判例全文 line
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【事件名】ぬいぐるみ雑貨の著作物性事件
【年月日】平成20年7月4日
 東京地裁 平成19年(ワ)第19275号 損害賠償等請求事件
 (口頭弁論終結日 平成20年5月30日)

判決
原告 株式会社ベストエバー
原告 株式会社ベストエバージャパン
上記両名訴訟代理人弁護士 山本昌彦
同 高橋邦明
被告 株式会社しまむら
同訴訟代理人弁護士 川井理砂子


主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 被告は、原告株式会社ベストエバーに対し、500万円及びこれに対する平成19年8月22日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は、原告株式会社ベストエバージャパンに対し、500万円及びこれに対する平成19年8月22日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告は、別紙謝罪広告目録記載の謝罪広告を、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞の全国版社会面及び日本経済新聞社発行の日経MJ、株式会社ビジネスガイド社発行の月刊「Personal Gift」、東京PR企画株式会社発行の「ファンシーショップ」に、幅6センチメートル2段の大きさで、見出し14級ゴシック、本文11級明朝体、被告会社名14級明朝体の写植植字を使用して、各1回掲載せよ。
第2 事案の概要
 本件は、被告の販売した別紙被告商品目録記載の商品(以下「被告商品」という。)が、原告株式会社ベストエバー(以下「原告ベストエバー」という。)が製造し、原告株式会社ベストエバージャパン(以下「原告ベストエバージャパン」という。)が販売する別紙原告商品目録記載の商品(以下「原告商品」という。)の形態を模倣したものであり、不正競争防止法2条1項3号に該当すると主張して、原告らが、被告に対し、不正競争行為に基づく損害賠償及び謝罪広告を請求し、また、被告が、原告ベストエバーが著作権を有する原告商品の形態を模倣した被告商品を原告らに無断で販売、譲渡する行為は、原告ベストエバーの著作権及び原告商品の日本国内における販売等につき独占的な権利を有している原告ベストエバージャパンの利用許諾権を侵害する不法行為に当たると主張して、原告らが、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を請求する事案である。
1 争いのない事実等(証拠を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)
(1) 当事者
 原告ベストエバーは、動物、人形、ぬいぐるみ、キャラクター商品等の製造、販売及び輸出等を目的として大韓民国で設立された法人である。
 原告ベストエバージャパンは、動物、人形等のぬいぐるみの販売及び輸入等を目的とする株式会社である。(弁論の全趣旨)
 被告は、百貨店及びチェーンストアの経営等を目的とする株式会社である。
(2) 原告商品の販売
 原告ベストエバーは、原告ベストエバージャパンに対し、原告ベストエバーが製造した商品を日本国内において独占的に販売する権利を許諾している。原告ベストエバージャパンは、上記許諾に基づき、平成16年8月ころから、原告ベストエバーが製造した原告商品を日本国内で販売している。(弁論の全趣旨)
 原告商品は、動物のぬいぐるみと小物入れを組み合わせた「プチホルダー」という名称のシリーズ商品の一つであり、小物入れにプードルのぬいぐるみを組み合わせたものである。
(3) 被告商品の販売
 被告は、平成18年4月ころから、被告商品を販売した。
2 争点
(1) 被告商品は原告商品の形態を模倣したものか
(2) 原告商品の形態は商品の機能を確保するために不可欠な形態であるか
(3) 被告は被告商品が原告商品を模倣したものであることにつき善意かつ無重過失であったか
(4) 原告商品は著作権法により保護される著作物に当たるか
(5) 被告による著作権侵害の成否
(6) 原告らの損害
(7) 謝罪広告の必要性
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点(1)(被告商品は原告商品の形態を模倣したものか)について
〔原告らの主張〕
 原告商品及び被告商品の各形態は、別紙原告商品形態目録及び同被告商品形態目録各記載のとおりである。これらを比較すると、両商品の形態は、@目、耳等の構成、A縫い目の位置、B黒い糸で指を成形する方法、C商品全体や構成部分の大きさ、D足や尾等の取付位置、E色が白色系であることの各点においてほぼ同じである。また、プードルを用いた商品にはそれぞれ特徴が異なる多様な商品が存在する中で(甲13)、原告商品と被告商品とは、胴体を筒状にし、両手が胴体の上端にあり、足が胴体下部前面にある等、他の商品にはない形態を有している点で共通している。これらの点によれば、被告商品は、原告商品の形態を模倣したものと評価することができる。
〔被告の主張〕
 原告らの上記主張は、争う。
 被告商品では口や手足の指を表現するものとして黒い糸が縫い付けられ、また、耳元にリボンが付けられているのに対し、原告商品ではこれらが存在しない点、頭と顔全体のバランスが異なる点、原告商品の底面のマジックテープが被告商品には付けられていない点において、原告商品と被告商品の形状には相違がみられる。被告商品は、原告商品の形態を模倣したものではない。
2 争点(2)(原告商品の形態は商品の機能を確保するために不可欠な形態であるか)について
〔被告の主張〕
 不正競争防止法2条1項3号で保護される商品形態は、必ずしも独創的な形態であることを要しないものの、同号の立法趣旨が資金及び労力を投下した商品形態の開発者の市場への先行利益を保護するものであることからすれば、同種の先行商品と全く同一の形態のものが存在しない場合であっても、既に市場で広く見られるいくつかの商品形態を単に組み合わせただけであって、その組合せ自体も容易であるような商品形態については、同号括弧書の「商品の機能を確保するために不可欠な形態」に当たる。
 原告商品の形態を構成する各形状は、いずれも、プードルの特性そのものであるか、ぬいぐるみにひとしく見られるものであり、原告商品は、既に市場で見られるいくつかの商品形態を組み合わせたものにすぎない。また、動物のぬいぐるみと小物入れとを組み合わせた商品は、古くから販売されており、発想として何ら新しいものではない。原告商品のような、キャラクターが腕で小物入れを抱くような格好をし、キャラクターの胴体部分がくり抜かれている形態の小物入れも、10年前から販売され、現在まで広く出回っている(乙2の1ないし4)。原告商品は、相応の資金と労力を投下して新たに創作されものではなく、従来の商品の発想のいくつかを組み合わせて作られたものにすぎない。したがって、原告商品の形態は、不正競争防止法2条1項3号括弧書の「商品の機能を確保するために不可欠な形態」に当たる。
〔原告らの主張〕
 被告の上記主張は、争う。
3 争点(3)(被告は被告商品が原告商品を模倣したものであることにつき善意かつ無重過失であったか)について
〔被告の主張〕
(1) 被告は、平成18年4月ころより、株式会社平成化成(以下「平成化成」という。)から被告商品を購入し、自社の店舗で販売した。平成化成は、株式会社トーソー(以下「トーソー」という。)が企画、生産した被告商品を仕入れ、被告に販売したものである。
 被告は、トーソーが企画、生産した被告商品を、平成化成から購入したものであるから、仮に被告商品が原告商品の形態を模倣したものであったとしても、被告は、不正競争防止法19条1項5号ロの「他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者」に当たり、被告商品の購入時にそれが原告商品の形態を模倣したものであることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない場合には、不正競争防止法2条1項3号は適用されない。
(2) 以下の事情によれば、被告は、被告商品が原告商品の形態を模倣したものであることを知らず、かつ、知らなかったことにつき重大な過失はなかったというべきである。
ア 被告は、被告商品の企画、生産の過程に関与しておらず、平成化成が販売している商品を購入したのみであり、被告商品が他人の商品の形態を模倣したものであることを知る機会はなかった。
イ 被告が取り扱う多種多様の商品すべてについて、その開発過程を確認しなければならないとすると、事業の大幅な停滞を招き、取引の安全を阻害する。また、原告商品のような、いわゆるブランド商品、キャラクター商品に属さず、意匠登録もされていない商品の存在を調査することは不可能に近く、このような調査義務を負わせると、取引の迅速及び安全を著しく損なう。
ウ 原告らの名称は、一般に認知されておらず、原告商品も、一般に認知されている商品ではない。原告商品は、プードルのぬいぐるみと小物入れを組み合わせたものであり、際立った特徴を有するものではない。
〔原告らの主張〕
(1) 被告の上記主張は、争う。
(2) 以下の事情によれば、被告は、被告商品が原告商品の形態を模倣したものであることを知っており、また、仮に知らなかったとしても、そのことにつき重大な過失があったというべきである。
ア 被告は、中国から商品を低価格で仕入れ、国内において競争力のある低価格で販売することにより、平成19年度中間期の連結純利益として91億円を計上し、前年同期8パーセント増の過去最高益を得た。中国で安価に製造される商品により巨額の利益を得ている被告には、販売する商品が他人の知的財産権を侵害していないかを調査する義務がある。
イ 平成14年2月28日、被告のシャンブル事業部のXが、原告ベストエバージャパンの担当者と名刺交換をし、商談を行った。その際、原告ベストエバージャパンの担当者は、Xに対し、商品のカタログや資料を交付した。被告は、その当時から、原告ベストエバージャパンの存在を知っており、その商品についても着目していた。
ウ 原告ベストエバージャパンは、平成15年以降、毎年、被告にカタログを送付し、そのカタログには原告商品又はプチホルダーが掲載されていた。
エ 平成15年9月2日から5日まで、ギフト商品等の展示会である「第56回東京インターナショナルギフト・ショー秋2003」(以下「東京ギフトショー」という。)が開催された。東京ギフトショーは、出展社数が2250社、来場者数が19万人を大きく超え、30万点の商品が展示される国内最大規模のギフトショーであった。原告ベストエバージャパンもこれに参加し、プチホルダーを含む生活雑貨等を出展した。被告の担当者は、会場内の原告ベストエバージャパンのブースにおいて、同原告の商品が掲載されたカタログや資料を入手した。
オ プチホルダーは、東京ギフトショーにおいて審査員特別賞を受賞した。東京ギフトショーで出展された30万点の商品のうち、受賞の対象となった商品は19点である。また、東京ギフトショーの出展社数2250社のうち、受賞したのは19社のみである。したがって、受賞によって原告ベストエバージャパンの社名や商品の知名度は上昇した。
カ 月刊「Personal Gift」は、多くの業界関係者が購読する業界誌であり、その平成15年10月号では、東京ギフトショーの開催中の状況やプチホルダーを含む受賞商品が掲載された。同誌の東京ギフトショーを紹介した記事には、原告ベストエバージャパンの広告も掲載された。
キ 原告ベストエバージャパンは、被告商品の開発が開始された平成18年1月と同時期である同月22日、原告商品の写真を自社のウェブページに掲載した。これにより、原告商品の存在は、インターネットを通して容易に検索することができるようになった。
ク 原告商品の現在までの販売金額は合計19万0487円であり、出庫数量は合計330個である。原告ベストエバージャパンは、原告商品を著名な百貨店等に販売しており、その販売地域も、近畿、東海、東北、首都圏等広範囲に及んでいる。また、原告商品以外のプチホルダーの販売金額は合計1139万6109円、出庫数量は合計1万7316個である。
4 争点(4)(原告商品は著作権法により保護される著作物に当たるか)について
〔原告らの主張〕
 原告商品は、小物入れにペットとして人気の高い犬のぬいぐるみを組み合わせたもので、頭部を毛が伸びたようにカットすることで、かわいらしさを表現している。また、顔面はやや上方を向いて、丸いやや大きめな目には実物と似せて瞳を表現し、鼻を上に向けて犬が主人を見つめるような仕草で、腕を前に合わせ、足を前に出して座る格好をしており、ペットとしての愛くるしさ、かわいらしさ、癒しを表現している。さらに、胴体に物品を入れた際には、腕で大切に物を抱きかかえるような仕草となり、ペットとしてのかわいらしさや癒し、忠誠心を表現している。原告ベストエバーは、上記の感情を、別紙原告商品形態目録のように表現し、創作した。
 原告ベストエバーのプチホルダーは、東京ギフトショーで審査員特別賞を受賞するほどの創作性、美術性を有し、愛犬家等の心を癒す感情を示すものとして、著作権の対象となる。
〔被告の主張〕
 著作権法において保護を受ける著作物は、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう(著作権法2条1項1号)。
 産業上の利用を目的として創作された衣服、電気製品のデザイン等は、応用美術と呼ばれ、著作権法ではなく意匠法等の工業所有権法により保護されている。文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものか、応用美術に属するものかは、一般に製作意図によって決まると解されており、芸術家が作成すれば純粋美術、工業デザイナーが作成すれば応用美術というように、誰が製作したかによって判断せざるを得ないとされる。原告商品も、実用品として工業デザイナーあるいはこれに準ずる者がデザインしたものと考えられ、いわゆる応用美術の範囲に属するものであり、美術的な作品と評価することはできない。
5 争点(5)(被告による著作権侵害の成否)について
〔原告らの主張〕
 被告商品は、別紙被告商品形態目録記載の形態を有し、@目、耳等の構成、A縫い目の位置、B黒い糸で指を成形する方法、C商品全体や構成部分の大きさ、D足や尾等の取付位置、E色が白色系であることの各点が、原告商品とほぼ同じである。被告は、被告商品を販売、譲渡し、原告ベストエバーが原告商品について有する著作権を侵害した。
〔被告の主張〕
 著作権法上、いわゆる海賊版を購入したり、販売したりする行為自体は何ら問題がなく、著作権等を侵害する行為によって作成された物を情を知って頒布し、又は頒布の目的をもって所持する行為があってはじめて、著作権を侵害する行為とみなされる(著作権法113条1項2号)。
 被告は、自ら被告商品を企画、生産したことはない。また、原告ら及び原告商品の存在を知らなかったのであるから、情を知って頒布し、又は頒布の目的をもって所持したとはいえない。したがって、被告は、原告ベストエバーの有する著作権を侵害していない。
6 争点(6)(原告らの損害)について
〔原告らの主張〕
(1) 原告ベストエバージャパンの1店舗当たりの原告商品の売上数は、年間約70個である。
(2) 原告ベストエバージャパンは、原告商品を1個588円で小売店に卸しており、その約4割が、原告ベストエバージャパンの利益となる。
 したがって、1店舗当たりの1年間の原告ベストエバージャパンの利益は、588円×0.4×70=1万6464円となる。
(3) 原告ベストエバーは、原告商品を1個約230円で原告ベストエバージャパンに卸しており、その約4割が、原告ベストエバーの利益となる。したがって、1店舗当たりの1年間の原告ベストエバーの利益は、230円×0.4×70=6440円となる。
(4) 被告は、平成19年7月20日時点で1046店舗を有しており、被告が正規に原告ベストエバージャパンから原告商品を購入していれば、原告ベストエバーは、1店舗当たり、1年間に673万6240円(6440円×1046)、3年間で2020万8720円の利益を得ることができたものであり、また、原告ベストエバージャパンは、1店舗当たり、1年間に1722万1344円(1万6464円×1046)、3年間で5166万4032円の利益を得ることができたものである。したがって、原告らは、被告の不正競争行為及び著作権侵害の不法行為により、それぞれ、上記と同額の損害を被った(不正競争防止法5条1項、著作権法114条1項)。
(5) 原告らは、被告に対し、それぞれ、上記損害額の一部請求として500万円の損害賠償を請求する。
〔被告の主張〕
 原告らの上記主張は、争う。
7 争点(7)(謝罪広告の必要性)について
〔原告らの主張〕
 原告ベストエバージャパンは、被告商品が販売されていることを発見した平成19年1月29日以降、被告に対し、被告商品の仕入先、住所、電話番号、仕入数量、販売数量、販売金額、仕入時期及び仕入期間等につき資料の提出を求めたものの、被告は、同資料の提出を拒否した。
 被告は、中国国内で仕分けする物流システムを採用していながら、コピー商品が輸入されないようチェックすることを怠り、原告商品のデッドコピーである被告商品を輸入、販売し、被告商品を原告商品であるかのように多くの店舗で販売し、原告商品の信用を害した。
 原告らが害された信用を回復するためには、不正競争防止法14条に基づき、請求の趣旨記載の謝罪広告を掲載する必要がある。
〔被告の主張〕
 原告らの上記主張は、争う。
第4 当裁判所の判断
1 準拠法について
 本件は、原告ベストエバーが大韓民国において設立された法人であるという点で渉外的要素を含むものであるから、同原告との関係で準拠法を決定する必要がある。
 不正競争行為及び著作権侵害に基づく損害賠償請求の準拠法に関しては、法の適用に関する通則法等に直接の定めがないため、条理により決するのが相当である。上記法律関係の性質は不法行為であるから、法の適用に関する通則法の施行期日(平成19年1月1日)後の行為については、同法17条により、また、同法の施行期日前の行為については、法例11条1項(法の適用に関する通則法附則3条4項により、なお従前の例によるとして、法例の規定が適用される。)により、準拠法を決すべきであり、本件の損害賠償請求については、原告らに対する権利侵害という結果が生じたと主張される我が国の法である民法709条が適用される。
 また、不正競争防止法に基づく謝罪広告の請求に関しても、法の適用に関する通則法等に直接の定めがないため、条理により決するのが相当である。本件では、謝罪広告の請求の対象とされた行為が日本国内で行われ、営業上の利益の侵害も日本国内で生じたというのであるから、我が国の不正競争防止法が最も密接な関係を有する地の法として準拠法になると解される。
2 認定事実
 上記争いのない事実等並びに証拠(甲3の1ないし甲8、甲10ないし12、14の1ないし8、甲15の1ないし4、甲16、18の1ないし4、甲23ないし25、26の1及び2、乙3、4、6ないし8)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1)ア 原告ベストエバージャパンの担当者は、平成14年2月28日、被告のシャンブル事業部に所属するXと名刺交換を行い、同人に対し、原告ベストエバージャパンの商品が掲載されたカタログ等を交付した。
イ 原告ベストエバージャパンは、平成15年以降、毎年、被告に対し、原告ベストエバージャパンの商品が掲載されたカタログを送付した。平成15年、平成17年及び平成18年に送付された各カタログには、プチホルダーが掲載され、このうち、平成17年及び平成18年の各カタログには、原告商品が掲載されていた。
ウ 平成15年9月2日から5日まで、東京ギフトショーが開催され、原告ベストエバージャパンもこれに参加し、プチホルダーを含む生活雑貨等を出展した。東京ギフトショーでは、出展社数が2250社、来場者数が19万人を超え、約30万点のギフト商品が展示された。
 原告ベストエバージャパンは、同月4日、東京ギフトショー開催中に行われたホームファッショングッズコンテストにおいて、プチホルダーにつき、審査員特別賞を受賞した。東京ギフトショー開催中の各種コンテストにおいて受賞の対象となった商品の数は、原告ベストエバージャパンのプチホルダーを含めると、合計19点であった。
エ 東京ギフトショーの開催中の状況のほか、原告ベストエバージャパンがプチホルダーについて審査員特別賞を受賞したことは、業界誌である「月刊「Personal Gift」平成15年10月号に掲載された。また、同誌には、原告ベストエバージャパンのライセンシー及び販売店の募集に関する広告が、同原告の商品の写真とともに掲載された。
オ 原告ベストエバージャパンは、平成16年8月ころ、原告商品の販売を開始し、現在までに合計330個の原告商品を販売し、その売上高は合計19万0487円である。
カ 原告ベストエバージャパンは、平成18年1月22日、原告商品の写真を自社のウェブページに掲載した。
(2) 原告商品の形態は、次のとおりである(以下、単に「A」、「B1」等と表記することがある。)。
A 原告商品は、頭顔部及び胴体部からなる。
B1 頭顔部は、正面及び側面からみて縦に長い楕円形をしており、鼻部が前方に突き出している。
B2 頭顔部は、正面からみて約下半分に顔面部を形成し、顔面部には、2つの目と、鼻部の先端に鼻がある。
B3 目は、円形をしており、黒い瞳の部分と瞳の周囲を覆う茶色の部分からなる。
B4 鼻は、黒く逆三角形をしており、鼻の穴を形成する丸い窪みが2つある。
B5 頭顔部は、正面からみて約上半分に頭部を形成し、頭部を覆う毛は、顔面部を覆う毛とは異なる材質のものが使用されている。
B6 頭顔部は、正面からみて上下方向の中間付近から耳を形成し、耳は、頭部を覆う毛と同じ材質の毛で覆われている。
B7 耳は、舌状に平らで細長い形態をしており、胴体部の肩部にかかるまで長い。
B8 顔面部の正面から下方には、口を表現した縫い目があり、この縫い目は、顔面部の下方の側方から中央を通って、もう一方の側方にあり、正面からみて「へ」の字になっている。
C1 胴体部は、円筒状になっており、腕と胴部に分かれている。
C2 胴体部は、上端に円を囲む形で腕があり、上端の正面で腕の先端を合わせており、背面側の上端で頭顔部と連結されている。
C3 胴体部の上端の正面で合わせている腕の先端には、2本の黒い糸で手の指が形成されている。
C4 腕は、チューブ状のものを丸く合わせた形態で、上端に縫い目がある。また、胴部の背面中央部にある縫い目の左側で、腕と胴部の連結部に、タグが付いている。
C5 胴部は、腕から下に連結されている。
C6 胴部の正面からみて下側には、2つの丸い足が付いており、胴体部の背面中央部には縦の縫い目が、下端部には尾が付いている。
C7 足は、丸状をしており、つま先が上を向いていて、2本の黒い糸で足の指が形成されている。
C8 尾は、楕円形をしており、胴部の背面中央部の縫い目の下端に付いている。
C9 底面は、胴部の下端が底部を丸く囲むように胴部と連結されており、胴部の毛と異なる材質の布で形成され、底部の布と同じ色で接着用のマジックテープが付けられている。
(3)ア 被告は、「ファッションセンターしまむら」、「シャンブル」等、複数の店舗を運営している。被告において、被告商品の仕入れは、「ファッションセンターしまむら」において販売する商品の仕入れ等を担当する複数の部門のうち、インテリア、寝具等の仕入れ等を担当する部門が担当した。同部門が1年間に取り扱う商品数は約12万点であり、その取引先の数は合計138社である。
 被告における商品の仕入れは、各部門に所属するバイヤーと呼ばれる者が行う。バイヤーは、仕入先からの商品の企画提案を受け、販売する商品やその販売数量、価格を決定しており、被告が商品の開発や企画に直接関わることはない。
 Xは、被告のシャンブル事業部に所属し、「シャンブル」において販売する商品の仕入れ等を担当するバイヤーであった。「ファッションセンターしまむら」において販売する商品の仕入れ等を担当する部門と、「シャンブル」において販売する商品の仕入れ等を担当する部門は、各部門を統括する担当役員が異なる等、被告の組織上、別系統に属している。
イ 被告は、平成18年4月ころより、平成化成から合計123個の被告商品を仕入れ、そのうち、平成19年1月20日までに合計112個の被告商品を、「ファッションセンターしまむら」において、1個当たり390円で販売した。
ウ 被告商品は、トーソーが企画、製造したものであり、平成化成は、トーソーから被告商品を仕入れ、被告に販売したものである。
(4) 被告商品の形態は、次のとおりである(以下、単に「a」、「b1」等と表記することがある。)。
a 被告商品は、頭顔部及び胴体部からなる。
b1 頭顔部は、正面及び側面からみて縦に長い楕円形をしており、鼻部が前方に突き出している。
b2 頭顔部は、正面からみて約下半分に顔面部を形成し、顔面部には、2つの目と、鼻部の先端に鼻がある。
b3 目は、円形をしており、黒い瞳の部分と瞳の周囲を覆う茶色の部分からなる。
b4 鼻は、黒く逆三角形をしており、鼻の穴を形成する丸い窪みが2つある。
b5 頭顔部は、正面からみて約上半分に頭部を形成し、頭部を覆う毛は、顔面部を覆う毛とは異なる材質のものが使用されている。
b6 頭顔部は、正面からみて上下方向の中間付近から耳を形成し、耳は、頭部を覆う毛と同じ材質の毛で覆われている。
b7 耳は、舌状に平らで細長い形態をしており、胴体部の肩部にかかるまで長い。耳と頭部の連結部周辺にピンク色のリボンが付いている。
b8 顔面部の正面から下方には、縫い目があり、この縫い目は、顔面部の下方の側方から中央を通って、もう一方の側方にあり、正面からみて「へ」の字になっている。また、鼻部の下方に黒い糸で「U」の字に口が形成されている。
c1 胴体部は、円筒状になっており、腕と胴部に分かれている。
c2 胴体部は、上端に円を囲む形で腕があり、上端の正面で腕の先端を合わせており、背面側の上端で頭顔部と連結されている。
c3 胴体部の上端の正面で合わせている腕の先端には、2本の黒い糸で手の指が形成されている。
c4 腕は、チューブ状のものを丸く合わせた形態で、上端に縫い目がある。また、胴部の背面中央部にある縫い目の左側で、腕と胴部の連結部に、タグが付いている。
c5 胴部は、腕から下に連結されている。
c6 胴部の正面からみて下側には、2つの丸い足が付いており、胴体部の背面中央部には縦の縫い目が、下端部には尾が付いている。
c7 足は、丸状をしており、つま先が上を向いていて、2本の黒い糸で足の指が形成されている。
c8 尾は、楕円形をしており、胴部の背面中央部の縫い目の下端に付いている。
c9 底面は、胴部の下端が底部を丸く囲むように胴部と連結されており、胴部の毛と異なる材質の布で形成されている。
3 争点(1)(被告商品は原告商品の形態を模倣したものか)について
(1) 上記2(2)及び(4)で認定した原告商品の形態と被告商品の形態とを比較 すると、両者は、頭顔部が縦に長い楕円形、胴体部が円筒状をしており、胴体部の背面側の上端で頭顔部が連結されていること、胴体部の上端に円を囲む形で腕があり、上端の正面で腕の先端を合わせていること、頭部や耳を覆う毛の材質と顔面部を覆う毛の材質が異なっていること、黒い糸で手足の指を形成していること、目、鼻、耳、足及び尾の形状や取付位置等の各点において共通している。
 そうすると、原告商品と被告商品は、個々の特徴的形状の多くが共通しており、全体の形態もほぼ同一であるということができるので、両者の形態は実質的に同一であるというべきである。
 被告は、被告商品では口や手足の指を表現するものとして黒い糸が縫い付けられ、また、耳元にリボンが付けられているのに対し、原告商品ではこれらが存在しない点、頭と顔全体のバランスが異なる点、原告商品の底面のマジックテープが被告商品には付けられていない点において、原告商品と被告商品の形状に相違がみられると主張する。
 しかしながら、手足の指を表現するものとして黒い糸が縫い付けられている点は、上記2(2)のC3及びC7、同(4)のc3及びc7のとおり、両商品に共通している形状であると認められる。また、その余の点は、両商品の相違点であるということができるものの、いずれも些細なものであって、商品の全体的形態に影響を与えるものではないということができ、両者の形態が実質的に同一であると判断することの妨げとなるものではない。被告の上記主張は、採用することができない。
(2) そして、上記(1)で説示したとおり、原告商品及び被告商品の個々の特徴的形状の多くが共通しており、両者の形態は実質的に同一であるということができること、原告商品、被告商品ともに動物のぬいぐるみに小物入れを組み合わせた商品である点で共通していること、上記2(3)イのとおり、被告商品の販売が開始されたのは平成18年4月ころであり、原告ベストエバージャパンが自社のウェブページに原告商品の写真を掲載した平成18年1月22日と近接した時期であること等の事情を考慮すると、被告商品は、原告商品を模倣して製造されたものと推認することができる。
4 争点(2)(原告商品の形態は商品の機能を確保するために不可欠な形態であるか)について
(1) プードルのぬいぐるみに小物入れを組み合わせた商品の形態としては、その組合せの方法や個々の部分の形状等により様々なものが考えられるから、上記2(2)で認定したAないしC9の各形状から構成される原告商品の形態は、プードルのぬいぐるみと小物入れの組合せであることから必然的に導かれる形態であるということはできないし、特定の効果を奏するための必須の技術的形態であるということもできない。
 そして、本件において、原告商品と同様の組合せを採用した他の同種商品が存在することを認めるに足る証拠がないこと、胴体部が円筒状をしており、胴体部の背面側の上端で頭顔部が連結されている点、胴体部の上端に円を囲む形で腕があり、上端の正面で腕の先端を合わせている点等は、原告商品の特徴的な形状であるということができること等に照らせば、原告商品の形態が個性を有しないものということはできない。
 したがって、原告商品の形態は、不正競争防止法2条1項3号の「商品の機能を確保するために不可欠な形態」であるとは認められない。
(2) 被告は、原告商品は、既に市場で見られるいくつかの商品形態を組み合わせたものにすぎないこと、動物のぬいぐるみと小物入れの組合せは、古くから販売されており、発想として何ら新しいものではないこと、原告商品と同様の形態の小物入れは、10年前から販売されていること(乙2の1ないし4)から、原告商品の形態は、「商品の機能を確保するために不可欠な形態」に当たると主張する。
 しかしながら、不正競争防止法2条1項3号は、商品形態についての先行者の開発利益を模倣者から保護することを目的とする規定であるから、同号の規定によって保護される商品の形態とは、商品全体の形態であり、また、必ずしも独創的な形態である必要はない。そうすると、商品の形態が同号の規定にいう「商品の機能を確保するために不可欠な形態」に該当するか否かは、商品を全体として観察して判断すべきであって、全体としての形態を構成する個々の部分的形状を取り出して個別にそれがありふれたものかどうかを判断した上で、各形状を組み合わせることが容易かどうかを問題にするという手法により判断すべきものではない。また、被告がその主張の根拠として提出する証拠(乙2の1ないし4)については、そこに掲げられている商品が、原告商品の形態に類似しているものから、一部の形態が類似しているにすぎないものまで様々であり、かつ、その販売の期間や販売の規模が明らかでないことから、単に原告商品と類似する商品が市場で流通している事実があることを示すにとどまり、原告商品と同様の形態の小物入れが市場に広く出回っていたことを認めるに足りるものではない。被告の上記主張は、採用することができない。
5 争点(3)(被告は被告商品が原告商品を模倣したものであることにつき善意かつ無重過失であったか)について
(1) 前記認定に係る事実によれば、被告における商品の仕入れは、商品の仕入れを担当する部門に所属するバイヤーが、仕入先が行う多数の企画提案の中から、特定の商品の企画提案を採用し、その販売数量や価格等を決定して行うというものであり、また、被告商品の仕入れを担当する部門が1年間に取り扱う商品数だけでも約12万点に及び、仕入先が被告に対して行う企画提案の数も極めて多数に及ぶものと推測されることからすると、被告は、被告商品の仕入れを行うに当たり、被告商品の企画や生産の過程に関与することはなく、被告商品の選定やその販売数量及び価格等の決定のみを行っていたものと認められる。また、上記の膨大な数量の商品すべてについて、その開発過程を確認するとともに、形態が実質的に同一である同種商品がないかどうかを調査することは、著しく困難であるということができる。一方、原告商品は、これまでの販売金額が合計19万0487円、販売数量も合計330個にとどまり、その宣伝、広告も、原告ベストエバージャパンのウェブページや商品カタログに写真が掲載されている程度であって、一般に広く認知された商品とは認められないことからすると、被告は、被告商品を平成化成から購入するに当たり、取引上要求される通常の注意を払ったとしても、原告商品の存在を知り、被告商品が原告商品の形態を模倣した事実を認識することはできなかったものというべきである。以上によれば、被告は、被告商品の購入時にそれが原告商品の形態を模倣したものであることを知らず、かつ、知らなかったことにつき重大な過失はなかったものと認められる。
(2) 原告らは、被告のバイヤーであるXと名刺交換を行い、原告ベストエバージャパンの商品が掲載されたカタログ等を交付し、その後も毎年、被告にカタログを送付していたこと、平成15年9月に開催された東京ギフトショーにおいて出展したプチホルダーについて審査員特別賞を受賞し、そのことが業界誌に掲載されたこと等から、被告は、被告商品が原告商品の形態を模倣した商品であることを知り、少なくとも、知らなかったことにつき重大な過失があると主張する。
 しかしながら、前記認定に係る事実によれば、Xは、被告商品の仕入れを担当する部門のバイヤーではないことが認められ、また、Xとの名刺交換から被告商品の販売が開始される平成18年4月ころまで約4年が経過しており、その間、被告において原告商品の購入が具体的に検討された形跡は認められないから、被告の一従業員であるXとの名刺交換及び同人へのカタログ等の交付という事情のみでは、被告が原告商品の存在を認識し、又は認識することができたということはできない。また、上記のとおり、現在まで被告において原告商品の購入が具体的に検討された形跡がないことに加え、被告が取り扱う商品の数が膨大であり、被告が仕入先等から送付を受けるカタログの数量も極めて多数に及ぶものと推測されること、東京ギフトショーにおいてプチホルダーが審査員特別賞を受賞した際、原告商品は一般に販売されていなかったこと、原告商品は平成16年8月から販売が開始されたものの、(1)で説示したとおり、その販売金額及び数量等によれば、一般に広く認知された商品とは認められないことからすれば、被告に毎年送付されたカタログの一部に原告商品が掲載され、また、東京ギフトショーにおいてプチホルダーが審査員特別賞を受賞し、その事実が業界誌に掲載されたとしても、これらの事情をもって被告の悪意、重過失を基礎付けることはできないというべきである。原告らの上記主張は、採用することができない。
6 争点(4)(原告商品は著作権法により保護される著作物に当たるか)について
 著作権法2条1項1号は、同法により保護される著作物について、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と規定し、同条2項は、「この法律にいう美術の著作物には、美術工芸品を含むものとする。」と規定している。これらの規定は、意匠法等の産業財産権制度との関係から、著作権法により著作物として保護されるのは、純粋美術の領域に属するものや美術工芸品であり、実用に供され、あるいは産業上利用されることが予定されているものは、それが純粋美術や美術工芸品と同視することができるような美術性を備えている場合に限り、著作権法による保護の対象になるという趣旨であると解するのが相当である。
 原告商品は、小物入れにプードルのぬいぐるみを組み合わせたもので、小物入れの機能を備えた実用品であることは明らかである。そして、原告が主張する、ペットとしてのかわいらしさや癒し等の点は、プードルのぬいぐるみ自体から当然に生じる感情というべきであり、原告商品において表現されているプードルの顔の表情や手足の格好等の点に、純粋美術や美術工芸品と同視することができるような美術性を認めることは困難である。また、東京ギフトショーにおいて審査員特別賞を受賞した事実が、原告商品の美術性を基礎付けるに足るものでないことは明らかである。したがって、原告商品は、著作権法によって保護される著作物に当たらない。
7 結論
 以上によれば、原告らの本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がないから、いずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条、65条1項本文を適用して、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第47部
 裁判長裁判官 阿部正幸
 裁判官 平田直人
 裁判官 瀬田浩久


謝罪広告目録
 当社は、平成19年1月29日当時、株式会社ベストエバーが製造し、株式会社ベストエバージャパンが販売する商品に類似する商品を販売しておりました。
 当社が、販売した商品に両社の商品に類似する商品が含まれていたことを深くお詫びするとともに、今後の仕入れについては、このような侵害行為がないよう厳重な調査に努めることを固く誓約いたします。
 平成年月日
 さいたま市北区<以下略>
 株式会社しまむら
 代表取締役会長Y

原告商品目録 略

被告商品目録 略

原告商品形態目録
1 構成
 原告商品は、頭顔部及び胴体部からなる。
2 頭顔部の形態
(1) 頭願部の概要
 頭顔部は、正面からみて縦に長い楕円形を、左右の側面からみても縦に長い楕円形をしており、鼻部が前方に突き出している。
 頭顔部は、正面からみて約下半分に顔面部を形成し、顔面部には、2つの目と突き出た鼻部の突端に鼻がある。
 頭顔部は、正面からみて約上半分に頭部を形成し、頭部を覆う布は、顔面部を覆う布とは異なる材質のものが使用されている。
 頭顔部は、正面からみて縦に中間あたりから耳を形成し、耳は、頭部を覆う布と同じ材質で覆われている。
 顔面部の正面から下方には、口のようにした縫い目部がある。
(2) 目の形態
 目は、円形をしており、黒い瞳の部分と瞳の周囲を覆う茶色の部分からなる。
(3) 鼻の形態
 鼻は、黒く逆三角形をしており、鼻の穴を形成する丸い窪みが2つある。
(4) 耳の形態
 耳は、舌状に平らで細長い形態をしており、胴体部の肩部にかかるまで長い。
(5) 口のようにした縫い目の形態
 口のように縫い目は、顔面部の下方の側方から中央を通って、もう一方の側方にあり、正面からみて「への字」になっている。
3 胴体部の形態
(1) 胴体部の概要
 胴体部は、円筒状になっており、上端に腕があり、上端の背面で頭顔部と連結され、上端の正面で先端を合わせている。
 耳は、肩部にかかっている。胴部は、腕から下に連結しており、腕と胴部が分かれている。
 胴部の正面からみて下側には、2つの丸い足が付いており、胴体部の背面には縫い目が、下端部には尾が付いている。底面では、胴部が胴部とは別の材質の布で作られている底部を丸く囲んで連結されており、底部には底部と同じ色で接着用のシートが付けられている。
(2) 腕の形態
 腕は、チューブ状のものを丸く合わせた形態で、上端に縫い目がある。また、胴部の背面の縫い目の左で、腕と胴部の連結部にタグが目立たなく付いている。
 先端で合わせている上端の正面には、2本の黒い糸で指を形成している。
(3) 足の形態
 足は、丸状をしており、つま先が上を向いていて、2本の黒い糸で指が形成されている。
(4) 尾の形態
 尾は、楕円形をしており、胴部の背面の縫い目の下端に付いている。

被告商品形態目録
1 構成
 被告商品は、頭顔部及び胴体部からなる。
2 頭顔部の形態
(1) 頭願部の概要
 頭顔部は、正面からみて縦に長い楕円形を、左右の側面からみても縦に長い楕円形をしており、鼻部が前方に突き出している。
 頭顔部は、正面からみて約下半分に顔面部を形成し、顔面部には、2つの目と突き出た鼻部の突端に鼻がある。
 頭顔部は、正面からみて約上半分に頭部を形成し、頭部を覆う布は、顔面部を覆う布とは異なる材質のものが使用されている。
 頭顔部は、正面からみて縦に中間あたりから耳を形成し、耳は、頭部を覆う布と同じ材質で覆われている。
 顔面部の正面から下方には、口のようにした縫い目部がある。
(2) 目の形態
 目は、円形をしており、黒い瞳の部分と瞳の周囲を覆う茶色の部分からなる。
(3) 鼻の形態
 鼻は、黒く逆三角形をしており、鼻の穴を形成する丸い窪みが2つある。
(4) 耳の形態
 耳は、舌状に平らで細長い形態をしており、胴体部の肩部にかかるまで長い。また、耳と頭部の連結部周辺にピンク色のリボンが付いている。
(5) 口のようにした縫い目の形態
 口のように縫い目は、顔面部の下方の側方から中央を通って、もう一方の側方にあり、正面からみて「への字」になっている。また、鼻部の下方に黒い糸で「U字」に口が形成されている。
3 胴体部の形態
(1) 胴体部の概要
 胴体部は、円筒状になっており、上端に腕があり、上端の背面で頭顔部と連結され、上端の正面で先端を合わせている。
 耳は、肩部にかかっている。胴部は、腕から下に連結しており、腕と胴部が分かれている。
 胴部の正面からみて下側には、2つの丸い足が付いており、胴体部の背面には縫い目が、下端部には尾が付いている。底面では、胴部が胴部とは別の材質の布で作られている底部を丸く囲んで連結されている。
(2) 腕の形態
 腕は、チューブ状のものを丸く合わせた形態で、上端に縫い目がある。また、胴部の背面の縫い目の左で、腕と胴部の連結部にタグが目立たなく付いている。
 先端で合わせている上端の正面には、2本の黒い糸で指を形成している。
(3) 足の形態
 足は、丸状をしており、つま先が上を向いていて、2本の黒い糸で指が形成されている。
(4) 尾の形態
 尾は、楕円形をしており、胴部の背面の縫い目の下端に付いている。
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