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【事件名】“Make People Happy”類似キャッチフレーズ事件
【年月日】平成20年11月6日
 東京地裁 平成20年(ワ)第13918号 不正競争行為差止請求事件
 (口頭弁論終結日 平成20年9月11日)

判決
原告 B−R サーティワン アイスクリーム株式会社
同訴訟代理人弁護士 澤井憲子
同 藤川圭子
被告 コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン株式会社
同訴訟代理人弁護士 松田政行
同 山元裕子
同 小野寺良文
同 吉利果慧
同補佐人弁理士 豊山おぎ


主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 被告は、その広告宣伝活動及びホームページに別紙被告文言目録記載1ないし5の「Make People Happy.」との表示を使用してはならない。
第2 事案の概要
 本件は、原告が、これまで長年にわたって使用してきた別紙原告文言目録記載1ないし10の「We make people happy.」との文言が周知の営業表示であり、被告が広告宣伝やホームページで使用している別紙被告文言目録記載1ないし5の「Make People Happy.」などとの文言が上記原告の表示と極めて類似しており、営業の誤認混同を生じさせるおそれがある、と主張して、不正競争防止法(以下「法」という。)2条1項1号、3条1項に基づき、被告に対し、被告の上記文言の使用の差止めを求める事案である。
1 前提となる事実
(1)当事者
 原告は、「(1)アイスクリーム製品およびこれに付随する製品の製造、輸出入および販売ならびに前記製品の製造、輸出入および販売に関するライセンスの許諾(2)ヨーグルト製品の製造、輸出入および販売ならびに前記製品の製造、輸出入および販売に関するライセンスの許諾(3)菓子類、パン類、清涼飲料の製造、輸出入および販売ならびに前記製品の製造、輸出入および販売に関するライセンスの許諾(4)前各号の製品の販売に関するフランチャイズ事業の運営、加盟店の募集および経営指導ならびに管理(5)喫茶および飲食店の経営(6)前各号に付帯関連する一切の業務」を目的とする株式会社であり、昭和48年12月に設立され、全都道府県でアイスクリームの販売をしている。(弁論の全趣旨)
 被告は、「1.アイスクリーム等乳製品、清涼飲料水、コーヒー、パン、菓子類等製品の製造、輸入、販売及び店舗経営2.衣料用繊維製品、紙製容器、文具、玩具、人形、ぬいぐるみ、バッグ、袋物、日用品雑貨、装身具、キーホルダー、ポストカード等の商品の輸入及び販売3.フランチャイズチェーンシステムによるアイスクリームショップの経営ならびに製品の供給及び経営指導4.前各号に附帯関連する一切の業務」を目的として平成17年5月に設立された株式会社であり、関東、東海及び九州地方でアイスクリームの販売をしている。(争いのない事実、弁論の全趣旨)
(2)原告の使用文言
 原告は、ホームページ、配布物、広告宣伝等において、別紙原告文言目録記載1ないし10の文言(これらを総称して、以下、「We make people happy(.)」の文言を「原告文言」という。)を使用している。(甲1の1、甲2の1〜甲9の11、甲12の1〜甲24の10、弁論の全趣旨)
(3)被告の行為
 被告は、@被告ホームページのトップページのスライド画面の最終表示画面、「会社概要」のページの冒頭部分及びこれに添付しているPDFファイル、「採用情報」のページ、「私たちの理念」のページ、「クルー採用」のページ、「マネージャー採用」のページ、「本社採用」のページ、「新卒採用」のページ、「素顔のCold Stone」の「Our Voice」のページ、「ホットニュース」の平成20年4月3日、同年3月26日及び平成19年10月1日のページ、A「ぐるなび」の「コールド・ストーン・クリーマリー横浜ランドマークタワー店」のウェブページ、B「レッツエンジョイ東京」の上記横浜ランドマークタワー店のウェブページ、C「AOL Career」の「話題の職場探検ルポ」のウェブページ、D「月刊食堂」平成19年5月号のインタビュー記事において、別紙被告文言目録1ないし5記載の文言(これらを総称して、以下、「Make People Happy(.)」の文言を「被告文言」という。)を使用している。(争いのない事実、甲10の1〜甲11の2・4・7、弁論の全趣旨)
2 争点
(1)原告文言の商品等表示性
(2)原告文言の周知性
(3)原告文言と被告文言との類似性
(4)原告と被告との営業の誤認混同の有無
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点(1)〔原告文言の商品等表示性〕について
〔原告の主張〕
 原告文言は、法2条1項1号にいう「商品等表示」に該当する。
(1)原告文言の由来
 原告文言は、原告の設立以来のモットーであり、米国バスキン・ロビンズ社(以下「米国B−R社」という。)がこれを営業で使用していたことに由来する。原告は、米国B−R社のアイスクリームを日本に紹介して営業を展開するに当たり、米国B−R社が営業で使用していた原告文言を原告の営業でも使用することにした。以来、原告は、現在に至るまで、「アイスクリームを通じてお客さまに幸せをお届けする」という思いを込めて、原告文言を使用し続けている。
(2)原告文言の使用その1−主な態様−
 原告は、次のとおりの態様で原告文言を使用している。
ア 原告は、第1号店の目黒店以来、すべての店舗において、原告文言を使用している。
 原告の店舗では、カラフルなイラストと共に原告文言の記載されたプラスチック製の「セールスビルダーボード」と呼ばれる板が店舗外側のガラス壁面や店舗内のメニューカウンター正面壁などの来店したすべての顧客が目にする場所に掲げられている。
 現在、原告の全店舗で使用されている「統一ポスター」には、原告文言が大きく印刷されており、これが店舗内の目立つ場所に掲示されている。
イ 原告は、店舗内のレジ前、カウンター等に置かれて顧客が自由に取ることのできる「メニューリスト」に常に原告文言を印刷している。例えば、平成20年3・4・5月版のメニューリストでは、社名、会社所在地、電話番号を記載した裏表紙ページの上段に最も大きなフォントで原告文言を印刷している。
ウ 原告は、テレビCMの中で原告文言を使用しており、平成19年テレビCM「魔法編」では、CMの最後の画面の中央で、原告の会社名の上に、原告文言が映し出されている。
エ 原告は、フランチャイジー募集に関する雑誌広告において、継続して冒頭に原告文言を掲げている。
オ 原告は、原告のホームページの中で、原告文言を使用している。平成20年5月現在では、すべてのページの上部に、原告文言が記された画像が表示されるようにデザインされている。
カ 原告は、会社案内、フランチャイジー向けパンフレット、プロモーション告知、フランチャイズ契約の説明資料において、それらの冒頭に原告文言を記載している。
キ 原告は、その使用する社内封筒の裏側上部に、ピンク色の目立つ文字で原告文言を印刷している。
(3)原告文言の使用その2−年代と変遷等−
 原告は、会社設立以来、次のとおり、原告文言を継続的に使用している。
ア 1970年代(昭和48年〜)
(ア)原告は、昭和48年12月に設立され、それ以降、全国に展開するすべての店舗の目立つ場所に原告文言を表示したセールスビルダーボードを掲げ、原告文言を需要者にアピールしている。
(イ)原告は、昭和51年ころから昭和55年2月まで、店舗を新規開店する際、アイスクリームの写真と共に原告文言が中央に表記された宣伝チラシを顧客に配布していた。
(ウ)原告は、昭和54年、関東地区では東京放送、テレビ朝日、東京12チャンネルの3局、関西地区では関西テレビ、毎日放送の2局でテレビCMを放映し、セールスビルダーボードと同じカラフルな絵柄と共に原告文言を表示した。
イ 1980年代(昭和55年〜)
(ア)原告は、店舗において、引き続き原告文言の表示されたセールスビルダーボードを使用している。
(イ)昭和60年、雑誌「ブレーン」において、原告の役員のインタビュー記事が掲載され、記事の内容と表題の一部に原告文言が使用された。
 昭和62年、雑誌「an・an」において、米国B−R社の名誉顧問のインタビュー記事が掲載され、創業精神として原告文言が語られ、記事の中で用いられている。
ウ 1990年代(平成2年〜)
(ア)原告は、平成2年以降も、店舗において、引き続き原告文言の表示されたセールスビルダーボードを使用している。
(イ)原告は、平成4年4月、読売新聞社主催の「第6回ユーモア広告大賞」における作品募集企業として参加し、その紙面において、原告のモットーが原告文言であることを明らかにしている。
(ウ)原告は、平成7年以降、使用する年賀状には、毎年欠かさず、原告文言を印刷して、原告文言が営業にかかわるものであることを対外的にアピールしている。
エ 2000年以降(平成12年〜)
(ア)原告は、店舗において、引き続き原告文言の表示されたセールスビルダーボードを使用している。平成17年以降は、デザインを一新し、すべての店舗において、原告文言が大きく表示された「統一ポスター」を目立つ場所に掲げている。また、同年以降、すべての店舗の入口ドアの人の目の高さの位置に、濃いピンクの文字で原告文言を記載したステッカーを貼っており、来店した顧客に対し、原告文言が原告の営業を表すものであることを印象付けている。
(イ)平成18年、フジテレビの番組「企業最前線」に原告の社長が出演した。その中で、番組冒頭の会社受付のシーン、インタビューを受ける社長の背後のシーンにそれぞれ原告文言が記載された特大のポスターが映って、原告文言を印象付け、また、番組の最後で、社長自身が会社のモットーとして原告文言を述べてメッセージを発し、原告文言をアピールした。
(ウ)原告は、平成18年3月から今日まで、メニューリストにおいて、常に裏表紙に大きな文字で原告文言を印刷して店舗に備え置き、来店した顧客に表示している。このメニューリストは、平成18年3・4・5月版以降、合計で4700万部印刷され、顧客に配布されている。
(4)商品等表示該当性
 原告は、会社の設立された昭和48年以来、約35年にわたって、原告文言をすべての店舗の営業において使用し、広告宣伝や広報のあらゆる機会で目立つ箇所に掲げてきた。こうした原告文言の使用は、単に社内的なモットーというにとどまらず、社外に対しても原告の個性を明確化し、印象付けることを意図したものである。
 すなわち、原告文言は、顧客に営業が原告によるものであるとの出所を表示し、他の業者と識別させる機能を有しているから、営業表示として、商品等表示性を充たしている。
 そもそも、法2条1項1号に規定する「氏名、商号、商標、標章」等はあくまで商品等表示の例示であり、特定の営業主体の営業であることを示す一切の表示は、同号の「その他の」「営業を表示するもの」として保護される。このことは、それが企業のモットーやスローガンであっても例外ではない。
 そして、原告文言のように、容易な英語の組合せであっても、原告の営業表示としての自他識別力、特別顕著性は否定されない。たとえ、表示自体は単純なものであったとしても、それが特定の者によって長年使用されることにより、その者の営業を表示するものとして、使用による特別顕著性を生ずる。スローガンやモットーは、少ない語数で簡潔に伝えたいことを伝えるために生み出されたものであって、語数が少なく、言葉が容易であることが特徴である。原告文言は、原告によって約35年にわたって使用され、原告の営業を表示するものとして、需要者に広く浸透しているものであり、特別顕著性が生じている。
 また、食品関連の企業において、原告文言と同じモットーを掲げている会社はなく、原告と同じアイスクリーム業界内で、なぜ原告文言と酷似する被告文言を使用する必要があるのか不明である。原告では、昭和48年の営業開始以来、アメリカ人のように楽しくアイスクリームを食べてもらうことをビジネスコンセプトとしており、アイスクリームの種類、ネーミング、キャッチコピー、使用キャラクターを通じて、需要者にこのような営業方針をアピールするのが原告文言である。被告において、同業者の原告の使用するこのような原告文言のモットーを知らないはずがない。
 さらに、「サーティワンアイスクリーム(31アイスクリーム)」、「バスキン・ロビンズ」という原告の有する商標が原告の店舗の内外で長年にわたって使用され、原告の表示として需要者に認識されていることは、当然のことであり、原告文言と同じ店舗内、店舗外で使用されているからといって、原告文言の自他識別力がなくなるものではない。
 したがって、原告文言は、原告において、長年にわたって広く継続的に使用されてきたことにより、需要者の間でその営業が原告によるものであることを認識させ、他の業者と識別させる機能を有する表示、すなわち、自他識別力を有する営業表示として定着している。
〔被告の主張〕
 原告文言は、法2条1項1号にいう「商品等表示」に該当しない。
(1)ありふれた短い標語、キャッチフレーズ
 原告文言は、「We make people happy(.)」(「私達は人々を幸せにする。」)というものであって、いわゆる標語、キャッチフレーズの類であり、原則として、特別顕著性がなく、自他識別力がない。もっとも、理屈の上では、使用によってセカンダリー・ミーニング(第二次的意味)を持つに至り、特別顕著性を取得する場合もないとはいえない。しかしながら、原告文言のみに離隔的に接したときにも、需要者において原告の営業を想起する、といった極めて例外的な事情が立証されない限り、原告文言の商品等表示性が認められる余地はなく、本件において、そのような事情はない。
 原告文言は、わずか4語の極めて短いありふれた表現にすぎない。これはサービスの提供によって顧客を満足させるという程度の意味であり、サービス業を営む者なら誰でもモットーとしている当然の理念であるから、その意味内容も極めてありふれた特徴のないものである。このようなありふれた標語、キャッチフレーズは、何人に対しても自由利用が保障されるべきであり、特定の者に独占的に利用させることが公正な取引上不当であることは明らかである。
 なお、原告文言は、英語であるものの、用いられている英単語は中学1年で習う「We」「make」「people」「happy」の4語であって、その構文も中学2年生レベルの「主語+make+目的語+形容詞(SVOC)」であり、極めて初歩的なものであるから、通常の日本語と同様に認識することができるのであり、英語であることによって、特別な識別力を有することはない。
(2)原告による登録商標の使用
 原告は、登録商標として、「サーティワンアイスクリーム(31アイスクリーム)」(数字を伴った図形商標)及び「バスキンロビンズ(Baskin Robbins)」(これらの商標を、以下「原告商標」という。)を有しており、これらはまさに自他商品を識別する特別顕著性の認められる表示である。
 原告文言は、常に、原告商標と併用されており、しかも、原告の店舗では、原告商標の方が原告文言より圧倒的に大きく目立つ形で表示されている。このように、需要者は、原告文言の実際の使用態様からして、原告文言ではなく、原告商標によって原告の営業を識別していることが明らかであり、原告文言について、たとえこれが継続して使用されたとしても、特別顕著性を獲得することはあり得ない。
(3)原告文言の使用の程度
 原告は、会社設立以来、社外に対して原告の個性を明確化し、印象付けることを意図して原告文言を使用してきたことから、原告文言が識別力を有するに至ったと主張する。
 しかしながら、通常の標語やキャッチフレーズの使用の域を超えて、アイスクリームの需要者において原告文言が周知となっていることの的確な立証はされておらず、原告文言が使用された規模(店舗数等)、期間その他の使用態様は不明である。
 原告文言の使用の程度からしても、原告文言のような標語、キャッチフレーズが極めて例外的に特別顕著性を獲得することはあり得ない。
2 争点(2)〔原告文言の周知性〕について
〔原告の主張〕
 原告文言は、原告の営業表示として周知性を獲得している。
(1)原告には、設立以来、約35年にわたる長い歴史があり、展開する店舗数も極めて多く、アイスクリーム専門店としての営業形態では、日本で最大規模である。すなわち、平成19年12月時点において、全都道府県に合計882店の店舗を展開し、同年度の売上高が約141億円にのぼり、全店舗における売上回数及び売上商品数は、集計の始まった平成14年以降、増加の一途をたどり、平成19年には、年間売上回数が約4700万回、年間売上商品数が約1億1200万個に至っている。売上回数は、1つのグループで何人来店しても会計ごとに1回と計算されるから、実際には、はるかに多くの人数の来店者があるのであって、このように多数の顧客が原告の店舗に掲示された原告文言を目にするのであるから、原告文言の周知性は極めて高いといえる。
 そして、原告は、会社設立以来約35年の長きにわたって原告文言を使用しているのであって、周知性を獲得するに十分な期間が経過しており、加えて、店舗内での掲示等のほか、テレビ、新聞、雑誌といったマスコミを通じて、長期間にわたって定期的に広告宣伝等を行ってきた。
 なお、原告には、日々、需要者から、原告の経営や店舗における店員の対応等に関する意見がメールによって届けられており、その文中に原告文言を引用した記載が多く寄せられている。
(2)このようにして、原告が長年にわたって広範な分野で目立つ形で原告文言を使用してきたことにより、原告文言は、フランチャイジーのみならず、アイスクリームの需要者にとって、原告の営業表示として、広く浸透している。
〔被告の主張〕
 原告文言は、原告の営業表示でなく、周知性も獲得していない。
 すなわち、原告文言は、前記1〔被告の主張〕のとおり、原告の営業を示すものとして自他識別能力を有していないから、このような自他識別能力すら有していない表示が需要者の間で原告の営業を表すものとして周知となっていることはあり得ない。
3 争点(3)〔原告文言と被告文言との類似性〕について
〔原告の主張〕
 被告文言は、被告の営業表示であり、原告文言と極めて類似している。
(1)被告文言の使用等
 被告は、被告文言を次のとおり使用している。
ア ホームページ
 トップページのスライド画面の最終表示画面、「会社概要」のページの冒頭部分及びこれに添付しているPDFファイル、「採用情報」のページ、「私たちの理念」のページ、「クルー採用」のページ、「マネージャー採用」のページ、「本社採用」のページ、「新卒採用」のページ、「素顔のCold Stone」のページ、「ホットニュース」の平成20年4月3日、同年3月26日及び平成19年10月1日のページ
イ 広告宣伝等
(ア)グルメサイト(飲食店紹介サイト)
 「ぐるなび」等のサイト
(イ)求人サイト
 「フロム・エーナビ」、「AOLキャリア」等のサイト
(ウ)雑誌記事
 「月刊食堂」平成19年5月号のインタビュー記事
 被告は、このように、被告文言を被告の営業を表す表示としてホームページで目立つように掲げるなどして対外的にも使用し、顧客に訴求する広告宣伝上の効果を意図しているから、競争相手となる他の事業者から自身を際立たせる目的で被告文言を使用している。
 したがって、被告による被告文言の使用は、自他識別、出所表示の目的をもった被告の営業表示としての使用である。
(2)類似性
 被告文言は、原告文言から「We」を除いただけであり、また、原告文言に接した者が最も印象を受ける部分は、外観、観念又は称呼のいずれにおいても、「make people happy」の箇所である。
 したがって、原告文言と被告文言とが極めて類似していることは明らかである。
〔被告の主張〕
 被告文言は、被告の営業表示ではなく、また、原告文言とも類似していない。
(1)被告は、被告文言を企業の理念を示す標語、キャッチフレーズとして使用しているにすぎず、このような被告文言が独立した識別力を有することはない。また、被告は、被告文言を単独では使用しておらず、常に、商号であり登録商標である「COLD STONE CREAMERY」又は「コールド・ストーン・クリーマリー」と同時に使用している。
 したがって、被告文言も、原告文言と同様、商品等表示に該当しない。
(2)原告文言も被告文言も、わずか3語ないし4語からなる短いありふれた表現にすぎないから、独占の弊害を考慮するならば、仮に、標語やキャッチフレーズに商品等表示性の認められる例外的な場合であっても、その保護範囲は非常に狭いと考えるべきである。そして、原告文言と被告文言をそれぞれ構成する個々の単語は、いずれも一般的なものであって、それ自体による特別顕著性や識別力に欠けるから、原告文言と被告文言の要部は、それぞれ、「We make people happy」であり、「Make People Happy」であると考えられる。
ア 外観
 原告文言は、被告文言と異なり、「We」が付加されており、原告文言の要部が4単語であるのに対し、 被告文言の要部は3語である。また、原告文言の単語は、「make」「people」「happy」といずれも小文字から始まっているのに対し、被告文言の単語は、「Make」「People」「Happy」といずれも大文字から始まっている。
 さらに、原告文言と被告文言の実際のタイプフェイスは、別紙原告文言目録記載1ないし10と別紙被告文言目録記載1ないし5のとおりであり、需要者に与える印象は著しく異なっている。
イ 称呼
 原告文言は、「ウィー メイク ピープル ハッピー」の称呼を生ずるのに対し、被告文言は、「メイク ピープル ハッピー」の称呼を生ずる。両者は、語頭に「ウィー」の音があることによって明瞭に区別され、全体の音数も異なる。
ウ 観念
 原告文言は、「私達は人々を幸せにする」という観念を生ずるのに対し、被告文言は、「人々を幸せにする」という観念を生ずる。両者を対比すると、「私達」の主語の有無によって、印象が異なる。
 したがって、原告文言と被告文言とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しないものというべきである。
4 争点(4)〔原告と被告との営業の誤認混同の有無〕について
〔原告の主張〕
 被告による被告文言の使用は、原告の営業と被告の営業との誤認混同を生じさせる。
(1)原告と被告との営業の類似
 原告は、30種類以上のフレーバーのアイスクリームを常時取りそろえ、その種類については、毎月1品の新商品に加え、季節毎に年4回変更している。原告のアイスクリームには、フルーツ、ナッツ、チョコレート、マシュマロ等が入っているものもある。アイスクリームは、大きなタブ(容器)に入って店頭に並んでおり、顧客は、好きなアイスクリームを選び、紙の容器又はコーンに入れてもらい、その場で食べることも、持ち帰ることもできる。
 他方、被告は、冷やした石板(コールドストーン)の上に、顧客の好みのアイスクリームを載せ、顧客の好みのミックスインと称するフルーツ、ナッツ、チョコレート等を混ぜ合わせて、紙の容器、ワッフルボール又はワッフルコーンに入れて顧客に供するものである。アイスクリーム本体の種類は、被告のホームページに掲載されたもので10種類であり、「コールドストーンクリエーション」というミックスインを混ぜた定番メニューは27種類ある。
 このように、石板で混ぜ合わせた後の被告のアイスクリームは、カラフルであり、定番メニューの商品名も片仮名で書かれ、ナッツやチョコレートが混ぜ合わさった点も原告のアイスクリームと一見したところで類似しており、その場で食べることが出来る点など、原告と被告の商品やその供給形態は、非常に似ている。また、原告も被告も、共に、米国でアイスクリーム店舗を展開する会社からライセンスを受け、米国と同様の販売スタイルに従っている。
 したがって、原告の営業と被告の営業とは類似している。
(2)需要者に対する混同の惹起
 「他人の商品又は営業と混同を生じさせる」(法2条1項1号)とは、一般人が他人の営業であると思い誤る危険を生じさせることであり、現実に混同を生じている場合だけでなく、混同のおそれがある場合、すなわち、その危険性が具体化しているような場合も含まれる。
 原告は、日本国内で長期にわたって大規模な営業を行い、この間、原告文言の使用を継続してきたから、アイスクリームを購入する需要者にとって、原告文言が原告の営業を表すものとして浸透している。
 被告において、原告文言とほぼ同一の被告文言を掲げて、原告と類似した営業を行えば、需要者がこれを原告の営業と思い誤る危険を生じさせる。つまり、顧客としては、同業者が先行の企業とほぼ同一の文字、フレーズを営業で使用することはないと考えるのが常識的な発想であり、被告があえて原告文言と類似した被告文言を使用している以上、これを見て、被告の営業は原告自身の営業であるか、原告と系列関係その他密接な関係を有した営業であると混同するおそれが十分にある。
 したがって、被告による被告文言の使用は、被告の営業が原告のものであるとの混同を生じさせるものである。
〔被告の主張〕
 被告による被告文言の使用は、原告の営業と被告の営業との誤認混同を生じさせるものではない。
 すなわち、原告文言も被告文言も自他識別力がないから、被告が被告文言をいくら使用しようとも、需要者が原告の営業と被告の営業を混同することはあり得ない。そして、原告も被告も、原告文言又は被告文言を常にそれぞれの登録商標と同時に使用しているから、この点からしても、需要者において原告の営業と被告の営業との誤認混同を生じることはない。
第4 当裁判所の判断
1 争点(1)〔原告文言の商品等表示性〕について
(1)前記第2の1前提となる事実に、証拠(甲1の1〜甲9の11、甲12の1〜甲25、乙3の1・2)及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。
ア 原告は、アイスクリームの製造、輸入及び販売並びにフランチャイズ方式によるアイスクリーム販売店の展開及び経営指導を営んでおり、昭和49年4月に目黒に1号店を出店して以来、店舗の全国展開を進め、フランチャイズ店と直営店を合計した店舗数が昭和58年に200店舗、平成15年に500店舗に達し、平成19年12月時点で882店舗となっており、平成19年度の売上高が約141億円に及ぶ。
イ 原告は、米国B−R社からアイスクリーム製造のノウハウのライセンスを受けてアイスクリームを製造し、製造したアイスクリームを主としてフランチャイズ店に販売し、フランチャイズ店は、原告からアイスクリームを購入し、原告が米国B−R社から使用許諾を受けた登録商標を利用して、各店舗でアイスクリームを販売している。
 原告が許諾を受けフランチャイズ店等が使用する米国B−R社の上記登録商標として、次の商標がある。
(ア)商標登録第1567271号
 〔商願昭50−16295・出願公告昭56−33662〕
 (商標イメージ略)
(イ)商標登録第第2671776号
 〔商願平4−35088・出願公告平5−81174〕
 (商標イメージ略)
ウ 原告は、米国B−R社のアイスクリームを日本に紹介して営業を展開するに当たり、米国B−R社が営業で使用していた「We make people happy(.)」(原告文言)を原告の営業でも使用することとし、この原告文言は、原告の設立以来のモットーとなっている。
エ 原告における一般消費者に向けた原告文言の使用の状況は、次のとおりである。
(ア)セールスビルダーボード(甲2の1)
 原告は、イラストと共に原告文言の記載された「セールスビルダーボード」を次のとおり店舗に掲げている(写真撮影日時/店舗/掲示場所)。
a 昭和49年/目黒店/店舗ガラス壁面及びカウンター内壁面(甲2の2・3)
b 昭和49年6月/渋谷店/カウンター内壁面(甲3の2)
c 昭和51年/藤沢店/カウンター内壁面(甲3の1)
d 昭和49年12月24日/新宿三越店/カウンター内壁面(甲12の1)
e 昭和52年4月10日/下北沢店/カウンター内壁面(甲12の2)
f 昭和52年9月28日/今出川店(京都)/店内左手壁面(甲12の3)
g 昭和53年11月22日/藤沢さいか屋店/カウンター内壁面(甲12の4)
h 昭和56年12月5日/豊中店/店内左手壁面(甲15の1)
i 昭和57円4月15日/仙台ams西武店/カウンター内壁面(甲15の2)
j 昭和58年5月27日/黒崎店/カウンター内壁面(甲15の3)
k 昭和59年3月30日/聖蹟桜ヶ丘店/カウンター内壁面(甲15の4)
l 昭和60年4月19日/渋谷公園通り店/カウンター内壁面(甲15の5)
m 昭和63年1月14日/新下関ロードサイド店/店舗ガラス壁面(甲15の6)
n 昭和63年5月1日/姫路駅フェスタ店/カウンター内壁面(甲15の7)
o 平成元年10月8日/津山河辺ロードサイド店/カウンター内壁面(甲15の8)
p 平成2年4月14日/八代店/カウンター内壁面(甲18の1)
q 平成8年5月21日/渋谷店/カウンター内壁面(甲18の2)
r 平成9年3月20日/ザモール春日店/カウンター内壁面(甲18の3)
(イ)メニューリスト
 原告は、次の版の顧客配布用メニューリストの裏表紙に原告文言を記載している。
a 平成18年3・4・5月版(甲24の1)
b 平成18年6・7・8月版(甲24の2)
c 平成18年9・10・11月版(甲24の3)
d 平成18年12月・平成19年1・2月版(甲24の4)
e 平成19年1・2月版(甲24の5)
f 平成19年3・4・5月版(甲24の6)
g 平成19年6・7・8月版(甲24の7)
h 平成19年9・10・11月版(甲24の8)
i 平成19年12月・平成20年1・2月版(甲24の9)
j 平成20年3・4・5月版(甲5)
k 平成20年6・7・8月版(甲24の10)
(ウ)統一ポスター(甲4)
 原告は、アイスクリームと笑顔の写真と共に原告文言の記載された「統一ポスター」を次のとおり店舗に掲げている(写真撮影日時/店舗/掲示場所)。
a 平成18年4月21日/イオンスーパーセンター鉤取店/カウンター内壁面(甲21の1)
b 平成19年2月21日/イオンスーパーセンター一関店/店内右手壁面(甲21の2)
c 平成20年6月19日/ゆめタウン出雲店/カウンター内壁面(甲21の3)
(エ)ステッカー(甲22の1)
 原告は、原告文言の記載されたステッカーを次のとおり店舗入口ドアに貼付している(撮影日時/店舗)。
a 平成20年7月24日/桜新町店(甲22の3)
b 平成20年7月25日/和白ロードサイド店(福岡)(甲22の2)
c 平成20年7月25日/飯塚店(福岡)(甲22の4)
(オ)テレビ放映
 原告は、次のテレビ・コマーシャルに原告文言を映し出している。
a 昭和54年度(15秒もの, 同年4月ころ)(甲14)
b 平成19年度「魔法編」(同年6月1日から45日間放映)(甲6)
また、原告の当時の社長が出演した平成18年7月2日放映のフジテレビの番組「企業最前線」(甲23)において、受付と応接室のシーンの背景に原告文言の記載されたボードが映し出されている。
(カ)ホームページ(甲8)
 原告の開設するホームページは、平成20年5月現在、各ページの最上部に原告文言が表示されるようにデザインされている。
(キ)その他
 原告は、昭和51年ころ、新規店舗の開店時に商品を紹介するための宣伝ちらし(甲13)を配布しており、その中に原告文言が記載されていた。
 原告は、雑誌「an・an」の昭和62年5月1日・8日合併号に掲載された米国B−R社の名誉顧問のインタビュー記事(甲17)において、欄外に原告の広告を載せるとともに、その記事の文中で日本のお店に期待することとして原告文言が語られている。
 原告は、平成4年4月、読売新聞社主催の「第6回ユーモア広告大賞」に作品募集企業として参加し、同月22日付け読売新聞の紙面(甲19)において、参加する他の企業と共に、「テーマ(商品)説明」欄で原告文言を用いている。
オ 原告がフランチャイジーや一般事業者、取引者などに向けた原告文言の使用の状況は、次のとおりである。
(ア)会社案内
 原告は、昭和62年、平成元年の会社案内冊子(甲9の5・6)及び平成18年会社案内「INFOMATION」(甲9の9)において、原告文言を用いている。
(イ)社内報等
 原告は、フランチャイジー向けの社内報「SCOOPS」の次の号において、原告文言を用いている。
a 昭和63年31号記念号(甲9の1)
b 平成5年11月Vol.2号(甲9の3)
 また、原告は、フランチャイジー向けのプロモーション案内「MOAP Marketing Operations Action Planner 2008 3 4 5」(平成20年2月ころ)(甲9の4)において、原告文言を用いている。
(ウ)フランチャイズの勧誘等
 原告は、平成2年及び平成3年の「出店のおさそい」(甲9の7・8)において、原告文言を用いている。
 また、原告は、平成20年4月1日版の「フランチャイズ契約の要点と概説」(甲9の10)において、原告文言を用いている。
(エ)雑誌
 原告は、広告とマーケティングの雑誌である昭和60年12月1日発行号「ブレーン」(Volume25 No.12)(甲16)において、役員のインタビュー記事の中で原告文言を用いている。
 原告は、雑誌「FRANJA」の次の号で、フランチャイジー募集の広告を掲載し、その冒頭部分に原告文言を用いている。
a 平成18年11月号(Vol.36)(甲7の1)
b 平成19年5月号(Vol.39)(甲7の2)
c 平成20年5月号(Vol.45)(甲7の3)
(オ)年賀状
 原告は、昭和54年及び平成7年から平成11年までの原告の使用する年賀状(甲9の2、甲20の1〜5)において、原告文言を印刷して用いている。
(カ)その他
 原告は、社用封筒(甲9の11)の裏面上部に原告文言を印刷して用いている。
カ 原告では、平成14年以降、店舗のレジスターによって売上回数や売上商品数が計上されるシステムを導入しており、平成19年12月時点でみると、全都道府県に展開する合計882店の店舗における同年度の売上高は約141億円にのぼり、年間売上回数が約4700万回、年間売上商品数は約1億1200万個である。
 また、原告の顧客配布用メニューリスト(前記エ(イ))の発行部数は、毎月400万部ないし600万部であり、平成18年3・4・5月版から平成20年6・7・8月版までの合計で約4700万部である。
(2)検討
 原告は、原告文言が原告の業務に係る営業表示として、法2条1項1号の「商品等表示」に該当すると主張する。
 原告文言は、原告における設立以来の「モットー」、すなわち、会社の営業活動に関して基本となる指針や目標を定めた標語であり、「We」、「make」、「people」及び「happy」の平易な4つの英単語からなる英文であって、中学生程度の英語の理解力があれば、「私たちは人々を幸せにする」との意味を了解することのできるものである。
 英文であるとはいえ、このような平易かつありふれた短文の標語そのものは、本来的には、自他識別力を有するものではないことは明らかである。原告文言のような標語が法2条1項1号の「商品等表示」としての営業表示に該当するためには、長期間にわたる使用や広告、宣伝等によって当該文言が特定人の営業を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、自他識別機能ないし出所表示機能を獲得するに至っていることが必要であるというべきである。
 そこで、原告文言について、需要者と想定できる一般消費者を念頭において、原告の業務に係る営業表示として広く認識されていると認めることができるかを検討するに、原告文言の使用状況は、前記(1)エ及びオのとおりである。前記オに係る使用事実に関しては、フランチャイジーや一般事業者、取引者向けのものであって、基本的に原告文言が一般消費者の目に触れるものではないといえるから、これを判断の資料として重視することはできない。
 前記エについてみると、原告の店舗展開として、昭和49年出店の目黒店の1号店以来、基本的に、セールスビルダーボードを通じて、原告文言が原告の店舗に掲げられてきたということができる。また、これと比較して、新しい表示対象であるものの、メニューリスト、統一ポスター、ステッカーにも原告文言が表示されている。そうすると、一般消費者としては、原告の店舗に実際に来店し、店頭において、原告文言に接する機会が多いものと認められる。
 しかしながら、上記のセールスビルダーボードや統一ポスター等の存在を証する証拠(甲2の2〜甲3の2、甲12の1〜4、甲15の1〜8、甲18の1〜3、甲21の1〜3、甲22の2〜4)によれば、原告の店舗においては、これらのセールスビルダーボードや統一ポスター等に記載された原告文言よりも、はるかに目立つ外観上の表示をもって、前記(1)イの登録商標が使用されており、これと比較して原告文言はさほど目立たず、一般消費者に強い印象を与えるものではないことが認められる。
 また、セールスビルダーボードや統一ポスター等に記載された原告文言に接した一般消費者は、その一文を読み取った上で、これを原告からの顧客に対するメッセージであるとともに、原告の社員ら現場における店舗の従業員に向けられた社内的な意味合いが強い社是のようなものとして受け取るものと認められ、原告文言を原告の業務に係る営業の表示として受け取るとは通常考え難い(なお、証拠(甲26の1〜4)によれば、一般消費者からの原告に対する電子メールの中に、原告の店舗におけるアイスクリームの販売が原告文言のとおりであるとして原告を応援する文面がある一方で、その従業員の接客態度が原告文言に悖るものとして苦情を寄せた文面のあることが認められる。)。
 さらに、これら以外に関しても、テレビ放映、ホームページ、宣伝ちらし、
雑誌、新聞に原告文言が表示されたことが認められるものの、必ずしも、長期間にわたって一般消費者の目に触れる機会が多かったものとは認められない上、証拠(甲6、8、13、14、16、23)によれば、原告文言は、テレビ放映においては映像の中のわずかなシーンに登場するにすぎず、ホームページや宣伝ちらしにおいては、前記(1)イの登録商標が表示され、商品写真や説明文が大部分を占める中で、小さく表示されているにすぎないことが認められ、一般消費者に強い印象を与えるものとはいえない。また、証拠(甲17、19)によれば、雑誌、新聞においては、原告の社是、モットーを紹介する文脈の中で使用されているにすぎないことが認められ、これに接した一般消費者は、これらの記事の原告文言を社是、モットーのようなものとして受け取るものであって、原告の業務に係る営業の表示として受け取るとは通常考え難い(なお、上記テレビ放映、ホームページや宣伝ちらし中の原告文言も同様の受け取り方をされるものということができる。また、仮に、前記オに係る使用事実を加味するとしても、フランチャイジーや一般事業者、取引者向けのメッセージとして、より一層、原告の社是やモットーとして受け止めることになるものと考えられる。)。
 これらの原告文言の使用態様や原告文言の持つ本来的な意味合いに照らすと、上記の原告表示の使用事実をもって、原告文言が原告の業務に係る営業表示であるとして一般消費者の間に広く認識されていると認めることはできず、他に、原告文言が原告の業務に係る営業表示に当たることを根拠付ける事実を認めるに足りる証拠はない。
(3)まとめ
 以上のとおりであるから、原告文言について、法2条1項1号にいう「商品等表示」に該当するものとは認められない。
2 結論
 したがって、原告の請求は、その余の点につき判断するまでもなく、理由がない。
 よって、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第47部
 裁判長裁判官 阿部正幸
 裁判官 平田直人
 裁判官 柵木澄子


被告文言目録 [略]
原告文言目録 [略]
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