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【事件名】商標“SIMPO”侵害事件(2)
【年月日】平成19年6月27日
 知財高裁 平成19年(行ケ)第10001号 商標登録取消決定取消請求事件
 (平成19年5月14日 口頭弁論終結)

判決
原告 X
被告 特許庁長官 中嶋誠
指定代理人 中村謙三
同 高野義三
同 大場義則


主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 特許庁が異議2005−90476号事件について平成18年11月10日にした決定を取り消す。
第2 争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
 原告は、「SIMPO」の文字を標準文字で書してなり、指定役務を別紙役務目録記載のとおりとする登録第4872122号の商標(平成16年4月28日登録出願、平成17年6月17日設定登録。以下「本件商標」といい、その出願を「本件出願」という。)の商標権者である。
 本件商標に対しシンポ株式会社(以下「異議申立人」という。)から登録異議申立がなされたので、特許庁はこれを異議2005−90476号事件として審理した上、平成18年11月10日、「登録第4872122号商標の指定役務中『機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計』についての商標登録を取り消す。」との決定(以下、「決定」という。)をし、同年11月29日、その謄本を原告に送達した。
2 決定の理由
 別紙決定書写しのとおりである。要するに、本件商標と、「SHINPO」の文字を横書きしてなり、指定役務を第42類「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」とする、登録第3049433号の商標(平成4年9月25日登録出願、平成7年6月30日設定登録。以下「引用商標」という。)は「シンポ」の称呼を共通にする類似の商標というべきであり、また、引用商標の指定役務「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」は、本件商標の指定役務中、「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」の「装置の設計」の範疇に入るものであり、類似の役務と認められるから、本件商標の登録は、その指定役務中「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」について、商標法4条1項11号に違反してされたものであって、商標法43条の3第2項の規定により取り消すべきものである、というものである。
第3 取消事由に係る原告の主張
 決定は、以下のとおり、本件商標と引用商標の類否判断を誤った違法(取消事由1)、両商標の指定役務の類否判断を誤った違法(取消事由2)があるから、取り消されるべきである。
1 取消事由1(商標の類否判断の誤り)
 以下のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念において相違し、非類似であるから、両商標が類似するとした決定の判断には誤りがある。
(1) 称呼について
 本件商標に係る「SIMPO」の文字は特定の読みをもって親しまれたものではないから、多くの日本人が慣れ親しんだローマ字読みに従って、「シムポ」の称呼が生ずるのに対して、引用商標(「SHINPO」)の文字からは「シンポ」の称呼が生ずること、3音のうち1音が相違すること、日本語において、「シン」と「シム」とは、取引者・需要者が、明確に識別できることに照らすならば、本件商標と引用商標とは、称呼において相違するというべきである。
 なお、被告は、「simple」や「tempo」などの英単語を「シンプル」、「テンポ」と発音する例があり、本件商標にあっても「シンポ」の称呼を生ずると主張するが、これらの英単語は特定の読みをもって親しまれたものである点で、本件商標に係る「SIMPO」の場合とは異なる。
(2) 外観について
 本件商標は5文字からなりコンパクトであるのに対し、引用商標は6文字からなること、本件商標と引用商標とは2文字が異なること、本件商標ではダイナミックな不安定感を与える点対称文字は「S」の文字のみであるのに対して、引用商標では「S」と「N」の二文字であることに照らすならば、本件商標と引用商標は、外観において相違するというべきである。
(3) 観念について
 本件商標は、特定の読みをもって親しまれたものではないから、特定の観念を生じないのに対して、引用商標は、「シンポ」の称呼を生ずることから「進歩」等の意義(甲1〜4)を想起することに照らすならば、本件商標と引用商標は、観念において相違するというべきである。
(4) 以上のとおり、本件商標と引用商標は、称呼外観及び観念において、顕著な差異を有し、両商標が取引者・需要者に与える印象、記憶ないし連想は著しく異なり、互いに類似しない商標であるというべきである。
2 取消事由2(指定役務の類否判断の誤り)
 以下のとおり、引用商標の指定役務「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」と本件商標の指定役務中「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」とが類似するとした決定の判断には誤りがある。
(1) 引用商標の指定役務である「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」は、「建築物の設計」に該当するというべきである。「建築物」は「建築設備」を含む(甲12)から、「建築設備の設計」は、類似群コード番号が「42N01」とされる「建築物の設計」に含まれる。そして、「設備」と「装置」は同じ意味である(甲13、14)から、排気ファンと排気ダクトからなる「厨房の排気装置」は「建築設備」と考えられ(甲15)、また、「厨房用の排気装置」は建築物に組み込まれるものであって、その設計は、厨房から排気を室外に排出するための排気ダクトの流量計算等を主体とし、建築設計者(建築設計事務所)が行うものといえる。特許庁の実務においても、引用商標の指定役務の類似群コード番号を「42N01」としているのに対し、本件商標の指定役務のうちの「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」の類似群コード番号は「42N03」であるから、引用商標の指定役務とは類似しない。
 また、引用商標の指定役務である「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」と、本件商標の指定役務中の「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」とは、@提供の手段、目的又は場所が一致しない場合があり、A提供に関連する物品が一致しない場合があり、B需要者の範囲が一致しない場合があり、C同一事業者が提供する場合があること等を総合的に考慮すれば、引用商標の指定役務「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」は、本件商標の指定役務中、「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」とは非類似の役務というべきである。
(2) 役務とは、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」を要する(甲21)。しかし、「厨房用の排気装置の設計」の役務は、独立した商取引の目的とはいえない。決定は、「株式会社クリエ」の(ウエブサイト乙4の1、2)を証拠として、「厨房用の排気装置」が、一般的に「機械・装置」の一種であると認定しているが、同ウエブサイトには、「厨房用の排気装置」の完成品とその仕様が記載されているにすぎず、独立して商取引の目的となるような「厨房用の排気装置の設計」の役務は何ら記載されていない。同社は、機器の製造販売業者であり(甲11)、「厨房用の排気装置の設計」の役務を行っていることは、同記載からうかがい知ることができない。なお、乙4の1、2は、本件出願前に公表された証拠ではないから、これに依拠することは許されない。また、被告は、乙5の1、2に基づき、同社が「厨房用の排気装置の設計」の役務を行っている旨を主張するが、乙5の1、2は決定の判断の基礎とされた証拠ではないから、これらに基づく主張を本訴においてすることは許されない。
第4 取消事由に係る被告の反論
 以下のとおり、決定の認定判断に誤りはなく、原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
1 取消事由1(商標の類否判断の誤り)について
 以下のとおり、本件商標と引用商標は、称呼、外観及び観念において顕著な差異を有せず、類似する商標である。
(1) 称呼について
 本件商標に係る「SIMPO」の文字、及び引用商標に係る「SHINPO」の文字から、いずれも「シンポ」の称呼を生じる。本件商標から「シムポ」の称呼が生じることがあるとしても、「simple」、「tempo」、「Ampere」、「Ramp」、「Bumper」、「Compass」、「Sample」、「Slump」、「Dump Car」、をそれぞれ「シンプル」、「テンポ」、「アンペア」、「ランプ」、「バンパー」、「コンパス」、「サンプル」、「スランプ」、「ダンプカー」と発音するように、音声学上、単音「M」の後続子音が「P」の場合には、これを「ン」と発音する(乙3の1〜2)から、本件商標からは「シンポ」の称呼をも生じるというべきである。
 したがって本件商標と引用商標は、「シンポ」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。
(2) 外観について
 本件商標と引用商標は、共に欧文字綴りで構成され、その構成中の語頭部分の「S」及び「I」の文字並びに語尾部分「PO」の綴り文字を共通にした比較的近似した綴りであるから、外観において近似した商標といえる。
(3) 観念について
 本件商標と引用商標は、その構成からみて、いずれも特定の観念を生じ得ない造語よりなる商標というべきである。原告は、引用商標からは「進歩」等の意義が想起される旨主張するが、商標の類否判断要素としての観念とは、多くの取引者・需要者がその商標自体から直ちに一定の意義を想起させるものであることを要するところ、引用商標に接する取引者・需要者が、「SHINPO」の欧文字から、直ちに「進歩」の意義を特定して想起するとはいえない。
(4) 以上のとおり、本件商標と引用商標は、称呼、外観及び観念において、顕著な差異を有しない商標というべきである。
2 取消事由2(指定役務の類否判断の誤り)について
 以下のとおり、引用商標の指定役務である「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」は、本件商標の指定役務中、「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」に包含されるものであり、両役務は類似する。
(1) 本件商標の指定役務中の「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」の「装置」は、「厨房用の排気装置」を含んでいる(乙4の1、2)。したがって、引用商標の指定役務である「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」は、本件商標の指定役務中、「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」の「装置の設計」の範疇に属するものであるから、類似の役務と認められる。
 引用商標の指定役務「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」と、本件商標の指定役務中、「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」とは、@提供の手段、目的又は場所が一致する場合があり、A提供に関連する物品が一致する場合があり、B需要者の範囲が一致する場合があり、C同一事業者が提供する場合があること等を総合的に考慮すれば、引用商標の指定役務「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」は、本件商標の指定役務中、「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」に包含される役務ということができる。
(2) 原告は、引用商標の指定役務である「厨房用の排気装置の設計」は、「建築物の設計」に該当する旨主張する。しかし、乙2の1〜2の2、5の1〜2、6のとおり、「厨房用の排気装置」等の製造又は販売する者は、「厨房用の排気装置等の設計」を業として行っているものであり、また、乙7の1によれば、「厨房用の排気装置の設計」は、建築設計者(建築設計事務所)が行うという実情もない(なお、乙2の1〜2の2、5の1〜2、6は、決定が認定した事実を補強する証拠であるから、これらに基づく主張を本訴においてすることが許されないという原告の主張は失当である。)。
 原告は、乙4の1、2には、「厨房用の排気装置」の完成品とその仕様が記載されているにすぎず、「厨房用の排気装置の設計」の役務は記載されていない旨主張する。しかし、乙5の1、2のとおり、乙4の1、2のホームページを開設している株式会社クリエが、「厨房用の排気装置の設計」の役務を行っていることは明らかである(なお、乙5の1、2は、決定が認定した事実を補強する証拠であるから、これらに基づく主張を本訴においてすることが許されないという原告の主張は失当である。)。
第5 当裁判所の判断
1 取消事由1(商標の類否判断の誤り)について
(1) 本件商標と引用商標の類否について
ア 称呼について
 本件商標は「SIMPO」の文字を標準文字で書してなる商標であり、引用商標は「SHINPO」の文字を横書きしてなる商標であって、いずれも特定の読みをもって親しまれた欧文字とはいえないから、取引者・需要者は、一般にローマ字読みを参考として称呼すること、英単語を称呼するときに「ム」の発音に変えて「ン」の発音すること等に照らすと、いずれの商標からも「シンポ」の称呼が生ずるといえる。すなわち、@ローマ字(ヘボン式)では、撥音「ン」を表すために、「B」、「M」、「P」の前では、「N」の代わりに「M」の文字が用いられる例があること、A「simple」、「tempo」、「Ampere」、「Ramp」、「Bumper」、「Compass」、「Sample」、「Slump」、「Dump Car」は、それぞれ「シンプル」、「テンポ」、「アンペア」、「ランプ」、「バンパー」、「コンパス」、「サンプル」、「スランプ」、「ダンプカー」と発音されること、B音声学的にも、単音「M」の後続子音が「P」の場合には、これを「ン」と発音すること(乙3の1〜2)等からすれば、本件商標の「SIMPO」の文字からは、「シンポ」の称呼が生じるというべきである。引用商標の「SHINPO」の文字から「シンポ」の称呼が生じることは、原告も認めている。なお、「SI」、「SHI」はいずれも「シ」の音を表すものである。
イ 外観について
 本件商標と引用商標とは、欧文字の「H」の有無及び欧文字の「M」又は「N」に差異があるが、他の部分は共通しており、両者の外観は近似しており、取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等において、格別の差異があるとまではいえない。
ウ 観念について
 本件商標と引用商標は、いずれも構成各文字が特定の語義を有しない語であり、いずれからも特定の観念を生じないというべきである。
 原告は、本件商標からは特定の観念が生じないのに対して、引用商標からは、「シンポ」の称呼により「進歩」等の観念を生ずるので両者は観念において相違すると主張する。しかし、前記のとおり、本件商標及び引用商標とも「シンポ」の称呼を生ずるのであるから、その称呼により「進歩」等の観念が生ずるのであれば、両者とも観念においても共通するといえる。
(2) 小括
 以上のとおり、本件商標と引用商標は、「シンポ」の称呼を共通にするところ、両者の外観に格別の差異があるということはできず、また、いずれの商標からも特定の観念を生じないから、取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等において、格別の差異があるとはいえず、両者は類似するというべきである。
 したがって、本件商標と引用商標は類似の商標であるとした決定の判断に誤りはなく、原告主張の取消事由1は理由がない。
2 取消事由2(指定役務の類否判断の誤り)について
(1) 本件商標と引用商標の指定役務の類否について
ア 引用商標の指定役務は、「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」である。
 証拠(甲8、11、18、乙1の1〜2の2、4の1〜7の1)及び弁論の全趣旨によれば、@「ロースター又は厨房用の排気装置」は、調理器具であるロースターや厨房から排煙等を除去する装置であって、建物そのものではなく、エアコンや換気扇などと同様に、単体の装置として独立した取引の対象となるものであること、A異議申立人を含め、「ロースター又は厨房用の排気装置」の製造販売を業とする者の多くは、それらの設計も行っているものであって、建築設計事務所等の建築設計者は、それらの設計を行うものではないことが認められる。
 上記の認定事実によれば、「ロースター又は厨房用の排気装置」は、「機械・装置」の一種であり、「ロースター又は厨房用の排気装置の設計」は、「機械・装置の設計」の一種であるというべきである。そうすると、引用商標の指定役務であるロースター又は厨房用の排気装置の設計」は、本件商標の指定役務中、「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」の「装置の設計」の範疇に属すべき役務であるといえるから、引用商標の指定役務と、本件商標の指定役務中「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」とは、類似する役務というべきである。
イ 原告は、引用商標の指定役務である「厨房用の排気装置の設計」は、「建築物の設計」に該当すると主張する。
 しかし、前記のとおり、@「ロースター又は厨房用の排気装置」は、調理器具であるロースターや厨房から排煙等を除去する装置であって、建物そのものではなく、エアコンや換気扇などと同様に、単体の装置として独立した取引の対象となるものであり、また、A異議申立人を含め、「ロースター又は厨房用の排気装置」の製造販売を業とする者の多くは、その設計も行っていることが認められ、建築設計事務所等の建築設計者が行うものとは認められない。したがって、引用商標の指定役務である「厨房用の排気装置の設計」は、「建築物の設計」に該当するということはできない。
 原告は、引用商標の指定役務について、「建築物の設計」と同じく、「42N01」という類似群コード番号が付されているのに対し、本件商標の指定役務中「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」の類似群コード番号は「42N03」であるから、引用商標の指定役務とは類似しない旨主張する。しかし、類似群コード番号を記載した「類似商品・役務の審査基準」は、特許庁における商標登録出願の審査事務等の便宜と統一のために定められた内規にすぎず、法規としての効力を有するものではない。前記のとおり、引用商標の指定役務と、本件商標の指定役務中「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」とが、類似する以上、原告の主張は、前提において採用することができない。
ウ 原告は、決定が、乙4の1、2(「株式会社クリエ」のウエブサイト)を証拠として、「厨房用の排気装置」が、「機械・装置」の一種であると認定した点に対して、@乙4の1、2は本件出願の出願日前の証拠ではないから同証拠に基づいて認定することは許されない、A同証拠によったとしても、同ウエブサイトには、「厨房用の排気装置」の完成品とその仕様が記載されているにすぎず、独立して商取引の目的となるような「厨房用の排気装置の設計」の役務は何ら記載されていない点で事実誤認があると主張する。
 しかし、@登録異議の申立てに対する決定の判断基準時点は、特別の規定がない本件のような場合にあっては、当該商標を登録すべきものとした処分(査定又は審決)の時点と解すべきであるから、乙4の1、2が本件出願の出願日前に作成、公表されたものでないので証拠とすることはできないとする原告の主張は、それ自体失当というべきである。また、A同証拠に基づき、「ロースター又は厨房用の排気装置」が、「機械・装置」の一種に含まれるとした決定の認定についても前記のとおり誤りはなく、この点の原告の主張も理由がない。
(2) 小括
 以上のとおり、引用商標の指定役務と、本件商標の指定役務中「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」とが、類似するとした決定の判断に誤りはなく、原告主張の取消事由2は理由がない。
3 結論
 その他、原告は縷々主張するがいずれも採用の限りではなく、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、他に決定を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
 したがって、原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第3部
 裁判長裁判官 飯村敏明
 裁判官 大鷹一郎
 裁判官 嶋末和秀


(別紙) 役務目録
 第42類
 「法律事務、知的財産権に関する調査・研究、気象情報の提供、電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究、建築又は都市計画に関する研究、公害の防止に関する試験又は研究、電気に関する試験又は研究、土木に関する試験又は研究、農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究、機械器具に関する試験又は研究、工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務、訴訟事件その他に関する法律事務、登記又は供託に関する手続の代理、電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与、理化学機械器具の貸与、地質の調査、機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計、デザインの考案、電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明、電子計算機端末による通信を用いて行う電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守、電子計算機通信ネットワークシステムの設計・作成又は保守、その他の電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機用プログラム又は電子計算機通信ネットワークシステムの設計に関する情報の提供、電子計算機用プログラムの設計・作成・環境設定・インストール・機能の拡張・追加又は保守に関する助言、電子計算機通信ネットワークシステムの設計・作成・環境設定・運用・機能の拡張・追加又は保守に関する助言、コンピューターに於けるサーバーの記憶装置の記憶領域の貸与、ウェブサイトの作成又は保守、インターネットにおける検索エンジンの提供、電子計算機用プログラムの提供、電子計算機を用いて行う情報処理、ウェブページ上の個人又は企業のスケジュール入力のための電子掲示板用サーバーの記憶領域の貸与、コンピュータソフトの作成に関する情報の提供、工業所有権・著作権・不正競争防止法における営業秘密の保護のあり方に関する情報の提供、コンピューターによる商標権に関する情報の提供、工業所有権・著作権その他の知的財産権に関する情報の提供、訴訟事件その他に関する法律事務に関する情報の提供、登記又は供託に関する手続の代理に関する情報の提供、土地の法規制に関する情報の提供、特許法・著作権法等の法律情報の提供、内外国特許明細書等から技術情報を加工・分析した技術動向の提供、法律・判決に関する情報の提供、公的年金に関する情報の提供、著作権の利用に関する契約の代理又は媒介」
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