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【事件名】JR東労組執行委員長への名誉棄損事件
【年月日】平成19年4月27日
 さいたま地裁 平成18年(ワ)第2053号 損害賠償請求事件

判決


主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1(1) 被告らは、原告に対し、別紙(省略)「謝罪文」記載のとおりの謝罪広告を、別紙(省略)「謝罪広告掲載方法」記載1の方法で、東京新聞埼玉・埼玉中央版に1回掲載せよ。
(2) 被告らは、原告に対し、別紙(省略)「謝罪文」記載のとおりの謝罪広告を、別紙(省略)「謝罪広告掲載方法」記載2の方法で、『週刊現代』誌上に1回掲載せよ。
2 被告らは、原告に対し、連帯して100万円及びこれに対する平成18年10月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は、原告が、被告株式会社講談社(以下「被告会社」という。)が発行した週刊誌「週刊現代」(以下「本件週刊誌」という。)の記事並びに本件週刊誌の新聞広告及び電車内広告により原告の名誉が毀損された等として、不法行為に基づき、被告会社及び当該記事の執筆者である被告A(以下「被告A」という。)に対し、謝罪広告の掲載及び慰謝料の支払を求める事案である。
1 前提事実(証拠等を掲記しない事実は、当事者間に争いがない。)
(1) 当事者等
ア 原告は、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)の従業員である。
 原告は、JR東日本従業員を中心に組織した全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)傘下の東日本旅客鉄道労働組合(以下「JR東労組」という。)に加入する組合員であり、現在、JR東労組大宮地方本部執行委員長を務めている。(以上、弁論の全趣旨)
イ 被告会社は、雑誌及び書籍の出版等を目的とし、本件週刊誌を出版している。
ウ 被告Aは、ジャーナリストの肩書で執筆評論活動などをしている者である。
(2) 本件週刊誌における本件連載の掲載号、標題等
ア 被告Aは、「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」と題する、別紙(省略)本件記事掲載誌目録(1)記載の10件の記事(以下「本件記事(1)」という。)及び別紙(省略)本件記事掲載誌目録(2)記載の14件の記事(以下「本件記事(2)」という。以下、本件記事(1)と本件記事(2)をあわせて「本件連載」という。)を執筆して被告会社に交付し、被告会社は、これを本件週刊誌に掲載した(以下、本件連載の「回数」欄記載の回数により、本件連載の各記事を特定する。)。(本件記事(1)については争いない。本件記事(2)について、甲15ないし28。)
イ 被告会社は、本件記事(1)が掲載された本件週刊誌を、本件記事掲載誌目録(1)目録の「発売日」欄に記載の日からそれぞれ約1週間にわたって日本全国に販売・頒布した。
ウ 被告会社は、本件記事(2)が掲載された本件週刊誌を、本件記事掲載誌目録(2)記載の「発行日」欄に記載の日のしばらく前の日から、それぞれ約1週間にわたって日本全国に販売・頒布した。(弁論の全趣旨)
(3) 本件週刊誌の広告状況
 被告会社は、別紙(省略)本件記事掲載誌目録(1)の「発売日」欄記載の日に、同目録の「各号の標題」欄記載のとおりの標題及びBJR東労組元委員長の顔写真などを掲載した新聞広告を、朝日新聞、毎日新聞、讀賣新聞、東京新聞などに掲載させ、同標題をつけた車内広告を、JR西日本及び私鉄の列車・電車内に掲示させた。
(4) 本件連載の記事の内容
 本件連載では、次のような事柄が書かれている。
ア 第4回(甲4)
(ア)タイトル
・渾身ルポテロリストに乗っ取られたJR東日本の真実(「東日本」は小さく書かれている。)
・ついに「置き石事件」発生
・乗客の生命が「人質」にされた!
・こんな会社の列車に乗ることができるのか
(イ)リード
 本誌の報道をきっかけに、大きな暴力が牙を剥こうとしている。7月31日、東京地裁前、『JR総連』の街宣車のスピーカーからは、こんな演説が垂れ流されていた。「ブラックジャーナリズムがJR東労組を攻撃しています」「こういうとき、悪質な列車妨害が多発します。昨日も60個の置き石事件が発生しました……」。本誌が徹底取材すると、彼らが言ったとおり、JR八高線で置き石事件が発生していたのだ。なぜ、JR総連は発表されていない置き石事件の詳細を知っていたのか。犯人は分からない。しかし、この事件には、かつて凶悪カルト教団『オウム真理教』が弄した「自作自演」という恐ろしい言葉を連想せざるを得ない。
(ウ)本文(抜粋)
・得体の知れない“暴力”が遂に、その牙を剥き出しにした−。
・ところが、この事実を被害者であるJR東日本はいっさい公表しなかった。
 では、JR総連は、なぜそれをいち早く具体的かつ正確に知り得たのか。さらになぜ、その「悪質な列車妨害」について演説したのか。
 ここで過去の凶悪なテロ事件を連想せざるを得ない。カルト教団『オウム真理教』は、地下鉄サリン事件を引き起こす直前、「世間の同情を買って、捜査のほこ先を変える」ため、教団東京総本部に火炎瓶を投げつけた。まさに「自作自演」の犯罪を行ったのだ。
・置き石事件の犯人は誰なのか、真相は分からない。しかし、謎を解く手がかりはある。ひとつのエピソードを紹介しておこう。
・警察が革マル派を捜査すると、列車妨害事件が発生する危険があり、私がJR革マル派問題を追及すれば、同様の事件が起きる。
 これは偶然の一致なのだろうか。
イ 第15回(甲15)
(ア)タイトル
 「私たちは見た!元JR東労組委員長Bの横領現場」( 元「JR東労組委員長」は小さく書かれている。)
(イ)サブタイトル
 訴訟乱発は「カルト」の証明
(ウ)リード
 本誌の連載を事実無根として東京地裁に提訴したB氏は、今週の記事を読んで、提訴したことを心底悔やむのではないか。B氏の主張に対し、かつての「腹心」たちが決定的な反論を寄せてきた。B氏よ、覚悟して読むべし。
(エ)本文(抜粋)
・カルト対策先進国、フランス。その国民議会で95年12月に採択された『セクト(フランス語で「カルト」の意味)調査委員会報告書』は、カルト団体を定義づけする構成要件の一つに、次の項目を挙げている。
 <裁判沙汰の多さ>
 つまりは訴訟を乱発し、批判を封じ込めようとする行為を指している。この定義に照らすなら、これらの組織も「カルト団体」と見て、差し支えあるまい。
 JR東日本の最大・主要組合『JR東労組』(東日本旅客鉄道労働組合)と上部団体『JR総連』(全日本鉄道労働組合総連合会)のことである。
 本稿の連載開始から約1ヵ月後の8月29日、JR東労組、JR総連、そして「革マル派幹部」のE・JR東労組大宮地本(地方本部)副委員長の3者が私と講談社を提訴した。
 そしてこの提訴からちょうど1ヵ月後の9月28日、C・JR東労組広報部長と、D・JR総連執行委員が、さらに10月3日には、原告・JR東労組大宮地本委員長が、それぞれ私たちを提訴してきたのだ。
 まさに「訴訟乱発」と言わざるを得ない。彼らは、これを「組織決定に基づいて行っている(JR」東労組元幹部)というのだからタチが悪い。
ウ 第21回(甲16)
(ア)タイトル
 JR総連組合員の本誌濫訴30件20裁判所は司法を悪用した言論封殺テロだ(「総連組合員」及び「30件20裁判所」は小さく書かれている。)
(イ)リード
 カルト対策先進国フランスでは、カルト団体と認定する構成要件として「裁判沙汰の多さ」を挙げている。現在、JR総連組合員が本誌の追及に対抗するため、続々と訴訟を起こしている。まさに、語るに落ちる。彼らは、訴訟を連発することによって、自らの異常性を証明しているのだ。
(ウ)本文(抜粋)
 一方、今回のJR総連組合員による訴訟乱発を、同元幹部はこう分析する。
 「彼らの大部分が『Lメンバー』や『Aメンバー』といわれる、Bを頂点とする『JR革マル派』の秘密組織の人間です。…(中略)…いずれにせよ全員が“B教信者”です。Bに対する忠誠心を競い合うため、われ先にと手を挙げる。自分の行動がいかに社会常識から逸脱しているか、気づいていないのです」
 “首領様”への忠誠心を競い合うその姿は、まさに金正日が支配する北朝鮮の官僚のそれと同じだ。しかも恐るべきことに、前述の28人(裁判所注記:「『本人訴訟』を起こしてきた」者の趣旨)のうち本誌が確認できただけでも9人が、現役の運転士だというのだ。
 つまり「カルト以上のカルト」集団の“信徒”が、JR東日本の山手線やJR東海の御殿場線、JR西日本の山陽本線の運転士として日々、乗務しているわけである。
(エ)「JR総連からの提訴一覧」と題する図表について
 都道府県名の書いてある日本地図の各都道府県から線が引かれていて、日付と肩書が書かれている。埼玉県から引かれた線の先には、「10/3 大宮地本委員長」との記載がある。
 図表の下には「JR総連の組合員による提訴(A氏と本社・講談社が被告)は、日本各地の裁判所で同時多発的に行われた。図中の日付は提訴日、役職は原告の組合内での立場(役職のない者は、その職種)」との記載がある。
(5) 原告は、平成18年10月3日、本件記事(1)による名誉毀損を請求原因として、本訴を提起した。(当裁判所に顕著である。)
(6) 原告は、平成19年1月19日の本件第2回口頭弁論期日において、本件記事(2)による名誉毀損の主張を請求原因に追加する訴えの変更を申し立てた。(当裁判所に顕著である。)
(7) 原告は、平成19年3月9日の本件第3回口頭弁論期日において、団結権侵害の主張を追加した。(当裁判所に顕著である。)
2 争点
(1) 本件連載が原告の名誉を毀損したか。
(原告)
ア 本件連載では、a JR総連やJR東労組がテロリスト集団であり、b JR総連やJR東労組は列車妨害を含む犯罪を行っている集団であり、c JR東日本はこのようなテロリストに乗っ取られていて、d JR総連やJR東労組がB氏により私物化されるようなデタラメな労働組合であるといった趣旨のことが書かれている。本件連載が掲載され始めた後、JR東労組の組合員が勤務中に乗客から革マル派呼ばわりされ、また、JR東労組組合事務所に対して怪文書が届いたり、怪電話がかかってきたりした。このように、本件連載により、JR東労組の組合員はテロリストの一員であるかのような社会的評価を受けるようになり、JR東労組及びJR総連の運動を大宮地域で指導してきた原告の名誉が害された。
イ 本件連載のうち、第15回(甲15)の記事の中で「原告・JR東労組大宮地本委員長」と記載している。また、第21回(甲16)の記事では「JR総連からの提訴一覧」の図表に「10/3大宮地本委員長」と表記し、JR総連やJR東労組で本人訴訟を起こしている者を「『JR革マル派』の秘密組織の人間」、「『カルト以上のカルト』集団の”信徒”」と断言している。
 これらの記事では原告は名指しで名誉を毀損されている。
ウ 仮に原告の被害が間接被害であったとしても、間接被害者と直接被害者の人的結びつきが強く、直接被害者と社会経済的に一体関係がある場合で、かつ、直接被害者への賠償のみでは償いきれない場合には、間接被害についても名誉毀損は成立する。本件では、「革マル派活動家」と記述されたJR東労組大宮地方本部副委員長であるEと原告は、副委員長と委員長の関係であり、人的結びつきが深く、社会的に一体関係がある。そして、JR東労組大宮地方本部副委員長が革マル派であると7回にわたって本件週刊誌に連載されたことにより、原告の社会的評価は低下し、直接被害者への賠償のみでは償いきれない被害が原告に生じた。
(被告ら)
 一般読者の普通の注意と読み方を基準として、本件記事(1)には原告個人に関する事柄はまったく記述されておらず、原告に向けられたものではなく、原告の社会的評価を低下させる余地はないから、原告に対する名誉毀損行為はない。原告は、JR東労組が批判されたことによる間接的反射的な損害を主張するにすぎず、本件記事(1)に関して不法行為上の被害者の地位にはない。また、本件記事(1)には原告の実名が記載されていないところ、団体に対する記事では、団体の構成員の名誉は毀損されない。
(訴えの変更による追加主張部分への被告らの認否について)
 訴えの変更により追加された主張に対する被告らの認否はないが、本件記事(1)による原告に対する名誉毀損が成立しないという本件における被告らの応訴態度からすれば、争っていることは明らかである。
(2) 本件連載が原告の団結権を侵害したか。
(原告)
 本件連載は、JR総連やJR東労組の対立関係にある日本鉄道労働組合連合会(以下「JR連合」という。)や「JR東労組を良くする会」の一方的な主張や、虚偽の事実を並べ挙げ、JR総連やJR東労組がテロリスト集団であり、犯罪集団・反社会的集団であるかのように描き出している。これは批判という域を越えた労働組合組織への破壊攻撃といえる。労働組合においては、組合員の団結が生命であり、団結を維持することは個々の組合員にとって権利であり義務であるのだから、本件連載によるJR東労組への組織破壊攻撃があれば、原告の団結権は侵害されている。
(被告ら)
(被告らの認否について)
 被告らはこの点につき認否を述べないが、本件記事(1)による原告に対する名誉毀損が成立しないという本件における被告らの応訴態度からすれば、争っていることは明らかである。
(3) 損害論
(原告)
 原告が被った損害はきわめて甚大であるから、完全に回復することはできないが、原告の名誉を回復するためには、被告らが謝罪広告を掲載し、原告に対し100万円の慰謝料を支払うことが最低必要である。
(被告ら)
 争う。
第3 争点に対する判断
 前提事実及び本件各証拠から認められる事実並びに弁論の全趣旨をもとにして、争点について以下検討する。
1 本件連載が原告の名誉を毀損したか。
(1) 原告は本件連載により名誉を毀損された旨主張するところ、週刊誌の記事による名誉毀損が成立するためには、一般読者の普通の注意と読み方を基準として(最高裁判所昭和31年7月20日第2小法廷判決)各記事を読んだときに、原告に向けられたものであると理解されることを要するというべきである。
(2) そこで本件連載について一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すると、本件連載は、JR総連、JR東労組、Bら(以下「JR総連ら」という。)に対する批判が書き連ねられており、これらのものに対して向けられているということができる。本件連載のうち、第15回と第21回以外の記事については、原告を特定した記載が存在しないから(甲1ないし10、17ないし28)、一般読者の普通の注意と読み方を基準として、原告に対し向けられたとは到底解することはできず、原告に対する直接の名誉毀損は成立しない。
(3) 本件連載のうち、第15回と第21回については、第15回は原告の氏名や肩書が記載されており、第21回は肩書や訴訟提起日が記載されていることから、これらの記事では、原告のことが特定されていると認められる。そして、第15回の記事では、原告を訴訟を乱発する「カルト団体」の一員であり、革マル派の一員であるとして批判し、第21回の記事でも、原告を「カルト団体」の一員であり、革マル派の一員であり、さらに「Lメンバー」や「Aメンバー」というJR革マル派の秘密組織の人間であるとして批判しているかのように読めないことはない。
 しかし、一般読者の普通の注意と読み方からすれば、一連の本件連載の中でのJR総連らの批判の一方法として、JR総連らの組織的な活動を指摘しているにすぎず、記事が原告に対し向けられているとは認められない。すなわち、本件連載の第15回の記事及び第21回の記事の中で、原告について触れているのはわずか一部にすぎず、原告だけでなく、被告らを相手取って訴訟を提起した同様の立場の者も列挙した上で、記事の大半ではJR総連らのことを書いていること、本件連載は一貫してJR総連らを様々な視点から批判していることからすれば、これらはJR総連らの組織性に対する批判を行っていると読むのが普通であり、その組織の個々の構成員を批判しているとは読まないのが普通であると解するのが相当である。したがって、本件連載中第15回及び第21回の記事も、JR総連らに向けられた批判であって、原告に向けられた批判であるとは認められない。よって、本件連載の第15回及び第21回の記事による原告に対する直接の名誉毀損は成立しない。(甲15、16)
(4) そして、団体に対する名誉毀損がなされた場合、当該団体の構成員も損害を受けることはあるが、それは間接的反射的損害にとどまり、団体の名誉が回復されることをもって当該団体の構成員の名誉も回復されるべきものである。もっとも、間接被害者と直接被害者が人的関係が強く、直接被害者に対する名誉毀損があれば、間接被害者に対する名誉毀損でもあるという場合で、間接被害者と直接被害者が別個の損害を受け、損害の回復のためには別個の回復がなされる必要があるような場合には、間接被害者に対する名誉毀損も成立する余地はあろう。しかし、たとえ原告がJR東労組大宮地方本部執行委員長という立場であったとしても、JR東労組の規模の大きさ(弁論の全趣旨)、本件連載の内容(甲1ないし10、15ないし28)などからすれば、原告とJR東労組や執行副委員長との人的関係が強く、JR東労組や執行副委員長に対する名誉毀損が原告に対する名誉毀損にも当たるとは到底いえない。したがって、本件連載による原告に対する間接的な名誉毀損も成立しない。
(5) 原告は、本件連載後に、組合員が革マル派呼ばわりされ、JR東労組組合事務所に怪文書が届き、原告が家族から心配されたことなども主張するが、これらも間接被害にすぎないから、本件連載による原告に対する名誉毀損は成立しない。
2 本件連載が原告の団結権を侵害したか。
 労働組合は組合員の団結により構成されることから、個々の組合員の団結する権利や利益を侵害することで、損害賠償請求が認められることがあることはそのとおりであるが、労働組合の団結権ではなく、個々の組合員の団結権が侵害されたというためには、団結権侵害行為が個々の組合員に対し向けられていなければならないというべきである。しかし、前記のとおり、本件連載は原告に向けられたとは認められないことから、原告に対する団結権侵害行為があるとは認められない。よって、本件連載による原告の団結権侵害も成立しない。
第4 結論
 以上により、その余の点を判断するまでもなく、原告の請求にはいずれも理由がない。
 よって、主文のとおり判決する。

さいたま地方裁判所第5民事部
 裁判長裁判官 片野悟好
 裁判官 岩坪朗彦
 裁判官 佐久間隆
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