判例全文 line
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【事件名】商標“ラブandベリー”侵害事件
【年月日】平成18年12月22日
 東京地裁 平成17年(ワ)第18156号 商標権侵害差止等請求事件
 (口頭弁論終結日 平成18年10月25日)

判決
原告 有限会社ジェイ・エイ・イー
訴訟代理人弁護士 八掛俊彦
同 八掛順子
被告 株式会社セガ
訴訟代理人弁護士 田中克郎
同 長坂省
同 米山貴志
同 柏健吾
訴訟代理人弁理士 佐藤俊司
補佐人弁理士 田中景子


主文
1 被告は、別紙標章目録2、4(1)、5(1)及び6記載の標章を付した衣類、履物及び帽子を販売し、販売のために展示し、又はその広告をしてはならない。
2 被告は、第1項記載の標章を付した衣類、履物及び帽子を第三者に製造させ、販売させ、販売のため展示させ、又はその広告をさせてはならない。
3 被告は、原告に対し、22万4217円及びこれに対する平成17年9月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用はこれを3分し、その2を原告の、その余を被告の各負担とする。
6 この判決は、第3項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求
1 被告は、別紙標章目録1ないし6記載の標章を付した衣類、履物及び帽子を販売し、販売のために展示し、又はその広告をしてはならない。
2 被告は、別紙標章目録1ないし6記載の標章を付した衣類、履物及び帽子を第三者に製造させ、販売させ、販売のため展示させ、又はその広告をさせてはならない。
3 被告は、原告に対し、500万円及びこれに対する平成17年9月9日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は、原告が、原告が商標権を有する商標に類似した標章を付したTシャツ等を販売した被告に対し、商標法36条1項に基づき、停止及び予防としてその販売等の差止めを求めるとともに、商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。
1 前提事実
(1) 当事者
ア 原告は、衣料品のデザイン、企画及び販売等を業とする有限会社である。
(弁論の全趣旨)
イ 被告は、業務用遊戯娯楽機械器具等の企画、製造、販売及び輸出入等を業とする株式会社である。
(争いのない事実)
(2) 原告の商標権等
ア 原告は、以下の商標権を有している(以下「本件商標権」といい、その登録商標を「本件登録商標」という。)。
 登録番号 第4294927号
 登録商標 別紙登録商標目録のとおり
 登録日 平成11年7月16日
 出願日 平成10年7月24日
 商品及び役務の区分 第25類
 指定商品 洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、和服、エプロン、えり巻き、靴下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、布製幼児用おしめ、ネクタイ、ネッカチーフ、バンダナ、保温用サポーター、マフラー、耳覆い、ずきん、すげがさ、ナイトキャップ、ヘルメット、帽子、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)、靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引き手、靴びょう、靴保護金具、げた、草履類、仮装用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)、乗馬靴
(争いのない事実)
イ 原告は、インターネット等を通じ、本件登録商標を付したTシャツ等を販売しているが、その顧客層は、主に高校生以上の女性である。
(甲14〜16、弁論の全趣旨)
(3) 被告ゲーム機
ア 被告は、平成16年10月、「オシャレ魔女ラブandベリー」という名称の業務用ゲーム機(以下「被告ゲーム機」という。)を開発した。
イ 被告ゲーム機は、5歳から9歳程度の女児向けのゲーム機であり、衣装、履物、髪型・毛髪の色、化粧などが描かれた「オシャレ魔法カード」をゲーム機に読み取らせ、2人のオシャレ魔女「ラブ(LOVE)」と「ベリー(BERRY)」を変身させることをその内容としている。
ウ 被告ゲーム機は、平成16年10月末から全国のスーパーマーケット、ショッピングセンター、ゲーム施設等に導入され、平成17年9月までに、2700店舗に4600台が設置された。
エ 被告ゲーム機には、別紙標章目録1記載の標章(以下「被告標章1」といい、他の標章についても同様に略称する。)が付されている。
(以上、乙2、3の1〜3、6、7、8の1〜6、9の1〜13、10の1〜7、11の1〜9、15〜18)。
(4) 被告の行為
ア 被告は、平成17年7月ころから同年8月31日ころまでの間、別紙被告商品目録1ないし7のTシャツ及びサンダル(以下、各製品を「被告Tシャツ1」、「被告サンダル7」のようにいう。)を販売した。これらの商品は、本件商標権の指定商品に属する。
(争いのない事実)
イ 被告は、上記アの商品の製造を自己が指定した仕様で製造してもらい、仕入れた上、店舗での販売も、第三者に委託して行った。
(争いのない事実)
ウ 被告は、平成18年1月ころから、別紙被告商品目録8のリストバンド(「被告リストバンド8」。上記アの商品と併せて「被告商品」という。)を販売している。被告リストバンド8は、本件商標権の指定商品に属するか、少なくとも類似する。
(甲18、19、弁論の全趣旨)
エ 被告商品の需要者は、被告ゲーム機の顧客と同様、小学校入学前から小学校低学年の女児及びその保護者である。
(弁論の全趣旨)
2 争点
(1) 本件登録商標と被告各標章の類否
(2) 商標的使用該当性
(3) 原告の損害額
3 争点に関する当事者の主張
(1) 本件登録商標と被告各標章の類否
ア 原告の主張
(ア) 本件登録商標
a 外観
 本件登録商標は、「LOVE」という文字と「BERRY」という文字が横一列に記載されたものであり、そのとおりの外観を有する。
b 称呼
 本件登録商標から、「ラブベリー」という称呼が生じる。
c 観念
 「LOVE」は、英語で愛、恋(名詞)、愛する、恋する(動詞)を意味し、「BERRY」は、英語でイチゴ類の小果実を意味するから、本件登録商標からは、これらを合成した「愛イチゴ」、「恋イチゴ」、「イチゴを愛でる」、「イチゴ大好き」等の観念が生じ、可憐さ、愛らしさ、やさしさ又は穏和さ等を連想させる。
(イ) 被告標章1
a 構成等
(a) 被告標章1は、別紙標章目録1記載のとおりの構成である。
(b) 被告標章1は、被告Tシャツ1ないし6の織りネームとタグに、被告サンダル7のタグに、被告リストバンド8のライトで囲まれた中央部に、それぞれ付されている。
b 称呼
(a) 被告標章1は、上段の「オシャレ魔女」という文字を小さく、下段の「ラブandベリー」のうち「ラブベリー」という片仮名文字を大きく、「and」というアルファベット文字を付加的に小さく表示している。
 さらに、「and」の部分は、わが国でも広く知られている英語の等位接続詞であって、前後の語を結合するだけの補助的なものであり、それ自体格別の印象を与えない識別力の弱い部分である。
 よって、被告標章1の要部は、大きく片仮名文字で表示されている「ラブベリー」の部分である。
 上記要部からは「ラブベリー」と、 いう称呼が生じ、本件登録商標と称呼において同一である。
(b) 仮に「ラブandベリー」の文字から「ラブアンドベリー」の称呼が生じるとしても、簡易迅速を旨とする商取引の場や、若年層の消費者等の間においては、「and」の部分が省略した「ラブベリー」の称呼をも生ずる。
(c) また、「ラブアンドベリー」を一連に発音するときは、普通、「アンド」は「ラブ」と「ベリー」との間に飲み込まれてほとんど発音されないから、本件登録商標から生ずる称呼「ラブベリー」と極めて紛れやすく、類似する。
c まとめ
 以上のとおり、被告標章1は、称呼において本件登録商標と同一又は類似であるから、本件登録商標に類似する。
d 被告の主張に対する認否
 後記被告の主張(イ)e(取引の実情等)は不知。
(ウ) 被告標章2
a 構成等
(a) 被告標章2は、別紙標章目録2記載のとおりの構成である。
(b) 被告標章2は、被告Tシャツ1の前身及び被告サンダル7の足の裏をのせる部分である天に、それぞれ付されている。
b 外観
 本件登録商標と被告標章2とは、外観において類似する。
c 称呼
 被告標章2からは「ラブベリー」という呼称が生じ、本件登録商標と称呼において同一である。
d まとめ
 したがって、被告標章2は、本件登録商標に類似する。
e 被告の主張に対する認否
 後記被告の主張(ウ)d(観念)は否認し、e(取引の実情等)は不知。
(エ) 被告標章3
a 構成等
(a) 被告標章3は、別紙標章目録3記載のとおりの構成である。
(b) 被告標章3は、被告Tシャツ2の背中部に付されている。
b 外観、観念
(a) 被告標章3において、「and」という語は、「Love」、「Berry」よりも小さい字で表記され、前記(イ)b(a)のとおり識別力の弱い部分であるから、その要部は「Love」と「Berry」であり、これが等価的につながったものである。
(b) したがって、被告標章3と本件登録商標とは、外観及び観念において同一か、少なくとも類似する。
c 称呼
(a) さらに、被告標章3からは、「ラブベリー」という称呼が生じ、本件登録商標と称呼において同一である。
(b) 被告標章3から生ずる称呼が「ラブアンドベリー」であるとしても、前記(イ)b(b)、(c)のとおり、本件登録商標の称呼「ラブベリー」と類似する。
d まとめ
 したがって、被告標章3は本件登録商標に類似する。
e 被告の主張に対する認否
 後記被告の主張(エ)e(取引の実情等)は不知。
(オ) 被告標章4(1)
a 構成等
(a) 被告標章4(1)は、別紙標章目録4(1)記載のとおりの構成である。
(b) 被告標章4(1)は、被告Tシャツ3の前身に付されている。
b 外観、観念
 被告標章4(1)中の「&」という文字は、「and」以上に存在感が希薄であるから、被告標章4(1)と本件登録商標は、外観及び観念において類似する。
c 称呼
(a) 被告標章4(1)からは「ラブベリー」という呼称が生じ、本件登録商標と称呼において同一である。
(b) 被告標章4(1)から生ずる称呼が「ラブアンドベリー」であるとしても、前記(イ)b(b)、(c)のとおり、本件登録商標の称呼「ラブベリー」と類似する。
d まとめ
 したがって、被告標章4(1)は本件登録商標に類似する。
e 被告の主張に対する認否
 後記被告の主張(オ)e(取引の実情等)は不知。
(カ) 被告標章4(2)
a 構成等
(a) 被告標章4(2)は、別紙標章目録4(2)記載のとおりの構成である。
(b) 被告標章4(2)は、被告Tシャツ4の前身に付されている。
b 外観、観念
 被告標章4(2)中の「&」という文字は、「and」以上に存在感が希薄であるから、被告標章4(2)と本件登録商標とは、外観及び観念において類似する。
c 称呼
(a) 被告標章4(2)からは「ラブベリー」という呼称が生じ、本件登録商標と称呼において同一である。
(b) 被告標章4(2)から生ずる称呼が「ラブアンドベリー」であるとしても、上記(イ)b(b)、(c)のとおり、本件登録商標の称呼「ラブベリー」と類似する。
d まとめ
 したがって、被告標章4(2)は本件登録商標に類似する。
e 被告の主張に対する認否
 後記被告の主張(カ)e(取引の実情等)は不知。
(キ) 被告標章4(3)
a 構成等
(a) 被告標章4(3)は、別紙標章目録4(3)記載のとおりの構成である。
(b) 被告標章4(3)は、被告Tシャツ5の前身に付されている。
b 外観、観念
 被告標章4(3)中の「&」という文字は、「and」以上に存在感が希薄であるから、被告標章4(3)と本件登録商標は、外観及び観念において類似する。
c 称呼
(a) 被告標章4(3)からは「ラブベリー」という呼称が生じ、本件登録商標と称呼において同一である。
(b) 被告標章4(3)から生ずる称呼が「ラブアンドベリー」であるとしても、前記(イ)b(b)、(c)のとおり、本件登録商標の称呼「ラブベリー」と類似する。
d まとめ
 したがって、被告標章4(3)は本件登録商標に類似する。
e 被告の主張に対する認否
 後記被告の主張(キ)e(取引の実情等)は不知。
(ク) 被告標章5(1)
a 構成等
(a) 被告標章5(1)は、別紙標章目録5(1)記載のとおりの構成である。
(b) 被告標章5(1)は、被告Tシャツ3の左胸部に付されている。
b 外観、観念
 被告標章5(1)は、「LOVEBERRY」の中に小さく「★」を有しているだけであり、本件登録商標と外観及び観念において類似する。
c 称呼
 「★」の記号は「LOVE」と「、 BERRY」に挟まれているため、それ自体の称呼は生じない。
 したがって、被告標章5(1)からは「ラブベリー」という呼称が生じ、本件登録商標と称呼において同一である。
d まとめ
 したがって、被告標章5(1)は本件登録商標に類似する。
e 被告の主張に対する認否
 後記被告の主張(ク)e(取引の実情等)は不知。
(ケ) 被告標章5(2)
a 構成等
(a) 被告標章5(2)は、別紙標章目録5(2)記載のとおりの構成である。
(b) 被告標章5(2)は、被告Tシャツ6の前身及び背中部に付されている。
b 外観、観念
 被告標章5(2)は、「LOVEBERRY」の中に「★」を有しているだけであり、本件登録商標とは、外観及び観念において類似する。
c 称呼
 「★」の記号は、「Love」と「Berry」に挟まれているため、それ自体の称呼は生じない。
 したがって、被告標章5(2)からは「ラブベリー」という呼称が生じ、本件登録商標と称呼において同一である。
d まとめ
 したがって、被告標章5(2)は本件登録商標に類似する。
e 被告の主張に対する認否
 後記被告の主張(ケ)e(取引の実情等)は不知。
(コ) 被告標章6
a 構成等
(a) 被告標章6は、別紙標章目録6記載のとおりの構成である。
(b) 被告標章6は、被告サンダル7の鼻緒に付されている。
b 外観、観念
 被告標章6は「LOVEBERRY、 」の中に「?」を有しているだけであり、本件登録商標と外観及び観念において類似する。
c 称呼
 「?」の記号は、「LOVE」と「BERRY」に挟まれているため、それ自体の称呼は生じない。
 したがって、被告標章6からは「ラブベリー」という呼称が生じ、本件登録商標と称呼において同一である。
d まとめ
 したがって、被告標章6は本件登録商標に類似する。
e 被告の主張に対する認否
 後記被告の主張(コ)e(取引の実情等)は不知。
イ 被告の主張
(ア) 本件登録商標
a 原告の主張(ア)a(外観)、b(称呼)は認める。
b 同c(観念)は否認する。本件登録商標は、全体として1つの造語と認識され、特定の観念を生じない。
(イ) 被告標章1
a 認否
(a) 原告の主張(イ)a(構成等)は認める。
(b) 同b(称呼)は否認する。
(c) 同c(まとめ)は否認する。
b 称呼
(a) 「and」で結合された商標は、「and」がその前後の語を結合する結果、外観、称呼、観念において、「and」がない商標と異なるものと認識されるから、全体として互いに非類似の商標となる。
 特許庁の登録実務においても、「A B」という商標と「A and B」という商標のように、「and」又は「&」の有無のみ相違する商標が、同一または類似する指定商品について、多数併存して登録されている(乙22の1〜52)。
(b) 被告標章1からは、「オシャレマジョラブアンドベリー」の一連の称呼を生じるほか、上段の文字より「オシャレマジョ」の称呼、下段の文字より「ラブアンドベリー」の称呼が生ずる。
(c) 「オシャレマジョ」及び「オシャレマジョラブアンドベリー」の称呼と本件登録商標の称呼「ラブベリー」とは、全体としての音感も著しく異なり、類似しない。
 また、被告標章1から生ずる「ラブアンドベリー」の称呼も、「アンド」の有無において大きく相違するから、本件登録商標と称呼上類似しない。
c 外観
 被告標章1は、外観において、本件登録商標と著しく相違している。
d 観念
 被告標章1からは、下記eのとおり、周知・著名な被告ゲーム機のキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生ずるから、特定の観念を生じない本件登録商標とは著しく相違する。
e 取引の実情等
(a) 被告ゲーム機の周知著名性
 被告ゲーム機は、以下のとおり、そのロゴである被告標章1とともに、平成17年7月までに、需要者である女児の間で周知・著名となった。
@ 前提事実(3)ウのとおり(ゲーム機数など)
A 被告ゲーム機での1プレーごとに発行される「オシャレ魔法カード」は、平成17年9月までに4300万枚販売され、被告ゲーム機の最終売上げは単純計算で43億円、年商50億円規模のビジネスに発展するといわれている(乙18)。
B 被告は、全国の大都市で開催されたゲームフェアに出展したり、自らイベントを開催して被告ゲーム機の普及に努めているが、いずれのイベント会場においても女児や親子連れの間で好評であり、そのことは新聞・雑誌にも掲載された(乙12の1・2、13、19、20の1)。
C 被告ゲーム機は、小学生向けの雑誌やアミューズメント雑誌に、多くの紹介記事が掲載された(乙10の4、11の7、13、14等)。
D インターネット上では、被告ゲーム機のファンが、「ラブandベリー」等略称して情報交換をしている(乙19)。
E 被告ゲーム機は、「めざましテレビ」、「はなまるマーケット」等の情報番組においても紹介された。
F 被告は、平成17年8月、被告ゲーム機の初の公式ハンドブックを発売した(乙21)。
G 被告ゲーム機の公式ホームページ(http://osharemajo.com/)は、平成16年10月29日の開設後、平成17年5日23日には100万件のアクセスを突破し、同年10月末現在のアクセス数は500万件を超えるほどの大人気となっている。
(b) キャラクター「ラブ」と「ベリー」の周知・著名性
 被告ゲーム機のキャラクターてある「ラブ(LOVE)」と「ベリー(BERRY)」は、平成17年7月までに、次のとおり、需要者である女児の間で周知・著名となった。
@ 小学生低学年向けの月刊誌には、「オシャレ魔法カード」に描かれたスタイルを参考として、ラブとベリーをメインとしたファッションコーディネートを紹介している特集記事が多数掲載された(乙8の5、9の8、10の4、11の5・8)。
A 被告ゲーム機に関する小学館の書籍の販売部数は、平成17年9月末時点で、3万部に上る(乙2)。
B 「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」のキャラクターグッズは、文具、子供向け化粧品等がスーパーやショッピングセンターの文具・玩具売場等で販売され、いずれの商品も大人気となっている(乙3の2、14)。
C 平成17年1月より、「ラブ(LOVE)」と「ベリー(BERRY)」を主人公にした漫画が、「小学生一年生」と「小学二年生」に連載されている(乙3の3、9の6)。
(c) 販売形態の特殊性
 被告リストバンド8を除く被告商品は、被告ゲーム機の夏休みキャンペーンとして、オシャレ魔法カードに描かれたデザインを再現したものであり、被告ゲーム機のPOP広告が大々的に展開され、基本的にはゲーム機自体が併設された売り場において、関連商品の1つとして販促品的な位置付けで販売された(乙5、9の10、20の2)。
 したがって、被告リストバンド8を除く被告商品は、その購入者にとって、同商品が被告ゲーム機の関連商品であり、その出所が被告であると認識できる形態で販売された。
f まとめ
 以上のとおり、被告標章1は、本件登録商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なっている上、取引の実情等を総合的に判断すれば、被告標章1に接した需要者は、被告ゲーム機又はそのキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を容易に想起し、その出所を被告と認識するから、被告標章1は、本件登録商標に類似しない。
(ウ) 被告標章2
a 認否
(a) 原告の主張(ウ)a(構成等)は認める。ただし、より正確な使用態様は、後記bのとおりである。
(b) 同b(外観)、c(称呼)及びd(まとめ)は、いずれも否認する。
b 外観
(a) 被告Tシャツ1の前身及び被告サンダル7の天における使用態様は、被告商品目録1(1)及び7(1)のとおりであり、アルファベットの「LOVE」と「BERRY」に加え「CUTE」及、 び「POP」の文字、「L&B」の文字が付されたキャンディの形をした図形及びハート型の図形、並びに白の細かい水玉模様から構成されている。
(b) したがって、被告標章2と本件登録商標とは、外観において著しく相違する。
c 称呼
 被告標章2からは、アルファベットの「CUTE」、「LOVE」、「BERRY」、「POP」のそれぞれの文字より、「キュート」、「ラブ」、「ベリー」、「ポップ」の称呼が生ずるにすぎず、本件登録商標の称呼「ラブベリー」に類似しない。
d 観念
 被告標章2から何らかの観念が生じるとしても、「LOVE」と「BERRY」が離れて配置されることにより、周知・著名な被告ゲーム機のキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」の観念が生ずるにすぎず、特定の観念を生じない本件登録商標と相違する。
e 取引の実情等
 被告Tシャツ1及び被告サンダル7の取引の実情等は、前記(イ)eのとおりである。
f まとめ
 以上のとおり、被告標章2は、本件登録商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なっている上、取引の実情等を総合的に判断すれば、被告標章2に接した需要者は、被告ゲーム機又はそのキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー」を容易に想起し、その出” 所を被告と認識するから、被告標章2は、本件登録商標に類似しない。
(エ) 被告標章3
a 認否
(a) 原告の主張(エ)a(構成等)は認める。ただし、被告Tシャツ2に使用されている被告標章3は、文字が図案化されているという特徴も有する。
(b) 同b(外観、観念)、c(称呼)及びd(まとめ)は否認する。
b 称呼
(a) 「and」で結合された商標は、「and」がその前後の語を結合する結果、外観、称呼、観念において、「and」がない商標と異なるものと認識されるから、全体として互いに非類似の商標となる。
(b) 被告標章3からは、「ラブアンドベリー」の一連の称呼のみが生じ、本件登録商標の称呼「ラブベリー」と相違する。
c 外観
 被告標章3は、「L」と「B」以外の文字が小文字であり、「and」の語を有し、全体の文字数も12文字となっており、その使用態様は、更に文字が図案化されており、本件登録商標と外観において著しく相違する。
d 観念
 被告標章3からは、周知・著名な被告ゲーム機のキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念を生じ、特定の観念を生じない本件登録商標とは著しく相違する。
e 取引の実情等
 被告Tシャツ2の取引の実情等は、前記(イ)eのとおりである。
f まとめ
 以上のとおり、被告標章3は、本件登録商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なっている上、取引の実情等を総合的に判断すれば、被告標章3に接した需要者は、被告ゲーム機又はそのキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー」を容易に想起し、その出” 所を被告と認識するから、被告標章3は、本件登録商標に類似しない。
(オ) 被告標章4(1)
a 認否
(a) 原告の主張(オ)a(構成等)は認める。ただし、より正確な使用態様は、後記cのとおりである。
(b) 同b(外観、観念)、c(称呼)及びd(まとめ)は否認する。
b 称呼
(a) 「and」で結合された商標は、「and」がその前後の語を結合する結果、外観、称呼、観念において、「and」がない商標と異なるものと認識されるから、全体として互いに非類似の商標となる。
(b) 被告標章4(1)からは、「ラブアンドベリー」の一連の称呼が生ずるのみであり、本件登録商標の称呼「ラブベリー」とは相違する。
c 外観
 被告標章4(1)の被告Tシャツ3の前身における使用態様は、Tシャツの前面に「LOVE&BERRY」の文字が6段にわたって大々的に繰り返されているというものであり、それぞれの「LOVE&BERRY」の文字も、アルファベットの「LOVE」及び「BERRY」の文字を記号「&」で結合させて、全体としてまとまりよく横一列に書して成る構成となっており、「LOVEBERRY」と横一列に構成された本件登録商標とは外観上、明らかに相違する。
d 観念
 被告標章4(1)から何らかの観念が生ずるとしても、被告ゲーム機のメインキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生ずるにすぎず、特定の観念を生じない本件登録商標とは著しく相違する。
e 取引の実情等
 被告Tシャツ3の取引の実情等は、前記(イ)eのとおりである。
f まとめ
 以上のとおり、被告標章4(1)は、本件登録商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なっている上、取引の実情等を総合的に判断すれば、被告標章4(1)に接した需要者は、被告ゲーム機又はそのキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー」を容易に想起” し、その出所を被告と認識するから、被告標章4(1)は、本件登録商標に類似しない。
(カ) 被告標章4(2)
a 認否
(a) 原告の主張(カ)a(構成等)は認める。ただし、より正確な使用態様は、後記cのとおりである。
(b) 同b(外観、観念)、c(称呼)及びd(まとめ)は否認する。
b 称呼
(a) 「and」で結合された商標は、「and」がその前後の語を結合する
結果、外観、称呼、観念において、「and」がない商標と異なるものと認識されるから、全体として互いに非類似の商標となる。
(b) 被告標章4(2)からは、「ラブアンドベリー」の一連の称呼が生ずるにすぎず、本件登録商標の称呼「ラブベリー」とは相違する。
c 外観
 被告標章4(2)の被告Tシャツ4の前身における使用態様は、「LOVE &」と「BERRY」の文字が上方約3分の1の範囲にわたり、大々的にデザインとして使用されているほか、下方約3分の2の範囲にわたり、「Let's change into your」の文字、「ROCK&COOL」の文字と「CLOTHES」の文字とを2段書きにして成る部分とともに、3つの星(★)の図形部分及び被告ゲーム機のキャラクターの1人である「ベリー」の図柄が大きく表されている。また、「LOVE」の欧文字の下には、「COOL」の文字が記載されている盾型の図形が、ちょうどワッペンを貼付したように表示されている態様から成る。「LOVE&BERRY」の文字も、2段から成る「LOVE」及び「BERRY」の文字を記号「&」で結合させて、全体としてまとまりよく書して成る構成となっており、本件登録商標とは外観上、明らかに相違する。
d 観念
 被告標章4(2)から、被告ゲーム機のメインキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生じ、特定の観念を生じない本件登録商標とは著しく相違する。
e 取引の実情等
 被告Tシャツ4の取引の実情等は、前記(イ)eのとおりである。
f まとめ
 以上のとおり、被告標章4(2)は、本件登録商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なっている上、取引の実情等を総合的に判断すれば、被告標章4(2)に接した需要者は、被告ゲーム機又はそのキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を容易に想起し、その出所を被告と認識するから、被告標章4(2)は、本件登録商標に類似しない。
(キ) 被告標章4(3)
a 認否
(a) 原告の主張(キ)a(構成等)は認める。ただし、より正確な使用態様は、後記bのとおりである。
(b) 同b(外観、観念)、c(称呼)及びd(まとめ)は否認する。
b 外観
 被告標章4(3)の被告Tシャツ5の前身における使用態様は、Tシャツの中央に白い大きなハートと小さなハートが2つ表示され、白い大きなハートの絵の中には3つの星と「LB」の文字と小さいハートが表示され、小さなハートの中には「&」の文字が表示され、この2つのハート図形を上下から挟むように、「LOVE」の文字と「BERRY」の文字が斜めに表示され、「LOVE」の左上と「BERRY」の右上に星が3つ表示された態様から成り、Tシャツの前面に大々的に表されており、本件登録商標とは外観上、明らかに相違する。
c 称呼
(a) 「and」で結合された商標は、「and」がその前後の語を結合する結果、外観、称呼、観念において、「and」がない商標と異なるものと認識されるから、全体として互いに非類似の商標となる。
(b) 被告標章4(3)から何らかの称呼が生ずるとしても、「LOVE」の部分より「ラブ」の称呼、「BERRY」の部分より「ベリー」の称呼、全体として「ラブアンドベリー」の称呼が生ずるにすぎず、本件登録商標の称呼「ラブベリー」とは相違する。
d 観念
 被告標章4(3)から何らかの観念が生ずるとしても、被告ゲーム機のメインキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生ずるにすぎず、特定の観念を生じない本件登録商標とは著しく相違する。
e 取引の実情等
 被告Tシャツ5の取引の実情等は、前記(イ)eのとおりである。
f まとめ
 以上のとおり、被告標章4(3)は、本件登録商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なっている上、取引の実情等を総合的に判断すれば、これに接した需要者は、被告ゲーム機又はそのキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を容易に想起し、その出所を被告と認識するから、被告標章4(3)は、本件登録商標に類似しない。
(ク) 被告標章5(1)
a 認否
(a) 原告の主張(ク)a(構成等)は認める。ただし、より正確な使用態様は、後記bのとおりである。
(b) 同b(外観、観念)、c(称呼)及びd(まとめ)は否認する。
b 外観
 被告標章5(1)は、ハート型図形の中に書かれた「LOVE」と「BERRY」の間に「★」部分を有する点において、本件登録商標とは外観上、明らかに相違する。
c 称呼
 被告標章5(1)から何らかの称呼が生ずるとしても、「LOVE★BERRY」の文字は、「★」部分によって前後が分断されることから、「ラブ」又は「ベリー」の単独の称呼が生ずるにすぎず、本件登録商標の称呼「ラブベリー」とは相違する。
d 観念
 被告標章5(1)から何らかの観念が生ずるとしても、被告ゲーム機のメインキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生ずるにすぎず、特定の観念を生じない本件登録商標とは著しく相違する。
e 取引の実情等
 被告Tシャツ3の取引の実情等は、前記(イ)eのとおりである。
f まとめ
 以上のとおり、被告標章5(1)は、本件登録商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なっている上、取引の実情等を総合的に判断すれば、これに接した需要者は、被告ゲーム機又はそのキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を容易に想起し、その出所を被告と認識するから、被告標章5(1)は、本件登録商標に類似しない。
(ケ) 被告標章5(2)
a 認否
(a) 原告の主張(ケ)a(構成等)は認める。ただし、より正確な使用態様は、後記bのとおりである。
(b) 同b(外観、観念)、c(称呼)及びd(まとめ)は否認する。
b 外観
 被告標章5(2)の被告Tシャツ6の前身における使用態様は、筆記体の「Love」の文字をやや陰影を付けて立体的に表した図形部分、星(★)の図形部分、「Berry」の文字をやや陰影を付けて立体的に表した図形部分、S字状のリボンの図形部分、ハートの図形の中に被告ゲーム機のメインキャラクターであるオシャレ魔女「ラブ」の顔から成る図形部分、星の図形の中にもう1人のメインキャラクターであるオシャレ魔女「ベリー」の顔から成る図形部分から構成され、本件登録商標とは外観上、明らかに相違する。
c 称呼
 被告標章5(2)から何らかの称呼が生ずるとしても、「LOVE★BERRY」の文字のうち、「★」部分によって前後が分断されることから、「ラブ」又は「ベリー」の単独の称呼が生ずるにすぎず、本件登録商標の称呼「ラブベリー」とは相違する。
d 観念
 被告標章5(2)から、被告ゲーム機のメインキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生じ、特定の観念を生じない本件登録商標とは著しく相違する。
e 取引の実情等
 被告Tシャツ6の取引の実情等は、前記(イ)eのとおりである。
f まとめ
 以上のとおり、被告標章5(2)は、本件登録商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なっている上、取引の実情等を総合的に判断すれば、これに接した需要者は、被告ゲーム機又はそのキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を容易に想起し、その出所を被告と認識するから、被告標章5(2)は、本件登録商標に類似しない。
(コ) 被告標章6
a 認否
(a) 原告の主張(コ)a(構成等)は認める。ただし、より正確な使用態様は、後記bのとおりである。
(b) 同b(外観、観念)、c(称呼)及びd(まとめ)は否認する。
b 外観
 被告標章6は、大きなハート形図形の有無という点において、本件登録商標とその外観において著しく相違する。
c 称呼
 被告標章6から何らかの称呼が生ずるとしても、「LOVE?BERRY」の文字のうち、「?」部分によって前後が分断されることから、「ラブ」又は「ベリー」の単独の称呼のみが生ずるにすぎず、本件登録商標の称呼「ラブベリー」とは相違する。
d 観念
 被告標章6から何らかの観念が生ずるとしても、被告ゲーム機のメインキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生ずるにすぎず、特定の観念を生じない本件登録商標とは著しく相違する。
e 取引の実情等
 被告サンダル7の取引の実情等は、前記(イ)eのとおりである。
f まとめ
 以上のとおり、被告標章6は、本件登録商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なっている上、取引の実情等を総合的に判断すれば、これに接した需要者は、被告ゲーム機又はそのキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を容易に想起し、その出所を被告と認識するから、被告標章6は、本件登録商標に類似しない。
(2) 商標的使用該当性
ア 原告の主張
(ア) 商標的使用
 被告は、前記(1)アのとおり、被告標章1ないし6を商標として使用した。
(イ) 被告の主張に対する認否
a 後記被告の主張(イ)は否認する。
b 商品に複数の商標を付すことは奇異なことではないし、商標をさまざなま態様、大きさ及び位置で表記したTシャツは数多く販売されているから、胸元等にあしらわれる標章が出所表示と認識されないことはない。
イ 被告の主張
(ア) 原告の主張(ア)(商標的使用)は否認する。
(イ)a 被告標章1ないし6の使用態様は、専らその表現の装飾的あるいは意匠的効果により購買意欲をそそるために創作された標章にすぎず、需要者も被告商品の出所識別標識として認識しない。
b(a) すなわち、衣類に出所識別機能を有する商標を付す場合、織ネームやタグに付すのが一般的であり、胸元や襟下にあしらわれる標章は、デザインと区別がつきにくいから、著名標章でない限り、出所表示とは認識されない。
(b) 前記(1)アのとおり、被告標章1以外の被告標章が使用されている部分が、Tシャツについては前身又は背中部、サンダルについては天及び鼻緒部分であることからすると、被告標章1以外の被告標章は、出所表示として機能していない。
c 被告標章1ないし6が周知・著名な被告ゲーム機のキャラクターである「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」の「可愛い感じ」、「キュートな感じ」、「かっこいい感じ」、「クールな感じ」によって商品の購買意欲を喚起させるために表示されていることは、その使用態様から明らかである。
(3) 原告の損害額
ア 原告の主張
(ア) リストバンド以外の被告商品の販売により被告が得た利益(商標法38条2項)
a 販売数量
 被告商品1ないし6の販売数量は、以下のとおりである。
 被告Tシャツ1 1480枚
 被告Tシャツ2 1652枚
 被告Tシャツ3 1087枚
 被告Tシャツ4 457枚
 被告Tシャツ5 1045枚
 被告Tシャツ6 381枚
 Tシャツ合計6102枚
 被告サンダル7 530足
b 販売価格
 被告の販売価格は、被告Tシャツが少なくとも1枚3000円、被告サンダルは2000円である。
c 売上高
 したがって、売上高は、被告Tシャツ1ないし6が1830万6000円、被告サンダル7が106万円、合計1936万6000円である。
 6,102×3,000=18,306,000
 530×2,000=1,060,000
 18,306,000+1,060,000=19,366,000
d 利益率
 被告商品1ないし6は、被告が百貨店等におけるイベントとして直接販売したものであるから、その利益率は高く、20%を下らない。
e まとめ
 したがって、被告が得た利益は、387万3200円である。
 19,366,000×0.2=3,873,200
(イ) 被告リストバンド8の販売により被告が得た利益(商標法38条2項)
a 被告リストバンド8の販売数量は、平成18年1月1日から同6月20日までの間、販売された店舗数が5040店舗、1店舗当たりの販売数量100個と推定されるから、50万4000個である。
 100×5,040=504,000
b 被告リストバンドの販売価格は、直販で1480円、トイザらス亀戸店で1238円、イトーヨーカ堂小岩店で1219円であるから、少なくとも1200円を下らない(甲18、20の1・2)。
c したがって、売上高は6億0480万円である。
 1,200×504,000=604,800,000
d 被告リストバンドにかかる被告の利益率は、10%を下らない。
e したがって、被告が得た利益は、6048万円である。
 604,800,000×0.1=60,480,000
(ウ) まとめ
 以上の被告が得た利益の合計額は、6435万3200円であり、商標法38条2項により、原告の損害と推定される。
 原告は、内金として500万円及びその遅延損害金の支払を請求する。
(エ) 被告の主張に対する認否
a 後記被告の主張(イ)(推定の覆滅)は否認する。
b 同(ウ)(経費)のうち、a(仕入額)は明らかに争わず、b(その他の経費)は否認する。
 被告は「オシャレ魔女の“ラブ、 ”と“ベリー”」の関連商品を販売し、被告製品はその一部にすぎないから、被告主張の販売管理費は、仮に被告商品を販売しなかったとしても支出されたものであり、被告利益の計算において控除されるべきではない。
イ 被告の主張
(ア) 認否
a 原告の主張(ア)(リストバンド以外の被告商品)のうち、a(販売数量)は認め、その余は否認する。被告商品の売上高は、被告Tシャツ1が248万2500円、被告Tシャツ3が181万4250円、被告サンダル7が48万8160円である。
b 同(イ)(リストバンド)は否認する。
c 同(ウ)(まとめ)は否認する。
(イ) 推定の覆滅
 前記(1)イ(イ)eのとおり、顧客は「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」の関連商品であり、その出所を被告と認識して被告商品を購入したものであるから、被告が被告標章1ないし6を使用した被告商品を販売しなければ原告が売り上げることができた製品数は零か、極めてわずかである。
(ウ) 経費
 売上高から、少なくとも以下の費用を控除すべきである。
a 仕入額
(a) 被告Tシャツ1(品番T05-02-001)
 被告は、平成17年7月12日、1002枚を仕入れ、代金95万7411円(消費税込み。以下仕入額につき同じ。)を支払い、同年8月8日、723枚を仕入れ、代金69万0826円を支払った(乙26の1、34)。
(b) 被告Tシャツ3(品番T05-02-002)
 被告は、平成17年7月12日、597枚を仕入れ、代金57万6702円を支払い、同年8月8日、829枚を仕入れ、代金80万0814円を支払った(乙26の1、34)
(c) 被告サンダル7(品番S05-02-004)
 被告は、平成17年7月13日に320足、同月15日に1640足、同月22日に1530足を仕入れ、合計300万4890円を支払った(乙26の2)。
b その他の経費
(a) 被告は、被告商品を含む関連商品全体の販売のために、以下の費用を支出した。
@ 運送費及び倉庫保管料
 187万9278円(乙28の1・2)
A 店頭販売人件費
 被告は、被告製品を含む「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」の関連グッズの販売を販売担当会社に製品販売を外注し、人件費600万円を支出した(乙29の1・2)。
B 袋制作費
 被告は、商品包装用の袋を制作し、104万1600円を支出した(乙30の1・2)。
C 合計
 892万0878円
(b) 上記費用のうち、少なくとも侵害品と判断された被告商品の売上高が上記関連商品全体の売上高に占める比率に応じた額を、変動費用として控除すべきである。
 関連商品全体の売上高は、5010万7000円である。
第3 当裁判所の判断
1 本件登録商標と被告標章との類否
(1) 本件登録商標
ア 外観
 本件登録商標は、アルファベットの大文字の「LOVE」という文字と「BERRY」という文字が横一列に記載されたものであり、そのとおりの外観を有することは、当事者間に争いがない。
イ 称呼
 本件登録商標から「ラブベリー」という称呼が生じることは、当事者間に争いがない。
ウ 観念
 「LOVE」は「愛、恋愛」を「、 BERRY」は「核のない果肉の柔らかな食用小果実」をそれぞれ意味し、いずれも広く知られた言葉であることは、当裁判所に顕著である。よって、「LOVE」と「BERRY」を横一列に記載した本件登録商標から、「愛らしい小果実」などの観念が生じるものと認められる。
 これに反する被告の主張は、採用することができない。
(2) 被告標章1について
ア 外観
(ア) 被告標章1の構成が別紙標章目録1記載のとおりであること、並びに被告標章1は、被告Tシャツ1ないし6の織りネームとタグに、被告サンダル7のタグに、被告リストバンド8のライトで囲まれた中央部にそれぞれ付されていることは、当事者間に争いがない。
(イ) 上記被告標章1の構成によれば、被告標章1及びその使用態様は、外観において、いずれも本件登録商標に類似しない。
イ 称呼
(ア) 上記被告標章1の構成によれば、被告標章1及びその使用態様は、いずれも上段に「ラブベリー」の文字よりもやや小さな文字で「オシャレ魔女」の文字、下段にやや大きく「ラブベリー」の文字、「ラブベリー」の中央下部分に重ねて小さく「and」の文字を一体的にデザイン化したものである。
(イ) また、後記エのとおり、被告ゲーム機は、低年齢の女児を中心とする層に周知であり、被告標章1も、被告ゲーム機の標章として広く知られていることが認められる。
(ウ) 以上によれば、被告標章1及びその使用態様からは、「オシャレマジョラブアンドベリー」との称呼が生じるが、「オシャレ魔女」の文字が「ラブベリー」よりも小さく、「and」の文字が「ラブベリー」との一連の文字の上に小さく書かれていることからすると、「ラブベリー」との称呼も生ずると認められる。
(エ) したがって、被告標章1及びその使用態様は、称呼において、いずれも本件登録商標に類似する。
ウ 観念
(ア) 上記イ(ア)のとおり、被告標章1及びその使用態様には、いずれも「オシャレ魔女」の文字が付されており、後記エのとおり、被告ゲーム機は低年齢の女児を中心とする層に周知であり、被告標章1も被告ゲーム機の標章として広く知られていることからすると、被告標章1及びその使用態様からは、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生じるものと認められる。
(イ) したがって、被告標章1及びその使用態様は、観念において、いずれも本件登録商標に類似しない。
エ 取引の実情等
(ア) 前提事実(3)イ、証拠(甲17、乙1〜21)及び弁論の全趣旨によれば、被告ゲーム機は、平成16年10月末から1年間で、全国のゲームセンターやショッピングセンターなどに4600台設置され、1プレーごとに発行されるカードが4300万枚販売され、小学生向けの雑誌やアミューズメント雑誌などに多くの記事が掲載され、被告も積極的にイベントを展開するなどしており、平成17年7月の時点で、低年齢の女児及びその保護者を中心とする層に周知となり、これに付されている被告標章1も同様に周知となっていたことが認められる。
(イ) 証拠(乙5、9の10、20の2)及び弁論の全趣旨によれば、被告リストバンド8を除く被告商品は、被告ゲーム機の夏休みキャンペーンとして、オシャレ魔法カードに描かれたデザインを再現したものであり、被告ゲーム機のPOP広告が大々的に展開され、基本的にはゲーム機自体が併設された売り場において、関連商品の1つとして販促品的な位置付けで販売されたことが認められる。
オ まとめ
 以上を総合すれば、被告標章1及びその使用態様と本件登録商標とは、いずれも称呼の一部において同一であるが、外観、観念において相違し、更に「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー」の周知性” 等の取引の実情に照らすと、出所の誤認混同のおそれは認められず、類似しないものと認めるべきである。
(3) 被告標章2について
ア 称呼
(ア) 被告標章2の構成が別紙標章目録2記載のとおりであること、及び被告標章2は、被告Tシャツ1の前身及び被告サンダル7の足の裏をのせる部分である天にそれぞれ付されていることは、当事者間に争いがない。
 証拠(甲5、11の1)によれば、被告Tシャツ1の前身及び被告サンダルの天には、白地に紺色で縁取りされ、丸みを帯びた「LOVE」と「BERRY」の文字を上下に重ねた部分が中央に配置されており、その周辺には、「CUTE」、「POP」の文字、キャンディの形をした図形及びハート型の図形、並びに白の細かい水玉模様が配置されているが、「LOVE」と「BERRY」は、中央に配置され、かつ、くっきりと縁取りされているため、周辺の文字等とは区別して認識されるものと認められる。
(イ) したがって、本件標章2及び上記2つの使用態様からは、いずれも「ラブベリー」の称呼が生じ、称呼において、本件登録商標と同一であることが認められる。
 これに反する被告の主張は、採用することができない。
イ 外観
(ア) 上記ア(ア)に説示の事実によれば、被告標章2は、アルファベットの大文字で「LOVE BERRY」と記載されているから、「LOVE」と「BERRY」が二段に記載されていることを考慮しても、外観において、本件登録商標に類似すると認められる。
(イ) 上記ア(ア)に説示の事実によれば、被告標章2の使用態様も、中央に配置された「LOVE」と「BERRY」はくっきりとした縁取りなどのために周辺の文字等とは区別して認識されるから、「LOVE」と「BERRY」が二段に記載されていることを考慮しても、外観において、いずれも本件登録商標に類似すると認められる。
ウ 観念
(ア) 被告標章2及び上記2つの使用態様からは、本件登録商標と同様、「愛らしい小果実」などの観念が生じるものと認められる。
(イ) 被告は、被告標章2及び上記2つの使用態様から何らかの観念が生じるとしても、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生ずると主張するが、前記(2)エの取引の実情等を考慮しても、「LOVE」や「BERRY」の語そのものは、従前から広く使用されている言葉であるため、これらの語だけから需要者が「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を想起するとは認められないし、被告Tシャツ1の前身におけるキャンディの形をした図形に付されている「L&B」の文字から需要者が「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を想起するとも認められないから、被告の上記主張は採用することができない。
エ まとめ
(ア) 以上によれば、被告標章2と本件登録商標とは、外観が類似し、称呼、観念が同一である。しかも、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」のキャラクターが周知であるとしても、被告標章2に接した通常の需要者がそれから「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」のキャラクターに関係することを看取することができるとは認められないし、被告ゲーム機の夏休みキャンペーンでの販売方法も、今後とも永続する販売方法であると認めることはできない。
(イ) さらに、被告標章2の上記2つの使用態様と本件登録商標とは、外観が類似し、称呼、観念が同一である。しかも、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」のキャラクターが周知であるとしても、被告標章2の上記2つの使用態様に接した通常の需要者がそれらから「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」のキャラクターに関係することを看取することができるとは認められないし、被告ゲーム機の夏休みキャンペーンでの販売方法も、今後とも永続する販売方法であると認めることはできない。
(ウ) したがって、被告標章2は、上記2つの使用態様も含め、本件登録商標に類似すると認めるべきである。
(4) 被告標章3について
ア 外観
(ア) 被告標章3の構成が別紙標章目録3記載のとおりであること、及び被告標章3は、被告Tシャツ2の背中部に付されていることは、当事者間に争いがない。
 証拠(甲6)によれば、被告Tシャツ2の背中部に付された「Love and Berry」は、図案化された文字から成ることが認められる。
(イ) 被告標章3及びその使用態様は、アルファベットの小文字3文字の「and」が存在するため、「Love」と「Berry」が一体ではなく、「Love」、「and」、「Berry」のそれぞれが独立している印象を与えるものとなっており、「LOVEBERRY」と一連に表記された本件登録商標の外観とは相違することが認められる。
 これに反する原告の主張は、採用することができない。
イ 称呼
(ア) 被告標章3からは、「ラブアンドベリー」との称呼が生じるものと認められ、称呼において、本件登録商標と相違するものと認められる。
(イ) 被告標章3の使用態様からも、「ラブアンドベリー」との称呼が生じるものと認められ、称呼において、本件登録商標と相違するものと認められる。
(ウ) 原告は、被告標章3及びその使用態様から「ラブベリー」との称呼が生ずると主張するが、Tシャツ等の販売において原告主張の省略がされることを窺わせる証拠はなく、原告の上記主張は採用することができない。
ウ 観念
 前記(2)エの「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」キャラクターの周知性からすると、被告標章3及びその使用態様から、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」の観念が生じると認められ、本件登録商標の観念とは相違する。
 これに反する原告の主張は、採用することができない。
エ まとめ
 以上によれば、被告標章3及びその使用態様と本件登録商標とは、いずれも外観、称呼、観念において相違し、取引の実情等に照らしても出所の誤認混同を生じるおそれは認められず、類似しないものと認められる。
(5) 被告標章4(1)について
ア 外観
(ア) 被告標章4(1)の構成が別紙標章目録4(1)記載のとおりであること、及び被告標章4(1)は、被告Tシャツ3の前身に付されていることは、当事者間に争いがない。
 証拠(甲7の1)によれば、被告Tシャツ3の前面に付されているのは、丸みを帯びた文字でスペースを空けずに「LOVE&BERRY」と表記した標章であり、これが異なる色で6段にわたって使用されていること、丸みを帯びた「&」は、前後の「LOVE」、「BERRY」との間にスペースが存在しないためそれらと一体となり、目立たない外観となっていること、並びに左胸部にハート型の果実の模様が付されていることが認められる。
(イ) よって、上記被告標章4(1)及びその使用態様は、外観において、いずれも本件登録商標に類似していると認められる。
イ 称呼
 上記被告標章4(1)及びその使用態様からは、「&」が需要者により認識され、「ラブアンドベリー」との称呼が生じることがあるが、「&」が需要者により十分認識されず、そのため「ラブベリー」との称呼が生じることの方が多いと認められる。
 この「ラブベリー」との称呼は、本件登録商標の称呼と同一である。
ウ 観念
(ア) 上記イのとおり、上記被告標章4(1)及びその使用態様からは、「&」が需要者により十分認識されず、そのため「ラブベリー」と認識され、本件登録商標と同様、「愛らしい小果実」などの観念が生じることの方が多いと認められる。
(イ) 被告は、被告標章4(1)及びその使用態様から「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生じると主張するが、この主張は、上記被告標章4(1)の使用態様において「&」が「and」として認識されることを前提としているところ、「&」が需要者により十分認識されないことは上記のとおりであるから、被告の上記主張は採用することができない。
エ まとめ
 以上によれば、被告標章4(1)及びその使用態様と本件登録商標とは、いずれも称呼、観念が同一であり、外観も類似している。しかも、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」のキャラクターが周知であるとしても、被告標章4(1)及びその使用態様に接した通常の需要者がそれらから、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」のキャラクターに関係することを看取できるとは認められないし、被告ゲーム機の夏休みキャンペーンでの販売方法も、今後とも永続する販売方法であると認めることはできない。したがって、被告標章4(1)及びその使用態様は、本件登録商標に類似すると認めるべきである。
(6) 被告標章4(2)について
ア 外観
(ア) 被告標章4(2)の構成が別紙標章目録4(2)記載のとおりであること、及び被告標章4(2)は、被告Tシャツ4の前身に付されていることは、当事者間に争いがない。
 証拠(甲8)によれば、そのより具体的な使用態様は、前身の上方約3分の1の範囲にわたり、銀色の大きなゴシック体で、上段に「LOVE」、その横にスペースを空けて「&」、下段に2字分ほど右にずらして「BERRY」と表記され、下方約3分の2の範囲にわたり、「Let's change into your」の文字、「ROCK&COOL」の文字と「CLOTHES」の文字とを2段書きにして成る部分とともに、3つの星(★)の図形部分、並びに被告ゲーム機のキャラクターの1人である「ベリー」の図柄が大きく表されており、また、「LOVE」の下には、「COOL」の文字が記載されている盾型の図形がワッペンを貼付したように表示されている態様であることが認められる。
(イ) 被告標章4(2)の外観は、「LOVE」と「BERRY」を2段にずらして、しかも「&」が明瞭に看取することができるものであるから、「LOVEBERRY」と一連に表記された本件登録商標の外観とは相違すると認められる。
(ウ) 上記被告標章4(2)の使用態様中、「LOVE & BERRY」の部分が注目されるとしても、「LOVEBERRY」と一連に表記された本件登録商標の外観とは相違すると認められる。
 これに反する原告の主張は、採用することができない。
イ 称呼
(ア) 上記被告標章4(2)及びその使用態様からは、「ラブアンドベリー」の称呼が生じるものと認められ、本件登録商標の称呼「ラブベリー」とは相違する。
(イ) 原告は、被告標章4(2)及びその使用態様から「ラブベリー」との称呼が生ずると主張するが、Tシャツ等の販売において原告主張の省略がされることを窺わせる証拠はなく、原告の上記主張は採用することができない。
ウ 観念
(ア) 前記(2)エの「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」キャラクターの周知性からすると、被告標章4(2)から、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生じると認められ、本件登録商標の観念とは相違する。
(イ) 被告標章4(2)の使用態様からは、上記ア(ア)のとおり、被告Tシャツ4の前身に被告ゲーム機のキャラクターの1人である「ベリー」の図柄が大きく表されていることも加わり「オシャレ魔、 女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生じると認められ、本件登録商標の観念とは相違する。
 これに反する原告の主張は、採用することができない。
エ まとめ
 以上によれば、被告標章4(2)及びその使用態様と本件登録商標とは、いずれも外観、称呼、観念において相違し、取引の実情等に照らしても出所の誤認混同を生じるおそれは認められず、類似しないものと認められる。
(7) 被告標章4(3)について
ア 外観
(ア) 被告標章4(3)の構成が別紙標章目録4(3)記載のとおりであること、及び被告標章4(3)は、被告Tシャツ5の前身に付されていることは、当事者間に争いがない。
 証拠(甲9)によれば、そのより具体的な使用態様は、上部に右上を向いた「LOVE」、下部に右下を向いた「BERRY」の桃色の文字を大きく表示し、その間に同じ桃色で「&」を白抜きした小さなハートと、銀色で「LB」の文字等を白抜きした大きなハートなどを表した態様であることが認められる。
(イ) 被告標章4(3)の外観は、「LOVE」と「BERRY」を2段に、しかもその間に「&」が明瞭に看取することができるものであるから、「LOVEBERRY」と一連に表記された本件登録商標の外観とは相違すると認められる。
(ウ) 上記被告標章4(3)の使用態様中、「LOVE & BERRY」の部分が注目されるとしても、「LOVEBERRY」と一連に表記された本件登録商標の外観とは相違すると認められる。
 これに反する原告の主張は、採用することができない。
イ 称呼
(ア) 上記被告標章4(3)及びその使用態様からは、いずれも「ラブアンドベリー」の称呼が生じるものと認められ、本件登録商標の称呼「ラブベリー」とは相違する。
(イ) 原告は、被告標章4(3)及びその使用態様から「ラブベリー」との称呼が生ずると主張するが、Tシャツ等の販売において原告主張の省略がされることを窺わせる証拠はなく、原告の上記主張は採用することができない。
ウ 観念
 前記(2)エの「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」キャラクターの周知性からすると、被告標章4(3)及びその使用態様から、いずれも「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念が生じると認められ、本件登録商標の観念とは相違する。
 これに反する原告の主張は、採用することができない。
エ まとめ
 以上によれば、被告標章4(3)及びその使用態様と本件登録商標とは、いずれも外観、称呼、観念において相違し、取引の実情等に照らしても出所の誤認混同を生じるおそれは認められず、類似しないものと認められる。
(8) 被告標章5(1)について
ア 外観
(ア) 被告標章5(1)の構成が別紙標章目録5(1)記載のとおりであること、及び被告標章5(1)は、被告Tシャツ3の左胸部に付されていることは、当事者間に争いがない。
 証拠(甲7の2)によれば、そのより具体的な使用態様は、ハート型に果実のヘタと葉を加えた図形の中に、「LOVE★BERRY」の文字が小さく書かれた態様であること、及び「LOVE」と「BERRY」との間の「★」が1回り小さく、両者を分離するよりも「LOVEBERRY」をやや図案化した印象を与えていることが認められる。
(イ) 上記(ア)のとおり、被告標章5(1)は、アルファベットの大文字で表記された「LOVE」と「BERRY」との間に「★」が存在することを考慮しても、同じアルファベットの大文字で「LOVEBERRY」と一連に表記された本件登録商標の外観と類似すると認められる。
(ウ) 上記被告標章5(1)の使用態様によれば、「LOVE★BERRY」の部分が注目され、上記(ア)のとおり「★」が1回り小さく、「LOVEBERRY」をやや図案化した印象を与えていることからすると、「LOVEBERRY」と一連に表記された本件登録商標の外観と類似すると認められる。
 これに反する被告の主張は、採用することができない。
イ 称呼
 被告標章5(1)及びその使用態様からは、「★」が「LOVE」と「BERRY」とを分断する力は弱く、「ラブベリー」の称呼が生じるものと認められる。この称呼は、本件登録商標の称呼と同一である。
ウ 観念
(ア) 上記被告標章5(1)及びその使用態様からは、文字部分が「ラブベリー」と認識され、図形部分からのイメージも相まって、本件登録商標と同様、「愛らしい小果実」との観念が生じるものと認められる。
(イ) 被告は、被告標章5(1)及びその使用態様から何らかの観念が生じるとしても、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」の観念が生ずると主張するが、前記(2)エの取引の実情等を考慮しても、「LOVE」や「BERRY」の語そのものは、従前から広く使用されている言葉であるから、これらの語だけから需要者が「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を想起するとは認められないし、他に「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を想起させる図形等もないから、被告の上記主張は採用することができない。
エ まとめ
 以上によれば、被告標章5(1)及びその使用態様と本件登録商標とは、いずれも称呼、観念が同一であり、外観が類似している。しかも、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー」のキャラクターが周” 知であるとしても、被告標章5(1)及びその使用態様に接した通常の需要者がそれらから、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」のキャラクターに関係することを看取できるとは認められないし、被告ゲーム機の夏休みキャンペーンでの販売方法も、今後とも永続する販売方法であると認めることはできない。したがって、被告標章5(1)及びその使用態様は、本件登録商標に類似すると認めるべきである。
(9) 被告標章5(2)について
ア 外観
(ア) 被告標章5(2)の構成が別紙標章目録5(2)記載のとおりであること、及び被告標章5(2)は、被告Tシャツ6の前身及び背中部に付されていることは、当事者間に争いがない。
 証拠(甲10)によれば、そのより具体的な使用態様は、被告Tシャツ6の前面の中央に、筆記体の「Love」の文字をやや陰影を付けて立体的に表した部分、「Love」の文字に比し大きな星(★)の図形部分、「Berry」の文字を「Love」と同じ表現で表し、S字状のリボンに続けた部分を置き、その左上にハートの図形の中に被告ゲーム機のキャラクター「ラブ」の顔を表した図形部分、右下の星の図形の中にもう1人のキャラクター「ベリー」の顔を表した図形部分から成る態様であり、被告Tシャツ6の背中部に付されているものは、上記前面のもののうち、筆記体の「Love」の文字をやや陰影を付けて立体的に表した部分、星(★)の図形部分、「Berry」の文字を「Love」と同じ表現で表し、S字状のリボンに続けた部分のみから成る態様であることが認められる。
(イ) 上記(ア)のとおり、被告標章5(2)は、「Love」と「Berry」との間に「★」が存在し、1字目の「L」と「B」以外は小文字であることからすると、外観において本件登録商標と相違するものと認められる。
(ウ) 被告標章5(2)の上記2つの使用態様によれば、中央部の「Love★Berry」の部分が注目されと認められるが、上記(ア)のとおり「★」が大きく、1字目の「L」と「B」以外は小文字であることからすると、被告標章5(2)の使用態様は、いずれも外観において本件登録商標と相違するものと認められる。
 これに反する原告の主張は、採用することができない。
イ 称呼
 被告標章5(2)及び上記2つの使用態様からは、星(★)の図形部分が「Love」と「Berry」とを分断しているが、「★」の部分から称呼は生じないため、「ラブ」、「ベリー」別々の称呼だけでなく、本件登録商標の称呼と同一の「ラブベリー」との称呼も生じるものと認められる。
 これに反する被告の主張は、採用することができない。
ウ 観念
(ア) 前記(2)エの「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」キャラクターの周知性からすると、被告標章5(2)から、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」の観念が生じると認められ、本件登録商標の観念とは相違する。
(イ) 被告標章5(2)の使用態様からは、上記ア(ア)のとおり、被告Tシャツ6の前身に被告ゲーム機のキャラクターである「ラブ」と「ベリー」の図柄が大きく表されていることも加わり、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」の観念が生じると認められ、本件登録商標の観念とは相違する。
 これに反する原告の主張は、採用することができない。
エ まとめ
 以上によれば、被告標章5(2)及びその使用態様と本件登録商標とは、いずれも外観、観念の相違、特に観念の相違が大きく、取引の実情等に照らしても出所の誤認混同を生じるおそれは認められないから、称呼が同一であることを併せ考慮しても、類似しないものと認められる。
(10) 被告標章6について
ア 外観
(ア) 被告標章6の構成は別紙標章目録6記載のとおりであること、及び被告標章6は、被告サンダル7の鼻緒に付されていることは、当事者間に争いがない。
 証拠(甲11の2)によれば、そのより具体的な使用態様は、「LOVE」と「BERRY」との間に、「L」の字に比し縦で2倍、横で4倍以上の大きさの「?」が表示されている態様であることが認められる。
(イ) 被告標章6は、アルファベットの大文字で表記された「LOVE」と「BERRY」の間に「?」が存在ことを考慮しても、同じアルファベットの大文字で「LOVEBERRY」と一連に表記された本件登録商標の外観と類似すると認められる。
(ウ) 上記被告標章6の使用態様中、「?」の部分の大きさを考慮しても、「LOVE」と「BERRY」の部分が注目され、同じアルファベットの大文字で「LOVEBERRY」と一連に表記された本件登録商標の外観と類似すると認められる。
 これに反する被告の主張は、採用することができない。
イ 称呼
 被告標章6及びその上記使用態様からは、大きな「?」が「LOVE」と「BERRY」とを分断しているが、「?」の部分から称呼は生じないため、「ラブ」、「ベリー」別々の称呼だけでなく、本件登録商標の称呼と同一の「ラブベリー」との称呼も生じるものと認められる。
 これに反する被告の主張は、採用することができない。
ウ 観念
(ア) 被告標章6及びその使用態様からは、本件登録商標と同様、「愛らしい小果実」などの観念が生じるものと認められる。
(イ) 被告は、被告標章6及びその使用態様から何らかの観念が生じるとしても、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」の観念が生ずると主張するが、前記(2)エの取引の実情等を考慮しても、「LOVE」や「BERRY」の語そのものは、従前から広く使用されている言葉であるから、これらの語だけから需要者が「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー」を” 想起するとは認められないし、他に「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」を想起させる図形等もないから、被告の上記主張は採用することができない。
エ まとめ
 以上によれば、被告標章6及びその使用態様と本件登録商標とは、いずれも称呼、観念が同一であり、外観において類似している。しかも、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」のキャラクターが周知であるとしても、被告標章6に接した通常の需要者が被告標章6の使用態様から、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」のキャラクターに関係することを看取できるとは認められないし、被告ゲーム機の夏休みキャンペーンでの販売方法も、今後とも永続する販売方法であると認めることはできない。したがって、被告標章6及びその使用態様は、本件登録商標に類似すると認めるべきである。
(11) 被告各標章の類否の結論
 以上のとおり、被告標章2、4(1)、5(1)及び6は、その使用態様を含め、本件登録商標に類似するが、その余の被告標章は、その使用態様を含め、本件登録商標と類似しない。
 そして、被告商品のうち、侵害となるのは、被告Tシャツ1(被告標章2)、被告Tシャツ3(被告標章4(1)及び5(1))及び被告サンダル7(被告標章2及び6)である。
2 商標的使用該当性
(1) 商標的使用
 前記1(3)、(5)、(8)及び(10)に説示した使用態様によれば、被告標章2、4(1)、5(1)及び6は、それぞれ被告Tシャツ1、被告Tシャツ3及び被告サンダル7につき、商標として使用されていることが認められる。
(2) 被告の主張に対する判断
ア 被告は、衣類に出所識別機能を有する商標を付す場合、織ネームやタグに付すのが一般的であり、胸元等にあしらわれる標章は、デザインと区別がつきにくいから、著名標章でない限り、出所表示とは認識されない旨主張する。
 しかしながら、商標が織ネームやタグだけでなく、Tシャツの胸元やサンダル等の足を乗せる部分に付された商品が数多く存在することは、当裁判所に顕著である。したがって、Tシャツの胸元等に付されたものが単なる装飾的あるいは意匠的効果を有するか、出所識別機能をも有するかは、当該標章の具体的使用態様に即して判断せざるを得ないところ、上記(1)のとおり、その具体的な使用態様によれば、被告標章2、4(1)、5(1)及び6は出所識別機能をも有するものとして使用されているものと認められるから、被告の上記主張は、採用することができない。
イ 被告は、被告標章2、4(1)、5(1)及び6が「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー」の「可愛い感じ「キュ” 」、 ートな感じ」等によって商品の購買意欲を喚起させるために表示されている旨主張する。
 しかしながら、前記1(3)、(5)、(8)及び(10)に説示したとおり、被告標章2、4(1)、5(1)及び6は、その使用態様に即して検討しても、「オシャレ魔女の“ラブ”と“ベリー”」との観念を想起させるものではないから、被告の上記主張は、その前提を欠き、理由がない。
(3) 差止請求についてのまとめ
 以上によれば、実際に製品を販売した衣類及び履物について、被告標章2、4(1)、5(1)及び6の標章を付したものの販売等の差止め及び第三者をして製造等させることの停止及び予防を求める差止請求は、理由がある。
 帽子については、被告が現実に販売したとの主張はないが、帽子が被服に属することを考慮すると、その差止請求も、侵害の予防請求として理由がある。
3 原告の損害額
(1) 被告が得た利益(商標法38条2項)
ア 売上高
(ア) 被告Tシャツ1の販売数量が1480枚、被告Tシャツ3のそれが1087枚、被告サンダル7のそれが530足であることは、当事者間に争いがない。
(イ) 侵害品の売上高について、被告Tシャツ1につき248万2500円、被告Tシャツ3につき181万4250円、被告サンダル7につき48万8160円、合計478万4910円の限度では、当事者間に争いがない。
 原告は、被告Tシャツ1及び3の1枚当たり価格が3000円、被告サンダル7の1足当たり価格が2000円であると主張し、これに上記販売数量を乗じて売上高を算定すべきと主張するが、原告主張の価格により販売されたことを認めるに足りる証拠はない。
 したがって、被告Tシャツ1、被告Tシャツ3及び被告サンダル7の売上高は、合計478万4910円であると認められる。
イ 推定を覆す事情
(ア) 推定を覆す事情として、次の事実が認められる。
a 前記1(2)エ(ア)のとおり、被告ゲーム機は、平成17年7月の時点で、低年齢の女児及びその保護者を中心とする層に周知となり、これに付されている被告標章1も同様に周知となっていたものである。
b 前記1(2)エ(イ)のとおり、被告Tシャツ1、被告Tシャツ3及び被告サンダル7は、被告ゲーム機の夏休みキャンペーンとして、被告ゲーム機のPOP広告が大々的に展開され、基本的にはゲーム機自体が併設された売り場において、関連商品の1つとして販促品的な位置付けで販売されたものである。
c 前提事実(2)イのとおり、原告は、インターネット等を通じ、本件登録商標を付したTシャツ等を販売しているが、その顧客層は、被告Tシャツ1等の顧客層とは異なる高校生以上の女性である。そして、本件登録商標が周知であったり、少なくとも一定程度知られたものであることを認めるに足りる証拠はない。
(イ) これらの事情によれば、被告Tシャツ1、被告Tシャツ3及び被告サンダル7の大部分は、上記の販売形態等により、被告ゲーム機及びそのキャラクターの関連商品として、その出所が被告であると認識されて購入されたものと認めるべきであり、少なくともその95%については、被告がその販売を行わなければ原告の売上げが増加したとの関係にはなかったことが立証されたものと認めるべきである。
(ウ) したがって、商標法38条2項の適用のある売上高は、23万9245円となる。
 4,784,910×0.05=239,245
ウ 経費
(ア) 仕入額
 証拠(乙26の1・2、34)によれば、本件侵害商品の仕入れ単価は、被告Tシャツ1が910円、被告Tシャツ3が920円、被告サンダル7が820円(いずれも消費税抜き。以下、同じ)であることが認められる。
 そうすると、仕入額の合計は278万1440円となり、上記イ(ウ)推定覆滅後の売上高に対応する仕入額は合計13万9072円であり、粗利益は10万0173円となる。
 910×1,480=1,346,800
 920×1,087=1,000,040
 820×530=434,600
 1,346,800+1,000,040+434,600=2,781,440
 2,781,440×0.05=139,072
 239,245−139,072=100,173
(イ) その他の経費
a 運送費及び倉庫保管料4645円
 証拠(乙28の1、2)によれば、被告は、被告Tシャツ1、被告Tシャツ3及び被告サンダル7を含む被告商品の販売に当たり、運送会社に対し、検針手数料として1個当たり13円、保管料として1坪当たり月額4500円、伝票作成手数料として1枚当たり100円、段ボール代として1個当たり280円、仕分梱包料として1個当たり1円から18円を支払ったことが認められる。
 被告Tシャツ1、被告Tシャツ3及び被告サンダル7の販売数量は、前記ア(ア)のとおり、3097個である。被告Tシャツ1、被告Tシャツ3及び被告サンダル7を他の商品と一緒に梱包して各店舗に送られた場合は、伝票作成手数料及び段ボール代の増加はないこと、本件で問題となる150個程度の数量(前記3097個×0.05)では、借り受ける倉庫の面積に違いが生じないと考えられることなどを考慮すると、製品1個当たり増加する運送費及び倉庫保管料を30円と認めるのが相当である。
 よって、運送費及び倉庫保管料を4645円と認めるべきである。
 30×3,097×0.05=4,645
b 店頭販売人件費0円
 証拠(乙29の1・2)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、被告Tシャツ1、被告Tシャツ3及び被告サンダル7を含む被告商品及びその他の関連商品の販売を他社に委託し、その費用として600万円を支払ったことが認められるが、上記aの150個程度の被告Tシャツ1等の販売がなければ、販売人員を削減することができたと認めることは、できない。
 よって、被告主張の店頭販売人件費経費を一部でも経費として控除することはできない。
c 包装用袋制作費7680円
 証拠(乙30の1・2)によれば、被告Tシャツ1、被告Tシャツ3及び被告サンダル7を含む被告商品の販売に当たり、物販袋合計2万袋の制作費として、99万2000円を要したことが認められる。
 被告Tシャツ1、被告Tシャツ3及び被告サンダル7の販売数量は、前記ア(ア)のとおり、3097個であるから、7680円を経費として認めるべきである。
 992,000÷20,000×3,097×0.05=7,680
エ 商標法38条2項の結論
 したがって、商標法38条2項により計算した被告が得た利益額は、8万7848円となる。
 100,173−4,645−7,680=87,848
(2) 推定が覆滅された部分についての商標法38条3項による損害額
ア 上記(1)に説示した事実その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、被告標章2、4(1)、5(1)及び6の使用に対し本件商標権者である原告が受けるべき金銭の額として、売上高の3%が相当であると認められる。
イ そうすると、推定が覆滅された部分について原告が受けるべき金銭の額は、13万6369円となる。
 4,784,910×0.95×0.03=136,369
(3) 損害額の結論
 以上によれば、原告の損害額は、22万4217円と認められる。
 87,848+136,369=224,217
4 結論
 以上のとおり、原告の請求は、被告に対し、被告標章2、4(1)、5(1)及び6の標章を付した衣類等の販売等の差止め及び第三者をして製造等させることの差止め、並びに不法行為に基づく損害金22万4217円及びこれに対する不法行為後である平成17年9月9日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、その余は理由がない。
 また、仮執行宣言は、主文第6項に掲げる限度で付するのが相当である。
 よって、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第40部
 裁判長裁判官 市川正巳
 裁判官 大竹優子
 裁判官 頼晋一
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