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【事件名】“大阪みたらしだんご”不正競争事件
【年月日】平成19年3月22日
 大阪地裁 平成18年(ワ)第140号 不正競争行為差止等請求事件
 (口頭弁論終結の日 平成19年1月25日)

判決
原告 A
訴訟代理人弁護士 辻本希世士
復代理人弁護士 笠鳥智敬
同 松田さとみ
補佐人弁理士 辻本一義
同 窪田雅也
同 神吉出
同 上野康成
同 森田拓生
被告 株式会社向新
訴訟代理人弁護士 兵頭厚子
同 上原健嗣
同 上原理子


主文
 原告の請求をいずれも棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 被告は、別紙イ号物件目録記載の物件及び同物件の包装紙、包装箱、紙袋につき、「大阪みたらし」及び「元祖」の表示をしてはならない。
2 被告は、「大阪みたらし」又は「元祖」の表示がある別紙イ号物件目録記載の物件の包装紙、包装箱、紙袋を廃棄せよ。
3 被告は、別紙イ号物件目録記載の物件を製造し、譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入してはならない。
4 被告は、別紙イ号物件目録記載の物件を廃棄し、同物件の製造に必要な装置を除去せよ。
5 被告は、原告に対し、1億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本件は、和菓子を製造販売する原告から、同業で競争関係にある被告に対して、@原告の周知商品等表示である商標に類似する商標を被告が使用して混同を生じさせているから、不正競争防止法2条1項1号に該当する、A原告の周知商品等表示である商品形態と同一又は類似する商品形態を使用して混同を生じさせているから、同号に該当する、B被告が販売する商品の包装紙等に「元祖」の表示を付している行為が、内容又は品質について誤認させるような表示であり、同項13号に該当する、C被告が販売する商品の包装紙等に「元祖」の表示を付している行為が、原告の営業上の信用を毀損する虚偽の事実の告知行為であり、同項14号に該当する、として、それらに関する差止請求、廃棄請求及び損害賠償請求をする訴訟である。
2 基礎となる事実(証拠により認める事実は末尾に証拠を掲げた。それ以外は争いのない事実である。)
(1) 原告は和菓子を製造販売しており、被告は和菓子の製造、販売などを行う株式会社であり、競争関係にある。
(2) 原告は、別紙原告商品目録記載の和菓子(以下「原告商品」という。)を製造販売し、被告は、別紙イ号物件目録記載の和菓子(以下「被告商品」という。)を製造販売している(弁論の全趣旨、甲1の4、2の4)。
(3) 現在、原告商品の包装紙、包装箱には、別紙甲第1号証の1・3のように、右側に「大阪」という文字が配され、中央部には墨書書体の「みたらし」という文字が配され、左側には墨書書体の「小餅」という文字が配されている(以下、これらをまとめて「原告商標」という。)。
(4) 被告商品の包装紙、包装箱、紙袋(以下「包装紙等」という。)には、別紙甲第2号証の1・3・5のように、右側に墨書書体の「大阪みたらし」、左側上部に白抜きで「元祖」(以下、これも「元祖」と表記する。)、左側下部に墨書書体の「だんご」が配されている(以下、これらをまとめて「被告商標」という。)。
(5) 原告商品の形態は、醤油だれを白色の餅生地で包み、同餅生地を球状からやや扁平にし、上面に茶色の焼色を付した形態(以下「本件形態」という。)である。現在の原告商品と被告商品の形態は類似している。
3 争点
(1) 被告商標による混同行為の有無
ア 原告の主張
 原告商標は、「大阪みたらし小餅」である。原告商標は、遅くとも平成6年9月5日には、大阪を中心とする関西圏内において、原告の商品等表示として周知性を獲得した。
 被告商標は、「大阪みたらし元祖だんご」である。
 原告商標「大阪みたらし小餅」の後部「小餅」は、「小さい餅」の意を表し、商品の大きさと普通名称を示すにすぎない言葉であり、自他商品識別機能を有しない。したがって、原告商標に接した取引者需要者は、前部の「大阪みたらし」を要部として「オオサカミタラシ」の称呼を生じさせる。
 被告商標「大阪みたらし元祖だんご」の後部「だんご」も商品の普通名称であり、また、「元祖」の部分は他の文字とは異なる白抜きの構成を有していることから、被告商標に接した取引者需要者は、「大阪みたらし」を要部として、「オオサカミタラシ」の称呼を生じさせる。
 したがって、原告商標と被告商標は、要部を同じくし、称呼、観念を同じくする類似の商標である。被告は、これにより混同を生じさせる行為をしている。
イ 被告の主張
 原告の包装紙の中央には、同一書体、同大、同色の文字により「みたらし小餅」と記載されており、その右横部分には、「みたらし小餅」の書体とは相違する書体で、文字も小さく、また、色も異なった「大阪」という文字が記載されている。しかも、原告自ら、当該包装紙に商品名を「みたらし小餅」と表示している。そうすると、上記包装紙には、商標として「大阪みたらし小餅」ではなく「みたらし小餅」が表示されているのである。また、原告が商標登録している商標も「みたらし小餅」である。
 原告商標は、平成7年ころでも、原告の商品等表示として周知ではなかった。
 被告商標は、「大阪みたらしだんご」である。包装紙の商品の説明にも品名を「大阪みたらしだんご」と印刷されている。
 原告商標と被告商標が類似することは争う。
(2) 被告商品形態による混同行為の有無
ア 原告の主張
 原告商品の形態は、本件形態である。本件形態は、遅くとも平成6年9月5日には、大阪を中心とする関西圏内において、原告の商品等表示として周知性を獲得した。
 本件形態と被告商品の形態は類似している。被告は、これにより混同を生じさせる行為をしている。
 被告は、原告商品について平成16年ころまでは、餅生地上面に付した焼色の形状は、中の抜けた丸い輪状であったと主張するが、そのようなことはなく、写真でそう見えるのは写真写りの問題である。
イ 被告の主張
 商品形態は、外観上認識することができるものをいい、外部に表れない内部構造に止まる限りは商品形態ではない。したがって、原告商品の形態は、白色の餅の上面に茶色の焼色を付した球状からやや扁平な餅ということになる。この形態は、古くから和菓子の形態として一般的で周知の形態である。
 また、内部形態、不可視的形態も商品形態であるとしても、原告商品は、白色の餅に流動体の物質を内包し、上面に茶色の焼色を付した球状からやや扁平な餅生地という形態である。この形態も、古くから和菓子の形態として一般的で周知の形態である。
 現在、原告商品及び被告商品と類似の形態を有する醤油だれを内包した餅生地の団子は、市場において非常に多く出回っており、本件形態は、原告の商品等表示としての機能を有しているものではない。
 原告商品は、平成16年ころまでは、餅生地上面に付した焼色の形状は、中の抜けた丸い輪状であったが、その後変更して、中心まで全面的に焼色を付けたのである。
 被告は、平成6年9月5日の関西空港の開港と同時に、「大阪みたらしだんご」と銘打って被告商品の販売をしており、当時から周知となっていた。当時の原告商品形態の周知性は争う。
(3) 「元祖」表示による品質誤認表示行為の有無
ア 原告の主張
(ア) 被告商標の構成には「元祖」の文字があり、白抜きで構成されて強調されている。
 「元祖」とはある物事を最初に始めた人を指すから、被告商品は、需要者をして、醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子としては全国で最初に発案し販売されたものであるとの認識を惹起させる。「元祖」であることは、需要者をして、他社に先駆けて開発された商品であり、長年にわたる歴史や伝統を備えていると認識させることにより、具体的な成分や原材料の構成に言及することなく、当該商品が確かな品質を備えていることを保証する機能を有する。とりわけ、本件における「元祖」の表示は、醤油だれを餅生地で包むという従来のみたらし団子とは逆バージョン菓子という特徴的なアイデア商品の創始者を具体的に指していることが明らかであり、かかるアイデア商品であれば、その発案者の商品であることがその商品の価値を高め、その品質を保証する機能を有する。逆バージョンの原告商品又は被告商品の価値を評価するに際して、重要な要素の1つとして位置づけられているから、「元祖」であることは、被告商品の内容又は品質である。
(イ) 原告は、遅くとも平成元年4月ころ、醤油だれを餅生地で包むという従来のみたらし団子とは逆バージョン菓子の製造を発案し、訴外レオン自動機株式会社(以下「レオン」という。)の協力も得ながら同菓子や同菓子を製造する機械を試作し(甲25、26)、原告商品を完成させて、同年5月30日には特許出願を行った後、一部店舗にて断続的に販売を繰り返していた。このように、醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子としては全国で最初に発案し販売したのは原告であって、被告ではない。
 被告は、平成元年10月ころレオンから乙第11号証を受領したと主張するが、レオンは、逆バージョンのみたらし団子開発に関する原告への協力が一定の区切りを迎え、原告の特許出願が完了した後に、甲第25号証に写真及び材料原価を追加して他の菓子メーカーに対しても紹介をすることとしたのであろう。
(ウ) 原告は、平成3年12月に本山店開店に当たり、原告商品も掲載してチラシ広告(甲38。以下「本件チラシ」という。)を頒布している。
 被告は、本件チラシにつき、開店チラシ広告として相応しくないと主張するが、それは、単に被告のセンス・趣味・美的価値観を原告に押しつけているだけであり、上記チラシ広告の信用性を阻害する事情にはなり得ない。
 被告は、本件チラシにおける原告商品のスペースが小さいと主張する。しかし、原告商品は、本山店開店当時では販売数も多くなく、試験販売を断続的に行っている段階であり、原告は、種々の改良を重ねながら品質の向上に努めていたのであるから、問題点や改良すべきポイントが発見された度に、その都度製造を中止して、対策を講じ、また販売するという状況にあった。こういった理由で、原告は、原告商品を大々的に広告宣伝することは控え、あえて控え目に「新発売」との文字を用いたのである。また、本件チラシは、原告商品を除いては、進物に相応しい比較的高価な商品が掲載されているため、比較的安価な原告商品を、スペースも小さく控え目に広告したのはむしろ自然である。
 被告は、本件チラシが版下から製作された通常の印刷物とは認められない粗悪なチラシであって、後日捏造されたものと推測するのが相当であると主張する。本件チラシは、廃棄予定の書類が順不同に保管されている書庫でようやく発見できたチラシであり、原告としては、本件チラシが具体的にどのような手法で印刷されたかについてまで承知しているわけではない。そして、本件チラシは、広告したい商品の内容が十分に読みとれる程度に仕上がっており、チラシとしての効用が十分にある以上、原告としては、特定の支店の開店に際して配布する程度の広告であるから、厳密な仕上がりを求めるわけではない。被告の主張は、一般的な印刷の手法により作成された通常の印刷物とは認められないことから、直ちに後日捏造されたものであるとの推測を導くものであり、受け入れられない。
(エ) したがって、「元祖」は、被告商品の内容又は品質を誤認させるような表示である。
イ 被告の主張
(ア) 「元祖」とは、「ある物事を初めてしだした人」を意味する用語であるが、「元祖」であるからといって、品質が優れているわけではないことは、経験則上明白なことであり、商品の価値を評価するに際して重要な要素となりうるものではない。
(イ) 逆バージョンのみたらし団子等、液状の蜜を包み込む団子の製造機械は、レオンが単独で開発したものであり、液状の蜜を包み込む団子に関するアイデアについて原告との共同開発の事実は全くない。
 レオンは、平成元年10月ころ開催された菓子研究会で、同社の開発した機械を使用することにより醤油だれ等の流動体の餡を内包する菓子を製造することが可能であるとして、甲第25号証と記載内容がほとんど同じ配合表(乙11)を被告らに配布し、実演をした。被告は、平成3年8月にレオンからこの機械を購入し、材料の配合や製造方法に工夫を重ね、平成4年2月から、「みたらしだれ餅」と銘打って醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子の販売を開始し(ただし、当時は団子の上面に焼印はついていなかった。)、平成6年9月5日の関西空港の開港と同時に、関西空港の大阪土産として「大阪みたらしだんご」の販売を開始し、かつ、全国・地方に向けて大々的に発送する等して全国的な販売を開始した。醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子を全国的に最初に販売したのは、原告ではなく被告であるから、「元祖」と表示することは誤りではない。
(ウ) 原告が証拠として提出した原告のチラシ、広告の中で、原告商品が掲載されているのは、措信し難い本件チラシ(甲38)を除くと、平成8年秋に作成されたパンフレットが最も古く、それ以前は見当たらない。原告は、平成7年ころから原告商品を製造販売していたことは推認されるものの、平成元年どころか、平成5年に製造販売していたということさえ、容易には認められない。
 原告は、平成3年12月に開店した本山店において原告商品を販売していたと主張し、証拠として本件チラシ(甲38)を提出する。しかし、本件チラシは、片面にわずか6種類の商品が掲載されているにすぎず、原告の中心となる商品類(例えば、千鳥さぶれ、丸房露など)が掲載されておらず、新規開店のチラシ広告としては相応しくないものである。また、本件チラシに記載された「みたらし小餅」を除く他の商品は、いずれも賞味期間の長い進物用品であり、進物に相応しい価格であるのに、「みたらし小餅」だけは賞味期間の短いなま物で、進物に相応しくない安価な商品であり、他の商品と統一が取れていない。しかも、「みたらし小餅」が「新発売」であるにも関わらず、極端に小さなスペースでの取扱いになっており、他の部分と比較して文字や数字が極端に小さく、かつ、段落ちになってバランスを欠いており、当該部分を後から縮小して嵌め込んだようで、不自然である。さらに、「みたらし小餅」の写真は、平成10年6月以降のチラシ広告の写真(甲32ないし35、乙4の1ないし4、15の1ないし8)と同じであり、平成8年秋における原告の広告に掲載されている写真(甲24)とは異なる。そうすると、本件チラシの写真は、平成10年以降に撮影された写真を使用しているのではないかという疑いが残る。
 これに加えて、原告の他のチラシがすべて両面印刷であるのに、本件チラシだけは片面印刷によっており、この点も、本件チラシについての疑念を深めるものである。しかも、本件チラシは、訴訟係属後相当期間が経過して、被告商品が平成4年2月から販売されたとの証拠を被告が提出した直後に、その販売直前である平成3年12月のチラシ広告だけが発見されたということであって、提出経緯が不可解である。
 また、被告が、印刷の専門業者に依頼して、本件チラシが、真実版下・フィルムから製作された通常の印刷物であるかどうかを調査したところ、その結果は、本件チラシは、完成品である印刷物をスキャナーなどでコンピュータに取り込み、その後、何らかの出力機によりカラー印刷されたものと考えられるという結論であった(乙16)。
 本件チラシ全体の構成に鑑みると、本件チラシは、原告の本山店開店時に通常の印刷方法により作成されたであろうチラシ広告を、スキャナーでいったんコンピュータに取り込み、これを元にして、嵌め込みやすい位置に「みたらし小餅」の画像やその他の画像を縮小等したうえ、貼付けて編集し、完成させた画像を出力機でカラー印刷することによって、後日捏造されたものと推測するのが相当である。
(4) 「元祖」表示による営業誹謗行為の有無
ア 原告の主張
 被告は、「元祖」の文字を表示した被告商標を付した被告商品を製造販売しているが、「元祖」の表示が虚偽であることは、前記(3)アのとおりである。したがって、「元祖」という虚偽の事実が被告によって取引先及び一般需要者に告知又は流布されていることは明らかである。
 「元祖」であることは、原告商品又は被告商品の価値を評価するに際して、重要な要素の1つとして位置づけられている。需要者は、原告商品が被告商品よりも後れて発売されたと認識することにより、原告商品が被告商品よりも後発的に発売された価値が劣るものであると理解し、さらに原告は他社の製品を模倣するような業者であるという印象すら持つ。したがって、「元祖」の文字を付した被告商品の販売行為は、原告の営業上の信用を害する。
イ 被告の主張
「元祖」の表示は、原告ないし原告商品の信用を毀損するような行為ではない。
 また、被告が「元祖」と表示することが誤りではないことは、前記(3)イのとおりである。
(5) 損害
ア 原告の主張
 被告は、少なくとも平成8年以降、原告商品の存在を認識しており、被告には不正競争につき故意がある。
 平成8年から平成17年8月までの被告商品の販売数量は約275万箱である。原告が原告商品の販売によって得る利益は、1箱あたり450円を下らない。したがって、被告の不正競争行為により、原告は、少なくとも12億3750万円(算式は、450円/箱×275万箱=12億3750万円)の損害を被った。この内金1億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年1月22日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金を請求する。
イ 被告の主張
 被告が少なくとも平成8年以降、原告商品の存在を認識していることは、概ね認める。損害額は争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(被告商標による混同行為)について
(1) 原告商標について
ア 原告商標では、「みたらし小餅」の文字は、同一書体、同大、同色の文字により記載されているのに対し、「大阪」の文字は、書体も異なり、大きさも小さく、また、色も異なっている。
イ 上記「大阪」は、原告商品の産地ないし販売地を示すものと理解され、原告商品に用いた場合には、それのみでは自他識別性のない部分である。
 同「みたらし」は、新聞や雑誌により「『みたらし』といえば『団子』が定番」(甲42)、「ふつうのみたらしでは、残ったたれがもったいない」(乙7)と、原告により「みたらしのたれがお口の中で広がります」(乙4の5)、「とろりとしたみたらしのタレを包み込んだ」(乙15の1)、「写真ではみたらしのタレに滴る感じがなく」(甲41の2頁)と、被告により「みたらしだれを内包」(平成18年7月10日付け被告準備書面(3)3頁)と、レオンによりみたらし団子のタレを入れた餅について「みたらしだれ餅」(甲25、乙11)と、インターネット上でも「餅の中にみたらしあん」(甲28)と用いられるとおり、みたらし団子ないしこれに用いるたれ(「みたらしのたれ」「みたらしだれ」「みたらしあん」などと呼ばれる、甘みのある一種の醤油だれ。)を使用していることを示す名称と理解され、原告商品に用いた場合には、それのみでは自他識別性のない部分である。
 同「小餅」は、小さい餅を意味するから、原告商品に用いた場合には、それのみでは自他識別性のない部分である。
ウ そうすると、原告商標からは、全体から「おおさかみたらしこもち」、又は書体、大きさ、色が同一である部分から「みたらしこもち」の称呼が生じるものと認められる。他方、同一書体、同大、同色の文字である「みたらし小餅」を「みたらし」と「小餅」に分断し、その一方である「みたらし」に書体も異なり、大きさも小さく、色も異なる「大阪」を加えて読むというのは不自然な読み方であって、原告商標から「おおさかみたらし」の称呼が生じると認めることはできない。
 原告は、原告商標の「小餅」が自他識別性のない部分であるから、要部ではないと主張するが、前示のとおり、「大阪」も「みたらし」も自他識別性のない部分であるから、「小餅」だけを自他識別性がないという理由で要部でないとすることはできない。
エ また、上記アないしウの事実によれば、原告商標からは、その全体から「大阪のみたらしのたれを用いた小さな餅」、又は書体、大きさ、色が同一である部分から「みたらしのたれを用いた小さな餅」の観念が生じるものと認められる。
(2) 被告商標について
ア 被告商標では、「大阪」、「みたらし」、「だんご」の部分は、ほぼ同一書体、同大、同色の文字で記載され、「元祖」の部分は、これとは書体も、字の太さも異なる文字を用いて、少し斜めになった長方形の中に白抜き(したがって、文字の色も異なる。)で、記載されている。
イ 上記「大阪」は、被告商品の産地ないし販売地を示すものと理解され、原告商品に用いた場合には、それのみでは自他識別性のない部分である。
 同「みたらし」「だんご」は、普通名詞であるみたらし団子を示すものと理解されるから、それのみでは自他識別性のない部分である。
 証拠(甲15)によれば、「元祖」とは、「@一家系の最初の人、Aある物事を初めてしだした人、創始者」との意味であることが認められるから、上記「元祖」の部分は、商品ないし商標について「元祖」であると称している表示と理解される。
ウ そうすると、被告商標からは、全体から「がんそおおさかみたらしだんご」、又は、書体、大きさ、色がほぼ同一である部分から「おおさかみたらしだんご」の称呼が生じるものと認められる。他方、同一書体、同大、同色の文字であって、普通名詞である「みたらしだんご」を「みたらし」と「だんご」に分断し、その間に書体も、字の太さも異なり、少し斜めになった長方形の中に白抜きで記載されている「元祖」を挿入して読むというのは不自然な読み方であって、被告商標から「おおさかみたらしがんそだんご」ないし「おおさかみたらし」の称呼が生じると認めることはできない。
エ また、上記アないしウの事実及びみたらし団子が普通名詞であることを考慮すれば、被告商標からは、その全体から「元祖の大阪のみたらし団子」、又は書体、大きさ、色が同一である部分から「大阪のみたらし団子」の観念が生じるものと認められる。
(3) 以上のとおりであるから、原告商標と被告商標は、称呼及び観念が類似しないものである。また、両者は、外観が類似せず、全体的に観察しても類似しない商標と認められる。
2 争点(2)(被告商品形態による混同行為)について
(1) 本件形態の商品等表示性について検討する。
 本件形態のうち、「醤油だれを餅生地で包」んだ和菓子というのは、商品そのものであって、「商品又は営業を表示するもの」ということはできない。また、もしもこれを商品等表示とするならば、不正競争防止法2条1項1号が目的としている出所の混同の防止を超えて、「醤油だれを餅生地で包」んだ商品そのものの独占を認めることになり、商品の自由な流通を阻害する結果となる。したがって、これを同号の商品等表示と解することはできない。
 そうだとすると、本件形態に関して検討すべきは、醤油だれを餅生地で包んだ和菓子について、「白色の餅生地を球状からやや扁平にし、上面に茶色の焼色を付した形態」の商品等表示性の有無というべきである。
(2) 商品の形態は、通常、その商品の機能を発揮させ、又は美感を高めるために選択されるものであり、必ずしも商品の出所を表示することを目的として選択されるものではないが、商品の形態が他の商品と識別し得る独特の特徴を有し、かつ、商品の形態が、長期間継続的かつ独占的に使用されるか、又は、短期間であっても商品形態について強力な宣伝等が伴って使用されたような場合には、商品の形態が商品等表示として需要者の間で広く認識されることがあり得る。
(3) ある物質を餅生地で包み込んだ和菓子において、「白色の餅生地を球状からやや扁平にし、上面に茶色の焼色を付した形態」は、焼き大福を始めとして、ごくありふれた形態であることは当裁判所に顕著である。
(4) また、和菓子において、醤油だれを使用することがありふれたことであることも当裁判所に顕著である。したがって、餅生地で包まれる物質を醤油だれとした和菓子は、「ある物質を餅生地で包み込んだ和菓子」の一種ということができる。
(5) そうである以上、「ある物質を餅生地で包み込んだ和菓子」の一種である「醤油だれを餅生地で包み込んだ和菓子」について、「ある物質を餅生地で包み込んだ和菓子」におけるごくありふれた形態である「白色の餅生地を球状からやや扁平にし、上面に茶色の焼色を付した形態」としたとしても、これを他の商品と識別し得る独特の特徴とすることは到底できないのであって、これが商品等表示として需要者の間で広く認識されることがあり得るものと認めることはできない。よって、これを商品等表示であるとする原告の主張は、理由がない。
3 争点(3)(「元祖」表示による品質誤認表示行為)について
(1) 「元祖」を「物事を初めてしだした人」の意味に理解した場合
ア 「元祖」について、「物事を初めてしだした人」の意味に理解した場合、製品の製造販売についての「元祖」とは、製品の製造販売を初めてしだした人、という意味になる。ところで、ある製品を考えてみると、同種製品であっても、品質等様々な点に違いがあることが普通であって、これらにより顧客層の支持を得られず製造販売が少量短期間しか継続できず、失敗に終わったというべきものと、顧客層の支持を得て製造販売を継続するものとがある。しかし、「製造販売を初めてしだした」かどうかという点では、前者であろうと後者であろうと、最初に製造販売した人が「初めてしだした人」である。極端な例を挙げれば、ある種製品を最初に製造販売した人の製品が品質が劣り、顧客層の支持がなく間もなく製造販売中止となった後に、同種製品を別の人が製造販売したところ、それが品質優良で世の中に広まったとしても、その種製品の製造販売を「初めてしだした人」は、前者である。したがって、「元祖」について、「物事を初めてしだした人」の意味に理解する場合には、これを品質についての表示とすることはできない。
イ 原告の主張及びその提出証拠によれば、醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子について、原告は、平成元年にレオンと原告が共同で開発した後、「その後しばらくは当方で製造しておりませんでした」(甲18)、「商品としての完成度に確信がなかった」(甲41)、「一部店舗にて断続的に販売を繰り返し」(平成18年5月18日付準備書面6頁)という状態の後、平成4年6月から、株式会社図司穀粉による「開発、及び試験販売」よりの手伝いを得て、餅生地と食感の異なる製品が開発され、平成7年には相当数の米粉の納入を受けるようになり(甲10、26、41)、平成5年から株式会社パオシスから「みたらし小餅」のパッケージの納品を受けていたとされている(甲8)。したがって、原告提出の証拠によれば、原告は、現在の原告商品については、平成4年6月以降に「開発、及び試験販売」から始めたものであって、それ以前の醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子は、少なくとも餅生地と食感という品質において異なるものということになる。ところが、原告は、品質を変更した後の製品である原告商品について、その包装紙に、「醤油だれを包み込んだみたらし団子を創案し発売したのは当社が全国で最初でございます」と記載しており(甲1の1)、また、本訴において、被告が、醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子について、平成4年2月から販売を開始したと主張して証拠(乙8、9)を提出したのに対し、上記品質変更以前である平成3年12月の販売に関する本件チラシ(甲38)を提出して、醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子を最初に販売した時期を問題としている。このように、原告も、品質の相違にかかわらず、製造販売を「初めてしだした人」であるか否かを問題としていることは、最初に製造販売したかどうかということが、現在の品質にかかわらないことを裏付けるものということができる。
(2) 別の理解の余地について
ア 「元祖」について、別の理解の余地
 もっとも、前示のとおり、ある種製品について、品質等の相違により顧客層の支持を得られず製造販売が少量短期間しか継続できなかったものと、顧客層の支持を得て製造販売を継続するものとがある場合に、製造販売が少量短期間で失敗に終わったもの、比喩的に言えば「子孫」を残せなかったものとは異なり、製造販売を継続している中で最古のもの、比喩的に言えば「子孫」を残している者が「元祖」であるという解釈も、「元祖」の第1の意味が「一家系の最初の人」というものであることを考慮すると、全くないわけではない。
 そして、「元祖」を「製造販売を継続している中で最古のもの」という意味に解釈すると、販売を継続できたのは製品が顧客層に支持されたからであり、顧客層に支持されたということは品質において優れていたからであったと考えれば、「元祖」であることは品質と関係があることになる。
 それが遠い昔に開発されて販売されてきた種類の商品であれば、その後科学技術は大きく進歩しているから、後発組の中には、後発であるが故にその後の新たな技術を用いて、「元祖」に優るとも劣らぬ品質となっている商品や、「元祖」よりも現代人の好みに適合する品質となっている商品も存在することが十分に考えられるから、遠い昔から販売を継続できたことは、現在の品質の優位性とは直接は結びつかないように思われる。ところが、原告商品や被告商品のように、最近販売されるようになった新奇な製品である場合、「製造販売を継続している中で最古のもの」であることは、それが最近の出来事であるが故に、販売継続をもたらした品質の優位性がまだ失われずに今も保たれているということを暗示するものと解釈する余地もあり得る。
 ところで、原告及び被告は、その主張から明らかなとおり、被告商品について被告が使用している「元祖」の表示を「醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子」(逆バージョンのみたらし団子)の「元祖」の趣旨と理解しており、このことからすれば、上記表示に接した需要者も同様の認識を持つものと認められる。そこで、以下、被告商品について、「醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子」(逆バージョンのみたらし団子)について、「製造販売を継続している中で最古のもの」と称することが虚偽であるか否かについて検討する。
イ 被告の継続的な販売開始時期
 証拠(乙5、8、9)によれば、被告は、平成4年2月に醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子(ただし、上面に茶色の焼色がなかった)を「みたらしだれ餅」との名称で製造販売を開始し、平成4年12月15日付けで当時開港予定であった関西国際空港の旅客ターミナルビル内の出店に際して販売希望商品として申告し、平成6年9月の同空港開港と同時に「大阪みたらしだんご」名で販売して現在に至っていること、平成4年の上記申告の時点で、同年度の売上は、被告の年商が1億8〜9000万円であったところ、「みたらしだれ餅」は数量13000箱、売上高650万円で、被告の販売商品のうち売上高第7位であったことが認められる。したがって、上記申告後に売れ行き不振等の事情も窺えない本件では、被告は、醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子を、平成4年2月以降継続して販売しているものと推認される。
 なお、被告商品上面の茶色の焼色は、平成4年2月の後、平成6年9月までの間に新たにつけられたものであるが、上記焼色の有無は「醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子」であるか否かに影響するものではないから、「醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子」の販売の継続性に影響を与えるものではない。
ウ 原告の継続的な販売開始時期
(ア) 本件チラシについて
 被告は、本件チラシについて、@片面にわずか6種類の商品が掲載されているにすぎず、原告の中心となる商品類(例えば、千鳥さぶれ、丸房露など)が掲載されておらず、新規開店のチラシ広告としては相応しくない、A本件チラシに記載された「みたらし小餅」を除く他の商品は、いずれも賞味期間の長い進物用品であり、進物に相応しい価格であるのに、「みたらし小餅」だけは賞味期間の短いなま物で、進物に相応しくない安価な商品であった、他の商品と統一が取れていない、B「みたらし小餅」が「新発売」であるにも関わらず、極端に小さなスペースでの取扱いになっており、他の部分と比較して文字や数字が極端に小さく、かつ、段落ちになってバランスを欠いており、当該部分を後から縮小して嵌め込んだようで、不自然である、C「みたらし小餅」の写真は、平成10年6月以降のチラシ広告の写真と同じであり、平成8年秋における原告の広告に掲載されている写真とは異なるから、本件チラシの写真は、平成10年以降に撮影された写真を使用しているのではないかという疑いが残る、D原告の他のチラシがすべて両面印刷であるのに、本件チラシだけは片面印刷である、E本件チラシ提出の経緯が不可解である、F本件チラシは、通常の印刷物として制作された物ではない、と主張する。そして、本訴第5回弁論準備手続において、受命裁判官は、上記Cに関し、本件チラシの写真の撮影者、撮影時期について明らかにするよう原告に求めたが、いまだこの点は明らかにされない状態である。また、チラシの作成業者も不明である。
 以上の点を考慮すると、本件チラシの頒布時期については、疑問も残るところである。そこで、この点はひとまず措き、本件チラシの頒布時期について、原告主張を前提とした場合に、原告の継続的な販売開始時期がどうであるかを検討する。
(イ) 原告の主張及び原告提出証拠による推定
a 平成3年12月に頒布されたとされる本件チラシには、「みたらし小餅」について「新発売」との記載があり、このことからすれば、「みたらし小餅」はそれまでは販売されていなかったという意味に解される。したがって、本件チラシを前提としても、「みたらし小餅」は、平成3年12月以前には、販売実績がなかったか、又はないに等しかったことになる。
 他方、原告の主張及び原告提出証拠によっても、原告は、醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子について、平成元年にレオンと共同で開発した後、「その後しばらくは当方で製造しておりませんでした」(甲18)、「商品としての完成度に確信がなかった」(甲41)、「一部店舗で断続的に販売を繰り返し」(平成18年5月18日付準備書面6頁)という状態の後、平成4年6月から、株式会社図司穀粉による「開発、及び試験販売」よりの手伝いを得て(甲10)、原告商品が開発されたことになるのは前示のとおりである。以上の証拠に、本件チラシの「新発売」の記載を加えると、原告提出の証拠からは、原告は、醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子を、平成元年にレオンと共同で開発した後、しばらくは販売していなかったが、平成3年12月に商品化して「みたらし小餅」として新発売したが、その後販売を継続せず、平成4年6月から、株式会社図司穀粉による「開発、及び試験販売」よりの手伝いを得て、現在ある原告商品の開発に成功して平成5年ころに販売を開始したということになる。
b もっとも、甲第26号証には、Bが、平成1年4月ころから、「みたらし小餅」に使用する米粉を原告の関連会社である千鳥饅頭製菓株式会社(甲31)に納入していたが、平成4年6月ころ、「食感の問題」で業者を変えるという申し出があったので米粉の納入をやめた旨の記載がある。しかし、本件チラシからすれば、平成3年12月以前は、「みたらし小餅」の販売実績はなかったか、又はないに等しかったこと、及び「みたらし小餅」の販売が継続していないことは前示のとおりである。そうだとすると、甲第26号証の上記記載を、平成1年4月から平成4年6月まで、販売目的の「みたらし小餅」に使用するために原告に継続的に米粉を納入していたとの趣旨と読めば、前記認定と矛盾するから、採用することはできない。
 ただし、甲第26号証には、米粉の納入年月日も数量も記載がなく、米粉の納入が継続的であったとの記載もない。したがって、同証を、米粉の納入が、販売目的のものに限らず、例えば研究・試作の目的の少量のものも含めて、平成1年4月から平成4年6月までの間に何回か納入したことがあるという趣旨と解すれば、上記と矛盾しないから、同証を必ずしも虚偽と断ずるべきでもない。
 そして、上記いずれの趣旨と解しても、同証を、「みたらし小餅」について、原告が平成5年より前から現在まで継続して販売していたことの証左とすることはできない。
c また、甲第42号証には、「みたらし小餅」について、「89年に販売を始めた」との記載があるが、客観的裏付けのないものであって、原告が平成5年より前から現在まで継続して販売していたことの証左とすることはできない。
(ウ) その他、原告が、「醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子」の販売を平成5年より前から現在まで継続していると認めるに足りる証拠はない。
エ 以上の次第で、本件チラシが、平成3年12月に頒布されたものであるとしても、醤油だれを餅生地で包み込んだみたらし団子について、被告よりも早い段階で製造販売を開始した製品を、原告が現在まで継続して販売していると認めるに足りる証拠はない。そうである以上、仮に「元祖」について、製造販売を継続している中で最古のものという解釈をしたとしても、被告の「元祖」の表示が事実に反することの証明があったとすることはできないから、結局、これを虚偽とすることはできない。
4 争点(4)(「元祖」表示による営業誹謗行為)について
(1) 「元祖」の表示は、自らの事柄について説明するものということはできても、他の同業者について何ら述べるものではないから、それのみでは、他の同業者の営業上の信用を害する事実ということはできない。
(2) 「元祖」を「製造販売を継続している中で最古のもの」と解釈する場合、被告の「元祖」の表示を虚偽とすることができないことは前示のとおりである。
(3) 「元祖」を「物事を初めてしだした人」と解釈する場合、それは品質にかかわるものではないから、原告商品及び被告商品のような比較的安価な菓子類については、それによって、他の同業者の営業上の信用が直ちに害されるとは認められない。証拠(甲28、30)には、原告が「真似したってことかしら?」「真似かも(笑)」という表現をする者がいることが認められるが、それはわずか2例である。そして、「初めてしだした人」以外は全部「真似」であるとはいえないから、それが一般的な理解ともいえない。ちなみに、証拠(甲3、25、乙11)からすれば、原告と被告は、一方が他方の商品をみて真似をしたということではなく、それぞれの商品の開発に至ったように窺われるところである。
 また、証拠(甲29)には、「まがい物」という表現があるが、そのブログ上には被告のホームページへのリンクが掲載されており、この表現者は元々被告商品の支持者であってバイアスがかかっているものと認められるから、これをもって一般の需要者が、被告の「元祖」をもとに、他の同業者が「まがい物」との認識を持つことの証左とすることはできない。
5 結論
 以上の次第で、原告の請求は、その余について判断するまでもなく、いずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。

大阪地方裁判所第26民事部
 裁判長裁判官 山田知司
 裁判官 高松宏之
 裁判官 村上誠子
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