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で1審被告Y5と、それぞれ連帯して)を支払え。 (4) 1審被告Y6は、1審原告に対し、1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4と連帯して、1億9087万3777円及びうち1億1929万6110円に対する平成21年5月28日から、うち7157万7667円に対する平成23年11月2日から各支払済みまで年5分の割合による金員(ただし、7555万4203円及びこれに対する平成21年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で1審被告Y5と連帯して)を支払え。 (5) 1審被告Y5は、1審原告に対し、1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4と連帯して、9941万3425円及びこれに対する平成21年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし、7555万4203円及びこれに対する平成21年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で1審被告Y6と連帯して)を支払え。 (6) 1審原告のその余の請求をいずれも棄却する。 2 1審被告らの控訴をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、第1、2審を通じて、これを5分し、その2を1審原告の負担とし、その余を1審被告らの負担とする。 4 この判決の第1項(1)、(3)ないし(5)は、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 1審原告 (1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 1審被告らは、別紙物件目録1ないし22記載の各データベースを複製、翻案、頒布及び公衆送信(送信可能化を含む。)してはならない。 (3) 1審被告らは、別紙物件目録1ないし22記載の各データベースを格納したCD−ROM等の記録媒体を廃棄し、各データベースの記録内容を消去せよ。 (4) 1審被告らは、1審原告に対し、連帯して、9億1037万0978円及びうち5億5349万6000円につき平成21年5月28日から、うち1億1859万3600円につき平成23年11月2日から、うち2億3828万1378円につき平成25年1月31日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 1審被告ら (1) 原判決主文第3項ないし第5項を取り消す。 (2) 前項の取消部分に関する1審原告の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 略称は、特に断りのない限り、原判決に従う。 1 事案の要旨 本件は、翼システム株式会社(以下「翼システム」という。)が制作した旅行業者向けシステム「旅行業システムSP」(旧製品名「スーパーフロントマン 旅行業システム」。以下「原告システム」という。)に含まれる検索及び行程作成業務用データベース(以下「原告CDDB」という。)に係る著作権を同社から譲り受けた株式会社ブロードリーフ(旧商号「アイ・ティー・エックス翼ネット株式会社」。以下「旧原告会社」という場合がある。)を吸収合併し、訴訟承継した1審原告(旧商号「シー・ビー・ホールディングス株式会社」)が、1審被告アゼスタ、1審被告アゼスタの代表取締役である1審被告Y1、旧原告会社の元従業員で、1審被告アゼスタの取締役である1審被告Y2及び1審被告Y3、旧原告会社の元従業員で、1審被告アゼスタの従業員である1審被告Y4及び1審被告Y6、旧原告会社の元従業員で、1審被告アゼスタの元従業員である1審被告Y5(以下、1審被告アゼスタを除くその余の1審被告らを併せて、「個人の1審被告ら」という。)に対し、1審被告らが、別紙物件目録1ないし22記載の各データベース(以下、これらを総称して「被告CDDB」といい、同目録1記載のデーターベースを「当初版」、同目録2記載のデーターベースを「2006年版」、同目録3ないし21記載の各データーベースを「現行版」、同目録22記載のデーターベースを「新版」という。)を含む旅行業者向けシステム「旅nesPro」(以下「被告システム」という。)を製造、販売する行為が、原告CDDBについて1審原告が有する著作権(複製権、翻案権、譲渡権、貸与権、公衆送信権)の侵害に当たるなどと主張して、著作権法112条1項に基づき、被告CDDBの複製、翻案等の差止めを、同条2項に基づき、被告CDDBを格納したCD−ROM等の記録媒体の廃棄等を求めるとともに、著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償又は一般不法行為に基づく損害賠償として9億1037万0978円及び遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。 原判決は、1審原告の請求のうち、差止請求及び廃棄等請求に関する部分は、1審被告アゼスタに対し、被告CDDBの当初版、2006年版及び現行版の複製、頒布又は公衆送信(送信可能化を含む。)の差止め及びこれらを格納したCD−ROM等の記録媒体の廃棄等(原判決主文第1項及び第2項)を求める限度で認容し、損害賠償請求に関する部分は、著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として、1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4に対し、連帯して1億1215万1000円及び遅延損害金の支払(原判決主文第3項)を、1審被告Y6に対し、1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4と連帯して1億0548万円及び遅延損害金の支払(原判決主文第4項)を、1審被告Y5に対し、1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4と連帯して5561万2000円及び遅延損害金の支払(原判決主文第5項。なお、1審被告Y6と1審被告Y5は、4944万1000円及び遅延損害金の限度で連帯支払)をそれぞれ求める限度で認容し、1審原告の1審被告らに対するその余の請求をいずれも棄却した。 これに対し1審原告は、原判決のうち、1審原告敗訴部分全部を不服として控訴を提起し、1審被告らは、原判決のうち、損害賠償請求に関する1審被告ら敗訴部分(原判決主文第3項ないし第5項)のみを不服として控訴を提起した。 2 前提事実及び争点 前提事実及び争点は、次のとおり訂正するほか、原判決「事実及び理由」第2の1及び2(原判決4頁11行目から同18頁10行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する(以下、原判決を引用する場合、「原告」を「1審原告」と、「被告」を「1審被告」と、「個人被告ら」を「個人の1審被告ら」と、「別紙1」ないし「別紙10」を「原判決別紙1」ないし「原判決別紙10」とそれぞれ読み替える。)。 (1) 原判決4頁18行目の「旧原告会社は」から同頁22行目末尾までを次のとおり改める。 「旧原告会社は、平成17年12月30日、翼システムから原告システムを含むパッケージソフトウェアに関する営業の譲渡を受けるとともに、その著作権等の譲渡を受けた。旧原告会社は、平成18年8月1日、商号を「株式会社ブロードリーフ」に変更した。 旧原告会社は、平成21年5月15日、本件訴訟を提起した。 1審原告は、同年9月16日に設立された後、平成22年1月1日に旧原告会社を吸収合併し、これにより本件訴訟を承継した。なお、1審原告の設立当時の商号は「シー・ビー・ホールディングス株式会社」であったが、上記吸収合併の日に「株式会社ブロードリーフ」に商号変更した。」 (2) 原判決17頁4行目の「とおりである」から同頁6行目末尾までを「とおりである。これに加え、原告CDDBでは、「06URLアドレステーブル」の「種別毎キー」フィールドと、「42会社テーブル」の「会社番号」フィールドとの間にもリレーションが存在する。」と改める。 (3) 原判決17頁24行目の「とおりである」から同18頁1行目末尾までを「とおりである。これに加え、被告CDDB(新版)では、「31URLマスタ」の「URLコード」フィールドと、「42交通会社マスタ」の「交通会社コード」フィールドとの間にもリレーションが存在する。」と改める。 (4) 原判決18頁3行目の「原告CDDBの著作物性及び」を削り、同頁7行目を「(3) 一般不法行為に基づく損害賠償請求の成否(選択的主張)」と、同頁10行目の「損害賠償義務」を「損害賠償責任」とそれぞれ改める。 第3 争点に関する当事者の主張 争点に関する当事者の主張は、次のとおり訂正するほか、原判決「事実及び理由」第3(原判決18頁11行目から同97頁24行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。 1 原判決18頁12行目の「原告CDDBの著作物性及び」を削る。 2 原判決21頁6行目の「情報の創作性」を「情報の選択の創作性」と、同23頁14行目の「複製ないし翻案」を「複製物ないし翻案物」とそれぞれ改める。 3 原判決44頁20行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「(オ) 被告CDDB(新版)と共通する原告CDDBのテーブルに係る部分の体系的構成及び情報の選択の創作性等について 原告CDDBのうち、被告CDDB(新版)と共通するテーブルに係る部分には体系的構成及び情報の選択における創作性があるから、被告CDDB(新版)において原告CDDBの上記部分の表現上の本質的特徴を直接感得することができるというべきである。 a 原告CDDBにおける主要な検索を可能とするテーブルに係る部分の体系的構成及び情報の選択の創作性 (a) 体系的構成の創作性 原告CDDBでは、次の@ないしDの主要な検索が行えるように、合計23個のテーブル、各テーブルのフィールド、各テーブル間のリレーションにより体系的構成が構築されている。この23個のテーブルに係る部分(以下「原告CDDB主要部分」という場合がある。)の体系的構成には、著作者の個性が表れているから、同部分は創作性を有する。 @ 代表道路地点の情報を用いて、出発地点、経由地、目的地に面した道路に関するデータの検索を可能とする7テーブル(「01市区町村テーブル」、「32駅テーブル」、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「09地点名テーブル」、「11接続テーブル」、「10道路テーブル」)による体系的構成 A 代表道路地点の情報を用いて、道路を利用した移動に関する経路探索・料金の算出を可能とする6テーブル(「09地点名テーブル」、「10道路テーブル」、「11接続テーブル」、「12禁止乗換テーブル」、「14区間料金テーブル」、「15首都高速料金テーブル」)による体系的構成 B ホテル・旅館、観光施設に関する情報の検索を可能とする7テーブル(「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「22観光施設備考テーブル」、「05緯度経度テーブル」、「06URLアドレステーブル」、「07URL種別テーブル」、「08URL分類テーブル」)による体系的構成 C 会社を特定して行う公共交通機関を利用した経路探索を可能とする8テーブル(「32駅テーブル」、「33路線構成テーブル」、「34路線テーブル」、「36路線検索テーブル」、「39便テーブル」、「40運行日定義テーブル」、「42会社テーブル」、「43交通機関種別テーブル」)による体系的構成 D 道路と地図を関連付けて行う地図からの検索、道路地点、ホテル・旅館、観光施設、駅について市区町村、地区・県名からの検索を可能とする6テーブル(「01市区町村テーブル」、「02地区・県名テーブル」、「09地点名テーブル」、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「32駅テーブル」)による体系的構成 (b) 情報の選択の創作性 原告CDDB主要部分を構成する23テーブルの各テーブルにどのようなフィールド項目を選択するか、また各テーブルに具体的にどのような情報を格納するかは、主として団体旅行における顧客のニーズに合わせて原告システムを使って行程表作成の業務を行うに当たって必要となる具体的な情報が選択されて格納されている。かかる情報の選択は、原告CDDBの42テーブルの場合と同様、基本的に綱羅的であるわけでもなく、機械的であるわけでもないので、原告CDDB主要部分の23テーブルに格納されている各情報の集合物は、情報の選択における創作性を有する。 b 被告CDDB(新版)と共通する原告CDDBのテーブルに係る部分について (a) 被告CDDB(新版)の29テーブルのうち、経路検索、宿泊施設・観光施設検索に必要な20のテーブルが原告CDDBの20のテーブルと共通することは、前記のとおりである。 この原告CDDBの20のテーブルに係る部分(以下「原告CDDB共通部分」という。)は、原告CDDB主要部分を構成する23テーブルと比較して、3テーブル(「05緯度経度テーブル」、「07URL種別テーブル」、「08URL分類テーブル」)のみを欠く体系的構成となっている。また、共通するテーブル間では、概ねフィールドが一致し、テーブルの参照の仕方がほぼ同じである。 以下のとおり、上記3テーブルを欠くことにより、原告CDDB主要部分の体系的構成における創作性が喪失したものとはいえず、原告CDDB共通部分には、主要な検索を行うための体系的構成が依然として維持されているから、原告CDDB共通部分の体系的構成は創作性を有するものであり、被告CDDB(新版)には、原告CDDB共通部分の体系的構成の表現上の本質的特徴が維持されている。また、被告CDDB(新版)に新たに設けられたテーブルは、前記のとおり、いずれも、経路検索、宿泊施設・観光施設検索に基本的な変更をもたらすテーブルではなく、付加的・補助的なテーブルであるから、かかるテーブルの追加によって、共通する20個のテーブルによる体系的構成の基本的部分が変更されるものではないし、仮に被告CDDB(新版)に新たに創作的表現が加えられていたとしても、原告CDDB共通部分の体系的構成の創作的表現が認識可能なかたちで残っているものといえる。 @ 「05緯度経度テーブル」が欠けたことについて まず、地図検索機能が追加された際に追加された「05緯度経度テーブル」は、「01市区町村テーブル」、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「09地点名テーブル」及び「32駅テーブル」に格納される緯度経度情報を重複して格納するテーブルである。緯度経度情報の重複保有は、「05緯度経度テーブル」を持たない原告システムの旧バージョンのユーザーのための措置としてされたものであった。ところで、被告CDDB(新版)における原告CDDB共通部分では、「05緯度経度テーブル」を欠くため、「05緯度経度テーブル」を使った緯度経度情報による検索が可能となる構成は欠くことになるが、各施設等のテーブルには、緯度経度情報が格納されているので、緯度経度による検索は依然として可能となっている。情報を重複して格納していたテーブルが一つ減っただけで、原告CDDB共通部分には緯度経度による検索も含め主要な検索を行うための体系的構成が依然として維持されているので、「05緯度経度テーブル」を欠くことにより、原告CDDB主要部分の体系的構成の創作性が喪失したということはできない。 A 「07URL種別テーブル」及び「08URL分類テーブル」が欠けたことについて 次に、「07URL種別テーブル」及び「08URL分類テーブル」の2テーブルは、URLの種別と分類の補助的テーブルである。被告CDDB(新版)における原告CDDB共通部分では、これらを欠くため、URLアドレスの分類に係る検索を可能とする体系的構成はないが、各施設等に関するURLアドレスの情報自体を管理するテーブルである「06URLアドレステーブル」が残っており、施設のURLに係る検索が可能となる体系的構成を含めその余の主要な検索を行うための20テーブルによる体系的構成は依然として維持されているので、「07URL種別テーブル」及び「08URL分類テーブル」の2テーブルを欠くことにより原告CDDB主要部分の体系的構成の創作性が喪失したということはできない。 (b) 原告CDDB共通部分を構成する各テーブルにどのようなフィールド項目を選択するか、また各テーブルにどのような情報を格納するかは、主として団体旅行における顧客のニーズに合わせて原告システムを使って行程表作成の業務を行うに当たって必要となる具体的な情報が選択されて格納されている。原告CDDB共通部分における情報の選択は、原告CDDBの42テーブルの場合、原告CDDB主要部分の23テーブルの場合と同様に、基本的に綱羅的であるわけでもなく、機械的であるわけでもないので、原告CDDB共通部分の20テーブルに格納されている各情報の集合物には、情報の選択に創作性があることは明らかである。 そして、被告CDDB(現行版)及び被告CDDB(新版)のレコード件数の増加は見かけ上のものであること、区間料金、観光料金について原告CDDBが1レコードで持っていた情報を被告CDDB(現行版)及び被告CDDB(新版)では料金種別ごとに持つこと(例えば、区間料金のレコード件数は、原告CDDBの1レコードが単純に4倍に増えることで見かけ上約100万件以上レコード件数が増加となっていること)で件数が増えたこと、被告CDDB(新版)の「131施設別詳細種別マスタ」では施設に関する実質的情報ではなく、種別に関する情報としてのレコード件数が15万件以上増加していることなどからすると、被告CDDB(新版)においては、原告CDDB共通部分の20テーブルに格納されている各情報の選択における表現上の本質的特徴は維持されている。 (c) 以上のとおり、被告CDDB(新版)には、原告CDDB共通部分の体系的構成及び情報の選択における創作的表現が認識可能なかたちで残っているから、被告CDDB(新版)に原告CDDBにないテーブルやフィールドがあり、また、データが追加されたとしても、被告CDDB(新版)において原告CDDB共通部分の表現上の本質的特徴を直接感得することができるというべきである。 (d) この点に関し1審被告らは、被告CDDB(新版)と原告CDDBとを全体で比較した場合に、共通しないテーブル、フィールド項目が相当数を占め、それら相互間のリレーションの仕方にも大きな相違がみられ、また、その保有する情報量に大きな差があるため、情報の選択の創作性を有する共通部分がその一部にすぎず、相当部分が異なるから、被告CDDB(新版)から原告CDDBの体系的構成及び情報の選択における表現上の本質的特徴を直接感得することができない旨主張する。 しかしながら、被告CDDB(新版)には、原告CDDB共通部分の体系的構成及び情報の選択における創作的表現が認識可能なかたちで残っている以上、原告CDDB共通部分の表現上の本質的特徴を直接感得することができるというべきである。仮に被告CDDB(新版)全体から直接感得することができる表現上の本質的特徴と原告CDDB共通部分の表現上の本質的特徴とが異なるものであるとしても、このことは、被告CDDB(新版)において原告CDDB共通部分の表現上の本質的特徴を直接感得することができることを否定する根拠となるものではない。 したがって、1審被告らの上記主張は失当である。」 4 原判決46頁22行目冒頭の「そもそも」を「ア そもそも」と改め、同48頁2行目冒頭から14行目末尾までを次のとおり改める。 「イ 原告CDDBがその体系的な構成において創作性を有することは争わない。 しかしながら、原告CDDBは、情報の選択における創作性を有しない。すなわち、情報の選択における創作性の判断基準は、当該情報がその分野において通常なされるべき選択であって、当該データベースに特有のものと認められないか否かにあるというべきである(東京地裁平成13年5月25日判決参照)。 原告CDDBにおいて、「専ら大型観光バスによる移動を前提とする経路検索や行程表作成を可能にするという観点」から情報の選択がされているとしても、このような観点は、旅行業者向けのデータベースを制作する業者であれば誰でも考慮すべき月並みな観点であり、かかる観点からの情報の選択は、通常なされるべき選択であって、制作者の個性が表れているとはいい難く、創作性があるとはいえない。 また、専ら大型観光バスによる移動を前提とした場合、道路や代表道路地点の選択に当たっては、全ての国道及び有料道路と、一定以上の幅員があり、観光施設や観光地にアクセスしている都道府県道及び市町村道が機械的に選択されることとなるから、データベースに採用された道路や代表道路地点の道路全体に対する割合が小さいからといって、その選択に創作性があるとはいえない。 したがって、原告CDDBは、情報の選択における創作性を有しない。仮に創作性が認められるとしても、それは極めて低い創作性でしかないというべきである。」 5 原判決48頁15行目の「複製ないし翻案」を「複製物ないし翻案物」と改め、同52頁10行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「また、被告CDDB(当初版・2006年版)の全提供レコード数に占める、都道府県道及び一般道の全レコード数の割合はわずか約0.17%であり、全道路(国道、高速道路、有料道路、都道府県道及び一般道)の道路地点情報の全レコード数の割合は、わずか約1.26%にすぎない。」 6 原判決53頁16行目から17行目までの「2万7000件以上」を「約11万4000件」と改め、同頁25行目末尾に次のとおり加える。 「特に、道の駅については、運転中の休憩場所としてだけではなく観光地としての人気が高まっていることから、施設詳細種別マスタの「施設詳細種別名」フィールドに「道の駅」を追加して簡単に検索できるようにした上で、道の駅のレコード数も968件に増加させており、原告CDDBと情報の選択の点で大きな違いが生じている。」 7 原判決59頁23行目冒頭から25行目末尾までを次のとおり改める。 「加えて、原告CDDBの「21観光施設テーブル」及び「22観光施設備考テーブル」では、収録することのできる料金設定に限りがあるため、これを追加収録する際にはテーブルの設計変更が必要となるのに対し、被告CDDBでは、「25観光料金種別マスタ」を設けることにより、多様な料金設定の登録ができるようになっており、原告CDDBにはなかった創作的表現が新たに創出されている。また、被告CDDB(当初版・2006年版)の「観光種別マスタ」及び「観光詳細種別マスタ」は、独自の工夫がされたフィールド項目やリレーションの存在に照らして創作性があることは明らかであり、原告システムに「観光施設種別テーブル」及び「観光施設検索タイトルテーブル」が存在することをもって、これらのテーブルの創作性を否定することはできない。 以上のとおり、旅行業者向けシステムにとって最も重要かつ本質的な特徴といえる施設情報において、被告CDDB(当初版・2006年版)は、原告CDDBとは全く異なる独自の設計思想に基づいて情報の格納を行い(乙19)、テーブルの内容(種類及び数)、フィールド項目の内容(種類及び数)、各テーブル間の関連付けのあり方(リレーション)が原告CDDBと全く異なるから、被告CDDB(当初版・2006年版)は、原告CDDBと体系的な構成が全く異なる。 この点に関し、原判決は、被告CDDB(当初版・2006年版)の「21施設マスタ」、「29旅館マスタ基本」及び「23観光マスタ基本」は、原告CDDBの「20ホテル・旅館テーブル」及び「21観光施設テーブル」と実質的に一致するテーブルである旨判断した。 しかしながら、上記のとおり、被告CDDB(当初版・2006年版)では、電話番号や住所などの施設の基本情報を、宿泊施設や観光施設といった施設類型の区別なく、全て1つのテーブルに格納するために、「29旅館マスタ基本」テーブル、「23観光マスタ基本」テーブルとは別に、これらの上位テーブルとして「21施設マスタ」テーブルを設置し、これにより、「29旅館マスタ基本」テーブル、「23観光マスタ基本」テーブルと並列して、宿泊施設・観光施設以外の施設類型(食事施設や公共施設など)のテーブルを増やすことができ、かつ、これらを上位テーブルの「21施設マスタ」テーブルで検索できる設計構造となっており、被告CDDB(当初版・2006年版)の上記3テーブルと、原告CDDBの上記2テーブルとは、テーブル数、フィールド項目及びテーブル間のリレーションがいずれも大きく異なるから(乙27の別紙1及び2)、一致しないテーブルであることは明らかである。 したがって、原判決の上記判断は誤りである。」 8 原判決65頁21行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「すなわち、原告CDDBでは、便情報を「39便テーブル」及び「40運行日定義テーブル」の2テーブルに格納しているため、「39便テーブル」のレコードだけでは検索日に運航する便であるか不明であるのに対し、被告CDDB(現行版)では、便情報を「44便マスタ」の1テーブルのみで格納しているため、このテーブルのみにより検索日に運航する便であるかどうかを確認できる。また、原告CDDBの「40運行日定義テーブル」では、「パターン範囲開始日」、「パターン範囲終了日」、「運行日指定年月」、「運行日指定ビット1月分」ないし「運行日指定ビット12月分」の各フィールドにより、1年365日のうち1日単位での多様な運行日を設定することができるが、被告CDDB(現行版)の「44便マスタ」にはこれらのフィールドは存在せず、あくまでも曜日及び祝祭日の単位での運行日設定にとどめている。さらに、原告CDDBの「39便テーブル」の「運転日注意有無」、「JR列車番号」、「JR予約コード」の各フィールドに相当するフィールドは被告CDDB(現行版)の「44便マスタ」には存在しない。 このように被告CDDB(現行版)の「44便マスタ」は、原告CDDBの「39便テーブル」、「40運行日定義テーブル」及び「41時刻テーブル」とは大きく異なっており、これら3テーブルを実質的に正規化したにすぎないものではない。 また、被告CDDB(現行版)の「46路線構成マスタ」、「43路線マスタ」、「45時刻マスタ」及び「44便マスタ」と原告CDDBの「33路線構成テーブル」、「34路線テーブル」、「36路線検索テーブル」、「39便テーブル」及び「40運行日定義テーブル」とは、一見するだけでもテーブル数、フィールド項目及びリレーションがいずれも大きく異なっており(乙27の別紙1及び2)、一致しないテーブルであることは明らかである。」 9 原判決66頁10行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「(f) 被告CDDB(現行版)と原告CDDBの体系的構成が異なること前記のとおり、被告CDDB(当初版・2006年版)は、テーブルの内容(種類及び数)、フィールド項目の内容(種類及び数)、各テーブル間のリレーションが原告CDDBと全く異なっていたところ、被告CDDB(現行版)の開発に当たっては、外注先を当初版・2006年版開発時の業者から新しい業者に変更した上で全面的に見直しを図り、被告CDDB(現行版)を再構築したため、テーブルの内容(種類及び数)、フィールド項目の内容(種類及び数)、各テーブル間のリレーションにおける原告CDDBとの違いは甚だしくなっており(乙27の別紙1及び2)、被告CDDB(現行版)と原告CDDBの情報検索のための論理構造は全く異なるといわざるを得ず、両CDDBは体系的な構成が大きく異なっている。このことは、被告CDDB(現行版)と原告CDDBとのテーブル一致率が約18.2%(一致テーブル10個)、フィールド一致率が21.1%(一致フィールド115個)と、いずれも極めて低下していることからも明らかである。そして、原告CDDBの創作的表現の本質的特徴は、原告CDDB(42個のテーブル、405個のフィールド及びリレーション)全体に包含されているはずであるから、被告CDDB(現行版)と原告CDDBにおいて、わずかテーブル10個及びフィールド115個のみが一致していることをもって、原告CDDB全体の創作的表現の本質的特徴の同一性が維持されているとは到底いえない。 この点に関し、原判決は、@被告CDDB(現行版)の「3都道府県マスタ」と原告CDDBの「02地区・県名テーブル」、A被告CDDB(現行版)の「37単経路マスタ」、「38禁止経路マスタ」、「39区間料金マスタ」及び「40通行料金マスタ」と原告CDDBの「11接続テーブル」、「12禁止乗換テーブル」、「14区間料金テーブル」及び「15首都高速料金テーブル」、B被告CDDB(現行版)の「21施設マスタ」、「29宿泊施設マスタ」、「23観光施設マスタ」及び「26観光料金マスタ」と原告CDDBの対応するテーブルとは、いずれも実質的に一致する旨判断した。 しかしながら、上記@については、被告CDDB(現行版)の「3都道府県マスタ」には、原告CDDBの「02地区・県名テーブル」においてプライマリー・キーが設定された「地区コード」フィールドは存在しておらず、「02地区・県名テーブル」にはない「表示順」、「作成日時」、「更新日時」、「削除区分」、「都道府県名英字」の各フィールドがあり、また、「作成日時」、「更新日時」、「削除区分」の各フィールドにより、いつデータを論理的に作成、更新、削除したのかを把握することができ、データの発生から変更、削除に至るまでの痕跡を記録しておくことが可能となり、これにより、例えば、利用者の売上データ改竄などの不正防止に役立つなど、つじつまの合わないデータの発見、追跡が容易となる。これらのフィールドの有無は、データベース上のテーブルにおいて重要な違いであるから、被告CDDB(現行版)の「3都道府県マスタ」と原告CDDBの「02地区・県名テーブル」が実質的に一致するテーブルであるとの原判決の判断は誤りである。 次に、上記Aについては、前記(C)で述べたとおり、被告CDDB(現行版)の「37単経路マスタ」及び「38禁止経路マスタ」において新たに導入した「経路」、「禁止経路」の概念と、原告CDDBの「11接続テーブル」、「12禁止乗換テーブル」における「接続」、「禁止乗換」の概念は全く異なっている。また、被告CDDB(現行版)の「39区間料金マスタ」及び「40通行料金マスタ」と原告CDDBの「14区間料金テーブル」及び「15首都高速料金テーブル」についても、フィールド項目が大きく異なっていることに加えて、被告CDDB(現行版)の「39区間料金マスタ」及び「40通行料金マスタ」は、「道路料金区分」フィールドを備え、柔軟な設計となっている点で異なっており、被告CDDB(現行版)の「37単経路マスタ」、「38禁止経路マスタ」、「39区間料金マスタ」及び「40通行料金マスタ」と原告CDDBの「11接続テーブル」、「12禁止乗換テーブル」、「14区間料金テーブル」及び「15首都高速料金テーブル」は、実質的にも形式的にも一致しないから、原判決の上記判断は誤りである。 さらに、上記Bについては、前記のとおり、被告CDDB(当初版・2006年版)の「21施設マスタ」、「29旅館マスタ基本」及び「23観光マスタ基本」と原告CDDBの「20ホテル・旅館テーブル」及び「21観光施設テーブル」とは大きく異なっているし、被告CDDB(当初版・2006年版)の「26観光料金マスタ」も、原告CDDBの「22観光施設備考テーブル」と大きく異なっており、これらは全く一致しないテーブルである。そして、被告CDDB(現行版)の「21施設マスタ」、「29宿泊施設マスタ」、「23観光施設マスタ」及び「26観光料金マスタ」では、被告CDDB(当初版・2006年版)から多くのフィールドの変更が加えられ(乙27の別紙2)、原告CDDBの各テーブルより一層大きく異なっているから、被告CDDB(現行版)の「21施設マスタ」、「29宿泊施設マスタ」、「23観光施設マスタ」及び「26観光料金マスタ」と原告CDDBの対応するテーブルが実質的に一致するテーブルであるとの原判決の判断は誤りである。」 10 原判決70頁6行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「次に、被告CDDB(新版)では、「46路線構成マスタ」において「出発駅コード」と「到着駅コード」とを別のフィールド項目としたため、例えばフェリー検索の際、当該港を出「33路線構成テーブル」において、出発駅(港)と到着駅(港)を区別せずに「駅番号」フィールドを設けているため、当該港を出発港とする路線情報を取得できず、一方通行の航路については適切な検索結果を得られない。 また、被告CDDB(新版)では、立山黒部アルペンルートの路線の全てが立ち寄り順も分かる形で一覧表示できるよう、駅名にアルペンルートの名称を登録することで「アルペン」と名称検索するだけで長野側からも富山側からも路線検索ができるようにした上で、「43路線マスタ」に「集約路線コード」フィールドを設けており、アルペンルートの立ち寄り順を知らない場合でも、アルペンルートを利用する行程表を短時間で容易に作成することが可能となっている。」 11 原判決70頁20行目の「被告CDDB」を「被告CDDB(新版)」と、同頁22行目冒頭の「テーブル構造」を「a テーブル構造」と改める。 12 原判決71頁18行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「b 原告CDDBの42テーブルと被告CDDB(新版)の29テーブルを比較すると、原告CDDBのみに存在するテーブルが23テーブル、被告CDDB(新版)のみに存在するテーブルが9テーブルもある上、被告CDDB(新版)の「46路線構成マスタ」、「43路線マスタ」、「45時刻マスタ」、「44便マスタ」、「29宿泊施設マスタ」、「21施設マスタ」、「23観光施設マスタ」、「26観光料金マスタ」、「3都道府県マスタ」、「37単経路マスタ」、「38禁止経路マスタ」、「39区間料金マスタ」及び「40通行料金マスタ」の13テーブルは、対応する原告CDDBの各テーブルと実質的に異なっている。しかも、これらの13テーブルは、各テーブル内のフィールド項目についても、対応する原告CDDBの各テーブルのフィールド項目と全く異なっている。 また、被告CDDB(新版)の「4市区町村マスタ」、「31URLマスタ」、「35地点マスタ」、「36道路マスタ」、「42交通会社マスタ」、「41交通機関マスタ」及び「47駅マスタ」の7テーブルは、旅行業者をターゲットにして観光施設・宿泊施設や道路の情報を格納する旅行業者向けデータベースである以上、当然に必要不可欠なテーブルであり、いわば存在して当たり前のテーブルであるから、このような創作性の余地のないテーブルの一致をもって同一の体系的構成と判断することはできない。 c 原告CDDBと被告CDDB(新版)とで一致するフィールドのほとんどは、@都道府県コードや市区町村コード、都道府県名や市区町村名、それらの読み仮名などの公知の情報に基づくフィールドや、A「4市区町村マスタ」の緯度・経度、「31URLマスタ」のURL、「35地点マスタ」の地点コード・地点名・地点名カナ、「37単経路マスタ」の所要時間・距離、「45時刻マスタ」の出発時刻・到着時刻など存在するのが当然のフィールド、B郵便番号・電話番号・FAX番号などのように、そもそも独自性・創作性のある情報ではないフィールド、C「23観光施設マスタ」の休館日・開館時間、「26観光料金マスタ」の観光料金、「29宿泊施設マスタ」の客室数(洋)・客室数(和)・チェックイン時間・チェックアウト時間など観光施設や宿泊施設の情報として必要不可欠なフィールドであり、このような創作性の余地のないフィールドの一致をもって同一の体系的構成と判断することはできない。」 d これに対し1審原告は、被告CDDB(新版)は、原告CDDBと一致するテーブル20個及びフィールドにおいて原告CDDBの体系的構成が維持されており、上記維持されている部分から体系的構成の本質的な特徴を直接感得できる旨主張する。 しかしながら、データベースの著作物として保護されるのは情報の選択又は体系的構成において創作性を有するものであり、著作権法が、個々の論文、数値、図形その他の情報それ自体ではなく、これらの「集合物」であるデータベース自体に著作物性を認めた趣旨に鑑みると、両データベース間に体系的構成において共通点があり、その共通点において、データベースの表現としての創作性のある部分が一部含まれているとしても、両データベース全体を比較した場合に、共通しないテーブル及びフィールド項目が相当数を占め、また、それら相互間のリレーションの仕方にも大きな相違がみられるため、体系的な構成として創作性を有する共通部分がその一部にすぎず、相当部分が異なる場合には、体系的構成においてもその創作的表現の本質的特徴を直接感得できないというべきであり、そのような場合、両データベースはもはや別個のものである。また、同様に、たとえ両データベース間に情報の選択において共通点があり、その共通点において、データベースの表現としての創作性のある部分が一部含まれているとしても、両データベース全体を比較した場合に、その保有する情報量に大きな差があるため、情報の選択として創作性を有する共通部分がその一部にすぎず、相当部分が異なる場合には、もはや情報の選択においてその表現の本質的特徴を直接感得できると評価することはできないというべきである。 原告CDDBの対応するテーブルと一致する被告CDDB(新版)のテーブルは、「4市区町村マスタ」、「31URLマスタ」、「35地点マスタ」、「36道路マスタ」、「47駅マスタ」、「42交通会社マスタ」及び「41交通機関マスタ」の7テーブルだけ(乙27の別紙1)である。また、被告CDDB(新版)では、「21施設マスタ」の下位のテーブルとして、「130食事土産マスタ」が、施設の種別に関して大分類、中分類、小分類のテーブルとして、「132施設種別マスタ」、「133施設詳細種別マスタ」、「131施設別詳細種別マスタ」がそれぞれ被告CDDB(新版)固有のテーブルとして追加された上、被告CDDB(現行版)から多くのテーブル・フィールドに変更(追加・削除)が加えられた。その結果、テーブルの内容(種類及び数)、フィールド項目の内容(種類及び数)、各テーブル間のリレーションにおいて、被告CDDB(新版)と原告CDDBとの違いは甚だしくなっており(乙27の別紙1及び2)、両CDDBの情報検索のための論理構造は全く異なるといわざるを得ず、両CDDBは体系的な構成が大きく異なっている。このことは、被告CDDB(新版)と原告CDDBとのテーブル一致率が約11.5%、フィールド一致率が約13.4%と、わずか10%程度にまで低下していることからも明らかである。 このように被告CDDB(新版)は、原告CDDBと共通しないテーブル、フィールド項目が相当数を占めており、それら相互間のリレーションの仕方にも大きな相違がみられる。 したがって、被告CDDB(新版)と原告CDDBの全体を比較した場合、被告CDDB(新版)から原告CDDBの体系的構成の本質的特徴を直接感得できるということはできないから、1審原告の上記主張は失当である。」 13 原判決72頁8行目冒頭から9行目末尾までを次のとおり改める。 「そして、被告CDDB(現行版)は、その販売期間が平成19年5月から平成23年2月までの約3年9か月もの長期間に及んでおり、かつバージョンもVer2.0 からVer3.1 までの多岐にわたっているため、宿泊施設・観光施設等の施設の新設・名称変更・廃止等や、高速道路・有料道路の料金改定・新規開通等に伴って、膨大な量のデータの変更が加えられ、情報の選択においても、原告CDDBとは全く異なる内容となっている。 例えば、施設情報は、被告CDDB(現行版)のVer2.99 では、施設マスタのレコード件数が約15万件になり、被告CDDB(当初版)のレコード件数(約5万7000件)の約2.6倍にまで増加し、さらに各種施設の新設・閉館や住所・料金等の内容変更などに伴い、被告CDDB(当初版・2006年版)から約11万4000件ものデータを修正した。また、被告CDDB(現行版)のVer2.96 において、施設に関する緯度経度データは全て更新している。なお、施設情報に関するレコード数は、原告CDDBが28万9401件であるのに対し、被告CDDB(現行版)のVer2.99 は65万3184件であり、単純比較でも被告CDDB(現行版)は原告CDDBの2.2倍以上のデータ量となっている。 次に、道路情報については、被告CDDB(現行版)のVer2.94 において、地点に関する緯度経度データは全て更新されている。これにより、地点マスタの「地点コード」(1〜12789の1万2789地点)の緯度経度情報のうち、原告CDDBと緯度及び経度が完全に一致したのはわずか819地点(約6.4%)となったが、これら819地点についても、手作業によるマウスクリックの結果、偶然に原告CDDBの緯度経度情報に一致したにすぎず、原告CDDBに依拠したものでは全くない。また、被告CDDB(現行版)において、顧客のニーズに対応するため、地点・道路、高速道路料金等のデータの大幅な拡充を行った結果、被告CDDB(現行版)のVer2.99 では、レコード件数が、地点マスタ約2万2300件、道路マスタ約4800件、単経路マスタ約6万6000件、区間料金マスタ約176万8000件となり、被告CDDB(当初版)のレコード件数(地点マスタ約1万2800件、道路マスタ約2700件、接続マスタ約3万7000件、料金マスタ約36万3300件)からそれぞれ大幅に増加され、既存のデータについても、最新の情報に合わせて多数のデータが更新されている(乙44)。この結果、道路情報に関するレコード数は、原告CDDBが45万0692件であるのに対し、被告CDDB(現行版)のVer2.99 は186万3796件に達しており、単純比較でも被告CDDB(現行版)は原告CDDBの約4.1倍ものデータ量となっている。 さらに、交通情報について、被告CDDB(現行版)において、「駅すぱあと」に収録されていないフェリー、ケーブルカー、ロープウェイの交通機関に対応するため、便マスタ、時刻マスタ等のテーブルを新設し、フェリーガイドやホームページ等を確認した上で、交通会社、時刻表、便名等のデータを新たに追加した。交通情報に関するレコード数は、原告CDDBが16万3993件であるのに対し、被告CDDB(現行版)のVer2.99 は2万6771件であり、単純比較でもデータ量に顕著な差が生じている。エリア情報についても、被告CDDB(現行版)において、都道府県マスタ及び市区町村マスタのデータを全て入力し直し、また、被告CDDB(現行版)のVer2.96 において、エリアに関する緯度経度データは全て更新した。 なお、そもそも、主要な宿泊施設・観光施設や国道・高速道路・有料道路・都道府県道などの情報は、主に団体旅行を企画する旅行業者をターゲットにして観光施設・宿泊施設や道路の情報を格納する旅行業者向けデータベースである以上、必要不可欠な情報にほかならず、その選択に創作性が加わる余地はないから、このような情報について被告CDDB(現行版)と原告CDDBに一致しているものがあるとしても、著作権侵害が生じることはあり得ない。 このほか、具体的なデータの入力等については、前記(ア)で詳述したとおりである。」 14 原判決73頁26行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「仮に被告CDDB(新版)と原告CDDB間に体系的構成又は情報の選択において共通点があり、その共通点において、データベースの表現としての創作性のある部分が含まれているとしても、前記のとおり、個々の「論文、数値、図形その他の情報」それ自体ではなく、あえてこれらの「集合物」であるデータベース自体に著作物性が認められていることに鑑みると、「集合物」であるデータベースの翻案該当性を判断するに当たり、データベースのうちの特定の部分だけを比較するのは不適切であり、データベース全体を比較してどの程度一致しているかを検討すべきである。 この点、原告CDDBの創作的表現の本質的特徴は、原告CDDBの42個のテーブル及び405個のフィールド全体に包含されている。 そして、前記のとおり、被告CDDB(新版)と原告CDDBの全体を比較した場合には、共通しないテーブル及びフィールド項目が相当数を占め、また、それら相互間のリレーションの仕方にも大きな相違があり、さらに、その保有する情報量に大きな差があり、体系的な構成又は情報の選択において創作性を有する共通部分はその一部にすぎず、相当部分が異なっている。 したがって、被告CDDB(新版)には、原告CDDBの体系的構成又は情報の選択における創作的表現の本質的特徴が存在し、維持されているとはいえず、その本質的特徴を直接感得することはできないから、原告CDDBの複製物ないし翻案物には当たらないというべきである。」 15 原判決75頁19行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「そして、1審被告アゼスタと個人の1審被告らは著作権侵害を共同不法行為として行っているのであるから、1審被告アゼスタのみならず、個人の1審被告らに対しても、著作権侵害行為の差止めの必要があるというべきである。このことは、法人の代表者、使用人等の従業者が法人の業務に関して、著作権侵害行為を行っている場合、行為者である従業者個人を罰することに加え、法人に罰金が科されるのは(著作権法124条)、まず自然人(個人)の行為が刑罰の対象となるとともに、差止対象となる著作権侵害行為に該当するからこそ、法人の行為も刑罰の対象となるとともに、差止めの対象となる著作権侵害行為と規範的に評価されることに照らしても、明らかである。 また、1審被告らの差止めの対象となる行為には、翻案行為も含まれるというべきである。 この点に関し、原判決は、被告CDDBを翻案する行為には広範かつ多様な態様があり得るから、1審原告の請求は、差止めの対象となる具体的な行為を特定することなく、多様な態様を含みうる翻案行為の全てを差止めることを求めるものであり、内容の限定されない態様を含むものとして、その差止めの必要性を認めることはできない旨判断した。 しかしながら、1審被告らの著作権侵害態様には翻案行為も含まれること、翻案行為が、複製行為と比べて特段内容の限定されない態様を含むものとはいえないこと、差止めの対象となる翻案行為の客体は、別紙物件目録1ないし22記載の各データベースに特定されていることからすると、1審被告らの翻案行為についても差止めの必要があるというべきであるから、原判決の上記判断は誤りである。」 16 原判決75頁26行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「また、仮に1審被告アゼスタによる被告CDDBの製造、販売について原告CDDBの著作権侵害が成立するとしても、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3、1審被告Y4、1審被告Y6及び1審被告Y5には、以下のとおり、故意又は過失がないから、損害賠償義務を負わない。 ア 1審被告Y1について 1審被告Y1は、データベースやシステムに関する専門知識はない上、翼システムに在籍したこともなく、1審原告の企業秘密に接する機会もなかった。また、1審被告Y1は、被告CDDBをゼロから構築すべく必要な手当てをし、1審原告社内にあった原告CDDBのメンテナンスCDのデータの一部を利用することとした際にも、当該データをそのまま被告CDDBに利用するのではなく、旅行業者向けのデータベースに格納する情報としては当然かつありふれた客観的なデータの正誤を確認し必要な修正等を加えた上で利用するよう指示するなど、あくまで参考として利用するよう慎重な配慮を行っていた。 したがって、1審被告Y1は、被告CDDBの開発及び販売のいずれについても、原告CDDBの著作権侵害についての過失はない。なお、システムリプレースの文書を送付していることは、著作権侵害についての過失を裏付ける理由にならない。 イ 1審被告Y2について 1審被告Y2が1審被告アゼスタの取締役に就任したのは、平成19年2月であり、被告システムの販売を開始した平成18年6月よりも後のことである。また、1審被告Y2は、専ら営業担当の人間であり、過去に翼システムにおいて原告システムの会議に参加して意見を述べたことはあったが、営業先の顧客からの要望をフィードバックし、パッケージソフトウェアとして、どのような機能が入っていればよいか、どのような画面や操作性がよいかを営業の立場すなわち顧客の視点から伝えていたものにすぎず、データベースの設計・構造において、具体的にどのようなテーブル、フィールド、リレーションとなっていればよいかについての知識などは全くなかった。また、1審被告Y2は、開発担当者の指示により、被告CDDBの単純なデータ入力作業の一部を行ったことがあったが、旅行業者向けのデータベースに格納する情報としては当然かつありふれた客観的なデータを開発担当者から渡され機械的に入力したにすぎない。 したがって、1審被告Y2は、そもそもデータベースの設計・構造についての知見がない上、被告CDDBの開発行為に一切関与していないから、被告CDDBの開発について過失はない。また、1審被告Y2は、被告CDDBを営業担当者として販売した際には、あくまで1審被告アゼスタが開発した被告CDDBを販売しているという認識を有していたにすぎず、著作権侵害の組成物であるCDDBを販売しているという認識がない以上、販売についても過失はない。 ウ 1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6について 1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6は、1審被告Y2と同様に、そもそもデータベースの設計・構造についての知見がない上、被告CDDBの開発行為に一切関与していないから、被告CDDBの開発について過失はなく、また、被告CDDBを営業担当者として販売した際には、あくまで1審被告アゼスタが開発した被告CDDBを販売しているという認識を有していたにすぎず、著作権侵害の組成物であるCDDBを販売しているという認識がない以上、販売についても過失はない。特に1審被告Y6については、1審被告アゼスタが平成18年6月に被告システムの販売を開始した後の同年10月に1審被告アゼスタに入社しており、被告CDDBの開発に全く関与していないことは明らかであり、入社後も西日本担当として販売活動を行っており、東京本社にいることもほとんどなく、単純なデータ入力にすら一切関与していない。 エ 1審被告Y5について 1審被告Y5は、被告CDDBの開発に際して、著作権侵害とならないように慎重な配慮を尽くしているから、過失はない。また、1審被告Y5は、被告CDDBの販売には全く関与していないから、少なくとも販売については過失はない。」 17 原判決76頁1行目を「3 争点(3)(一般不法行為に基づく損害賠償請求の成否(選択的主張))」と、同87頁3行目の「損害賠償義務」を「損害賠償責任」とそれぞれ改める。 18 原判決88頁7行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「これに対し1審被告らは、原告CDDBが原告システムの一部を構成するにすぎないことなどから、1審原告の主張する損害はほとんどが減殺されるべきである旨主張する。 しかしながら、著作権法114条1項は、「侵害の行為がなければ販売することができた物」(製品)の単位数量当たりの利益の額を基礎として、侵害による逸失利益を損害として推定する規定である。したがって、たとえ著作権の及ぶ範囲が販売される物(製品)の一部に関するものであったとしても、侵害品の販売行為によって、権利者は物(製品)全体を販売できなかったのであるから、権利者の逸失利益は物(製品)全体における利益の額について算定すべきである。 本件でも、被告CDDBを含む被告システムが1本販売されることにより、原告CDDBを含む原告システム1本が販売できなくなったという関係(代替関係ないし相互補完性)があるから、原告システム1本を販売できなくなったことによる1審原告の逸失利益は、原告システム1本全体の販売に係る限界利益となるというべきであり、1審原告の逸失利益を製品全体に対する原告CDDBの寄与率によって減ずる理由はない。 したがって、1審被告らの上記主張は失当である。」 19 原判決88頁14行目冒頭から16行目末尾までを次のとおり改める。 「(ア) 被告システムの販売に係る1審原告の逸失利益は、原告システム「旅行業システムSP」のTR−P4(甲68)に基づいて計算すべきである。少なくとも、1審被告らが認める被告システムの販売本数のうち、約62%が原告システムTR−P4と代替関係にある被告システムPro-2 であるから、1審原告が販売できた本数の62%は、原告システムTR−P4(システム価格220万円)に基づいて計算すべきである。詳細は以下のとおりである。」 20 原判決89頁17行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「これに対し、1審被告らが行ったのが1審原告の顧客に対する原告システムについてのリプレース販売であり、これらの顧客には既に1審原告の営業担当者がついていた以上、1審被告アゼスタが販売した数量の原告システムを1審原告が追加的に販売したとしても、追加的な人件費は発生しないから、これを変動経費として売上高から控除すべきではない。」 21 原判決89頁24行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「(イ) この点に関し、原判決は、原告システムの限界利益率を33%と算定した上で、原告システムにおける原告CDDBの寄与率を50%と認定し、原告システムの1本当たりの販売価格に、寄与率、限界利益率を乗じて、原告CDDBの著作権侵害に係る著作権法114条に基づく損害額を1億0715万1000円と認定した。 しかしながら、原判決の算定方法に従って計算すれば、33%は、限界利益率ではなく、経費率であることは明らかであるから、原判決には、限界利益率と経費率を取り違えた誤りがある。 また、前記のとおり、著作権法114条1項に基づき1審原告の逸失利益の損害額を推定する際に、算定された逸失利益の損害額全体から販売された物(製品)全体に対する対象著作物の寄与率によって損害額を減じることは誤りである。 したがって、原判決の上記損害額の認定は誤りである。」 22 原判決90頁1行目冒頭に、改行の上、次のとおり加える。 「原告システムにおいては、各種データは常に最新でなければ意味をなさないため、特段の事情がない限り、原告システムを購入するユーザーは原告との間でデータメンテナンス契約を締結してデータ更新のためのメンテナンスCDの提供を受けることになる。したがって、著作権を侵害する被告CDDBを含む被告システムの販売がされなければ原告システムが販売されており、原告システムが販売されていれば、データメンテナンス契約が締結されていたのであるから、著作権侵害とデータメンテナンス契約による逸失利益の損害には相当因果関係がある。」 23 原判決92頁14行目の「予備的主張」を「選択的主張」と改め、同頁15行目冒頭から16行目末尾までを次のとおり改める。 「1審被告らの行為が一般不法行為を構成することを理由とする1審原告の損害額も、上記著作権侵害に基づく損害額と同額(合計9億1037万0978円)である。」 24 原判決93頁26行目末尾に、次のとおり加える。 「加えて、1審被告アゼスタは、被告CDDBの当初版・2006年版、現行版、新版に関して、その体系的な構成及び情報の選択(情報の質・量及び格納方法)について継続的に改良を行っており、バージョンアップするごとに原告CDDBとの差異はより一層大きくなっているから、損害額の減殺の程度は、バージョンが進むにつれてより一層大きくしなければならない。 特に、被告CDDB(現行版)については、約4年もの長期にわたり販売され、別表1のとおり、4期にわたり体系的な構成が大きく変更され、レコード数が激増しており、各期毎の損害額の減殺の程度は大きく異なるべきである。 25 原判決94頁17行目の「(乙36の1〜26)、」の後に「TR−P1の合計17本の販売数の平均販売価格は約100万円(100万1350円。定価の約4割引)にすぎず、」を加える。 26 原判決95頁10行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「また、一般管理費(給料、賞与その他の人件費、通信費、旅費交通費及び賃借料等の諸費用)、営業外損益(支払利息、割引料及びその他の営業外費用から、受取利息及び雑収入等の営業外収益を差し引いたもの)及び特別損益を総売上高に対する侵害品の売上高の割合により按分したものについても、侵害品の製造・販売行為と無関係に生じている費用であるとはいえないのであるから、著作権法114条1項にいう「利益」は、限界利益ではなく、純利益と解すべきである。「その他管理費」の内訳に関係なく、売上げから「その他管理費」全額が控除されるべきであり、それに加え「広告宣伝費」や「人件費」も控除されるべきである。」 27 原判決95頁21行目冒頭の「原告は、」を「ア 1審原告は、」と改め、同96頁12行目末尾に次のとおり加える。 「このように旅行業者向け行程表作成システムは、被告システム及び原告システム以外にも、他社が販売する複数のシステムが販売において競合し、それぞれのシステム間で代替可能である。」 28 原判決97頁15行目の「受けている。」の後に次のとおり加える。 「例えば、被告CDDBは、被告システムが導入している拠点間ネットワークシステム(本部と支社のシステムをネットワークで結び、顧客情報や顧客に提示した行程表・見積書など社内でのデータの新規登録、更新、削除を共有できるネットワークシステム)に対応できるデータベースであり(実際に被告システムの導入先のうち、20社が拠点間ネットワークシステムを取り入れ、本部・支社間でデータの共有を行っている(乙50)。)、これに対応していない原告システム及び原告CDDBに対し機能的に優位にあるから、原告CDDBとの間で競合関係にはない。加えて、1審原告は、平成21年、原告システムの後継機種として「トラベルート・ドット・エヌエス」という新システムの販売を開始し、原告システムの販売を放棄しているから、被告システムが販売されなければ原告システムが販売されるという関係にはない。」 29 原判決97頁22行目冒頭から24行目末尾までを次のとおり改める。 「以上の諸事情に照らすと、被告システムが販売されなければ、原告システムが販売され、データメンテナンス契約も締結されるといった単純な二者択一の関係は存在せず、被告CDDBと原告CDDBとの間においてのみ代替関係があるということはないから、被告CDDBの販売と1審原告の受けた損害との間には相当因果関係は存在しない。 また、上記諸事情は、著作権法114条1項ただし書の「譲渡等数量の全部又は一部に相当する数量を著作権者等が販売することができないとする事情」に当たるというべきである。被告システムの売上本数の達成は、豊富な収録レコード数(約2.6倍)、データメンテナンス及びサポート体制の充実、担当者の旅行業者向けシステムにおける経験・ノウハウ、データベース部分以外の優位性(行程表・見積書等のエクセル出力機能、旅行行程の検索結果の地図上でのリアル表示機能、オンラインアップデート機能、拠点間ネットワーク機能、最新OSへの即時対応やEDカードの新様式への即時対応等)などの面で原告システムより優位性を有しており顧客吸引力を有していたからにほかならない。 加えて、被告システムの販売先のうち、1審被告アゼスタとの契約を終了し、1審原告と契約した先が、判明しているだけで4社あり、これらの4社については、1審原告が最終的には原告システムを販売できていることから、当該本数の売上げや利益については、損害賠償額の算定対象から除外すべきである。 イ 原判決は、1審原告の損害額の算定に当たり、原告システムにおける原告CDDBの寄与率を50%と認定したが、上記認定は、寄与率を不当に高く認定したものであるから、誤りである。 すなわち、そもそも原告CDDBは、行程・見積機能が参照する一部のデータしか有しておらず、当該部分は、原告データベースの旅行業者向けシステムとしての本質的機能(旅行業者がその業務を遂行する上で必要不可欠な行程表・見積書の作成及び出力、売上・集計・顧客管理のトータルサポート)の一部分にすぎない。そのテーブル数及びフィールド数においても、原告データベース全体が60個のテーブル、938個のフィールドから構成されるのに対し、原告CDDB部分は1審原告の主張によっても42個のマスターテーブル(データベース全体の70%のテーブル)と405個のフィールド(全体の43%のフィールド)を有するにとどまっている。さらには、顧客への販売対象となっている原告システムは、デジタルデータの集合体とこれを管理・処理するコンピュータ・プログラムにより構成され、これらが不可分一体となって稼働するものであるところ、原告CDDB部分は、プログラム等を含めた原告システム全体の一部であるデータベース部分のさらにその一部にすぎない。 このような原告システムにおける原告CDDB部分の位置づけからすると、原判決が認定した寄与率50%は、原告システムにおける原告CDDB部分の位置づけの評価を誤ったものであり、不当に高いといわざるを得ない。加えて、原告CDDBと被告CDDBは一致しない部分が多くあることから、このことも寄与率の判断において評価されるべきであり、この点を全く評価していない原判決の認定は誤りである。」 第4 当裁判所の判断 1 認定事実 次のとおり訂正するほか、原判決「事実及び理由」第4の1(原判決97頁26行目から同129頁1行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。 原判決116頁14行目冒頭から同117頁11行目末尾までを次のとおり改める。 「ク 原告CDDBにおける各テーブルの概要及び主な体系的構成原告CDDBは、上記のとおり、42個のマスターテーブル、405個のフィールド項目からなり、原告CDDBの各テーブルの概要については、原判決別紙1記載のとおりである。 そして、原告CDDBにおいては、以下のとおり、@出発地、経由地、目的地に面した道路に関するデータの検索、A道路を利用した移動に関する経路探索・料金の算出、Bホテル・旅館、観光施設に関する情報の検索、C会社を特定して行う公共交通機関を利用した経路探索、D道路と地図を関連付けて行う地図からの検索、道路地点、ホテル・旅館、観光施設、駅について市区町村、地区・県名からの検索を行うために、各々列挙された各テーブルの体系的構成が構築されている。 (ア) 代表道路地点の情報を用いて、下記の7テーブルにより、出発地、経由地、目的地に面した道路に関するデータの検索を可能とする体系的構成(以下「体系的構成@」という。) 「01市区町村テーブル」、「32駅テーブル」、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「09地点名テーブル」、「11接続テーブル」、「10道路テーブル」(イ) 代表道路地点の情報を用いて、下記の6テーブルにより、道路を利用した移動に関する経路探索・料金の算出を可能とする体系的構成(以下「体系的構成A」という。) 「09地点名テーブル」、「10道路テーブル」、「11接続テーブル」、「12禁止乗換テーブル」、「14区間料金テーブル」、「15首都高速料金テーブル」 (ウ) 下記の7テーブルにより、ホテル・旅館、観光施設に関する情報の検索を可能とする体系的構成(以下「体系的構成B」という。) 「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「22観光施設備考テーブル」、「05緯度経度テーブル」、「06URLアドレステーブル」、「07URL種別テーブル」、「08URL分類テーブル」 (エ) 下記の8テーブルにより、会社を特定して行う公共交通機関を利用した経路探索を可能とする体系的構成(以下「体系的構成C」という。) 「32駅テーブル」、「33路線構成テーブル」、「34路線テーブル」、「36路線検索テーブル」、「39便テーブル」、「40運行日定義テーブル」、「42会社テーブル」、「43交通機関種別テーブル」(オ) 下記の6テーブルにより、道路と地図を関連付けて行う地図からの検索、道路地点、ホテル・旅館、観光施設、駅について市区町村、地区・県名からの検索を可能とする体系的構成(以下「体系的構成D」という。) 「01市区町村テーブル」、「02地区・県名テーブル」、「09地点名テーブル」、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「32駅テーブル」」 2 争点(1)(被告CDDBが原告CDDBに依拠して作成された複製物ないし翻案物といえるか)について (1) データベースの複製ないし翻案について ア 前記第2の2の前提事実及び前記1の認定事実によれば、原告CDDBは、入力される個々の情報(データ)の集合体が、縦の列と横の行から構成される表であるテーブルに格納され、テーブルの縦の列は個々のデータの属性を表す「フィールド」に細分され、テーブルの横の行は、ユーザーが、最小単位の格納データとして検索等の操作をすることができる1件分のデータである「レコード」を構成し、複数のテーブル間に共通のフィールド(プライマリー・キー(主キー)等)を設定し、テーブル間を関連付けることにより、相互のテーブル内の他のフィールドに格納されている属性の異なるデータを抽出し、抽出したデータを統合・集計して検索することができる機能を有するいわゆるリレーショナルデータベースである。 著作権法12条の2第1項は、データベースで、その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護する旨規定しているところ、情報の選択又は体系的構成について選択の幅が存在し、特定のデータベースにおける情報の選択又は体系的構成に制作者の何らかの個性が表れていれば、その制作過程において制作者の思想又は感情が移入され、その思想又は感情を創作的に表現したものとして、当該データベースは情報の選択又は体系的構成によって創作性を有するものと認めてよいものと解される。 そして、リレーショナルデータベースにおける体系的構成の創作性を判断するに当たっては、データベースの体系的構成は、情報の集合物から特定の情報を効率的に検索することができるようにした論理構造であって、リレーショナルデータベースにおいては、テーブルの内容(種類及び数)、各テーブルに存在するフィールド項目の内容(種類及び数)、どのテーブルとどのテーブルをどのようなフィールド項目を用いてリレーション関係を持たせるかなどの複数のテーブル間の関連付け(リレーション)の態様等によって体系的構成が構築されていることを考慮する必要があるものと解される。また、リレーショナルデータベースにおいては、一般に、各テーブル内に格納されるデータの無駄な重複を減らし、検索効率を高めるために、フィールド項目に従属関係を設定して、新たなテーブルを設けたり、テーブル内に格納されているデータの更新を行う際にデータ間に不整合が起こらないようにするために、関連性の高いデータ群だけを別のテーブルに分離させるなどの正規化が行われており、その正規化の程度にも段階があることから、正規化がもたらす意義や正規化の程度についても考慮する必要があるものと解される。 イ 複製とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい(著作権法2条1項15号)、著作物の複製(同法21条)とは、当該著作物に依拠して、その表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを有形的に再製する行為をいうものと解される。また、著作物の翻案(著作権法27条)とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいうものと解される(最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。 そして、リレーショナルデータベースにおいては、データベースの一部分を分割して利用することが可能であり、また、テーブル又は各テーブル内のフィールドを追加したり、テーブル又はフィールドを削除した場合であっても、既存のデータベースの検索機能は当然に失われるものではなく、その検索のための体系的構成の全部又は一部が維持されていると評価できる場合があり得るものと解される。 以上を前提とすると、被告CDDBが原告CDDBを複製ないし翻案したものといえるかどうかについては、まず、被告CDDBにおいて、原告CDDBのテーブル、各テーブル内のフィールド及び格納されている具体的な情報(データ)と共通する部分があるかどうかを認定し、次に、その共通部分について原告CDDBは情報の選択又は体系的構成によって創作性を有するかどうかを判断し、さらに、創作性を有すると認められる場合には、被告CDDBにおいて原告CDDBの共通部分の情報の選択又は体系的構成の本質的な特徴を認識可能であるかどうかを判断し、認識可能な場合には、その本質的な特徴を直接感得することができるものといえるから、被告CDDBは、原告CDDBの共通部分を複製ないし翻案したものと認めることができるというべきである。 (2) 被告CDDB(当初版・2006年版)が原告CDDBの複製物ないし翻案物といえるか 次のとおり訂正するほか、原判決「事実及び理由」第4の2(3)(原判決131頁9行目から同180頁26行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。 ア 原判決132頁24行目冒頭から同134頁17行目末尾までを次のとおり改める。 「このうち、被告CDDB(当初版・2006年版)の「21施設マスタ」、「29旅館マスタ基本」及び「23観光マスタ基本」と、原告CDDBの「20ホテル・旅館テーブル」及び「21観光施設テーブル」とを対比すると、被告CDDB(当初版・2006年版)の上記3テーブルは、原判決別紙3のとおり、原告CDDBの上記2テーブルに共通する「地区コード」、「都道府県コード」、「市区町村コード」、名称(漢字及びかな)、所在地に関する情報(郵便番号、住所、電話番号、ファックス番号)、「代表道路地点番号」(「代表道路地区コード」)、緯度、経度などのフィールドを、被告CDDB(当初版・2006年版)の「21施設マスタ」に集約するとともに、原判決別紙5及び8のとおり、「20ホテル・旅館テーブル」のプライマリー・キーである「ホテル旅館コード」フィールドと「21観光施設テーブル」のプライマリー・キーである「観光施設番号」フィールドを共通のフィールド項目とした「施設コード」フィールドを被告CDDB(当初版・2006年版)の上記3テーブルに設定して、「施設コード」フィールドをプライマリー・キーとして上記3テーブル間のリレーションをとっている。また、被告CDDB(当初版・2006年版)は、原告CDDBの「20ホテル・旅館テーブル」と「21観光施設テーブル」にそれぞれ固有のフィールド(前者については「和室客室数」、「洋室客室数」、「収容人員」、「交通」、「加盟団体種別」など。後者については「交通」、「見学時間」、「休館日」、「所要時間」、「駐車可能」、「駐車場料金」(観光バス及びマイクロバス)など)を、被告CDDB(当初版・2006年版)の「29旅館マスタ基本」及び「23観光マスタ基本」に振り分け、さらに、それぞれのテーブルに、次のとおりの新規のフィールド(合計19個)を追加している。 @ 「29旅館マスタ基本」テーブルについて 「シングル数(客室数_シングル)」、「ツイン数(客室数_ツイン)」、「その他数(客室数_その他)」、「TEL2(TEL2)」、「TEL2コメント(TEL2備考)」、「数値1(予備)」、「数値2(予備)」、「登録日時(作成日時)」、「更新日時(更新日時)」 A 「21施設マスタ」テーブルについて 「温泉地コード(温泉地番号)」、「登録日時(作成日時)」、「更新日時(更新日時)」、「削除フラグ」、「数値1(予備)」、「数値2(予備)」、「観光フラグ」、「宿泊フラグ」 B 「23観光施設マスタ」テーブルについて 「登録日時(作成日時)」、「更新日時(更新日時)」 上記19個のフィールドは、既に存在するそれぞれのテーブル中のフィールドに格納された情報に付随する情報を格納するためのフィールドとして追加されたもの(「シングル数(客室数_シングル)」、「ツイン数(客室数_ツイン)」、「その他数(客室数_その他)」や「温泉地コード(温泉地番号)」など)であるか、テーブル管理のためのフィールドとして追加されたもの(「登録日時(作成日時)」、「更新日時(更新日時)」など)と認められる。 また、原告CDDBの上記2テーブルに係るフィールド間のリレーション(原判決別紙5のとおり)と、被告CDDB(当初版・2006年版)の上記3テーブルに係るフィールド間のリレーション(原判決別紙8のとおり)とを比較すると、「施設コード」(原告CDDBでは「ホテル旅館コード」及び「観光施設番号」フィールド)、「都道府県コード」、「市区町村コード」、「代表道路地点コード」を用いて他のテーブルとのリレーションをとるテーブルの参照の仕方はほぼ同じであるといえる。 以上によれば、被告CDDB(当初版・2006年版)の「21施設マスタ」、「29旅館マスタ基本」及び「23観光マスタ基本」と、原告CDDBの「20ホテル・旅館テーブル」及び「21観光施設テーブル」とは、実質的に一致するテーブルであると認められる。 これに対し1審被告らは、被告CDDB(当初版・2006年版)では、電話番号や住所などの施設の基本情報を、宿泊施設や観光施設といった施設類型の区別なく、全て1つのテーブルに格納するために、「29旅館マスタ基本」テーブル、「23観光マスタ基本」テーブルとは別に、これらの上位テーブルとして「21施設マスタ」テーブルを設置し、これにより、「29旅館マスタ基本」テーブル、「23観光マスタ基本」テーブルと並列して、宿泊施設・観光施設以外の施設類型(食事施設や公共施設など)のテーブルを増やすことができ、かつ、これらを上位テーブルの「21施設マスタ」テーブルで検索できる設計構造となっており、被告CDDB(当初版・2006年版)の上記3テーブルと、原告CDDBの上記2テーブルとは、テーブル数、フィールド項目、テーブル間のリレーションがいずれも大きく異なるから(乙27の別紙1及び2)、一致しないテーブルである旨主張する。 確かに、被告CDDB(当初版・2006年版)では、「29旅館マスタ基本」テーブルと「23観光マスタ基本」テーブルの上位テーブルとして「21施設マスタ」テーブルを設置し、このテーブルにより、宿泊施設・観光施設以外の施設類型(食事施設や公共施設など)のテーブルを増やしたり、これらを「21施設マスタ」テーブルで検索できる設計構造となっている点で原告CDDBと異なるものといえるが、被告CDDB(当初版・2006年版)では、宿泊施設・観光施設以外の施設類型のテーブルは設定されていない。 しかも、上記のとおり、被告CDDB(当初版・2006年版)の上記3テーブルと原告CDDBの上記2テーブルとを比較すると、被告CDDB(当初版・2006年版)の上記3テーブルに新規に設置された19個のフィールドは、既に存在するそれぞれのテーブル中のフィールドに格納された情報に付随する情報を格納するためのフィールドとして追加されたものであるか、テーブル管理のためのフィールドとして追加されたものであり、それ以外のフィールドは共通し、また、被告CDDB(当初版・2006年版)の上記3テーブルと原告CDDBの上記2テーブルとでは、「施設コード」(原告CDDBでは「ホテル旅館コード」及び「観光施設番号」フィールド)、「都道府県コード」、「市区町村コード」、「代表道路地点コード」を用いて他のテーブルとのリレーションをとるテーブルの参照の仕方はほぼ同じであることに照らすと、被告CDDB(当初版・2006年版)では、原告CDDBの上記2テーブルのフィールド項目(「ホテル旅館コード」及び「観光施設番号」)に「施設コード」フィールドとの従属関係を設定して、新たなテーブルを設ける正規化が行われたものといえるが、このような正規化によっても、被告CDDB(当初版・2006年版)の上記3テーブルと原告CDDBの上記2テーブルとの実質的同一性は維持されているものと認められる。 したがって、1審被告らの上記主張は採用することができない。」 イ 原判決134頁24行目の「フィールド」を「テーブル」と改める。 ウ 原判決136頁22行目の「観光施設検索タイトルコード」を「観光設備検索タイトルコード」と、同137頁10行目の「観光種別コード」を「種別コード」と、同頁12行目の「原告CDDB」を「原告システムの上記テーブルに含まれるフィールド」と、同頁13行目の「観光種別コード」を「詳細種別コード」と、同頁14行目の「原告CDDBの」から同頁16行目の「一致しており、」までを「そのフィールドIDが原告システムの上記テーブルに含まれる「種別コード」フィールドのフィールドIDの英字部分と一致しており、」とそれぞれ改める。 エ 原判決138頁15行目の「原告CDDBと」から同頁17行目末尾までを「原告CDDBのマスターテーブルと一致する被告CDDB(当初版・2006年版)のマスターテーブルは28個であり、これらのテーブルに存在するフィールドは299個である。」と改める。 オ 原判決139頁11行目の「「23観光施設マスタ」」を「「23観光マスタ基本」」と改める。 カ 原判決142頁1行目冒頭から同頁2行目末尾までを、「イ 体系的構成の共通部分についての原告CDDBの創作性の有無等」と改め、同頁17行目冒頭から同頁19行目末尾までを次のとおり改める。 「そして、原判決別紙3のとおり、原告CDDBのテーブルと一致する被告CDDB(当初版・2006年版)のテーブルに存在するフィールド286個(「登録日時」、「更新日時」及び「削除区分」を除く。)のうち、原告CDDBのフィールドと一致するフィールドは252個である。」 キ 原判決143頁3行目の「「21観光施設マスタ」」を「「21施設マスタ」」と、同頁21行目の「「20ホテル・施設テーブル」」を「「20ホテル・旅館テーブル」」とそれぞれ改め、同頁23行目の「「10道路テーブル」により、」及び同頁26行目の「「15首都高速料金テーブル」により、」の次にそれぞれ「代表道路地点の情報を用いて、」を加え、同頁24行目の「可能にし」の次に「(体系的構成@)」を加える。 ク 原判決144頁1行目から2行目までの「可能にしていること」の次に「(体系的構成A)」を、同頁5行目から6行目までの「可能にしていること」の次に「(体系的構成B)」をそれぞれ加え、同頁6行目の「そして、」から同頁12行目から13行目にかけての「選ぶことができること」までを、「そして、「01市区町村テーブル」、「02地区・県名テーブル」、「09地点名テーブル」、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「32駅テーブル」により、道路と地図を関連付けて行う地図からの検索、及び、道路地点、ホテル・旅館、観光施設、駅について市区町村、地区・県名からの検索を可能にしていること(体系的構成D)」と改める。 ケ 原判決145頁25行目の「このうち料金種別に」から同146頁7行目末尾までを次のとおり改める。 「このうち料金種別に係るものは、原告CDDBの「21観光施設テーブル」及び「22観光施設備考テーブル」では、利用料金の種別毎に複数のフィールドを設けているのに対し、被告CDDB(当初版・2006年版)では、利用料金の種別を管理するテーブルを「25観光料金種別マスタ」として新たに設けることにより、料金種別の増加に対応できるようにしたものと認められる。 しかしながら、料金種別の増加に対応できるように新たなテーブルを設けること自体は、単なる正規化にすぎず、原告CDDBに新たに創作的表現を加えたものとはいい難い。」 コ 原判決146頁19行目の「そして、フィールドについてみても、」を「次に、原告CDDBと被告CDDB(当初版・2006年版)とで一致しないフィールド(「登録日時」、「更新日時」、「削除区分」、「フラグ」及び「(予備)」の各フィールドを除く。)として、「道路構成地点マスタ」及び「道路構成地点索引マスタ」の各「レコード番号」フィールド、「37接続マスタ」の「連番」フィールド、「有料道路番号マスタ」の「道路区分」フィールド、「21施設マスタ」の「温泉地コード」フィールド、「29旅館マスタ基本」の「シングル数」、「ツイン数」、「その他数」、「TEL2」、「TEL2コメント」の各フィールド、「26観光料金マスタ」の「料金種別コード」、「料金メモ」の各フィールドがある。まず、」と改める。 サ 原判決146頁26行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「そして、「26観光料金マスタ」の「料金種別コード」フィールドについては、新たに設けた「25観光料金種別マスタ」とのリレーションをとるためのプライマリー・キーであり、同テーブルの設置と同様、かかるフィールドを設けることがデータベースの体系的構成の点で新たに創作的表現を加えるものとはいえない。その余の各フィールドについても、いずれも当該フィールドの属するテーブルに既に存在する原告CDDBと一致するフィールドに付随する情報等を格納するために設けられたものであり、データベースの体系的構成の点で新たな創作的表現を加えるものとはいい難い。」 シ 原判決147頁11行目の「実質的に一致するテーブルであると認められることや、」を、「実質的に一致するテーブルであり、「21施設マスタ」は、原告CDDBの「20ホテル・旅館テーブル」及び「21観光施設テーブル」の共通のフィールド項目を括りだした上位のテーブルとして設けられたものであると認められることからすると、「4市区町村マスタ」とのリレーションのとり方については、これが施設の所在地に関わるものであることから、施設の所在地に関する情報を格納する「21施設マスタ」とのリレーションに集約されたものということができる。これに加え、」と改める。 ス 原判決148頁10行目から11行目までの「「38禁止乗換マスタ」の2個のフィールド、「有料道路番号マスタ」のうちの「道路番号」フィールド、」を削り、同頁12行目冒頭の「5個のフィールド」を「6個のフィールド」と改め、同頁20行目の「フィールド」の次に「のフィールドID」を加える。 セ 原判決157頁21行目冒頭から同頁22行目末尾までを、「エ 情報の選択における共通部分についての原告CDDBの創作性の有無等」と改める。 ソ 原判決159頁9行目冒頭から同頁17行目末尾までを次のとおり改める。 「(ア) 1審被告らは、原告CDDBにおける情報の選択は、客観的、標準的な基準に従った没個性的・汎用的なものにすぎず、また、大型観光バスによる移動という観点は、旅行業者向けのデータベースを制作する業者であれば誰でも考慮すべきものである上、これを前提とした場合、道路や代表道路地点の選択は機械的に行われることとなるから、創作性がない旨主張する。 しかしながら、前記のとおり、原告CDDBにおいて、道路や道路位置、代表道路地点、緯度経度情報、接続・禁止乗換、県範囲定義等を選択、選定するに当たっては、極めて多数にのぼる選択対象として幅のある中から、専ら大型観光バスでの移動を前提とした効率的な経路検索、行程表作成を可能とするという観点からの情報の選別等がされており、このような観点から行われる情報の選別は、誰が行っても同一のものになるということは到底できないから、その情報の選択には制作者の個性が表れており、創作性があるものということができる。 したがって、1審被告らの上記主張は採用することができない。」 タ 原判決162頁15行目及び20行目の各「eZROUTE」を「ezROUTE」と改める。 チ 原判決166頁26行目の「始点」の次に「(判決注・「終点」の誤記と認める。)」を加え、同167頁12行目及び13行目の「道路番号」を、いずれも「道路番号@」と改める。 ツ 原判決170頁17行目末尾、22行目末尾及び同171頁1行目末尾に、それぞれ「〔甲21〕」を加え、同170頁18行目の「〔甲65〕」を削る。 テ 原判決173頁2行目末尾に「〔甲65の別紙13〕」を加える。 ト 原判決174頁7行目末尾及び同頁9行目末尾に、それぞれ改行の上、「施設名:阿寒ネイチャーセンター」を加える。 ナ 原判決175頁23行目末尾に「〔甲65の別紙22〕」を、同176頁18行目末尾に「〔甲65の別紙24〕」をそれぞれ加える。 ニ 原判決177頁12行目の「被告CDDB(現行版)の一部(2011年2・3月版Ver3.1 まで)、」を「かかる誤りは、被告CDDB(現行版)にも存在したが、」と改める。 ヌ 原判決178頁4行目の「持たず、」の次に「これに対応する原告CDDBの「メッセージテーブル(TRVMSGテーブル)」は、」を加え、同頁14行目の「これ」を「原告CDDBのTRVMSGテーブルのメッセージ」と改める。 ネ 原判決178頁23行目の「持たず、」の次に「これに対応する原告CDDBの「メッセージボックステーブル(TRVMSGBXテーブル)」は、」を加える。 ノ 原判決180頁25行目冒頭から26行目末尾までを次のとおり改める。 「以上の検討によれば、被告CDDB(当初版・2006年版)は、原告CDDBに依拠して制作されたものであって、被告CDDB(当初版・2006年版)において原告CDDBの共通部分の体系的構成及び情報の選択の本質的な特徴を直接感得することができるものといえるから、原告CDDBの共通部分の複製物であると認めるのが相当である。」 (3) 被告CDDB(現行版)が原告CDDBの複製物ないし翻案物といえるか 次のとおり訂正するほか、原判決「事実及び理由」第4の2(4)(原判決181頁2行目から同213頁4行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。 ア 原判決182頁3行目から4行目までの「「37禁止経路マスタ」」を「「38禁止経路マスタ」」と改める。 イ 原判決183頁2行目の「別紙9」を「後記(ウ)」と改める。 ウ 原判決184頁6行目の「別紙9」を「後記(ウ)」と改め、同頁18行目の「であること、」の次に「原告CDDBの「36路線検索テーブル」と被告CDDB(現行版)の「45時刻マスタ」とを対比すると、プライマリー・キーの設定されたフィールドは異なるものの、両者に存在するフィールドは、前者の「路線番号」、「便番号」、「発駅番号」、「着駅番号」、「発時刻」、「着時刻」に相当するフィールドが後者にも存在し、後者に存在するその余のフィールドは「備考」、「作成日時」、「更新日時」、「削除区分」というものにすぎないこと、このテーブルと他のテーブルとのリレーションのとり方を見ると、原告CDDBの「36路線検索テーブル」の「32駅テーブル」及び「39便テーブル」に対するリレーションと同じリレーションが、被告CDDB(現行版)の「45時刻マスタ」と「47駅マスタ」及び「44便マスタ」との間に存在すること、」を加える。 エ 原判決184頁23行目の「同じ目的で」から同185頁2行目末尾までを次のとおり改める。 「実質的に一致するテーブルであると認められる。なお、被告CDDB(現行版)の「44便マスタ」は、原判決別紙3のとおりの各フィールドの内容の共通性からみて、原告CDDBの「39便テーブル」、「40運行日定義テーブル」及び「41時刻テーブル」の各フィールドを一つのテーブルに統合する正規化をしたにすぎないものであり、被告CDDB(現行版)の「44便マスタ」と原告CDDBの上記3テーブルとは、実質的に一致するものと認められる。」 オ 原判決185頁20行目冒頭から同頁21行目末尾までを次のとおり改める。 「以上によると、被告CDDB(当初版・2006年版)が、原告CDDBと一致するマスターテーブルを28個有していたのに対し、被告CDDB(現行版)は、そのうち10個のテーブル(「有料道路番号マスタ」、「道路構成地点マスタ」、「道路構成地点索引マスタ」、「市区町村通過道路索引マスタ」、「県範囲定義マスタ」、「協定施設マスタ」、「券種マスタ」、「協定旅館マスタ」、「連結協定マスタ」、「地方別会社索引マスタ」)を削除した一方、新たに原告CDDBのマスターテーブルと一致するマスターテーブル5個(「46路線構成マスタ」、「43路線マスタ」、「45時刻マスタ」、「44便マスタ」、「41交通機関マスタ」)を追加したものと認められる。その結果、原告CDDBのマスターテーブルと一致する被告CDDB(現行版)のマスターテーブルは、前記のとおり、23個となる。」 カ 原判決186頁18行目の「一致する」の次に「テーブルに存在する」を加える。 キ 原判決186頁19行目末尾に「これに関し、後記オ(イ)のとおりの被告CDDB(現行版)の「38禁止経路マスタ」と原告CDDBの「12禁止乗換テーブル」との実質的内容の同一性に照らし、両テーブルに存する各フィールドは一致するものとして上記フィールド数に含めている。」を加える。 ク 原判決187頁25行目から26行目までの「「地点コード(始点)」、「地点コード(中間点)」、「地点コード(終点)」のそれぞれの地点コード」を「「地点コード」」と改める。 ケ 原判決188頁11行目の「Profiter」を「Profiler」と改める。 コ 原判決189頁19行目冒頭から同頁20行目末尾までを「イ 体系的構成の共通部分についての原告CDDBの創作性の有無等」と改める。 サ 原判決190頁7行目冒頭から8行目末尾までを次のとおり改める。 「そして、原判決別紙3のとおり、原告CDDBのテーブルと一致する被告CDDB(現行版)のテーブルに存在するフィールド173個(作成日時・更新日時・削除区分を除く。)のうち、原告CDDBのフィールドと一致するフィールドは143個である。」 シ 原判決190頁15行目の「フィールド」を「テーブル」と、同頁16行目から17行目までの「「20ホテル・施設テーブル」」を「「20ホテル・旅館テーブル」」とそれぞれ改め、同頁18行目の「「10道路テーブル」により、」及び同頁21行目から22行目までの「「15首都高速料金テーブル」により、」の次にそれぞれ「代表道路地点の情報を用いて、」を加え、同頁19行目の「可能にし」の次に「(体系的構成@)」を加え、同頁23行目の「可能にしている。」を「可能にしている(体系的構成A)。」と改める。 ス 原判決191頁1行目の「可能にしている。」から同頁8行目の「選ぶことができる。」までを「可能にしている(体系的構成B)。そして、「01市区町村テーブル」、「02地区・県名テーブル」、「09地点名テーブル」、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「32駅テーブル」により、道路と地図を関連付けて行う地図からの検索、道路地点、ホテル・旅館、観光施設、駅について市区町村、地区・県名からの検索を可能にしている(体系的構成D)。」と改める。 セ 原判決191頁10行目の「観光名称は」を「観光施設の名称は」と改める。 ソ 原判決192頁2行目から3行目までの「可能にしている。」を「可能にしている(体系的構成C)。」と改める。 タ 原判決192頁23行目の「このうち料金種別に」から同193頁5行目末尾までを次のとおり改める。 「このうち料金種別に係るものは、原告CDDBの「21観光施設テーブル」及び「22観光施設備考テーブル」では、利用料金の種別毎に複数のフィールドを設けているのに対し、被告CDDB(現行版)では、利用料金の種別を管理するテーブルを「25観光料金種別マスタ」として新たに設けることにより、料金種別の増加に対応できるようにしたものと認められる。 しかしながら、料金種別の増加に対応できるように新たなテーブルを設けること自体は、単なる正規化にすぎず、新たに創作的表現を加えたものとはいい難い。」 チ 原判決193頁23行目冒頭から同194頁3行目末尾までを次のとおり改める。 「次に、原告CDDBと被告CDDB(現行版)とで一致しないフィールド(「作成日時」、「更新日時」、「削除区分」及び「備考」とあるフィールドを除く。)として、「3都道府県マスタ」の「表示順」及び「都道府県名英字」の各フィールド、「4市区町村マスタ」及び「31URLマスタ」の各「表示順」フィールド、「39区間料金マスタ」及び「40通行料金マスタ」の「道路料金区分」フィールド、「21施設マスタ」の「温泉地コード」、「XY取得元」、「XY取得深度」、「キーワード」、「公共施設種別」の各フィールド、「29宿泊施設マスタ」の「客室数(シングル)」、「客室数(ツイン)」、「客室数(その他)」、「電話番号2」の各フィールド、「26観光料金マスタ」の「観光料金種別」、「初期値連動区分」の各フィールド、「47駅マスタ」の「交通会社コード」がある。 しかし、「表示順」の各フィールドについては、検索結果における表示順を定めるものにすぎず、これ自体として創作的表現が追加されたとはいい難い。」 ツ 原判決194頁6行目から7行目までの「「40首都高速料金マスタ」」を「「40通行料金マスタ」」と改める。 テ 原判決194頁17行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「さらに、被告CDDB(現行版)の「21施設マスタ」の「キーワード」フィールドについては、検索の際の利便性の向上に資するフィールド項目を新たに設定したものであるとともに、原告CDDBと比較すると、宿泊施設や観光施設の如何を問わず、キーワードを用いて分野横断的に検索をすることが可能となっていることからすれば、これによってデータベースの体系的構成に変化が生じているということができる。 しかしながら、このような体系的構成の変化は、専ら、「キーワード」フィールドが、原告CDDBの「20ホテル・旅館テーブル」及び「21観光施設テーブル」の共通のフィールド項目を括りだした上位のテーブルとして被告CDDB(当初版・2006年版)に設けられた「21施設マスタ」に新たなフィールド項目として設けられたことによるものであり、被告CDDB(当初版・2006年版)に「21施設マスタ」を設けたこと自体はデータベースの体系的構成に新たな創作的表現を追加したものということはできない以上、「21施設マスタ」における「キーワード」フィールドの設置によっても、情報の選択の点はともかく、体系的構成の点においては新たな創作的表現が追加されたものと評価することはできないというべきである。また、仮に「キーワード」フィールドの設置によって体系的構成に新たな創作的表現が追加されたものといえるとしても、被告CDDB(現行版)は、被告CDDB(当初版・2006年版)における「21施設マスタ」、「29旅館マスタ基本」及び「23観光マスタ基本」の3テーブルを用いた既存の検索機能を有しており、その検索のための体系的構成は維持されているものと認められる。 加えて、「26観光料金マスタ」に「観光料金種別」フィールドを設けることがデータベースの体系的構成の点で新たな創作的表現を加えるものとはいえないことは、被告CDDB(当初版・2006年版)の「料金種別コード」と同様である。その余の各フィールドについても、いずれも当該フィールドの属するテーブルに既に存在する原告CDDBと一致するフィールドに付随する情報等を格納するために設けられたものであり、データベースの体系的構成の点で新たな創作的表現を加えるものとはいい難い。」 ト 原判決197頁14行目末尾に「逐次、9600件近くのレコードが追加された結果、「35地点マスタ」におけるレコード数は、被告CDDB(当初版・2006年版)が原告CDDBとほぼ同じ約1万2800件であったのに対し、被告CDDB(現行版)のVer2.99(2010年11月版)では2万2377件となった。」を加える。 ナ 原判決197頁20行目末尾に「逐次、2100件余りのレコードが追加された結果、同テーブルにおけるレコード数は、被告CDDB(当初版・2006年版)が原告CDDBと同じ2729件であったのに対し、被告CDDB(現行版)のVer2.99(2010年11月版)では4840件となった。」を加える。 ニ 原判決198頁6行目末尾に「逐次、4万1000件のレコードが追加されるなどした結果、「37単経路マスタ」におけるレコード数は、被告CDDB(当初版・2006年版)の「37接続マスタ」が原告CDDBとほぼ同じ約3万7000件であったのに対し、被告CDDB(現行版)のVer2.99(2010年11月版)では6万6310件となった。」を加える。 ヌ 原判決198頁21行目から同頁22行目までの「及び「削除区分」の三つのフィールド」を「、「削除区分」及び「道路料金区分」の四つのフィールド」と改める。 ネ 原判決199頁6行目から7行目までの「「削除区分」の三つのフィールド」を「「削除区分」及び「道路料金区分」の四つのフィールド」と、同頁12行目の「JKBVALND」を「JKBVALNO」とそれぞれ改める。 ノ 原判決199頁23行目の「〔甲32〕」を次のとおり改める。 「このような道路地点の一致率は、2009年4月版のVer2.92 については98.0%(1万2087件)、2009年6月版のVer2.94 については94.3%(1万2087件)である。〔甲32、34〕」 ハ 原判決200頁7行目の「収録されている。」の次に「そして、このような緯度経度情報の一致率は、2009年4月版のVer2.92 については92.5%(1万2822件)であったが、平成21年5月の本訴提起後に販売が開始された2009年6月版のVer2.94 については8.1%(1033件)と激減している。」を加える。 ヒ 原判決204頁9行目冒頭から同頁10行目末尾までを「エ 情報の選択における共通部分についての原告CDDBの創作性の有無等」と改め、同頁11行目冒頭から同頁13行目末尾までを次のとおり改める。 「(ア) 前記のとおり、2009年4月版のVer2.92 までの被告CDDB(現行版)の「35地点マスタ」は、原告CDDBの「09地点名テーブル」の道路地点、緯度経度と完全に一致するか、大部分において一致するレコードを有しており、2009年6月版のVer2.94 以降、原告CDDBの「09地点名テーブル」の緯度経度と一致する「35地点マスタ」のレコードの割合は激減したものの、依然として道路地点についてはそのほとんどが一致するレコードを有している。また、被告CDDB(現行版)の「36道路マスタ」についても、原告CDDBが「10道路テーブル」において選択した道路と大部分において一致するレコードを有していることが推認される。」 フ 原判決205頁8行目末尾に「なお、Ver2.94 以降の被告CDDB(現行版)においては、原告CDDBの「09地点名テーブル」とは道路地点が一致するものの、道路地点に係る緯度経度が一致しないレコードが大部分を占めるに至っている。しかしながら、旅行業者向けのデータベースにおいては、特定の道路地点を選択することに制作者の個性が表れるというべきであり、緯度経度に関する情報は道路地点に依存する情報であるから、たとえ緯度経度が一致しないレコードが大部分を占めているとしても、道路地点が一致する部分のレコードについて原告CDDBの制作者の個性が表れていると評価すべきである。」を加える。 ヘ 原判決209頁16行目の「Profiter」を「Profiler」と改め、同頁25行目の「しており、」の次に「禁止経路マスタの「地点コード(始点)」と単経路マスタの「地点コード(始点)」、禁止経路マスタの「地点コード(中間点)」と単経路マスタの「地点コード(終点)」、禁止経路マスタの「道路コード」と単経路マスタの「道路コード」のそれぞれが等しいかどうかを見ていることからすれば、」を加える。 ホ 原判決213頁1行目の「上記採用することができない。」を「採用することができない。」と改める。 マ 原判決213頁3行目冒頭から4行目末尾までを次のとおり改める。 「以上の検討によれば、被告CDDB(現行版)は、原告CDDBに依拠して制作されたものであって、被告CDDB(現行版)において原告CDDBの共通部分の体系的構成及び情報の選択の本質的な特徴を直接感得することができるものといえるから、原告CDDBの共通部分の複製物であると認めるのが相当である。」 (4) 被告CDDB(新版)が原告CDDBの複製物ないし翻案物といえるか ア 被告CDDB(新版)と原告CDDBとの体系的構成の共通性次のとおり訂正するほか、原判決「事実及び理由」第4の2(5)ア(原判決213頁6行目ないし同223頁9行目)記載のとおりであるから、これを引用する。 (ア) 原判決215頁8行目の「いないから、」を「おらず、」と改め、同頁9行目の「「25観光料金種別マスタ」は、」の次に「それぞれ「管理備考」フィールドを削除したほかは」を加える。 (イ) 原判決218頁19行目冒頭から同頁23行目末尾までを次のとおり改める。 「このうち、被告CDDB(新版)における、ほぼ各テーブル(マスタ)に存在する「作成日時(作成日時)」、「更新日時(更新日時)」及び「削除区分(削除区分)」のフィールドを除いたフィールド数は219個であり、そのうち、129個(原判決別紙3に「一致フィールド数」として記載された133個から、同別紙上に一致フィールドとして誤って計上されている同別紙3枚目記載の「131施設別詳細種別マスタ」の「施設詳細種別」フィールド、「132施設種別マスタ」の「施設種別」フィールド及び「133施設詳細種別マスタ」の「施設詳細種別」フィールド、同別紙4枚目記載の「131施設別詳細種別マスタ」の「施設コード」フィールドの合計4個分を除いたもの)が、原告CDDBと一致している。 なお、被告CDDB(新版)の「38禁止経路マスタ」は、被告CDDB(現行版)のそれと同一である以上、被告CDDB(現行版)の「38禁止経路マスタ」について検討したところと同様に、原告CDDBの「12禁止乗換テーブル」と実質的に一致するテーブルであると認められるため、被告CDDB(新版)の「38禁止経路マスタ」と原告CDDBの「12禁止乗換テーブル」に存する各フィールドは一致するものとして、上記一致フィールド数に含めている。 さらに、原告CDDBと一致する被告CDDB(新版)の20テーブルに存するフィールドのうち、原告CDDBには対応するフィールドが存在しないフィールド(「作成日時」、「更新日時」、「削除区分」及び「備考」とあるフィールドを除く。)は、次のとおりである。 a 「3都道府県マスタ」の「表示順」、「都道府県名英字」、「都道府県名カナ」、「代表道路地点コード」、「緯度」及び「経度」 b 「4市区町村マスタ」の「表示順」、「政令市区分」及び「政令市コード」 c 「31URLマスタ」の「表示順」、「公式ページ区分」、「画像ファイル名」、「説明」及び「キーワード」 d 「39区間料金マスタ」及び「40通行料金マスタ」の「道路料金区分」 e 「21施設マスタ」の「キーワード」、「温泉地名・地名」、「バリアフリー」及び「Eメール」 f 「29宿泊施設マスタ」の「客室数」等に係る8フィールド、「電話番号」に係る2フィールド、「風呂」、「温泉効能」、「サービス・レジャー」、「部屋設備」及び「名物料理」ほか6テーブル g 「23観光施設マスタ」の「セールスポイント」ほか3テーブル h 「26観光料金マスタ」の「観光料金種別」及び「初期値連動区分」 i 「43路線マスタ」の「駅すぱあと収録区分」及び「集約路線コード」 j 「46路線構成マスタ」の「出発駅コード」及び「到着駅コード」(これらのフィールドは、「47駅マスタ」の「駅コード」フィールドとのリレーションがとられている。) k 「47駅マスタ」の「交通会社コード」及び「駅名(駅すぱあと)」(「交通会社コード」フィールドには、「42交通会社マスタ」の「交通会社コード」との間にリレーションがとられている。)」 (ウ) 原判決220頁12行目の「Profiter」を「Profiler」と改める。 (エ) 原判決222頁11行目の「「観光種別」」を「「観光詳細種別」」と改め、同頁22行目冒頭から同頁25行目末尾までを次のとおり改める。 「これらの情報の格納については、まず、施設を「宿泊」、「観光」、「公共」及び「食事・土産」の四つに大分類し、次に、そこから施設種別の中分類として施設種別マスタを用意し、さらに、小分類として施設詳細種別マスタを用意した。そして、施設別詳細種別マスタにおいて、施設コードによって特定される各施設毎に、施設大種別、施設種別及び施設詳細種別に関する情報を格納することにした結果、例えば、同一の施設が観光詳細種別における複数の種別に該当する場合には、同施設について施設別詳細種別マスタに複数のフィールドを設けて対応することができるようになった。〔乙26〕」 (オ) 原判決223頁9行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「さらに、地図上での単経路の表示が、「単経路マスタ」のデータでは実際の道路の形状如何に関わらず地点と地点を結ぶ直線でしか表現できないが、単経路の両地点間を補完するデータを格納する「137単経路補完マスタ」を設けることにより、地図上の道路をなぞるように経路の表示をすることができるようになった。」 イ 体系的構成の共通部分についての原告CDDBの創作性の有無等 (ア) テーブルの対比について 前記アの認定事実に基づいて、原告CDDB(テーブル数42)に存在するテーブルと被告CDDB(新版)(テーブル数29)に存在するテーブルとを対比すると、次のとおりである。 a 一致するテーブル(20テーブル) 原告CDDBの「01市区町村テーブル」、「02地区・県名テーブル」、「06URLアドレステーブル」、「09地点名テーブル」、「10道路テーブル」、「11接続テーブル」、「12禁止乗換テーブル」、「14区間料金テーブル」、「15首都高速料金テーブル」、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「22観光施設備考テーブル」、「32駅テーブル」、「33路線構成テーブル」、「34路線テーブル」、「36路線検索テーブル」、「39便テーブル」、「40運行日定義テーブル」、「42会社テーブル」及び「43交通機関種別テーブル」の20テーブルについては、これと一致(実質的な一致を含む。)するテーブル(「共通するテーブル」という場合もある。以下同じ。)が被告CDDB(新版)に存在する。両データベースで一致する各テーブルの対応関係は、原判決別紙2記載のとおりである。 なお、前記のとおり、被告CDDB(現行版)(テーブル数26)における原告CDDBと一致するテーブル数は23であるから、被告CDDB(新版)では、一致するテーブル数が、被告CDDB(現行版)よりも3減少したものといえる。この減少は、原判決別紙2に示すとおり、被告CDDB(新版)においては、被告CDDB(現行版)が有していた「34緯度経度マスタ」、「32URL種別マスタ」及び「33URL分類マスタ」の3テーブル(原告CDDBの対応するテーブルは、「05緯度経度テーブル」、「07URL種別テーブル」及び「08URL分類テーブル」である。)が削除されたことによるものであり、原告CDDBの上記20テーブルと一致するテーブルが存在する点においては、被告CDDB(新版)と被告CDDB(現行版)とで変わりはない。 b 原告CDDBには存在しないが、被告CDDB(新版)には存在するテーブル(9テーブル) 被告CDDB(新版)の「25観光料金種別マスタ」、「130食事土産マスタ」、「131施設別詳細種別マスタ」、「132施設種別マスタ」、「133施設詳細種別マスタ」、「134提携施設マスタ」、「135提携種別マスタ」、「136提携会社マスタ」及び「137単経路補完マスタ」の9テーブルについては、これと一致するテーブルが原告CDDBに存在しない。 これらの9テーブルのうち、「25観光料金種別マスタ」を除く8テーブルは、被告CDDB(現行版)には存在しなかったが、被告CDDB(新版)において新たに追加されたものである。 c 原告CDDBには存在するが、被告CDDB(新版)には存在しないテーブル(22テーブル) 原告CDDBの「03方面テーブル」、「04方面設定テーブル」、「05緯度経度テーブル」、「07URL種別テーブル」、「08URL分類テーブル」、「13有料道路番号テーブル」、「16道路構成地点テーブル」、「17道路構成地点索引テーブル」、「18市区町村通過道路索引テーブル」、「19県範囲定義テーブル」、「28協定施設テーブル」、「29券種テーブル」、「30協定旅館テーブル」、「31連結協定テーブル」、「35時刻表料金テーブル」、「37路線検索索引テーブル」、「38路線タイプテーブル」、「41時刻テーブル」、「44地方別会社索引テーブル」、「45検索地方範囲定義テーブル」、「46地方別路線索引テーブル」、「47駅通過線索引テーブル」の22テーブルについては、これと一致するテーブルが被告CDDB(新版)に存在しない。 これらの22テーブルのうち、「05緯度経度テーブル」、「07URL種別テーブル」及び「08URL分類テーブル」を除く19テーブルについては、被告CDDB(現行版)においても存在しなかったものである。 (イ) フィールド及びリレーションの対比について 前記アの認定事実に基づいて、原告CDDBと被告CDDB(新版)について、各テーブル内のフィールド及びテーブル間のリレーションの態様等を対比すると、次のとおりである。 a 一致するテーブルにおけるフィールド (a) 原判決別紙3のとおり、原告CDDBの全フィールド数は405、被告CDDB(新版)の全フィールド数は326である。また、被告CDDB(新版)のフィールド数のうち、原告CDDBと一致する20テーブル(前記(ア)a)におけるフィールド数は294である。 そして、被告CDDB(新版)において原告CDDBと一致するフィールド数は129(前記のとおり、原判決別紙3記載の「一致フィールド数 133」から4フィールドを控除したもの)である。これらの一致フィールド129は、原判決別紙3のとおり、いずれも原告CDDBと一致する20テーブル内に存在し、原告CDDBに対応するフィールドと同一のフィールドである。 なお、被告CDDB(現行版)の全フィールド数は256、そのうち、原告CDDBと一致する上記23テーブルにおけるフィールド数は245であり、また、被告CDDB(現行版)において原告CDDBと一致するフィールド数は143である。これらの一致フィールドも、原告CDDBと一致する23テーブル内に存在し、原告CDDBの対応するフィールドと同一のフィールドである。 (b) 一方、被告CDDB(新版)では、「29宿泊施設マスタ」、「23観光施設マスタ」を中心に、原判決別紙10の各テーブル内に(※※)が記載されたフィールドに示されているとおり、相当の数の新設フィールドが設置されている。これらの新設フィールドは、いずれも被告CDDB(現行版)にはなかったものである。 b 一致するテーブルにおけるプライマリー・キー (a) 被告CDDB(新版)のうち、原告CDDBと一致する20テーブル(前記(ア)a)の各テーブルにプライマリー・キーとして設定されたフィールドは、原判決別紙3のとおりであり、下記の点を除き、いずれも上記20テーブルに対応する原告CDDBの各テーブルにおいてプライマリー・キーとして設定されたフィールドと同一のフィールドである。 記 @ 被告CDDB(新版)では、「26観光料金マスタ」の「観光料金種別(施設料金種別)」、「37単経路マスタ」の「地点コード(始点)(地点番号 始点)」、「地点コード(終点)(地点番号 終点)」及び「道路コード(道路番号)」、「38禁止経路マスタ」の「地点コード(始点)(地点番号 始点)」、「道路コード(道路番号)」、「地点コード(中間点)(地点番号 中間)」、「地点コード(終点)(地点番号 終点)」及び「通行禁止道路コード(道路番号 禁止)」、「39区間料金マスタ」及び「40通行料金マスタ」の各「道路料金区分(道路料金区分)」、「45時刻マスタ」の「路線コード(路線番号)」、「便コード(便番号)」、「出発駅コード(出発駅番号)」、「到着駅コード(到着駅番号)」の15フィールドがプライマリー・キーに設定されていること A 被告CDDB(新版)では、「31URLマスタ」の「URL種別」及び「URLコード」の2フィールドがプライマリー・キーに設定されてないこと B 被告CDDB(新版)では、「3都道府県マスタ」に「地区コード」フィールドが存在しないこと (b) 前記(a)の被告CDDB(新版)における原告CDDBと一致する20テーブルの各テーブルに設定されたプライマリー・キーは、上記(a)のAの点を除き、被告CDDB(現行版)のプライマリー・キーと同一である。なお、被告CDDB(現行版)では、上記(a)のA記載の2フィールドも、原告CDDBと同様に、プライマリー・キーに設定されている。 c 一致するテーブル間のリレーション (a) 原告CDDBにおけるテーブル間のリレーションの態様は、原判決別紙7に示すとおりであり、被告CDDB(新版)におけるテーブル間のリレーションは、原判決別紙10に示すとおりである。原判決別紙7及び10における各テーブルのフィールドに付された青丸と青丸を結ぶ黒線(黒太線を含む。)及び黒点線は、当該フィールドを用いて相互のテーブル間にリレーションがとられていることを示している。 そうすると、被告CDDB(新版)のうち、原告CDDBと一致する20テーブル間においては、被告CDDB(現行版)と同様に、「4市区町村マスタ」の「代表道路地点コード」フィールド、「21施設マスタ」の「代表道路地点コード」フィールド、「35地点マスタ」の「地点コード」フィールド、「47駅マスタ」の「代表道路地点コード」フィールドを用いて、これらのテーブル間に、原告CDDBの対応するテーブル間に存在するリレーションと同一のリレーションが存在するほか、@「3都道府県マスタ」、「4市区町村マスタ」、「21施設マスタ」、「31URLマスタ」、「35地点マスタ」、「37単経路マスタ」、「39区間料金マスタ」、「36道路マスタ」及び「40通行料金マスタ」の間、A「47駅マスタ」、「45時刻マスタ」、「44便マスタ」、「43路線マスタ」、「42交通会社マスタ」及び「41交通機関マスタ」の間、B「46路線構成マスタ」と「43路線マスタ」の間においても、原告CDDBの対応するテーブル間に存在するリレーションと同一のリレーションが存在することが認められる。 (b) 他方で、被告CDDB(新版)のうち、原告CDDBと一致する20テーブルは、被告CDDB(現行版)と同様に、下記の点において、原告CDDBと異なるリレーションが存在することが認められる。 記 @ 原告CDDBの「02地区・県名テーブル」の「地区コード」フィールドからのリレーションは、被告CDDB(新版)では、対応するフィールドが存在しないため、これに相当するリレーションも存在しない。 A 原告CDDBの「20ホテル・旅館テーブル」及び「21観光施設テーブル」へのリレーションは、被告CDDB(新版)では、上位テーブルである「21施設マスタ」へのリレーションに変化している。 B 被告CDDB(新版)では、原告CDDBの「11接続テーブル」及び「12禁止乗換テーブル」を「37単経路マスタ」及び「38禁止経路マスタ」としたことに伴い、これらのテーブル相互間のリレーションが変化している。 C 被告CDDB(新版)では、「47駅マスタ」の「駅コード」フィールドと「31URLマスタ」の「URLコード」との間にリレーションが存在するが、原告CDDBの対応するテーブル間(「32駅テーブル」と「06URLアドレステーブル」との間)には、これに相当するリレーションが存在しない。 D 被告CDDB(新版)では、「42交通会社マスタ」の「交通会社コード」フィールドと「47駅マスタ」の「交通会社コード」フィールドとの間にリレーションが存在するが、原告CDDBの対応するテーブル間には、これに相当するリレーションが存在しない。 d その他のテーブル間のリレーション 前記のとおり、被告CDDB(新版)のうち、「25観光料金種別マスタ」、「130食事土産マスタ」、「131施設別詳細種別マスタ」、「132施設種別マスタ」、「133施設詳細種別マスタ」、「134提携施設マスタ」、「135提携種別マスタ」、「136提携会社マスタ」及び「137単経路補完マスタ」の9テーブルは、原告CDDBに存在しないテーブルであり、上記9テーブルの相互間、上記9テーブルと原告CDDBと一致する20テーブル間には、原告CDDBと異なるリレーションが存在する。 (ウ) 体系的構成について a 原告CDDBでは、「01市区町村テーブル」、「32駅テーブル」、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「09地点名テーブル」、「11接続テーブル」及び「10道路テーブル」により、代表道路地点の情報を用いて、出発地、経由地、目的地に面した道路に関するデータの検索を可能にする構成(体系的構成@)、「09地点名テーブル」、「10道路テーブル」、「11接続テーブル」、「12禁止乗換テーブル」、「14区間料金テーブル」及び「15首都高速料金テーブル」により、代表道路地点の情報を用いて、道路を利用した移動に関する経路探索・料金の算出に必要なデータの検索を可能にする構成(体系的構成A)が構築されている。 原告CDDBの体系的構成@及びAに係る上記各テーブルは、いずれも被告CDDB(新版)における原告CDDBと共通する20テーブルに含まれている。 加えて、被告CDDB(新版)における原告CDDBと共通する20テーブル内に存在する、原告CDDBの対応するフィールドと同一のフィールドの内容、上記各テーブルにおけるプライマリー・キーの設定状況及びテーブル間のリレーションの態様(前記(ア)及び(イ))に鑑みると、被告CDDB(新版)においては、被告CDDB(現行版)と同様に、原告CDDBの体系的構成@及びAに係る検索をすることができ、体系的構成@及びAが存在するものと認められる。 b 次に、原告CDDBでは、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「22観光施設備考テーブル」、「05緯度経度テーブル」、「06URLアドレステーブル」、「07URL種別テーブル」及び「08URL分類テーブル」により、ホテル・旅館、観光施設に関する情報を検索することを可能にする構成(体系的構成B)を有しているところ、これらのテーブルのうち被告CDDB(新版)と共通するテーブルは、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「22観光施設備考テーブル」及び「06URLアドレステーブル」であり、「05緯度経度テーブル」、「07URL種別テーブル」及び「08URL分類テーブル」の3テーブルについては一致するテーブルが被告CDDB(新版)には存在しない。 しかしながら、「05緯度経度テーブル」が保有していた緯度経度情報は、「20ホテル・旅館テーブル」及び「21観光施設テーブル」にも保有されており、また、「07URL種別テーブル」及び「08URL分類テーブル」については、いずれもURLアドレスの検索効率を高めるためのテーブルと認められるから、これらの3テーブルは、体系的構成Bに係る検索を行うために不可欠なテーブルであるとはいえない。したがって、被告CDDB(新版)において、上記3テーブルが存在しないとしても、体系的構成Bに係る検索が可能であるものと認められる。 c さらに、原告CDDBの「01市区町村テーブル」、「02地区・県名テーブル」は、道路と地図を関連付ける情報として、地図から検索をするときに用いられるものであり、これら2テーブルと「09地点名テーブル」、「20ホテル・旅館テーブル」、「21観光施設テーブル」、「32駅テーブル」によって、道路と地図を関連付けて行う地図からの検索、及び、道路地点、ホテル・旅館、観光施設、駅について市区町村、地区・県名からの検索を可能としている(体系的構成D)。 原告CDDBの体系的構成Dに係る上記各テーブルは、いずれも被告CDDB(新版)における原告CDDBと共通する20テーブルに含まれている。 これに加え、原告CDDBの体系的構成Dに係る上記各テーブルと共通する被告CDDB(新版)のテーブル内に存在する、原告CDDBの上記各テーブル内に存在するフィールドと同一のフィールドの内容、上記各テーブルにおけるプライマリー・キーの設定状況及びテーブル間のリレーションの態様(前記(ア)及び(イ))に鑑みると、被告CDDB(新版)においては、被告CDDB(現行版)と同様に、原告CDDBの体系的構成Dに係る検索をすることができ、体系的構成Dが存在するものと認められる。 d 一方、原告CDDBでは、「32駅テーブル」、「33路線構成テーブル」、「34路線テーブル」、「36路線検索テーブル」、「39便テーブル」、「40運行日定義テーブル」、「42会社テーブル」及び「43交通機関種別テーブル」により、公共交通機関を利用した経路探索に必要なデータの検索を可能にしているが(体系的構成C)、それらに対応する被告CDDB(新版)の「43路線マスタ」、「47駅マスタ」には「駅すぱあと」との連動のためのフィールドが設けられ、また、「46路線構成マスタ」に「出発駅コード」、「到着駅コード」の各フィールドが設けられたことに伴い、「47駅マスタ」とのリレーションが変化している。 (エ) 考察 以上によれば、被告CDDB(新版)のうち、原告CDDBと一致する20のテーブル、フィールド及びテーブル間のリレーションにおいては、被告CDDB(現行版)と同様に、原告CDDBの体系的構成@ないしB及びDに係る体系的構成が依然として維持されていると認められる。 そして、かかる体系的構成は、原告CDDBの制作者において、それまでのデータベースにはなかった設計思想に基づき構成した原告CDDBの創作活動の成果であり、依然としてその部分のみでデータベースとして機能し得る膨大な規模の情報分類体系であると認められ、データベース制作者の個性が表現されたものということができる。 したがって、上記のとおり被告CDDB(新版)と共通する原告CDDBの部分については、データベースの体系的構成としての創作性を有するものと認められる。 他方で、被告CDDB(新版)では、前記(ウ)dのとおり、体系的構成Cの点に変化が生じているほか、前記(ア)b、(イ)a(b)及びdのとおり、新たに追加された「130食事土産マスタ」、「131施設別詳細種別マスタ」、「132施設種別マスタ」、「133施設詳細種別マスタ」、「134提携施設マスタ」、「135提携種別マスタ」、「136提携会社マスタ」及び「137単経路補完マスタ」の各テーブルが存在することやこれに伴うフィールドやリレーションの追加、原告CDDBと共通性があるテーブル内に新たに設置されたフィールド及びこれに伴うリレーションの変化等が存在すること、これらのテーブルに含まれるフィールドの内容や機能等に照らすと、被告CDDB(新版)においては、新たな検索等のための体系的構成が生じていることが認められる。 しかしながら、被告CDDB(新版)における体系的構成Cに係る上記の変化は、それ以外の体系的構成@ないしB及びDの同一性を失わせるものではない。また、上記のとおり被告CDDB(新版)に新たに付け加えられたテーブル並びにこれに関連するフィールド及びリレーションは、地図上での単経路の表示を実際の道路の形状に即したものとする「137単経路補完マスタ」、食事処や土産施設の情報を「23観光施設マスタ」から移行させた「130食事土産マスタ」、全ての施設について種別による横断的な検索を可能とする「131施設別詳細種別マスタ」、「132施設種別マスタ」及び「133施設詳細種別マスタ」、提携施設に関する情報を新たに格納した「134提携施設マスタ」、「135提携種別マスタ」及び「136提携会社マスタ」というものであり、あくまでも体系的構成@ないしB及びDの存在を前提に、検索の利便性をさらに向上させるものと位置付けられるものであるから、それによって体系的構成@ないしB及びDの同一性が失われたということはできない。これ以外に被告CDDB(新版)に新たに付け加えられたフィールドやリレーションについても、これと同様である。 そうすると、被告CDDB(新版)においては、原告CDDBの体系的構成@ないしB及びDの本質的な特徴が認識可能であるものと認められる。 したがって、被告CDDB(新版)に新たに付け加えられたテーブル、フィールド及びリレーションの存在によって生じた体系的構成の部分が創作性を有するとしても、被告CDDB(新版)においては、原告CDDBの体系的構成@ないしB及びDの本質的な特徴が認識可能であり、その本質的な特徴を直接感得することができるものというべきである。 (オ) 1審被告らの主張について a 1審被告らは、被告CDDB(新版)の「46路線構成マスタ」、「43路線マスタ」、「45時刻マスタ」、「44便マスタ」、「29宿泊施設マスタ」、「21施設マスタ」、「23観光施設マスタ」、「26観光料金マスタ」、「3都道府県マスタ」、「37単経路マスタ」、「38禁止経路マスタ」、「39区間料金マスタ」及び「46通行料金マスタ」の13テーブルは、原告CDDBの各テーブルと実質的に異なっている旨主張する。 しかしながら、これらのテーブルが、原告CDDBの対応する各テーブルと実質的に一致するテーブルであると認められることは、これまで説示してきたとおりであり、1審被告らの上記主張は採用することができない。 b 1審被告らは、被告CDDB(新版)について、@被告CDDB(当初版・2006年版)において、施設関連テーブルの上位テーブルとしての「21施設マスタ」や、様々な料金体系に対応可能な「25観光料金種別マスタ」を新設し、テーブル及びフィールドの簡素化のために駅すぱあととの連動を可能としたこと、A被告CDDB(現行版)において、「21施設マスタ」に「キーワード」フィールドを設けてキーワード検索を可能とし、「37単経路マスタ」や「38禁止経路マスタ」の構成について新たな体系的構成を導入したこと、これらを踏まえ、B被告CDDB(新版)において、さらに「130食事土産マスタ」、「132施設種別マスタ」、「133施設詳細種別マスタ」、「131施設別詳細種別マスタ」、「134提携施設マスタ」、「136提携種別マスタ」、「136提携会社マスタ」及び「137単経路補完マスタ」を新設したことにより、もはや原告CDDBとは、体系的な構成を大きく異にするに至った旨主張する。 しかしながら、被告CDDB(当初版・2006年版)及び被告CDDB(現行版)において行われたテーブルやフィールドの新設等が、当該部分に相当する原告CDDBのテーブルとの共通性を失わせるものであったとか、新たな創作的表現を加えたものであったということができないことは、これまで説示してきたとおりである。そして、被告CDDB(新版)においてさらに行われた上記改変については、新たな創作的表現を加えたものと評価することができるとしても、これによって原告CDDBとの共通部分に係る体系的構成@ないしB及びDの同一性が失われたとまでいうことはできないことも、前記(エ)のとおりである。 したがって、1 審被告らの上記主張は、採用することができない。 c 1審被告らは、原告CDDBと被告CDDB(新版)との共通部分に係るテーブル及びフィールドは、旅行業者向けデータベースとして当然に必要不可欠なテーブル及びフィールドであり、このような創作性の余地のないテーブル及びフィールドの一致をもって同一の体系的構成と判断することはできない旨主張する。 しかしながら、原告CDDBと被告CDDB(新版)との共通部分に係る体系的構成@ないしB及びDについては、旅行業者向けデータベースにおいて必要な構成であるということはできるものの、これを具体的に構成するに当たってどのような組合せのテーブルを設け、それぞれのテーブルにどのようなフィールドを設けるのか、どのフィールドにプライマリー・キーを定め、どのフィールドを用いてテーブル間にリレーションをとるのかなどに関しては、選択の幅があり、制作者の個性が表れるものであるから、少なくとも制作者の如何を問わず、原告CDDBと全くあるいはほとんど同一の体系的構成になるとまでいうことはできない。したがって、個々のテーブルがそれ自体としては必要なテーブルであり、各テーブル内の個々のフィールドがそれ自体としては旅行業者向けデータベースとして必要不可欠な情報の項目を含むからといって、共通部分に係るテーブル、フィールド及びリレーションが全体として創作性を欠くということはできない。 よって、1審被告らの上記主張は、採用することができない。 d 1審被告らは、原告CDDBの創作的表現の本質的特徴は、その42個のテーブル及び405個のフィールド全体に包含されており、被告CDDBにおいてその一部のみが一致していることをもって、原告CDDB全体の本質的な特徴の同一性が維持されているとはいえない旨主張する。 しかしながら、リレーショナルデータベースにおいては、データベースの一部分を分割して利用することが可能である。そして、被告CDDB(新版)との共通部分に係る原告CDDBの体系的構成@ないしB及びDは一定のまとまりを有するものとして認識可能であり、これに係る創作的表現は、データベースの体系的構成として保護されるべきであるし、その共通部分が被告CDDB(新版)全体において占める割合の大小は、原告CDDBの共通部分の上記体系的構成の本質的な特徴の同一性が維持されているか否かを直接左右するものではない。 したがって、1審被告らの上記主張は、採用することができない。 e 1審被告らは、原告CDDBと被告CDDB(新版)を全体として比較した場合には、共通しないテーブル、フィールド項目が相当数を占め、また、それら相互間のリレーションの仕方にも大きな相違があり、体系的な構成として創作性を有する共通部分はその一部にすぎず、相当部分が異なっているから、被告CDDB(新版)は、体系的構成において共通する部分につき、原告CDDBの表現の本質的特徴を直接感得することはできないと主張する。 しかしながら、前記dのとおり、新たに付け加えられたテーブル、フィールド及びリレーションの存在により、被告CDDB(新版)のうち原告CDDBとの共通部分に係る体系的構成@ないしB及びDの本質的な特徴の同一性が失われたということはできず、これに上記のとおりの新たな創作的な表現が付け加えられたとしても、上記体系的構成の本質的な特徴を直接感得することができることは前記(エ)のとおりである。 したがって、1審被告らの上記主張は、採用することができない。 ウ 被告CDDB(新版)と原告CDDBとの情報の選択の共通性次のとおり訂正するほか、原判決「事実及び理由」第4の2(5)ウ(原判決227頁20行目ないし同235頁7行目)記載のとおりであるから、これを引用する。 (ア) 原判決227頁21行目の「前記のとおり、」の次に「原告CDDBのマスターテーブルと一致する被告CDDB(新版)の20テーブルについて、」を加え、同行目の「「登録日時」」を「「作成日時」」と、同頁23行目の「146個」を「129個」とそれぞれ改める。 (イ) 原判決228頁18行目の「「施設種別」、」の次に「「施設詳細種別」、」を加え、同頁20行目の「7個」を「8個」と改める。 (ウ) 原判決228頁23行目の「フィールドは、」の次に「「施設コード」、」を、同行目の「「施設大種別」、」の次に「「施設詳細種別」、」をそれぞれ加え、同頁24行目の「5個」を「7個」と改める。 (エ) 原判決231頁12行目から13行目までの「「35地点マスタ」」の次に「(レコード数:2万3213件)」を加える。 (オ) 原判決231頁25行目の「8.1%」を「5.6%」と、「1033件」を「713件」とそれぞれ改め、同頁26行目の「39、」及び同232頁1行目冒頭から同頁4行目末尾までをそれぞれ削る。 (カ) 原判決233頁12行目の「以下は」を削り、同頁13行目から14行目までの「同様の事例が存在を示すものである。」を「被告CDDB(現行版)と同様の誤りの事例が存在する。」と改める。 エ 情報の選択における共通部分についての原告CDDBの創作性の有無等 前記のとおり、被告CDDB(新版)の「35地点マスタ」には、2万3213件のレコードが存在するところ、そのうち1万1872件については、原告CDDBの「09地点名テーブル」のレコードと道路地点において一致すると認められる。 そうすると、少なくとも、原告CDDBと被告CDDB(新版)との共通部分である代表道路地点等の選別・選択については、原告CDDBの制作者の創作活動の成果が表れており、その個性が表れているというべきである。 したがって、被告CDDB(新版)と共通する上記原告CDDBの部分については、データベースの情報の選択としての創作性を有するものと認めるのが相当である。なお、旅行業者向けのデータベースにおいては、道路地点についての情報の選択に当たって特定の道路地点を選ぶことに制作者の創作性の発揮があるというべきであり、その緯度経度に関する情報はこれに依存しており、これを離れて独自の創作性があるということはできないから、たとえ緯度経度が一致しないレコードが大部分を占めているとしても、道路地点が一致する以上は、その限度で存する共通部分に原告CDDBの制作者の創作活動の成果が表れていると評価すべきであることは、被告CDDB(現行版)について説示したところと同様である。 そして、被告CDDB(新版)の「35地点マスタ」に存在するレコードのうち半分を超えるレコードが、原告CDDBの「09地点名テーブル」に存在するレコードと道路地点において一致するのであるから、これら被告CDDB(新版)が原告CDDBと共通性を有する部分は、原告CDDBの共通部分の情報の選択における本質的な特徴を直接感得することができるものというべきである。 他方、上記共通部分を除く被告CDDB(新版)のデータベースとしての情報の選択については、1審被告らによる新たな創作的表現が付け加わっているものと容易に認めることができるから、被告CDDB(新版)は、データベースの情報の選択において、原告CDDBの翻案物に当たると認めるのが相当である。 オ 1審被告らの主張について (ア) 1審被告らは、原告CDDBにおける代表道路地点の選択には創作性がない旨主張するが、かかる主張に理由がないことは、被告CDDB(当初版・2006年版)に関して既に説示したとおりである。 (イ) 1審被告らは、被告CDDB(当初版・2006年版)の全提供レコード数に占める道路地点情報のレコード数の割合はごく一部にすぎず、このようなごく一部の情報の一致をことさらに重視して、原告CDDBの創作的表現の本質的な特徴を直接感得できる同一性が維持されているとはいえないと主張しており、被告CDDB(新版)についても、同旨の主張をするものと解される。 この点、被告CDDB(新版)の「35地点マスタ」が有するレコードの半分強は、原告CDDBの「09地点名テーブル」のレコードと共通するということができるのは前記のとおりである。 このような、被告CDDB(新版)の上記テーブルに占める原告CDDBとの共通部分の割合の高さに照らすと、その共通部分に係る情報の選択について、原告CDDBの創作的表現の本質的な特徴を依然として直接感得することができるというべきである。そして、共通部分に係る代表道路地点の情報について、データベースとしてのまとまりを肯定することができる以上、これが被告CDDB(新版)の全体に占める割合の大小は、原告CDDBの情報の選択における本質的な特徴の同一性が維持されているか否かを直接左右するものではない。 (ウ) 1審被告らは、原告CDDBと被告CDDB(新版)の全体を比較した場合には、その保有する情報量に大きな差があり、情報の選択として創作性を有する共通部分はその一部にすぎず、相当部分が異なっているから、被告CDDB(新版)は、情報の選択において、共通部分につき原告CDDBの表現の本質的な特徴を直接感得することはできない旨主張する。 しかしながら、被告CDDB(新版)の上記テーブルに着目した場合には、共通部分に係る情報の選択について、原告CDDBの創作的表現の本質的な特徴を依然として直接感得することができるのは前記のとおりである。 したがって、1審被告らの上記主張は、採用することができない。 カ 依拠性について 被告CDDB(新版)が、被告CDDB(当初版・2006年版)に改変等を重ねる形で制作されたと認められること、誤記等を含む具体的な情報の同一性等が依然として認められることに照らし、被告CDDB(新版)が、原告CDDBに依拠して作成されたことは明らかである。 キ 被告CDDB(新版)についての結論 以上の検討によれば、被告CDDB(新版)は、原告CDDBに依拠して制作されたものであって、原告CDDBの共通部分の体系的構成及び情報の選択の本質的な特徴を認識可能であり、その本質的な特徴を直接感得することができるものといえるから、原告CDDBの共通部分の複製物ないし翻案物であると認めるのが相当である。 3 争点(2)(1審被告らによる著作権侵害の共同不法行為の成否)について (1) 1審被告らによる著作権侵害の有無について ア 前記2認定のとおり、被告CDDB(当初版・2006年版)及び被告CDDB(現行版)は、原告CDDBの共通部分の複製物であり、被告CDDB(新版)は、原告CDDBの共通部分の複製物ないし翻案物であることが認められる。 そして、証拠(甲51)及び弁論の全趣旨によれば、1審被告アゼスタは、被告CDDB(当初版・2006年版)、被告CDDB(現行版)及び被告CDDB(新版)をCD等に複製の上、これらの複製物のいずれかを含む被告システムを販売するとともに、被告CDDBを含む被告システムについて、インターネットによるオンラインアップデート等の提供をしたり、リース等も行っていたことが認められる。 これらの1審被告アゼスタの行為は、原告CDDBについて1審原告が有する著作権(複製権、翻案権、譲渡権、貸与権、公衆送信権)の侵害行為に当たるものと認められる。 イ 次に、前記1の認定事実によれば、@1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4は、翼システム及び旧原告会社において、原告CDDBを含む原告システムの販売等の営業を担当し、1審被告Y5は、上記両社において、システム開発技術者として原告CDDBを含む原告システム等の開発に関与していたところ、上記1審被告4名は、旧原告会社の在職中に、旧原告会社を退社して、新会社(1審被告アゼスタ)を設立し、旅行業システムの制作、販売等の事業を行うことを計画したこと、A1審被告Y2及び1審被告Y3と高校時代の同級生で、知人であった1審被告Y1は、上記事業に参画することとし、1審被告アゼスタの設立当初(平成17年10月18日設立)から代表者を務め、被告CDDBを含む被告システムの開発に当初から関与するとともに、その販売に当たっては、旧原告会社の顧客に対し、原告システムのデータの移行が可能な被告システムへ原告システムからのリプレースを勧める文書を送付するなどの販売促進活動を行ったこと、B1審被告Y5は、平成18年6月に旧原告会社を退社して1審被告アゼスタに入社した後、平成20年6月に退社するまでの間、被告CDDBを含む被告システムの開発に関与し、最初に開発した被告CDDB(当初版・2006年版)の制作に当たっては、原告CDDBのCD等からデータをコピーして利用したこと、C1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4は、いずれも、旧原告会社を退社した後、1審被告アゼスタの設立当初から1審被告アゼスタにおいて営業を担当し、被告CDDBを含む被告システムの販売に関与し、その主な販売活動は、旧原告会社の顧客に対し、原告システムから被告システムへのリプレースを勧めるものであったこと、D1審被告Y6は、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4と同様に、翼システム及び旧原告会社において、原告CDDBを含む原告システムの販売等の営業を担当していたが、平成18年10月に旧原告会社を退職して、1審被告アゼスタに入社した以降、1審被告アゼスタにおいて営業を担当し、被告CDDBを含む被告システムの販売に関与し、その主な販売活動は、旧原告会社の顧客に対し、原告システムから被告システムへのリプレースを勧めるものであったことが認められる。 ウ 前記ア及びイの認定事実を総合すると、個人の1審被告らは、いずれも、1審被告アゼスタによる1審原告が有する前記アの著作権の侵害行為に関与したものであり、1審被告アゼスタ及び個人の1審被告らは、共同して上記著作権の侵害行為を行ったものと認められる。 (2) 共同不法行為の成否について ア 1審被告アゼスタの故意又は過失の有無について 前記1及び2によれば、1審被告アゼスタには、原告CDDBの共通部分に係る著作権の侵害行為(前記(1)ウ)について少なくとも過失があったものと認められる。 イ 1審被告Y5の故意又は過失の有無について 前記1の認定事実によれば、1審被告Y5は、翼システムにおいて原告システムの開発プロジェクトのリーダーを務め、その後も翼システム及び旧原告会社において原告システムの開発に携わり、原告システムの開発に当初から中心的に関与してきたものであり、原告CDDBの体系的構成や格納されている情報の種類等について熟知していたことが認められる。 加えて、1審被告Y5は、1審被告アゼスタにおいて、1被告CDDBを含む被告システムの開発に関与し、最初に開発した被告CDDB(当初版・2006年版)の制作に当たっては、原告CDDBのCD等からデータをコピーして利用したこと(前記(1)イ)、被告CDDB(当初版・2006年版)及び被告CDDB(現行版)は、原告CDDBの共通部分の複製物であり、被告CDDB(新版)は、原告CDDBの共通部分の複製物ないし翻案物であるところ(前記(1)ア)、特に当初版・2006年版については、その体系的構成の点で原告CDDBと一致する程度が高く、情報の選択に関しても、原告CDDBに依拠したと認められる点が随所にみられること(前記2(2)ア及びカ)を勘案すると、1審被告Y5は、被告CDDB(当初版・2006年版)の制作が原告CDDBの共通部分の複製に当たることを認識していたか、少なくとも認識することができたものと認められる。 また、前記2(3)及び(4)の認定事実によれば、被告CDDB(現行版)は当初版・2006年版から、被告CDDB(新版)は現行版からそれぞれバージョンアップされたものであって、被告CDDB(現行版)及び被告CDDB(新版)のいずれにおいても、原告CDDBの共通部分の体系的構成及び情報の選択の本質的な特徴を認識可能であり、その本質的な特徴を直接感得することができるものであるから、被告Y5は、被告CDDB(現行版)の制作が原告CDDBの共通部分の複製に、被告CDDB(新版)の制作が原告CDDBの共通部分の複製ないし翻案にそれぞれ当たることを認識することができたものと認められる。 また、前記イのとおり、被告CDDB(現行版)及び被告CDDB(新版)のいずれにおいても、原告CDDBの共通部分の本質的な特徴を認識可能であることなどを勘案すると、1審被告Y1は、被告CDDB(現行版)が原告CDDBの共通部分の複製物に当たること、被告CDDB(新版)が原告CDDBの共通部分の複製物ないし翻案物であることを認識することができたものと認められる。 したがって、1審被告Y5には、原告CDDBの共通部分に係る著作権の侵害行為(前記(1)ウ)について少なくとも過失があったものと認められる。 ウ 1審被告Y1の故意又は過失の有無について @1審被告Y1は、1審被告アゼスタの設立当初(平成17年10月18日設立)から代表者を務め、被告CDDBを含む被告システムの開発に当初から関与するとともに、その販売に当たっては、旧原告会社の顧客に対し、原告システムのデータの移行が可能な被告システムへ原告システムからのリプレースを勧める文書を送付するなどの販売促進活動を行ったこと(前記(1)イ)、A1審被告Y5は、原審の本人尋問において、被告CDDB(当初版・2006年版)の制作に当たり、原告CDDBのCD等からデータをコピーして利用することは1審被告Y1と相談して決めた旨供述していること、B被告CDDB(当初版・2006年版)については、その体系的構成の点で原告CDDBと一致する程度が高く、情報の選択に関しても、原告CDDBに依拠したと認められる点が随所にみられること(前記イ)などを勘案すると、1審被告Y1は、被告CDDB(当初版・2006年版)の制作が原告CDDBの共通部分の複製に当たることを認識することができたものと認められる。 したがって、1審被告Y1には、原告CDDBの共通部分に係る著作権の侵害行為(前記(1)ウ)について少なくとも過失があったものと認められる。 エ 1審被告Y2、1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6について 前記(1)ア認定のとおり、1審被告Y2、1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6は、いずれも翼システム及び旧原告会社において、原告CDDBを含む原告システムの販売等の営業を担当していたことからすると、原告システムを構成する原告CDDBの内容について相応の知識を有していたものと認められる。 加えて、1審被告Y2、1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6は、旧原告会社を退社した後、いずれも1審被告アゼスタにおいて営業を担当し、被告CDDBを含む被告システムの販売に関与し、その主な販売活動は、旧原告会社の顧客に対し、原告システムから被告システムへのリプレースを勧めるものであったこと(前記(1)イ)、被告CDDB(当初版・2006年版)については、その体系的構成の点で原告CDDBと一致する程度が高く、情報の選択に関しても、原告CDDBに依拠したと認められる点が随所にみられること(前記イ)などを勘案すると、1審被告Y2、1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6は、被告CDDB(当初版・2006年版)及び被告CDDB(現行版)が原告CDDBの共通部分の複製物であること、被告CDDB(新版)が原告CDDBの共通部分の複製物ないし翻案物であることを認識することができたものと認められる。 したがって、1審被告Y2、1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6には、原告CDDBの共通部分に係る著作権の侵害行為(前記(1)ウ)について少なくとも過失があったものと認められる。 オ 1審被告らの主張について 1審被告らは、@1審被告Y5及び1審被告Y1は、被告CDDBの開発に際し、原告CDDBのデータの利用について著作権侵害とならないように慎重な配慮を尽くしているから、過失はない、A1審被告Y2、1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6は、いずれも営業担当者であり、データベースの設計や構造を含む開発に関する知識を有していないし、被告システムの開発に関与していないから、いずれも原告CDDBの著作権の侵害行為について過失はないなどと主張する。 しかしながら、上記@の点については、被告CDDB(当初版・2006年版)については、その体系的構成の点で原告CDDBと一致する程度が高く、情報の選択に関しても、原告CDDBに依拠したと認められる点が随所にみられること(前記イ)に照らすと、1審被告Y5が原告CDDBのデータの利用について慎重な配慮を行ったものということができないし、このことは、1審被告Y1についても同様である。 また、上記Aの点については、1審被告Y2、1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6において、被告CDDBの設計及び構造について正確な知見がなかったとしても、前記エ認定の諸事情に照らすと、被告CDDB(当初版・2006年版)及び被告CDDB(現行版)が原告CDDBの共通部分の複製物であること、被告CDDB(新版)が原告CDDBの共通部分の複製物ないし翻案物であることを認識することができたことを否定することはできない。 したがって、1審被告らの上記主張は採用することができない。 カ 小括 以上によれば、1審被告らが共同して原告CDDB(被告CDDBとの共通部分)について1審原告が有する著作権の侵害行為を行い(前記(1)ウ)、被告らには、少なくとも過失があったものと認められるから、1審被告らにおいては上記著作権の侵害行為について共同不法行為が成立するというべきである。 (3) 差止請求等について ア 1審被告アゼスタに対する請求 (ア) 原判決は、1審原告の請求のうち、差止請求及び廃棄等請求に関する部分について、1審被告アゼスタに対し、被告CDDB(当初版・2006年版)及び被告CDDB(現行版)の複製、頒布又は公衆送信(送信可能化を含む。)の差止め及びこれらを格納したCD−ROM等の記憶媒体の廃棄等(原判決主文第1項及び第2項)を求める限度で認容したものであるが、上記認容部分については、1審被告アゼスタの控訴がないため、不利益変更禁止の原則により、当審の審判の対象ではない。 次に、被告CDDB(新版)については、前記(1)アの認定事実によれば、1審被告アゼスタが、原告CDDBの共通部分の複製物ないし翻案物である被告CDDB(新版)をCD等に複製の上、その複製物を含む被告システムを販売するとともに、被告CDDBを含む被告システムについて、インターネットによるオンラインアップデート等の提供をしたり、リース等を行うことは、原告CDDBについて1審原告が有する著作権(複製権、譲渡権、貸与権、公衆送信権)の侵害行為に当たるものと認められるから、被告アゼスタによる被告CDDB(新版)の複製、頒布又は公衆送信(送信可能化を含む。)の差止め及びこれを格納したCD−ROM等の記憶媒体の廃棄等の必要性があるものと認められる。 (イ) 1審原告は、原告CDDBに係る翻案権に基づき、1審被告アゼスタに対し、被告CDDB(当初版・2006年版)、被告CDDB(現行版)及び被告CDDB(新版)の翻案の差止めを請求している。 そこで検討するに、著作物の翻案(著作権法27条)とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいうものであり、このような翻案行為の態様は、複製行為と比べると、広範かつ多様なものがあり得ると解されるところ、1審原告の請求は、差止めの対象となる被告CDDBの翻案行為を具体的な態様のものに特定するものではないから、「翻案」に当たる全ての態様の行為を差止めの対象とするものといえる。 しかるところ、1審被告アゼスタについて、このように行為態様が無限定な内容の翻案行為について差止めの必要性があるものと認めることはできないから、1審原告の翻案の差止請求は理由がない。 イ 個人の1審被告らに対する請求 前記(1)イの認定事実によれば、1審被告Y1、1審被告Y5、1審被告Y2、1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6は、1審被告アゼスタに在籍し、その業務として、被告CDDBの複製又は被告CDDBを含む被告システムの販売を行ったことが認められる。 他方で、これら個人の1審被告らのそれぞれが、個人の事業主体又は1審被告アゼスタと共同の事業主体として、上記複製、販売を行ったことを認めるに足りる証拠はない。 加えて、被告CDDBにおいては、当初版から新版まで順次バージョンアップが積み重ねられ、そのバージョンアップの過程において、データが順次更新されていることを勘案すると、当審の本件口頭弁論終結時点において、個人の1審被告らについて、被告CDDB(当初版・2006年版)、被告CDDB(現行版)及び被告CDDB(新版)のいずれについても複製、頒布等の差止めの必要性があるものと認めることはできない。 なお、1審被告Y5については、1審被告Y5は平成20年6月に1審被告アゼスタを退社しており、その後、被告CDDBの複製、販売等に関与していることを認めるに足りる証拠はないから、この点においても、差止めの必要性があるものと認めることはできない。 ウ 小括 以上によれば、1審原告の請求のうち、差止請求及び廃棄等請求に関する部分は、1審被告アゼスタに対し、被告CDDB(当初版・2006年版)、被告CDDB(現行版)及び被告CDDB(新版)の複製、頒布又は公衆送信(送信可能化を含む。)の差止め及びこれらを格納したCD-ROM等の記憶媒体の廃棄等を求める限度で理由があり、その余は理由がないというべきである。 4 争点(5)(1審被告らの損害賠償責任の有無及び1審原告の損害額)について (1) 1審被告らの損害賠償責任について 前記3(1)及び(2)によれば、被告CDDB(当初版・2006年版)及び被告CDDB(現行版)は、原告CDDBの共通部分の複製物であり、1審被告らによる被告CDDB(当初版・2006年版)及び被告CDDB(現行版)の複製、これらの複製物のいずれかを含む被告システムの販売等は、原告CDDBについて1審原告が有する著作権の侵害行為に当たり、共同不法行為が成立するから、1審被告らは、1審原告が上記著作権の侵害により被った損害について、連帯して賠償する責任を負うものである。 (2) 著作権法114条1項に基づく損害額 著作権法114条1項本文は、著作権者が自己の著作権を侵害した者に対し、その侵害により受けた損害を賠償する場合において、「侵害の行為によって作成された物の譲渡数量」に、「侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額」を乗じて得た額を、著作権者の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において、著作権者の損害額とすることができる旨規定している。 1審原告は、平成18年6月から平成22年11月までの間の1審被告らによる被告CDDBを含む被告システムの販売に係る著作権侵害によって1審原告が受けたり著作権法114条1項に基づく損害額は、合計8億0332万2978円である旨主張するので、以下において判断する。 ア 被告CDDBを含む被告システムの譲渡数量について (ア) 証拠(甲25の2、乙19、37)及び弁論の全趣旨によれば、@被告システム(「旅nesPro」)には、行程表・見積書作成機能のみを有する「Pro-1」と行程表・見積書作成機能及び顧客管理機能を有する「Pro-2」の二つのタイプがあること、A1審被告アゼスタが平成18年6月から平成23年6月までの間に販売した被告システムのタイプ別の販売本数、そのバージョン別(当初版、2006年版、現行版及び新版)の内訳は、別表2のとおりであり、さらに、現行版の内訳の詳細は、別表3のとおりであること、B1審原告の損害賠償請求の対象期間である平成18年6月から平成22年11月までの間に1審被告アゼスタが販売した被告システムのバージョンは、当初版、2006年版及び現行版であり、被告システムに含まれる被告CDDBは、被告システムのバージョンに対応し、当初版、2006年版及び現行版であることが認められる。 上記認定事実に基づいて、平成18年6月から平成22年11月までの間の被告CDDB(当初版、2006年版及び現行版)を含む被告システムの譲渡数量を算定すると、合計397本となる。 (内訳)
そこで検討するに、甲53(1審被告Y1作成の平成22年11月29日付けの「旅行業務システム「旅ネスプロ」新製品のご案内」と題する「書類送付状」)には、「弊社の旅行業システム「旅ネスプロ」は販売開始から4年間で約500社様、その内旧翼システム時代のお客様約300社様が「旅ネスプロ」へ切換導入して頂いております。」との記載がある。 しかしながら、他方で、甲52(1審被告Y1作成の平成20年7月付けの挨拶状)には、同年6月末の時点で、被告システムのユーザー数が222社である旨の記載があるほか、甲25の2(1審被告アゼスタを紹介する文書)には、平成22年1月の時点で、被告システムの導入会社が350社を達成した旨の記載があり、これらの導入企業数の記載は、上記のとおり認定した被告システムの販売本数に概ね合致すること、甲53は、1審被告Y1が、被告システムの新製品の案内・宣伝のために送付した文書であるところ、その文書の性質上、必ずしも正確な販売実績が反映されるものとは限らず、多めに販売実績を記載したとしても、不自然とまではいえないことに照らせば、甲53の上記記載から平成18年6月から平成22年11月までの間における被告CDDBを含む被告システムが少なくとも500本販売されことを直ちに認めることはできない。他にこれを認めるに足りる証拠はない。 したがって、1審原告の上記主張は採用することができない。 イ 原告CDDBに係る単位数量当たりの利益額について (ア) 「侵害の行為がなければ販売することができた物」について 前記認定のとおり、被告CDDB(当初版・2006年版)及び被告CDDB(現行版)は、原告CDDBの共通部分の複製物であるから、原告CDDBは、1審原告が「侵害の行為がなければ販売することができた物」に当たるものといえる。 一方で、原告CDDBは、システムの各機能を実行させるプログラムとデータベースとで構成される原告システムのデーベース部分であり、CD等に格納され、パソコンにインストールされて使用されるものであるところ、1審原告は、原告CDDBを単体では販売することはなく、原告CDDBを含む原告システムを一体のシステムとして販売しており、そのため、原告CDDB単体についての市場価格は形成されていないものと認められる。 この点は、被告システムも同様であり、1審被告アゼスタは、被告CDDBを単体では販売することはなく、被告CDDBを含む被告システムを一体のシステムとして販売している。 加えて、前記認定のとおり、1審被告らが、原告システムの顧客に対して原告システムから被告システムへのリプレース販売を持ち掛け、相当数の原告システムの顧客に対して、原告システムから被告システムへの切り替えに成功していることを考慮すると、被告CDDBを含む被告システムと原告CDDBを含む原告システムとは、市場において競合関係にあるものと認められるから、原告CDDBを含む原告システムのシステム全体についても、被告CDDBとの関係で、1審原告が「侵害の行為がなければ販売することができた物」に当たるものと認められる。 (イ) 原告CDDBを含む原告システムの単位数量当たりの利益額について 1審原告の平成18年度(平成18年1月から同年12月まで)における原告CDDBを含む原告システムの販売実績等(甲59、68、69、77)に基づいて、1審原告が原告CDDBを含む原告システムを追加的に販売した場合における単位数量当たりの利益額を算定すると、次のとおりとなる。 a 原告システムの販売価格 (a) 原告CDDBを含む原告システムには、検索業務、行程表・見積書作成、インターネット連動、地図連動機能を含むTR−P1のほか、上記機能に加え、さらに売上集計管理、顧客管理機能を含むTR−P4があり(甲1の1)、甲59によれば、TR−P1の販売価格は170万円、TR−P4の販売価格は220万円であることが認められる。 このTR−P4の販売価格とTR−P1の販売価格との差額部分は、TR−P1に売上集計管理及び顧客管理機能を付加してTRP4としたことによって生じたものと認められること、原告CDDBは、原告システムのうちの検索及び行程作成業務用データベース部分であることを考慮すると、原告CDDBを含む原告システムの単位数量当たりの利益額の算定に当たっては、TR−P1の販売価格を基準とするのが相当である。 そして、@甲69によれば、原告システムのうちTR−P4(販売価格220万円)の平均実売価格は192万6434円であることが認められ、これによれば、平均値引き率は12.5%となること、A証人Aは、原審において、1審原告の顧客のうち、販売促進に協力してもらっているいわゆるモデルユーザーや大口取引のある顧客以外には、大幅な値引きを行ったことはないが、それ以外の顧客に対する平成18年時点での値引きの幅は、平均20%くらいである旨供述し、かかる供述の信用性を疑わせるに足りる事情も特段見当たらないことなどに照らせば、1審原告においては、平均して少なくとも販売価格の10%程度の値引き販売が行われていたものと認められる。 したがって、原告システムの単位数量当たりの利益額の算定に当たっては、原告システムの販売価格は、TR−P1の上記販売価格から10%を控除した153万円と認めるのが相当である。 (b) この点に関し、1審被告らは、乙36の1ないし26、66の1及び2、67等を根拠として挙げて、1審原告は原告システムの販売に当たってTR−P1の標準価格の半額近くまで大幅に値引きしていたなどと主張する。 しかしながら、上記各書証は、1審原告による一部の販売についての書証にすぎず、1審原告による原告システムの販売の全てにおいて、半額程度の値引きが行われていたことを裏付けるものではない。他にこれを認めるに足りる証拠はない。 したがって、1審被告らの上記主張は、採用することができない。 b 1審原告の利益率 (a) 売上高 平成18年度の1審原告の旅行業関係の売上高のうち、ソフトウェア関係の売上高は2億1257万8000円であり、ソフトウェアの売上本数は132本であり、この売上本数は、原告CDDBを含む原告システムの基本システムであるTR−P1及びTR−P4のほか、TR−P3、モバイルタイプTR−P1M、子機セットTR−P1L、TR−P4Lを含むこと(甲69)からすると、ソフトウェア1本当たりの販売価格は、161万0439円(2億1257万8000円÷132本。ただし、小数点以下切り捨て。以下同じ)となる。 (b) 売上高全体に対する経費 @ 仕入高 781万4000円 原告システムと関連するハードウェア(パソコン、プリンタ等)などと一緒に販売する場合の仕入費用(甲69) A 残債 108万5000円 原告システム販売時に、顧客の旧リース料を1審原告が負担する場合の費用(甲69) B 販売手数料 250万4000円 原告システム販売時に販売代理店に対して支払われる手数料(甲69) C 販促費/リース料S 43万9000円 原告システム販売時に、顧客の新規リース料の一部を1審原告が負担する場合の費用(甲69) D 販促費/その他 39万6000円 原告システムの販売促進活動に係る成約記念品等の費用(甲69) E 外注費 678万2000円 原告システムの開発及びメンテナンスなどについての外部委託費用 F 物流費 188万3000円 原告システム等の出荷に伴い発生する運送費用(甲69) G インセンティブ 1592万9000円 原告システム販売担当営業員に販売額に応じて支払われるインセンティブ費用(甲69) H 広告宣伝費及びその他管理費 0円 甲69記載の広告宣伝費(112万5000円)及びその他管理費(5332万9000円)は、原告システムを追加的に販売するために控除すべき費用とは認められない。 I 小計(@ないしHの合計額) 3683万2000円 これをソフトウェア1本当たりに換算すると、27万9030円(3683万2000円÷132本)となる。 (b) 人件費 36万1537円 @ 1審原告において、旅行業関係に携わる人員は、営業部門8名(営業4名、アフター3名、スタッフ1名)、開発部門2名、本社スタッフ1名の合計11名であり、平成18年の1審原告の人件費は6561万9000円(甲69)である。 そうすると、1審原告が、原告システムを追加的に販売するのに必要な人件費は、原告システム1本当たり、36万1537円と認めるのが相当である。 計算式 6561万9000円×8名(営業部門の人員数)÷11÷132本=36万1537円 A これに対し、1審原告は、@1審被告らは主にリース期間満了時を狙った原告システムについてのリプレース販売であったから、既に顧客には1審原告の営業担当者がついていたのであり、追加販売において営業担当者を増やすことによる追加的人件費は発生しない、Aインセンティブ(販売担当営業員に対する歩合報酬)を控除していることから、追加的人件費をさらに控除することは誤りであるなどと主張する。 しかしながら、上記@の点については、1審被告らによる被告CDDBを含む被告システムの譲渡数量(前記ア(イ))の全てがリプレース販売であったとの立証はない上、仮にリプレース販売であったとしても、新たな営業活動が直ちに不要となるものではない。 また、上記Aにの点については、1審原告が、被告システムの譲渡数量分の原告システムの追加販売をした場合には、人件費のみならず、インセンティブの支払も必要になるのであるから、必ずしも人件費を二重払しているということはできない。 したがって、1審原告の上記主張は採用することができない。 (c) 利益率 前記(a)及び(b)によれば、1審原告が原告システムを含むソフトウェアを追加的に販売した場合の1本当たりの利益率は、60%(小数点以下切り捨て)となる。 計算式 〔161万0439円−(27万9030円+36万1537円)〕÷161万0439円 c 単位数量当たりの利益額 以上によれば、原告CDDBを含む原告システムの1本当たりの利益額(単位数量当たりの利益額)は、原告システムの販売価格153万円(前記a)に1審原告の利益率60%(前記b(c))を乗じて算出した91万8000円と認めるのが相当である。 d 原告CDDBの寄与の割合について (a) 前記(ア)認定のとおり、原告システムは、システムの各機能を実行させるプログラムとデータベース(原告CDDB)とで構成されており、プログラム部分とデータベース部分は、構成上は別のものであること、1審原告は、データベース部分である原告CDDBを単体では販売することはなく、原告CDDBを含む原告システムを一体のシステムとして販売していること、原告システムにおいては、プログラム部分とデータベース部分のそれぞれが顧客吸引力を有し、原告システムの購入動機の形成に貢献ないし寄与しているものと認められることを総合考慮すると、著作権法114条1項に基づく1審原告の損害額の算定の基礎となる「侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益額」は、原告CDDBを含む原告システムの1本当たりの利益額全額ではなく、データベース部分である原告CDDBの上記貢献ないし寄与の割合(以下、単に「寄与割合」という。)に応じて算出するのを相当と認める。 以上を前提に検討するに、前記前提事実(2)オのとおり、原告システム(TR−P1)の検索業務、行程・見積作成の各機能の内容としては、検索業務は時刻表検索、観光施設検索、宿泊施設検索、道路料金経路検索、インターネット検索、画像保存、地図検索を含むものであり、行程・見積作成は行程表作成、見積書作成、損益検討書作成、受注型企画旅行見積書、包括見積書作成、修学旅行見積書、利用施設一覧印刷、観光施設案内書印刷、宿泊施設案内書印刷、添乗指示書作成、現地払い見積書、契約書(受注型・手配型)、Mail送信(PDF)、画像付き行程表出力を含むものであるが、このうち時刻表検索、インターネット検索、画像保存、地図検索、見積書作成、損益検討書作成、受注型企画旅行見積書、包括見積書作成、修学旅行見積書、利用施設一覧印刷、観光施設案内書印刷、宿泊施設案内書印刷、添乗指示書作成、現地払い見積書、契約書(受注型・手配型)、Mail送信(PDF)、画像付き行程表出力等の機能については、原告CDDBとは無関係の機能である。 上記の点に加えて、原告システムにおけるデータベースの機能上の重要性、原告システムにおけるプログラム部分とデータベース部分である原告CDDBの顧客吸引力の程度などを総合考慮すると、原告システム(TR−P1)の1本当たりの利益額における原告CDDBの寄与割合は、50%と認めるのが相当である。 (b) これに対し、1審原告は、被告CDDBを含む被告システムが1本販売されることにより、原告CDDBを含む原告システム1本が販売できなくなったという関係(代替関係ないし相互補完性)があるから、原告システム1本を販売できなくなったことによる1審原告の著作権法114条1項に基づく損害額(逸失利益)の算定に当たり、原告CDDBの寄与割合によって単位数量当たりの利益額を減ずる理由はない旨主張する。 しかしながら、前記(a)に説示したとおり、1審原告が「侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益額」は、原告CDDBを含む原告システムの1本当たりの利益額全額ではなく、データベース部分である原告CDDBの寄与割合に応じて算出するのが相当と認められるから、1審原告らの上記主張は採用することができない。 (c) また、1審被告らは、原告CDDBは、プログラム等を含めた原告システム全体の一部であるデータベース部分のさらにその一部にすぎず、このような原告システムにおける原告CDDB部分の位置づけからすると、原告CDDBの寄与割合を50%と認定することは、寄与割合が不当に高く、誤りであるといわざるを得ないし、加えて、原告CDDBと被告CDDBは情報の選択等において一致しない部分が多くあることも寄与割合の判断において評価されるべきである旨主張する。 しかしながら、前記(a)認定のとおり、原告システムにおけるデータベースの機能上の重要性、原告システムにおけるプログラム部分とデータベース部分である原告CDDBの顧客吸引力の程度などを総合考慮すると、原告CDDBの寄与割合を50%と認めることは不合理であるということはできない。 また、被告CDDBが情報の選択等における原告CDDBと一致しない部分の量、程度等は、原告CDDBを含む原告システムの1本当たりの利益額における原告CDDBの寄与割合に影響を及ぼす事情に当たるものとは認められない。 したがって、1審被告らの上記主張は採用することができない。 e 小括 以上によれば、著作権法114条1項に基づく1審原告の損害額の算定の基礎となる原告CDDBを含む原告システムの1本当たりの利益額(単位数量当たりの利益額)は、45万9000円となる。 計算式 91万8000円(前記c)×0.5=45万9000円 ウ 1審原告の実施能力 1審原告は、平成18年度(同年1月から12月までの間)に、原告システムを含むソフトウェア132本販売した実績があることや、1審原告が1審被告アゼスタよりもその事業規模が格段に大きいことに照らせば、前記アの被告CDDBを含む被告システムの販売数量の全部について、1審原告が原告CDDBを含む原告システムを販売する能力(実施能力)を有していたことが認められる。 エ 著作権法114条1項ただし書に該当する事情の有無等 (ア) 1審被告らは、被告システムの売上本数の達成は、原告システムよりも豊富な収録レコード数(約2.6倍)、データメンテナンス及びサポート体制の充実、担当者の旅行業者向けシステムにおける経験・ノウハウ、データベース部分以外の優位性などの面で原告システムより優位性を有しており顧客吸引力を有していたことの事情によるものであり、また、被告CDDB(現行版)については、約4年もの長期にわたり販売され、別表1のとおりの4期にわたり、体系的な構成が大きく変更され、レコード数が激増しているなどの事情があり、これらの事情は、著作権法114条1項ただし書の譲渡等数量の全部又は一部に相当する数量を著作権者が「販売することができないとする事情」に該当するから、上記事情に相当する数量に応じた額を1審原告の損害額から控除すべきである旨主張する。 しかしながら、1審原告における原告CDDBを含む原告システムのデータメンテナンスやサポート体制が、1審被告アゼスタのそれに比べて特に劣っていたことを客観的に裏付ける証拠はない。 また、1審被告らが指摘する被告CDDBにおける体系的構成の変化や情報量の増加についても、いずれもデータベースの利便性の向上に資するものであるということは否定できないものの、これによって、その部分がなければ原告CDDBを購入しないと考える顧客が相応に存在すると認めるに足りる事情であるとはいい難く、また、そのような事情の存在を裏付ける的確な証拠もない。 したがって、1審被告らの上記主張は採用することができない。 (イ) また、1審被告らは、旅行業者向けシステムには、「応援団くん」等同種の他社の競合品が複数存在し、被告システムの販売と1審原告の損害との間に因果関係が存しない旨主張する。 しかしながら、1審被告らが同種システムであると指摘する「応援団くん」等については、システムの詳細が明らかではなく、原告CDDBを含む原告システムと市場において競合関係にあるかどうか定かではない。 したがって、1審被告らの上記主張は採用することができない。 オ 著作権法114条1項に基づく損害額 以上のアないしエの各検討結果を総合すれば、平成18年6月から平成22年11月までの間において、1審被告らによる被告CDDBを含む被告システムの販売に係る著作権侵害によって1審原告が受けた、著作権法114条1項に基づく損害額は、1億8222万3000円と認められる。 計算式 45万9000円×397本=1億8222万3000円 (3) データメンテナンス契約に係る損害について ア 損害の発生の有無について 1審原告は、原告システムを含む原告システムにおいては、各種データは常に最新でなければ意味をなさないため、特段の事情がない限り、原告システムを購入するユーザは原告との間でデータメンテナンス契約を締結してデータ更新のためのメンテナンスCDの提供を受けることになるところ、被告CDDBを含む被告システムの販売がされなければ原告システムが販売され、これに伴い、データメンテナンス契約が締結されたものといえるから、1審被告らによる被告CDDBを含む被告システムの販売に係る著作権侵害により、1審原告は、データメンテナンス契約に係る利益相当額の損害を被った旨主張する。 そこで検討するに、旅行業者が原告CDDBを含む原告システムを購入するに当たっては、適宜の時期に情報の更新等を行い、できる限り最新の情報をデータベースに格納しておくことを希望するものと認められるから、原告システムの購入時にデータメンテナンス契約を締結し、少なくとも1年間は上記データメンテナンス契約を継続するのが通常であるものと認められる。 そうすると、1審被告らによる被告CDDBを含む被告システムの販売に係る著作権の侵害行為とその販売数量に対応する1審原告のデータメンテナンス契約に係る1年分の利益額に相当する損害との間には相当因果関係が認められ、1審原告は、上記損害を被ったものと認めるのが相当である。 イ 損害額について (ア) 甲77によれば、データメンテナンス契約に基づくデータメンテナンス料は、平成19年10月までは月額5000円、同年11月以降は月額6000円であったことが認められる。 (イ) 甲69によれば、1審原告の平成18年度のデータメンテナンスに関する売上高は10億4742万9000円であったこと、その変動経費は、仕入高(8387万6000円)、残債(−8000円)、販売手数料(165万5000円)、販促費/リース料S(0円)、販促費/その他(344万3000円)、外注費(6604万9000円)、物流費4385万4000円)、インセンティブ(423万円)、広告宣伝費(225万1000円)、その他管理費(1億4457万4000円)であったことが認められる。 この点、データメンテナンス契約に係る利益相当額の損害については、著作権法114条の適用はないものと解され、その損害額の算定に当たっては、売上高から変動経費だけでなく固定費も控除されるべきである。 そして、上記の売上高、変動経費額、メンテナンス料の値引き取引も行われていたことその他諸般の事情を考慮すると、データメンテナンス契約に基づくメンテナンス料に対する利益は、メンテナンス料が月額5000円であるか、6000円であるかを問わず、月額3000円と認めるのが相当である。 (ウ) 以上を前提に、1審原告のデータメンテナンス契約に係る利益相当額の損害額を算定すると、次のとおりとなる。 a 平成18年6月から平成21年12月末までの間に販売された被告CDDBに係る損害 別表2のとおり、上記期間において販売された被告システム(当初版)は22本、被告システム(2006年版)は61本である。 そして、別表2によれば、平成19年4月から平成23年4月までの49か月間に販売された被告システム(現行版)は333本であり、平均して1か月当たり6.79本の被告システム(現行版)が販売されたものと認められるから、平成19年4月から平成21年12月末までの33か月間に販売された被告システム(現行版)は224本(6.79×33=224)と認められる。そうすると、平成18年6月から平成21年12月末までの間に販売された被告システム(当初版、2006年版及び現行版)は、307本(22本+61本+224本)と認められる。 したがって、上記販売本数に対するデータメンテナンス契約に係る利益相当額の損害額は、1105万2000円である。 計算式 3000円×12か月×307本=1105万2000円 b 平成22年1月から平成22年12月末までの間に販売された被告システムに係る損害 上記期間において販売された被告システム(現行版)は81本(6.79×12=81)となる。そして、この期間においては、その販売時期を問わず、平成22年12月末までに発生したデータメンテナンス契約に係る利益相当額が著作権侵害と相当因果関係のある損害となる一方で、販売時期によって損害の発生期間が12か月に満たないものがあることを勘案すると、その損害額は、上記販売本数に対する1年分のデータメンテナンス契約に係る利益相当額の半額と認めるのが相当である。したがって、上記損害額は、145万8000円と算定される。 計算式 3000円×12か月×81×0.5=145万8000円 c 合計 前記a及びbの合計額は、1251万円である。 (4) 弁護士費用 1審被告らの著作権侵害の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額の損害は、本件事案の性質、認容額、主張立証の難易度、審理の経過等の諸般の事情に鑑み、2000万円と認めるのが相当である。 (5) 1審被告らが損害賠償責任を負う範囲 ア 1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3、1審被告Y4及び1審被告Y6について 1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4の損害賠償責任は、1審原告の主張する損害賠償請求期間の全範囲にわたる。その額は、前記(2)及び(3)にそれぞれ認定の損害額に前記(4)の弁護士費用を加算して、合計2億1473万3000円である。 イ 1審被告Y5について 1審被告Y5は、平成20年6月に1審被告アゼスタを退社しているから、1審被告Y5が責任を負うべき損害についても、同月末までに発生したものに限られるというべきである。 そして、平成18年6月から平成22年11月までの54か月のうち、1審被告Y5が1審被告アゼスタに在籍した期間は、平成18年6月から平成20年6月までの25か月であるから、1審被告Y5が責任を負うべき損害額は、9941万3425円である(なお、データメンテナンス契約に基づく損害の請求期間は55か月であるが、損害額の按分においては区別を設けないものとする。)。 計算式 2億1473万3000円÷54×25=9941万3425円 ウ 1審被告Y6について 1審被告Y6は、平成18年11月30日に旧原告会社を退職して1審被告アゼスタに転職しているから、同年12月以降の被告システムの販売に関して発生した損害について、責任を負うというべきである。 そして、平成18年6月から平成22年11月までの54か月のうち、1審被告Y6が1審被告アゼスタに在籍した期間は、平成18年12月から平成22年11月までの48か月であるから、1審被告Y6が責任を負うべき損害額は、1億9087万3777円となる。 計算式 2億1473万3000円÷54×48=1億9087万3777円 エ 1審被告Y5と1審被告Y6との損害賠償債務の連帯の範囲について 1審被告Y5と1審被告Y6が損害賠償債務について連帯責任を負う範囲は、両名の責任が併存する平成18年12月から平成20年6月までの19か月間に限られ、その額は7555万4203円と認められる。 計算式 2億1473万3000円÷54×19=7555万4203円 オ 遅延損害金について (ア) 起算日について 1審原告は、1審被告アゼスタが平成18年6月から平成22年11月までの間に販売した被告CDDBを含む被告システムに係る損害として9億1037万0978円を請求するとともに、遅延損害金については、うち5億5349万6000円については平成21年5月28日(1審被告らのうち最後に訴状が送達された1審被告Y6に対する訴状送達の日の翌日である。)から、うち1億1859万3600円については平成23年11月2日(平成23年10月7日付け訴えの変更の申立書送達の日の翌日である。)から、うち2億3828万1378円については平成25年1月31日(平成25年1月28日付け訴えの変更の申立書送達の日の翌日である。)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている。 そして、不法行為に係る損害賠償債権の遅延損害金が、当該不法行為があった日から発生すると解されることに照らせば、1審原告の請求に係る遅延損害金の起算日については、販売日が平成21年5月28日までのものについては同日を起算日として、販売日が翌29日以降のものについては、損害賠償債権元金額が1億1859万3600円に満つるまでのものは平成23年11月2日を起算日とすべきである。 (イ) 平成21年5月28日までに発生した損害額について 平成18年6月から平成21年5月28日までに発生した損害額については、上記期間に相当する36か月分の損害額として算定することとすると、その額は1億4315万5333円である。 計算式 2億1473万3000円÷54×36=1億4315万5333円 (ウ) 平成21年5月29日以降に発生した損害額について 平成21年5月29日以降、平成22年11月末までに発生した損害額は7157万7667円であると認められ、同額についての遅延損害金の起算日は、平成23年11月2日となる。 計算式 2億1473万3000円−1億4315万5333円=7157万7667円 (エ) 1審被告Y5及び1審被告Y6に対する遅延損害金の起算日について 1審被告Y5は平成20年6月末に1審被告アゼスタを退社しており、同人が責任を負うべき損害は、平成21年5月28日までに全て発生している。したがって、同人が責任を負う損害額については、同日が遅延損害金の起算日となる。 1審被告Y6が責任を負うべき損害額1億9087万3777円のうち、1審被告アゼスタに転職後の平成18年12月から平成21年5月28日までの間に発生したものは、同日から平成22年11月末までの間に発生した損害額が前記(ウ)のとおり7157万7667円であるから、1億1929万6110円である。同額についての遅延損害金の起算日は平成21年5月28日となり、その余の7157万7667円についての遅延損害金の起算日は平成23年11月2日となる。 計算式 1億9087万3777円−7157万7667円=1億1929万6110円 5 争点(3)(一般不法行為に基づく損害賠償請求の成否)について 1審原告は、平成18年6月から平成22年11月までの間の1審被告らによる被告CDDBの複製、頒布等の行為に関して、著作権侵害に基づく損害賠償請求と一般不法行為に基づく損害賠償請求を選択的に行い、 一般不法行為に基づく損害賠償請求においても、著作権侵害に基づく損害額と同額(合計9億1037万0978円)の損害額を主張している。 しかるところ、1審原告における一般不法行為に基づく損害額が、前記4認定の著作権法114条1項に基づく損害額を超えることを認めるに足りる証拠はないから、その余の点について判断するまでもなく、1審原告の一般不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。 6 争点(4)(1審原告の行為の独占禁止法違反の可能性の有無)について 原判決「事実及び理由」第4の5(原判決245頁24行目ないし同246頁20行目)記載のとおりであるから、これを引用する。 7 結論 以上の次第であるから、1審原告の請求は、差止請求及び廃棄等請求に関する部分は、1審被告アゼスタに対し、被告CDDB(当初版・2006年版)、被告CDDB(現行版)及び被告CDDB(新版)についての差止請求(いずれも、翻案行為の差止めを除く。)は理由があり、損害賠償請求に関する部分については、@1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4に対し、連帯して、2億1473万3000円及びうち1億4315万5333円に対する平成21年5月28日から、うち7157万7667円に対する平成23年11月2日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払、A1審被告Y6に対し、1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4と連帯して、1億9087万3777円及びうち1億1929万6110円に対する平成21年5月28日から、うち7157万7667円に対する平成23年11月2日から各支払済みまで年5分の割合による金員(ただし、7555万4203円及びこれに対する平成21年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で1審被告Y5と連帯して)の支払、B1審被告Y5に対し、1審被告アゼスタ、1審被告Y1、1審被告Y2、1審被告Y3及び1審被告Y4と連帯して、9941万3425円及びこれに対する平成21年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし、7555万4203円及びこれに対する平成21年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で1審被告Y6と連帯して)の支払、をそれぞれ求める限度で理由があり、その余は棄却すべきである。 したがって、原判決は、一部不当であるから、1審原告の控訴に基づき、原判決を主文第1項のとおり変更し、1審被告らの控訴をいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 大鷹一郎 裁判官 田中正哉 裁判官 神谷厚毅 (別紙) 物件目録
(別表1)
(別表2)
(別表3)
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