判例全文 line
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【事件名】“自炊”代行事件C
【年月日】平成25年10月30日
 東京地裁 平成24年(ワ)第33533号 著作権侵害差止等請求事件
 (口頭弁論終結日 平成25年8月28日)

判決
 当事者 別紙当事者目録記載のとおり


主文
1 被告株式会社ユープランニングは、第三者から委託を受けて別紙作品目録1ないし7記載の作品が印刷された書籍を電子的方法により複製してはならない。
2 被告株式会社タイムズは、第三者から委託を受けて別紙作品目録1ないし7記載の作品が印刷された書籍を電子的方法により複製してはならない。
3 被告株式会社ビー・トゥ・システムズは、第三者から委託を受けて別紙作品目録1ないし7記載の作品が印刷された書籍を電子的方法により複製してはならない。
4 被告有限会社ジャカレ・アセット・マネジメントは、第三者から委託を受けて別紙作品目録1ないし7記載の作品が印刷された書籍を電子的方法により複製してはならない。
5 被告株式会社ユープランニング及び被告Y1は、連帯して、各原告に対し、それぞれ金10万円及びこれに対する平成25年3月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6 被告株式会社タイムズ及び被告Y2は、連帯して、各原告に対し、それぞれ金10万円及びこれに対する被告Y2は平成24年12月7日から、被告株式会社タイムズは平成24年12月14日から、各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
7 被告株式会社ビー・トゥ・システムズ及び被告Y3は、連帯して、各原告に対し、それぞれ金10万円及びこれに対する平成24年12月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
8 被告有限会社ジャカレ・アセット・マネジメント及び被告Y4は、連帯して、各原告に対し、それぞれ金10万円及びこれに対する被告Y4は平成24年12月7日から、被告有限会社ジャカレ・アセット・マネジメントは平成24年12月15日から、各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
9 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
10 訴訟費用は、これを5分し、その1を原告らの、その余を被告らの負担とする。
11 この判決は、第1項ないし第8項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求の趣旨
1 主文第1項ないし第4項と同旨
2 被告株式会社ユープランニング(以下「被告ユープランニング」という。)及び被告Y1(以下「被告Y1」という。)は連帯して、各原告に対し、それぞれ金21万円及びこれに対する平成25年3月2日(公示送達の効力発生日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告株式会社タイムズ(以下「被告タイムズ」という。)及び被告Y2(以下「被告Y2」という。)は連帯して、各原告に対し、それぞれ金21万円及びこれに対する被告Y2は平成24年12月7日(訴状送達の日の翌日)から、被告タイムズは平成24年12月14日(訴状送達の日の翌日)から、各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告株式会社ビー・トゥ・システムズ(以下「被告ビー・トゥ・システムズ」という。)及び被告Y3(以下「被告Y3」という。)は連帯して、各原告に対し、それぞれ金21万円及びこれに対する平成24年12月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 被告有限会社ジャカレ・アセット・マネジメント(以下「被告ジャカレ」という。)及び被告Y4(以下「被告Y4」という。)は連帯して、各原告に対し、それぞれ金21万円及びこれに対する被告Y4は平成24年12月7日(訴状送達の日の翌日)から、被告ジャカレは平成24年12月15日(訴状送達の日の翌日)から、各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6 訴訟費用は被告らの負担とする。
7 上記第1項ないし第5項についての仮執行宣言
第2 事案の概要
 本件は、別紙作品目録1ないし7記載の作品(以下「本件各作品」という。)を創作した小説家、漫画家及び漫画原作者である原告らが、被告ユープランニング、被告タイムズ、被告ビー・トゥ・システムズ及び被告ジャカレ(以下、上記被告4社を併せて「被告会社ら」という。)において、個人ないし法人である第三者から注文を受けて書籍をスキャナーで読み取り、電子ファイル化する事業を行っている行為は、本件各作品について、原告らがそれぞれ有する著作権(複製権)を侵害するおそれがあるとして、著作権法21条、同法112条1項に基づき侵害の予防請求として、その差止め(請求の趣旨第1ないし第4項)と、被告会社らそれぞれの代表者である被告Y1、被告Y2、被告Y3、被告Y4(以下、上記被告4名を併せて「被告代表者ら」といい、被告会社らを併せた全被告を「被告ら」という。)は、それぞれが代表する被告会社らと各共同して、上記著作権侵害をするおそれがある状況を作出する著作権法上違法な行為を行っており、著作権法21条、民法709条、同法719条1項前段に基づき、原告ら各自に、被告代表者らが各代表する被告会社らとそれぞれ連帯して、弁護士費用相当額として原告1名につき21万円及びこれに対する各訴状送達の日の翌日である上記請求の趣旨各記載の起算日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 前提事実(証拠を掲げていない事実は当事者間に争いがない。以下、証拠番号の枝番の記載を省略することがある。)
(1) 当事者
 原告らは、それぞれ小説家、漫画家及び漫画原作者であり、出版社を介して本件各作品を含む多数の作品を出版している。
 被告会社らは、個人又は法人の第三者から注文を受けて、小説やエッセイ、漫画など様々な書籍をスキャナーで読み取り、電子ファイル化する事業を行う株式会社又は特例有限会社である。〔甲1〜4〕
 被告Y1は被告ユープランニングの、被告Y2は被告タイムズの、被告Y3は被告ビー・トゥ・システムズの、それぞれ代表取締役であり、被告Y4は被告ジャカレの取締役である。〔被告ユープランニング及び被告Y1につき、甲1〕
(2) 原告らが有する著作権
 原告らは、本件各作品をそれぞれ創作した者であり、同各作品の著作権を有している。〔被告ユープランニング及び被告Y1につき、甲51〜57〕
(3) 被告会社らの事業の大要
 被告会社らは、書籍や雑誌などをスキャナーで読み取って有料で電子ファイル化する事業を行っていることについて、インターネット上のウェブサイトなどで宣伝広告し、不特定多数の利用者からの注文に応じ、書籍等をスキャンして電子ファイルを作成し、作成した電子ファイルを利用者に納品するという事業(以下「書籍電子化事業」という。)を行っている。〔被告ユープランニング及び被告Y1につき、甲5〜8〕
(4) 被告ユープランニングの書籍電子化事業の概要
 被告ユープランニングは、「ブックコピー」の名称で、「本のPDF化電子化サービス」などと称して、書籍電子化事業を行っている。
 被告ユープランニングによる書籍電子化事業の利用者は、同社のウェブサイトにおいて、氏名や住所、メールアドレス、書籍を裁断してスキャンする(「ノーマルスキャンPDF」)か裁断せずにスキャンする(「プレミアムスキャンPDF」)か、各々の場合の冊数などを入力して、書籍電子化事業の利用を申し込むようになっている。利用の申込みは、個人と法人とを問わず、何人も自由に行うことができる(同社のウェブサイトには「法人・公官庁・大学・大学病院などからのご依頼も多数取り扱い中」との記載がある。)。
 対象の書籍に限定はなく、著者、タイトル、ジャンル、出版社等のいかんにかかわらず、注文のあった書籍について書籍電子化事業を行っている。
 基本料金は1冊当たり90円で、ページ数が350頁を越える毎に90円ないし200円が加算される。また、書籍を裁断せずにスキャンを行う「プレミアムスキャンPDF」と称するサービスの場合は、50頁当たり900円である。さらに、スキャン後の電子データのファイル名に「タイトル+著者」のファイル名を付けること、OCR処理、DVD納品などの各種オプションサービスの利用に応じて、追加料金が付加される。〔甲7〕
 料金の支払方法については、クレジットカード、PayPal又は銀行振込のいずれかを、利用者が選択することができる。
 利用者は、書籍を宅配業者による配送又は郵送により指定された住所に送付するか、あるいはアマゾン等のオンライン書店で配送先として指定された住所を設定することにより、オンライン書店で購入した書籍をオンライン書店から直送することもできる。
 被告ユープランニングは、受領した書籍が裁断済みの場合はそれをスキャナーで読み取り、まだ裁断されていない状態の場合は裁断機を用いて裁断した上で(「プレミアムスキャンPDF」の場合は裁断しない。)、スキャナーで読み取ることにより、電子ファイルを作成する。電子ファイルのフォーマットは、PDF形式である。オプションサービスの申込みがあった場合には、ファイル名にタイトルと著者を付したり、OCR処理の実行なども行う。
 完成した電子ファイルは、利用者がインターネット上のダウンロード用サイトからダウンロードするか、オプションサービスでDVD納品やUSBメモリ納品の方法が選択された場合は、電子ファイルを格納したDVD又はUSBメモリを配送する方法により、納品される。
 なお、裁断された書籍は、利用者の希望に応じて、利用者に返却される。〔甲5〜8〕
(5) 被告タイムズの書籍電子化事業の概要
 被告タイムズは、「スキャンエージェント」の名称で、「本屋直営のスキャン代行サービス」などと称して、書籍電子化事業を行っている。
 被告タイムズによる書籍電子化事業の利用者は、同社のウェブサイトにおいて、氏名や住所、メールアドレス、スキャンする書籍の冊数などを入力して、書籍電子化事業の利用を申し込むようになっている。利用の申込みは、個人と法人とを問わず、何人も自由に行うことができる。会員登録をした場合は、以後の利用の際に情報が自動的に入力されるようになり、毎回氏名等を入力せずとも書籍電子化事業を利用できるようになる。
 対象の書籍は、A3サイズより大きいものや裁断済みのものなど対象外のものもあるが、それらを除けば、著者、タイトル、ジャンル、出版社等のいかんにかかわらず、注文のあった書籍について書籍電子化事業を行っている。
 基本料金は、ページ数にかかわらず注文する書籍1冊毎に150円で、その他、ファイル名を「書籍タイトル.pdf」に変更すること、OCR処理、書籍返却サービスなどの各種オプションサービスの利用に応じて追加料金が付加される。
 料金の支払方法については、銀行振込又はクレジットカードのいずれかを、利用者が選択することができる。
 利用者は、書籍を宅配業者による配送又は郵送により、指定された住所に送付する。利用者は、アマゾン等のオンライン書店で配送先として指定された住所を設定することにより、オンライン書店で購入した書籍をオンライン書店から直接指定された住所に送付することもできる。
 被告タイムズは、受領した書籍を、裁断機を用いて裁断した上で、スキャナーで読み取ることにより、電子ファイルを作成する。電子ファイルのフォーマットは、PDF形式である。オプションサービスの申し込みがあった場合には、ファイル名を「書籍タイトル.pdf」に変更したり、OCR処理の実行なども行う。
 完成した電子ファイルは、利用者がインターネット上のダウンロード用サイトからダウンロードするか、オプションサービスでDVD納品の方法が選択された場合は電子ファイルを格納したDVDを配送する方法により、納品される。
 なお、裁断された書籍は、利用者の希望に応じて、利用者に返却される。〔当事者間に争いがない。なお、甲9〜12〕
(6) 被告ビー・トゥ・システムズの書籍電子化事業の概要
 被告ビー・トゥ・システムズは、「00paper.com」の名称で、「書籍電子化代行サービス」などと称して、書籍電子化事業を行っている。
 被告ビー・トゥ・システムズによる書籍電子化事業の利用者は、同社のウェブサイトにおいて、氏名や住所、メールアドレス、スキャンする書籍の冊数などを入力して、書籍電子化事業の利用を申し込むようになっている。利用の申込みは、個人と法人とを問わず、何人も自由に行うことができる。
 対象の書籍は、A4サイズよりも大きいものや変形が激しいものなど対象外のものもあるが、それらを除けば、著者、タイトル、ジャンル、出版社等のいかんにかかわらず、注文のあった書籍について書籍電子化事業を行っている。
 料金は、100ページ以内の場合1冊当たり100円、101ないし400ページの書籍は1冊当たり150円など、ページ数に応じて設定されている。また、スキャナーで読み取る解像度が高い「エクセレントモード」を選択した場合や、OCR処理、DVD等の記録メディアでの納品などの各種オプションサービスの利用に応じて追加料金が付加される。
 料金の支払は、銀行振込である。
 利用者は、書籍を宅配業者による配送又は郵送により、指定された住所に送付する。あるいは、利用者は、アマゾン等のオンライン書店や中古本業者、ネットショップ等で購入する際に、配送先として指定された住所を設定することにより、オンライン書店等で購入した書籍をオンライン書店等から直接指定された住所に送付することもできる。
 被告ビー・トゥ・システムズは、受領した書籍が裁断済みの場合はそれをスキャナーで読み取り、まだ裁断されていない状態の場合は裁断機を用いて裁断した上で、スキャナーで読み取ることにより、電子ファイルを作成する。電子ファイルのフォーマットは、PDF形式及びJPEG形式である。オプションサービスの申込みがあった場合には、高解像度でスキャンしたり、OCR処理の実行なども行う。
 完成した電子ファイルは、利用者がインターネット上のダウンロード用サイトからダウンロードするか、DVD、SDカードに電子ファイルを格納して配送する方法により、納品される。
 なお、裁断された書籍は、利用者の希望に応じて、利用者に返却される。〔当事者間に争いがない。なお、甲13〜17〕
(7) 被告ジャカレの書籍電子化事業の概要
 被告ジャカレは、「PDFBOOKS」の名称で、「PDF電子書籍サービス」などと称して、書籍電子化事業を行っている。
 被告ジャカレによる書籍電子化事業の利用者は、同社のウェブサイトの「PDFBOOKSご注文メール」のページから、氏名、メールアドレス、スキャンする書籍の冊数、納品方法などを入力して、書籍電子化事業の利用を申し込むようになっている。利用の申込みは、個人と法人とを問わず、何人も自由に行うことができる。
 対象の書籍は特に制限がなく、著者、タイトル、ジャンル、出版社等のいかんにかかわらず、注文のあった書籍について書籍電子化事業を行っている。
 料金は、350ページ以内の場合1冊当たり200円、351ないし550ページの書籍は1冊当たり300円など、ページ数に応じて設定されている。また、OCR処理や、表紙カバーもスキャンするなどの各種オプションサービスの利用に応じて追加料金が付加される。
 料金は、PayPalを利用して支払う。
 利用者は、書籍を宅配業者による配送又は郵送により、指定された住所に送付する。あるいは、利用者は、アマゾン等のオンライン書店で配送先として指定された住所を設定することにより、オンライン書店で購入した書籍をオンライン書店から直接指定された住所に送付することもできる。
 被告ジャカレは、受領した書籍を、裁断機を用いて裁断した上で、スキャナーで読み取ることにより、電子ファイルを作成する。電子ファイルのフォーマットは、PDF形式である。オプションサービスの申込みがあった場合には、ファイル名を著者名・書籍名を含むものに変更したり、OCR処理の実行なども行う。
 完成した電子ファイルは、電子メールの添付ファイルとして送付するか、利用者がインターネット上のストレージサービスを利用してダウンロードするか、又はオプションサービスでDVD納品の方法が選択された場合は電子ファイルを格納したDVDを配送する方法により、納品される。
 なお、裁断された書籍は、利用者の希望に応じて、利用者に返却される。〔当事者間に争いがない。なお、甲19〜24〕
(8) 前記(4)ないし(7)の被告会社らによる書籍電子化事業には、以下のとおりの共通点がある(この共通点に関連した被告会社らの書籍電子化事業を、以下「本件事業」という。)。
ア 利用者は、インターネット上のウェブサイトにおいて、氏名や住所、メールアドレス等を入力して書籍の電子化を申し込む。利用の申込みは、個人と法人とを問わず、何人も自由に行うことができる。
イ 対象の書籍には、著者、タイトル、ジャンル、出版社等に関しては、特に限定はない。
ウ 基本料金は1冊当たり90円ないし200円程度であり、書籍を裁断するのを原則とする。書籍を裁断せずにスキャンを行う場合には料金設定が高くなる。
エ スキャン後の電子データのファイル名を付けること、PDFデータのみならず、文字情報を読みとってテキストデータとするOCR処理、DVD納品などの各種オプションサービスを追加料金を支払うことで利用できる。料金の支払方法は、銀行振込やPayPalに限られるものもあるが、クレジットカード等利用者が選択することができる場合もある。
オ 利用者は、書籍を宅配業者による配送又は郵送により指定された場所に送付するか、アマゾン等のオンライン書店で配送先として指定された住所を設定することにより、オンライン書店で購入した書籍をオンライン書店から直送することもできる。
カ 被告会社らにおいては、書籍を裁断してスキャナーで読み取り、書籍の電子ファイルを作成する。電子ファイルのフォーマットは、PDF形式であるが、上記のとおりOCR処理なども行う。
キ 完成した電子ファイルは、利用者がインターネット上のダウンロード用サイトからダウンロードするのを原則とするが、オプションサービスでDVD納品やUSBメモリ納品の方法が選択された場合は電子ファイルを格納したDVD又はUSBメモリを配送する方法により納品される。書籍は、利用者の希望に応じて、送料有料で利用者に返却される。
(9) 被告ユープランニング及び被告Y1は、公示送達による呼出しを受けたが、本件口頭弁論期日に出頭しない。
 また、被告ジャカレ及び被告Y4は、第1回口頭弁論期日に出頭して答弁書を陳述し、請求原因に対する認否及び被告らの主張については、追って準備書面にて認否反論を行うとしていたところ、続行された口頭弁論期日に出頭しない。
2 争点
(1) 本件事業による複製行為の有無(被告ビー・トゥ・システムズの主張)
(2) 本件事業への著作権法30条1項適用の可否(被告タイムズ及び被告ビー・トゥ・システムズの主張)
(3) 本件事業差止めの必要性の有無
(4) 被告らの賠償責任の有無並びに損害発生の有無及びその額
第3 争点についての当事者の主張
1 争点(1)(本件事業による複製行為の有無)について
〔原告らの主張〕
 被告会社らは、利用者から依頼のあった書籍については、著者、タイトル、ジャンル、出版社等のいかんにかかわらず注文を受け付け、権利者の許諾を得ることなく、書籍をスキャンして電子ファイルを作成し、その電子ファイルを依頼者に納品している。
 当該行為は著作物を有形的に再製するものであり、著作権法21条の複製行為に当たる。
〔被告ビー・トゥ・システムズの主張〕
 被告ビー・トゥ・システムズが行っているのは書籍の加工であり、複製ではない。すなわち、原本は背表紙を切って裁断し、本としての体裁をなしていないし、ほとんどの原本は廃棄しており、1冊の書籍は一つの電子的な資料として返し、加工済みの書籍は廃棄又は返却を行っており、被告ビー・トゥ・システムズからこれを販売することはない。電子化後のデータは依頼者を特定して送り、販売はしていない。料金の設定は作業時間から算定しているためページ数で価格が異なり、書籍の価値で決定しているわけではない。これらのことによれば、書籍の複製を行っているとはいえない。
2 争点(2)(本件事業への著作権法30条1項適用の可否)について
〔被告タイムズの主張〕
 被告タイムズが運営しているいわゆる自炊代行サービス「スキャンエージェント」は、著作権法30条1項で認められる私的使用のための複製に該当する行為を代行しているものである。
 被告タイムズは、書籍を裁断し、裁断された書籍をスキャナー機器で読み取り、読み取った電子ファイルを納品するといった複製行為を担っているが、その行為は、利用者の「私的使用の複製」を代行するものであり、利用者が自ら所有する書籍を私的使用の範囲内において複製する意思、その行為を第三者に依頼する意思のもとに、本件事業は成立する。
 被告タイムズが利用者から預かった書籍をどのような形で複製するかについては、インターネット上において告知されており、利用者は、その内容をもとに、被告タイムズのサービスと他の同種サービスを比較選定する決定権のみならず、そのサービスを利用しないという決定権も有する。
 さらに、本件事業における複製行為は、専門的知識や技術を要するものではなく、利用者が自ら実施できる非常に容易なものである。利用者は、複製行為にかかる時間、労力を節約することを目的に、被告タイムズにその行為を指示し、その対価を支払う。被告タイムズは利用者の意思決定のもと、その私的使用の複製代行を行う。
 著作権法30条1項において私的使用の複製が認められているのは、限られた範囲内で複製して使用することが、著作権者の不利益にはならないという趣旨であることからすると、私的使用の複製代行である被告タイムズのサービスはそれに沿うものである。被告タイムズの行う本件事業によって原告らには何ら不利益は生じていない。
 被告タイムズは、この私的使用の複製代行が法に反するものであるかについて、サービスの検討段階から訴訟に至るまで各方面に問い合わせを実施し、いずれも違法ではない旨の回答を得ている。
〔被告ビー・トゥ・システムズの主張〕
 本件事業においては、届いた書籍の加工を依頼しているのは利用者であり、被告ビー・トゥ・システムズは、単に依頼を受けて動く手足であって、主体は利用者である。複製の主体とは意思をもった人のことをいうから、主体はあくまで利用者であり、私的使用のための複製行為に当たる。
〔原告らの主張〕
 本件事業においては、利用者は単に書籍を被告会社らに送付しているに止まり、スキャン等の複製に関する作業に関わることは一切ない。
 一方、被告会社らは、書籍がまだ裁断されていない場合は複製作業の準備作業として裁断を行い、裁断された書籍をスキャナーで読み取って、電子ファイルを作成し、またオプションサービスが選択された場合にはその電子ファイルに対し、書籍名などを識別可能なファイル名の設定、OCR処理の実行をするなどの様々な処理も行って、電子ファイルを加工するという、複製にかかる一連の作業の全てを実行している。
 そして、被告会社らは、独立した事業者として、自らサービス内容を決定し、インターネット上で宣伝広告を行うことにより利用者を誘引し、当該宣伝広告を見て被告会社らに注文をしてきた不特定多数の利用者から対価を得て、上記の作業を行っている。
 以上の事実に照らせば、被告会社らが複製にかかる作業の全てを行っているのであって、被告会社らが複製の主体であることは明らかであり、利用者の「手足」とみることはできない。
 そして、著作権法30条1項は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とし、かつその使用する者が複製することを要件としている。複製行為の主体は、上記のとおり被告会社らであるから、被告会社らについてこれらの要件を判断すべきこととなる。
 そうすると、被告会社らは、不特定多数の利用者に電子ファイルを使用させることを目的として複製しているから、被告会社ら自身が個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的としている場合には当たらず、また、電子ファイルを使用する者は利用者であるのに対し、複製の主体は被告会社らであるから、上記要件のいずれも欠くことが明らかである。
 なお、利用者も複製の主体であると仮定しても、少なくとも被告会社らが利用者との共同主体であることは何ら否定されないし、また利用者から見ても、現実の複製作業を行っているのは被告会社らであって、複製物を使用する者である利用者自身が複製しているのではないから、「その使用する者が複製する」場合に当たらない。
 したがって、本件事業に係る行為は、著作権法30条1項に該当しない。
3 争点(3)(本件事業差止めの必要性の有無)について
〔原告らの主張〕
 原告らは、いずれもわが国を代表する著名な作家であるから、被告会社らが注文を受けた書籍には、原告らが創作し、著作権を有する本件各作品が多数含まれている蓋然性が高いし、今後注文を受ける書籍にも含まれる蓋然性が高い。
 原告らは、本件訴訟提起に先立つ平成23年9月5日、他の作家115名及び株式会社角川書店、株式会社講談社、株式会社光文社、株式会社集英社、株式会社小学館、株式会社新潮社、株式会社文藝春秋の7社との連名で、被告会社らを含む「自炊代行サービス」などと名乗るスキャン事業者約100社に対して、各事業者の事業の内容等に関する同日付けの「質問書」と題する書面(甲25。以下「本件質問書」という。)を送付し、いずれも被告会社らに送達された。
 また、同年10月17日には、原告らを含めた122名の作家は、本件質問書に回答を行わなかった被告ユープランニング、被告ジャカレ、及び本件質問書に対して検討中と回答した被告タイムズに対し、弁護士を代理人として、通知人作家の作品について、被告会社らがスキャン事業を行うことは著作権侵害となる旨を告げた上で、今後は通知人作家の作品について、依頼があってもスキャン事業を行なわないよう警告するとともに、本件質問書における質問への回答を再度要請する内容の同日付けの「通知書」と題する書面(甲31。以下「本件通知書」という。)を送付し、被告タイムズ及び被告ユープランニングに送達された(ただし、被告ジャカレについては、ホームページ上に記載された会社所在地であり、かつ、その運営するPDFBOOKSの書籍の送付先でもある住所地に向け通知書を発送したにもかかわらず、受取人が不在であるとして、本件通知書は到達しなかった。)。
 ところが、被告会社らは、本件質問書(甲25)や本件通知書(甲31)に対し、何らの回答を行わないまま、又は今後は原告らを含む122名の差出人作家については本件事業を行わない旨若しくは検討中と回答しながら、実際にはそのウェブサイトにおいて上記122名の作品のスキャニングを行わないこと等を表明することもなく本件各作品を含む書籍について本件事業を継続し、現に原告らの書籍について注文を受けてスキャニングを行っている。
 したがって、今後も、原告らが本件各作品に対して有する複製権が侵害されるおそれが認められるから、原告らはその侵害の停止又は予防請求のため、被告会社らの本件事業を差し止める権利を有する(著作権法112条1項)。
〔被告タイムズの主張〕
 被告タイムズは、本件訴状に記載された日であり、本件訴状が裁判所に提出された日である平成24年11月27日以降、本件各作品をサービス対象外としている。
 したがって、今後、本件各作品に対する原告らの著作権が侵害されるおそれはない。
〔被告ビー・トゥ・システムズの主張〕
 前記1〔被告ビー・トゥ・システムズの主張〕のとおり、被告ビー・トゥ・システムズのサービスは、1冊の書籍を一つのファイルに加工しているサービスであり、複製の意図はなく、複製権侵害のおそれもない。
4 争点(4)(被告らの賠償責任の有無、損害発生の有無及びその額)について
〔原告らの主張〕
(1) 被告らの賠償責任
 原告らの有する著作権(複製権)が被告会社らの行っている本件事業により侵害されるおそれが認められ、したがって、原告らは被告会社らに対し、本件事業の差止めを求める権利があることは、前記3〔原告らの主張〕のとおりである。
しかるに、被告会社らが、原告らの著作権を侵害するおそれが認められる状況を作出し、原告らからの警告後も、なお侵害するおそれのある状況を維持させたため、原告らは被告会社らに対して、上記侵害の予防を請求するための本件訴訟の提起を余儀なくされたものである。すなわち、前記のとおり、被告らは、原告らからの本件質問書(甲25)や本件通知書(甲31)を無視して本件事業を継続し、原告らの有する著作権を侵害するおそれのある状況を作出し、また、そのおそれを維持させているため、被告会社らによる著作権の侵害のおそれを解消するためには、もはや裁判による差止判決を得る以外にないため、原告らはやむを得ず、原告らの訴訟代理人弁護士に委任し、本件訴えを提起した。
 また、被告代表者らは、それぞれの被告会社らの代表者として、被告によっては、自らホームページ上において本件事業を説明して利用者を誘引し、本件事業の運営責任者となり、又は被告会社の唯一の役員となっており、本件事業に主導的な関与をしているのであるから、被告代表者らは被告会社らと共同して、上記違法行為を行っているものである。
 被告らは、本件事業が、原告らの有する著作権を侵害するおそれのある行為であることを知りながら、原告らからの本件質問書(甲25)や本件通知書(甲31)などを無視して本件事業を継続しているものであって、上記違法行為について、未必の故意(少なくとも過失)が存することは明らかである。
(2) 損害の発生及びその額
 違法な本件事業を継続し、広く顧客を募集し続けて、原告らの有する著作権を侵害するおそれのある状況を作出し、それを継続していれば、原告らが侵害のおそれのある行為の停止を求めて訴えを提起すること、その場合には、相応の弁護士費用の支出を余儀なくされることは当然のことであり、本件における被告らの対応と原告らの弁護士費用の支出との間には相当因果関係が認められることは明らかである。特に、本件のような新しい事業形態による著作権侵害行為に対する訴えを提起し、これを遂行するには、専門的知識を有する弁護士に委任せざるを得ないのであり、それには相応の弁護士費用が必要となる。
 そして、原告らが、原告らの訴訟代理人弁護士に支払うべき弁護士費用のうち、少なくとも下記計算による金額は、本件不法行為と相当因果関係の認められる原告らの損害である。
ア 日本弁護士連合会が報酬基準として定めていた報酬等基準規程〔会規第38号〕(甲38。以下「旧報酬基準規程」という。)は、現在も多くの弁護士が自らの報酬基準として準拠する基準であるので、この旧報酬基準規程により計算する。
イ 旧報酬基準規程によれば、裁判事件における弁護士費用としての着手金及び報酬金は、それぞれ、裁判における経済的な利益の額に応じて定められる(旧報酬基準規程13条)。
ウ 本件は、著作権侵害行為の停止を求めるものであり、その経済的な利益の額は算定不能である。このような場合、経済的な利益の額は800万円とされる(旧報酬基準規程16条1項)。
エ 経済的な利益の額を800万円とした場合の旧報酬基準規程は、
  着手金 300万円×8%+500万円×5%=49万円
  報酬金 300万円×16%+500万円×10%=98万円
 であり、合計は147万円である(旧報酬基準規程17条)。
オ 原告らは共同して原告らの訴訟代理人弁護士に本件訴訟を委任したものであるから、その費用も各自等しく分担するものである。
 したがって、原告らは、それぞれ被告らに対し、損害賠償金として、各21万円(147万円の7分の1)の支払を求める。
〔被告タイムズの主張〕
 否認ないし争う。
〔被告ビー・トゥ・システムズ及び被告Y3の主張〕
 否認ないし争う。被告ビー・トゥ・システムズは、平成9年7月に法人として設立登記をし、以後17年間、法人として運営をしている。電子化代行サービスである本件事業は、被告ビー・トゥ・システムズとして平成23年から始めたサービスであり、その代表者Y3につき、個人としては関係しない。
第4 当裁判所の判断
1 証拠(甲1〜63、乙B1〜7、乙C1)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められ、同認定を覆すに足る的確な証拠はない。
(1) 原告らは、作家、漫画家、漫画原作者であり、それぞれ本件各作品の著作者であり、著作権を有している。
(2) 被告会社らにおける本件事業の内容は、前記第2、1(4)ないし(7)記載のとおりであるが、なお、各社それぞれの事業等について敷衍すると、以下のとおりである。
(3) 被告ユープラニングは、平成14年7月5日に設立された、建物清掃の請負、飲料水貯水槽、給排水衛生設備の清掃の請負、建物の修理、補修工事の請負、電気設備、消防設備、空調設備の工事及び保守業務、家庭雑貨及び清掃用品の販売、宣伝広告業等を事業の主な目的とする株式会社である。被告Y1は遅くとも平成22年4月1日以降、被告ユープランニングの代表取締役となっている。〔甲1〕
 被告ユープランニングは、前記第2、1(4)記載のとおり、ブックコピーのサービス名で本件事業を行っている。
 被告ユープランニングのウェブサイトにおいては、ノーマルPDFにおいては1冊90円での電子化を行っており、平成22年10月現在で業界最安値をうたっており、「他社が受けていないサービス/雑誌の取り扱いをお受けします!」等と記載されている。また、「著作権について」として、「ブックコピーにおいては、下記の点をお客様にご理解頂いております。○ブックコピーにおけるPDF書籍変換システムへご依頼頂いたものは、著作権法に基づき、権利者の許可が必要です。○許可がないものは、ご遠慮頂くか、ご自身でスキャンしてください。」等と記載されている。〔甲6〕
 さらに、被告ユープランニングのウェブサイトでは、被告Y1が代表者として顔写真を掲載し、あいさつ文を載せている。そこにおいては、「当社では電子書籍ソフトの普及により、このサービスがなくなることが望ましいと考えていることを表明いたします。」などとされている。〔甲5〕
(4) 被告タイムズは、平成20年11月17日に設立された、有料職業紹介事業、古物営業、飲食事業、不動産事業等を事業の主な目的とする株式会社である。
 被告タイムズは、前記第2、1(5)記載のとおり、スキャンエージェント(SCAN AGENT)のサービス名で本件事業を行っている。
 被告タイムズのウェブサイトにおいては、納品方法として、「オンライン納品を希望する場合、利用者は弊社から送信されるURLよりダウンロードするものとします。同URLへの掲載期間は、最大7日間となります。掲載終了後に再度オンライン納品を希望する場合、利用者はその手数料として1注文あたり2、100円(税込)を支払うものとします。」と記載され、利用規約として、「本サービスの稼働状態を良好に保つことが困難と判断した場合」、利用者に事前通知することなく、サービスの利用停止ができることとされている。〔甲9〕
(5) 被告ビー・トゥ・システムズは、平成9年7月8日に設立された、コンピュータのコンサルタント業務、コンピュータシステムの開発、販売及びメンテナンス、コンピュータソフトウェアの開発、販売、コンピュータ機器の製造、販売及びメンテナンス、コンピュータ関連の指導及び教育業務、コンピュータ処理、受託の業務、労働者派遣事業、コンピュータ機器のリース、レンタル業務、各種通信機器の販売、リース業務、通信提供サービスの業務、情報提供サービス業務等を事業の主な目的とする株式会社である。
 被告ビー・トゥ・システムズは、前記第2、1(6)記載のとおり、「00paper.com」のサービス名で本件事業を行っている。
 被告ビー・トゥ・システムズのウェブサイトには、電子化できない書籍の例として、「奥付部分に『電子化を禁止する』等の記述のあるもの」が挙げられており、また、ネットショップ等から購入した書籍を直送・スキャンすることも可能である旨の記載もある。〔甲17〕
(6) 被告ジャカレは、平成4年4月1日に設立された、テレホンカードの販売、土木建築工事、内装工事の請負及び斡旋、貨物運送取扱事業、遊技場内の各種機械装置の販売及び保守管理、パチンコ遊技場、ゲームセンター等の娯楽施設の経営、パチンコ遊戯機械及び回胴式遊技機械の売買及び斡旋、不動産の売買、賃貸、管理及び仲介、遊技場の経営コンサルタント業務、建物内外の保守管理、警備、清掃業務、コンピューターによる情報管理及び情報提供に関する業務、医薬品及び医療機器の販売並びに輸出入を事業の主な目的とする特例有限会社である。
 被告ジャカレの運営するPDFBOOKSのウェブサイトには、「弊社のファイル管理について 弊社からの納品ファイルの紛失をされたお客様には相談を無料で受け付けております。以前のデータであってもかまいません。また、出張、国内外旅行等で、ファイルを忘れてしまったお客様にたいしても、相談をお受けしております。弊社はお客様のデータをおあずかりしているスタンスでおります。紛失時にはご利用ください。」、「また、dataは保管しておりますので、紛失当(判決注;「当」は「等」の誤記と認める。)の場合にもご相談ください。対応しております。」と記載されている。〔甲20〕
(7) 原告らは、他の作家及び出版社らとともに、平成23年9月5日、被告会社らに対し、「回答書」を添付した本件質問書(甲25)を送付し、被告ユープランニング、被告タイムズ及び被告ビー・トゥ・システムズについては同年9月6日に、被告ジャカレについては同月12日にそれぞれ受領した。〔甲26〜甲29〕
 本件質問書(甲25)には、「〈質問1:〉スキャン事業を行っている多くの業者は、インターネット上で公開されている注意事項において、『著作権者の許可を得た書籍のみ発注を受け付ける』『発注された書籍は著作権者の許可を得たものとみなす』などの定めをおいています。差出人作家は、自身の作品につき、貴社の事業及びその利用をいずれも許諾しておらず、権利者への正しい還元の仕組みができるまでは許諾を検討する予定もないことを、本書で通知します。かかる通知にもかかわらず、貴社は、今後、差出人作家の作品について、依頼があればスキャン事業を行うご予定でしょうか。」などと記載されている。
 これに対し、被告ビー・トゥ・システムズのみは、同月17日付け回答書を返送したが、そこでは、「当社は今後、差出人作家の作品について、依頼があっても、スキャン事業を行うことはありません。」、「依頼者に私的使用目的であると申告させています。」との選択肢を選択して回答した。〔甲30〕
 さらに原告らは、本件質問書(甲25)の差出人である他の作家及び出版社らとともに、代理人弁護士を通じ、平成23年10月17日付けで、被告会社らに対し、「質問書」及び「回答書」を添付した本件通知書(甲31)を送付した。
 被告ユープランニング及び被告タイムズは、これを同年10月18日に受領したが、被告ジャカレについては、受取人不在のため配達できなかったとして返送された。〔甲32〜甲34〕
 本件通知書(甲31)には、本件質問書(甲25)において、原告らは、自身の作品につきスキャン事業を行うについての許諾をしていないことを通知したが、依頼があれば今後もスキャン事業を行う予定があるかについての質問に明確な回答がなかったとして、原告らの作品についてスキャン事業を行うことは著作権侵害になり、著作権法30条1項も適用されない旨が記載されている。また、本件通知書(甲31)添付の質問書には、「〈質問1:〉スキャン事業を行っている多くの業者は、インターネット上で公開されている注意事項において、『著作権処理済みの書籍のみ発注を受け付ける』『発注された書籍は著作権処理済みとみなす』などの定めをおいています。差出人作家は、自身の作品につき、貴社の事業及びその利用をいずれも許諾しておらず、権利者への正しい還元の仕組みができるまでは許諾を検討する予定もないことを、本書で通知します。かかる通知にもかかわらず、貴社は、今後、差出人作家の作品について、依頼があればスキャン事業を行うご予定でしょうか。」などと記載されている。
 これに対し、被告タイムズは、同年10月29日付け「回答書」において、原告ら差出人作家の作品について依頼があればスキャン事業を行う予定であるか否かについては検討中とのみ記載し、依頼者の私的使用を目的としていると申告させている旨を回答した。〔甲35〕
(8) 原告ら代理人は、調査会社を通じ、被告タイムズに対し、平成24年7月13日に、原告X6(以下「原告X6」という。)及び本件質問書(甲25)及び本件通知書(甲31)の差出人の一人であるA(以下「訴外A」という。)の作品の電子化を申し込んだところ、同年8月22日にPDFデータを収録したDVD−ROMと裁断済みの書籍が送付された。原告ら代理人は、同様に、被告ユープランニングに対し、同年7月13日に、原告X6及び訴外Aの作品の電子化を申し込んだところ、同年8月25日にPDFデータを収録したDVD−ROMと裁断済みの書籍が送付され、被告ジャカレに対し、同年7月13日に、原告X6及び訴外Aの作品の電子化を申し込んだところ、PDFデータを収録したDVD−ROMと裁断済みの書籍が同年9月8日までに送付された。さらに、被告ビー・トゥ・システムズに対し、同年7月16日に、原告X6及び訴外Aの作品の電子化を申し込んだところ、同年9月2日にPDFデータを収録したDVD−ROMと裁断済みの書籍が送付された。〔甲63〕
(9) 原告らは、平成24年11月27日、本件訴えを提起した。
2 争点(1)(本件事業による複製行為の有無)について
 被告ビー・トゥ・システムズは、同社が行っているのは書籍の加工であり、複製には該当しない旨主張するので、以下、本件事業における書籍の電子ファイルを作成する行為が書籍の複製に該当するか否かにつき判断する。
 著作権法にいう複製とは、「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをい」う(著作権法2条1項15号)ところ、本件事業においては、書籍をスキャナーで読みとり、電子化されたファイルが作成されているものであるから、書籍についての有形的再製が行われていることが明らかであり、上記複製に当たる行為が行われているということができる。
 これに対し、被告ビー・トゥ・システムズは、裁断済み後の本としての体裁をなしていない原本は廃棄ないし返却するなどして、1冊の本から一つの電子データが作成されていることや、電子データを販売するなどはしていないことなどから、同社の行為は複製には該当しない旨主張する。
 しかし、本件事業においては書籍を有形的に再製した物である電子ファイルが作成されており、これにより複製行為が行われていることは明らかであって、その複製の元となる書籍の原本自体の複製後の帰趨や、複製物である電子ファイルがその後販売されているか否かは複製権侵害の成否に影響しないというべきである。
 したがって、被告ビー・トゥ・システムズの上記主張は採用することができない。
3 争点(2)(本件事業への著作権法30条1項適用の可否)について
(1) 被告タイムズ及び被告ビー・トゥ・システムズは、本件事業における複製行為の主体は、被告会社らにスキャン及び電子ファイルの作成を依頼した利用者であり、被告タイムズ及び被告ビー・トゥ・システムズは、利用者が個人的に使用することを目的として複製を行うことを代行し、あるいはその手足として複製を行うにすぎないから、複製の主体はあくまで利用者であって、本件事業は、利用者の行う私的複製として適法である旨主張する。
 そこで、まず本件事業において複製行為を行っている主体が誰かであるかにつき検討する。
 複製の主体の判断に当たっては、複製の対象、方法、複製への関与の内容、程度等の諸要素を考慮して、誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当であり、その複製の実現に当たり枢要な行為をしている者が複製の主体であるということができる(最高裁平成23年1月20日第一小法廷判決・最高裁平成21年(受)第788号・民集65巻1号399頁参照。)。
 これを本件についてみると、本件における複製の対象は、利用者が提供する書籍であり、問題とされる複製行為は、書籍をスキャナーで読み取って電子化されたファイルを作成することにあるところ、本件事業における一連の作業は、前記第2、1(8)記載のとおり、利用者においてインターネットのウェブサイトから書籍の電子化を申し込み、直接被告会社らの指定する場所にこれを郵送等するか、あるいは、書籍の販売業者等から直接被告会社らの指定する場所に郵送等し、これを受領した被告会社らにおいて、書籍を裁断するなどしてスキャナーで読み取り、書籍の電子ファイルを作成して、完成した電子ファイルを利用者がインターネットを通じてダウンロードするか、電子ファイルを格納したDVDないしUSB等の送付を受ける、というものである。
 これら一連の作業をみると、書籍を受領した後に始まる書籍のスキャナーでの読込み及び電子ファイルの作成という複製に関連する行為は、被告会社の支配下において全ての作業が行われ、その過程に利用者らが物理的に関与することは全くない。
 上記によれば、本件事業において、書籍をスキャナーで読み取って電子化されたファイルを作成するという複製の実現に当たり枢要な行為を行っているのは被告会社らであるということができる。そうすると、本件事業における複製行為の主体は被告会社らであり、利用者ではないというべきである。
(2) 次に本件事案に著作権法30条1項が適用されるか否かにつき検討する。
 著作権法30条1項は、著作権の目的となっている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、同項1号ないし3号に定める場合を除き、その使用する者が複製することができる旨規定している。そうすると、同条項にいう「その使用する者が複製する」というためには、使用者自身により複製行為がされるか、あるいは使用者の手足とみなしうる者によりこれがされる必要があるというべきところ、既に検討したとおり、被告タイムズ及び被告ビー・トゥ・システムズは、本件事業における複製の主体であって、使用者自身でも、使用者の手足とみなしうる者でもないのであるから、本件においては、著作権法30条1項にいう「その使用する者が複製する」の要件を満たすとはいえず、したがって、同条が適用されるものではないと認めるのが相当である。
 なお、被告タイムズは、同社のウェブサイトにおいて、同社は利用者の私的使用の範囲内での本件事業の利用を求めているとし、それに沿う証拠として、同社のウェブサイトの記事(乙B6)を提出する。乙B6によれば、同社のウェブサイトにおいて、「本サービスはお客様に代わって書籍を裁断及びスキャンする内容となりますので、対象書籍はお客様が自ら所有する書籍に限らせていただきます。また、書籍から変換された電子データは、私的使用の範囲内でのみ利用し、ネット上で公開したり、誰でも閲覧できる状態にしないようご注意ください。」と記載されている。
 しかし、前記(1)のとおり、あくまで複製行為の主体は被告タイムズであると認められるところであって、乙B6の上記記載は、その認定を左右するものではない。
(3) 以上によれば、被告タイムズ及び被告ビー・トゥ・システムズの上記各主張は、いずれも採用することができない。
4 争点(3)(本件事業差止めの必要性の有無)について
(1) 前記1(7)のとおり、被告会社らは、いずれも、原告らによる本件質問書(甲25)を受領し、これによって、原告らから、本件事業における電子ファイルの作成について許諾するものではないことを通知されたところ、被告会社らのうち、被告ビー・トゥ・システムズのみは、今後は、本件事業については、本件各作品を対象とせず、本件各作品の書籍について本件事業を行わない旨回答をし、さらに、その他の被告会社らは、上記質問書(甲25)の各受送達地に発送された本件通知書(甲31)においても、上記と同旨の通知を受けていたにもかかわらず、被告ビー・トゥ・システムズを含む被告会社らは、平成24年8月22日ないし同年9月8日頃に、原告X6及び訴外Aの各作品につき、書籍をPDFファイル化した電子ファイルを作成し、これを依頼した者に送付するなどしているものである。
 そうすると、被告会社らは、今後も、本件事業において、本件各作品に該当する書籍をスキャナで読み取って電子ファイルの作成を行い、原告らの著作権(複製権)を侵害するおそれがあるといえるから、被告会社らの行う本件事業について、これを差し止める必要性がある。
(2) この点に関して被告タイムズは、本件訴状が提出された日以降は、本件各作品は電子化サービスの対象外としており、その複製権を侵害するおそれはない旨主張し、それに沿う証拠として電子メール(乙B3)を提出する。
 しかし、被告タイムズの提出する乙B3は、2件の依頼に対し、本件訴訟で係争中の原告らの書籍であることを理由として電子化依頼を断ったとするものにすぎず、上記のとおり、被告タイムズが、原告らからの2度にわたる警告を含む通知のあった後においても、原告X6の作品である書籍を電子ファイル化したこと等に照らせば、原告らの複製権を侵害するおそれがないとはいえない。
 したがって、被告タイムズの上記主張は採用することができない。
(3) また、被告ビー・トゥ・システムズは、同社には複製の意図はなく、複製権侵害のおそれもないと主張するが、本件事業が複製行為に該当することは前記2で説示したとおりであり、また上記(1)の認定事実に照らせば、被告ビー・トゥ・システムズについて、複製権侵害のおそれもあるということができる。
 したがって、被告ビー・トゥ・システムズの主張は採用することができない。
5 争点(4)(被告らの賠償責任の有無並びに損害発生の有無及びその額)について
(1) 著作権者が、その著作権を侵害するおそれのある者に対し、著作権法112条1項に基づく差止請求をするについては、不法行為である著作権侵害を理由とする損害賠償請求をするのと同様に、著作権者において、自らが著作権者である事実と、著作権侵害ないしそのおそれに係る事実を主張立証する責任があるところ、著作権者が主張立証すべき事実は、故意ないし過失及び損害額を除けば、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟と異なるところはない。そうすると、著作権法112条1項に基づく差止請求権は、不法行為に基づく損害賠償請求権と同様、弁護士に委任しなければ訴訟活動をすることが困難な類型に属する請求権であるということができる。そして、本件のように、著作権者が著作権法112条1項に基づく差止請求をする訴えの提起を余儀なくされ、その訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内で、著作権侵害ないしそのおそれと相当因果関係に立つ損害であると解される(最高裁昭和44年2月27日第一小法廷判決・昭和41年(オ第280号・民集23巻2号441頁、最高裁平成24年2月24日第二小法廷判決・平成23年(受)第1039号・裁判集民事240号111頁参照。)。
(2) 被告ユープランニング及び被告Y1の賠償責任につき
 上記認定事実によれば、被告ユープランニングは、本件質問書(甲25)を平成23年9月6日に受領し、原告らから、本件事業における電子化ファイルの作成について許諾するものではないことを通知され、さらに本件通知書(甲31)を同年10月18日に受領し、同旨の通知を受けていたにもかかわらず、平成24年7月13日に原告ら代理人が申込みをした原告X6及び訴外Aの各作品につき、書籍をPDFファイル化した電子ファイルを作成し、同年8月25日までに送付するなどしているものである。こうした被告ユープランニングの対応により、原告らは、被告ユープランニングらに対する差止請求の訴訟提起を余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任したものと認められるし、被告ユープランニングの過失も認められる。
 また、証拠(甲5、26、32、48)によれば、被告Y1は、被告ユープランニングの代表者であって、上記2通の質問書等も受領しており、インターネットのウェブサイト上においても代表者として会社案内の挨拶文を記載し、顔写真も載せるなどしていることや、被告ユープランニングの本店所在地に存する建物の所有者は、担保不動産の競売により平成24年11月9日に移転登記がされるまでは被告Y1であったことなどからすると、別途事業責任者として訴外Y@の氏名が会社案内には記載されているものの、被告Y1は、被告ユープランニングの行う本件事業の責任者であったことが認められるから、被告ユープランニングと同様に、過失が認められ、被告ユープランニングと共同して不法行為を行ったものと認められる。
(3) 被告タイムズ及び被告Y2の賠償責任につき
 上記認定事実によれば、被告タイムズは、被告タイムズ訴外YA(以下「YA」という。)宛て本件質問書(甲25)の内容証明郵便を、同月6日に受領し、原告らから、本件事業における電子化ファイルの作成について許諾するものではないことを通知され、さらに本件通知書(甲31)も、同月18日に受領した。これに対し、被告Y2において、原告ら代理人宛てに、本件各作品について本件事業を行うかは検討中である旨等を返答した。しかし、被告タイムズは、平成24年7月13日に原告ら代理人が申込みをした原告X6及び訴外Aの各作品につき、書籍をPDFファイル化した電子ファイルを作成し、同年8月22日までに送付するなどしているものである。こうした被告タイムズの対応により、原告らは、被告タイムズらに対する差止請求の訴訟提起を余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任したものと認められるし、被告タイムズの過失も認められる。
 この点に関して被告タイムズは、本件事業の適法性について、本件各作品の出版元である出版社や、一般社団法人日本雑誌協会等、複数の出版関係事業者等に問い合わせをしたが、いずれも適法であるとの回答を得た旨主張する。
 しかし、被告タイムズは、それに沿う証拠を何ら提出しないばかりか、かえって、原告らからは、これと反する証拠(一般社団法人日本雑誌協会事務局長Bの陳述書。甲46)が提出されており、被告タイムズが、本件事業の適法性について、本件事業を的確に説明した上で、本件各作品の出版事業に関わる者等から適法である旨の回答を得ていたか等については、これを認めることができないというべきである。
 また、被告Y2は、被告タイムズの代表者であって、被告Y2のほかには、上記YAも含め、被告タイムズの取締役はおらず、上記のとおり、被告Y2において、原告ら代理人に対し被告タイムズの代表者として回答していることなどからすると、被告Y2は、被告タイムズの行う本件事業の責任者であったことが認められるから、被告タイムズと同様に、過失が認められ、被告タイムズと共同して不法行為を行ったものと認められる。
(4) 被告ビー・トゥ・システムズ及び被告Y3の賠償責任につき
 上記認定事実によれば、被告ビー・トゥ・システムズは、本件質問書(甲25)を平成23年9月6日に受領し、原告らから、本件事業における電子化ファイルの作成について許諾するものではないことを通知され、これに対して、被告Y3において、被告ビー・トゥ・システムズの代表者として、今後、依頼があっても本件各作品については、本件事業を行うことはない旨の回答をしていたものである。ところが、平成24年7月16日に原告ら代理人が申込みをした原告X6及び訴外Aの各作品につき、書籍をPDFファイル化した電子ファイルを作成し、同年9月2日までに送付するなどしている。こうした被告ビー・トゥ・システムズの対応により、原告らは、被告ビー・トゥ・システムズらに対する差止請求の訴訟提起を余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任したものと認められるし、被告ビー・トゥ・システムズの過失も認められる。
 また、証拠(甲13)によれば、被告Y3は、被告ビー・トゥ・システムズの代表者であって、上記のとおり、被告ビー・トゥ・システムズの代表者として今後本件各作品について本件事業を行わない旨回答していたものであり、インターネットのウェブサイト上においても運営責任者として表記されている者であることが認められることからすると、被告Y3は、被告ビー・トゥ・システムズの行う本件事業の責任者であったというべきであるから、被告ビー・トゥ・システムズと同様に、過失が認められ、被告ビー・トゥ・システムズと共同して不法行為を行ったものと認められる。
(5) 被告ジャカレ及び被告Y4の賠償責任につき
 上記認定事実によれば、被告ジャカレは、本件質問書(甲25)を平成23年9月12日に受領し、原告らから、本件事業における電子化ファイルの作成について許諾するものではないことを通知され、さらに本件通知書(甲31)を発せられたが、受取人不在・保管期間満了で、同年10月26日に原告代理人のもとに返送された。そして、平成24年7月13日に原告ら代理人が申込みをした原告X6及び訴外Aの各作品につき、書籍をPDFファイル化した電子ファイルを作成し、同年9月8日までに送付するなどしているものである。こうした被告ジャカレの対応により、原告らは、被告ジャカレらに対する差止請求の訴訟提起を余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任したものと認められるし、被告ジャカレの過失も認められる。
 また、証拠(甲19、29)によれば、被告Y4は、被告ジャカレの唯一の取締役であり代表者であって、上記被告Y4宛ての本件質問書(甲25)も受領しており、インターネットのウェブサイト上においても代表者として掲載されていることなどからすると、被告Y4は、被告ジャカレの行う本件事業の責任者であったというべきであるから、被告ジャカレと同様に、過失が認められ、被告ジャカレと共同して不法行為を行ったものと認められる。
(6) 損害発生の有無及びその額につき
 前記(1)ないし(5)で検討したところによれば、被告会社らに対する差止請求に係る弁護士費用相当額は、被告会社らによる著作権侵害のおそれと相当因果関係のある損害であるということができる。
 そこで、被告会社らがそれぞれ負担すべき弁護士費用相当額は、上記差止請求の内容、経過等に照らすと、原告1名につき10万円と認めるのが相当であり、被告代表者らは、それぞれが代表する被告会社らとの間で連帯して、上記金額につき損害賠償の責めを負うというべきである。
6 結論
 以上のとおり、被告会社らの行う本件事業については、原告らの著作権(複製権)を侵害するおそれがあり、これについて著作権法30条1項の適用もないから、本件各作品が印刷された書籍について、被告会社らによる第三者からの委託を受けた電子的方法による複製の差止めを求める内容の請求(主文第1項ないし第4項)、及び、被告代表者らにおいて、それぞれ代表する被告会社らとの間で連帯して、原告1名につき10万円及びこれに対する各遅延損害金の支払を求める限度(主文第4項ないし第8項)において、原告らの請求にはそれぞれ理由があるからその限度で認容し、その余は理由がないからいずれも棄却すべきである。
 また、仮執行宣言については、第1項ないし第8項について相当であるのでこれを付すこととする。
 よって、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第40部
 裁判長裁判官 東海林保
 裁判官 今井弘晃
 裁判官 実本滋


(別紙)当事者目録
原告 X1
原告 X2
原告 X3
原告 X4
原告 X5
原告 X6
原告 X7
原告ら訴訟代理人弁護士 伊藤真
同 平井佑希
同 前田哲男
同 福井健策
同 北澤尚登
同 久保利英明
同 上山浩
被告 株式会社ユープランニング
被告 Y1
被告 株式会社タイムズ
被告 Y2
被告 株式会社ビー・トゥ・システムズ
被告 Y3
被告 有限会社ジャカレ・アセット・マネジメント
被告 Y4

以下別紙省略
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日本ユニ著作権センター
http://jucc.sakura.ne.jp/