判例全文 | ||
【事件名】ソースコードの著作権譲渡事件 【年月日】平成26年6月12日 大阪地裁 平成26年(ワ)第845号 損害賠償請求事件 (口頭弁論終結日 平成26年4月15日) 判決 原告 株式会社エスト出版 同訴訟代理人弁護士 小林章博 被告 P1 同訴訟代理人弁護士 岩原義則 同 溝上哲也 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 被告は、原告に対し、580万6500円及びこれに対する平成24年5月4日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は、原告が、被告に対し開発を委託したソフトウェアに関し、当該ソフトウェアのソースコードを引き渡すべき契約上の義務を怠った債務不履行があるとして、債務不履行に基づく損害賠償と、損害賠償の請求の日である本訴状送達日の翌日からの遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 前提事実(証拠等の記載のない事実は、当事者間に争いがない。) (1)当事者 原告は、書籍、印刷物の企画、編集、制作、販売及びその取次業等を目的とする株式会社である。 被告は、プログラムの制作等を業としていた者である。 (2)ソフトウェアの開発委託 ア 原告は、平成14年頃、被告に対し、「テストエディタ」と称する、原告が出版する参考書等をベースにしたテストを自動的に作成するソフトウェア(パッケージソフトウェアであるが、以下、単に「ソフトウェア」という。)の制作及び改訂の業務を委託(以下、これを「本件委託契約」という。)した。被告はこれを受けて、その機能を有するソフトウェアを制作し、そのソフトウェアが記録されたCD−ROM(平成15年4月1日版)を原告に交付した(甲17)。 なお、後記イのとおり被告により改訂された部分を含め、上記ソフトウェアのプログラム部分を「本件ソフトウェア」といい、ドキュメントを含むパッケージソフトウェアとしての全体を「本件パッケージソフトウェア」といい、本件ソフトウェアのプログラムについてのソースコードを「本件ソースコード」という。 イ 原告は、その後も、原告の出版する参考書等が改訂されたり、新規に出版されたりした場合(以下、これらの事態を「書籍改訂等」という。)に、本件ソフトウェアをアップデートするよう依頼し、その対価として、被告に対し、平成15年から平成22年にかけて、合計512万8500円の支払をした。 ウ 平成23年のはじめ頃、被告は、原告に対し、ソフトウェアの制作業務を廃業する旨通知した。 (3)原告による本件ソースコード引渡しの要求 原告は、上記の通知を受け、被告以外の第三者に対し、本件ソフトウェアの改変等の業務を委託しようとしたところ、当該第三者からソースコードが必要である旨の連絡を受けた。 原告は、平成24年1月頃、被告に本件ソースコードを引き渡すよう求めたが、被告はこれに応じなかった。 2 争点 (1)本件委託契約上、被告が、本件ソースコードを原告に引き渡すべき義務を負うか (2)原告の被った損害額 3 争点に関する当事者の主張 (1)争点(1)(本件委託契約上、被告が、本件ソースコードを原告に引き渡すべき義務を負うか)について (原告の主張) ア 本件委託契約に至る経緯 原告は、従前、原告が販売する書籍をベースとした試験問題を作成するソフトウェア(テスト自動作成システム)を使用していたところ、当該ソフトウェアは、書籍改訂等に対応できないものであった。 そこで、原告は、書籍改訂等の際、そのデータを追加するだけで試験問題をアップデートできるような新しいソフトウェアを開発することとし、原告の従業員の実兄であった被告に、その趣旨を告げて開発の打診をしたところ、開発可能であるとの回答があったため、本件委託契約を締結した。 イ 本件委託契約の履行に伴う著作権移転 平成15年2月頃、原被告間で、成果物の著作権は原告に帰属(移転)することが確認された。以後、本件委託契約(その後された改訂作業についての委託契約も含む。)に基づき被告が作成した成果物は、ソースコードを含め、納品されると同時に著作権も移転することとされた。 なお、本件パッケージソフトウェアのヘルプファイルには、「Copyright(C)2009 Est Shuppan Co.,Ltd.」と表示されている。 ウ 原告による書籍改訂等と本件ソフトウェアのアップデート 以上のとおり、原被告間では、ソフトウェア開発の当初から、書籍改訂等に合わせて、継続的なアップデートが予定されており、実際にも次のとおり、被告はその作業を請け負っていた。 @ バージョン1.2.0.0/平成16年4月1日版 平成15年10月「改訂 クリア!高校英語」の改訂に合わせたもの A バージョン1.3.0.0/平成17年5月1日版 平成16年9月、10月「ジャスト!英文法22」等の発行に合わせたもの B バージョン1.4.0.0/平成18年4月1日版 平成17年10月「英語構文ステップアップノート」等の発行等に合わせたもの C バージョン1.4.2.0/平成19年4月1日版 平成18年10月「インタレスト英文法24」の発行に合わせたもの D バージョン1.5.0.0/平成20年9月1日版 平成19年4月から平成20年10月にかけて、「新版ブライテスト英文法32」の改訂等を反映させるとともに、大幅なシステムの修正を行うため、後記Eと2回に分けてアップデートしたもの E バージョン1.6.0.0/平成21年1月1日版 F バージョン1.7.0.0/平成22年2月1日版 平成21年9月「ファイネスト英文法42」等の改訂に合わせたもの エ 継続的契約関係における義務 上記の通り、原告は、書籍改訂等にあわせて継続的に本件ソフトウェアをアップデートすることを前提として被告との間で本件委託契約を締結してきた。現に被告もこれに応じてきたのであり、原被告間においては、本件ソフトウェアをアップデートすることが、契約当初からの共通認識であった。 しかし、被告の事情により、被告がソフトウェアの制作業務を廃業することとなったため、原告は、第三者に対してソフトウェアのアップデートを依頼せざるを得なくなった。この状況に至った以上、被告は、原告に対し、本件委託契約の本旨債務として、被告の廃業による原告の損害発生を防止するため、原告が第三者に対してソフトウェアのアップデート作業を委託するのに必要な本件ソースコードの引渡しをしなければならない。 オ まとめ 以上の次第で、被告は、原告に対し、上記イのとおり、そもそもの本件委託契約の内容として、また上記エに述べた継続的契約関係における損害発生防止ないし減少義務の履行として、本件ソースコードの引渡義務を負う。 (被告の主張) ア 本件委託契約における成果物 被告が、本件委託契約において、原告から業務を委託され完成させたのは、ソフトウェアプログラムを含むソフトウェア全体としての本件パッケージソフトウェアであり、本件委託契約における成果物は、これを封入したCD−ROM以上でも以下でもない。被告は、このCD−ROMをソフトウェア原盤として原告に所有権譲渡し、原告がその複製等をしていた。 原告が引渡しを求める本件ソースコードは、上記のパッケージソフトウェアとは異なるものであって、本件パッケージソフトウェアには含まれておらず、本件委託契約において譲渡、納入の対象になっていない。被告が受領した対価のなかにも、著作権の移転対価は含まれていない。 イ 本件ソフトウェア及び本件ソースコードの著作権の帰属 本件ソフトウェア及び本件ソースコードは著作物性を有するものではあるが、その著作権は、すべて被告に帰属しており、原告に移転されたことはない。 ウ ソフトウェア取引の常識 (ア)社団法人情報サービス産業協会(JISA)は、平成20年5月に「ソフトウェア開発委託基本モデル契約書(平成20年版)」を公表しているところ、同モデル契約書では、ベンダー、ユーザ間の公平等に配慮した上で、ソースコード、ソフトウェアを含め、著作権についてはベンダー側に帰属するものとされている。 なお、本件委託契約における開発費用は極めて安価なものであり、このことも、ソースコード著作権はおろか、ソフトウェア著作権も移転しない根拠となるものである。 (イ)ソフトウェア開発においては、ソースコードを秘匿し、譲渡の対象となるソフトウェアと切り離して考えるのが極めて一般的な常識である。ソースコードは開発者において命綱ともいえるほど重要であるが、汎用性があるソースコードを特定のユーザにそのまま渡すことは第三者との関係で問題が生ずる。ソースコードは、もともと権利移転が予定されていない開発者特有の資産である。 エ 原告の主張する継続的契約関係に対する反論 本件委託契約は、アップデート作業を伴う契約が永久に続くものではなく、アップデートごとの作業ごとに個別の契約がされていたにすぎない。 また、ソフトウェア開発において、途中で開発中止になったり、バージョンが替わって従前のバージョンが使えないという事態になったりしても、開発者がこれらに対応する義務はないし、これにより損害が生じたとしても、賠償すべき義務はない。 (2)争点(2)(原告の被った損害額)について (原告の主張) 原告が第三者に委託して、一から同種のソフトウェアを作成する場合には、新たに580万6500円が必要となるところ(甲14)、同金額は、被告が本件ソースコードを引き渡すことを拒否したことと相当因果関係のある損害となる。 したがって、被告は、上記金額及び損害賠償請求をした日である本訴状送達日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による金員を支払う義務を負う。 (被告の主張) 原告の主張を争う。 甲第14号証は見積書であって具体的な中身は判然としないし、実際に支払われたものでもない。 そもそも、上記見積書には、ソースコード移転の対価が含まれるとはされていない。 第3 当裁判所の判断 1 認定した事実 証拠(後掲各証拠のほか、全体について甲19、乙4)及び弁論の全趣旨に前提事実を総合すると、次の事実を認めることができる。 (1)原告の旧ソフトウェア 原告は、「エスト自動テスト作成システム」(平成10年1月版)と称するソフトウェアを使用していた。同ソフトウェアは、原告が、被告以外の会社に依頼して制作したものである。参考書「エスト総合英語」等に関して、適度な量と難易度のテスト問題を自動的に作成するものであり、NEC社のPC−9801シリーズ又はその互換機で稼働するものであった(甲16)。 もっとも、このソフトウェアは、ベースとなる書籍のみに対応したソフトウェアであり、書籍改訂等の場合には対応できないものであった。 (2)本件ソフトウェアの開発依頼 原告は、書籍改訂等の際に対応できる新たな同種のソフトウェアが必要であると判断し、平成14年9月頃、原告の従業員(企画部長)の実兄である被告に対し、本件ソフトウェアの開発を依頼し、被告はこれに応じることとした。この際、契約書等は作成されず、また、開発言語に関し、原告からの指定等は特になかった(乙1、3)。 被告は、本件ソフトウェア(初版)を作成し、原告に納入した。 平成15年4月7日、原告は、被告に「テスト自動作成システム」プログラム作成料を内訳として、60万円(うち、源泉所得税6万円を控除し、実際の給付額は54万円)を支払った(甲2)。 (3)本件ソフトウェアの改訂 その後、被告は、原告の注文に応じて本件ソフトウェアの改訂を行ったが、次の通り、その都度見積書や請求書兼納品書を原告に送付した。 ア 平成15年12月8日付見積書(甲3) 見積金額:84万円 対象品目:テスト自動作成システム(基本システム、インストーラシステム、ヘルプシステム、データコンバータシステム)及びリッチテキストオプション イ 平成17年5月8日付請求書兼納品書(甲4) 請求金額:47万2500円 納品品目:テスト自動作成システム(基本システム、インストーラシステム、ヘルプシステム、データコンバータシステム、意匠購入費、諸経費) ウ 平成18年3月24日付請求書兼納品書(甲5) 請求金額:98万7000円 納品品目:テスト自動作成システム Aグループ(基本システム、インストーラシステム、ヘルプシステム、データコンバータシステム)、同Bグループ(Aグループと同じ)及び諸経費 エ 平成19年3月24日付請求書兼納品書(甲6) 請求金額:48万3000円 納品品目:テスト自動作成システム Bグループ(基本システム、インストーラシステム、ヘルプシステム、データコンバータシステム、Windouws Vista動作検証)及び諸経費 オ 平成20年9月9日付請求書兼納品書(甲7) 請求金額:84万円 納品品目:テスト自動作成システム Aグループ 9月版(基本システム(Ver1.5)、インストーラシステム、ヘルプシステム、データコンバータシステム、Windouws Vista動作検証)、同Bグループ 9月版(Windows Vista動作検証を除きAグループと同じ)及び諸経費 カ 平成20年12月19日付請求書兼納品書(甲8) 請求金額:42万円 納品品目:テスト自動作成システム Aグループ '09年版(基本システム(Ver1.6)、ヘルプシステム、データコンバータシステム)、同Bグループ '09年版(Aグループと同じ)及び諸経費 キ 平成21年12月24日付見積書(甲9) 見積金額:27万3000円 対象品目:テスト自動作成システム Aグループ '10年版(基本システム(Ver1.7)、ヘルプシステム、データコンバータシステム)、同Bグループ '10年版(Aグループと同じ)及び諸経費 なお、上記見積書には、備考として、「本システムは2009年度版の基本仕様に基づき、別途ご依頼内容に従い部分的変更を施すものと致します。本システムは現行の市場標準オペレーティングシステム「Windows7」における動作保証はございません。」等の記載がされていた。 ク 平成22年1月18日付請求書兼納品書(甲10) 上記キに対応するもの (4)本件ソースコードの取扱 被告は、上記の納品については、本件パッケージソフトウェアを、CD−ROMに記録して原告に郵送して納品していたが、同CD−ROMに、ソースコードは収録されていなかった。 また、納品に際し、ソースコードが含まれていないことにつき、原告の担当者から指摘を受けることもなかった(乙8の2、弁論の全趣旨)。 (5)本件パッケージソフトウェアのヘルプファイルにおける著作権表示 本件パッケージソフトウェアに含まれるヘルプファイルを開くと、著作権表示として、「Copyright (C) 2009 Est Shuppan Co.,Ltd.」と、原告の名が英文で表示される(甲1)。 また、平成15年2月12日、被告は、原告に対し、「お送りいただきましたデータとコピーライト表記は、次回のRC1に盛り込みまして・・・・お持ちしたいと思います。」と記載した電子メールを送信していた(甲15)。 (6)本件ソフトウェアの使用態様 本件ソフトウェアは、原告の出版する高校生向け英語教材をベースに、自動的にテスト問題を作成するものであり、高校の教員等において使用されるものである。このため、本件ソフトウェアへの書籍のデータの入力や、出題順序の配列、設問のレベル設定等については、原告においてこれを行っていた。 (7)本件ソースコード引渡しの打診 平成23年11月1日、原告の担当者は、他社に同種のソフトウェアの相談をしたところ、同社から「大元のプログラムとその仕様書(ソースコード)」があればできそうであるといわれた。そして、被告にソースコードの提供が可能かどうか、可能とすればいつごろになりそうか教えて欲しい旨の電子メールを送信した(乙9)。 (8)本件ソースコード引渡しの要求と拒絶 原告は、平成24年1月頃、改めて、被告に対し、本件ソースコードの引渡しを求めたが、被告は、これに応じず、その後も、本件ソースコードの引渡しを拒絶している。 2 争点(1)(本件委託契約上、被告が、本件ソースコードを原告に引き渡すべき義務を負うか)についての判断 (1)本件委託契約の履行に伴う著作権移転の合意の不存在 原告の主張は、本件委託契約に基づき、本件ソフトウェア及び本件ソースコードの著作権の譲渡が合意され、これに伴い、ソースコードの引渡義務も発生するというものである。 前記1(2)によると、被告が、本件ソースコードを制作したものであり、本件ソースコードの著作権は原始的に被告に帰属していると認めることができる。 その一方で、前記1(2)(3)の見積書等、原告と被告との間で取り交わされた書面において、本件ソフトウェアや本件ソースコードの著作権の移転について定めたものは何等存在しない。 前記1のとおり、被告は、原告に対し、本件ソースコードの開示や引渡しをしたことはなく、原告から本件ソースコードの引渡しを求められたが、これに応じていない。 また、原告にしても、平成23年11月に至るまで、被告に対し、本件ソースコードの提供を求めたことがなかっただけでなく、前記1(7)のとおり、原告担当者は、被告に、本件ソースコードの提供ができるかどうか問い合わせているのであり、原告担当者も、上記提供が契約上の義務でなかったと認識していたといえる。 以上によると、被告が、原告に対し、本件ソースコードの著作権を譲渡したり、その引渡しをしたりすることを合意したと認めることはできず、むしろ、そのような合意はなかったと認めるのが相当である。 なお、この点について、原告は、継続的契約であったから本件ソースコードの引渡しを求める必要がなかったと反論するが、後記(3)のとおり、継続的契約であることを前提とする主張には理由がない。 (2)ヘルプファイルにおける著作権表示と甲第15号証 原告は、前記1(5)の事情から、本件ソースコードについても原告が権利を取得した旨を主張するが、本件パッケージソフトウェアのヘルプファイルに示された著作権表示をもって、本件ソースコードの著作者を推定するものとはいえない。また、本件ソースコードの著作権が原始的に被告に帰属し、かつ、これが原告に移転していないことは上記(1)のとおりであり、上記ヘルプファイルに示された著作権表示をもって、原告が本件ソースコードに対する権利者であることの根拠とすることはできない。 また、甲第15号証の電子メールにおいて、被告は、上記ヘルプファイルの表示を了承した旨記載しているが、このことをもって、被告が原告に対し本件ソースコードや本件ソフトウェアの著作権を原告に譲渡・処分する旨の意思表示をしたとみることはできない。せいぜい、被告が、原告に対し、本件ソフトウェアを複製することを許諾していることを表示するのみというべきである(乙2)。 (3)継続的契約関係の下における損害発生防止(減少)義務 原告は、ソフトウェア開発の当初から、被告において、本件ソフトウェアを継続的にアップデートすることが予定されており、このような継続的契約関係においては、損害発生防止ないし減少義務の履行として、本件ソースコードの引渡義務を負うと主張する。 しかし、前記1(3)における一連の取引は、発注の都度、原被告間に個別の業務委託契約が成立し、被告の納品した成果物に対し、検収を経て原告が報酬を支払うことによって本旨履行が終了したものというべきであり、それ以上のものとは認められないというべきである(継続的契約におけるような、基本契約の締結があったことを認めるに足りる証拠は何らない。)。 また、前記1(3)キのとおり、被告は、本件ソフトウェアが最新のオペレーションシステムに対応していないことを言明しており、永続的なアップデートの約束がされたことと相容れない状況となっている。 すなわち、本件委託契約は、事実上継続して取引があったにすぎず、継続的契約関係とも認められない(保守契約が結ばれたことさえ、これを認めるに足りない。)から、被告が、原告のいうような損害発生防止、軽減義務を負うこともない。原告の上記主張には理由がない。 (4)まとめ そうすると、本件委託契約上、本件ソースコードの原告への引渡しが被告の義務とされていたと認めることはできないし、同様の義務の発生を認めるだけの契約関係にあったと認めることもできない。 第4 結論 以上によると、争点(2)について判断するまでもなく、原告の請求には理由がないから、これを棄却することとする。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 山田陽三 裁判官 松阿彌隆 裁判官 林啓治郎 |
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