判例全文 | ||
【事件名】盗撮アダルトDVD事件 【年月日】平成21年3月27日 大阪地裁 平成18年(ワ)第13342号 慰謝料請求事件 判決 主文 1(1) 被告A及び被告Bは、原告に対し、連帯して440万円及びこれに対する平成18年12月28日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし、下記(2)の限度で被告C及び被告Dと連帯して)を支払え。 (2) 被告C及び被告Dは、原告に対し、いずれも被告A及び被告Bと連帯して440万円及びこれに対する平成18年12月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告A及び被告Bは、原告に対し、連帯して220万円及びこれに対する平成19年11月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告の被告E及び被告Fに対する請求並びに原告の被告A、被告B、被告C及び被告Dに対するその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用の負担は、次の(1)及び(2)のとおりとする。 (1) 原告に生じた費用の2分の1、被告A及び被告Bに生じた費用の2分の1、被告C及び被告Dに生じた費用並びに被告被告E及び被告Fに生じた費用は、これを2分した上、その1を原告の負担とし、その余を被告A、被告B、被告C及び被告Dの連帯負担とする。 (2) 原告に生じたその余の費用並びに被告A及び被告Bに生じたその余の費用は、これを2分した上、その1を原告の負担とし、その余を被告A及び被告Bの連帯負担とする。 5 この判決は、主文1項及び2項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは、原告に対し、連帯して1100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告A及び被告Bについては平成18年12月28日、被告C及び被告Dについては同月29日、被告E及び被告Fについては同月30日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告A及び被告Bは、原告に対し、連帯して1100万円及びこれに対する訴え変更申立書送達の日の翌日(平成19年11月20日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 前提事実(確定の根拠は各末尾に示す。) (1) 当事者 ア 原告は、昭和60年3月■■日生まれの女性である。 (原告本人、弁論の全趣旨〔出頭カードの記載〕) イ 被告Aは、書籍・雑誌の販売、DVDソフトの販売・貸出等を目的とする株式会社である。 被告Bは、被告Aの代表取締役である。 (争いがない) ウ 被告Cは、映像ソフトの企画、製作、編集、販売等を目的とする株式会社(特例有限会社)である。 被告Dは、被告Cの代表者たる取締役である。 (争いがない) エ 被告Eは、映像ソフトの企画、制作、編集、販売等を目的とする株式会社(特例有限会社)である。 被告Fは、被告Eの代表者たる取締役である。 (争いがない) (2) 盗撮DVDの存在 別紙DVD目録記載の各DVD(以下「本件各DVD」といい、個別に「本件DVD1」などという。)は、公衆浴場における女性用脱衣室及び女性用浴場の内部並びに女性の脱衣風景や全裸姿が撮影・編集された商業用DVDであるところ、本件各DVDには原告の全裸姿が映された映像が含まれているが、原告は、本件各DVDのいずれについてもその撮影・編集を承諾したことはなく、少なくとも本件各DVDに係る原告の映像は盗撮されたものであった。 (甲1ないし6、14、15〔甲2、4ないし6、15は枝番号を含む。〕、18、27、乙21、原告本人) 2 請求の類型(訴訟物) 本件は、原告が、 (1) 被告ら6名が共同して、原告の承諾なくその全裸身を盗撮して本件DVD1及び2を制作して販売した行為は不法行為に該当する旨主張して、不法行為に基づく損害賠償請求権(被告A、被告C及び被告Eにつき民法709条、被告B、被告D及び被告Fにつき会社法429条1項、被告ら6名全体につき民法719条)を根拠として、損害額1100万円(慰謝料1000万円と弁護士費用100万円の合計額)及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告A及び被告Bについては平成18年12月28日、被告C及び被告Dについては同月29日、被告E及び被告Fについては同月30日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を、 (2) 被告A及び被告Bが共同して、原告の承諾なくその全裸身を盗撮して本件DVD3を制作して販売した行為は不法行為に該当する旨主張して、不法行為に基づく損害賠償請求権(被告Aにつき民法709条、被告Bにつき会社法429条1項、両名につき民法719条)を根拠として、損害額1100万円(慰謝料1000万円と弁護士費用100万円の合計額)及びこれに対する訴えの追加的変更申立書送達の日の翌日である平成19年11月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を、それぞれ求めた事案である。 3 争点 (1) 被告らの責任原因及び損害発生との因果関係 (2) 原告の損害額 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(被告らの責任原因及び損害発生との因果関係)について (1) 原告の主張 ア 本件DVD1及び2について 被告ら6名は、共同して本件DVD1及び2を制作・販売していたものであり、これらの行為は共同不法行為を構成する。その理由は、以下のとおりである。 (ア) 本件DVD1及び2は、そのパッケージに金色のホログラムシール(地球を平たくしたデザインを背景に「A′」の飾り文字がプリントされたもの。以下「本件ホログラム」という。)が貼られており、その左側に「メーカー正規品には、必ず右のシールがついています!!シールが無い商品・シールが黒ずんでいる商品は全て粗悪品の海賊版です!!ご注意ください!!」との説明書きがある。他方、本件DVD1及び2のパッケージには、それぞれ「企画・制作/G」、「企画・制作/H」と書かれているが、連絡先などの表示は何もない。以上のパッケージの体裁からすれば、本件DVD等は、アダルトビデオ業界で大手である被告Aが制作し、「A′」のシールでメーカーであることを明記し、その品質を保証して販売している商品であることが明らかである。 (イ) 本件DVD1を実際に制作していたとされているのは、被告Cである。この事実は、被告A代理人から原告代理人に対する回答書(甲8)の中で指摘されており、現に、被告Cの代表者は、この事実を認めている。 (ウ) 本件DVD2を実際に制作していたとされているのは、被告Eである。被告Aが販売するDVDのプレスを請け負っていた株式会社I(以下「I」という。)が受注したプレス報告書(丙3)に、本件DVDの発注者として被告Eの記載があることからも明らかである。 (エ) 本件DVD1及び2の制作者がそれぞれ被告C及び被告Eとされた経緯は、以下のとおりである。 すなわち、被告Aは、本件DVD1及び2を初めとする「盗撮もの」のジャンルで巨額の利益を得ていたところ、本物の盗撮であることが明らかとなって民事上及び刑事上の責任が追及されたときのことを慮り、「盗撮もの」の作品に係る盗撮映像の買取や作品の制作を、関連会社にさせ、被告Aが関わっていないように装っていた。被告C及び被告Eは、実質的には、被告Aの代表者である被告Bが支配していた会社であり、被告Bの指示のもと、それぞれ本件DVD1及び2を制作してこれを被告Aに納品し、同社においてこれを販売していたものである。 イ 本件DVD3について 本件DVD3を実際に制作していたのは、JというDVDの企画制作業者であるが、被告Bは、Jが盗撮映像テープを使用してDVD商品を制作していることを承知の上、本件DVD3を含む盗撮DVD商品を、被告Aが総販(被告Aのみが販売の権利を持つ形で販売すること)することとして確実に利益を挙げたものである。その制作は、両社を実質的に支配していた、被告Aの代表者である被告Bの指示に基づくものであり、被告Aは、Jが制作した本件DVD3の納品を受けてこれを販売していたものである。 (2) 被告A及び被告Bの主張 ア 本件DVD1及び2について (ア) 本件DVD1及び2を制作したのは、被告Aではなく、被告Cである。そのことは、本件DVD1及び2のパッケージに表示されているバーコードの数字が被告C固有のものであることからも明らかである。 被告Aは、メーカーである被告C等から委託を受けた商品を、二次問屋、三次問屋へ卸し又は全国の販売店へ商品の販売を委託して、実際の最終ユーザーに売れた商品分についてのみ、流通手数料として商品定価の10〜15%の中間マージンを取得していた、流通卸し問屋にすぎない。本件DVD1及び2に貼付されている本件ホログラムは、単に本件DVD1及び2の流通管理者が被告Aであることを明示するものにすぎない。 (イ) しかるに、被告Cが制作する作品に関しては、出演女優の承諾書とその年齢確認書の提出を要求しても応じなかったこと、本物の盗撮と疑われる作品が後に判明したこと、出演者からの約束違反を理由とするクレームが寄せられていること、法で禁じられている18歳未満の少女を出演させている疑いが後に判明したことなどが続発したことから、被告Aは、平成16年3月26日、被告A・被告C間の継続的商品売買契約を解除し、それまで被告Cから販売委託を受けた商品に関し、廃盤通知と商品の回収返品を行い、平成17年5月12日、同年7月23日及び同年8月6日の3回にわたって、被告Cに対し、本件DVD1及び2を含めて被告Cが制作した商品をほとんど返還した。 他方、被告Cは、本件DVD1及び2を含む被告Aから返還を受けた多数の商品を、アソート販売(安売り)の取扱業者である有限会社Kへ販売し、同社からの流通がもとで平成18年ころ原告の目に触れることになったものである。 このように、被告Aが本件DVD1及び2の商品を流通網に乗せていたのは、被告Cとの取引を行っていた平成16年3月までのことであり、かつ、本件の被害発生は、被告Cが、その後に、他の流通業者に対して、本件DVD1及び2を含む被告Aから返還を受けた多数の商品を販売したことによるものであるから、本件DVD1及び2による原告の損害発生に責任を負うべき者は被告Cであって、被告Aによる委託販売行為と原告の損害発生との間には相当因果関係が存在しない。 イ 本件DVD3について (ア) 本件DVD3を制作・販売したのは、Jの実質的経営者であるLであって、被告Aはこれに全く関与していない。 (イ) 被告Aは、前記ア(イ)と同様の理由により、平成16年11月ころ、Lとの間の継続的商品売買契約を合意解除し、それ以後は被告Aの流通網には乗せておらず、本件DVD3も取り扱っていないから、被告Aによる委託販売行為と原告の損害発生との間には相当因果関係が存在しない。 (3) 被告C、被告D、被告E及び被告Fの主張 ア 主に原告の主張に対する反論 (ア) 本件DVD1及び2を制作したのは、被告Aであって、被告C及び被告Eではない。すなわち、被告C及び被告Eは、いわゆる「やらせ」(出演している女性の承諾があるもの)の「盗撮もの」の制作は行っているが、本物の盗撮商品については、被告Aが制作しており、被告C及び被告Eはこれに関与していない。 (イ) なお、被告Dが原告代理人に対して本件DVD1につき被告Cが制作したことになっていることを認める旨の発言をしたのは、以下の経緯によるものである。 すなわち、被告Aは、盗撮ビデオを含む作品制作を行っていたところ、盗撮が発覚した場合に被告A及び被告Bに責任が及ぶのを防ぐため、平成13年11月ころから、これらの制作を被告Cや被告E等の関連業者が行ったことにし、自身はそれらの会社から商品を仕入れて全国のショップ等に販売するという卸売業に特化した形を取るようになった。具体的には、被告Aが盗撮ビデオの買い付けを行い、これを有限会社M(代表者は被告Bの子)に交付し、編集・マスターテープ作成等を行わせ、これをプレス業者であるIに複製させて商品化するが、これらの各代金の支払は、被告A名義ではなく、被告C、被告E、Nなどの関連業者の名義で行うこととし、これらの関連業者は、商品の代金として被告Aから毎月受け取っている金員の中から、被告Aの指示に基づいて支払をするという方法が取られていた。他方、被告C等の関連業者は、これらの手続の中で、被告Aから、自分たちがどの商品を製作したことになっているのか、また、商品の代金として被告Aから毎月受領する金員についてどの商品がどれだけ売れたことによる代金なのか、などの情報を全く明らかにされていなかった。このような状況のもと、原告代理人から本件について内容証明郵便が届いたことから、被告Dは、実際にどこが制作したことになっているのかは被告Aにしかわからない旨伝えるとともに、被告Cを含めた関連業者が制作したことになっている仕組みを説明するとともに、被告Aがプレスを発注しているIに、本件DVD1のプレス代の請求先を問い合わせたところ、被告Cだったと思うとの回答であったことから、その旨原告代理人に伝えたものである。 しかしながら、その後、Iより関連資料(丙2、3)の提供を受けたところ、本件DVD1の請求先はNとされていたことが判明したため、被告Cが制作者とされていないことが明らかとなったものである。 (ウ) 本件DVD2を被告Eが制作したことになっているのも、前記(イ)の経緯によるものである。 イ 主に被告A及び被告Bの主張に対する反論 (ア) 本件DVD1及び2には被告Cのバーコードが付いているところ、 これは、被告AのOが、被告Cの事務所に必要事項が既に記載された登録申請書類一式を持参し、被告DがOの指示に従って記名押印をして交付し、これによって新規登録手続が行われたものにずぎず、被告Aの取り扱う商品につきどのようなバーコードを付けるかは、被告Aが勝手に決定しているものであり、被告Cは全く関与していない。 (イ) 被告Dらが被告Aへ商品の引き取りに行ったのは、委託商品の返品ということではなく、債権者であったIの意向をくんで行ったものである。そして、上記商品は、すべてIが引き取って処分しており、被告Dが有限会社Kに販売した事実はない。 (ウ) 被告Aは、平成16年3月以降、少なくとも同年9月になっても、被告Cの商品を通常どおり販売し続けていたし、その後もアソートで販売していたから、被告Cが被告Aから返品を受けた商品からの流出によって原告の被害が発生したと断定することはできない。 (4) 被告A及び被告Bの主張(前記(2)ア(イ))に対する原告の反論 被告Aは、被告C又は被告Dに対し、本件DVD1及び2を含む在庫商品を返品する際、既に本件DVD1及び2において盗撮被害者である原告が存在することを知りながら、「なにわ」シールが貼付されたままの状態で返品しているが、当然ながら、これを被告C又は被告Dがアソート販売に供して換金するであろうことを予見していたはずである。それにもかかわらず、既に違法商品との申告がある本件DVD1及び2まで含めて漫然と商品を返品したという被告Aの姿勢には、被告Aの、違法商品に対する対応の鈍さ、企業コンプライアンス意識の欠如が如実にうかがわれるのであり、被告Aのネームバリューを利用させ、本件DVD1及び2の市場流通を促進したことは疑いようもない事実である。 2 争点(2)(原告の損害額)について (1) 原告の主張 ア 本件DVD1及び2について 原告は、本件DVD1の存在が判明したことにより、自らの裸身がアダルトDVDに編集されて業界大手販売会社である被告Aによって何千枚という単位で大量に流通し、視聴者男性の性的好奇心をあおる対象として見られていることを知った。このことによる原告の精神的ショックは計り知れず、以来、精神的に動揺して仕事も家事も手に付かない疲弊した状況に陥っている。一時は、育児さえできなくなって実家に幼い子を預けざるを得ず、2か月後にもリストカットをして7針縫う事態になった。 さらに、その後に本件DVD2の存在が判明し、かつ、それがホームページ上にジャケットの画像付きで載せられていたために(しかも、被告Aは、本件DVD2を販売する株式会社P〔形式的にはその関連会社である株式会社Q〕に売却するに当たり、同社によってレンタルに供されることを知っていた可能性が高い。)、アダルトショップという特別の店舗での販売に限られず、広く不特定多数人に見られる状態で公開されてしまったことで、原告の被害感情は増大している。これは、被告らによって原告の承諾がないままに盗撮ビデオテープを使用した本件DVD1及び2が商品化され、市場に広く流布されたことの一つの結果であり、一端にすぎない。 また、本件DVD1及び2で一部の女性にモザイクが掛けられていることから、多くの対象者が収録の承諾をしており、実質的には盗撮ではなく演技であった可能性もないではない。しかし、少なくとも原告については収録の承諾を得ておらず、さらに、原告が本件DVD1及び2に収録されることによって、視聴者に「いわゆる盗撮DVDに裸身で出演することを承諾した」という虚偽かつ社会的評価を下げる判断をされるおそれがあり、重大な名誉毀損行為に当たる。 この著しい精神的苦痛に対する慰謝料は、金銭に換算して1000万円を下ることはない。 さらに、原告は、本件の解決のために弁護士に依頼せざるを得なかった。このために要する弁護士費用として、100万円が相当である。 イ 本件DVD3について 本件DVD3の存在が発覚したことにより、原告の精神的ショックは更に増すことになった。 本件DVD3での原告の露出度は、その編集された時間や鮮明度からみても、大勢の中の一人であった本件DVD1及び2とは段違いに高いものであり、いわば「主演女優」並みであり、その損害は甚大である。 また、このように3本目が見つかり、シリーズ総集編である「■■■■■」にも編集されていることから、更に他のDVD商品にも原告の映像が使用されていることが容易にうかがえる。 その精神的苦痛は金銭に換算することが困難であるが、少なくとも1000万円を下ることがない。 さらに、原告が本件の解決のために要する弁護士費用として、100万円が相当である。 (2) 被告らの主張 争う。 第4 争点に関する当裁判所の判断 1 判断の基礎となる事実 前記前提事実並びに証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる(確定の根拠は各末尾に示す。)。 (1) 当事者等 ア 原告は、昭和60年3月■■日生まれの女性である。原告は、平成15年6月ころ、Rと結婚し、両名の間には、2人の子が生まれている。 (前記第2の1(1)アの事実、甲26、27、証人R、原告本人) イ 被告Aは、平成10年7月14日に有限会社として設立され(当時の商号は「有限会社A」)、平成14年9月22日に株式会社に組織変更された、書籍・雑誌の販売、DVDソフトの販売・貸出等を目的とする株式会社である。 被告Aの本店所在地は、当初は大阪市a区bc丁目d番e号であったが、平成18年9月15日に大阪市a区fg丁目h番i号に移転した。なお、被告Aは、大阪市j区kl丁目m番n号所在のBビルに営業所を有していた。 被告Bは、被告Aの代表取締役である。Oは、平成11年ころ被告Aに入社し、平成15年ころから統括部長の地位にあったが、平成20年5月ころ退社した。 (前記第2の1(1)イの事実、甲23ないし25、乙49、50、丙1、8、10、証人O) ウ 被告Cは、平成10年10月23日に設立された、映像ソフトの企画、製作、編集、販売等を目的とする株式会社(特例有限会社)であり、設立当時の商号は「有限会社S」であったが、平成13年に11月1日に「有限会社C」に商号を変更した(以下、商号変更前の時期を含めて「被告C」と呼称する。)。 被告Dは、被告Cの代表者たる取締役である。 (前記第2の1(1)ウの事実、甲21、22) エ 被告Eは、平成13年10月25日に設立された、映像ソフトの企画、制作、編集、販売等を目的とする株式会社(特例有限会社)であり、設立当時の商号は「有限会社T」であったが、平成14年に3月1日に「有限会社U」に、同年11月1日に「有限会社E」に、それぞれ商号を変更した(以下、商号変更前の時期を含めて「被告E」と呼称する。)。 被告Eの本店所在地は、当初は大阪市a区op丁目q番r号であったが、平成14年11月1日に大阪市j区kl丁目m番n号(被告Aの営業所のあるBビル内)に移転した。 被告Fは、被告Eの代表者たる取締役である。 (前記第2の1(1)エの事実、甲19、20、丙5、10、証人O) (2) 継続的商品売買契約締結に至るまでの事実経過 ア 被告Dは、運輸会社に勤務していた平成8年秋ころ、他社のDVDソフトを安売りするなどしていた被告Bと知り合い、以後、同人にDVDソフトを格安で売るなどの付き合いをしていた。その後、平成10年ころ、被告Bが被告Aを、被告Dが被告Cをそれぞれ設立し、両社は以後、被告AがアダルトDVDソフトのメーカーとして、被告Cが編集会社として、協力して仕事をするようになった。 (乙49、丙1、4、8、10、23、被告B本人) イ 平成13年ころから、両社の関係は、被告Aがマニアから盗撮テープを買い、これを被告C、被告E等の関連会社に振り分け、同社らがこれをもとに商品を制作し、被告Aにこれを販売するという取引形態になった。これに際しては、被告Cや被告Eがメーカー、被告Aが問屋という形式を取っているが、これは、被告Aが小売店に卸した商品に何らかの問題が起きた場合、被告Cを初めとするメーカーに全責任を負わせ、被告Aに責任追及が及ばないようにする、という被告Bの目論見に基づくものであった。しかしながら、上記の取引形態においても、作品の企画・内容等は、実際には被告Bが取り仕切っており、被告Bは、被告Cを初めとするメーカーに対し、とにかく作品の数を増やせなどと求めていた。 また、被告BやOは、被告Dに対し、被告Cの月々の支払につき支払先・金額を細かく指示した手書きの指示書(甲28の1ないし6)を送付していた。さらに、被告Bは、コンサルタント業を営む株式会社N(以下「N」という。)の取締役であったVに対し、被告Cの経理について相談し、税金対策のため、Nに対し、名義貸し(被告Cのため、名目上、Nが、被告Cが制作した作品の原盤を買い上げ、上記原盤をもとに制作した総集編の販売代金名目でNが被告Cに支払う形を取るという形で名義を貸し、その手数料として月額30万円の支払を受ける、というもの)を依頼したこともあった。 (甲13、28〔枝番号を含む。〕、乙49ないし51、丙1ないし4、7、8、10、23、証人V、証人O、被告B本人) ウ 被告Fは、被告Dと同じ職種のメーカー同士として、作品を共同制作したり、出演する女優を紹介し合うなど、被告Dと協力関係にあった。そして、被告Fが代表者を務める被告Eは、事務所がBビル内に入っており、開設資金も被告Aから出ているなど、被告Aの子会社のような立場にあった。 (丙1、5、10) エ Lは、平成5年ないし6年ころ、アダルトビデオ店の客同士として被告Dと知り合った。その後、Lは、平成12年ころ、被告Dから、盗撮映像を買い取ってくれる不動産屋のマニアがいるので、そういう映像を入手できれば金儲けができる旨持ちかけられ、これらを集めてを被告Dに販売するようになった。その後、Lは、被告Dから、依頼者から、ズームアップの映像や局部が鮮明に見える画像を求められていること、依頼者である不動産屋のマニアというのは被告Bのことである旨の説明を受けた。Lは、入手した盗撮映像を、主に被告Dに手渡し、同人が多忙なときには、被告AのOに直接交付することもあった。 Lは、平成13年1月ころ、被告Dから、被告Aの経理の都合により、盗撮映像の販売代金を現金支払から口座振込みの方法に切り替えるよう求められている旨の話を受け、自らが平成12年に破産宣告を受けていたことから、W信用金庫X支店に弟のY名義で預金口座を開設した。Lは、以後、被告Aから、上記口座に販売代金の支払を受けるようになったが、振込みの名義は、被告Aの名義のほか、被告E(有限会社T)や被告C(有限会社S、有限会社C)の名義が使用されることもあった。なお、Lと被告Eや被告Cとの間には取引関係はなかった。 その後、Lは、弟のYとともに、Zとの名称でアダルトビデオの制作・販売をし、平成15年ころからは、知人のαとともに、J(ないしJ企画)の名称で同様の仕事をするようになったが、商品の販売先は専ら被告Aであった。 (甲16、18、丙1、6、7、10、証人L) オ 被告Cは、被告Aの傘下にある状況で、例えば、被告CがIにDVDの製造を依頼した場合も、被告Aを通して取引が行われていた。また、被告Cは、前記イの趣旨から、被告Aとの間で、被告Cが企画・制作した映像ビデオをビデオテープ・DVD等に録画して作成した複製物(商品)については、被告Aがその販売権を専有し、被告Cは上記商品を被告Aにのみ売り渡し、被告A以外の者に売り渡してはならない旨の契約を結んでおり、この契約に基づき、被告Cから被告Aに対し、上記商品が定価の25%程度で販売されていた。そして、この契約に基づき、被告Aと被告Cは、平成15年7月1日、概要下記の内容の継続的商品売買契約公正証書(乙22)を作成しており(下記文中の「甲」はCを、「乙」は被告Aをそれぞれ指す。)、被告Aと被告EやL(又はJないしZ)との間でも、同様の公正証書が作成されていた。 記 第1条(売買の目的) 甲は、第4条に定める映像ビデオをビデオテープ・DVD等に録画して複製物(以下「商品」という。)を作成し、この商品を乙に売り渡し、乙はこれを買い受けることを約定する。 (略) 第4条(商品内容等) 甲は、自らの責任において企画制作した映像ビデオをビデオテープ・DVD等に録画して商品を作成し、これを乙に販売するものとする。 2 第1項における映像ビデオについては、甲の責任において出演者の承諾を必ず得るものとする。 3 第1項における映像ビデオの企画制作に際し、18歳未満の未成年者の出演が法により制限されている場合は、甲は法に従い、これらの未成年者を出演させてはならない。 4 第1項における映像ビデオのその他の企画制作においても、甲は法を順守して行うものとする。 5 万が一、甲が、第1項ないし第4項に反していたことが後日において明らかになった場合、甲がその民事、刑事等の一切の責任を負い、乙には何ら責任を及ぼさないものとする。 (略) 第11条(特約条項) 1 本契約日から向う5年間に甲が制作する映像ビデオ商品すべての販売権は乙が専有し、乙の独占販売とする。 2 甲は、商品のすべてを乙にのみ売り渡し、乙はこれを乙の卸売りルートにて販売する。 3 甲は、この期間内に制作した映像ビデオ商品を乙以外の者へ売り渡してはならない。 なお、被告A及び被告Bは、継続的商品売買契約公正証書4条には上記のとおり規定があるにもかかわらず、被告Cを初めとするメーカーが制作する「盗撮もの」の作品が、出演者の承諾のないものであることを認識・認容していたため、被告Cを初めとするメーカーに対して出演承諾書の提出を求めたことはなく、自らが作品の内容を確認したこともなかった。(丙1、4、5ないし7、10、22、証人L、証人O、被告B本人) (3) 本件各DVDについて ア 本件DVD1及び2について (ア) 本件DVD1及び2を実際に制作したのは、被告Cであり、本件DVD1及び2には被告Cの登録に係るバーコードが表示されているが、本件DVD1及び2には被告Cの商号は明示されていない。 本件DVD1及び2のパッケージには、それぞれ「企画・制作/G」、「企画・制作/H」と書かれているが、連絡先等は表示されておらず、「G」「H」なる業者は架空の存在である。 他方、本件DVD1及び2には、そのパッケージに、地球を平たくしたデザインを背景に「A′」の飾り文字がプリントされたホログラムシール(本件ホログラム)が貼付されているところ、その左側には、「メーカー正規品には、必ず右のシールがついています!!シールが無い商品・シールが黒ずんでいる商品は全て粗悪品の海賊版です!!ご注意ください!!」との説明書きがあることからわかるとおり、本件ホログラムは、被告Aが当該商品に係る著作権を保有していることを明示するものである。 そして、本件DVD1及び2は、前記(2)オの継続的商品売買契約に基づいて、被告Cから被告Aに納品され、被告Aの流通網を通じて販売された。 (甲1、3、乙31、50、51、証人O、被告B本人) (イ) 本件DVD1は、1500本が制作されて、平成15年2月■■日に発売され、単価は1万2000円(税別)で、平成16年3月25日までの間における売上枚数は481本(問屋売上枚数115本、委託店売上枚数366本)であった。 また、本件DVD2は、1500本が制作されて、平成15年3月■■日に発売され、単価は8000円(税別)で、平成16年3月25日までの間における売上枚数は205本(問屋売上枚数99本、委託店売上枚数106本)であった。 (乙21、23ないし28〔乙24ないし27は枝番号を含む。〕、丙2、3) (ウ) Iが作成した「DVD予定表」(丙2、3。データの日付は平成15年1月10日付け、フォーマットの日付は同年4月20日付け)は、被告A統括部長であるO宛てに作成された書面で、出荷枚数、バルク(原盤)の出荷日・納入日、完成品納入日、発売日等のスケジュールが記載されており、そのうち本件DVD1はN、本件DVD2は被告Eが請求先と記載されている。 (丙2、3) イ 本件DVD3について 本件DVD3を実際に制作したのは、Lが経営するJであり、本件DVD3のパッケージには、企画・制作・著作の主体として、同人が経営するβの名称が記載されている。なお、本件DVD3には、本件ホログラムは貼付されていない。 本件DVD3は、平成15年11月■■日に発売され、単価は1万2000円(税別)である(ただし、その制作枚数及び売上枚数は、証拠上明らかではない。)。 そして、本件DVD1及び2は、前記(2)オの継続的商品売買契約に基づいて、Jから被告Aに納品され、被告Aの流通網を通じて販売された。 平成15年11月7日付け「仕入先別仕入明細表」(甲18の別紙2)は、被告Aの子会社である有限会社γが作成した書面で、本件DVD3のビデオ版(品番・■■■■■)を含む4作品のダビング枚数を指示するものである。 (甲18、丙2、3、乙50、証人L、証人O) (4) その後の事実経過 ア その後、被告Bは、被告Cの経営状態が悪化し、被告Dの経営能力に疑問を持ったことなどから、被告Cについて、平成15年10月10日、Dを取締役から辞任させる一方、Yを同社の取締役に就任させ(登記手続は同年11月4日付け)、以後、同人及び同人の兄であるLが同社の経営を担当するようになった。 (甲21、22、、丙1、4、6、7、10、21、23、証人L、証人V、被告B本人) イ δは、被告Aのライバル会社であったところ、被告Dは、平成16年1月ころ、εの名称で、δとの間で、被告Dの制作したDVD商品を定価の35%で販売する継続的商品販売契約を締結し、その後、δに対して、アダルトDVD4作品合計5000枚を販売した。 (乙49、丙1、4、8、10、23) ウ 被告Bは、平成16年3月ころ、被告Dがδに対して商品を販売するようになったことを知り、被告Dの行為が被告Aに対する背信行為であると考え、被告Dに対して強い不満を抱いた。 そこで、被告Bは、Oに指示し、同月26日付けの「契約解除通知」と題する書面(乙1)を作成させ、被告Dのした前記イの行為が前記(2)オの継続的商品売買契約公正証書11条に違反することを理由に、被告Cとの継続的商品売買契約を解除する旨の通知をした(なお、同様の通知は同年6月23日にも行われている。)。η また、被告Bは、同年4月1日、被告Aの社員であるζ、その知人であるη、L及び被告Fの4名に対し、被告D方へ赴いて被告Dからδへ販売された商品を回収するとともに、被告Dをこの業界で仕事を続けられなくさせるために、被告Dのパソコンや携帯電話から業界に関係するメモリーを消去するよう指示し、また、被告CがIに対してDVD製作に係る取引で多額の買掛金債務を負っていたことから、被告Dを被告Cの代表者に復帰させて、被告Cとともに被告Dを破産させるよう指示した。これを受けて、上記4名は、同日、被告D方に赴き、同人を脅迫して、δへの販売を中止するよう要求するとともに、被告Dをしてその携帯電話を水に漬けさせて使用不能にさせ、次いで同月2日、被告D方に赴き、被告Dから預金通帳2冊を取り上げるとともに、被告Dの倉庫に保管していたDVDやδに納品したDVDの多くを回収させた。 また、上記の被告Bの意向に従い、同月15日付けで、被告Cについて、被告Dの取締役就任及びYの取締役辞任が同年3月25日にされた旨の登記手続が行われた。 (甲21、22、乙1、4、5〔乙4、5は枝番号を含む。〕、49ないし51、丙1、4ないし7ないし10、20、22、23、証人L、証人O、被告B本人。なお、被告Bは、陳述書(乙51)及び本人尋問において、被告Cとの継続的商品売買契約を解除した理由に関し、被告Dが女優の出演承諾書や年齢確認書の提出を要求しても応じなかったこと、出演者から約束違反を理由とするクレームが寄せられたこと、法で禁じられている18歳未満の少女を出演させている疑いが判明したこと、本物の盗撮と疑われる作品が後に判明したことなどが続発したためである旨の陳述及び供述をし、Oも、陳述書(乙50)及び証人尋問において、これに沿う陳述及び証言をするが、乙1の「契約解除通知」と題する書面には、解除事由として継続的商品売買契約公正証書11条(特約条項)違反が挙げられるにとどまり、その他の事由については何も言及されていないことに照らし、採用することができない。) エ 被告Aは、平成16年4月ころから同年6月ころにかけて、関係取引先に対し、被告Cの商品を廃盤にした旨及びその返品を求める旨の通知をし、相当数の返品を受けた(ただし、被告Aが関係取引先から返品を受けた商品の正確な総数は不明であり〔Oの乙49陳述書には、85万5000本を超える旨の記述がある一方、Oの乙50陳述書及び被告Bの乙51陳述書には、約30万本である旨の記述がある。〕、また、その商品の種類及び内訳の数も、証拠上明らかではない。)。 その後、被告Aは、被告Dに対し、再三にわたり、被告Aが関係取引先から返品を受けた被告C制作に係る商品の引き取りを求めるよう求めていたところ、被告Dは、平成17年5月ころから平成18年11月にかけて、Iの実質的オーナーであるθとともに、Bビル等に保管してあった商品の引取りを行った(ただし、被告Aが被告Dに対して返品した商品の種類及び数は、証拠上明らかではない。)。
(乙2、3、6ないし10、16ないし20〔乙2、3、7、10、16、18ないし20は枝番号を含む。〕、49ないし51、証人O、被告B本人) オ 被告Aは、平成16年11月30日付けで、ι(Jの後身)に対し、LないしJとの間の前記(2)オの継続的商品売買契約を合意解除する旨の通知をし、関係取引先に対し、ι及びZの商品を廃盤にした旨及びその返品を求める旨の通知をした。 (乙42ないし46〔乙43は枝番号を含む。〕、50、51、証人L、被告B本人) カ その後、平成17年8月2日、「κ」の名称で、各店舗に対し、「A″DVDトール」と題するアソート(安売り)広告のファクシミリ文書が送信された。これを受けて、被告Aは、同月、関係取引先に対し、上記商品は被告C制作に係る商品であるが、被告Cに対しては契約解除の通告をしており、上記商品の流通には被告Aは関知していない旨の通知をした。 次いで、平成17年11月3日及び同月13日、東京都新宿区所在の「λ」が、各店舗に対し、「A」の名称を冠したアソート広告のファクシミリ文書を送信した。これに対し、被告Aは、同月14日、「λ」に対し、掲載に係る商品は被告Aが既に契約を解除したメーカーに係るものであり、被告Aの社名を無断で使用することを停止するよう求める旨の警告書を送付した。 (乙11ないし15〔乙15は枝番号を含む。〕、50、51、証人O) キ 被告Dは、平成16年ころ、当庁に対し、被告A、被告F、L及びζの4名を当該訴訟の被告として、ζ、η、L及び被告Fが、被告Aの指示に基づき、被告Dに対して前記ウのとおりDVD商品の関係取引先への販売行為の中止及び関係取引先に納品した商品の回収を強要した行為について、民法709条、719条又は715条(被告Aのみ)に基づき、損害金1635万4541円(財産的損害1385万4541円、精神的損害100万円、弁護士費用150万円の合計額)及びこれに対する遅延損害金の支払を求める訴訟を提起した(当庁平成16年(ワ)第14262号。なお、上記訴訟は、その後、Lに対する部分については、平成17年12月7日に訴訟上の和解が成立し、ζに対する部分については、同人が平成18年2月に死亡したことを受けて、訴えが取り下げられた。)。これに対し、当庁は、平成18年11月10日、共同不法行為の成立を認め、被告A及び被告Fに対して、被告Dに損害金1589万4541円(財産的損害1385万4541円、精神的損害60万円、弁護士費用144万円の合計額)及びこれに対する遅延損害金の支払を命じる判決を言い渡した(丙1はその判決書)。 上記判決に対し、被告Aのみが控訴した(大阪高等裁判所平成18年(ネ)第3341号)ところ、大阪高等裁判所は、平成19年6月20日、控訴棄却の判決を言い渡した(丙10はその判決書)。 そして、上記判決は、その後まもなく確定した。 (丙1、10、被告B本人) ク 原告は、平成18年2月19日、夫のRを通じて、本件DVD1の存在を知り、Rが入手したDVDの現物(甲1)を視聴して、公衆浴場において全裸となった原告の姿が盗撮された映像が納められていることを知った。なお、原告の姿が盗撮されたのは、平成14年10月ころから平成15年5月ころまでの間に、原告宅周辺にある公衆浴場でなされたものと推察されるが、撮影場所の詳細は明らかでない。 原告代理人のμ弁護士及びν弁護士は、同年3月14日付けで、被告Aに対し、本件DVD1の販売により原告に生じたプライバシー侵害又は名誉毀損に基づく損害1000万円の賠償を求めるとともに、本件DVD1をすべて回収・廃棄するよう求める旨の通知書を送付した。これに対し、被告A代理人のξ弁護士、ο弁護士及びπ弁護士は、同月23日付けで、原告代理人に対し、本件DVD1は被告Aが販売したものではなく、被告Cから販売委託を受けたにすぎないもので、また、被告Aは被告Cから委託を受けていた全商品を回収して被告Cに返還済みであるとして、原告の請求には応じられない旨の回答書を送付した。 (前記第2の1(2)の事実、甲1、2、7〔甲2、7は枝番号を含む。〕、8、26、27、証人R、原告本人) ケ Rは、平成18年6月12日、株式会社Pの「ρ」というインターネットサイト(甲4の1ないし3)において、公衆浴場において脱衣している原告の姿が盗撮された映像が載せられていた本件DVD2がレンタルされている事実を知り、その旨原告に伝えるとともに、DVDの現物(甲3)を入手し映像の内容を確認した。なお、原告の姿が盗撮されたのは、平成14年10月ころから平成15年5月ころまでの間に、原告が通っていた■■■■■にある公衆浴場であると推測される。 これを受けて、原告代理人のμ弁護士及びν弁護士は、同年9月25日付けで、被告Aに対し、本件DVD1及び2の販売により原告に生じたプライバシー侵害又は名誉毀損に基づく損害1000万円の賠償を求める旨の通知書を送付した。これに対し、被告A代理人のξ弁護士、ο弁護士及びπ弁護士は、同年10月10日付けで、原告代理人に対し、前記クと同様の理由により、原告の請求には応じられない旨の回答書を送付した。 (前記第2の1(2)の事実、甲3ないし5、11、12〔甲4、5、11は枝番号を含む。〕、26、27、証人R、原告本人) コ Rは、本件訴訟係属中の平成19年9月8日、全国盗撮犯罪被害対策室の顧問であるσから情報提供を受け、公衆浴場で全裸となった原告の姿が盗撮された本件DVD3の存在を知り、その旨原告に伝えた。なお、原告の姿が盗撮されたのは、平成14年10月ころから平成15年5月ころまでの間に、原告が通っていた■■■■■にある公衆浴場であると推測される。 (前記第2の1(2)の事実、甲14、15〔甲15は枝番号を含む。〕、26、27、乙39、証人R、原告本人) 2 争点(1)(被告らの責任原因及び損害発生との因果関係)について 本件各DVDは、公衆浴場における女性用脱衣室及び女性用浴場の内部並びに女性の脱衣風景や全裸の姿が撮影・編集された商業用DVDであり、原告の全裸姿が映された映像が含まれているところ、原告は、本件各DVDのいずれについても、その撮影・編集を承諾したことはなく、少なくとも原告の映像は盗撮されたものである(前記第2の1(2))から、かかる盗撮に基づく映像を使用し本件各DVDを制作して販売する行為は、原告の有する、他人に知られたくない私生活上の事実や情報をみだりに公表されない利益(プライバシー権)や、みだりに自己の容貌ないし姿態を撮影され、これを公表されない利益(肖像権)を侵害するものであって、原告に対する関係において不法行為を構成するものである(以下「本件不法行為」という。)。 そこで、以下、本件不法行為に係る被告らの責任原因及び損害発生との因果関係を、本件DVD1及び2と本件DVD3に区分けして検討する。 (1) 本件DVD1及び2について ア 被告C及び被告Dについて 本件DVD1及び2を実際に制作したのは、被告Cである(前記1(3)ア(ア))ところ、被告Cは、原告の承諾を得ることなく、その全裸姿を盗撮した映像を使用して本件DVD1及び2を制作したものであるから、民法709条に基づいて、本件不法行為に基づき原告に生じた損害を賠償すべき責任を負い、また、被告Cの代表者たる取締役である被告D(前記第2の1(1)ウ)は、その職務を行うについて悪意又は少なくとも重大な過失があるから、平成17年法律第87号による廃止前の有限会社法30条の3第1項(又は会社法429条1項)に基づいて、本件不法行為に基づき原告に生じた損害を賠償すべき責任を負うものというべきである。 イ 被告A及び被告Bについて (ア) 本件DVD1及び2に係る実際の制作者は、前記アのとおり、被告Cであって被告Aではない。 しかしながら、 @ 被告Aは、被告Cから、継続的商品売買契約に基づき本件DVD1及び2の納品を受け、これを被告Aの流通網を通じて販売していた(前記1(2)オ、(3)ア(ア))。 A 上記継続的商品売買契約においては、被告Cがメーカー、被告Aが問屋という取引関係にあったが、これは、被告Bの指示に基づき、被告Aが小売店に卸した商品に何らかの問題が起きた場合、メーカーである被告Cに責任を負わせ、被告Aに責任追及が及ばないようにするための形式を整えるものにすぎず、他方、作品の企画・内容等は、実際には被告Bが取り仕切っていたものであって(前記1(2)イ・オ、(3)ア(ウ))、本件DVD1及び2のパッケージに、被告Aが当該商品に係る著作権を保有していることを明示する本件ホログラムが貼付されている(前記1(3)ア(ア))のは、その表れであると考えられる。 B 本件DVD1及び2は、商品のタイトルや体裁からして、外観上、いわゆる「盗撮もの」であることが明らかである(前記第2の1(2))ところ、被告A及び被告Bは、本件DVD1及び2を初めとして被告Cが制作する「盗撮もの」の作品が、出演者の承諾のないものであることを認識しつつ、商品の売上増加を目してこれを認容していたため、被告Cに対して出演承諾書の提出を求めたことはなく、自らが作品の内容を確認したこともなかった(前記1(2)エ・オ)。 以上の事情を総合すると、被告Aは、本件DVD1及び2について、その全裸姿を盗撮した映像を使用することにつき原告の承諾を得ていないことを認識・認容しつつ、被告Cと共同してそれらの制作を行い、また販売を行ったものというべきであるから、民法709条に基づいて、本件不法行為に基づき原告に生じた損害を賠償すべき責任を負い、また、被告Aの代表取締役である被告B(前記第2の1(1)イ)は、その職務を行うについて悪意又は少なくとも重大な過失があるから、平成17年法律第87号による改正前の商法266条の3第1項(又は会社法429条1項)に基づいて、本件不法行為に基づき原告に生じた損害を賠償すべき責任を負うものというべきであり、上記は、被告C及び被告Dとの関係では、共同不法行為に基づく連帯責任を構成する。 (イ) なお、被告A及び被告Bは、被告Aにおいて、平成16年3月26日に被告Cとの継続的商品売買契約を解除した上、被告Aが関係取引先から返品を受けた商品を被告Cに返還しており、原告に損害が発生したのは、本件DVD1及び2の存在を知った平成18年のことであって、これは、被告Cが、他の流通業者に対して、本件DVD1及び2を含む被告Aから返還を受けた多数の商品を販売したことによるものであるから、被告Aによる販売行為と原告の損害発生との間には相当因果関係が存在しない旨主張する(前記第3の1(2)ア(イ))。この点、κないしλの各業者が被告Aの商品である旨を明示又は暗示するアソート広告をした時期と、被告Aから被告Cないし被告Dに対して商品の返還が行われた時期とは近接しており(前記1(4)エ・カ)、これに関係各証拠(乙29、30、32ないし34、36ないし38、41〔乙36、41は枝番号を含む。〕、50、51)を総合すると、原告が平成18年にその存在を覚知するに至った具体的対象としての本件DVD1及び2は、被告Cないし被告Dが、平成17年5月以降において被告Aから返還を受けた商品を、他の流通業者に再度販売したことによって流通され、原告の目に触れるに至ったものである可能性が高いことは事実である。 しかしながら、本件不法行為は、原告の有する、他人に知られたくない私生活上の事実や情報をみだりに公表されない利益(プライバシー権)や、みだりに自己の容貌ないし姿態を撮影され、これを公表されない利益(肖像権)を、盗撮に基づく映像を使用し本件各DVDを制作して販売することによって侵害するという態様のものであるから、本件DVD1及び2が発売され、一般人がこれを購入し視聴し得る状態になった平成15年3月(前記第2の1(2))の時点で、上記のプライバシー及び肖像権は侵害されており、したがって、原告が本件DVD1及び2の存在を知ったかどうかにかかわらず、本件不法行為に基づくプライバシー及び肖像権の侵害による損害はその時点で発生しているものというべきである(原告が損害を知ったことは、民法724条所定の不法行為による損害賠償請求権の消滅時効の起算点を意味するにすぎない。)から、被告A及び被告Bの上記主張は、そもそもその前提を欠くものである。 仮に、被告A及び被告Bの主張するように、本件DVD1及び2に係る本件不法行為に基づく原告の損害発生時が、本件DVD1及び2の存在を知った平成18年の時点に求められるとしても、以下のとおり、被告A及び被告Bは、本件DVD1及び2に係る本件不法行為に基づく原告の損害発生に対しての不法行為責任を免れるものではないというべきである。すなわち、被告Aが被告Cとの継続的商品売買契約を解除したのは、被告Cの代表者である被告Dが被告Aのライバル会社であるδとの間で継続的商品販売契約を締結してアダルトDVD作品を販売したことが、上記継続的商品売買契約公正証書11条所定の特約条項に違反することを理由とするものであり、出演者の承諾がないことなど被告Cが制作した商品の内容を問題とするものではなく(前記1(4)イ・ウ)、そのため、被告Aや被告Bは、関係取引先から返品を受けた商品を被告Dに返還するに際し、同人に対して、被告Aの名称の使用を禁止する旨求めたことはあったものの、被告Dらが商品を廃棄するのを確認したことはなかったし、被告Dに対して、商品の廃棄を確約するよう求めたり、商品の流通自体を禁止する旨述べたりすることもなかったなど、本件DVD1及び2を含む商品の再流通を防止するための具体的な防止措置を講じることはなかったのである(前記1(4)エ。なお、前記1(4)カ参照)。そうすると、被告A・被告C間の継続的商品売買契約が解消され、被告Aから被告Cないし被告Dに対して本件DVD1及び2を初めとする被告C制作に係る商品が返還されたとの事実は、本件不法行為(前記(ア)の被告A及び被告Bと被告C及び被告Dとの共同不法行為)と本件DVD1及び2の存在を知ったことによる原告の損害発生との間の相当因果関係を何ら切断しないものというべきである。 よって、被告A及び被告Bの上記主張を採用することはできない。 ウ 被告E及び被告Fについて (ア) 原告は、本件DVD2を実際に制作したのは被告Eである旨主張している(前記第3の1(1)ア(ウ))ところ、Iが被告A統括部長であるOに宛てて作成した「DVD予定表」(丙3)に、本件DVD2に係る請求先が被告Eと記載されていること(前記1(3)ア(ウ))は、上記原告の主張を裏付けるものであるかのようである。 しかしながら、@ 前記アのとおり、本件DVD2の実際の制作者は被告Cであると認められること、A 同様の「DVD予定表」(丙2)には、本件DVD1に係る請求先として、本件DVD1の実際の制作者である被告Cではなく、Nと記載されている(前記1(3)ア(ウ))ところ、Nは、コンサルタント業を営む会社であって、被告Bの指示により、被告Aないし被告Cのため取引上の名義貸しをしていたこと(前記1(2)イ)に照らせば、上記「DVD予定表」において、本件DVD1に係る請求先がN、本件DVD2に係る請求先が被告Eと記載されているのは、実際の制作者を反映しないものである可能性が高いものといわねばならない。そして、本件DVD2に係る実際の制作者が被告Eであることを的確に認め得る証拠は他に存在しないことに照らすと、原告の上記主張は採用することができないものというべきである。 (イ) なお、被告Eが被告Aと相当密接な関係にあったことは事実である(前記1(1)エ、(2)ウ)が、そのことのみでは、被告Eが、本件DVD1及び2の制作及び販売に関し、被告Aと同様の責任を負うものと認めるに足りない。 (ウ) よって、被告E及び被告Fは、本件DVD1及び2の制作及び販売に関し、本件不法行為に基づく損害賠償責任を負うものとは認められない。 (2) 本件DVD3について ア Lについて 本件DVD3を実際に制作したのは、JないしLである(前記1(3)イ)ところ、同人は、原告の承諾を得ることなく、その全裸姿を盗撮した映像を使用して本件DVD3を制作したものであるから、民法709条に基づいて、本件不法行為に基づき原告に生じた損害を賠償すべき責任を負うものというべきであるが、証拠(証人R、証人L、原告本人)によれば、原告とLの間においては、平成19年の終わりころ、本件について、Lが原告に対し、和解金を支払うとともに、Lが制作等に関与したDVD作品を回収し、原告に情報提供することなどを内容とする、訴訟外での和解が成立していることが認められる。 イ 被告A及び被告Bについて (ア) 本件DVD3に係る実際の制作者は、前記アのとおり、JないしLであって被告Aではない。 しかしながら、 @ 被告Aは、JないしLから、継続的商品売買契約に基づき本件DVD3の納品を受け、これを被告Aの流通網を通じて販売していた(前記1(2)オ、(3)イ)。 A 上記継続的商品売買契約においては、JないしLがメーカー、被告Aが問屋という取引関係にあったが、これは、被告Bの指示に基づき、被告Aが小売店に卸した商品に何らかの問題が起きた場合、メーカーであるJないしLに責任を負わせ、被告Aに責任追及が及ばないようにするための形式を整えるものにすぎず、他方、作品の企画・内容等は、実際には被告Bが取り仕切っていたものであった(前記1(2)イ・オ、(3)イ)。 B 本件DVD3は、商品のタイトルや体裁からして、外観上、いわゆる「盗撮もの」であることが容易にうかがえるものである(前記第2の1(2))ところ、被告A及び被告Bは、本件DVD3を初めとしてJないしLが制作する「盗撮もの」の作品が、出演者の承諾のないものであることを認識しつつ、商品の売上増加を目してこれを認容していたため、JないしLに対して出演承諾書の提出を求めたことはなく、自らが作品の内容を確認したこともなかった(前記1(2)エ・オ)。 以上の事情を総合すると、被告Aは、本件DVD3について、その全裸姿を盗撮した映像を使用することにつき原告の承諾を得ていないことを認識・認容しつつ、少なくともそれらの販売を行ったものというべきであるから、民法709条に基づいて、本件不法行為に基づき原告に生じた損害を賠償すべき責任を負い、また、被告Aの代表取締役である被告B(前記第2の1(1)イ)は、その職務を行うについて悪意又は少なくとも重大な過失があるから、平成17年法律第87号による改正前の商法266条の3第1項(又は会社法429条1項)に基づいて、本件不法行為に基づき原告に生じた損害を賠償すべき責任を負うものというべきである。 (イ) なお、被告A及び被告Bは、被告Aにおいて、平成16年11月3日にJないしLとの継続的商品売買契約を解除し、それ以後は、本件DVD3を初めとするJないしLが制作した商品を取り扱っていないことを理由に、被告Aによる販売行為と原告の損害発生との間には相当因果関係が存在しない旨主張する(前記第3の1(2)イ(イ))が、前記(1)イ(イ)に述べたのと同旨の理由により、その主張を採用することはできない。 (3) 以上によれば、争点(1)に関する原告の主張は、被告A、被告B、被告C及び被告Dに関する部分は理由があるが、被告E及び被告Fに関する部分は理由がない。 3 争点(2)(原告の損害額)について (1) 慰謝料について 本件各DVDは、公衆浴場における女性用脱衣室及び女性用浴場の内部並びに女性の脱衣風景や全裸姿が撮影・編集されたものであり、その中に納められている原告の全裸姿は盗撮されたものであったところ、本件各DVDは商業用DVDとして相当数が制作・販売され、インターネットで商品の広告がされるなど、不特定多数の第三者が容易にそれらの存在及び内容を覚知し得る状態に置かれている(前記第2の1(2)、第4の1(3)、(4)クないしコ)。原告は、本件各DVDの存在を知るに及び、外出の際には自らが第三者から好奇の目で見られているのではないかなどと感じてストレスを高じるようになり、そのため、家事や子育てに支障を生じ、平成18年4月ころにはリストカットをするにまで至ったこともある(甲9、27、原告本人により認める。)など、本件不法行為によって多大な精神的苦痛を被っている。 他方、被告A、被告B、被告C及び被告Dは、本件各DVD(ただし、被告C及び被告Dは本件DVD1及び2について)が、出演者の承諾のない盗撮に係るものであることを認識しつつ、商品の売上増加を目しこれを認容して、商業目的でこれらの制作及び販売行為を行い多大な利益を得ていたものであり(前記1(3)、2)、その違法性は極めて大きい。 以上のほか、前記1ないし3にみた諸般の事情を総合考慮すると、原告の上記精神的苦痛を慰謝するには、本件DVD1及び2に係る本件不法行為につき400万円、本件DVD3に係る本件不法行為につき200万円をそれぞれ相当と認める。 (2) 弁護士費用について 原告が本件訴訟の提起及び追行を弁護士に委任していることは当裁判所に顕著な事実であるところ、本件事案の内容、審理経過、立証活動の難易、その他弁論に顕れた諸般の事情を考慮すると、原告が本件訴訟の追行に要した弁護士費用のうち、本件不法行為と相当因果関係のある損害は、本件DVD1及び2に係る本件不法行為につき40万円、本件DVD3に係る本件不法行為につき20万円をそれぞれ相当と認める。 第5 結論 1 以上によれば、原告の請求は、 (1) 本件DVD1及び2に係る本件不法行為について、 ア 被告A、被告B、被告C及び被告Dに対する関係では、連帯して440万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告A及び被告Bについては平成18年12月28日、被告C及び被告Dについては同月29日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度でいずれも理由があるから認容し、その余はいずれも理由がないから棄却する。 イ 被告E及び被告Fに対する関係では、いずれも理由がないから棄却する。 (2) 本件DVD3に係る本件不法行為について、被告A及び被告Bに対する関係では、連帯して220万円及びこれに対する訴えの追加的変更申立書送達の日(平成19年11月20日)の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度でいずれも理由があるから認容し、その余はいずれも理由がないから棄却する。 2 訴訟費用の負担については、民事訴訟法64条本文、65条1項ただし書、61条を適用する。 3 仮執行の宣言については、民事訴訟法259条1項を適用する。 4 よって、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第13民事部 裁判官 府内覚 (別紙)DVD目録 1 タイトル ■■■■■ 品番 ■■■■■ 販売定価 1万2000円(税別) 映像時間 180分 名義 企画・制作/G 発売日 平成15年2月■■日 2 タイトル ■■■■■ 品番 ■■■■■ 販売定価 8000円(税別) 映像時間 60分 名義 企画・制作/H 発売日 平成15年3月■■日 3 タイトル■■■■■ 品番 ■■■■■ 販売定価 1万円(税別) 映像時間 60分 名義 企画・制作・著作β 発売日 平成15年11月■■日 |
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