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【事件名】郵政民営化をめぐる自民・民主談合報道事件 【年月日】平成19年1月17日 東京地裁 平成17年(ワ)第15213号 謝罪広告等請求事件 判決 主文 1 被告株式会社A、同B及び同Cは、原告に対し、連帯して500万円及びこれに対する平成17年9月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告株式会社A、同B及び同Cは、別紙2の第2記載の謝罪広告を同2の第1記載の要領で1回掲載せよ。 3 原告の被告株式会社A、同B及び同Cに対するその余の請求並びに被告Dに対する請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用はこれを5分し、その2を原告の負担とし、その余を被告株式会社A、同B及び同Cの負担とする。 5 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは、原告に対し、連帯して1000万円及びこれに対する平成17年9月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは、読売新聞朝刊全国版に別紙1の第2記載の謝罪広告を同1の第1記載の要領で1回掲載せよ。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 被告B、同D及び同Cらは、同株式会社A発行の週刊誌「E」の編集に携わっているところ、同誌2005年7月22日号に、「小泉首相「解散」決意!「これで自民も民主も割れる」」と題する記事が掲載された。これについて、原告は、同記事中に原告に関する虚偽の記載があり、これにより原告の名誉が毀損されたと主張して、被告らに対し、不法行為に基づき、損害賠償及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成17年9月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払並びに謝罪広告の掲載を求めた。 2 前提となる事実(認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した証拠のページ番号を〔〕内に示す。) (1) 当事者 ア 原告 原告は、民主党所属の衆議院議員であり、下記週刊誌の発売当時、議院運営委員会の筆頭理事を務めていた。同年9月20日からは民主党常任幹事、同月22日からは決算行政監視常任委員長をそれぞれ務めている。 (争いのない事実、甲11〔1〕) イ 被告ら (ア) 被告株式会社A(以下「被告A」という。)は、雑誌及び書籍等の出版等を目的とする株式会社である(争いのない事実)。 (イ) 被告B(以下「被告B」という。)は、被告Aが発行する週刊誌「E」の編集長、被告D(以下「被告D」という。)は同週刊誌の取材記者、被告C(以下「被告C」という。)は同週刊誌のデスクである(争いのない事実、弁論の全趣旨)。 (2) 記事の掲載 被告Aは、「E」2005年7月22日号(以下「本件週刊誌」という。)における「小泉首相「解散」決意! 「これで自民も民主も割れる」」と題する記事(以下「本件記事」という。)において、「採決前から「打ち上げ」の相談」との小見出しに続けて、次の内容の文章(以下「本件文章」という。)を掲載したうえ、上記週刊誌を同月9日に発売した(争いのない事実、甲1、乙1〔14〕)。 「採決翌日、自民党反対派が集結する他方で、興味深い会合がもたれた。場所は東京・aの越後料理屋。そこにはF・衆院議運委員長、民主党のG氏など、前日まで国会で刃を交えていた自民党と民主党の議運委理事たちが顔をそろえていた。なんと、法案衆院通過の打ち上げだった。 「この日の会合は1週間近く前から決まっていた。『5日採決』で与野党が合意した時点で、民主党の方から慰労会の誘いをかけてきた」 自民党サイドはそう説明する。民主党は首脳部がH氏やI氏と接触して共闘を結びながら、国会対策の現場は逆に自民党の民営化推進派との談合を重ねていたのだ。小泉首相が「民主党も割れる」と政界再編に自信を示したのは、解散で自民党反対派を除名する一方で、民主党に手を伸ばして親小泉勢力を引き抜く工作に取りかかっていたからではないのか。」(裁判所注;上記「打ち上げ」部分の傍点は原文のままである。) 3 当事者の主張 (1) 原告の主張 ア 本件記事が原告の名誉を毀損等すること 原告が民主党の方針に反して裏で民営化推進の談合を重ねていたなどとの本件記事は、当時最大の政治課題となっていた郵政民営化法案の賛否に関わる問題について、民主党の方針に反した行動を取っていたとするものであって、仮にそれが真実であれば原告は議員辞職をしなければならないほどの問題となるから、本件記事は、原告に対する国民の信頼を大きく低下させ、著しく名誉及び信用を毀損し、業務を妨害した。 イ 本件記事の内容が虚偽であること 本件記事の内容はいずれも虚偽である。 平成17年7月6日に開かれた本件会合は、民営化反対、郵政民営化法案の廃案を目指すJ議員(以下「J議員」という。)の努力を評価・慰労する会合であった。すなわち、一貫して郵政民営化には反対の立場であった同議員が議院運営委員会自由民主党筆頭理事を辞任したことに伴い、やはり民営化反対の立場で闘ってきた原告らが呼びかけ、同議員の慰労会として、与野党の議院運営委員会関係者ら8人で開いたものである。本件会合を提案したのは7月1日であり、当初は同月7日に開催することを予定していたが原告の都合により同月6日になったものであるところ、本件会合提案の際、首相官邸側が郵政民営化法案の同月5日採決を望んでいたことは原告は承知していたが、原告らとしては採決日をサミット後に遅らせることを目指して闘っていた最中であり、仮に採決日時が遅れれば本件会合は採決直前の会合となってその意義が大きく、仮に5日採決となって同法案が否決となれば、まさに参議院採決前にJ議員を慰労することとなり、やはりその意義が大きいものであった。したがって、上記法案の可決を見込んで本件会合を企画したかのような被告らの主張は誤りであるし、原告が民主党の方針に反して民営化推進派との談合を重ねていたと指摘する本件記事も虚偽である。 ウ 被告らが本件記事の内容を真実と信じる相当の理由がないこと 被告らは、時間がなかったとの理由で、本件会合の出席議員の誰一人に対しても取材をすることなく、原告の政治生命に致命的影響を与える本件記事を掲載しているが、このように原告に対する取材をすることなく緊急に本件記事を掲載する必要性も合理性も公益性もなかった。しかも、上記のように原告の政治生命に致命的影響を与える記事については、真実であると信ずるについての相当な根拠も厳格なものが要求されるにもかかわらず、被告Cは、「なれ合い談合」であるとの記載をはじめとして本件記事の根拠資料は取材経過の事実と推測ないし憶測に尽きることを認めており、したがって本件記事の内容は事実とさえいえない抽象的事項、つまりうわさ話程度のものにすぎない。 したがって、被告らにおいて本件記事内容が真実であると信ずる相当の理由がないことは明らかであるし、むしろ、被告らは、本件記事内容が虚偽であることを知りながら、あるいは少なくとも事実について十分な関心を払わず、真実性を無視ないし軽視して掲載したものであって、被告らにはいわゆる現実の悪意があるとさえいえる。 エ 損害の内容について 原告が被った社会的評価の低下等の権利ないし法益侵害により、原告は精神的損害を受けたものであるところ、これを慰謝するには1000万円の慰謝料を必要とするほか、原告の名誉を回復するには謝罪広告の掲載が必要である。 (2) 被告らの主張 ア 本件記事が原告の名誉を毀損しないこと 本件記事は、「郵政民営化賛成派との談合」と記載したものであって、そのうえ、本件記事及び本件記事部分のどこにも、郵政民営化のために談合がされたことを示す記載がないし、その談合の内容も不明である。すなわち、同所の記載は、 [1] 採決翌日に自由民主党(以下「自民党」という。)反対派が結集する他方で [2] 東京・aの越後料理屋で、F・衆院議院運営委員長、民主党の原告などの自民党と民主党の議運委理事たちが顔を揃えた会合があった。 [3] これらの参加者は前日まで国会で刃を交えていた。 [4] 自民党サイドは、「1週間前から決まっていた。『5日採決』で与野党が合意した時点で、民主党の方から慰労会の誘いをかけてきた。」と説明している。 との事実を報じ、これらについて [5] 会合について、法案衆院通過の打ち上げだった、と評し、 [6] 民主党首脳部は自民党反対派と共闘を結んでいるのに、国会対策の現場では「自民党の民営化推進派との談合を重ねていた」と批判し、 [7] 小泉首相の引抜き工作の対象になりかねないとの評価をしたものである。 普通の読者であれば、上記[1]ないし[4]の事実を前提にすれば、上記[5]のとおり評価するだろうし、郵政民営化法案をめぐって鋭く対立している状態を世間に見せながら、法案採決の予定を立てて、しかも対立する当の相手方である自民党の郵政民営化推進派との打ち上げの会合までセットしていた事実からは、自民党の民営化推進派と談合を重ねていたという印象を受けるだろう。しかし、原告が指摘する箇所中に「郵政民営化の談合」との記述はない。本件記事のテーマは、郵政民営化法案ではない。解散による政界再編の動きである。 したがって、読者は、ここでの「談合」を原告が主張するように「郵政民営化の談合」ではなく、政界再編に向けての談合と読みとる。このことは前記のとおりである。 よって、本件記事の内容が、原告が主張するように、原告が郵政民営化に賛成していたかのように解釈されることはないのであって、原告の主張する社会的評価の低下はない。 イ 本件が名誉毀損の問題を構成しないこと 原告が郵政民営化推進派の与党議員と打ち合わせをして、衆議院採決の日を見越して酒席の場を持つことを約束し、これを実行したことは紛れもない事実であるところ、このような会合を持つことが様々な評価を受けるべきものであることは否定できない。このような場合、仮に原告の主張するように、上記会合が郵政民営化反対運動の一環であって、郵政民営化反対派のJ氏が辞任した時点で賛成派を交えて酒を酌み交わして同氏の慰労会を開くことに反対運動の意味があったというのであれば、その旨を報道機関に主張するなどして、国民全体に問題提起し、国民の判断を仰ぐべきであって、そのことが民主主義の原則に適うものである。そうでなければ、政治家の政治活動について、その行動の目的等が政治家個人の認識と違っていれば、損害賠償を覚悟しない限り、これらに関する報道はおよそ不可能となる。このような事態は、最も国民の監視を受けなければならない政治家の政治活動について自由な議論を不可能ならしめ、民主主義の根幹たる言論の自由の喪失を招く。 そうであれば、本件記事の内容について個人法益の侵害としての名誉毀損はないか、ないしは、公党の国会対策副委員長・衆議院の議院運営委員会筆頭理事というきわめて重要な地位にある人物のその職務に直結する公的活動に関わるものであるから、本件記事内容が仮に行動の目的、評価や意味づけにおいて原告個人の認識と違っていたとしても、それは受忍限度の範囲内であるというべきであるから、原告は、本件記事の内容について、名誉毀損を主張することは許されない。 ウ 本件記事の掲載について違法性がないこと 本件記事は、原告が郵政民営化を推進させる目的で談合をしたというのではない。原告の主張する「慰労会」は、「前日まで国会で刃を交えた自民党と民主党の議運委理事たちが顔を揃え」る「打ち上げ」を原告が1週間前から誘いかけたという事実(この点が事実であることは争いがない。)に基づいて考えれば、原告の政治姿勢が著しく緊張感の欠けたものであったことを端的に示している。このように、「打ち上げ」が行われたことは、次の各事実から明らかである。 すなわち、[1]平成17年6月末時点において民主党が郵政民営化を巡って自民党と激しく対立していたこと、[2]原告が郵政民営化を推進した自民党の幹部らも出席する「慰労会」の開催を自民党側に持ちかけたこと、[3]原告が主張する「慰労会」開催の決定時期である同年7月1日では、郵政民営化法案の採否は予断を許さない状況にあったこと、[4]「慰労会」には、郵政民営化反対議員のみならず、民営化を強力に推進し、その議事進行に尽力した自民党や公明党の幹部までもが出席したこと、[5]郵政民営化関連法案が同月5日に小差で衆議院で可決したこと、[6]「慰労会」が同月6日に開催されたこと、の6点に加え、[7]慰労会の場所の設営を原告がしたこと、[8]慰労会は郵政民営化に反対の政治的立場であったJ氏の国会対策委員長辞任に伴い、同氏を労うという名目であったこと、[9]原告の都合で日程を1日早め、同月6日としたこと、[10]「慰労会」の出席者が、J議員を除いて、民主党4人、与党側3人であるところ、その負担は与党側が12万円中7万円を負担したこと、[11]「慰労会」で、少なくとも「解散総選挙になるか、なった場合の政権交代はどうなるか」などの話がされたこと、[12]同年6月30日ころには、当時の小泉内閣総理大臣の日程から同年7月5日が衆議院の採決予定日として有力視され、委員会採決の日程が同月4日に決まったことはいずれも真実である。 これらの事実からすれば、この「慰労会」が上記のとおり「打ち上げ」であることは否定できないし、さらに原告がその酒席の場で、小泉首相の命を受けて政治活動している自民党幹部と政界再編について話し合ったということができる。J氏の慰労会という目的であるにせよ、与野党が激しく対立している最中における呉越同舟しての飲食は、国民の目から見て不自然であり、違和感を覚えるのは当然であるし、被告らにおいて、原告は郵政民営化法案反対を主張し、与党と対立を装いながら、実は郵政民営化賛成派と肝胆相照らして気脈を通じていたのではないかという疑念を感じるのは自然であり、被告がかく信じたことに相当性があったというべきである。したがって、これらに基づいて「談合を重ねた」と表現したのは相当であり、違法性はない。 エ 損害の内容について 損害の内容については争う。 第3 当裁判所の判断 1 事実認定 前記第2の2の前提となる事実に加え、証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる(認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した証拠のページ番号等を〔〕内に示す。以下同じ。)。 (1) 本件会合開催の経緯等 ア 原告の立場 原告は、民主党所属の衆議院議員であり、本件週刊誌(前出の「E」2005年7月22日号を指す。)の発売当時、衆議院議院運営委員会の筆頭理事を務めており(前記第2の2(1)アのとおり)、本件週刊誌発行当時、同党の方針のとおり郵政民営化には反対の立場にあった(原告本人〔2、3〕)。 イ 郵政民営化法案をめぐる衆議院の審議状況等 同法案は、政府が最重要法案と位置づけていたものであるところ、同年6月ころにおいては、自民党内の議員にも、同法案に賛成の意向を有する議員が多数を占める反面、反対の意向を有する議員も相当数おり、郵政民営化法案の成否は予断を許さない状況で、その衆議院郵政民営化特別委員会における審議状況等については、連日のように新聞報道がされていた(乙3〜16の各2)。 当時の小泉純一郎内閣総理大臣(以下「小泉首相」という。)は、同年7月6日、サミット(主要国首脳会議)出席のため、我が国を出発することが予定されており、帰国するまでの間は衆議院本会議等の開催が事実上できないことから、自民党ないし首相官邸は、それより前に郵政民営化法案が衆議院において可決されることを望んでいた。これに対し、民主党は、同法案の成立を阻止するため、上記特別委員会の採決予定日及び衆議院本会議における採決予定日はできるだけ遅い方がよいとの意向を有していた。また、原告は、郵政民営化法案が衆議院において否決されることを望み、いわゆる多数派工作の結果、衆議院において同法案が否決される見込みがあれば採決日程を早め、可決される見込みがあれば内閣不信任案を提出することで採決日を引き延ばす方針でいたが、引き延ばしのための方策が奏功するか否かは、同月末の時点では確信が持てない状態にあった。(原告本人〔13、25、26、39〕) このような状況下で、平成17年6月30日、郵政民営化法案の衆議院郵政民営化特別委員会における採決予定日を7月4日とすることが決定された(原告本人〔12、13〕)。 ウ 本件会合の開催に至る経緯 J議員は、平成17年6月ころにおいて、自民党に所属し、衆議院議院運営委員会において同党の筆頭理事を務めていたものの、郵政民営化法案には反対の立場に立っていたことから、自己の見解と筆頭理事の職務を両立させることが困難となり、同月19日に同理事の辞表を提出し、同月30日、同委員会において正式に受理された(原告本人〔18〕)。原告は、政権与党に属しながら自己と同じ立場で活動しているJ議員を慰労し、かつ、郵政民営化法案に反対すべき雰囲気を作り出すことも意図して、同議員の慰労会を開くことを思い立ち、同年7月1日、民主党の池田国会対策副委員長や牧野議員と共同で、その旨をJ議員に代わって自民党の筆頭理事に就任したK議員(以下「K議員」という。)に対して提案し、開催日を同月7日、場所については、国会議員らがよく利用する越後料理屋に決定したが、原告の都合により、開催日は同月6日に変更された。 同月5日には、衆議院本会議において郵政民営化法案が可決されることとなったが、原告は、参議院における審議及び採決がその後に控えていることから、本件会合を開催する意義はあると考えていた。本件会合は、同月6日に予定どおり開催された。本件会合には、同法案に反対したK議員と原告を含む民主党議員4名に加え、これに賛成した自民党及び公明党の議員合計3名が出席した。会費は、J議員を除き、割り勘とされていたが、民主党議員分として5万円を原告が負担し、その余の7万円余りを自民党のF議院運営委員長が負担した。(原告本人〔18、20、22、39、40〕) (2) 「E」について ア 「E」は、昭和44年(1969年)に創刊された被告A発行の週刊誌であって、全国において発売されており、平成16年度における発行部数は約80万部、平成17年における発売部数は44万8291部である(甲18の1・3、弁論の全趣旨)。 イ 「E」編集部は、編集長の下、3ないし4名の副編集長が編集長を補佐し、デスクと呼ばれる取材及び記事作成の指揮管理を行う者とその下に数名の編集部員(編集者)がそれぞれ配属されている。編集者はデスク単位で班を構成し、デスクの指示を受けて直接取材をしたり、外部の取材記者に取材を依頼ないし指示する。デスクは、編集者から取材結果の報告を受け、編集長や副編集長と協議しつつ、その統括を受けて編集者を指示しながら、取材及び記事作成を管理する。記事は編集者や編集者から指示を受けたライター(アンカーと呼ばれる。)が執筆する。記事内容と記事の掲載については、最終的には編集長の判断において決定される。(乙1〔1〕、被告C本人〔50〕、弁論の全趣旨) ウ 報道記事は、おおむね毎週金曜日及び翌週月曜日午前中に班のプラン会議で企画を検討し、デスクが企画を選別した上、同日午後のデスク会議(編集長、副編集長及びデスクが参加する。)に提出してテーマを決め、編集者に取材を指示する。編集者は自ら、又は外部の取材記者に依頼ないし指示することで取材をし、デスク及び編集長の確認を経て、水曜日午後から深夜に記事を入稿し、さらに修正や追加をして木曜日に記事を校了する。(被告C本人〔1、2〕、弁論の全趣旨) (3) 本件記事の企画等 ア 被告Cは、平成17年7月1日、ジャーナリストのLから、同人が自民党の議院運営委員会の幹部議員から同月6日に与野党の議院運営委員会が飲み会(前出の「本件会合」を指す。)を予定しているとの情報を入手したと伝えられた。被告Cは、同月4日の企画会議においてこの飲み会の情報をもとにした記事の企画を提出したところ、編集長から、政局に関連した記事にするよう指示を受けた。(被告C本人〔7〜11〕) イ 被告Cは、Lから、同月5日、本件会合について、J議員の慰労会との名目で予定どおりに同月6日に行われ、会合の申し出をしたのが原告であり、開催場所がbの越後料理屋であるとの情報を得たことから、編集者に対し、本件会合の写真撮影や取材を指示した。また、被告Cは、同月7日、部下のM編集者を通じ、被告Dに対し、原告本人及びK議員に対する取材を指示した。(被告C本人〔12、13〕) (4) 本件記事に関する取材の経緯 ア 本件会合の取材 Eのカメラマンは、平成17年7月6日午後9時ころまでに、本件会合の開催場所において写真撮影を行い、同開催場所に参集する議員らの写真及び会合後一斉に同開催場所から出てくる議員らの写真を撮影した。また、同開催場所に国務大臣が入っていったことが確認され、その旨が編集部に報告された。(乙2〔6〕、弁論の全趣旨) イ 原告本人及びK議員に対する取材 被告Dは、平成17年7月7日午後1時ころ、衆議院議員会館内の原告の事務所に電話をかけ、本件会合についての取材を申し込んだが、原告は事務所におらず、取材はできなかった。被告Dは、すぐにE編集部のM編集者に報告をし、指示を待ったが、その後、同編集部から被告Dに対する取材等の指示はなかった。(乙33〔1、2枚目〕) また、被告Dは、K議員の事務所にも電話をかけたが、同議員はおらず、同議員からの取材はできなかった。そこで、被告Dは、電話に応対した同議員の秘書に質問をし、本件会合がJ議員が議院運営委員会筆頭理事を辞したことに対する慰労会であること、政局の話など生臭い話はなかったこと、開催期日はJ議員が同理事を辞した直後に決まったこと、参加者が与党議員4名、民主党議員4名であったこと、本件会合の開催場所に現れた国務大臣は本件会合とは無関係であることなどを聞き取った上、その内容をM編集者に電話報告し、かつ、データ原稿を作成して電子メールで送信した。(乙33〔2〜4枚目〕) (5) 本件記事の編集と発行、発売 ア 被告B及び同Cらは、平成17年7月7日午後6時まで、原告から何らかの連絡があることを想定して待機したが、特段の連絡はなかった。そこで、K議員の秘書からJ議員の慰労会との話はあったものの、原告がその名目が何であるにせよ、郵政民営化法案の衆議院採決を見越して飲み会を申し出て、自民党関係者の強い批判を受けていたことが事実であり、国民の期待に反するなれ合いで、民主党執行部に対する裏切りに等しい行為であることに変わりはないと判断し、本件記事を執筆、修正の上、校了した。 (乙2〔6〕、被告C本人〔50、51〕) イ 本件記事が掲載された「E」7月22日号は、同月9日に被告Aから店頭販売された(前記第2の2(2)のとおり)。 (6) 本件記事発売後の事情 ア 平成17年7月14日午後3時30分ころから、衆議院第二議員会館において、原告と被告Cとが本件記事内容に関する話合いをし、その際、被告Cが原告に対して本件記事内容の意図等を説明したが、原告の理解は得られなかった(甲14)。 イ 同月17日午後5時41分、原告の事務所に対し、「政治家の二枚舌を憂う市民より」との作成名義による「化けの皮がはがれたGは即刻代議士を辞めるべし!」と題する、Eにより原告が民営化法が衆議院で採決された翌日、自民党の民営化推進派と打ち上げ式を開き祝杯を上げ、民営化推進の談合を重ねていたことが明らかになったと指摘し、「こんな二枚舌で有権者を騙し、裏表のある代議士を私たちの代表にしておくわけにはいけない。即刻辞職しなければならない!」と記載した文書がファクシミリ送信された(甲6、原告本人〔4〕)。 ウ 同年9月11日には、第44回衆議院議員総選挙が行われ、原告は4選を果たした(甲15)。また、J議員は、自民党の公認を得られないまま立候補して当選し、その後同党を離党した(弁論の全趣旨)。 2 本件記事が原告の名誉を毀損するか否かについて (1) 本件記事の解釈 ア 本件記事の内容は前記第2の2(2)のとおり「採決前から「打ち上げ」の相談」との小見出しが付された部分に含まれるものであるところ、そのうちの「そこにはF・衆院議運委員長、民主党のG氏など、前日まで国会で刃を交えていた自民党と民主党の議運委理事たちが顔をそろえていた。なんと、法案衆院通過の打ち上げだった」(傍点は原文のまま。)とする部分の前段は、上記1(1)イのとおり、当時の自民党首脳部が郵政民営化法案を衆議院において可決させようと考えており、他方、民主党がそれに反対の立場であったから、本件会合には郵政民営化法案の賛成派と反対派の双方が出席していることを指摘しているということができる。また、同後段部分は、「打ち上げ」が仕事の終了を記念する宴を通常意味することを前提とすれば、郵政民営化法案が衆議院において可決したことを記念する宴であるとの事実を摘示するものということができる。したがって、一般読者が前段及び後段の記載を併せて読むと、郵政民営化法案に反対の立場である民主党に所属する原告が、郵政民営化法案が衆議院において可決したことを記念する宴に参加していたとの事実を摘示していると解釈するのが通常の読み方であると認められる。 そればかりか、上記部分に続く「民主党は首脳部がH氏やI氏と接触して共闘を結びながら、国会対策の現場は逆に自民党の民営化推進派との談合を重ねていたのだ」との部分は、郵政民営化法案に反対の民主党は首脳部が反対で一貫しているのに対して国会対策の現場においては自民党の民営化推進派と不正に相通じていたものとの事実を摘示したとするのが素直な解釈である。そして、この部分が上記の「打ち上げ」を指摘する部分に続き、「打ち上げ」に関する説明をしていると解される段落であることに照らすと、結局、この部分も、国会対策の現場にある原告が、所属政党である民主党首脳部の方針に反し、自民党の郵政民営化推進派と不正な話合いをしていたとの印象を読者に対して与える記載であると解するのが相当である。 イ これに対し、被告らは、本件記事は郵政民営化法案が政治課題となっている時期に原告が本件会合を開催したこと自体に対する批判であり、「打ち上げ」や「談合」との表現は本件会合についての評価ないし論評であって、かつ、本件会合を取り巻く事情からすれば本件会合を「打ち上げ」や「談合」と表したことは適切であると主張する。 しかしながら、「打ち上げ」や「談合」という言葉は会合の趣旨を示す言葉であると解されるところ、会合の趣旨は会合の主催者ないし参加者の意思によって定まる事実であるから、「打ち上げ」や「談合」が事実ではなく論評であるとはいい難く、この点に関する被告らの主張は採用できない。また、このことを前提として表現の適切性をいう被告らの主張は前提を欠くというべきであるし、仮に真に本件会合が開催されたことを純粋に批判する趣旨で「打ち上げ」や「談合」との文言を用いたのであれば、一般読者の通常の読み方に対する理解を欠くものというほかなく、被告C及び被告Bは言論活動に携わる者として不注意にすぎるといわざるを得ない。 (2) 原告の社会的評価への影響 そうすると、本件記事は、上記(1)アの読み方からすると、原告が、郵政民営化法案に反対の立場をとっていながら、同法案に賛成であるかのように行動したということを指摘していることになるところ、このようなことは、国民に対して自らの政治理念を開陳し、これによって国民から支持を獲得している政治家にとっては、国民からの信頼を失い、いわゆる政治生命を失うことにもなりかねないのであるから、本件記事の摘示した事実によって、原告の社会的評価は低下するものというべきである。なお、本件記事については、全体が郵政民営化法案をめぐる政局を題材として政界再編の可能性を指摘する論調となっていることや、直後の文章が「小泉首相が「民主党も割れる」と政界再編に自信を示したのは、解散で自民党反対派を除名する一方で、民主党に手を伸ばして親小泉勢力を引き抜く工作に取りかかっていたからではないか」となっていることからすれば、政界再編の可能性の指摘を裏付ける事情にすぎないという読み方ができなくもないが、上記のとおり、具体的に原告の氏名を挙げてその行動を摘示しているものと解釈できる以上、本件記事全体の論調は上記判断を左右しないというべきである。 もっとも、被告らが本件会合の周辺事情から本件会合の趣旨を「打ち上げ」ないし「談合」であると評価したことが適切であると主張する点は、この評価の内容自体が真実であるか、真実と信じてもやむを得ないものと主張する趣旨と解することができるから、この点について、項を改めて検討する。 3 いわゆる真実性、相当性の有無について (1) 真実性に関する判断 上記1(1)イ及びウにおいて認定したところによれば、平成17年6月下旬の時点において自民党執行部が郵政民営化法案の成立を目指していたこと、民主党が反対の意向を有していたこと、本件会合には郵政民営化法案に賛成の意向を有していた与党議員3人も出席したこと、本件会合の企画時において首相官邸側が同年7月5日に衆議院本会議で採決する意向を有しており、本件会合が実際には同法案が衆議院において可決された翌日に開かれたことことがそれぞれ認められるところ、これらの事実のみ着目すれば、郵政民営化法案に対する賛成の意向を有する者と同法案が衆議院において可決された直後に原告が本件会合に参加したことになるから、原告も同法案が衆議院において可決されたことを喜ぶ立場に荷担したのではないかとの疑問が生じないでもなく、本件記事もこれらの事実からそのような評価を導いているものである。 しかしながら、上記のとおり、本件会合は、郵政民営化法案に反対していたことが原因で筆頭理事を辞任するに至ったJ議員の慰労会をするとの目的で開催されたものであるし、現に同議員は党の方針に反して同法案の採決に当たって反対票を投じたこと、議院運営委員会の筆頭理事を辞任した議員について慰労会が常に開催されるものではないことからすれば、本件会合は、現に会合の場で同法案の可決を祝う言動が基調となったといった特別の事情がない限り、同法案の可決を祝う「打ち上げ」とは評価できず、その目的のとおり、原告と同様に同法案に反対した与党議員の苦労を慰める会合と評価すべきであるところ、上記のような特別の事情の存在をうかがわせる証拠はない。 そうすると、本件会合が、郵政民営化法案が衆議院において可決したことを記念する趣旨の会合であることが真実であるとは認められないし、原告がそのような意図を持っていたとも認められない。そして、本件記事は、本件会合の趣旨について、単に慰労会と記載するのみで、自民党議員でありながら同法案に反対したK議員を慰労するものであることや、同議員を含めて同法案に反対した出席者の方が多かったことを一切記載しておらず、このような会合の評価を左右する重要な事実を記載していない点で、一般読者の評価を誤らせるものといわざるを得ない。 (2) 相当性に関する判断 一般に、公共の関心事について、公共目的を有してされた名誉毀損行為につき、その内容が真実であるとは認められない場合であっても、行為者が真実であると信ずるにつき相当の理由があるときは、上記行為に故意又は過失がないというべきである。そして、相当の理由があるときというのは、一応真実であると思わせるだけの合理的な資料又は根拠があることをいうと解するべきである。 しかしながら、本件記事に関する取材経過は上記1(3)ないし(5)において認定したとおりであるところ、それによれば、原告本人の事務所に対して一度電話をかけることで同人に対する取材を試みたことが認められるものの、結局は取材に至っていないし、他の出席者にも直接取材していないが(甲8の1〜8)、他方、本件会合に出席したK議員の秘書に対する取材により、本件会合の目的が筆頭理事を辞職して同法案に反対票を投じた自民党のJ議員の慰労会であり、政局の話など生臭い話は一切出なかったとの情報を得ていたことが認められる。そうすると、被告らにおいては、本件会合が上記(2)のとおりの目的のものであり、上記特別の事情の存在もうかがえないことを取材によって認識し得たものと認められるのであるから、本件記事の内容については、被告らにおいてそれが真実であると思わせるだけの合理的な資料ないし根拠があるものとは認め難い。 なお、被告らは、前記第2の3(2)で主張するところからすると、上記のK議員秘書からの取材内容を加味したとしても、本件会合の趣旨は郵政民営化法案の衆議院通過の打ち上げとみるべきであり、そのような評価が正しいか否かは一般読者が決すべきものであるから、そのような評価を含む本件記事を掲載することも許されるとの立場に立つようである。しかし、上記の事実関係を前提とする限り、一般人がそのような評価に至るとは認められないし、仮に被告らのそのような立場を前提としても、上記のK議員秘書からの取材内容をも明らかにした上で一般読者の評価に委ねるべきものであり、本件記事は、その記載を欠く点において、本件会合の評価をするに当たって重要な意味を持つ前提事実の記載を欠き、被告らのした評価に沿う事実のみを記載するものといわざるを得ず、公正な言論活動とは評価し難い。 4 責任原因についてのまとめ (1) 以上によれば、本件記事によって原告の社会的評価が低下し、これに対して、記事内容が公益性を有し、かつ、公益目的を持って掲載されたことを前提に、記事内容が真実であるとも、真実であると信ずることについて相当な理由があるとも認められないから、本件記事を本件週刊誌に掲載して発行したことは、原告に対する不法行為を構成するところ、被告Cは本件記事内容全般について指揮監督し、本件文章を含む本件記事の文章について朱を入れる等していたし、被告Bも、編集長として同様の関与をしていたことが認められ(被告C本人〔50、51〕)、被告Aは本件記事を含む本件週刊誌を発行、発売したのであるから、これらの被告はそれぞれが不法行為責任を免れない。 しかしながら、本件において不法行為を構成するのは上記のとおり本件記事を執筆及び編集し、本件週刊誌に掲載して発行したことにあるところ、被告Dは、上記において認定したところによれば、M編集者からの指示に基づいて原告に対する取材を担当したにすぎず、さらに進んで本件記事を執筆したり、編集したことをうかがわせる証拠は見当たらない。そうすると、被告Dは、せいぜい本件不法行為を幇助した可能性があるにすぎないことになるが、本件の記事内容が本件文章のようになることを同人が予見していたか、予見が可能であったと認めるに足りる証拠は見当たらない。したがって、被告Dについては、本件の不法行為を幇助したものとはいい難く、同人には、不法行為責任は成立しないものというべきである。 (2) なお、被告らは、本件の問題がそもそも名誉毀損を構成すべき問題ではないと主張し、その理由として、原告が国会議員であって、民主党の国会対策副委員長、衆議院議院運営委員会筆頭理事という公的地位にあって、その活動が広く国民からの批判にさらされることはやむを得ないことであるから、本件記事内容が仮に行動の目的、評価や意味づけにおいて原告個人の認識と違っていたとしても受忍限度の範囲内であることを挙げる。 この点については、本件記事が政治家の行動に関する事項であって、かつ、郵政民営化法案に関する記事であることからすれば、本件記事内容が公共の利害に関する事実に係り、かつ、公益を図る目的のもとで本件記事が掲載されたものと認められるが、この主張は、要するに、このことを前提として、記事内容が政治活動のような公益に関する事項に属するものであって、かつ、公益を図る目的で記事を掲載した場合に、その内容が真実であるか否かや、真実であると信ずることに相当の理由があるか否かを問わず、不法行為を構成しないとの主張であると解するべきものであって、結局、被告らの独自の見解であるといわざるを得ない。被告らのこの主張は採用できない。 5 損害の内容について (1) 損害の内容について 本件記事によって生じた原告の社会的評価の低下によって通常生ずべき損害について検討するに、本件記事によって、原告は、民主党の国会議員の地位にあり、議院運営委員会の理事を務めるなどしていたところ、郵政民営化法案について反対の意向を表明し、そのことを支持者に対しても明らかにしていたところであるのに、本件記事によって、賛成派に転じたかのような行動をとり、同法案に反対の意向を有する民主党首脳部の意向に反した行動をとったとの印象を一般に抱かせたものである。一般に政治家にとって、政治信条の如何は有権者からの支持に直接的に影響し、政治家としての生命にも関わることがあるところ、本件記事が主題とした郵政民営化法案は、本件記事発行当時における重要な政治課題であって、同法案が衆参両院において可決されるか否かによっては衆議院の解散、衆議院議員総選挙に至る可能性があるともいわれていたのであるから、このような重要な政治課題に対する言行不一致を疑われるような本件記事によって、その政治信条の一貫性に疑問が生じ、原告の社会的評価が著しく低下したことは、容易に推認できる。実際にも、原告に対しては政治家を辞めるべきである旨が記載されたファクシミリ文書が送信されてきたり、他の議員が原告の立場について釈明する事態に至っているところである。したがって、原告の社会的評価の低下は著しいものといわざるを得ず、これによって、原告は相当程度の精神的苦痛を受けたものと認められる。他方、原告は、業務を妨害されたとも主張するが、具体的な業務妨害の内容について主張していないし、同内容を具体的にうかがわせる証拠も存在しないから、本件文章の掲載によって原告の業務が妨害されたと認めることはできない。 (2) 慰謝料額について 原告の受けた精神的苦痛に対する慰謝料額は、上記(1)において説示した事情に加え、「E」が全国において発売されている週刊誌であること及びその発行部数からすれば本件記事による影響は大きいといわざるを得ないが、他方で本件記事発行後に行われた衆議院議員総選挙において原告が当選したこと、後記のとおり謝罪広告の掲載を認めることで原告の精神的苦痛が相当程度慰謝されると認められることなど、本件に顕れた一切の事情を総合考慮すると、500万円を以て相当と認められる。 (3) 謝罪広告の掲載について 上記(2)に加えて、原告らの毀損された名誉を回復するためには、被告らによる言説の重大性、本件においても被告らが「打ち上げ」と表したことは相当であると主張するのみで反省と謝罪の態度が不十分であること、及び本件記事が全国に流布されたと考えるのが相当であることなどからすると、原告が求めるとおり読売新聞全国版に謝罪広告を掲載させることも相当である。 もっとも、前記のとおり、被告Dについては不法行為責任が認められないし、原告の主張する業務妨害も認められないから、被告Dを作成名義人とする旨の記載及び業務を妨害された旨の記載を謝罪広告の内容とすべきではないことや、広告自体及び文字の大きさの相当性を考慮すると、謝罪広告の掲載要領及びその内容は別紙2・第2の限度にとどめるのが相当である。 6 結論 以上によれば、原告の請求は、被告A、同B及び同Cに対して主文掲記の額の損害賠償及び謝罪広告の掲載を求める限度で理由があるから、その限度で認容し、被告Dに対する請求全部及び被告A、同B及び同Cに対するその余の請求には理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第34部 裁判長裁判官 藤山雅行 裁判官 金光秀明 裁判官 萩原孝基 (別紙1)原告の請求する謝罪広告の要領 第1 謝罪広告の記載要領 1 大きさ 二段抜き、幅10行幅とする。 2 文字 見出し及び原告名を2倍活字とし、本文は1倍活字とする。 3 掲載場所 社会面広告欄 第2 謝罪広告の内容 次のとおりとする。 「謝罪広告 平成年月日 〒943-abcd 新潟県上越市ab−c−d 衆議院議員G 殿 〒101-abcd 東京都千代田区ab−c−d 株式会社A 代表取締役社長N 同所 B 同所 D 同所 C 私共は『E』7月22日号「小泉首相「解散」決意!『これで自民も民主も割れる』」と題する記事において、郵政民営化法案採決翌日、aの越後料理屋で、民主党の貴殿等民主党と自民党の議運委理事たちが法案衆院通過の打ち上げをしたとか、貴殿等が「自民党の民営化推進派と談合を重ねていた」などと虚偽の事実を記載しました。当日の会合はその記事とは全く逆で、一貫して民営化反対の立場で闘ってこられたJ衆議院議員が、議運自民党筆頭理事を辞任したことにともない、やはり民営化反対の立場で闘ってきた貴殿等が呼びかけ同議員の慰労会として、与野党の議運関係者等8人で開いたものでした。 しかるに私共の記事は公然と虚偽の事実を摘示して貴殿等に対する信頼を大きく低下させ著しく名誉・信用を毀損し、業務を妨害するものであり、多大の迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。私共の記事は事実無根であることを認め、ここにつつしんで謝罪いたします。」 (別紙2)謝罪広告の要領 第1 謝罪広告の記載要領 1 掲載紙 読売新聞全国版 2 文字 見出しを2倍活字とし、その余は1倍活字とする。 3 掲載場所 社会面広告欄 第2 謝罪広告の内容 次のとおりとする。 「謝罪広告 平成年月日 〒943-abcd 新潟県上越市ab−c−d 衆議院議員G 殿 〒101-abcd 東京都千代田区ab−c−d 株式会社A 代表取締役社長N 同所 B 同所 C 私共は『E』2005年7月22日号「小泉首相「解散」決意!『これで自民も民主も割れる』」と題する記事において、衆議院における郵政民営化法案採決の日の翌日、aの越後料理屋で民主党の貴殿等民主党と自民党の議運委理事たちが法案衆院通過の打ち上げをしたとか、貴殿等が「自民党の民営化推進派と談合を重ねていた」などと虚偽の事実を記載しました。当日の会合はその記事とは全く逆で、一貫して民営化反対の立場で闘ってこられたJ衆議院議員が、議運自民党筆頭理事を辞任したことにともない、やはり民営化反対の立場で闘ってきた貴殿等が呼びかけ同議員の慰労会として、与野党の議運関係者等8人で開いたものでした。 しかるに私共の記事は公然と虚偽の事実を摘示して貴殿等に対する信頼を大きく低下させ、著しく名誉を毀損するものであり、多大の迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。私共の記事は事実無根であることを認め、ここに謹んで謝罪いたします。」 |
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