判例全文 line
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【事件名】易学書の著作権侵害事件
【年月日】平成17年9月28日
 東京地裁 平成16年(ワ)第4697号 出版差止等請求事件
 (口頭弁論終結日 平成17年6月15日)

判決
原告 A
同訴訟代理人弁護士 阿部能章
同 西川一八
被告 高島易断総本家株式会社
被告 B


主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 被告らは、別紙書籍目録記載6の書籍を複製し、販売し、又は頒布してはならない。
2 被告らは、原告に対し、連帯して1518万7500円及び内金1125万円に対する平成16年3月11日から支払済みまで、内金393万7500円に対する平成17年4月23日から支払済みまで、それぞれ年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は、原告が、被告らに対し、別紙書籍目録記載1ないし5の各書籍(以下「本件各書籍」という。)についての著作権及び編集著作権を原告が有するものであるところ、被告Bを著者、被告高島易断総本家株式会社(以下「被告会社」という。)を発行所とする別紙書籍目録記載6の書籍(以下「被告書籍」という。)の発行が、本件各書籍についての原告の著作権又は編集著作権を侵害するものであると主張して、著作権又は編集著作権(複製権・翻案権)に基づき、被告書籍の販売等の差止めを求め、不法行為に基づき、損害の賠償を求めた事案である。
 原告は、概要、@本件各書籍は原告が作成したものであり、原告が著作権者である、A仮に被告Bが作成した部分があったとしても、被告Bは、当初原告の従業員であり、原告が代表者を務める株式会社フォーチューン(以下「フォーチューン」という。)の設立後はフォーチューンの従業員であったから、著作権法15条に基づき、フォーチューンの設立前は原告が、フォーチューンの設立後はフォーチューンが、それぞれ著作者となり、原告は、フォーチューンから著作権を譲り受けたから、原告が著作権者である、B被告書籍の記載は本件各書籍の記載とほぼ同一であるか、類似しており、被告書籍は本件各書籍を複製ないし翻案したものである、と主張した。
 これに対し、被告らは、概要、@本件各書籍は被告Bが作成したものである、A被告Bは、原告に雇用されたことはなく、著作権法15条に基づいて原告が著作者となることはない、B被告Bがフォーチューンの業務に従事する者としてその職務上作成したものについては、フォーチューンの名義で公表されていないから、著作権法15条に基づいてフォーチューンが著作者となることはない(被告Bは、フォーチューンに雇用されたこともない旨主張する。)、C仮に原告の作成に係る部分があるとしても、著作物ないし編集著作物に該当しない箇所がある、と主張し、被告書籍が本件各書籍の複製物ないし翻案物である旨の原告の主張を争っている。
1 前提となる事実(括弧内に証拠を掲示したもの以外は、当事者間に争いがない。)
 原告は、高島易断総本部神聖館株式会社(以下「神聖館」という。)の取締役であり、フォーチューンの代表取締役である(甲8、9)。
 神聖館は、運命判断、姓名判断、易、人生相談等の説明会及び相談の実施等を目的とする株式会社である(甲8)。
 フォーチューンは、暦、雑誌その他の出版物の企画、出版及び販売等を目的とする株式会社であり、平成11年5月14日に設立された(甲9)。
 神聖館は、平成10年夏ころ、別紙書籍目録記載1の書籍(以下「本件書籍」という。)を出版した(甲37)。
 神聖館は、別紙書籍目録記載2の書籍(以下「本件書籍」という。)を出版した(甲38)。
 フォーチューンの設立後は、暦の出版業務はフォーチューンが行うことになり、フォーチューンは、別紙書籍目録記載3ないし5の書籍(以下それぞれ「本件書籍」ないし「本件書籍」という。)をそれぞれ発行した(甲3、39、40)。
 本件書籍ないし本件書籍は、いずれも本件書籍を原型とし、これに加筆訂正を加えて作成されてきたものである。
 本件各書籍の著者欄には、原告が著者として記載されている(甲3、37ないし40)。
 被告会社は、運命判断、姓名判断、易、人生相談等の説明会及び相談所の企画、実施等を目的とする株式会社である(甲10)。
 被告Bは、本件書籍の作成業務に従事していた。被告Bは、本件書籍が発行された後も、平成14年9月ころまで、神聖館又はフォーチューンが発行する神聖館開運暦又は神聖館運勢暦(以下「神聖館暦」という。)の作成業務に従事していた。
 被告会社は、平成15年8月4日から、被告書籍を出版・発行し、かつ、販売している。
 被告書籍の著者欄には、被告Bが著者として記載されている。
2 争点
 本件各書籍の作成者
 職務著作の成否
 著作権の譲渡の有無
 本件各書籍の著作物性ないし編集著作物該当性
 被告らによる原告の著作権侵害行為の有無
 損害の発生及び額
3 争点に関する当事者の主張
争点(本件各書籍の作成者)について
(原告の主張)
ア 神聖館暦の作成は、原告の発案に基づくものであり、いかなる内容とすべきか、種々考慮・検討をしたのも原告である。従前、神聖館は、株式会社東京神宮館(以下「神宮館」という。)が編集・発行をしていた神宮館運勢暦を、記載内容はそのままとし、表紙のみを変えて神聖館暦を制作し、主に神聖館の顧客に対するプレゼントの用に供していたところ、平成9年になって、原告が、神聖館独自の暦を作成しようと企図したものである。
 被告Bは、平成9年夏ころ、神聖館暦の作成業務に従事するために原告に雇用され、その後、フォーチューンが設立されたことに伴い、フォーチューンの従業員となったものであるが、被告Bは、独自に神聖館暦作成の意思決定過程に参画していない。被告Bは、同年夏ころから平成11年5月までは原告の従業員として、同年6月から平成14年9月まではフォーチューンの従業員として、それぞれその業務に従事していたものである。また、現実に発行された本件各書籍には、被告Bが著作者であることを示すような記載はない。
 したがって、本件各書籍を作成したのは原告である。
イ なお、被告Bは、本件書籍について28頁分、本件書籍?について19頁分の各原稿を保管していると主張するが、本件書籍及び本件書籍は総ページ数各224頁の書籍であるから、被告Bが保管する原稿の割合は、本件書籍については全体の12.5パーセント、本件書籍については全体の8.4パーセントにすぎない。
 本件書籍の中で、原告が作成した部分は、次のとおりである。

ページ 項目 ページ数
年盤座相
方位盤
24〜49 一月〜十二月・毎日ごよみ 26
48 男女の相性の見かた
49 男性から見た相性の良い女性
49 女性から見た相性の良い男性  
50 十二支による男女の相性
51 十干で見るあなたの運勢
52 十二支で見るあなたの運勢
53 九星による方位の吉凶
54 九星による運命判断
55〜153 一白水星から九紫火星まで 99
154〜156 人相の見かた
161〜164 手相の見かた
165〜172 家相・地相の見かた
合計   149

 原告が作成したこれらの原稿のすべては、本来フォーチューン内に残っていなければならないところ、現在、残っていないのは、被告Bがその原稿を持ち出したものとしか考えられない。
 本件書籍は、総ページ数224頁の書籍であるが、そのうち1ないし4頁及び220ないし224頁は、神聖館のPRであり、開運暦が本来保有すべき記載内容ではない。同様に、180ないし189頁の記載部分も、姓名学常用漢字の一覧であり、開運暦が本来保有すべき記載内容ではない。そこで、これら19頁を控除すると、開運暦が本来保有すべき記載内容の総ページ数は205頁となる。
 したがって、本件書籍のうち、原告が作成した部分の割合は、72.68パーセントである。
ウ 本件書籍の末尾には、著者として原告の氏名のみが記載され、被告Bの氏名はどこにも記載されていない。そして、そのような記載になったことについて、被告Bがクレームを述べた事実はない。
(被告会社の主張)
 本件各書籍は、いずれも被告Bが著作したものである。
 また、「健康」(本件書籍の202ないし205頁及び本件書籍?の268ないし273頁)は、被告Bが平成8年ころ著作し、平成12年に活字化した「五源養命の法で生命の改革」という著作物の一部を利用して被告Bが作成したものである。
(被告Bの主張)
 本件各書籍は、いずれも被告Bが著作したものである。
 原告は、暦の制作に関して何らの知識も有していなかったことから、被告Bが独自に調査・研究を行い、掲載すべき項目及びその形式を決定し、作成及び編集を行った。原告は、暦の制作に関し、被告Bに対して何ら指示をしなかった。
争点(職務著作の成否)について
(原告の主張)
ア 仮に、被告Bが保有する原稿が、被告Bが作成したものであったとしても、被告Bは、平成9年7月から平成11年5月までの間は原告の従業員の立場にあり、同月から平成14年11月までの間はフォーチューンの従業員の立場にあった。
 本件書籍は、原告の発意により、原告に雇用されていた被告Bがその職務上の行為として作成したものであるから、著作権法15条に基づき、原告が本件書籍の著作者となる。
 また、本件書籍、本件書籍及び本件書籍の新規制作部分についても、被告Bは、フォーチューンの従業員として、その職務上の行為として作成したものであるから、著作権法15条に基づき、フォーチューンが著作者となる。
イ 被告Bは、神聖館暦の作成業務に従事するために、平成9年夏ころから、月額25万円の給料で原告に雇用されていたものであり、それ以後平成10年夏ころに本件書籍を出版するまでの間、原告の従業員として、月額25万円の給料の支払を受けつつ、原告が行う暦の出版業務を手伝っていたのである。被告Bの給料は、原告から神聖館に預けられ、被告Bは、毎月1日、静岡市の神聖館において、神聖館の経理担当であるCから交付されていた。
 そして、被告Bは、平成11年5月14日にフォーチューンが設立されてからは、フォーチューンの従業員として、フォーチューンから月額25万円の給料の支払を受けていた。また、暦の制作に必要な旅費、交通費等の経費は、被告Bの請求により、原告又はフォーチューンが支払ってきた。
 なお、被告Bは、フォーチューンの取締役として登記されたことがあったが、被告Bがフォーチューンの取締役としての職務を遂行したことはなく、終始、暦の作成作業に従事していた。
ウ 著作権法15条が名義を公表することを要求した趣旨は、@対外的に誰が著作者であるかを明確にし、A法人内部にいる従業員に対し、自己に著作権が帰属するものではないことを明確にするためであると理解される。
 本件のように、平成13年版以降の神聖館暦の奥書に原告が著者として公表され、フォーチューンの氏名が公表されていないとしても、@対外的にはフォーチューンの代表取締役である原告に著作権が帰属することが明確になっているし、Aフォーチューン内部にいる被告Bに対し、被告Bには著作権が帰属しないことを明らかにする趣旨は全うされるから、職務著作の要件を充たすものというべきである。
 また、原告は、フォーチューンの代表取締役であり、被告Bに対して雇用関係に基づいて指揮監督をするのは、フォーチューンの代表取締役である原告であるから、被告Bを雇用していたフォーチューンと原告とは実質的に同一の立場にある。原告の名義で公表されたから職務著作の要件を充たさないとの被告会社の主張は、条文上の形式的要件に合致しない軽微な齟齬を根拠とする主張であって、信義則に反し、許されない。
(被告会社の主張)
ア 原告は、フォーチューンの設立まで、原告が被告Bに対して給与を支払っていたと主張するが、被告Bは、原告から給与の支払を受けたことはない。
イ 職務著作が成立するためには、実際に著作に携わった者が法人等の業務に従事しているものであること、すなわち、雇用関係にあること、及び法人等が当該著作物を自己の著作の名義の下に公表するものであることが必要である。
 本件各書籍は、いずれも著者を原告として奥書に原告の紹介文を付して発行されており、原告名義で公表されているものである。
 被告Bは、平成11年5月、フォーチューンの設立と同時にフォーチューンの取締役となり、以後フォーチューンから月額25万円の報酬を受領しているが、神聖館暦においてフォーチューンの名前が発行所として記載されるのは、平成13年版である本件書籍からにすぎない(なお、本件書籍の原稿は、フォーチューンの設立前の平成11年3月20日ころまでにはすべて作成されており、本件書籍に新たに掲載されることになった項目は、すべて被告Bが作成したものである。)。
 すなわち、平成11年5月以降については、被告Bと原告との間に雇用関係がないことは明らかであり、平成13年版以降の神聖館暦の被告Bが著作した部分について、著作権法15条に基づき、原告に著作権が帰属することはない。
(被告Bの主張)
 被告Bは、原告にもフォーチューンにも雇用されたことはない。
 被告Bは、易占鑑定師になることを希望して、神聖館を訪ね、神聖館の副会長であった原告と面会したところ、原告から暦の制作を依頼された。暦の制作について、給与は支払われず、経費も被告Bが負担し、利益が出た場合に、利益の15パーセントを神聖館に入金し、その余を被告Bが取得することとされた。
 被告Bは、平成11年5月から、フォーチューンの役員報酬の名目で月額25万円を受け取ったが、これは経費の一部を補てんするものにすぎず、給与ではない。
 また、被告Bは、著作料の支払を何度も請求したが、一度も支払われたことはない。
争点(著作権の譲渡の有無)について
(原告の主張)
 フォーチューンが設立されたのは、平成11年5月14日であり、フォーチューンが設立された後に発行された神聖館暦は、本件書籍、本件書籍及び本件書籍である。これらの神聖館暦のうちの新規制作部分は、本件書籍の「健康」(202ないし205頁)及び本件書籍の「長寿の秘訣、六つの条件」(269ないし273頁)である。
ア 本件書籍について
 フォーチューンと原告は、平成13年6月ころ、フォーチューンが原告に対して本件書籍の「健康」(202ないし205頁)についての著作権を譲渡する旨の黙示の意思表示による合意をした。
 フォーチューンを代表して合意をしたのは原告であるから、フォーチューンから原告に著作権を譲渡する旨の合意は取締役の自己取引に該当し、商法265条により取締役会の承認が必要であるところ、原告以外の取締役は、平成14年8月ころ、本件書籍の奥書に著者が原告である旨の記載があることを知りつつ何ら異議を述べていないから、取締役会は、同月ころ、フォーチューンから原告への著作権の譲渡につき黙示の追認をしたものである。
イ 本件書籍について
 フォーチューンと原告は、平成14年6月ころ、フォーチューンが原告に対して本件書籍の「長寿の秘訣、六つの条件」(269ないし273頁)についての著作権を譲渡する旨の黙示の意思表示による合意をした。
 フォーチューンを代表して合意をしたのは原告であるから、フォーチューンから原告に著作権を譲渡する旨の合意は取締役の自己取引に該当し、商法265条により取締役会の承認が必要であるところ、原告以外の取締役は、平成15年8月ころ、本件書籍の奥書に著者が原告である旨の記載があることを知りつつ何ら異議を述べていないから、取締役会は、同月ころ、フォーチューンから原告への著作権の譲渡につき黙示の追認をしたものである。
(被告らの主張)
 否認する。
争点(本件各書籍の著作物性ないし編集著作物該当性)について
(原告の主張)
ア 「本命星早見表」(本件書籍の表紙裏)及び「本命星の早見表」(本件書籍の表紙裏)
 「本命星早見表」(本件書籍の表紙裏)及び「本命星の早見表」(本件書籍の表紙裏)に記載された内容は、思想感情の表現ではないが、その配列には創作性が認められるから、編集著作物として著作権法12条により保護される。
イ 「もくじ」(本件書籍の4、5頁)
 本件書籍の「もくじ」(4、5頁)は、見出しを赤色で囲み、白抜き文字で表現している。このような表現方法は、他の類似書籍のいずれにも存在していない。
ウ 「方位盤」(本件書籍の9頁及び本件書籍の3頁)
 本件書籍(9頁)の方位盤には、方位、八卦のマーク、火の場所、十二支及び九星の5要素のすべてが織り込まれている。
 方位盤に方位、八卦のマーク、火の場所、十二支及び九星の5要素をすべて織り込むことは、読者の理解を促進させるための原告の創作的な思想の表現である。
 D著作・神宮館編著「平成十六年神宮館運勢暦」(甲5。以下「神宮館暦」という。)、E著作・有限会社神栄館発行「平成十六年鳳凰暦」(甲6。以下「鳳凰暦」という。)及びF著作・東京易占学院監修「平成十六年観象運勢暦」(甲7。以下「観象暦」という。)のいずれにおいても、方位、十二支、吉神・凶神及び九星の4つの要素を取り入れて方位盤が作成されており、これら3冊の類似書籍(以下「本件類似書籍」という。)との比較からすれば、5つの要素を取り入れた方位盤が普遍的に存在しているものではない。
エ 「一白水星」ないし「九紫火星」(本件書籍の55ないし153頁及び本件書籍の64ないし225頁)
 本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(55ないし153頁)においては、九星ごとに運命判断が記載され、さらに、九星ごとに、1月から12月までの運勢が記載されている。このような素材の選択及び配列は、本件類似書籍でも同様であるが、本件書籍には次の特色がある。
(ア) 本件書籍の55頁では、一白水星における1年間の運勢の変化を一覧にして表を掲げている。この運勢波動の変化一覧表は、原告の創作的な表現であり、他の類似書籍には全く記載されていない。運勢波動とは、1年間を通して、運勢がどのように変化するかを読者にわかりやすく図示したものである。この運勢波動の変化一覧表は、九星ごとに掲げられている。
(イ) 九星ごとの各見出しは、白抜きの文字に赤ピンクの囲いをし、本文中にも、赤文字、赤ピンク文字を使用することによって、読者が一目見てわかりやすい配列となっている。このような配列は、他の類似書籍には見られない。
(被告らの主張)
 本件各書籍の次の部分は、著作物に該当しない。
ア 「本命星の早見表」(本件書籍の表紙裏及び本件書籍の表紙裏)
 原告は、本件類似書籍の表は年齢早見表と題され、生まれ年から年齢を換算することを第一義とするのに対し、被告書籍及び神聖館暦では、今年の本命星を掲記することを第一義としている点で全く異なると主張している。
 人の運勢を判断するのに当たり、もっとも基本的なことは、生まれた年ごとに異なる九星のうちから、自分がどの本命星に当たるかを知った上で、九星によって異なるその年の運勢を見ることであるから、まず自分の本命星が何かを知る必要があり、一覧表はこの目的で作成されている。
 一覧表作成の目的は、本件類似書籍、本件各書籍、被告書籍のいずれにおいても、上述の点にあり、その内容もほぼ同一である(本件類似書籍においても、最上段に九星が明示されている。)。例えば、昭和25年生まれでは、九星は五黄土星、干支はかのえ・とらであり、これはどの種類のどの年の版でも同じである。
 したがって、本命星の早見表は、編集著作権の対象となることはない。
イ 「もくじ」(本件書籍の4・5頁)
 目次は、その目的から、素材の選択、配列に創作性が認められる余地がほとんどないものである。なぜなら、目次は、読者の便宜のために書籍の内容を紹介するものであって、必然的に、内容となっている項目を、掲載されている順序に従って、掲載されたページ数とともに記載するという方法をとらざるを得ないからである。
 原告は、「もくじ」について、項目を赤色で囲み、白抜き文字にしていると主張するが、これが素材の選択又は配列についての創作性の現れであるとはいえない。
ウ 「方位盤」(本件書籍の9頁及び本件書籍の3頁)
 方位盤を八角形の形態にすること、方位等5つの要素を取り入れることは、100年以上前から日本や中国で行われてきており、原告の創作によるものではない。
 したがって、方位盤は、著作権の対象ではない。
エ 「一白水星」ないし「九紫火星」(本件書籍の55ないし153頁及び本件書籍の64ないし225頁)
 原告は、運勢波動の変化一覧表(グラフ)は本件類似書籍にはないと主張するが、「観象暦」と題する類似書籍では、平成7年版から「波動表」として同様なグラフが掲載されており、被告Bは、これら類似書籍を参考として、本件書籍にグラフ掲載をするに至ったものである。
 また、白抜き文字と赤ピンクの囲い、赤文字、赤ピンク文字の使用は、デザイン上の工夫とはいえても、素材の配列に創作性があるとはいえない。
 したがって、一白水星ないし九紫火星の運命判断について、原告が著作権ないし編集著作権を有するものではない。
オ カレンダー(本件書籍の裏表紙)
 原告は、デザイン・体裁が同じであると主張するが、その内容から、素材の選択、配列にほとんど創作の余地がないものであって、編集著作権の対象とはならない。
争点(被告らによる原告の著作権侵害行為の有無)について
(原告の主張)
 被告書籍は、以下に述べるとおり、本件各書籍の記載と同一又はほぼ同一の記載を有し、本件各書籍の複製物ないし翻案物と評されるものであるところ、被告らは、故意又は過失により、本件各書籍の記載に依拠して被告書籍を制作したものであるから、被告らの行為は原告の著作権を侵害するものである。
ア 本件書籍について
(ア) 「本命星早見表」(表紙裏)(甲78、1頁)
 本件書籍(表紙裏)の「本命星早見表」と被告書籍(表紙裏)の「本命星の早見表」とは全く同一であるから、被告書籍は、原告が有する編集著作権を侵害するものである。
(イ) 方位盤(9頁)(甲78、4頁)
 本件書籍(9頁)の方位盤は、方位、八卦のマーク、火の場所、十二支及び九星の5つの要素をすべて織り込んだものであるところ、被告書籍(5頁)の方位盤は、本件書籍の方位盤と記載内容が同一であって南北を逆転させただけである。
 また、被告書籍(5頁)の「今年、新築、増改築、旅行、移転などをしたいが時期や方位が悪いという人は前もって『時期の厄除け開運』『方災厄除け』をして凶運を避けなければなりません。この厄除け祈願は気学、方位学、卜筮などにより徹底的に行わなければなりませんから、高島易断に御相談下さい。」との記載があるところ、この記載は、本件書籍の記載とほとんど同一内容である。
(ウ) 六輝(ろっき)(13頁)(甲78、8頁)
 本件書籍(13頁)では、「六輝」と題し、「先勝」、「友引」、「先負」、「仏滅」、「大安」及び「赤口」の各項目の説明及びそれらの統一的な説明を記載し、六輝の沿革、歴史及び名称変更の過程を述べている。これらの解説部分及び個々の素材の配列は、原告の思想の創作的表現である。
 被告書籍(10頁)では、「六輝」と題し、「先勝」、「友引」、「先負」、「仏滅」、「大安」及び「赤口」の各項目について、本件書籍と酷似した解説を記載しており、解説の最後には、「六輝ほど、迷信に富んだものはなく、根拠のない選日方法ですが、一日一日に何らかの意義を持たせて、軽い緊張感のある日を過ごすのも、またよいではないかと思われます。」と記載している。
 本件書籍と被告書籍とで、記載項目、内容及び表現方法が酷似しており、かつ、個々の素材の配列が全く同一であることは明白である。
 神宮館暦(12頁)、鳳凰暦(4頁)及び観象暦(13頁)にもそれぞれ六輝の解説はあるが、本件書籍とは全く異なる。
 したがって、被告書籍が本件書籍を模倣したことは明白である。
(エ) 二十四節気(せっき)(14、15頁)(甲78、15頁)
 本件書籍(14頁)では、「二十四節気(せっき)」と題し、説明を付している。説明のうち、次の記述は、創作的表現であって、著作権の対象となる部分である。
 立春:暦の上では旧冬と新春の境目にあたり、この日から春になるので、“春立つ”“春くる”など春の季語になります。
 啓蟄:地上は楽園になります。
 清明:草木の花が咲き始め鳥は歌い、蝶は舞い踊ります。
 小満:山野の植物は花を散らして実を結び、田に苗を植える準備を始めるなど、万物が伸々として明るく見受けられます。
 その他の雨水、春分、穀雨、立夏などの各用語の説明について、説明内容は一般的であっても、全体として、原告がイメージした表現で説明しているから、原告の思想の創作的表現である。
 被告書籍(18頁)でも、「二十四節気」と題し、本件書籍?と全く同一の解説を記載しており、かつ、個々の素材の配列も全く同一である。
 なお、神宮館暦(8頁)、鳳凰暦(8頁)及び観象暦(12頁)では、二十四節気について、全く異なった観点から記述されており、このことからも被告書籍が本件書籍の模倣であることは明白である。
(オ) 九星(きゅうせい)(17頁)(甲78、7頁)
 本件書籍(17頁)では、「九星(きゅうせい)」と題し、九星と運命との関係を、読者にわかりやすく解説しており、この解説部分及び個々の素材の配列は、原告の思想の創作的表現である。
 被告書籍(9頁)では、「九星気学」と題し、本件書籍と酷似した解説をしており、かつ、個々の素材の配列は全く同一にされている。
(カ) 十干とは・・・・・・(18頁)(甲78、9頁)
 本件書籍(18頁)では、「十干とは・・・・・・」と題し、十干に関する説明を付している。説明のうち、次の記述は、創作的表現であって、著作権の対象となる部分である。
 甲:積極性が少なく、耐え忍ぶ静かな性格
 乙:自立心がやや弱く、周囲の者に保護されながら次の発展を待つような性格
 丙:積極性が少し出てきて、何事にも興味を持って挑戦を試みようとする性質あり。
 丁:完成した大人のごとく、落着きや風格が出て他人の信望が得られる人格者
 戊:他人の領域をも侵すほど積極的で意欲が旺盛、権力を持って支配したくなる強運。
 己:物事に凝り性で、何事も納得ゆくまで追求しなければ気の済まぬ性質あり。
 庚:積極性がなく、頑固に自分の考えを押し通すが、一方冷静に物を見て批判をする。
 辛:沈着冷静、何事もひかえ目で人の前に立とうとしない。消極的すぎる面あり。
 壬:母性本能が強く、他人のめんどう見が良いので誰にでも好かれる性質あり。
 癸:疑うことを知らず、ただ正直に生きる。
 被告書籍(11頁)でも、「十干(干は幹の字の一部)」と題し、本件書籍?と酷似した解説を記載し、かつ、個々の素材の配列は全く同一である。
 なお、神宮館暦(12頁)、鳳凰暦(19頁)及び観象暦(6頁)では、十干について、全く異なった観点から記述されており、このことからも被告書籍が本件書籍の模倣であることは明白である。
(キ) 十二支とは・・・・・・(19頁)(甲78、10頁)
 本件書籍(19頁)では、「十二支とは・・・・・・」と題し、十二支に関する説明を付している。説明のうち、次の記述は、創作的表現であって、著作権の対象となる部分である。
 子:草木の種が土の中で水分を吸収し、やがて来る春に向かって芽を出そうとして準備し始めた姿。
 丑:土中の陰気が次第に減少し、陽気が増大して来るから、種子の内部で芽が次第にふくらんで来るが、まだ皮を被って外に顔を見せない状態。
 寅:陰気が益々減少し、陽気が地下から地上に上昇してくるので草木の芽もようやく地上に顔を出して生い生いしい元気な姿を現します。
 卯:水々しい緑で地上が蔽われるようになって、明るくなるので、春が来たことを感じます。
 辰:雷は元気な音と光を発し、植物は伸びて成長します。
 巳:万物がそれ以上生い茂ることのない極に達すること。
 午:陽気は最大限に現れるが、陰気も少しづつ出初めて、陽気とさからい争う。万物が繁茂の極から過ぎて衰微の傾向が出始める状態である。
 未:成熟した万物は、色や形や味が魅力的になり、早や秋の気配がする。
 申:秋も深まり万物は穏やかに収まって、静止に向かっていく。
 酉:秋は一段と深まり獲り入れの時期となる。
 戌:かつての旺盛な姿はすべて消滅し、生命を滅亡したかのように全くの動きさえ無い。
 亥:陽気がすべて地下に潜入してしまい、万物はすでに落ちぶれて、生命力は種の内部に閉じ込められてしまう、来春の陽気を静かに待つ姿。
 被告書籍(12頁)でも、「十二支(支は枝の字の一部)」と題し、本件書籍と酷似した解説を記載しており、かつ、個々の素材の配列は全く同一である。
 なお、神宮館暦(12頁)、鳳凰暦(19頁)及び観象暦(6頁)では、十二支について、全く異なった観点から記述されており、このことからも、被告書籍が本件書籍の模倣であることは明白である。
(ク) 十二直(ちょく)中段(20頁)(甲78、11頁)
 本件書籍(20頁)では、「十二直(ちょく)中段」と題して、十二支と北斗七星との関係を読者にわかりやすく解説し、十二直ごとの占いを記載している。これらの解説及び占いの部分並びに個々の素材の配列は、原告の思想の創作的表現である。
 被告書籍(13頁)では、「二十八宿」と題して、十二支と北斗七星との関連を記載しており、本件書籍と酷似した解説をしている。占いの記載及び個々の素材の配列は、本件書籍と全く同一である。
 神宮館暦には、十二直の記載がなく、鳳凰暦(15頁)及び観象暦(13頁)では、全く別個の表現となっていることからも、被告書籍の違法性は明らかである。
(ケ) 毎日ごよみ(24ないし47頁)(甲78、19〜30頁)
 本件書籍(24ないし47頁)では、平成11年1月から同年12月までの各日について、1か月を見開き2ページに収め、上段から「日」、「曜日」、「十干十二支」、「九星」、「行事」、「陰暦」、「六輝」、「二十八宿」及び「十二直」を掲げ、一覧形式としている。
 被告書籍(42ないし64頁)においても、本件書籍と全く同様に、1か月を見開き2ページに収め、上段から「日」、「曜日」、「十干十二支」、「九星」、「行事」、「陰暦」、「六輝」、「二十八宿」及び「十二直」を掲げ、一覧形式としており、被告書籍の記載内容は、素材の選択及び配列の双方について、本件書籍の記載内容と全く同一である。また、赤ピンク色と黒色の2色を使用している点からも、被告書籍の記載内容が本件書籍の記載内容を模倣していることは明白である。
 したがって、被告書籍の記述内容は、本件書籍について原告が有する編集著作権を侵害するものである。
 なお、神宮館暦(24ないし47頁)、鳳凰暦(29ないし80頁)及び観象暦(20ないし43頁)では、その年の1月から12月までの間、各日の曜日、干支、九星、行事、六輝、二十八宿などの素材を織り込んだ暦を掲載している。
(コ) 男女の相性の見かた(48頁)及び十二支による男女の相性(50頁)(甲78、31〜32頁)
 本件書籍(48頁)では、「男女の相性の見かた」と題して解説を付しており、本件書籍(50頁)では、「十二支による男女の相性」と題して一覧表を用いて読者の理解をしやすいように便宜を図っている。
 被告書籍(66頁)でも「男女の相性」と題し、本件書籍(48頁)と全く同一の解説を記載しており、個々の素材の配列は全く同一である。また、被告書籍(68頁)では、本件書籍(50頁)と全く同一の一覧表を記載している。これらがいずれも本件書籍の模倣であることは明白である。
 なお、神宮館暦(17頁)にも、「男女の相性の見方」と題する解説が記載されているが、この記述は本件書籍?とも被告書籍とも全く異なっている。また、鳳凰暦及び観象暦には、「男女の相性」に関する記述はない。
(サ) 十干で見るあなたの運勢(51頁)及び十二支で見るあなたの運勢(52頁)(甲78、33〜34頁)
 本件書籍(51頁)では、「十干で見るあなたの運勢」と題して、きのえ(甲)からみずのと(癸)までの各運勢を解説しており、本件書籍(52頁)では、「十二支で見るあなたの運勢」と題して、ね(子)からい(亥)までの各運勢を解説している。
 被告書籍においては、69頁で「十干で見る運勢」と題し、70頁で「十二支で見る運勢」と題し、本件書籍と全く同一の解説及び個々の素材の配列を用いている。これらがいずれも本件書籍?の模倣であることは明白である。
 なお、神宮館暦(142ないし145頁)に「十二支一代の運気と守り本尊」と題した記述があり、鳳凰暦(192ないし195頁)にも十二支ごとの運勢の解説が記述されているが、これらの記述は、本件書籍とも被告書籍とも全く異なっている。また、観象暦には、「十干十二支の運勢」に関する記述はない。
(シ) 九星による運命判断(54頁)(甲78、35頁)
 本件書籍(54頁)では、「九星による運命判断」と題し、広大な空間(宇宙)が人間に及ぼす働きを「気」と呼び、この「気」を「天の気」「地の気」「人の気」の3種類に分け、それぞれの気をさらに分類して一覧表にまとめた。この分類をすること及びこれらを一覧表にまとめることは、原告の思想の創作的表現である。
 被告書籍(73頁)においては、「九星による運命判断」と題し、本件書籍と全く同一の「気」の分類及び一覧表を記載している。これらがいずれも本件書籍の模倣であることは明白である。
 なお、神宮館暦及び観象暦には、九星による運命判断の記述はなく、鳳凰暦(19頁下段)に「九星」による運命判断の記述が見受けられる。しかし、この記述は、全く本件書籍とは異なる記述である。
(ス) 一白水星(55ないし65頁)、二黒土星(66ないし76頁)、三碧木星(77ないし87頁)、四緑木星(88ないし98頁)、五黄土星(99ないし109頁)、六白金星(110ないし120頁)、七赤金星(121ないし131頁)、八白土星(132ないし142頁)及び九紫火星(143ないし153頁)(甲78、36〜152頁)
 本件書籍(55ないし153頁)では、九星による運命判断(54頁)に引き続き、九星ごとに運命判断を記載している。さらに、九星ごとに、1月から12月までの運勢を記載している。このような素材の選択及び配列は、被告書籍(74ないし208頁)に限らず、神宮館暦(48ないし128頁)、鳳凰暦(81ないし188頁)及び観象暦(46ないし189頁)でも同様である。
 しかし、本件書籍(55頁)では、一白水星における1年間の運勢の変化を一覧にして表に掲げている。この運勢波動の変化一覧表は、原告の創作的な表現であり、本件類似書籍には全く記載されていない。運勢波動とは、1年間を通して、運勢がどのように変化するかを読者にわかりやすく図示したものである。本件書籍では、この運勢波動の変化一覧表を、九星ごとに掲げている(66、77、88、99、110、121、132、143頁)。
 九星ごとの各見出しを、白抜きの文字に赤ピンクの囲いをしたものとし、本文中にも、赤文字、赤ピンク文字を使用することによって、読者が一目見てわかりやすい配列となっている。このような配列は、本件類似書籍には見受けられないものである。
 このような本件書籍の特色を、被告書籍はそのまま模倣している。
 被告書籍(74頁)では、「運勢波動と流れ」と題し、一白水星における1年間の運勢の変化を一覧にして表に掲げている。この運勢波動の流れ一覧表は、本件書籍(55頁)に掲記された一覧表をそのまま模倣したものであり、原告のアイディアをそのまま模倣したものである。被告書籍でも、この運勢波動の流れ一覧表を、九星ごとに掲げている(89、104、119、134、149、164、179、194頁)。
 さらに、被告書籍でも、本件書籍と同様に、九星ごとの各見出しを、白抜きの文字に赤ピンクの囲いをし、本文中にも、赤文字、赤ピンク文字を使用することによって、読者が一目見てわかりやすい配列としている。その配列は、まさに本件書籍?の記述と同様である。このことは、本件類似書籍との比較をしても、明白である。
 したがって、「運勢波動の流れ」と題し、九星ごとに一覧表を掲記した被告書籍の記述は、いずれも本件書籍の記述と同様であり、原告が有する著作権を侵害するものである。また、各素材の配列も本件書籍の配列と同様であり、原告が有する編集著作権を侵害するものである。
(セ) 人相の見かた(154頁)(甲78、153頁)
 本件書籍(154頁)では、「人相の見かた」と白抜き文字で題して、人間の顔を20部位に分類し、人間の顔の図面を掲記し、各部位と性格及び人相の解説を行っている。
 被告書籍(209頁)においても、「人相の見かた」と白抜き文字で題して、人間の顔を20部位に分類し、人間の顔の図面を掲記し、各部位と性格及び人相の解説を行っている。
 神宮館暦(130頁)は、「人相の見方」を取り上げているが、鳳凰暦及び観象暦では、いずれも取り上げられていない。また、神宮館暦では、人間の部位を13部位に分類している。
 「人相の見かた」を取り上げ、白抜き文字で題すること、人間の顔を20部位に分類し、その分類を人間の顔の真下に掲記すること、各部位と性格及び人相の解説を行うことについては、原告が素材の選択及び配列について編集著作権を有するものであるから、被告書籍(209頁)の記述が、原告が有する編集著作権を侵害するものであることは明白である。
(ソ) 手相の見かた(161ないし164頁)(甲78、154頁)
 本件書籍(161ないし164頁)では、「手相の見かた」と題して、「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」、「結婚線」、「健康線」、「手の大小」、「爪の相」及び「指の特性」の10項目を白抜き文字で掲記し、それぞれの解説をしている。
 被告書籍(212頁)においても、同様に「手相で自分を知る」と題して、「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」及び「人気線」の6項目を白抜き文字で掲記し、それぞれの解説をしている。
 本件書籍の記述と被告書籍の記述とで異なるのは、「見出し」及び最後の項目が「結婚線」であるか「人気線」であるかにあり、その他は、素材の選択及び配列のいずれも酷似している。被告書籍の記述内容も、本件書籍?の記述内容と酷似している。
 このことは、本件類似書籍の記述内容と比較すればよりいっそう明白である。
 神宮館暦(131頁)では、「手相の見方」と題し、「八宮の説明と吉凶判断」及び「明堂と天地人の三紋」の解説がされており、本件書籍及び被告書籍の各記述とは全く異なっている。
 鳳凰暦(200頁)では、「手相判断」と題し、「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」、「財運線」、「結婚線」、「健康線」、「手の大小」及び「爪の相」の10項目の解説をしている。その体裁、記述内容並びに素材の選択及び配列のいずれも、本件書籍の記述とは異なる。
 観象暦(203頁)では、「手相の神秘」と題し、「見方のワンポイント」、「手の中に於ける丘と意義」及び「性格編」に分けて解説をしている。その体裁、記述内容並びに素材の選択及び配列のいずれも、本件書籍の記述とは異なる。
 したがって、被告書籍の記述は、本件書籍の記述を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権及び著作権を侵害するものであることは明白である。
(タ) 「家相二十四方位 吉方」及び「家相二十四方位 凶方」(169頁)(甲78、158頁)
 本件書籍(169頁)では、「家相二十四方位 吉方」「家相二十四方位 凶方」と題し、家の玄関、台所、トイレ、浴室等の配置について方位の吉凶を図示している。
 被告書籍(229頁)においては、「家相二十四方位の吉凶一覧」と題して、本件書籍の2つの図を合体させた図を記載しており、全体として黒字と赤字の2色刷りとなっていることから、一見して本件書籍の記述内容と酷似している。
 これらを本件類似書籍と比較すると、次のとおりである。
 神宮館暦(132頁)では、「家相盤の用い方」と題し、「家相八方位吉凶一覧」と題する図と解説が記載されている。この図では上方が南、下方が北となっており、方位が逆転している。これらの記載は、本件書籍の記載とは全く異なっている。また、2色刷りではないため、本件書籍の記載内容とは全く異なった記載との印象が持たれる。
 鳳凰暦(203頁)では、「家相吉凶便覧図」と題し、24方位に分割をした図と家屋の平面図を記載し、解説している。しかし、その体裁、記載内容及び素材の配列のいずれも、本件書籍の記載とは異なる。
 観象暦(199頁)では、「家相盤」と題し、24方位を干支で記載し、各干支の解説を行っているが、その体裁、記載内容並びに素材の選択及び配列のいずれも、本件書籍の記載とは異なる。
 したがって、被告書籍の記載は、本件書籍の記載を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権及び著作権を侵害するものであることは明白である。
(チ) 冠(192ないし195頁)、婚(196ないし201頁)、葬(202ないし206頁)及び祭(207ないし212頁)(甲78、159〜166頁)
a 本件書籍(192ないし212頁)では、冠婚葬祭について、各項目ごとに常識として知っておくべき事柄を記述している。
 194頁では、「結婚記念日」と題して、結婚1年目から75年目までの結婚記念日の名称及び贈り物の一覧を表にまとめて掲記している。
 195頁では、「賀寿の祝」と題して、還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿、卒寿及び白寿についての解説を記述している。
 196頁では、「婚」と題し、婚姻、見合い、結納について、各解説を付し、さらに、結納品(正式9品目)のすべてを赤の図面で掲記し、読者の理解を促進させる内容となっている。
 197頁では、「式場選び」、「招待状」、「挙式」、「披露宴」及び「挙式・披露宴の費用」と題して、各項目について解説を記述し、198頁では、「誕生石」、「新婚旅行」、「婚姻届け」及び「住民登録」と題して、各項目について解説を記述している。
 202頁では、「葬」と題して、「危篤のお知らせ」、「末期の水」、「死に化粧」、「死亡通知」、「死亡診断書」、「臓器提供」、「死に装束」、「葬儀社」、「葬儀」、「香典」、「告別式」、「会葬」、「遺言」、「服喪」、「法要」、「祥月命日」、「形見分け」及び「年始の欠礼」の各項目を設け、解説を記述している。
 207頁以下では、月ごとの祭事を掲記している。
b 被告書籍(230ないし244頁)においても、「慶祝」、「婚姻」、「葬儀」及び「祭祀」と題して、各項目ごとに常識として知っておくべき事柄等を記述している。
 231頁では、「賀寿の祝」と題して、還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿、卒寿及び白寿についての解説を記述しており、本件書籍の記述内容と全く同一である。
 233頁では、結納と題して、結納品(正式9品目)のすべてを図示しており、この図は、本件書籍の図と全く同一である。
 233頁では、「婚姻」と題して、「挙式・披露宴の費用」、「披露宴」、「新婚旅行」及び「婚姻届」の各項目について解説を記述し、結納品を赤の図面で掲記している。この項目の選択及び配列は、本件書籍と同様である。
 235頁では、「葬儀」と題して、「末期の水」、「死に化粧」、「死亡通知」、「死亡診断書」、「遺言」、「服喪」及び「法要」の各項目を設け、解説を記述している。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と同様である。
 237頁以下では、月ごとの祭事を掲記している。
 掲記されている祭事のうち、本件書籍?と合致する項目は次のとおりである。
 元旦
 松納め
 節分
 建国記念日
 桃の節句
 花祭り
 メーデー
 憲法記念日
 母の日
 時の記念日(被告書籍(239頁)では「憲法記念日」と記述されているが語記と思われる)
 七夕
 盂蘭盆
 土用丑の日
 終戦記念日
 中秋の名月
 敬老の日
 体育の日
 鉄道記念日
 文化の日
 悪退まつり
 酉の市
 冬至
 なまはげ
 大晦日
c 以上のとおり、被告書籍の素材の選択及び配列は、本件書籍の素材の選択及び配列と酷似している。このことは、本件類似書籍の記述内容と比較すればよりいっそう明白である。
 神宮館暦(146頁)では、「冠婚葬祭の心得」と題し、次の各項目に分けて解説が記述されている。
 「お見合いについての心得」
 「結納についての心得」
 「結納品についての心得」
 「結婚式の日取りについて」
 「早めに司会者を決めること」
 「結婚披露宴の招待状」
 「来賓者の祝辞について」
 「長寿の祝いについて」
 「出産祝いについて」
 「結婚記念日について」
 「発表会などの心得」
 「ご祝儀についての心得」
 「一般的なチップについて」
 「旅館での心得について」
 「葬儀についての心得」
 「焼香の順序について」
 「焼香のやり方」
 「玉串ささげ方」
 「不祝儀についての心得」
 「喪服と喪章の心得」
 「法要と香典返しの心得」
 「服喪についての心得」
 これらの素材の選択及び配列は、本件書籍の素材の選択及び配列とは全く異なる。
 鳳凰暦(207頁)では、「人生の祝祭儀式」と題し、簡略な解説が記述されているが、本件書籍の記述内容並びに素材の選択及び配列とは全く異なる。
 観象暦(222頁以下)では、「冠婚葬祭のエチケット」と題し、各解説が記述されているほか、「季節はめぐる歳時記」と題して1月から12月までの催事についての解説が記述されているが、その記述内容は、本件書籍の記述内容とは全く異なる。
d したがって、被告書籍の記述は、本件書籍の記述を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権及び著作権を侵害するものであることは明白である。
(ツ) カレンダー(裏表紙)(甲78、176頁)
 本件書籍の裏表紙にはカレンダーを掲載している。
 被告書籍においても、裏表紙に、本件書籍とデザイン及び体裁が全く酷似したカレンダーを掲載している。
 これに対し、本件類似書籍では、いずれも裏表紙にカレンダーが掲載されているが、デザイン及び体裁は全く異なっている。このことから、被告書籍が本件書籍を模倣したことは明白である。
イ 本件書籍について
(ア) 九星による方位の吉凶(10、11頁)(甲78、3頁)
 本件書籍(10頁)では、冒頭において「方位から受ける気」の意味内容を解説している。この「方位から受ける気」の確定的な定義は確立されておらず、著者各自が自己の見解に従って創作的に「方位から受ける気」という言葉の意味を定義するのである。この点において、この記述部分は原告の思想の創作的表現である。
 被告書籍(3頁)においても、冒頭において「方位から受ける気」を解説しているところ、その解説は、本件書籍の記述をそのまま転写したものである。
 そのほか、本件書籍(10、11頁)では、五大方殺(ほうさつ)、八将軍(神殺)、金神(こんじん)、吉神(きっしん)及び凶神(きょうしん)について、内容を紹介し、それぞれをわかりやすく解説している。この解説文は、原告がそれまでの知識を活用して、自己の理解に基づいて記述したものである。
 また、読者の理解を得やすいように、かつ、関心を引くように、本件書籍では、長方形の中に白抜きの文字で各項目を掲げ、各3行程度の文章で各項目を解説している。このような素材の配列は、原告の創作的表現である。
 この点に関する被告書籍の記述部分も、本件書籍の記述部分と同様の配列としており、かつ、文言もすべてにおいて全く同様であって、被告らは、本件書籍の該当部分をそのまま転写したものである。
(イ) 二十八宿(14頁)及び二十八宿の吉凶(16、17頁)(甲78、13〜14頁)
 本件書籍(14、16、17頁)においては、「二十八宿の星座」と題し、28の星座の位置を示す図と、各星の今年の運勢を記載している。14頁に記載した図は、二十八宿の星座の位置を読者が理解しやすいように原告が考案したものである。また、各星の今年の運勢は、原告の思想の創作的表現である。
 被告書籍(15ないし17頁)では、「二十八宿」と題し、本件書籍と全く同一の図及び文章を記載している。これらは、本件書籍と一言一句違わない表現であり、個々の素材の配列も全く同様となっており、まさに本件書籍の模倣である。
 神宮館暦(14頁)、鳳凰暦(16頁)及び観象暦(13頁)では、全く別個の表現となっていることからも、被告書籍が本件書籍の著作権を侵害していることは明らかである。
(ウ) 四神相応の図(15頁)(甲78、155頁)
 本件書籍(15頁)においては、「四神相応の図」と題し、良い家相についての解説を図で示している。この図は、原告の思想の創作的表現である。
 被告書籍(223頁)においても、「家相・地相」と題し、良い家相についての解説を付しているが、その末尾に「家を取り巻く環境」と題し、四神相応の絵と題する図を掲記している。この図は、本件書籍に記載されている図と酷似している。
 なお、本件類似書籍には、家相に関する記述はない。
(エ) ラッキーカラー(27頁)(甲78、12頁)
 本件書籍(27頁)においては、「ラッキーカラー」と題して九星ごとにラッキーカラーを記述するとともに、「本命星の基本カラー」と題して各本命星と相性のよいカラーを図示している。このラッキーカラーの記述及び図にまとめることは、原告の思想の創作的表現である。
 被告書籍(14頁)でも、「幸せを呼ぶカラー」と題し、本命星とカラーとの相性に関する説明を付している。このうち、本命星の基本カラーと題する図は、本件書籍と全く同一である。
 なお、本件類似書籍には、ラッキーカラーに関する記述はない。
ウ 本件書籍について
(ア) 家相盤の使い方!!(186頁)(甲78、157頁)
 本件書籍(186頁)においては、「家相盤の使い方!!」と題して、24方位に分割した図を記載し、解説を記述している。
 被告書籍(228頁)においても、「家相盤の用い方」と題して、本件書籍の記述内容と全く同様に、24方位に分割した図を記載し、解説を記述している。とりわけ、24方位に分割をした図は、本件書籍の記述内容と全く同一である。
 このことは、本件類似書籍の記述内容と比較すればよりいっそう明白である。
 神宮館暦(132頁)では、「家相盤の用い方」と題し、「家相八方位吉凶一覧」と題する図及び解説が記載されているが、家相盤の使い方に関する記述はない。
 鳳凰暦(203頁)では、「家相吉凶便覧図」と題し、24方位に分割した図、家屋の平面図及び解説が記載されているが、やはり家相盤の使い方に関する記述はない。
 観象暦(199頁)では、「家相盤」と題し、24方位を干支で記載し、各干支の解説を行っているが、やはり家相盤の使い方に関する記述はない。
 したがって、被告書籍の記述は、本件書籍の記述を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権及び著作権を侵害するものであることは明白である。
(イ) 風水で見る各部屋の作用とポイント(188頁)(甲78、156頁)
 本件書籍(188頁)においては、「風水で見る各部屋の作用とポイント」と題して、「玄関」、「風呂」、「キッチン」、「トイレ」、「階段」及び「神棚・仏壇」の6項目に分けて解説を記述している。
 被告書籍(226頁)においても、「家の各部分の作用」と題して、本件書籍の記述内容と同様に、「玄関」、「風呂」、「台所・食堂」、「トイレ」、「階段」、「神棚・仏壇」の6項目のほか、「寝室」、「家相盤」、「家敷内の大樹や岩石」及び「採光と通気」の4項目に分けて解説を記述している。被告書籍に記述された解説は、いずれも本件書籍に記述された解説と酷似している。
 このことは、本件類似書籍の記述内容と比較すればよりいっそう明白である。
 神宮館暦(133頁)では、「家相学の基礎知識」と題し、「大切なのは人と家との調和」、「家相学の基本的な考え方」、「採光と通気」、「自然に相当した住まいづくりを」、「地相・家相の張りと欠け」、「地勢の吉凶」、「庭と樹木」及び「人に仇する大樹」の8項目に分けて解説が記述されており、本件書籍?の項目とは全く異なった項目に分けられている。
 鳳凰暦(204頁)では、「家相地相の欠張り吉凶判断」と題し、方角別の吉凶判断の解説が記述されており、本件書籍の記述内容とは全く異なっている。
 観象暦(199頁)では、「家相盤」と題し、24方位を干支で記載し、各干支の解説を行っているが、家の各部屋別の記述はない。
 したがって、被告書籍の記述は、本件書籍の記述を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権及び著作権を侵害するものであることは明白である。
(ウ) 2000年間の日本と日本人(211ないし219頁)
 本件書籍(211ないし219頁)では、西暦2001年から遡って縄文時代、石器時代までの年表を掲げ、日本年号、干支、時代及び主な出来事を掲記している。
 被告書籍(271ないし279頁)では、本件書籍と同様に、西暦2003年から遡って縄文時代、石器時代までの年表を掲げ、日本年号、干支、時代及び主な出来事を掲記している。
 本件類似書籍には、年表のような記述はなく、年表を暦に掲記していたのは平成13年以降の神聖館暦だけである。被告書籍は、本件書籍を全く模倣したことから、被告書籍の年表は、本件書籍の年表と同様の体裁となっている。
 年表自体は、客観的事実の羅列であり、著作権の対象とはなり得ないが、年表に記載される素材の選択及び配列については、独自性が認められ、原告に年表についての編集著作権が認められる。被告書籍の記述は、本件書籍の記述を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権及び著作権を侵害するものであることは明白である。
エ 本件書籍について
(ア) 「氣」とは何だろう?(2頁)(甲78、6頁)
a 本件書籍(2頁)においては、「『氣』とは何だろう?」との表題を付して、「気」を3種に分け、それぞれを説明している。「気」を3種に分類し、表形式で読者に見やすく表現したことは、原告の思想の創作的表現である。
 天の気を「時」とし、さらに「時間」、「空間」及び「温度」の3種類に分類したことも、原告の思想の創作的表現である。
 地の気を「利」とし、さらに「物体同士の吸引・反発・接触」、「滋養(生物の生息材料)」及び「食・飲・暖の調節」の3種類に分類したことも、原告の思想の創作的表現である。
 人の気を「和」とし、さらに「人間社会の調和」、「人間同士の親密・強調・扶助」、「競争・対立・支配」、「性愛」及び「制圧と服従」の5種類に分類したことも、原告の思想の創作的表現である。
b 被告書籍(8頁)においても、「『気』は三種ある」との表題を付して、「気」を3種に分け、それぞれを説明している。「気」を3種類に分類し、表形式で表現したことは、本件書籍と全く同一であり、表の体裁も全く同一である。
 天の気を「時」とし、さらに「時間」、「空間」及び「温度」の3種類に分類しており、これらは本件書籍を転写したものである。
 地の気を「利」とし、さらに「物体同士の吸引・反発・接触」、「滋養」及び「食・飲・暖」の3種類に分類しており、これらは本件書籍を転写したものである。
 人の気を「和」とし、さらにこれを「人間社会の調和」、「人間同士の協調・扶助」(親密があえて抜けている)、「競争・対立・支配」(搾取があえて抜けている)、「性愛」及び「制圧と服従」の5種類に分類しており、これらは本件書籍?を転写したものである。
 被告らは、本件書籍と全く同一の表現方法にならないように、それぞれ一言ずつ文言を削除しているが、全体として同一の表現物であることは論を待たない。
c したがって、被告書籍は、本件書籍の「『氣』とは何だろう?」との表題が付された記述部分の著作権を侵害するものである。
(イ) 運命の吉凶転機の盤(8頁)(甲78、5頁)
a 図の同一
 本件書籍(8頁)においては、「運命の吉凶転機の盤」と題して、九星別の今年の運命を一覧図にまとめた。一覧図のような素材の配列及び各部分の占い部分は、原告の創作的表現である。
 被告書籍(6頁)においては、「運命啓発の基盤」と題して、本件書籍と全く同一の図を掲記し、かつ、各部分の占い部分も同一の内容で同一の配列を用いている。
b 解説文の酷似
 本件書籍(8頁)においては、本命星と方位との関係、他の星との関係などをわかりやすく解説している。これらの解説文も原告の思想の創作的表現である。
 被告書籍においても、本件書籍と同様あるいは酷似した解説を掲載している。
 本件類似書籍には、本命星と方位との関係に関する記述は存在しない。
(ウ) 「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(27、28頁)(甲78、16〜17頁)
 本件書籍(27、28頁)においては、「星座(せいざ)」と題して、星座の一覧を図示するとともに、「星座の呼び名」と題して、「満天に輝く星達は肉眼で見えるものが約七千五百個あります。」と記述し、続けて星空の区分の由来、星座の由来及び惑星と恒星の動きに関する記述をしている。
 被告書籍(34頁以下)においても、同様に「星座」と題して、本件書籍と全く同一の星座の一覧を図示している。さらに、「星座の呼び名」と題して、「満天に輝く星で肉眼で見えるものは約七千五百個です。」と記述し、続けて星空の区分の由来、星座の由来及び惑星と恒星の動きに関する記述をしている。これらの記述は、本件書籍の記述内容と酷似している。また、これらの記述箇所について、記述内容(素材)の選択、記述の配列等は全く同一である。
 したがって、被告書籍の記述は、本件書籍の記述と同一あるいは酷似するものであって、本件書籍?が保有している編集著作権を侵害するものである。
(エ) 星座一覧表(29頁)(甲78、18頁)
 本件書籍(29頁)においては、88個の星座を一覧とし、そのうち、誕生月星座を赤ピンク色で囲い、さらに東京において見えるころの月日を記載している。
 被告書籍(41頁)においても、本件書籍の上記記述と全く同一の一覧表を記載している。これは、本件書籍の記述をそのまま転写したものである。
 88個の星座の配列、誕生月星座を赤ピンク色で囲ったこと、さらに東京で見える月日を明らかにしたことは、いずれも客観的な素材の選択及び配列について創作性を有するものであって、これを転写することは、原告が有する編集著作権を侵害するものである。
(オ) 健康(202ないし205頁)(甲78、167〜170頁)
a 本件書籍(202ないし205頁)においては、「健康」と題して、次の¬ないしの各条件を指摘し、かつ、各条件にそれぞれ10個の小条件を指摘している。
¬ 食べる
@ 朝食を10、昼食を5、夕食を5の割合で食事をする。
A 間食や夜食はしない。
B 好き嫌いを言わず、何でも食べる。
C 動物性脂肪は控え目にする。
D 野菜は色々の種類のものを沢山食べる。
E 肉も魚も均等に食べる。
F 外食はなるべくしない方がよい。
G 植物繊維を多くとる。
H 「腹八分目」を心掛ける。
I 楽しい雰囲気で食事をする。
¬  飲む
@ 人間の体は70%が水分です。
A アルカリ性イオン水を飲むこと。
B 一日中水分の補給を怠らない。
C 水分を多くとると、血液の循環が良くなる。
D アルコール類は控え目がよい。
E 市販のジュース類は製分内容を確かめること。
F 大・小便の排泄は、我慢しない。
G 刺激の強い飲み物は避けること。
H 水道水は浄化してから飲む。
I 朝、起床した直後に水を飲む。
¬ 睡眠
@ 毎日7時間の睡眠時間をとる。
A 安心して床に入る。
B 夕食後、最少2時間以上経ってから就寝する。
C 睡眠中に2回以上起きるのは良くない。
D テレビやインターネットは時間を決めて見る。
E 寝室は暗くて静かな部屋が良い。
F 男女は肌を触れ合って寝る。
G 「深い眠り」はどうしたらできるか。
H 両脚は15度に開き、腕は10度開く。
I 頭と足首に枕をする。
 運動
@ 自分に適した運動を毎日続ける。
A 一日中体を動かすことに気を使う。
B 年令と体力に合致した運動をする。
C 週に1度はハードな運動をする。
D 汗をかいたら直ちに拭き取る。
E 運動の前に軽い準備体操をする。
F 体調の悪い日の対応策は考えておく。
G 運動は計画的に行い、継続させること。
H 入浴は運動と同じ効果がある。
I 大声を出すチャンスを作る。
 情意を豊かに
@ 誠実な心掛けで生活をする。
A 思慮深く、明るく生きる。
B 礼儀正しく、質素に生きる。
C 心を広く持つこと。
D 慈悲心と同情心を持つ。
E 感謝の心を忘れない。
F 謙虚で素直な人間であること。
G 優しさと純粋さを身につける。
H まじめさの中にユーモアを持つこと。
I 「愛」を持とう。
b 被告書籍(258ないし262頁)においても、「健康生活、六つの条件」と題し、本件書籍の記述内容と全く同様に、6つの条件を指摘し、かつ、各条件にそれぞれ10個の小条件を指摘している。それらの記述は、次のとおりである。このことからわかるように、各記述内容は、本件書籍に記述されているものとほぼ同一である。
¬ 食べる
@ 朝食を10、昼食を5、夕食を5の割合で食事をする。
A 間食や夜食はしない。
B 好き嫌いを言わず、何でも食べる。
C 動物性脂肪は控え目にする。
D 野菜は数種類のものを沢山食べる。
E 肉も魚も均等に食べる。
F 外食はなるべくしないほうがよい。
G 食物繊維を多くとる。
H 「腹八分目」を心掛ける。
I 楽しい雰囲気で食事をする。
¬ 飲む
@ 人間の体は七〇%が水分です。
A アルカリ性イオン水を飲む。
B 一日中水分の補給を怠らない。
C 水分を多く摂ると、血液の循環が良くなる。
D アルコール類は控え目がよい。
E 市販のジュース類は成分内容を確かめること。
F 大・小便の排泄を我慢しない。
G 刺激の強い飲み物は避けること。
H 水道水は浄化して飲む。
I 朝、起床した直後に水を飲む。
¬ 睡眠
@ 毎日七時間の睡眠時間をとる。
A 安心して床に就く。
B 夕食後、最少、二時間以上経ってから就寝する。
C 睡眠中に二回以上起きるのは良くない。
D テレビやインターネットは時間を決めて見る。
E 寝室は暗くて静かな部屋が良い。
F 男女は肌を触れ合って寝る。
G 「深い眠り」はどうしたらできるか。
H 両脚は一五度に開き、腕は一〇度開く。
I 頭の枕と足首の枕を使用する。
 運動
@ 自分に適した運動を毎日続ける。
A 一日中こまめに体を動かす。
B 年齢や体力に適した運動をする。
C 週に一度は強めな運動をする。
D 汗をかいたら直ちに拭き取る。
E 運動の前には必ず軽い準備体操をする。
F 体調の悪い日は無理をしない。
G 運動は計画的に行い、継続させること。
H 入浴は運動と同じ効果がある。
I 大声を出すチャンスを作る。
 心の持ち方(情緒を豊かに)
@ 誠実な心掛けで生活をする。
A 思慮深く謙虚に生きる。
B 礼儀正しく、質素に生きる。
C 心を広く持つ。
D 慈悲心と同情心を持つ。
E 感謝の心を忘れない。
F 謙虚で素直な人間であること。
G 優しさと純真さを身につける。
H まじめさの中にユーモアを持て。
I 「愛」を持とう。
 多くの人と交流し、対話をしよう
@ 人と会うことが重要です。
A 対話することの大切さ。
B 脳細胞が刺激される。
C 「気」の交換が行われる。
D お互いに理解し合える。
E 協力し合うことができる。
F 自分の殻を破ることができる。
G 発想の転換を図ることができる。
H 生き甲斐を見つける。
I 愛し合うことができる。
c 以上のことは、本件類似書籍の記述内容と比較をすればよりいっそう明白である。
 神宮館暦(154頁)では、「健康管理 長寿のために」と題して、「敵(かぜ)は手ごわい」、「老化は足から」、「食生活と長寿」、「成人病何するものぞ」、「病は気から」、「煙よさようなら」、「不注意から起こる外傷」及び「健康という宝をみがこう」との小見出しを付して、各解説が記述されている。
 鳳凰暦及び観象暦には、健康に関する記述は見当たらない。
d 以上から、被告書籍の記述は、本件書籍の記述を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権及び著作権を侵害するものであることは明白である。
オ 本件書籍について
(ア) 本命星の早見表(表紙裏)(甲78、1頁)
a 本件書籍(表紙裏)の「本命星の早見表」と被告書籍(表紙裏)の「本命星の早見表」とは、全く同一であ り、両者の素材の選択及び配列は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
b 被告書籍が本件書籍の配列を模倣した事実は、本件類似書籍と対比すれば明瞭である。
 本件類似書籍の裏表紙には、それぞれ「年齢早見表」と題し、類似の一覧表が記載されている。しかし、 これらの「年齢早見表」は、生まれ年から年齢を換算することを第一義としているのに対し、被告書籍及び本件書籍では、今年の本命星を掲記することを第一義としている点で異なる。
 本件書籍では、読者に対し、まず本命星が何かを認識してもらうことを第一義としているのである。この点についても、被告書籍は、本件書籍の編集方針を模倣しているのであって、本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
(イ) 「気」とは何だろう?(2頁)(甲78、6頁)
 本件書籍(2頁)においては、「『気』とは何だろう?」と題して、1ページを上下2段に分け、上段に「気」の分類図を示し、下段にはその解決を記載した。そして、上段「気」の図では、細分化して図式化した。
 天の気を「時」とし、さらに「時間」、「空間」及び「温度」の3種類に分類した。
 地の気を「利」とし、さらに「物体同士の吸引・反発・接触」、「滋養(生物の生息材料)」及び「食・飲・暖の調節」の3種類に分類した。
 人の気を「和」とし、さらに「人間社会の調和」、「人間同士の親密・強調・扶助」、「競争・対立・支配」、「性愛」及び「制圧と服従」の5種類に分類した。
 被告書籍(8頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に本件書籍と同様の「気」の分類図を示し、下段にはその解決を記載している。上段の「気」の細分化図は、本件書籍の図と同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
(ウ) 方位盤(3頁)(甲78、4頁)
 本件書籍(3頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に方位盤を図式化し、方位、八卦のマーク、火の場所、十二支及び九星の5つの要素を方位盤の中に織り込んだ。
 被告書籍(5頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に方位盤を図式化し、上記5つの要素のすべてを織り込んでいる。そして、被告書籍に記載された方位盤における素材の選択及び配列方法は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
(エ) 「もくじ」(4、5頁)(甲78、2頁)
 被告書籍の「もくじ」は、本件書籍の「もくじ」を模倣している。
 いずれも見出しを赤色で囲み、白抜き文字で表現している。このような表現方法は、本件類似書籍のいずれにも存在していない。
 見出しの内容も、次のとおりほとんど同一となっている。

被告書籍 神聖館暦
暦の基礎知識 暦の基礎知識
日ごよみ・行事・お祭り  
相性と運勢判断 人間関係・相性
  九星別年運・月運・日運
日常生活の実用易占 運命鑑定を自分でする方法
冠婚葬祭,食文化,健康 冠婚葬祭の心得
知って得する情報知識 知って得する日本史

 このように、両者は、記載方法及び記載内容について酷似しているから、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
(オ) 運命の吉凶転機の図(7頁)(甲78、5頁)
 本件書籍の「運命の吉凶転機の図」(7頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に正八角形の図を示し、下段にはその解決を記載した。
 被告書籍(6頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に同様の正八角形の図を示し、下段にはその解決を記載している。上段の図は本件書籍の図と同一である。
  このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
(カ) 年盤座相の吉神・凶神(8、9頁)(甲78、3頁)
a 本件書籍(8、9頁)の「年盤座相の吉神・凶神」と被告書籍(3、4頁)の「方位の吉凶とその作用」とは、素材の選択及び配列が以下の点で全く同一である。
¬ 大見出しを「五大方殺」、「八将軍(神殺)」、「金神(こんじん)」、「吉神(きっしん)」及び「凶神(きょうしん)」に分けている点
¬ 小見出しを四角で囲み、白抜き文字で表現している点
¬ いずれも1ページを上下2段に分けて記載している点
b このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
(キ) ラッキーカラー(12頁)(甲78、12頁)
 本件書籍(12頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「ラッキーカラー」と題して、本命星と基本カラーとの関係を図式化した解説を記載している。また、神聖館暦における上記記載の初稿は、本件書籍(27頁)であるところ、その下段には、「運命を開く色」と題し、赤字の小見出しで「好きな色」「健康に役立つ色」「仕事に役立つ色」「恋愛を成功させる色」の4項目を設けて、その解説を付している。
 被告書籍(14頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に「幸せを呼ぶカラー」と題して、本命星と基本カラーとの関係を図式化した解説を記載している。また、その下段には、赤字の小見出しで「好きな色」「健康に役立つ色」「仕事に役立つ色」「恋愛を成功させる色」の4項目を設け、その解説を付している。上段の素材の選択及び配列は本件書籍と全く同一であり、下段の素材の選択及び配列は本件書籍と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
 本件類似書籍には、ラッキーカラーに関する記述がない。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍を模倣した事実は明白である。
(ク) 二十八宿の星座(13頁)(甲78、13頁)
 本件書籍(13頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「二十八宿の星座」と題して、星座の図を記載している。下段には、「二十八宿の方位図」と題して、方位図と解説を記載している。
 被告書籍(15頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に「二十八宿の星座」と題して、星座の図を記載している。下段には、「二十八宿の方位図」と題して、方位図と解説を記載している。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
 なお、神宮館暦(14頁)、鳳凰暦(16頁)及び観象暦(13頁)においては、いずれも素材の選択及び配列は全く異なっている。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍を模倣した事実は明白である。
(ケ) 「二十八宿 東方の七宿」、「二十八宿 北方の七宿」、「二十八宿 西方の七宿」及び「二十八宿 南方の七宿」(14、15頁)(甲78、14頁)
a 本件書籍(14、15頁)においては、二十八宿の星座の解説として、見開き1ページを上下2段に分け、合計4つのスペースに、それぞれ「二十八宿 東方の七宿」、「二十八宿 北方の七宿」、「二十八宿 西方の七宿」及び「二十八宿 南方の七宿」と赤字に白抜き文字で題し、解説を記載している。
 「二十八宿 東方の七宿」では、「角」、「亢」、「(編注;「低」という文字のつくりの部分のみの文字)」、「房」、「心」、「尾」及び「箕」を指摘し、その解説を記載している。
 「二十八宿 北方の七宿」では、「斗」、「牛」、「女」、「虚」、「危」、「室」及び「壁」を指摘し、その解説を記載している。
 「二十八宿 西方の七宿」では、「奎」、「婁」、「胃」、「昴」、「畢」、「觜」及び「参」を指摘し、その解説を記載している。
 「二十八宿 南方の七宿」では、「井」、「鬼」、「柳」、「星」、「張」、「翼」及び「軫」を指摘し、その解説を記載している。
b 被告書籍(16、17頁)においても、1ページを上下2段に分け、本件書籍?と全く同様に、合計4つのスペースに、「二十八宿 東方の七宿」、「二十八宿 北方の七宿」、「二十八宿 西方の七宿」及び「二十八宿 南方の七宿」と赤字に白抜き文字で題し、解説を記載している。
 「二十八宿 東方の七宿」では、「角」、「亢」、「(編注;「低」という文字のつくりの部分のみの文字)」、「房」、「心」、「尾」及び「箕」を指摘し、その解説を記載している。
 「二十八宿 北方の七宿」では、「斗」、「牛」、「女」、「虚」、「危」、「室」及び「壁」を指摘し、その解説を記載している。
 「二十八宿 西方の七宿」では、「奎」、「婁」、「胃」、「昴」、「畢」、「觜」及び「参」を指摘し、その解説を記載している。
 「二十八宿 南方の七宿」では、「井」、「鬼」、「柳」、「星」、「張」、「翼」及び「軫」を指摘し、その解説を記載している。
 これら各文字が、赤地に黒字で記載されている点も本件書籍?と全く同様である。
c このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍?が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
d なお、神宮館暦(14頁)、鳳凰暦(16頁)及び観象暦(13頁)では、いずれも素材の選択及び配列は全く異なっている。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍?を模倣した事実は明白である。
(コ) 二十四節気(せっき)(16、17頁)(甲78、15頁)
 本件書籍(16、17頁)においては、見開き1ページを上下2段に分け、右上段に「二十四節気(せっき)」と題して、太陽と地球の位置を図式化し、これを24等分して、24節気の意味を説明している。さらに、右下段及び左ページ側には、「立春」、「雨水」、「啓蟄」、「春分」、「清明」、「穀雨」、「小満」、「芒種」、「夏至」、「小暑」、「大暑」、「立秋」、「処暑」、「白露」、「秋分」、「寒露」、「霜降」、「立冬」、「小雪」、「大雪」、「冬至」、「小寒」及び「大寒」の各文言について、赤字で★印を付し、文言の説明を付している。
 被告書籍(18、19頁)においても、1ページを上下2段に分け、右上段に「二十四節気(せっき)」と題して、太陽と地球の位置を図式化し、これを24等分して、24節気の意味を説明している。さらに、右下段及び左ページ側には、「立春」、「雨水」、「啓蟄」、「春分」、「清明」、「穀雨」、「小満」、「芒種」、「夏至」、「小暑」、「大暑」、「立秋」、「処暑」、「白露」、「秋分」、「寒露」、「霜降」、「立冬」、「小雪」、「大雪」、「冬至」、「小寒」及び「大寒」の各文言について、赤字で★印を付し、文言の説明を付している。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者の素材の選択及び配列は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
 なお、神宮館暦(8頁)、鳳凰暦(8頁)及び観象暦(12頁)では、いずれも「二十四節気」の記述はあるが、素材の選択及び配列は全く異なっている。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍を模倣した事実は明白である。
(サ) 九星(きゅうせい)(20頁)(甲78、7頁)
a 本件書籍(20頁)では、「九星(きゅうせい)」と題し、1ページを上下2段に分け、上段に「九星」の分類を示し、下段にはその解決を記載した。
¬ 上段「九星」の分類では、一白水星から九紫火星までの9つの見出しを設け、赤文字にふりがなを振って記載した。
¬ 下段には「九星気学」の解説を記載し、かつ、マジックスクエア(魔法陣)及び算木を記載した。
b 被告書籍(9頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に本件書籍と同様、「九星」の分類を示し、下段にはその解決を記載している。
¬ 上段「九星」の分類では、一白水星から九紫火星までの9つの見出しを設け、赤文字にふりがなを振って記載しており、その素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
¬ 下段には「九星気学」の解説を記載し、かつ、マジックスクエア(魔法陣)及び算木を記載しており、その素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
c このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
(シ) 六輝(ろっき)(21頁)(甲78、8頁)
 本件書籍(21頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「六輝(ろっき)」と題して、「六輝」の解説を記載し、下段には「先勝」、「友引」、「先負」、「仏滅」、「大安」及び「赤口」の各項目の説明を記載している。そして、各項目の指摘は、赤地に黒字で記載している。
 被告書籍(10頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に「六輝」と題して、六輝の解説を記載し、下段には「先勝」、「友引」、「先負」、「仏滅」、「大安」及び「赤口」の各項目の説明を記載している。そして、各項目の指摘は、赤地に黒字で記載している。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
 なお、神宮館暦(12頁)、鳳凰暦(4頁)及び観象暦(13頁)にも、それぞれ六輝の解説はあるが、いずれも素材の選択及び配列は全く異なっている。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍を模倣した事実は明白である。
(ス) 十干とは・・・・・・(22頁)(甲78、9頁)
 本件書籍(22頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「十干とは・・・・・・」と題して、十干に関する説明を記載し、下段には「甲」、「乙」、「丙」、「丁」、「戊」、「己」、「庚」、「辛」、「壬」及び「癸」の各項目の説明を記載している。そして、各項目の説明は、赤地に黒字で記載している。
 被告書籍(10頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に「十干(干は幹の字の一部)」と題して、十干に関する説明を記載し、下段に「甲」、「乙」、「丙」、「丁」、「戊」、「己」、「庚」、「辛」、「壬」及び「癸」の各項目の説明を記載している。そして、各項目の説明は、赤地に黒字で記載している。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
 なお、神宮館暦(12頁)、鳳凰暦(19頁)及び観象暦(6頁)にも、それぞれ「十干」の解説はあるが、いずれも素材の選択及び配列は全く異なっている。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍を模倣した事実は明白である。
(セ) 十二支とは・・・・・・(23頁)(甲78、10頁)
 本件書籍(23頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「十二支とは・・」と題して、十二支に関する説明を付している。下段には「子」、「丑」、「寅」、「卯」、「辰」、「巳」、「午」、「未」、「申」、「酉」、「戌」及び「亥」の各項目の説明を記載している。そして、各項目の指摘は、赤地に黒字で記載され、文字の上に十二支の動物のデザインを記載している。
 被告書籍(12頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に「十二支(支は枝の字の一部)」と題し、十二支に関する説明を付している。下段には「子」、「丑」、「寅」、「卯」、「辰」、「巳」、「午」、「未」、「申」、「酉」、「戌」及び「亥」の各項目の説明を記載している。そして、各項目の指摘は、赤地に黒字で記載し、文字の上に十二支の動物のデザインを記載している。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
 なお、神宮館暦(12頁)、鳳凰暦(19頁)及び観象暦(6頁)にも、それぞれ「十二支」の解説はあるが、いずれも素材の選択及び配列は全く異なっている。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍を模倣した事実は明白である。
(ソ) 十二直(ちょく)(24頁)(甲78、11頁)
 本件書籍(24頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「十二直(ちょく)」と題して、北斗七星の図並びに十二直と北斗七星との関連の解説を記載している。下段には、「建」、「除」、「満」、「平」、「定」、「執」、「破」、「危」、「成」、「納」、「開」及び「閉」の各項目の説明を記載している。そして、各項目の指摘は、赤地に黒字で記載している。
 被告書籍(13頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に「十二直」と題して、北斗七星の図及び十二直と北斗七星との関連についての解説を記載している。下段にも、本件書籍と全く同様、「建」、「除」、「満」、「平」、「定」、「執」、「破」、「危」、「成」、「納」、「開」及び「閉」の各項目の説明を記載している。そして、各項目の指摘は、赤地に黒字で記載している。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
 なお、神宮館暦では十二直の記載がなく、鳳凰暦(15頁)及び観象暦(13頁)では、それぞれ「十二直」の解説はあるが、いずれも素材の選択及び配列は全く異なっている。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍?を模倣した事実は明白である。
(タ) 「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)(甲78、16〜17頁)
 本件書籍(25頁)においては、「星座(せいざ)」と題して、1ページを上下2段に分け、上段に12の星座名と太陽と地球の位置図を記載している。そして、下段には、「星座の呼び名」と題して、星空の区分の由来、星座の由来及び惑星と恒星の動きに関する記述をしている。本件書籍?(26頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段及び下段にそれぞれ天球図を記載し、各解説を付している。
 被告書籍(34頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に12の星座名と、太陽と地球の位置図を記載している。そして、下段には、「星座の呼び名」と題し、星空の区分の由来、星座の由来、惑星と恒星の動きに関する記述をしている。被告書籍(35頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段及び下段にそれぞれ天球図を記載し、各解説を付している。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者の素材の選択及び配列は全く同一であって、被告書籍は本件書籍?が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
(チ) 星座一覧表(27頁)(甲78、18頁)
 星座の見える時候についても、本件書籍と被告書籍とは全く同一である。
 本件書籍(27頁)では、1ページを上下2段に分け、「1 アンドロメダ」、「2 一角獣」から「88 鷲」までを掲記し、各々星座の見える月日を記載している。
 被告書籍(41頁)においても、1ページを上下2段に分け、「1 アンドロメダ」、「2 一角獣」から「88 鷲」までを掲記し、各々星座の見える月日を記載している。星座という素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、88個の星座の配列、誕生月星座を赤ピンク色で囲ったこと及び東京で見える月日を明らかにしたことは、いずれも客観的な素材の選択及び配列について、創作性を有するものであって、原告に編集著作権が発生することは明白である。したがって、被告書籍は、本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
(ツ) 毎日ごよみ(28ないし51頁)(甲78、19〜30頁)
 本件書籍(28ないし51頁)においては、平成15年1月から同年12月までの間、1か月を見開き2ページに収め、上段から「日」、「曜日」、「十干十二支」、「九星」、「行事」、「陰暦」、「六輝」、「二十八宿」及び「十二直」を掲げて一覧形式としている。なお、文字については、赤ピンク色と黒色の2色を使用している。
 被告書籍(42ないし64頁)においても、本件書籍と全く同様に、1か月を見開き2ページに収め、上段から「日」、「曜日」、「十干十二支」、「九星」、「行事」、「陰暦」、「六輝」、「二十八宿」及び「十二直」を掲げて一覧形式としている。そして、文字についても、赤ピンク色と黒色の2色を使用している。
 神宮館暦(24ないし47頁)、鳳凰暦(29ないし80頁)及び観象暦(20ないし43頁)では、その年の1月から12月までの間、各日の曜日、干支、九星、行事、六輝、二十八宿等の素材を織り込んだ暦を掲載している。これら本件類似書籍の素材の選択及び配列が、本件書籍とは全く異なることからしても、被告書籍の素材の選択及び配列は、本件書籍の素材の選択及び配列を模倣していることは明白である。
 このように、被告書籍の記述内容は、本件書籍について原告が保有する編集著作権を侵害しているものである。
(テ) 男女の相性の見かた(58頁)(甲78、31頁)
 本件書籍(58頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「男女の相性の見かた」と題して、「互いに相手を扶け育て合う関係」の図式を掲げ、上段から下段にかけて、「相性の関係」、「相克の関係」及び「比和の関係」の各小見出しを、赤地の枠に黒字で掲げ、各解説を付している。
 被告書籍(66頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に「男女の相性」と題し、本件書籍?で記載されている図式と全く同様の図式を掲げ、さらに、上段から下段にかけて、「相性の関係」、「相克の関係」及び「比和の関係」の各小見出しを、赤地の枠に黒字で掲げ、各解説を付している。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
 なお、神宮館暦(17頁)でも、「男女の相性の見方」と題する解説が記載されているが、この記述は、本件書籍とも被告書籍とも全く異なっている。また、鳳凰暦及び観象暦には、「男女の相性」に関する記述はない。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍を模倣した事実は明白である。
(ト) 十二支による男女の相性(60頁)、十干で見るあなたの運勢(61頁)及び十二支で見るあなたの運勢(62頁)(甲78、32〜34頁)
a 本件書籍(60頁)においては、1ページを上下2段に分け、各段に「十二支による男女の相性」と題して、男女の相性の相関図を掲げている。
 また、61頁でも、1ページを上下2段に分け、上段に「十干で見るあなたの運勢」と題して運勢を解説し、さらに、上段から下段にかけて、きのえ(甲)からみずのと(癸)まで、各運勢を解説している。また、各項目は「ひらがな」と「漢字」の双方を記載し、かつ、ひとまとめにしている。
 さらに、62頁でも、1ページを上下2段に分け、上段に「十二支で見るあなたの運勢」と題して運勢を解説し、さらに、上段から下段にかけて、ね(子)からい(亥)まで、各運勢を解説している。また、各項目は「ひらがな」と「漢字」の双方を記載し、かつ、ひとまとめにしている。
b 被告書籍(68頁)においても、1ページを上下2段に分け、各段に「十二支による男女の相性」と題して、男女の相性の相関図を掲げている。
 また、69頁でも、1ページを上下2段に分け、上段に「十干で見るあなたの運勢」と題して運勢を解説し、さらに、上段から下段にかけて、きのえ(甲)からみずのと(癸)まで、各運勢を解説している。また、各項目は「ひらがな」と「漢字」の双方を記載し、かつ、ひとまとめにしている。
 さらに、70頁でも、1ページを上下2段に分け、上段に「十二支で見るあなたの運勢」と題して運勢を解説し、さらに、上段から下段にかけて、ね(子)からい(亥)まで、各運勢を解説している。また、各項目は「ひらがな」と「漢字」の双方を記載し、かつ、ひとまとめにしている。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である(ちなみに、これらの記述は、一言一句本件書籍の模倣である。)。
c このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
d なお、神宮館暦(142ないし145頁)に「十二支一代の運気と守り本尊」と題した記載があり、鳳凰暦(192ないし195頁)にも、十二支ごとの運勢の解説が記載されているが、これらの素材の選択及び配列は、本件書籍とも被告書籍とも全く異なっている。また、観象暦には、「十干十二支の運勢」に関する記述はない。
(ナ) 九星による運命判断(63頁)(甲78、35頁)
 本件書籍(63頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「九星による運命判断」と題して、「気」を「天の気」、「地の気」及び「人の気」の3種類に分け、それぞれの気をさらに細分類して一覧表にまとめた。また、下段には、太陽と地球と月の位置関係の図を掲げた。
 被告書籍(73頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に「九星による運命判断」と題し、「気」を「天の気」、「地の気」及び「人の気」の3種類に分かち、それぞれの気をさらに細分類して、本件書籍に記載されている一覧表と全く同一の一覧表を掲げた。さらに、下段には、本件書籍と同様、太陽と地球と月の位置関係の図を掲げている。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
 なお、神宮館暦及び観象暦には、九星による運命判断の記述はない。鳳凰暦(19頁下段)には、「九星」による運命判断の記述があるが、素材の選択及び配列が本件書籍のものとは全く異なる。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍の素材の選択及び配列を模倣した事実は明白である。
(ニ) 一白水星(64ないし81頁)、二黒土星(82ないし99頁)、三碧木星(100ないし117頁)、四緑木星(118ないし135頁)、五黄土星(136ないし153頁)、六白金星(154ないし171頁)、七赤金星(172ないし189頁)、八白土星(190ないし207頁)及び九紫火星(208ないし225頁)(甲78、36〜152頁)
a 本件書籍(64ないし225頁)においては、一白水星から九紫火星まで九星について、それぞれ1月から12月までの運勢を記載している。
¬ この九星別、各月ごとの運勢の記載が、暦の中心的な位置を占めるものである。各記載は次のとおりとなっている。
 一白水星 64頁
 二黒土星 82頁
 三碧木星 100頁
 四緑木星 118頁
 五黄土星 136頁
 六白金星 154頁
 七赤金星 172頁
 八白土星 190頁
 九紫火星 208頁
¬ 冒頭には各星を、赤字の四角で囲み、白抜き文字で「一白水星」と記載されている。一白水星の星の基本運を掲げ、また、今年の運勢波動の変化と流れの図を掲載し、かつ、その図では、50点の位置に赤線を引き、小吉と小凶の分岐点としている。
b 被告書籍(74ないし208頁)においても、一白水星から九紫火星まで九星について、それぞれ1月から12月までの運勢を記載している。
¬ 被告書籍における九星別、各月ごとの運勢の記載は、次のとおりとなっている。
 一白水星 74頁
 二黒土星 89頁
 三碧木星 104頁
 四緑木星 119頁
 五黄土星 134頁
 六白金星 149頁
 七赤金星 164頁
 八白土星 179頁
 九紫火星 194頁
¬ 被告書籍においても、冒頭には各星を、赤字の四角で囲み、白抜き文字で「一白水星」と記載している。このような配列は本件書籍と同様である。また、被告書籍においても、一白水星の星の基本運を掲げ、また、今年の運勢波動の変化と流れの図を掲載している。
¬ 運勢波動の掲載位置、及び50点の位置に赤線を引き、小吉と小凶の分岐点としている点は、すべて本件書籍と同一である。
c  神宮館暦(48ないし128頁)、鳳凰暦(81ないし188頁)及び観象暦(46ないし189頁)では、同様に、各星ごと、各月ごとの運勢が記載されている。これらは、いずれも単色刷りであり、また、罫線を用いているのは観象暦のみであり、神宮館暦及び鳳凰暦は、罫線を用いて区切ってはいない。
 これら本件類似書籍における素材の選択及び配列を見れば、被告書籍が本件書籍を模倣していることは明白である。
(ヌ) 人相の見かた(226頁)(甲78、153頁)
 本件書籍(226頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「人相の見かた」と四角の赤地に白抜き文字で題して、人間の顔を20部位に分類し、人間の顔の図面と部位名を掲記し、さらに各部位の解説並びに性格及び人相の解説を行っている。
 被告書籍(209頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に「人相の見かた」と四角の赤地に白抜き文字で題して、人間の顔を20部位に分類し、人間の顔の図面と部位名を掲記し、さらに各部位の解説並びに性格及び人相の解説を行っている。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
 なお、神宮館暦(130頁)では、人間の部位を13部位に分類しているが、人間の顔の図及び部位名の配置は、明らかに本件書籍とは異なる。また、鳳凰暦及び観象暦では、「人相の見方」は取り上げられていない。この比較からも、被告らが被告書籍を作成するに当たって、本件書籍を模倣した事実は明白である。
(ネ) 手相の見かた(234、235頁)(甲78、154頁)
a 本件書籍(234、235頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に四角い赤地に白抜き文字で「手相の見方」と題して、「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」、「結婚線」、「健康線」、「手の大小」、「爪の相」及び「指の特性」の10項目を赤地に白抜き文字で掲記し、それぞれの解説をしている。
b 被告書籍(209頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に四角い赤地に白抜き文字で「手相で自分を知る」と題して、「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」及び「人気線」の6項目を赤地に白抜き文字で掲記し、それぞれの解説をしている。これらの素材の選択及び配列は、本件書籍と酷似している。
c 本件類似書籍の記述内容は、次のとおりである。
 神宮館暦(131頁)では、「手相の見方」と題し、「八宮の説明と吉凶判断」及び「明堂と天地人の三紋」の解説がされており、本件書籍及び被告書籍の各記述とは全く異なっている。
 鳳凰暦(200頁)では、「手相判断」と題し、「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」、「財運線」、「結婚線」、「健康線」、「手の大小」及び「爪の相」の10項目の解説をしている。その体裁、記述内容、素材の選択・配列のいずれも、本件書籍の記述とは異なる。
 観象暦(203頁)では、「手相の神秘」と題し、「見方のワンポイント」、「手の中に於ける丘と意義」及び「性格編」に分けて解説をしている。その体裁、記述内容、素材の選択・配列のいずれも、本件書籍の記述とは異なる。
 これら本件類似書籍との比較から明らかなように、本件書籍と被告書籍とは、素材の選択及び配列について酷似しており、被告書籍が本件書籍を模倣していることは明白であって、被告書籍は、本件書籍が有する編集著作権を侵害しているものである。
(ノ) 四神相応の図(236頁)及び家相・地相の見かた(237頁)(甲78、155頁)
 本件書籍(237頁)においては、四角い赤地に白抜き文字で「家相・地相の見かた」と題し、さらにその右側236頁に、「四神相応の図」と題する、良い家相についての解説図を示している。
 被告書籍(237頁)においても、四角い赤地に白抜き文字で「家相・地相の見かた」と題し、その中に「家を取り巻く環境」と題し、四神相応の絵と題する図を掲記している。この図は、本件書籍に記載されている図と酷似している。
 なお、本件類似書籍には、家相に関する記述はない。
 このように、本件書籍と被告書籍とは、「家相・地相の見かた」について、素材の選択及び配列が酷似しており、被告書籍が本件書籍を模倣していることは明白であって、被告書籍は、本件書籍が有する編集著作権を侵害しているものである。
(ハ) 「家相盤の見かた!!」及び「家相盤の使い方!!」(238頁)(甲78、157頁)
 本件書籍(238頁)においては、1ページを上下2段に分け、「家相盤の使い方!!」と題して、24方位に分割をした図を記載し、解説を記述している。
 被告書籍(228頁)においても、「家相盤の用いかた」と題し、本件書籍の記述内容と全く同様に、24方位に分割をした図と解説を記載している。とりわけ、24方位に分割をした図は、本件書籍の記載内容と全く同一である。
 また、神宮館暦(132頁)では、「家相盤の用い方」と題し、「家相八方位吉凶一覧」と題する図と解説が記載されているが、家相盤の使い方に関する記載はされていない。
 鳳凰暦(203頁)では、「家相吉凶便覧図」と題し、24方位に分割をした図と家屋の平面図を記載し、解説しているが、やはり家相盤の使い方に関する記述はされていない。
 観象暦(199頁)では、「家相盤」と題し、24方位を干支で記載し、各干支の解説を行っているが、やはり家相盤の使い方に関する記述はされていない。
 このように、本件類似書籍では、素材の選択及び配列が全く異なっており、被告書籍の記述は、本件書籍の素材の選択及び配列を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権を侵害するものであることは明白である。
(ヒ) 「家相二十四方位吉方の家相盤」及び「家相二十四方位凶方の家相盤」(239頁)(甲78、158頁)
 本件書籍(239頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「家相二十四方位吉方の家相盤」と題し、下段には「家相二十四方位凶方の家相盤」と題し、家の玄関、台所、トイレ、浴室等の配置について方位の吉凶を図示している。
 被告書籍(229頁)においても、「家相二十四方位の吉凶一覧」と題し、本件書籍の上記2つの図を合体させた図を掲載している。記述内容と全く同様に、24方位に分割をした図と解説を記載している。全体として黒字と赤字の2色刷りとなっていることから、一見して本件書籍の記載内容と酷似している。
 また、神宮館暦(132頁)では、「家相盤の用い方」と題し、「家相八方位吉凶一覧」と題する図と解説を記載している。この図では上方が南、下方が北となっており、方位が逆転している。これら記述は、本件書籍の記載とは全く異なっている。また、2色刷りではないため、本件書籍の記載内容とは全く異なった記述との印象が持たれる。
 鳳凰暦(203頁)では、「家相吉凶便覧図」と題し、24方位に分割をした図と家屋の平面図を記載し、解説している。しかし、その体裁、記載内容、素材の配列のいずれも、本件書籍の記載とは異なる。
 観象暦(199頁)では、「家相盤」と題し、24方位を干支で記載し、各干支の解説を行っているが、その体裁、記載内容、素材の選択・配列のいずれも、本件書籍の記載とは異なる。
 このように、本件類似書籍では、素材の選択及び配列が全く異なっているのであって、被告書籍の記載は、本件書籍?の素材の選択及び配列を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権を侵害するものであることは明白である。
(フ) 風水で見る各部屋の作用とポイント(240頁)(甲78、156頁)
 本件書籍(240頁)においては、1ページを上下2段に分け、「風水で見る各部屋の作用とポイント」と題して、「玄関」、「風呂」、「キッチン」、「トイレ」、「階段」、「神棚・仏壇」の6項目に分けて、解説を記述している。
 被告書籍(226頁)においても、1ページを上下2段に分け、「家の各部分の作用」と題して、本件書籍の記述内容と同様に、「玄関」、「風呂」、「台所・食堂」、「トイレ」、「階段」、「神棚・仏壇」の6項目のほか、「寝室」、「家相盤」、「家敷内の大樹や岩石」及び「採光と通気」の4項目に解説を記述している。被告書籍に記述された解説は、いずれも本件書籍に記述された解説と酷似している。
 また、神宮館暦(133頁)では、「家相学の基礎知識」と題し、「大切なのは人と家との調和」、「家相学の基本的な考え方」、「採光と通気」、「自然に相当した住まいづくりを」、「地相・家相の張りと欠け」、「地勢の吉凶」、「庭と樹木」及び「人に仇する大樹」の8項目に分けて解説を記述しており、本件書籍とは全く異なった項目に分けられている。
 鳳凰暦(204頁)では、「家相地相の欠張り吉凶判断」と題し、方角別の吉凶判断の解説を記述しており、本件書籍の記述内容とは全く異なっている。
 観象暦(199頁)では、「家相盤」と題し、24方位を干支で記載し、各干支の解説を行っているが、家の各部屋別の記述はない。
 このように、被告書籍の記述は、本件書籍?の記述の素材の選択及び配列を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権を侵害するものであることは明白である。
(ヘ) 冠(244ないし247頁)、婚(248ないし252頁)、葬(253ないし256頁)及び祭(257ないし261頁)(甲78、159〜166頁)
a 本件書籍(244ないし261頁)においては、冠婚葬祭について、各項目ごとに常識として知っておくべき事柄を記述している。
¬ 248頁では、「婚」と題し、「見合いの席次」、「結納」、「披露宴」、「挙式・披露宴の費用」、「新婚旅行」及び「婚姻届」の各項目を掲げ、解説を付している。
¬ 253頁では、「葬」と題し、「末期の水」、「死に化粧」、「死亡通知」、「死亡診断書」、「臓器提供」、「死に装束」、「葬儀」、「遺言」、「服喪」及び「法要」の各項目を設け、解説を記述している。
¬ 257ないし261頁では、「祭」と題し、月ごとの祭事を掲記している。その祭事とは、元旦、松納め、節分、初午、建国記念日、聖バレンタインデー等であり、これらの祭事と被告書籍に記載されている祭事との比較は、後に記載するとおりである。
b 被告書籍(230ないし244頁)においても、「慶祝」、「婚姻」、「葬儀」及び「祭祀」と題し、各項目ごとに常識として知っておくべき事柄等を記述している。
¬ 233頁では、「婚姻」と題し、「聖バレンタインデー」、「仲人」、「結納」、「挙式・披露宴の費用」、「披露宴」、「新婚旅行」、「婚姻届」及び「誕生石」の各項目を掲げ、解説を付している。これら素材の選択・配列は、本件書籍?と酷似している。
¬ 235頁では、「葬儀」と題し、「末期の水」、「死に化粧」、「死亡通知」、「死亡診断書」、「遺言」、「服喪」及び「法要」の各項目を設け、解説を記述している。これら素材の選択・配列は、本件書籍と同様である。
¬ 237頁以下でも、月ごとの祭事を掲記している。
 掲記されている祭事と本件書籍に掲記されている祭事とを比較すれば、次のとおりとなる。

神聖館暦 被告書籍
元旦 元旦
松納め 松納め
節分 節分
初午  
建国記念日 建国記念日
聖バレンタインデー  
  二月堂お水取り
  桃の節句
春分の日  
流し雛  
エイプリルフール  
花祭り 花祭り
  みどりの日
メーデー メーデー
憲法記念日 憲法記念日
  子供の日
母の日 母の日
衣替え  
  父の日
時の記念日 時の記念日
  お中元
山開き・海開き  
七夕祭り 七夕
盂蘭盆 盂蘭盆
土用・丑の日 土用丑の日
  祭り
月遅れ盆  
終戦記念日 終戦記念日
  防災の日
中秋の名月 仲秋の名月
敬老の日 敬老の日
  お彼岸
体育の日 体育の日
  東京都民の日
  鉄道記念日
笑い祭り  
文化の日 文化の日
悪退まつり  
酉の市 お酉さん
  太陽暦採用記念日
  悪退まつり
冬至 冬至
なまはげ なまはげ
大晦日 大晦日

 このように、被告書籍は、本件書籍と素材の選択及び配列について酷似している。
c このことは、本件類似書籍の記述内容と比較すればよりいっそう明白である。
  神宮館暦(146頁)では、「冠婚葬祭の心得」と題し、次の各項目に分けて解説を記述している。
 「お見合いについての心得」
 「結納についての心得」
 「結納品についての心得」
 「結婚式の日取りについて」
 「早めに司会者を決めること」
 「結婚披露宴の招待状」
 「来賓者の祝辞について」
 「長寿の祝いについて」
 「出産祝いについて」
 「結婚記念日について」
 「発表会などの心得」
 「ご祝儀についての心得」
 「一般的なチップについて」
 「旅館での心得について」
 「葬儀についての心得」
 「焼香の順序について」
 「焼香のやり方」
 「玉串ささげ方」
 「不祝儀についての心得」
 「喪服と喪章の心得」
 「法要と香典返しの心得」
 「服喪についての心得」
 これら素材の選択・配列については、本件書籍とは全く異なった選択・配列となっている。
 鳳凰暦(207頁)では、「人生の祝祭儀式」と題し、簡略な解説を記述しており、本件書籍の記述内容並びに素材の選択及び配列とは全く異なっている。
 観象暦(222頁以下)では、「冠婚葬祭のエチケット」と題し、各解説が記述されているほか、「季節はめぐる歳時記」と題して1月から12月までの催事についての解説を記述している(226頁以下)。しかし、そこで記述されている事柄は、本件書籍における素材の選択及び配列とは全く異なっている。
d 以上の比較検討から、「婚」について、被告書籍の記述に関する素材の選択及び配列は、本件書籍の模倣であることは明白である。さらに、「葬」及び「祭」については、本件類似書籍のいずれにも記載がない。したがって、「葬」及び「祭」についても、被告書籍の記述に関する素材の選択及び配列は、本件書籍の模倣であることは明白である。
(ホ) 健康(268頁)(甲78、167頁)
 本件書籍(268頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「健康」と題して、「人体の五性」の見出しを付し、肝、心、脾、肺、腎の5つの関係図を記載している。また、下段では、「食物の五性」の見出しを付し、酸、苦、甘、辛、塩の5つの関係図を記載している。
 被告書籍(254頁)においても、1ページを上下2段に分け、上段に「健康」と題して、「人体の五性」の見出しを付し、肝、心、脾、肺、腎の5つの関係図を記載している。また、下段では、「飲食物の五性」の見出しを付して、酸、苦、甘、辛、塩の5つの関係図を記載している。被告書籍で記載された図は、本件書籍に記載されている図と全く同一である。
 このように、両者は全く同一であって、被告書籍が本件書籍が有する編集著作権を侵害していることは明白である。
(マ) 長寿の秘訣、六つの条件(269ないし273頁)(甲78、168〜170頁)
a 本件書籍(269ないし273頁)では、「長寿の秘訣、六つの条件」と題して、次の¬ないしの各条件を指摘し、かつ、各条件にそれぞれ10個の小条件を指摘している。
¬ 食べる
@ 朝食を10、昼食を5、夕食を5の割合で食事をする。
A 間食や夜食はしない。
B 好き嫌いを言わず、何でも食べる。
C 動物性脂肪は控え目にする。
D 野菜は色々の種類のものを沢山食べる。
E 肉も魚も均等に食べる。
F 外食はなるべくしない方がよい。
G 植物繊維を多くとる。
H 「腹八分目」を心掛ける。
I 楽しい雰囲気で食事をする。
¬ 飲む
@ 人間の体は70%が水分です。
A アルカリ性イオン水を飲むこと。
B 一日中水分の補給を怠らない。
C 水分を多くとると、血液の循環が良くなる。
D アルコール類は控え目がよい。
E 市販のジュース類は製分内容を確かめること。
F 大・小便の排泄は、我慢しない。
G 刺激の強い飲み物は避けること。
H 水道水は浄化してから飲む。
I 朝、起床した直後に水を飲む。
¬ 睡眠
@ 毎日7時間の睡眠時間をとる。
A 安心して床に入る。
B 夕食後、最少2時間以上経ってから就寝する。
C 睡眠中に2回以上起きるのは良くない。
D テレビやインターネットは時間を決めて見る。
E 寝室は暗くて静かな部屋が良い。
F 男女は肌を触れ合って寝る。
G 「深い眠り」はどうしたらできるか。
H 両脚は15度に開き、腕は10度開く。
I 頭と足首に枕をする。
 運動
@ 自分に適した運動を毎日続ける。
A 一日中体を動かすことに気を使う。
B 年令と体力に合致した運動をする。
C 週に1度はハードな運動をする。
D 汗をかいたら直ちに拭き取る。
E 運動の前に軽い準備体操をする。
F 体調の悪い日の対応策は考えておく。
G 運動は計画的に行い、継続させること。
H 入浴は運動と同じ効果がある。
I 大声を出すチャンスを作る。
 情意を豊かに
@ 誠実な心掛けで生活をする。
A 思慮深く、明るく生きる。
B 礼儀正しく、質素に生きる。
C 心を広く持つこと。
D 慈悲心と同情心を持つ。
E 感謝の心を忘れない。
F 謙虚で素直な人間であること。
G 優しさと純粋さを身につける。
H まじめさの中にユーモアを持つこと。
I 「愛」を持とう。
 多くの人と交流し、対話をしよう!!
@ 人と会うことが重要です。
A 対話することの重要性。
B 脳細胞が刺激される。
C 「気」の交換が行われる。
D お互いに理解し合える。
E 協力し合うことができる。
F 自分の殻を破ることができる。
G 発想の転換を計ることができる。
H 生き甲斐を見つける。
I 愛し合うことができる。
b 被告書籍(258ないし262頁)においても、次のとおり、「健康生活、六つの条件」と題し、本件書籍の記述内容と全く同様に、六つの条件を指摘し、かつ、各条件にそれぞれ10個の小条件を指摘しており、各記述内容は、本件書籍に記述されているものとほぼ同一である。
¬ 食べる
@ 朝食を10、昼食を5、夕食を5の割合で食事をする。
A 間食や夜食はしない。
B 好き嫌いを言わず、何でも食べる。
C 動物性脂肪は控え目にする。
D 野菜は数種類のものを沢山食べる。
E 肉も魚も均等に食べる。
F 外食はなるべくしないほうがよい。
G 食物繊維を多くとる。
H 「腹八分目」を心掛ける。
I 楽しい雰囲気で食事をする。
¬ 飲む
@ 人間の体は七〇%が水分です。
A アルカリ性イオン水を飲む。
B 一日中、水分の補給を怠らない。
C 水分を多く摂ると、血液の循環が良くなる。
D アルコール類は控え目がよい。
E 市販のジュース類は成分内容を確かめること。
F 大・小便の排泄を我慢しない。
G 刺激の強い飲み物は避けること。
H 水道水は浄化して飲む。
I 朝、起床した直後に水を飲む。
¬ 睡眠
@ 毎日七時間の睡眠時間をとる。
A 安心して床に就く。
B 夕食後、最少、二時間以上経ってから就寝する。
C 睡眠中に二回以上起きるのは良くない。
D テレビやインターネットは時間を決めて見る。
E 寝室は暗くて静かな部屋が良い。
F 男女は肌を触れ合って寝る。
G 「深い眠り」はどうしたらできるか。
H 両脚は一五度に開き、腕は一〇度開く。
I 頭の枕と足首の枕を使用する。
 運動
@ 自分に適した運動を毎日続ける。
A 一日中こまめに体を動かす。
B 年齢や体力に適した運動をする。
C 週に一度は強目の運動をする。
D 汗をかいたら直ちに拭き取る。
E 運動の前には必ず軽い準備体操をする。
F 体調の悪い日は無理をしない。
G 運動は計画的に行い、継続させること。
H 入浴は運動と同じ効果がある。
I 大声を出すチャンスを作る。
 心の持ち方(情緒を豊かに)
@ 誠実な心掛けで生活をする。
A 思慮深く謙虚に生きる。
B 礼儀正しく、質素に生きる。
C 心を広く持つ。
D 慈悲心と同情心を持つ。
E 感謝の心を忘れない。
F 謙虚で素直な人間であること。
G 優しさと純真さを身につける。
H まじめさの中にもユーモアを持て。
I 「愛」を持とう。
 多くの人と交流し、対話をしよう
@ 人と会うことが重要です。
A 対話することの大切さ。
B 脳細胞が刺激される。
C 「気」の交換が行われる。
D お互いに理解し合える。
E 協力し合うことができる。
F 自分の殻を破ることができる。
G 発想の転換を図ることができる。
H 生き甲斐を見つける。
I 愛し合うことができる。
c また、神宮館暦(154頁)では、「健康管理 長寿のために」と題し、「敵(かぜ)は手ごわい」、「老化は足から」、「食生活と長寿」、「成人病何するものぞ」、「病は気から」、「煙よさようなら」、「不注意から起こる外傷」及び「健康という宝をみがこう」との小見出しを付して、各解説を記述している。
 鳳凰暦及び観象暦には、健康に関する記述は見受けられない。
 上記の比較検討からも、被告書籍の記述は、本件書籍の記述を模倣し、あるいは転写したものであって、原告が有する編集著作権を侵害するものであることは明白である。
(被告らの主張)
 否認ないし争う。
争点(損害の発生及び額)について
(原告の主張)
 被告会社は、これまでに少なくとも被告書籍を5万部製本し、少なくとも75パーセントに相当する3万7500部を販売した。被告書籍1冊の定価は1500円であるところ、その35パーセントに相当する額から1冊当たり製本費用90円を控除した額が、被告会社の利益である。
 したがって、被告会社の得た利益は、次の計算式のとおり、1518万7500円である。
 1,500円×0.35×37,500部=19,687,500円
 50,000部×90円=4,500,000円
 19,687,500円−4,500,000円=15,187,500円
(被告らの主張)
 否認ないし争う。
第3 争点に対する判断
1 争点(本件各書籍の作成者)について
 前記第2、1(前提となる事実)認定のとおり、本件各書籍には、原告が著者として記載されているので、同人が一応著作者と推定されるところ、被告らは、被告Bが本件各書籍を作成したものである旨主張するので、まず、原告と被告Bとの関わり、本件各書籍の作成経緯等、証拠として提出されている暦の原稿の執筆者について検討した上で、本件各書籍のうち、原告が被告らにより複製ないし翻案されたと主張する部分の作成者について検討する。
 証拠(甲3、37ないし40、71、74、75、81、106、108、乙8の1・2、丙1)及び前記前提となる事実並びに弁論の全趣旨によれば、原告と被告Bとの関わり、本件各書籍の作成経緯等について、次の各事実が認められる。
ア 原告は、昭和53年に神聖館に入社し、3か月ほど書生をした後、易学者として活動を始め、平成10年ころから、神聖館の会長を務め、現在に至っている。神聖館の代表取締役であるGは、原告の実妹である。
 原告は、易者としての活動をするためには暦が必要であったことから、神宮館が編集・発行していた神宮館運勢暦の記載内容をそのままとして表紙だけを付け替えて、「神聖館暦」を作成し、主に神聖館の顧客に無料で配布していた。しかし、原告は、かねてから、神聖館としての独自の暦を作成すべきであると考えていた。
イ 被告Bは、平成9年7月ころ、静岡市の神聖館を訪問し、易占鑑定師としての採用を希望した。その際、被告Bは、以前から易の経験があり、それに加えて、大修館書店の社長など、出版業界に友人がいる旨を述べた。原告は、同年8月ころ、被告Bが上記のように述べていることを聞き、暦の作成及び発行に関して被告Bが有用ではないかと考え、被告Bに対し、暦の作成についての協力を依頼し、被告Bは、これを承諾した。
 暦の原稿は、原告と被告Bとが分担して作成し、出版社やデザイン会社との打ち合わせ及び販売先の開拓は専ら被告Bが行い、平成10年8月ころ、平成11年の暦である本件書籍が発行された。
ウ 平成12年以降の暦は、本件書籍を原型とし、これに加筆訂正を加えて作成された。同年以降の暦において新たに記載された部分については、当該部分を原型とし、さらに、これに加筆訂正を加えて翌年以降の暦が作成された。
 なお、本件各書籍のうち、被告らにより複製ないし翻案されたと主張されている部分(前記第2、3)は、本件各書籍において、それぞれの項目として、他の項目の記載とは独立した部分、すなわち、他の記載と分離して個別的に利用することが可能なものであると解される。
証拠として提出されている暦の原稿及びその執筆者について
ア 本件書籍
(ア) 本命星早見表(表紙裏)(甲41の1)
(イ) もくじ(6、7頁)(甲41の2)
(ウ) 年盤座相の見かた(8頁下段)(乙5の1)
(エ) 方位盤の見かた(9頁下段)(乙5の2)
(オ) 暦の読み方と活用方法(10ないし12頁)(乙5の3)
(カ) 六輝(ろっき)(13頁)(甲41の3)
(キ) 二十四節気(せっき)(14、15頁)(甲41の4)
(ク) 十干とは・・・・・・(18頁)(甲41の5)
(ケ) 十二支とは・・・・・・(19頁)(甲41の6)
(コ) 十二直(ちょく)中段(20頁)(甲41の7)
(サ) 十干で見るあなたの運勢(51頁)(甲41の8)
(シ) 十二支で見るあなたの運勢(52頁)(乙5の4)
(ス) 九星による方位の吉凶(53頁)(甲41の9)
(セ) 九星による運命判断(54頁)(甲41の10)
(ソ) 家相・地相の見かた(165頁)(乙5の5)
(タ) 家相盤の見かた(170頁)(乙5の6)
(チ) 「厄年」とは何だろう(190、191頁)(甲41の11)
(ツ) 婚(196ないし201頁)(甲41の12)
 これらは、いずれも手書きの原稿であり、原告作成の陳述書(甲71、81)の署名欄の筆跡、被告B作成の平成16年5月11日付答弁書、平成17年1月17日付答弁書及び同日付け上申書の筆跡並びに被告B作成の陳述書(丙1)の筆跡の対照並びに弁論の全趣旨によれば、被告Bが執筆したものであると認められる。原告作成の陳述書(甲71)には、(ウ)、(エ)、(サ)、(シ)、(ス)、(セ)、(ソ)及び(タ)の原稿は原告が書いたものであるとの記載があるが、上記の原稿と被告B作成の他の書面との間で筆跡の違いは見られないことや、上記各証拠に照らして、採用することができない。
 なお、原告は、「家相・地相の見かた」と題する原稿(乙5の5)が本件書籍の原稿であると主張するが、活字で印刷された本件書籍に修正を加える方法で執筆された原稿(甲34)が、本件書籍の「家相・地相の見かた」と題された部分(184頁)の原稿であると認められるから、乙5の5は本件書籍の原稿であると認められる。
イ 本件書籍
(ア) 本命星早見表(表紙裏)(甲12)
(イ) 易経の教訓(8ないし29頁端部)(甲13)
(ウ) 年盤座相(8頁上段)(甲14)
(エ) 方位盤(9頁上段)(甲15の1)
(オ) 方位盤の見かた(9頁下段)(甲15の2)
(カ) 九星による方位の吉凶(10、11頁)(甲16の1・2)
(キ) 納音(なっちん)(12、13頁)(甲17)
(ク) 二十八宿(14頁)(甲18の1・2)
(ケ) 二十八宿の吉凶(16、17頁)(甲19の1・2)
(コ) ラッキーカラー(27頁)(甲20)
(サ) 月名の由来(28、29頁)(甲21)
(シ) 毎日ごよみ(暦のミニ知識及び夢占いを除く。)(30ないし59頁)(甲22の1)
(ス) 夢占い(54、56、58頁)(甲22の2)
(セ) 暦のミニ知識(54、56、58頁)(甲22の3)
(ソ) 九星による運命判断(65頁)(甲23)
(タ) 一白水星(66ないし77頁(66頁左下部分を除く。))(甲24の1・2)
(チ) 二黒土星(78ないし89頁(78頁左下部分を除く。))(甲25の1・2)
(ツ) 三碧木星(90ないし101頁(90頁左下部分を除く。))(甲26の1・2)
(テ) 四緑木星(102ないし113頁(102頁左下部分を除く。))(甲27の1・2)
(ト) 五黄土星(114ないし125頁(114頁左下部分を除く。))(甲28の1・2)
(ナ) 六白金星(126ないし137頁(126頁左下部分を除く。))(甲29の1・2)
(ニ) 七赤金星(138ないし149頁(138頁左下部分を除く。))(甲30の1・2)
(ヌ) 八白土星(150ないし161頁(150頁左下部分を除く。))(甲31の1・2)
(ネ) 九紫火星(162ないし173頁(162頁左下部分を除く。))(甲32の1・2)
(ノ) 九星ごとの平成12年の運勢(66頁左下部分、78頁左下部分、90頁左下部分、102頁左下部分、114頁左下部分、126頁左下部分、138頁左下部分、150頁左下部分、162頁左下部分)(甲33)
(ハ) 家相・地相の見かた(184ないし189頁)(甲34)
(ヒ) 「厄年」とは何だろう(190、191頁)(甲35)
(フ) 葬(202ないし205頁)(甲36)
 (ア)、(サ)、(ソ)、(ハ)及び(フ)は、活字で印刷された本件書籍に修正を加える方法で執筆された原稿である。(イ)ないし(キ)、(コ)、(シ)ないし(セ)、(タ)ないし(ノ)及び(ヒ)は、手書きの原稿である。(ク)は、印刷された図を用いているほかは、手書きの原稿である。(ケ)は、見出し文字に活字で印刷されたものを用いているほかは、手書きの原稿である。
 前記の筆跡の対照及び弁論の全趣旨によれば、本件書籍の各原稿の執筆者については、次のとおりであると認められる。
 (ア)、(ウ)ないし(オ)、(タ)ないし(ノ)及び(ヒ)は、原告が執筆したものと認められる。
 (イ)、(カ)ないし(ケ)、(ス)ないし(ソ)、(ハ)及び(フ)は、被告Bが執筆したものと認められる。
 (コ)のうち、八角形の図は原告が執筆したものと、その余は被告Bが執筆したものと認められる。
 (サ)は、原告又は被告Bのいずれが執筆したものか判然としない。
 (シ)は、原告が執筆した部分と被告Bが執筆した部分とが混在している。
ウ 本件書籍
(ア) 本命星早見表(表紙裏)(甲42の1)
(イ) もくじ(6、7頁)(甲42の2)
(ウ) 年盤座相(8頁)(甲42の3)
(エ) 方位盤(9頁)(甲42の4)
(オ) 九星による方位の吉凶(10、11頁)(甲42の5)
(カ) ラッキーカラー(14頁上段)(甲42の6)
(キ) 二十八宿の吉凶(16、17頁)(甲42の7)
(ク) 二十四節気(18、19頁)(甲42の8)
(ケ) 易占学と天文学(20頁)(甲42の9)
(コ) 九星(きゅうせい)(22頁)(甲42の10)
(サ) 六輝(ろっき)(23頁)(甲42の11)
(シ) 男女の相性の見かた(60頁)(甲42の12)
(ス) 九星による男性から見た相性の良い女性、九星による女性から見た相性の良い男性(61頁)(甲42の13)
(セ) 十干で見るあなたの運勢(63頁)(甲42の14)
(ソ) 十二支で見るあなたの運勢(64頁)(甲42の15)
 これらは、いずれも手書きの原稿であり、前記の筆跡の対照及び弁論の全趣旨によれば、被告Bが執筆したものであると認められる。
本件書籍の作成者について
ア 本件書籍のうち、原告が、原告の有する著作権ないし編集著作権が侵害されたと主張する部分は、次のとおりである。
(ア) 本命星早見表(表紙裏)
(イ) 方位盤(9頁)
(ウ) 六輝(ろっき)(13頁)
(エ) 二十四節気(せっき)(14、15頁)
(オ) 九星(きゅうせい)(17頁)
(カ) 十干とは・・・・・・(18頁)
(キ) 十二支とは・・・・・・(19頁)
(ク) 十二直(ちょく)中段(20頁)
(ケ) 毎日ごよみ(24ないし47頁)
(コ) 男女の相性の見かた(48頁)
(サ) 十二支による男女の相性(50頁)
(シ) 十干で見るあなたの運勢(51頁)
(ス) 十二支で見るあなたの運勢(52頁)
(セ) 九星による運命判断(54頁)
(ソ) 一白水星(55ないし65頁)
(タ) 二黒土星(66ないし76頁)
(チ) 三碧木星(77ないし87頁)
(ツ) 四緑木星(88ないし98頁)
(テ) 五黄土星(99ないし109頁)
(ト) 六白金星(110ないし120頁)
(ナ) 七赤金星(121ないし131頁)
(ニ) 八白土星(132ないし142頁)
(ヌ) 九紫火星(143ないし153頁)
(ネ) 人相の見かた(154頁)
(ノ) 手相の見かた(161ないし164頁)
(ハ) 「家相二十四方位 吉方」及び「家相二十四方位 凶方」(169頁)
(ヒ) 冠(192ないし195頁)
(フ) 婚(196ないし201頁)
(ヘ) 葬(202ないし206頁)
(ホ) 祭(207ないし212頁)
(マ) カレンダー(裏表紙)
イ 上記ア(ア)、(ウ)、(エ)、(カ)ないし(ク)、(シ)ないし(セ)及び(フ)の各項目の記載は、対応する原稿(順に、甲41の1、41の3、41の4〜41の8、乙5の4、甲41の10、41の12)の記載とほぼ同一であり(甲37)、前記ア認定のとおり、これらの各原稿の執筆者は被告Bであるから、これらの各項目の作成者は被告Bであると認められる。
ウ 方位盤(9頁)(上記ア(イ))について
 本件書籍の「方位盤」(上記ア(イ))の記載は、下段の「方位盤の見かた」と題する文章の記載に対応する原稿(乙5の2)の記載とほぼ同一であり(甲37)、その執筆者が被告Bであることは、上記ア認定のとおりである。
 他方、上段の「方位盤」の図は、対応する原稿がない。そして、上記イ認定のとおり、翌年の暦である本件書籍?の「方位盤」の図(上記イ(エ))の原稿(甲15の1)の執筆者は原告であるから、その作成者は原告であると認められるところ、上記第2の1のとおり、本件書籍の「方位盤」の図は、本件書籍の上段の「方位盤」(上記ア(イ))の図を原型として作成されたものであるから、本件書籍の上段の「方位盤」(上記ア(イ))の図も原告が作成したものと推認するのが相当である。
 したがって、本件書籍の「方位盤」(上記ア(イ))のうち、上段の図は原告が、下段の「方位盤の見かた」と題する文章は被告Bが、それぞれ作成したものと認められる。
エ 九星(きゅうせい)(17頁)(上記ア(オ))、冠(192ないし195頁)(上記ア(ヒ))、葬(202ないし206頁)(上記ア(ヘ))、祭(207ないし212頁)(上記ア(ホ))及びカレンダー(裏表紙)(上記ア(マ))について
 原告作成の陳述書(甲71)によれば、本件書籍の「九星(きゅうせい)」(上記ア(オ))、「冠」(上記ア(ヒ))、「葬」(上記ア(ヘ))、「祭」(上記ア(ホ))及び「カレンダー」(上記ア(マ))の各項目は、原告が作成したものではないと認められる。
オ 毎日ごよみ(24ないし47頁)(上記ア(ケ))について
 上記イ認定のとおり、翌年の暦である本件書籍の「毎日ごよみ」(「暦のミニ知識」及び「夢占い」を除く。)(上記イ(シ))の原稿(甲22の1)の執筆者が原告及び被告Bであり、平成13年1月から3月までの「暦のミニ知識」(上記イ(セ))及び「夢占い」(上記イ(ス))の原稿(甲22の3、22の2)の執筆者が被告Bであること、そして、それらの原稿と本件書籍の該当部分がほぼ同一であること(甲38)からすれば、本件書籍の「毎日ごよみ」(30ないし59頁)は、原告及び被告Bが共同して作成したものと推認することができる。そして、上記第2の1のとおり、本件書籍の「毎日ごよみ」(30ないし59頁)は、本件書籍の「毎日ごよみ」(上記ア(ケ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「毎日ごよみ」(上記ア(ケ))も、原告及び被告Bが共同して作成したものと推認するのが相当である。
カ 男女の相性の見かた(48頁)及び十二支による男女の相性(50頁)(上記ア(コ)、(サ))について
 上記ウ認定のとおり、平成13年の暦である本件書籍の「男女の相性の見かた」(上記ウ(シ))の原稿(甲42の12)の執筆者は被告Bであり、この原稿と本件書籍の該当部分がほぼ同一である(甲39)ことからすれば、その作成者も被告Bであると認められ、上記第2の1のとおり、本件書籍の「男女の相性の見かた」は、本件書籍の「男女の相性の見かた」(上記ア(コ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「男女の相性の見かた」(上記ア(コ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
 そして、本件書籍の「男女の相性の見かた」、「九星による男性から見た相性の良い女性」、「九星による女性から見た相性の良い男性」及び「十二支による男女の相性」(48ないし50頁)は、男女の相性に関する一連の記述であることが認められる(甲37)から、本件書籍?の「十二支による男女の相性」(上記ア(サ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。原告作成の陳述書(甲71)には、本件書籍?の「男女の相性の見かた」(上記ア(コ))及び「十二支による男女の相性」(上記ア(サ))の原稿は原告が書いたものであるとの記載があるが、上記認定に照らして、採用することができない。
キ 「一白水星」ないし「九紫火星」(55ないし153頁)(上記ア(ソ)ないし(ヌ))について
 上記イ認定のとおり、翌年の暦である本件書籍の「一白水星」(66ないし77頁)、「二黒土星」(78ないし89頁)、「三碧木星」(90ないし101頁)、「四緑木星」(102ないし113頁)、「五黄土星」(114ないし125頁)、「六白金星」(126ないし137頁)、「七赤金星」(138ないし149頁)、「八白土星」(150ないし161頁)及び「九紫火星」(162ないし173頁)(上記イ(タ)ないし(ノ))の原稿(甲24〜32(各枝番含む。))の執筆者は原告であり、これらの原稿と本件書籍の該当部分がほぼ同一である(甲38)ことからすれば、その作成者も原告であると認められ、上記第2の1のとおり、本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(66ないし173頁)(上記イ(タ)ないし(ノ))は、本件書籍の「一白水星」(55ないし65頁)、「二黒土星」(66ないし76頁)、「三碧木星」(77ないし87頁)、「四緑木星」(88ないし98頁)、「五黄土星」(99ないし109頁)、「六白金星」(110ないし120頁)、「七赤金星」(121ないし131頁)、「八白土星」(132ないし142頁)及び「九紫火星」(143ないし153頁)(上記ア(ソ)ないし(ヌ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(55ないし153頁)(上記ア(ソ)ないし(ヌ))も、原告が作成したものと推認するのが相当である。
ク 人相の見かた(154頁)及び手相の見かた(161ないし164頁)(上記ア(ネ)、(ノ))について
 原告作成の陳述書(甲71)によれば、本件書籍?の「人相の見かた」(上記ア(ネ))及び「手相の見かた」(上記ア(ノ))は、原告が作成したものと認められる。
ケ 「家相二十四方位 吉方」及び「家相二十四方位 凶方」(169頁)(上記ア(ハ))について
 上記ア認定のとおり、本件書籍の「家相・地相の見かた」(165頁)及び「家相盤の見かた」(170頁)の原稿(乙5の5、5の6)の執筆者は被告Bであり、これらの原稿と本件書籍の該当部分はほぼ同一である(甲37)から、その作成者も被告Bであると認められ、また、本件書籍の165ないし172頁は、「家相・地相の見かた」と大見出しの付された一連の記述である(甲37)から、本件書籍の「家相二十四方位 吉方」及び「家相二十四方位 凶方」(上記ア(ハ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。原告作成の陳述書(甲71)には、本件書籍の「家相二十四方位 吉方」及び「家相二十四方位 凶方」(上記ア(ハ))の原稿は原告が書いたものであるとの記載があるが、上記認定に照らして、採用することができない。
本件書籍の作成者について
ア 本件書籍のうち、原告が、原告の有する著作権ないし編集著作権が侵害されたと主張する部分は、次のとおりである。
(ア) 九星による方位の吉凶(10、11頁)
(イ) 二十八宿(14頁)
(ウ) 四神相応の図(15頁)
(エ) 二十八宿の吉凶(16、17頁)
(オ) ラッキーカラー(27頁)
イ 上記ア(ア)、(イ)及び(エ)の各記載は、対応する原稿(甲16、18、19(各枝番含む。))とほぼ同一であり(甲38)、これらの原稿の執筆者が被告Bであることは、上記イ認定のとおりであるから、これらの作成者は、被告Bであると認められる。
 上記ア(オ)のうち、八角形の図の部分の原稿の執筆者が原告であり、その余の部分の原稿の執筆者が被告Bであることは、上記イ認定のとおりであるから、上記ア(オ)のうち、八角形の図の部分は原告が、その余の部分は被告Bが、それぞれ作成したものと認められる。
 上記ア(ウ)については、被告Bが作成したことを認めるに足りる証拠はない。
本件書籍の作成者について
ア 本件書籍のうち、原告が、原告の有する著作権ないし編集著作権が侵害されたと主張する部分は、次のとおりである。
(ア) 家相盤の使い方!!(186頁)
(イ) 風水で見る各部屋の作用とポイント(188頁)
(ウ) 2000年間の日本と日本人(211ないし219頁)
イ 上記ア(ウ)については、被告Bが作成したことを認めるに足りる証拠はない。
ウ 家相盤の使い方!!(186頁)(上記ア(ア))について
 上記ケ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「家相盤の見かた」(上記ア(タ))の作成者は被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「家相盤の使い方!!」(上記ア(ア))は、本件書籍の「家相盤の見かた」(上記ア(タ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「家相盤の使い方!!」(上記ア(ア))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
エ 風水で見る各部屋の作用とポイント(188頁)(上記ア(イ))について
 上記ウ認定のとおり、本件書籍の「家相盤の使い方!!」(上記ア(ア))の作成者は被告Bであり、本件書籍の185ないし189頁は「家相・地相の見かた」と大見出しの付された一連の記述である(甲39)から、本件書籍の「風水で見る各部屋の作用とポイント」(上記ア(イ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
本件書籍の作成者について
ア 本件書籍のうち、原告が、原告の有する著作権ないし編集著作権が侵害されたと主張する部分は、次のとおりである。
(ア) 「氣」とは何だろう?(2頁)
(イ) 運命の吉凶転機の盤(8頁)
(ウ) 「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(27、28頁)
(エ) 星座一覧表(29頁)
(オ) 健康(202ないし205頁)
イ 上記ア(ア)ないし(エ)については、被告Bが作成したことを認めるに足りる証拠はない。
ウ 健康(202ないし205頁)(上記ア(オ))について
 証拠(甲40、乙7、9、丙12ないし14)及び弁論の全趣旨によれば、本件書籍の「健康」(上記ア(オ))は、被告Bが創作した「五源養命の法で生命の改革」(乙7)に基づいて、被告Bが作成したものと認められる。
本件書籍の作成者について
ア 本件書籍のうち、原告が、原告の有する著作権ないし編集著作権が侵害されたと主張する部分は、次のとおりである。
(ア) 本命星の早見表(表紙裏)
(イ) 「気」とは何だろう?(2頁)
(ウ) 方位盤(3頁)
(エ) もくじ(4、5頁)
(オ) 運命の吉凶転機の図(7頁)
(カ) 年盤座相の吉神・凶神(8、9頁)
(キ) ラッキーカラー(12頁)
(ク) 二十八宿の星座(13頁)
(ケ) 「二十八宿 東方の七宿」、「二十八宿 北方の七宿」、「二十八宿 西方の七宿」及び「二十八宿 南方の七宿」(14、15頁)
(コ) 二十四節気(せっき)(16、17頁)
(サ) 九星(きゅうせい)(20頁)
(シ) 六輝(ろっき)(21頁)
(ス) 十干とは・・・・・・(22頁)
(セ) 十二支とは・・・・・・(23頁)
(ソ) 十二直(ちょく)(24頁)
(タ) 「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)
(チ) 星座一覧表(27頁)
(ツ) 毎日ごよみ(28ないし51頁)
(テ) 男女の相性の見かた(58頁)
(ト) 十二支による男女の相性(60頁)
(ナ) 十干で見るあなたの運勢(61頁)
(ニ) 十二支で見るあなたの運勢(62頁)
(ヌ) 九星による運命判断(63頁)
(ネ) 一白水星(64ないし81頁)
(ノ) 二黒土星(82ないし99頁)
(ハ) 三碧木星(100ないし117頁)
(ヒ) 四緑木星(118ないし135頁)
(フ) 五黄土星(136ないし153頁)
(ヘ) 六白金星(154ないし171頁)
(ホ) 七赤金星(172ないし189頁)
(マ) 八白土星(190ないし207頁)
(ミ) 九紫火星(208ないし225頁)
(ム) 人相の見かた(226頁)
(メ) 手相の見かた(234、235頁)
(モ) 四神相応の図(236頁)及び家相・地相の見かた(237頁)
(ヤ) 「家相盤の見かた!!」及び「家相盤の使い方!!」(238頁)
(ユ) 「家相二十四方位吉方の家相盤」及び「家相二十四方位凶方の家相盤」(239頁)
(ヨ) 風水で見る各部屋の作用とポイント(240頁)
(ワ) 冠(244ないし247頁)、婚(248ないし252頁)、葬(253ないし256頁)及び祭(257ないし261頁)
(ヰ) 健康(268頁)
(ヱ) 長寿の秘訣、六つの条件(269ないし273頁)
イ 本命星の早見表(表紙裏)(上記ア(ア))について
 上記イ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「本命星早見表」(上記?ア(ア))の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「本命星の早見表」(上記ア(ア))は、本件書籍の「本命星早見表」(上記ア(ア))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「本命星の早見表」(上記ア(ア))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
ウ 「気」とは何だろう?(2頁)(上記ア(イ))について
 上記ア(イ)については、被告Bが作成したことを認めるに足りる証拠はない。
エ 方位盤(3頁)(上記ア(ウ))について
 本件書籍の「方位盤」(9頁)のうち、上段の「方位盤」の図の作成者が原告であり、下段の「方位盤の見かた」と題する文章の作成者が被告Bであることは、上記ウ認定のとおりであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「方位盤」(上記ア(ウ))は、本件書籍の「方位盤」(9頁)を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「方位盤」(上記ア(ウ))についても、上段の図は原告が、下段の「方位盤の見かた」と題する文章は被告Bが、それぞれ作成したものと推認するのが相当である。
オ 「もくじ」(4、5頁)(上記ア(エ))について
 上記ア認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「もくじ」(上記ア(イ))の原稿の執筆者が被告Bであり、その作成者は被告Bであると認められ、上記第2の1のとおり、本件書籍の「もくじ」(上記ア(エ))は、本件書籍の「もくじ」(上記ア(イ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「もくじ」(上記ア(エ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
カ 運命の吉凶転機の図(7頁)(上記ア(オ))について
 上記ア(オ)については、被告Bが作成したことを認めるに足りる証拠はない。
キ 年盤座相の吉神・凶神(8、9頁)(上記ア(カ))について
 上記イ認定のとおり、平成12年の暦である本件書籍の「九星による方位の吉凶」(上記ア(ア))の作成者が被告Bであり、上記認定のとおり、本件書籍の「年盤座相の吉神・凶神」(上記ア(カ))は、本件書籍の「九星による方位の吉凶」(上記ア(ア))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「年盤座相の吉神・凶神」(上記ア(カ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
ク ラッキーカラー(12頁)(上記ア(キ))について
 上記イ認定のとおり、平成12年の暦である本件書籍の「ラッキーカラー」(上記ア(オ))のうち、八角形の図の部分の作成者が原告であり、その余の部分の作成者が被告Bであり、上記認定のとおり、本件書籍の「ラッキーカラー」(上記ア(キ))は、本件書籍の「ラッキーカラー」(上記ア(オ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「ラッキーカラー」(上記ア(キ))についても、八角形の図の部分は原告が、その余の部分は被告Bが、それぞれ作成したものと推認するのが相当である。
ケ 二十八宿の星座(13頁)(上記ア(ク))について
 上記イ認定のとおり、平成12年の暦である本件書籍の「二十八宿」(上記?ア(イ))の作成者が被告Bであり、上記?認定のとおり、本件書籍の「二十八宿の星座」(上記ア(ク))は、本件書籍の「二十八宿」(上記ア(イ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「二十八宿の星座」(上記ア(ク))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
コ 「二十八宿 東方の七宿」、「二十八宿 北方の七宿」、「二十八宿 西方の七宿」及び「二十八宿 南方の七宿」(14、15頁)(上記ア(ケ))について
 上記イ認定のとおり、平成12年の暦である本件書籍の「二十八宿の吉凶」(上記ア(エ))の作成者が被告Bであり、上記認定のとおり、本件書籍の「二十八宿 東方の七宿」、「二十八宿 北方の七宿」、「二十八宿 西方の七宿」及び「二十八宿 南方の七宿」(上記ア(ケ))は、本件書籍の「二十八宿の吉凶」(上記ア(エ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「二十八宿 東方の七宿」、「二十八宿 北方の七宿」、「二十八宿 西方の七宿」及び「二十八宿 南方の七宿」(上記ア(ケ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
サ 二十四節気(せっき)(16、17頁)(上記ア(コ))について
 上記イ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「二十四節気(せっき)」(上記ア(エ))の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「二十四節気(せっき)」(上記ア(コ))は、本件書籍の「二十四節気(せっき)」(上記ア(エ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「二十四節気(せっき)」(上記ア(コ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
シ 九星(きゅうせい)(20頁)(上記ア(サ))について
 上記エ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「九星(きゅうせい)」(上記ア(オ))の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「九星(きゅうせい)」(上記ア(サ))は、本件書籍の「九星(きゅうせい)」(上記ア(オ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「九星(きゅうせい)」(上記ア(サ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
ス 六輝(ろっき)(21頁)(上記ア(シ))について
 上記イ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「六輝(ろっき)」(上記ア(ウ))の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「六輝(ろっき)」(上記ア(シ))は、本件書籍の「六輝(ろっき)」(上記ア(ウ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「六輝(ろっき)」(上記ア(シ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
セ 十干とは・・・・・・(22頁)及び十二支とは・・・・・・(23頁)(上記ア(ス)、(セ))について
 上記イ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍?の「十干とは・・・・・・」(上記ア(カ))及び「十二支とは・・・・・・」(上記ア(キ))の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「十干とは・・・・・・」(上記ア(ス))及び「十二支とは・・・・・・」(上記ア(セ))は、本件書籍の「十干とは・・・・・・」(上記ア(カ))及び「十二支とは・・・・・・」(上記ア(キ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「十干とは・・・・・・」(上記ア(ス))及び「十二支とは・・・・・・」(上記ア(セ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
ソ 十二直(ちょく)(24頁)(上記ア(ソ))について
 上記イ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍?の「十二直(ちょく)中段」(上記ア(ク))の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「十二直(ちょく)」(上記ア(ソ))は、本件書籍の「十二直(ちょく)中段」(上記ア(ク))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「十二直(ちょく)」(上記ア(ソ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
タ 「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)並びに星座一覧表(27頁)(上記ア(タ)、(チ))について
 上記ア(タ)及び(チ)については、被告Bが作成したことを認めるに足りる証拠はない。
チ 毎日ごよみ(28ないし51頁)(上記ア(ツ))について
 上記オ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「毎日ごよみ」(上記ア(ケ))の作成者が原告及び被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「毎日ごよみ」(上記ア(ツ))は、本件書籍の「毎日ごよみ」(上記ア(ケ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「毎日ごよみ」(上記ア(ツ))も、原告及び被告Bが共同して作成したものと推認するのが相当である。
ツ 男女の相性の見かた(58頁)及び十二支による男女の相性(60頁)(上記ア(テ)、(ト))について
 上記カ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「男女の相性の見かた」(上記ア(コ))及び「十二支による男女の相性」(上記ア(サ))の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「男女の相性の見かた」(上記ア(テ))及び「十二支による男女の相性」(上記ア(ト))は、本件書籍の「男女の相性の見かた」(上記ア(コ))及び「十二支による男女の相性」(上記ア(サ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「男女の相性の見かた」(上記ア(テ))及び「十二支による男女の相性」(上記ア(ト))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
テ 十干で見るあなたの運勢(61頁)及び十二支で見るあなたの運勢(62頁)(上記ア(ナ)、(ニ))について
 上記イ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「十干で見るあなたの運勢」(上記ア(シ))及び「十二支で見るあなたの運勢」(上記ア(ス))の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「十干で見るあなたの運勢」(上記ア(ナ))及び「十二支で見るあなたの運勢」(上記ア(ニ))は、本件書籍の「十干で見るあなたの運勢」(上記ア(シ))及び「十二支で見るあなたの運勢」(上記ア(ス))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「十干で見るあなたの運勢」(上記ア(ナ))及び「十二支で見るあなたの運勢」(上記ア(ニ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
ト 九星による運命判断(63頁)(上記ア(ヌ))について
 上記イ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「九星による運命判断」(上記ア(セ))の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「九星による運命判断」(上記ア(ヌ))は、本件書籍の「九星による運命判断」(上記ア(セ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「九星による運命判断」(上記ア(ヌ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
ナ 「一白水星」ないし「九紫火星」(64ないし225頁)(上記ア(ネ)ないし(ミ))について
 上記キ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(上記ア(ソ)ないし(ヌ))の作成者が原告であり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(上記ア(ネ)ないし(ミ))は、本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(上記ア(ソ)ないし(ヌ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(上記ア(ネ)ないし(ミ))も、原告が作成したものと認められる。
ニ 人相の見かた(226頁)及び手相の見かた(234、235頁)(上記ア(ム)、(メ))について
 上記ク認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「人相の見かた」(上記ア(ネ))及び「手相の見かた」(上記ア(ノ))の作成者が原告であり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「人相の見かた」(上記ア(ム))及び「手相の見かた」(上記ア(メ))は、本件書籍の「人相の見かた」(上記ア(ネ))及び「手相の見かた」(上記?ア(ノ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「人相の見かた」(上記ア(ム))及び「手相の見かた」(上記ア(メ))も、原告が作成したものと認められる。
ヌ 四神相応の図(236頁)及び家相・地相の見かた(237頁)(上記ア(モ))について
 四神相応の図(236頁)については、被告Bが作成したことを認めるに足りる証拠はない。
 上記ケ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「家相・地相の見かた」と大見出しの付された一連の記述(165ないし172頁)の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「家相・地相の見かた」と大見出しの付された一連の記述(237ないし241頁)は、本件書籍の「家相・地相の見かた」と大見出しの付された一連の記述(165ないし172頁)を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「家相・地相の見かた」と大見出しの付された一連の記述(237ないし241頁)も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
ネ 「家相盤の見かた!!」及び「家相盤の使い方!!」(238頁)、「家相二十四方位吉方の家相盤」及び「家相二十四方位凶方の家相盤」(239頁)並びに風水で見る各部屋の作用とポイント(240頁)(上記ア(ヤ)ないし(ヨ))について
 上記ヌ認定のとおり、上記ア(ヤ)ないし(ヨ)については、被告Bが作成したものである。
ノ 冠(244ないし247頁)、婚(248ないし252頁)、葬(253ないし256頁)及び祭(257ないし261頁)(上記ア(ワ))について
 上記イ及びエ認定のとおり、平成11年の暦である本件書籍の「冠」(上記ア(ヒ))、「婚」(上記ア(フ))、「葬」(上記ア(ヘ))及び「祭」(上記ア(ホ))の作成者が被告Bであり、上記第2の1のとおり、本件書籍の「冠」、「婚」、「葬」及び「祭」(上記ア(ワ))は、本件書籍の「冠」(上記ア(ヒ))、「婚」(上記ア(ツ))、「葬」(上記ア(ヘ))及び「祭」(上記ア(ホ))を原型として作成されたものであるから、本件書籍の「冠」、「婚」、「葬」及び「祭」(上記ア(ワ))も、被告Bが作成したものと推認するのが相当である。
ハ 健康(268頁)及び長寿の秘訣、六つの条件(269ないし273頁)(上記ア(ヰ)、(ヱ))について
 証拠(甲40、乙7、9、丙12ないし14)及び弁論の全趣旨によれば、本件書籍の「健康」(上記ア(ヰ))及び「長寿の秘訣、六つの条件」(上記ア(ヱ))は、被告Bが創作した「五源養命の法で生命の改革」(乙7)に基づいて、被告Bが作成したものと認められる。
2 争点(職務著作の成否)について
 証拠(甲54ないし64、65の1ないし4、66の1ないし12、67の1ないし11、68の1ないし10、69の1ないし3、70の1ないし3、74、103の1ないし26、104、105、107、108、乙2の1・2、3、4の1・2)、上記前提となる事実及び上記1認定の各事実並びに弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。
 被告Bは、昭和4年8月4日生まれであり、平成9年には、老齢基礎年金及び老齢厚生年金を受給しており、これらの給付金に基づいて生計を維持することが可能であった。
 被告Bは、暦の原稿を作成する場合には、神聖館の上野鑑定所内の事務所において執筆しており、その作成に必要な交通費、書籍費その他の費用を支出した場合には、支出した費用を神聖館に請求し、神聖館が当該費用を支払い、被告Bが必要に応じて出張旅費精算書に署名押印していた。しかし、被告Bは、原告又は神聖館から、毎月定額の給与の支払を受けたことはなかった。
 被告Bは、平成11年5月14日にフォーチューンが設立された後は、フォーチューンの取締役となり、同年6月から平成14年8月までの間、フォーチューンから月額25万円の給与の支払を受けていた。もっとも、被告Bは、フォーチューンの経営に関与したことはなく、被告Bの行っていた業務は、フォーチューンの設立前と同様、暦の原稿の執筆、出版社やデザイン会社との打ち合わせ、販売先の開拓その他の暦の作成及び発行に関する事務であった。
 被告Bは、本件書籍の売上げが好調であったことから、原告に対し、利益の分配を要求し、平成14年3月、フォーチューンから100万円の支払を受けた。この支払については、同年1月から5月までの間、月額20万円の給与の増額支払があったものとして経理処理された。
 被告Bは、平成14年9月29日、フォーチューンを退職した。
 上記認定に反し、原告は、平成9年7月ころから平成11年5月までの間、原告が被告Bを雇用し、月額25万円の給与を支払っていたのであり、給与の支払は、神聖館の経理担当であるCが原告から毎月1日に25万円を預かり、静岡市内の神聖館において被告Bに交付する方法によっていた旨主張し、原告作成の陳述書(甲71、75、81、108)及びC作成の陳述書(甲76の1)にもこれに沿う記載がある。
 しかし、上記認定のとおり、被告Bに対して暦作成のための費用が支払われた場合には詳細に精算書が作成されるのが通例であったにもかかわらず、月額25万円の現金による給与の支払に関しては、これを証明するに足りる客観的証拠は全く作成されておらず、また、原告が個人として被告Bを雇用していたにもかかわらず、原告が当該給与を神聖館の経理担当であるCにいったん手交し、同人が被告Bに支払うことについての合理的理由が説明されていないことからすれば、原告作成の上記陳述書及びC作成の上記陳述書の各記載は採用することができず、原告の上記主張は、採用することができない。
 なお、上記認定事実に照らして、フォーチューンからの月額25万円の給付が経費の補てんにすぎないとする被告Bの主張を採用することができないことも明らかである。
 上記認定の各事実によれば、被告Bが神聖館から暦作成のための費用の一部の支給を受けていたことは認められるものの、原告が被告Bに対して本件各書籍の作成についての対価を支払っていた事実は全く認められないから、フォーチューンの設立前は、被告Bが著作権法15条にいう「法人等の業務に従事する者」に当たるとは認められない。
 これに対し、フォーチューンの設立後は、被告Bは、フォーチューンの取締役となり、フォーチューンから月額25万円の給与を受けていたのであり、被告Bが行っていた暦の作成に関する事務はフォーチューンの業務であるから、被告Bは、著作権法15条にいう「法人等の業務に従事する者」に当たる。
 もっとも、フォーチューンの設立後に発行された本件書籍、本件書籍、本件書籍及び本件書籍は、いずれも原告の著作の名義の下に公表されたものであることからすれば、これらの書籍がフォーチューンの著作の名義の下に公表するものであったとは認められず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。
 原告は、著作権法15条が名義を公表することを要求した趣旨は、対外的に誰が著作者であるかを明確にするとともに、法人内部にいる従業員に対し、自己に著作権が帰属するものではないことを明確にするためであり、本件においては、原告の名義で公表されている以上、職務著作を認めることがこれらの趣旨に沿うものであると主張する。
 しかし、被告Bを雇用等するものではない原告の名義で本件各書籍を公表することが、その著作者を明確にするものでないことは明らかであるし、原告のような解釈によれば、当該従業員以外の誰の名義を付しても職務著作が成立することになりかねず、「法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの」であることを要件とした著作権法15条の明文規定に反することになるから、原告の上記主張は、採用することができない。
 また、原告は、フォーチューンと原告との間には実質的な同一性があるから、職務著作の要件を充たすと主張するが、フォーチューンと原告とが別個の法主体であることはいうまでもなく、フォーチューンに法人格を認めることが許されない場合に当たることを認めるに足りる証拠はないから、両者を同一視することは困難であり、原告の上記主張は、採用することができない。
 なお、被告らが、著作権法15条の明文規定に基づき、本件各書籍が法人等の名義の下に公表されていないことを主張することが、信義則に反するような事情も認められない。
 したがって、本件各書籍の一部を被告Bが作成したものであっても、著作権法15条により原告又はフォーチューンが著作者となる旨の原告の主張は、理由がない(したがって、フォーチューンが著作者となることを前提とした争点?は、検討すべき問題とならない。)。
3 争点(本件各書籍の著作物性ないし編集著作物該当性)について
 本件各書籍の著作物性ないし編集著作物該当性に関し、@「本命星早見表」(本件書籍の表紙裏)及び「本命星の早見表」(本件書籍の表紙裏)、A「もくじ」(本件書籍の4、5頁)、B「方位盤」(本件書籍の9頁及び本件書籍の3頁)、C「一白水星」ないし「九紫火星」(本件書籍の55ないし153頁及び本件書籍の64ないし225頁)、D「カレンダー」(本件書籍の裏表紙)が争われているところ、前記1のとおり、@及びAの作成者は被告Bであり、Dの作成者は原告ではないと認められ、前記2のとおり、被告Bが作成したものが著作権法15条により原告又はフォーチューンが著作者となるとは認められないから、ここでは、B及びCについて検討する。
 方位盤(本件書籍の9頁及び本件書籍の3頁)
 証拠(甲3、37)によれば、本件書籍の9頁及び本件書籍の3頁の各方位盤(以下これらを「本件各方位盤」という。)は、相似形である6個の八角形から成っていること、最も内側の八角形の各頂点と最も外側の八角形の各頂点とは放射状の線で結ばれ、各線が中間にある4個の八角形の各頂点を通っていること、最も内側の八角形の内部に九星のうちの一つが、最も内側の八角形と内側から2番目の八角形との間に方位が、内側から2番目の八角形と内側から3番目の八角形との間に八卦のマークが、内側から3番目の八角形と内側から4番目の八角形との間に火の場所が、内側から4番目の八角形と内側から5番目の八角形との間に十二支が、内側から5番目の八角形と最も外側の八角形との間に九星が、それぞれ記されていること、最も外側の八角形の外に方位の吉凶が記されていること、以上の事実が認められる。
 原告は、方位盤に方位、八卦のマーク、火の場所、十二支及び九星の5つの要素をすべて織り込んだのは原告の創作的な思想の表現であり、素材の選択及び配列方法にも創作性が認められるから、本件書籍の9頁及び本件書籍の3頁の方位盤は著作物ないし編集著作物に当たると主張する。
 しかし、本件各方位盤は、方位の吉凶を示す図であり(甲3、37)、気学では方位を特に重要視し、人の動きによって受ける吉凶の影響を前もって知っておくことの重要性を教えている(甲3、37)というのであるから、方位の吉凶に関係のある要素を方位盤に織り込むことはありふれた表現にすぎない。また、方位盤が方位を示すものであることからすれば、これを八角形で表すこと自体はありふれた表現であるし、上記のように方位を八分割した八角形の図に吉凶を示す事項を記載することは、本件類似書籍にも見られるところである(甲5ないし7)。方位、八卦のマーク、火の場所、十二支及び九星の5つの要素を織り込んだ点についても、本件各方位盤におけるそれらの表現は、同様にありふれたものである。
 したがって、本件各方位盤は、原告の思想又は感情を創作的に表現したものとはいえず、素材の選択又は配列によって創作性を有するものともいえないから、著作物あるいは編集著作物とは認められない。
 「一白水星」ないし「九紫火星」(本件書籍の55ないし153頁及び本件書籍の64ないし225頁)
ア 本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(55ないし153頁)は、九星ごとに平成11年の運勢を記述したものであって、原告の思想又は感情を創作的に表現したものといえる。
 また、本件書籍の当該部分は、九星ごとに同一の構成がとられており、「一白水星」(55ないし65頁)を例に取ると、次のように構成されている。
 55頁においては、上段に「一白水星」との表題が付され、その横に「一白水星年盤図」及び平成11年の基本的な運勢が記載されている。下段には、年間の運勢をグラフ化したものが記載され、同年の運勢が仕事運、家庭運、異性運、財運及び健康運に分けて簡潔に記載されている。
 56頁においては、上段に「一白水星吉凶の図」が記載され、平成11年の方位の吉凶についての解説が記載され、下段に適職が記載されている。
 57頁においては、平成11年の運勢が仕事運、恋愛運、健康運及び建築・移転運に分けて記載されている。
 58頁においては、生まれ年ごとに平成11年の運勢及び運勢に基づく助言が記載されている。
 59ないし64頁においては、各月ごとの運勢が記載されている。
 65頁においては、各日ごとの運勢が表形式で記載されている。
 これらの一定の主題の下にまとめられた文章、図及びグラフの選択及び配列には、編集著作物としての創作性が認められるものということができる。
イ 本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(64ないし225頁)は、九星ごとに平成15年の運勢を記述したものであって、原告の思想又は感情を創作的に表現したものといえる。
 また、本件書籍の当該部分は、九星ごとに同一の構成がとられており、「一白水星」(64ないし81頁)を例に取ると、次のように構成されている。
 64頁においては、上段に「一白水星」との表題が付され、その横に「一白水星年盤図」及び年間の運勢をグラフ化したものが記載され、下段には、平成15年が「頂上期」に当たることが記載されている。
 65頁においては、上段に平成15年の基本的な運勢が記載され、下段には、平成15年の運勢が仕事運、家庭運、異性運、財運及び健康運に分けて簡潔に記載されている。
 66頁においては、上段に「一白水星方位吉凶の図」が記載され、平成11年の方位の吉凶についての解説が記載され、下段に適職が記載されている。
 67頁においては、平成15年の運勢が仕事運、恋愛運、健康運及び建築・移転運に分けて記載されている。
 68頁においては、生まれ年ごとに平成15年の運勢及び運勢に基づく助言が記載されている。
 69頁においては、「仕事」、「レジャー」、「インテリア」、「お金」、「ケイタイ電話」、「食べもの」、「おしゃれ」、「趣味」及び「化粧・服装」に分けて運勢及び運勢に基づく助言が記載されている。
 70ないし81頁においては、各日ごとの運勢が記載されている。
 これらの一定の主題の下にまとめられた文章、図及びグラフの選択及び配列には、編集著作物としての創作性が認められるものということができる。
4 争点(被告らによる原告の著作権侵害行為の有無)について
 上記1ないし及び2で検討したとおり、本件各書籍中の被告Bが作成したと認められる部分については、著作権法15条によって原告又はフォーチューンが著作者となるとは認められない。そして、本件各書籍中の被告Bが作成したと認められない部分については、本件各書籍の奥書に著者として表示されている原告が著作者であると認められ、これを覆すに足りる証拠はない。
 また、本件各書籍中の被告Bが作成した各部分について、編集著作権が成立する余地があるとしても、当該各部分に対応する前記の原稿には、レイアウト等に関する指示も記載されているものがあり、これらの指示に関する記載も、筆跡などから被告Bによるものであると認められること、原告も本件各書籍の編集デザインの折衝を行ったのは被告Bであると認めていること(甲108)からすれば、当該各部分について素材の選択及び配列を行ったのは、被告Bであると認められるから、被告Bが作成した各部分について、原告に編集著作権が帰属することはない。さらに、本件各書籍中の各記事は、前記1において認定したとおり、それぞれ分離して個別的に利用することも可能であるから、共同著作物には当たらず、いわゆる結合著作物に当たる。
 さらに、前記3で検討したとおり、原告が作成した部分のうち、著作物性あるいは編集著作物性が認められない部分もある。
 そうすると、本件各書籍のうち、原告が、原告の有する著作権又は編集著作権が侵害されたと主張する部分のうち、原告が著作権又は編集著作権を有すると認められる部分は、次のとおりである。
ア 本件書籍
(ア) 毎日ごよみ(24ないし47頁)
(イ) 「一白水星」ないし「九紫火星」(55ないし153頁)
(ウ) 人相の見かた(154頁)
(エ) 手相の見かた(161ないし164頁)
イ 本件書籍
(ア) 四神相応の図(15頁)
(イ) ラッキーカラー(27頁)
ウ 本件書籍
 2000年間の日本と日本人(211ないし219頁)
エ 本件書籍
(ア) 「氣」とは何だろう?(2頁)
(イ) 運命の吉凶転機の盤(8頁)
(ウ) 「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(27、28頁)
(エ) 星座一覧表(29頁)
オ 本件書籍
(ア) 「気」とは何だろう?(2頁)
(イ) 運命の吉凶転機の図(7頁)
(ウ) ラッキーカラー(12頁)
(エ) 「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)
(オ) 星座一覧表(27頁)
(カ) 毎日ごよみ(28ないし51頁)
(キ) 「一白水星」ないし「九紫火星」(64ないし225頁)
(ク) 人相の見かた(226頁)
(ケ) 手相の見かた(234、235頁)
(コ) 四神相応の図(236頁)
本件書籍について
ア 毎日ごよみ(24ないし47頁)
 原告は、本件書籍の「毎日ごよみ」(24ないし47頁)においては、1か月を見開き2ページに収め、上段から「日」、「曜日」、「十干・十二支」、「九星」、「六輝」、「行事」、「旧暦」及び「十二直」を掲げて一覧形式としており、被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)の素材の選択及び配列は本件書籍と同一であって、赤ピンク色と黒色の2色を使用している点でも被告書籍は本件書籍の模倣であるから、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「毎日ごよみ」(24ないし47頁)においては、平成11年1月から同年12月までの各日について、1か月を見開き2ページとして、上段から「日」、「曜日」、「十干・十二支」、「九星」、「六輝」、「行事」、「旧暦」及び「十二直」を掲げた一覧表が記載され、右側には「暦のミニ知識」と題するその月に関連した用語の解説並びに「夢占い」と題する夢の具体的な内容及びその分析が記載され、表の下側にはその月に関連する冠婚葬祭について記載され、右側のページの右端及び左側のページの左端には、各地の郷土芸能について記載されている(甲37)。
 被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)においては、平成16年1月から同年12月までの各日について、1か月を見開き2ページとして、上段から「日」、「曜日」、「十干・十二支」、「九星」、「催事」、「陰暦」、「六輝」、「廿八宿」及び「十二直」を掲げた一覧表が記載され、右側にはその月の大半が属する期間の二十八宿及び暗剣殺の方位並びに東京におけるその月の1日、11日及び21日の日の出及び日の入りの時刻が記載されている(甲4)。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「毎日ごよみ」(24ないし47頁)は、平成11年1月から同年12月までの各日についての記載であるのに対し、被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)は、平成16年1月から同年12月までの各日についての記載であって、素材の選択に同一性又は類似性は全く認められない。また、一覧表に「日」、「曜日」、「十干・十二支」、「九星」、「六輝」、「行事」(被告書籍においては、「催事」)、「旧暦」(被告書籍においては、「陰暦」)及び「十二直」を掲げることとした点及び2色刷りとした点に類似性は認められるものの、これらは、本件書籍?における表現それ自体ではないアイディアに係る部分又は表現上の創作性が認められない部分であるし、本件書籍の「毎日ごよみ」(24ないし47頁)には、「暦のミニ知識」及び「夢占い」と題する記事が記載されているのに対し、被告書籍にはこれらの記載はなく、被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)には、本件書籍にはないその月の大半が属する期間の二十八宿及び暗剣殺の方位並びに東京におけるその月の1日、11日及び21日の日の出及び日の入りの時刻の記載があることからすれば、本件書籍の「毎日ごよみ」(24ないし47頁)と被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)との間には、その具体的配列において同一性又は類似性は認められない。
 したがって、本件書籍の「毎日ごよみ」(24ないし47頁)と被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)は、本件書籍の「毎日ごよみ」(24ないし47頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
イ 「一白水星」ないし「九紫火星」(55ないし153頁)
 原告は、本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(55ないし153頁)においては、九星ごとに、1年間の運勢の変化を一覧にして表に掲げ、1年間を通して、運勢がどのように変化するかを読者にわかりやすく図示しており(55、66、77、88、99、110、121、132、143頁)、また、九星ごとの各見出しを、白抜きの文字に赤ピンクの囲いをしたものとし、本文中にも、赤文字や赤ピンク文字を使用することによって、読者が一目見てわかりやすい配列としており、被告書籍はこれらの本件書籍の特色をそのまま模倣したものであるから、被告書籍は、本件書籍についての著作権又は編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「一白水星」(55ないし65頁)においては、55頁の上段に「一白水星」との表題が付され、その横に「一白水星年盤図」及び平成11年の基本的な運勢が記載され、55頁の下段には、年間の運勢をグラフ化したものが記載され、平成11年の運勢が仕事運、家庭運、異性運、財運及び健康運に分けて簡潔に記載されている。56頁上段には、上段に「一白水星吉凶の図」及び平成11年の方位の吉凶についての解説が記載され、56頁下段には、適職が記載されている。57頁には、平成11年の運勢が仕事運、恋愛運、健康運及び建築・移転運に分けて記載されている。58頁には、生まれ年ごとに平成11年の運勢及び運勢に基づく助言が記載されている。59ないし64頁には、各月ごとの運勢が記載されている。65頁には、各日ごとの運勢が表形式で記載されている(甲37)。
 被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)においては、74頁の上段に「一白水星」との表題が付され、「運命吉凶図」及びその解説並びに「運勢波動の流れ」の図が記載され、74頁の下段には、生まれ年ごとに平成16年の運勢及び運勢に基づく助言が記載されている。75頁の上段には、「一白水星」の基本的な運勢が記載され、75頁の下段には、「午の一白」、「酉の一白」、「子の一白」及び「卯の一白」と題する記述及び適職が記載されている。76頁の上段には、血液型別の分析が記載され、76頁の下段には、平成16年の基本的な運勢が記載されている。77ないし88頁には、各日ごとの運勢が記載されている(甲4)。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「一白水星」(55ないし65頁)には、平成11年の「一白水星」の運勢が記載されており、同年の「一白水星」の運勢は静観期とされている(甲37)のに対し、被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)には、平成16年の「一白水星」の運勢が記載されており、同年の一白水星の運勢は困難期とされている(甲4)。そして、これを前提とした本件書籍の「一白水星」(55ないし65頁)の個別の運勢の記述と被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)の個別の運勢の記述とは、全く異なっている。
 また、本件書籍の「一白水星」(55ないし65頁)のうち、55頁の上段には、「一白水星」の基本的な運勢が記載され、55頁の下段には、「一白水星」の運勢が仕事運、家庭運、異性運、財運及び健康運に分けて簡潔に記載され、56頁の下段には、適職が記載されており、これらは、平成11年の運勢に限らない一般的な記述である。被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)のうち、75頁の上段には、「一白水星」の基本的な運勢が記載され、75頁の下段には、適職が記載され、これも、平成16年の運勢に限らない一般的な記述である。両記述を対比しても、本件書籍?と被告書籍との間に同一性又は類似性は認められない。
 このように、本件書籍?の「一白水星」(55ないし65頁)と被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)を対比しても、その個々の文章又は図に同一性又は類似性は認められず、本件書籍の「二黒土星」ないし「九紫火星」(66ないし153頁)と被告書籍の「二黒土星」ないし「九紫火星」(89ないし208頁)を対比しても、同様である。
 そして、本件書籍の「一白水星」(55ないし65頁)と被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)とは、その個々の文章又は図に同一性又は類似性が認められないから、素材の選択において同一性又は類似性が認められないというべきである。また、上記のような本件書籍の「一白水星」(55ないし65頁)と被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)の具体的配列を対比しても、同一性又は類似性があるということはできない。本件書籍の「二黒土星」ないし「九紫火星」(66ないし153頁)と被告書籍の「二黒土星」ないし「九紫火星」(89ないし208頁)を対比しても、同様である。
 したがって、本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(55ないし153頁)と被告書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(74ないし208頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(74ないし208頁)は、本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(55ないし153頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
 原告は、九星ごとに、1年間の運勢の変化を一覧にして表に掲げ、九星ごとの各見出しを、白抜きの文字に赤ピンクの囲いをしたものとし、本文中にも、赤文字や赤ピンク文字を使用した点において、被告書籍と本件書籍?とは類似すると主張する。
 しかし、本件書籍の「一白水星」の年間の運勢のグラフ(55頁下段)は、1年間の各月の運勢を一般的な手法に基づき表現したのみのグラフにすぎないから、同図は、表現上の創作性が認められない部分であるといわざるを得ない。「二黒土星」ないし「九紫火星」の図(66、77、88、99、110、121、132、143頁各下段)についても、同様である。また、九星ごとの各見出しを、白抜きの文字に赤ピンクの囲いをしたものとしたことや、本文中に赤文字や赤ピンク文字を使用したことは、作成者の個性が発揮された創作的なものとはいうことはできない。したがって、原告の上記主張は、理由がない。
ウ 人相の見かた(154頁)
 原告は、本件書籍の「人相の見かた」(154ないし156頁)においては、「人相の見かた」と白抜き文字で題して、人間の顔を20部位に分類し、その分類を人間の顔の真下に掲記し、各部位と性格及び人相の解説を行っており、被告書籍の「人相の見かた」(209頁)においても同様であるから、被告書籍は、原告が有する編集著作権を侵害するものであると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「人相の見かた」(154ないし156頁)においては、154頁の冒頭に「人相の見かた」との見出しが付され、154頁から155頁の上段にかけて人相について一般的な解説が記載され、155頁の上段から下段にかけて顔の形についての分析が記載され、155頁の下段に額の形についての分析が記載され、155頁の下段から156頁の上段にかけて眉の形及び眉の間隔についての分析が記載され、156頁の上段から下段にかけて目の形及び目の間隔に関する分析が記載され、156頁の下段に口の形についての分析が記載され、154頁の上段に顔の図が記載されるとともに、顔を20の部位に分類した分類項目が注記され、154頁の下段に顔の形の図が3種類記載され、155頁の下段に額の形の図が5種類記載され、156頁の下段に口の形の図が6種類記載されている(甲37)。
 被告書籍の「人相の見かた」(209頁)においては、冒頭に「人相の見かた」との見出しが付され、上段から下段にかけて人相についての一般的な解説が記載され、上段に顔の図が記載されるとともに、顔を20の部位に分類した分類項目が注記され、下段にその分類項目に関する解説が記載されている(甲4)。
 両書籍を対比すると、本件書籍の人相についての一般的な解説と被告書籍の人相についての一般的な解説とは、全く異なっており、本件書籍には、顔の形の分析がなされているが、被告書籍においては、顔の形の分析はされていない。そして、「人相の見かた」との見出しを白抜き文字で表現したことは、作成者の個性が発揮された創作的なものとはいえないし、顔を20の部位に分類したことは、アイディアにすぎず、表現それ自体ではない部分である。また、顔の分類を顔の図の真下に記載したことは、作成者の個性が発揮された創作的なものとはいえない。さらに、本件書籍には、分類された20の部位についての解説が記載されていないのに対し、被告書籍にはその解説が記載されている。
 以上の対比によれば、本件書籍の「人相の見かた」(154ないし156頁)と被告書籍の「人相の見かた」(209頁)との間には、その素材の選択及び配列のいずれについても、同一性又は類似性があるということはできない。
 したがって、本件書籍の「人相の見かた」(154頁)と被告書籍の「人相の見かた」(209頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「人相の見かた」(209頁)は、本件書籍の「人相の見かた」(154頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
エ 手相の見かた(161ないし164頁)
 原告は、本件書籍の「手相の見かた」(161ないし164頁)の記述と被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)の記述で異なるのは「見出し」と、最後の項目が「結婚線」であるか「人気線」であるかであって、その他は素材の選択及び配列のいずれも酷似しており、被告書籍の記述内容は本件書籍の記述内容と酷似しているから、被告書籍は、本件書籍についての著作権及び編集著作権を侵害するものであると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「手相の見かた」(161ないし164頁)には、161頁の冒頭に「手相の見かた」との見出しが付され、161頁上段から下段にかけて手相についての一般的な解説が記載され、161頁下段には「掌線の名称と位置」と題する図及び「掌の丘(きゅう)の名称と位置」と題する図が記載され、161頁下段から164頁にかけて順に「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」、「結婚線」、「健康線」、「手の大小」、「爪の相」及び「指の特性」についての解説が記載されている。
 被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)には、212頁の冒頭に「手相で自分を知る」との見出しが付され、212頁上段に手相についての一般的な解説が記載されるとともに、手相の概略を示した図が記載され、212頁下段から214頁下段にかけて順に「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」、「人気線」、「希望線」、「億万長者線」及び「結婚線」についての解説が記載されるとともに、手の中の各線の位置を示す図が記載され、214頁下段には、「掌に現れる紋様」についての解説が各紋様の図とともに記載されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の手相についての一般的な解説と被告書籍の手相についての一般的な解説との間には、同一性又は類似性は認められないし、本件書籍と被告書籍の共通する項目である「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」及び「結婚線」についての各解説を対比しても、同一性又は類似性は全く認められない。
 このように、本件書籍の「手相の見かた」(161ないし164頁)と被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)とを対比しても、その個々の文章又は図に同一性又は類似性は認められない。
 そして、本件書籍の「手相の見かた」(161ないし164頁)と被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)とは、その個々の文章又は図に同一性又は類似性が認められないから、素材の選択において同一性又は類似性が認められないというべきである。また、上記のような本件書籍の「手相の見かた」(161ないし164頁)と被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)との具体的配列を対比しても、図の有無及び配置は異なり、本件書籍にある「健康線」、「手の大小」、「爪の相」及び「指の特性」についての解説が被告書籍には記載されておらず、被告書籍には本件書籍にはない「人気線」、「希望線」、「億万長者線」及び「掌に現れる紋様」についての解説が記載されていることからすれば、同一性又は類似性があるということはできない。
 したがって、本件書籍の「手相の見かた」(161ないし164頁)と被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)は、本件書籍の「手相の見かた」(161ないし164頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
本件書籍について
ア 四神相応の図(15頁)
 原告は、被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図が本件書籍の「四神相応の図」(15頁)と酷似していると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「四神相応の図」(15頁)は、中央に家を描き、家の上側には「北」、「黒」及び「玄武」と記載するとともに、玄武を山とともに描いて説明を付し、家の下側には「南」、「赤」及び「朱雀」と記載するとともに、朱雀を描いて説明を付し、家の右側には「東」、「青」及び「青龍」と記載するとともに、青龍を林と川とともに描いて説明を付し、家の左側には「西」、「白」及び「白虎」と記載するとともに、白虎を建物と道とともに描いて説明を付している。
 被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図は、中央に家を描き、家の上側には「北」及び「玄武」と記載するとともに、玄武を山とともに描き、家の下側には「南」及び「朱雀」と記載するとともに、朱雀を描き、家の右側には「東」及び「青龍」と記載するとともに、青龍を川とともに描き、家の左側には「西」及び「白虎」と記載するとともに、白虎を道とともに描いている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「四神相応の図」(15頁)と被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図とは、中央に家を描いたこと、家の上側には「北」及び「玄武」と記載するとともに、玄武を山とともに描いたこと、家の下側には「南」及び「朱雀」と記載するとともに、朱雀を描いたこと、家の右側には「東」及び「青龍」と記載するとともに、青龍を川とともに描いたこと、家の左側には「西」及び「白虎」と記載するとともに、白虎を道とともに描いたことにおいて共通しているものの、これらは本件書籍の表現それ自体でない部分であるし、本件書籍の中央の家は2階建てであるのに対し、被告書籍の中央の家は平家建てであること、本件書籍の玄武、朱雀、青龍及び白虎の絵と被告書籍の玄武、朱雀、青龍及び白虎の絵との間には類似性は認められないこと、本件書籍には玄武、朱雀、青龍及び白虎についての説明が付されているのに対し、被告書籍には説明が付されていないことからすれば、本件書籍の「四神相応の図」(15頁)と被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図との間には、その具体的表現において同一性又は類似性は認められない。
 したがって、本件書籍の「四神相応の図」(15頁)と被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図は、本件書籍の「四神相応の図」(15頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
イ ラッキーカラー(27頁)
 原告は、本件書籍においては、「ラッキーカラー」(27頁)と題して九星ごとにラッキーカラーを記述するとともに、「本命星の基本カラー」と題して各本命星と相性のよいカラーを図示しており、このラッキーカラーの記述及び図にまとめることは原告の思想の創作的表現であるところ、被告書籍では、「幸せを呼ぶカラー」(14頁)と題して本命星とカラーとの相性に関する説明を付しており、このうち、本命星の基本カラーと題する図は本件書籍の図と全く同一である旨主張するので、以下、判断する。
 本件書籍の「ラッキーカラー」(27頁)には、上段において、色が運命に与える影響、生年月日によりその人特有の基本色があることの解説が記載され、「本命星の基本カラー」と題して九星ごとの基本色が八角形の図で示されている。そして、下段において、「運命を開く色」と題して、「好きな色」、「健康に役立つ色」、「仕事に役立つ色」及び「恋愛を成功させる色」について記載されている。
 被告書籍の「幸せを呼ぶカラー」(14頁)には、上段において、色が運命に与える影響についての説明が記載され、「本命星の基本カラー」と題して九星ごとの基本色が八角形の図で示されている。そして、下段において、「好きな色」、「健康に役立つ色」、「仕事に役立つ色」及び「恋愛を成功させる色」について記載されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「ラッキーカラー」(27頁)の上段と被告書籍の「幸せを呼ぶカラー」(14頁)の上段の各記載についてみれば、「本命星の基本カラー」と題する八角形の図はほぼ同一であるものの、色が運命に与える影響について記載された説明部分の表現は、全く異なっている。本件書籍の「本命星の基本カラー」(27頁)の図は、相似形である3個の八角形からなり、内側の八角形の各頂点と外側の八角形の各頂点とは放射状の線で結ばれ、各線が中間にある八角形の各頂点を通っており、内側の八角形の内側に「五黄土星(中)黄・黒」と記載され、内側の八角形と中間にある八角形との間に九星ごとの基本色が記載され、中間にある八角形と外側にある八角形との間に九星が記載されているが、生年月日により特有の基本色がある旨の説明部分の記載に沿うように、九星と基本色との対応関係を一般的な方法で表現したものにすぎず、原告の個性が示されるような表現上の創作性を認めることはできない。本件書籍の「ラッキーカラー」(27頁)の下段と被告書籍の「幸せを呼ぶカラー」(14頁)の下段の各記載についてみると、色の効用などを4つの分類にしていることとその名称、各分類内の色の説明について、似通った記載が認められるが、これらの記載は、いずれも、ごく短い表現であって、用いられている形容詞等も極めて一般的なものであるから、前記同様、原告の個性が示されるような表現上の創作性を認めることはできない。
 そうすると、被告書籍の「幸せを呼ぶカラー」(14頁)の記載は、本件書籍の「ラッキーカラー」(27頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
本件書籍(2000年間の日本と日本人(211ないし219頁))について
 原告は、本件書籍の「2000年間の日本と日本人」(211ないし219頁)においては、西暦2001年から遡って縄文時代、石器時代までの年表を掲げ、日本年号、干支、時代及び主な出来事を掲記し、被告書籍の「二〇〇〇年間の人の歩み」(271ないし279頁)も同様であって、被告書籍の素材の選択及び配列は本件書籍の素材の選択及び配列を模倣しているから、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権及び著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「2000年間の日本と日本人」(211ないし219頁)は、逆綴じとなっており、219頁の冒頭に「2000年間の日本と日本人」との見出しが付され、219頁の上部に、「西暦」、「日本元号」、「九星」、「干支」、「逆年次」、「時代」及び「主なる出来ごと」との見出し項目が記載され、211頁にかけて縄文式文化時代までの日本に関する出来事が年表として記載されている。
 被告書籍の「二〇〇〇年間の人の歩み」(271ないし279頁)には、271頁の右部に「西暦」、「元号」、「干支」、「累年」、「時代」、「天皇」、「日本」及び「世界」との見出し項目が記載され、279頁にかけて石器時代までの日本に関する出来事及び世界の出来事が年表として記載されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の記述と被告書籍の記述との間には、同一性又は類似性は全く認められない。
 そして、本件書籍の「2000年間の日本と日本人」(211ないし219頁)と被告書籍の「二〇〇〇年間の人の歩み」(271ないし279頁)とは、その具体的表現に同一性又は類似性が認められないから、素材の選択において同一性又は類似性が認められないというべきである。また、本件書籍の「2000年間の日本と日本人」(211ないし219頁)と被告書籍の「二〇〇〇年間の人の歩み」(271ないし279頁)の具体的配列を対比しても、本件書籍の年表が上から下に向かうに従って年号がさかのぼっていく形式であるのに対し、被告書籍の年表は、右から左に向かうに従って年号がさかのぼっていく形式であり、本件書籍にある「九星」の見出し項目が被告書籍には記載されておらず、被告書籍には本件書籍にはない「天皇」、「将軍 内閣」及び「世界」の見出し項目があることからすれば、同一性又は類似性があるということはできない。
 したがって、本件書籍の「2000年間の日本と日本人」(211ないし219頁)と被告書籍の「二〇〇〇年間の人の歩み」(271ないし279頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「二〇〇〇年間の人の歩み」(271ないし279頁)は、本件書籍の「2000年間の日本と日本人」(211ないし219頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
本件書籍について
ア 「氣」とは何だろう?(2頁)
 原告は、本件書籍の「『氣』とは何だろう?」(2頁)においては、「気」を3種に分類し、表形式で読者に見やすく表現し、天の気を「時」とし、さらに「時間」、「空間」及び「温度」の3種類に分類し、地の気を「利」とし、さらに「物体同士の吸引・反発・接触」、「滋養(生物の生息材料)」及び「食・飲・暖の調節」の3種類に分類し、人の気を「和」とし、さらに「人間社会の調和」、「人間同士の親密・強調・扶助」、「競争・対立・支配」、「性愛」及び「制圧と服従」の5種類に分類し、被告書籍の「『気』は三種ある」及び「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」(8頁)も同様であるから、被告書籍は、本件書籍についての著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「『氣』とは何だろう?」(2頁)には、下段に「『氣』とは何だろう?」と題して「氣」についての解説が記載され、上段に「氣」の分類が図で記載されている。
 被告書籍の「『気』は三種ある」及び「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」(8頁)には、下段に「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」と題して「気」についての解説が記載され、上段に「『気』は三種ある」と題して「気」の分類が図で記載されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「『氣』とは何だろう?」(2頁)の下段の「氣」についての解説と被告書籍の「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」と題する「気」についての解説との間には、同一性又は類似性は全く認められない。
 また、原告は、本件書籍の「『氣』とは何だろう?」(2頁)の上段の「氣」の分類を示した図と被告書籍の「『気』は三種ある」(8頁)と題する「気」の分類を示した図とは、「気」を3種に分類し、表形式で読者に見やすく表現し、天の気を「時」とし、さらに「時間」、「空間」及び「温度」の3種類に分類し、地の気を「利」とし、さらに「物体同士の吸引・反発・接触」、「滋養(生物の生息材料)」及び「食・飲・暖の調節」の3種類に分類し、人の気を「和」とし、さらに「人間社会の調和」、「人間同士の親密・強調・扶助」、「競争・対立・支配」、「性愛」及び「制圧と服従」の5種類に分類した点において類似すると主張する。
 しかし、「気」の分類(細分類を含む。)は、アイディアにすぎず、表現それ自体ではない部分であるし、それを図にしたことも、「気」の分類を一般的な手法に基づき図形として表現したにすぎないから、同図は、表現上の創作性が認められない部分であるといわざるを得ない。
 したがって、本件書籍の「『氣』とは何だろう?」(2頁)と被告書籍の「『気』は三種ある」及び「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」(8頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「『気』は三種ある」及び「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」(8頁)は、本件書籍の「『氣』とは何だろう?」(2頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
イ 運命の吉凶転機の盤(8頁)
 原告は、本件書籍の「運命の吉凶転機の盤」(8頁)の上段の図と被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)の上段の図とは、同一で、各部分の占い部分も同一の内容で同一の配列を用い、本件書籍の「運命の吉凶転機の盤」(8頁)の下段の解説文と被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)の下段の解説文とは、同様あるいは酷似していると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「運命の吉凶転機の盤」(8頁)には、上段に「運命の吉凶転機の盤」と題する八角形の図が記載され、下段に「運命の吉凶転機の盤」の解説が記載されている。
 被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)には、上段に「運命啓発の基盤」と題する八角形の図が記載され、下段に「運命啓発の基盤」の解説が記載されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍?の「運命の吉凶転機の盤」(8頁)の上段の八角形の図と被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)の上段の八角形の図とは、占い部分の記述がほぼ同一であるが、これらの各記述は、ごく短いものであって、筆者の個性が現れているとはいえないし、八角形の図を用いたことは、普通に用いられる表現の一つということができるから、本件書籍?の「運命の吉凶転機の盤」(8頁)の上段の八角形の図は、表現上の創作性が認められない部分であるというべきである。そして、本件書籍の「運命の吉凶転機の盤」(8頁)の下段の「運命の吉凶転機の盤」の解説と被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)の下段の「運命啓発の基盤」の解説とは、「被同会」及び「同会」について解説している点で類似性が認められるものの、「被同会」及び「同会」についての見解は、アイディアにすぎず、表現それ自体ではない部分であって、具体的表現において同一性又は類似性が認められないから、思想又は感情を創作的に表現した部分において同一性又は類似性を有するとはいえない。
 したがって、本件書籍の「運命の吉凶転機の盤」(8頁)と被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)は、本件書籍の「運命の吉凶転機の盤」(8頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
ウ 「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(27、28頁)
 原告は、本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(27、28頁)においては、「星座(せいざ)」と題して、星座の一覧を図示するとともに、「星座の呼び名」と題して、「満天に輝く星達は肉眼で見えるものが約七千五百個あります。」と記述し、続けて星空の区分の由来、星座の由来及び惑星と恒星の動きに関する記述をし、被告書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(34、35頁)も同様であり、被告書籍の記述内容は本件書籍の記述内容と酷似し、被告書籍の記述内容の選択及び記述の配列は本件書籍と同一であるから、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(27、28頁)においては、27頁上段に「星座(せいざ)」と題して黄道十二星座が天球とともに図示され、27頁下段から28頁にかけて、星及び星座についての一般的な解説が記載され、28頁上段には北の星空が図示され、28頁下段には南の星空が図示されている。
 被告書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(34、35頁)においては、34頁上段に「星座(せいざ)」と題して黄道十二星座が天球とともに図示され、34頁下段から35頁にかけて、星及び星座についての一般的な解説が記載され、35頁上段には北の星空が図示され、35頁下段には南の星空が図示されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の27頁上段の「星座(せいざ)」と題する図と被告書籍の34頁上段の「星座(せいざ)」と題する図とは、ほぼ同一である。しかし、本件書籍の27頁上段の「星座(せいざ)」と題する図は、太陽を中心として天球を表示し、そこに黄道十二星座を図示したものであり、公知の事実を普通に用いられる方法で表現したものにすぎず、表現上の格別の工夫があるとはいえない。また、本件書籍の27頁下段から28頁にかけての「星座の呼び名」と題する文章と被告書籍の34頁下段から35頁にかけての「星座の呼び名」と題する文章とは、星及び星座についての一般的な解説として、肉眼で見える星が約7500個あること、恒星はあまりにも遠方にあるために動かないように見えること、天空が広いので、いくつかの星と星をつなぎ合わせて星座とし、ギリシャ神話の神々や鳥獣の名がつけられていること、西暦2世紀に天文学者プトレマイオスが星空を48の星座に分けたこと、星座の分類は、現在は国際天文学会で88の星座に統一されていること、88の星座のうち12の星座は黄道星座と呼ばれること、星には惑星と恒星があること、惑星は太陽の周りを回っている9個の星で、9個の惑星のほかに火星と木星との間に小惑星があること、惑星は平均して毎秒約25kmの速度で動いていること、アルクトールという恒星は毎秒125kmの速度で動いているが、それでも動いていないように見えるのは、地球と太陽との距離の250万倍も遠方にあるからであり、地球から見ると、月の直径ほどの距離を移動するのに約1600年もかかること、近年、誕生日を生年月日でなく星座名で表現する人が多くなっていることを記載した点において共通するが、この共通点は、星又は星座に関する一般的な知見を普通に使用されるありふれた言葉で表現したものにすぎず、その文言、配列及び構成にも表現上の格別の工夫があるとはいえないから、本件書籍の27頁下段から28頁にかけての「星座の呼び名」と題する文章と被告書籍の34頁下段から35頁にかけての「星座の呼び名」と題する文章とは、その具体的表現に同一性又は類似性があるとは認められない。さらに、本件書籍の28頁の北の星空及び南の星空の図と、被告書籍の35頁の北の星空及び南の星空の図とは、全く異なっている。
 そうすると、本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(27、28頁)と被告書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(34、35頁)とは、その個々の文章又は図の具体的表現に同一性又は類似性が認められないから、素材の選択において同一性又は類似性は認められないというべきである。そして、本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(27、28頁)は、上記のとおり、黄道十二星座を天球とともに図示したもの、星及び星座についての一般的な解説並びに北の星空及び南の星空の図を一般的な手法に基づき配列したものにすぎず、その具体的配列に筆者の個性が現れているとはいえないから、表現上の創作性は認められない。
 したがって、本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(27、28頁)と被告書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(34、35頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(34、35頁)は、本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(27、28頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
エ 星座一覧表(29頁)
 原告は、本件書籍の「星座一覧表」(29頁)においては、88個の星座を一覧とし、そのうち、誕生月星座を赤ピンク色で囲い、さらに、東京において見えるころの月日を記載し、被告書籍の「星座一覧表」(41頁)も同様であり、被告書籍の記述内容は本件書籍の記述内容と同一であるから、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「星座一覧表」(29頁)においては、88の星座を50音順に並べ、各星座について東京で見える時期が記載され、黄道12星座に印が付されている。
 被告書籍の「星座一覧表」(41頁)においても、88の星座を50音順に並べ、各星座について東京で見える時期が記載され、黄道12星座に印が付され、天の南極付近にあって日本からは見えない星座については、★印が付されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「星座一覧表」(29頁)と被告書籍の「星座一覧表」(41頁)とは、88の星座を50音順に並べ、各星座について東京で見える時期を記載し、黄道12星座に印を付した点において共通するが、この共通点は、星座及び星座に関する一般的な知見を一般的な手法に基づき列記したものにすぎず、その配列及び構成にも表現上の格別の工夫があるとはいえない。また、被告書籍の「星座一覧表」(41頁)には、天の南極付近にあって日本からは見えない星座について、★印が付されているのに対し、本件書籍?の「星座一覧表」(29頁)には、その点について何の言及もなく、本件書籍の「星座一覧表」(29頁)と被告書籍の「星座一覧表」(41頁)との素材の選択及び配列には異なる部分も存在する以上、両者の間に同一性又は類似性があるとは認められない。
 したがって、本件書籍の「星座一覧表」(29頁)と被告書籍の「星座一覧表」(41頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「星座一覧表」(41頁)は、本件書籍の「星座一覧表」(29頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
本件書籍について
ア 「気」とは何だろう?(2頁)
 原告は、本件書籍の「『気』とは何だろう?」(2頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に「気」の分類図を示し、下段にその解決を記載し、上段の分類図では、天の気を「時」とし、さらに「時間」、「空間」及び「温度」の3種類に分類し、地の気を「利」とし、さらに「物体同士の吸引・反発・接触」、「滋養(生物の生息材料)」及び「食・飲・暖の調節」の3種類に分類し、人の気を「和」とし、さらに「人間社会の調和」、「人間同士の親密・強調・扶助」、「競争・対立・支配」、「性愛」及び「制圧と服従」の5種類に分類し、被告書籍の「『気』は三種ある」及び「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」(8頁)も同様であるから、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「『気』とは何だろう?」(2頁)には、下段に「『気』とは何だろう?」と題して「気」についての解説が記載され、上段に「氣」の分類が図で記載されている。
 被告書籍の「『気』は三種ある」及び「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」(8頁)には、下段に「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」と題して「気」についての解説が記載され、上段に「『気』は三種ある」と題して「気」の分類が図で記載されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「『気』とは何だろう?」(2頁)の下段の「気」についての解説と被告書籍の「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」と題する「気」についての解説との間には、同一性又は類似性は全く認められない。また、本件書籍の「『気』とは何だろう?」(2頁)の上段の「気」の分類を示した図と被告書籍の「『気』は三種ある」(8頁)と題する「気」の分類を示した図とは、「気」を3種に分類し、「天の気」、「地の気」及び「人の気」をそれぞれ細分化した点において共通するが、本件書籍の図では、「天の気」、「地の気」及び「人の気」の各右側に「天の気」、「地の気」及び「人の気」と「十干」、「十二支」及び「九星」とを関連付けて記載しているのに対し、被告書籍の図では、図の下部に「天の気」、「地の気」及び「人の気」と「十干」、「十二支」及び「九星」とを関連付けて記載している点が異なる。
 以上の対比によれば、本件書籍の「『気』とは何だろう?」(2頁)と被告書籍の「『気』は三種ある」及び「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」(8頁)とは、素材を異にするものであり、素材の選択及び配列のいずれについても、同一性又は類似性があるということはできない。
 したがって、本件書籍の「『気』とは何だろう?」(2頁)と被告書籍の「『気』は三種ある」及び「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」(8頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「『気』は三種ある」及び「『気』の作用(編注;「作用」のという言葉の上に「はたらき」というふりがなあり)」(8頁)は、本件書籍の「『気』とは何だろう?」(2頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
イ 運命の吉凶転機の図(7頁)
 原告は、本件書籍の「運命の吉凶転機の図」(7頁)の上段の図と被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)の上段の図とは、同一で、本件書籍の「運命の吉凶転機の図」(7頁)においては、1ページを上下2段に分け、上段に正八角形の図を示し、下段にその解決を示し、被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)においても同様であるから、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「運命の吉凶転機の図」(7頁)には、上段に「運命の吉凶転機の図」と題する八角形の図が記載され、下段に「運命の吉凶転機の盤」と題する文章が記載されている。
 被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)には、上段に「運命啓発の基盤」と題する八角形の図が記載され、下段に「運命啓発の基盤」の解説が記載されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍?の「運命の吉凶転機の図」(7頁)の下段の「運命の吉凶転機の盤」と題する文章と被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)の下段の「運命啓発の基盤」の解説とは、「被同会」及び「同会」について解説している点で類似性が認められるものの、「被同会」及び「同会」についての見解は、アイディアにすぎず、表現それ自体ではない部分であって、具体的表現において同一性又は類似性が認められないから、思想又は感情を創作的に表現した部分において同一性又は類似性を有するとはいえない。また、本件書籍?の「運命の吉凶転機の図」(7頁)の上段の八角形の図と被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)の上段の八角形の図は、占い部分の記述がほぼ同一であるが、これらの各記述は、ごく短いもので、筆者の個性が現れているとはいえないし、八角形の図を用いたことは、普通に用いられる表現の一つということができるから、本件書籍の「運命の吉凶転機の図」(7頁)の上段の八角形の図は、表現上の創作性が認められない部分であるというべきである。
 以上の対比によれば、本件書籍の「運命の吉凶転機の図」(7頁)と被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)とは、素材を異にするものであり、素材の選択及び配列のいずれについても、同一性又は類似性があるということはできない。
 したがって、本件書籍の「運命の吉凶転機の図」(7頁)と被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「運命啓発の基盤」(6頁)は、本件書籍の「運命の吉凶転機の図」(7頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
ウ ラッキーカラー(12頁)
 原告は、本件書籍においては、1頁を上下2段に分け、上段に「ラッキーカラー」(12頁)と題して、本命星と基本色との関係を図式化した解説が記載され、下段については、初稿(本件書籍の27頁)において「好きな色」、「健康に役立つ色」、「仕事に役立つ色」及び「恋愛を成功させる色」について記載されているところ、被告書籍では、「幸せを呼ぶカラー」(14頁)と題して本命星とカラーとの相性に関する説明を付しており、このうち、本命星の基本カラーと題する図は本件書籍?の図と全く同一である旨主張するので、以下、判断する。
 本件書籍の「ラッキーカラー」(12頁)には、上段において、色が運命に与える影響、生年月日によりその人特有の基本色があることの解説が記載され、「本命星の基本カラー」と題して九星ごとの基本色が八角形の図で示されている。そして、下段において、「九星別・あなたと色の相性表」が記載されている。
 被告書籍の「幸せを呼ぶカラー」(14頁)には、上段において、色が運命に与える影響についての説明が記載され、「本命星の基本カラー」と題して九星ごとの基本色が八角形の図で示されている。そして、下段において、「好きな色」、「健康に役立つ色」、「仕事に役立つ色」及び「恋愛を成功させる色」について記載されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「ラッキーカラー」(12頁)の記載と被告書籍の「幸せを呼ぶカラー」(14頁)の記載とは、各上段の説明部分及び下段の記載の双方において、その表現が全く異なっている。上段の「本命星の基本カラー」と題する八角形の図はほぼ同一であるものの、本件書籍の「本命星の基本カラー」(12頁)の図は、生年月日により特有の基本色がある旨の説明部分の記載に沿うように、九星と基本色との対応関係を一般的な方法で表現したものにすぎず、前記イで検討したとおり、原告の個性が示されるような表現上の創作性を認めることはできない。
 そうすると、被告書籍の「幸せを呼ぶカラー」(14頁)の記載は、本件書籍の「ラッキーカラー」(12頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
エ 「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)
 原告は、本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)においては、25頁を上下2段に分け、25頁の上段に「星座(せいざ)」と題して、12の星座名及び太陽と地球の位置図を記載し、25頁の下段に「星座の呼び名」と題して星空の区分の由来、星座の由来及び惑星と恒星の動きに関する記述をし、26頁を上下2段に分け、上段及び下段にそれぞれ天球図を記載し、各解説を付し、被告書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(34、35頁)も同様であり、被告書籍の素材の選択及び配列は本件書籍と同一であるから、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)においては、25頁上段に「星座(せいざ)」と題して黄道十二星座が天球とともに図示され、25頁下段から26頁にかけて、星及び星座についての一般的な解説が記載され、26頁上段には北の星空が図示され、26頁下段には南の星空が図示されている。
 被告書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(34、35頁)においては、34頁上段に「星座(せいざ)」と題して黄道十二星座が天球とともに図示され、34頁下段から35頁にかけて、星及び星座についての一般的な解説が記載され、35頁上段には北の星空が図示され、35頁下段には南の星空が図示されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の25頁上段の「星座(せいざ)」と題する図と被告書籍の34頁上段の「星座(せいざ)」と題する図とは、ほぼ同一である。しかし、本件書籍の25頁上段の「星座(せいざ)」と題する図は、太陽を中心として天球を表示し、そこに黄道十二星座を図示したものであり、公知の事実を普通に用いられる方法で表現したものにすぎず、表現上の格別の工夫があるとはいえない。また、本件書籍の25頁下段から26頁にかけての「星座の呼び名」と題する文章と被告書籍の34頁下段から35頁にかけての「星座の呼び名」と題する文章とは、星及び星座についての一般的な解説として、肉眼で見える星が約7500個あること、恒星はあまりにも遠方にあるために動かないように見えること、天空が広いので、いくつかの星と星をつなぎ合わせて星座とし、ギリシャ神話の神々や鳥獣の名がつけられていること、西暦2世紀に天文学者プトレマイオスが星空を48の星座に分けたこと、星座の分類は、現在は国際天文学会で88の星座に統一されていること、88の星座のうち12の星座は黄道星座と呼ばれること、星には惑星と恒星があること、惑星は太陽の周りを回っている9個の星で、9個の惑星のほかに火星と木星との間に小惑星があること、惑星は平均して毎秒約25kmの速度で動いていること、アルクトールという恒星は毎秒125kmの速度で動いているが、それでも動いていないように見えるのは、地球と太陽との距離の250万倍も遠方にあるからであり、地球から見ると、月の直径ほどの距離を移動するのに約1600年もかかること、近年、誕生日を生年月日でなく星座名で表現する人が多くなっていることを記載した点において共通するが、この共通点は、星又は星座に関する一般的な知見を普通に使用されるありふれた言葉で表現したものにすぎず、その文言、配列及び構成にも表現上の格別の工夫があるとはいえないから、本件書籍の25頁下段から26頁にかけての「星座の呼び名」と題する文章と被告書籍の34頁下段から35頁にかけての「星座の呼び名」と題する文章とは、その具体的表現に同一性又は類似性があるとは認められない。さらに、本件書籍の26頁の北の星空及び南の星空の図と、被告書籍の35頁の北の星空及び南の星空の図とは、全く異なっている。
 そうすると、本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)と被告書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(34、35頁)とは、その個々の文章又は図の具体的表現に同一性又は類似性が認められないから、素材の選択において同一性又は類似性は認められないというべきである。そして、本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)は、上記のとおり、黄道十二星座を天球とともに図示したもの、星及び星座についての一般的な解説並びに北の星空及び南の星空の図を一般的な手法に基づき配列したものにすぎず、その具体的配列に筆者の個性が現れているとはいえないから、表現上の創作性は認められない。
 したがって、本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)と被告書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(34、35頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(34、35頁)は、本件書籍の「星座(せいざ)」及び「星座の呼び名」(25、26頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
オ 星座一覧表(27頁)
 原告は、本件書籍の「星座一覧表」(27頁)においては、1ページを上下2段に分け、「1 アンドロメダ」、「2 一角獣」から「88 鷲」までを掲記し、誕生月星座を赤ピンク色で囲い、各々星座の見える月日を記載し、被告書籍の「星座一覧表」(41頁)も同様であり、被告書籍の素材の選択及び配列は本件書籍と同一であるから、被告書籍は、本件書籍?についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「星座一覧表」(27頁)においては、88の星座を50音順に並べ、各星座について東京で見える時期が記載され、黄道12星座に印が付されている。
 被告書籍の「星座一覧表」(41頁)においても、88の星座を50音順に並べ、各星座について東京で見える時期が記載され、黄道12星座に印が付され、天の南極付近にあって日本からは見えない星座については、★印が付されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「星座一覧表」(27頁)と被告書籍の「星座一覧表」(41頁)とは、88の星座を50音順に並べ、各星座について東京で見える時期を記載し、黄道12星座に印が付した点において共通するが、この共通点は、星座及び星座に関する一般的な知見を一般的な手法に基づき列記したものにすぎず、その配列及び構成にも表現上の格別の工夫があるとはいえない。また、被告書籍の「星座一覧表」(41頁)には、天の南極付近にあって日本からは見えない星座について、★印が付されているのに対し、本件書籍の「星座一覧表」(27頁)には、その点について何の言及もなく、本件書籍の「星座一覧表」(27頁)と被告書籍の「星座一覧表」(41頁)との素材の選択及び配列には異なる部分も存在する以上、両者の間に同一性又は類似性があるとは認められない。
 したがって、本件書籍の「星座一覧表」(27頁)と被告書籍の「星座一覧表」(41頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「星座一覧表」(41頁)は、本件書籍の「星座一覧表」(27頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
カ 毎日ごよみ(28ないし51頁)
 原告は、本件書籍の「毎日ごよみ」(28ないし51頁)においては、1か月を見開き2ページに収め、上段から「日」、「曜日」、「十干・十二支」、「九星」、「行事」、「陰暦」、「六輝」、「二十八宿」及び「十二直」を掲げて一覧形式とし、文字は赤ピンク色と黒色の2色を使用し、被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)も同様であって、被告書籍の素材の選択及び配列は本件書籍の素材の選択及び配列を模倣しているから、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「毎日ごよみ」(28ないし51頁)においては、平成15年1月から同年12月までの各日について、1か月を見開き2ページとし、上段から「日」、「曜日」、「十干・十二支」、「九星」、「行事」、「陰暦」、「六輝」、「二十八宿」及び「十二直」を掲げた一覧表が記載され、右側に「暦の歳時記」と題する記事が記載され、右側のページの右端及び左側のページの左端には、各地の郷土芸能について記載されている(甲3)。
 被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)においては、平成16年1月から同年12月までの各日について、1か月を見開き2ページとし、上段から「日」、「曜日」、「十干・十二支」、「九星」、「催事」、「陰暦」、「六輝」、「廿八宿」及び「十二直」を掲げた一覧表が記載され、右側にはその月の大半が属する期間の二十八宿及び暗剣殺の方位並びに東京におけるその月の1日、11日及び21日の日の出及び日の入りの時刻が記載されている(甲4)。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「毎日ごよみ」(28ないし51頁)は、平成15年1月から同年12月までの各日についての記載であるのに対し、被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)は、平成16年1月から同年12月までの各日についての記載であって、素材の選択に同一性又は類似性は全く認められない。また、一覧表に「日」、「曜日」、「十干・十二支」、「九星」、「六輝」、「行事」(被告書籍においては、「催事」)、「旧暦」(被告書籍においては、「陰暦」)、「二十八宿」(被告書籍においては、「廿八宿」)及び「十二直」を掲げることとした点及び2色刷りとした点に類似性は認められるものの、これらは、本件書籍における表現それ自体ではないアイディアに係る部分又は表現上の創作性が認められない部分であるし、本件書籍の「毎日ごよみ」(28ないし51頁)には、「暦の歳時記」と題する記事が記載されているのに対し、被告書籍にはこれらの記載はなく、被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)には、本件書籍?にはないその月の大半が属する期間の二十八宿及び暗剣殺の方位並びに東京におけるその月の1日、11日及び21日の日の出及び日の入りの時刻の記載があることからすれば、本件書籍の「毎日ごよみ」(28ないし51頁)と被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)との間には、その具体的配列において同一性又は類似性は認められない。
 したがって、本件書籍の「毎日ごよみ」(28ないし51頁)と被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「日ごよみ・行事・お祭」(42ないし65頁)は、本件書籍の「毎日ごよみ」(28ないし51頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
キ 「一白水星」ないし「九紫火星」(64ないし225頁)
 原告は、本件書籍の「一白水星」(64ないし81頁)においては、冒頭に各星を赤字の四角で囲み、白抜き文字で「一白水星」と記載し、「一白水星」の星の基本運を掲げ、平成15年の運勢波動の変化と流れの図を掲載し、かつ、その図において、50点の位置に赤線を引き、小吉と小凶の分岐点としており、被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)も同様であるから、被告書籍は、本件書籍の素材の選択及び配列を模倣したものであると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「一白水星」(64ないし81頁)においては、64頁の上段に「一白水星」との表題が付され、その横に「一白水星年盤図」及び「今年の運勢の波動の変化と流れ」と題するグラフが記載され、64頁の下段には、生まれ年と十干・十二支と年齢の対比が記載され、64頁の下段には、平成15年の基本的な運勢が記載され、65頁の上段には、「一白水星」の基本的な運勢が記載され、65頁の下段には、「一白水星」の運勢が仕事運、家庭運、異性運、財運及び健康運に分けて簡潔に記載されている。66頁には、上段に「一白水星方位吉凶の図」及び平成15年の方位の吉凶についての解説が記載され、66頁の下段には、適職が記載されている。67頁には、平成15年の運勢が仕事運、恋愛運、健康運及び建築・移転運に分けて記載されている。68頁には、生まれ年ごとに平成15年の運勢及び運勢に基づく助言が記載されている。69頁には、「一白水星の風水アドバイス」と見出しが付され、「仕事」、「レジャー」、「インテリア」、「お金」、「ケイタイ電話」、「食べ物」、「おしゃれ」、「趣味」及び「化粧・服装」の各項目ごとに運勢及び運勢に基づく助言が記載されている。70ないし81頁には、各日ごとの運勢が記載されている(甲3)。
 被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)においては、74頁の上段に「一白水星」との表題が付され、「運命吉凶図」及びその解説並びに「運勢波動の流れ」の図が記載され、74頁の下段には、生まれ年ごとに平成16年の運勢及び運勢に基づく助言が記載されている。75頁の上段には、「一白水星」の基本的な運勢が記載され、75頁の下段には、「午の一白」、「酉の一白」、「子の一白」及び「卯の一白」と題する記述及び適職が記載されている。76頁の上段には、血液型別の分析が記載され、76頁の下段には、平成16年の基本的な運勢が記載されている。77ないし88頁には、各日ごとの運勢が記載されている(甲4)。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「一白水星」(64ないし81頁)には、平成15年の「一白水星」の運勢が記載されており、同年の「一白水星」の運勢は頂上期とされている(甲3)のに対し、被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)には、平成16年の「一白水星」の運勢が記載されており、同年の一白水星の運勢は困難期とされている(甲4)。そして、これを前提とした本件書籍の「一白水星」(64ないし81頁)の個別の運勢の記述と被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)の個別の運勢の記述とは、全く異なっている。
 また、本件書籍の「一白水星」(64ないし81頁)のうち、65頁の上段には、「一白水星」の基本的な運勢が記載され、65頁の下段には、「一白水星」の運勢が仕事運、家庭運、異性運、財運及び健康運に分けて簡潔に記載され、66頁の下段には、適職が記載されており、これらは、平成15年の運勢に限らない一般的な記述である。被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)においても、75頁の上段には、「一白水星」の基本的な運勢が記載され、75頁の下段には、「午の一白」、「酉の一白」、「子の一白」及び「卯の一白」と題する記述及び適職が記載され、これらは、平成16年の運勢に限らない一般的な記述である。両記述を対比しても、本件書籍と被告書籍との間に同一性又は類似性は認められない。
 このように、本件書籍の「一白水星」(64ないし81頁)と被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)を対比しても、その個々の文章又は図に同一性又は類似性は認められず、本件書籍の「二黒土星」ないし「九紫火星」(82ないし225頁)と被告書籍の「二黒土星」ないし「九紫火星」(89ないし208頁)を対比しても、同様である。
 そして、本件書籍の「一白水星」(64ないし81頁)と被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)とは、その個々の文章又は図に同一性又は類似性が認められないから、素材の選択において同一性又は類似性が全く認められないというべきである。また、上記のような本件書籍の「一白水星」(64ないし81頁)の具体的配列と、被告書籍の「一白水星」(74ないし88頁)の具体的配列を対比しても、その具体的配列において同一性又は類似性があるということはできない。本件書籍の「二黒土星」ないし「九紫火星」(82ないし225頁)と被告書籍の「二黒土星」ないし「九紫火星」(89ないし208頁)を対比しても、同様である。
 したがって、本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(64ないし225頁)と被告書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(74ないし208頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(74ないし208頁)は、本件書籍の「一白水星」ないし「九紫火星」(64ないし225頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
 原告は、冒頭に各星を赤字の四角で囲み、白抜き文字で「一白水星」と記載し、「一白水星」の星の基本運を掲げ、平成15年の運勢波動の変化と流れの図を掲載し、かつ、その図において、50点の位置に赤線を引き、小吉と小凶の分岐点とした点において、被告書籍と本件書籍とは類似すると主張する。
 しかし、冒頭の「一白水星」を赤字の四角で囲み、白抜き文字としたことや、「一白水星」の星の基本運を掲げたことは、作成者の個性が発揮された創作的なものとはいえない。また、「今年の運勢の波動の変化と流れ」と題するグラフも、1年間の各月の運勢を一般的な手法に基づき表現したのみのグラフにすぎず、50点の位置に赤線を引き、小吉と小凶の分岐点としたことも、一般的な手法の域を出ないものであるから、同グラフは、表現上の創作性が認められない部分であるといわざるを得ない。したがって、原告の上記主張は、理由がない。
ク 人相の見かた(226頁)
 原告は、本件書籍の「人相の見かた」(226頁)においては、1頁を上下2段に分け、上段に「人相の見かた」と四角の赤字に白抜き文字で題して、人間の顔を20部位に分類し、人間の顔の図面と部位名を掲記し、さらに各部位の解説並びに性格及び人相の解説を行っており、被告書籍の「人相の見かた」(209頁)も同様であって、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「人相の見かた」(226頁)においては、上段の冒頭には、「人相の見かた」との見出しが付され、上段には、人相についての一般的な解説及び顔の図が記載されるとともに、顔を20の部位に分類した分類項目が注記され、下段には、顔の形についての分析が記載されるとともに、顔の形の図が3種類記載されている(甲3)。
 被告書籍の「人相の見かた」(209頁)においては、冒頭に「人相の見かた」との見出しが付され、上段から下段にかけて人相についての一般的な解説が記載され、上段に顔の図が記載されるとともに、顔を20の部位に分類した分類項目が注記され、下段にその分類項目に関する解説が記載されている(甲4)。
 両書籍を対比すると、本件書籍の人相についての一般的な解説と被告書籍の人相についての一般的な解説とは、全く異なっており、本件書籍には、顔の形の分析がなされているが、被告書籍においては、顔の形の分析はされていない。そして、「人相の見かた」との見出しを白抜き文字で表現したことは、作成者の個性が発揮された創作的なものとはいえないし、顔を20の部位に分類したことは、アイディアにすぎず、表現それ自体ではない部分である。また、顔の分類を顔の図の真下に記載したことは、作成者の個性が発揮された創作的なものとはいえない。かえって、本件書籍には、分類された20の部位についての解説が記載されていないのに対して、被告書籍にはその解説が記載されている。
 以上の対比によれば、本件書籍の「人相の見かた」(226頁)と被告書籍の「人相の見かた」(209頁)との間には、その素材の選択及び配列のいずれについても、同一性又は類似性があるということはできない。
 したがって、本件書籍の「人相の見かた」(226頁)と被告書籍の「人相の見かた」(209頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「人相の見かた」(209頁)は、本件書籍の「人相の見かた」(226頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
ケ 手相の見かた(234、235頁)
 原告は、本件書籍の「手相の見かた」(234、235頁)は、1ページを上下2段に分け、上段に四角い赤地に白抜き文字で「手相の見かた」と題して、「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」、「結婚線」、「健康線」、「手の大小」、「爪の相」及び「指の特性」の10項目を赤字に白抜き文字で掲記し、それぞれの解説を付しており、被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)の素材の選択及び配列は本件書籍と酷似しているから、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「手相の見かた」(234、235頁)においては、234頁の冒頭には、「手相の見かた」との見出しが付され、234頁上段には、手相についての一般的な解説が記載され、234頁上段から235頁にかけては、順に「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」及び「結婚線」についての解説が記載され、234頁下段には、「掌線の名称と位置」と題する図及び「掌の丘(きゅう)の名称と位置」と題する図が記載されている。
 被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)においては、212頁の冒頭に「手相で自分を知る」との見出しが付され、212頁上段には、手相についての一般的な解説及び手相の概略を示した図が記載され、212頁下段から214頁下段にかけては、順に「生命線」、「頭脳線」、「感情線」、「運命線」、「太陽線」、「人気線」、「希望線」、「億万長者線」及び「結婚線」についての解説が記載されるとともに、手の中の各線の位置を示す図が記載され、214頁下段には、「掌に現れる紋様」についての解説が各紋様の図とともに記載されている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「生命線」の解説の(234頁上段)と被告書籍の「生命線」の一般的な解説及び解説の(イ)(212頁下段)、本件書籍の「生命線」の解説の(234頁)と被告書籍の「生命線」の解説の(ハ)(212頁下段)、本件書籍の「頭脳線」の解説の、及びないし(234頁下段ないし235頁上段)と被告書籍の「頭脳線」の解説の(イ)、(ロ)及び(ニ)ないし(ヘ)(212頁下段ないし213頁上段)、本件書籍の「感情線」の解説のないし(235頁)と被告書籍の「感情線」の解説の(ロ)ないし(ト)(213頁)との間には、それぞれ類似性が認められる。
 しかし、本件書籍の手相についての一般的な解説と被告書籍の手相についての一般的な解説、本件書籍の「感情線」についての一般的な解説と被告書籍の「感情線」についての一般的な解説との間には、類似性が認められないし、本件書籍の「運命線」、「太陽線」及び「結婚線」についての解説と被告書籍の「運命線」、「太陽線」及び「結婚線」についての解説とは、全く異なっている。そして、本件書籍の「手相の見かた」(234、235頁)のうち、被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)との間の類似性が認められる部分は、3分の1程度であり、上記のとおり、「運命線」、「太陽線」及び「結婚線」についての解説は全く異なっていることからすれば、被告書籍に接する者が本件書籍?の表現上の本質的な特徴を直接感得することはできないというべきである。さらに、図の有無及び配置についても本件書籍と被告書籍は異なるし、被告書籍には本件書籍?にはない「人気線」、「希望線」、「億万長者線」及び「掌に現れる紋様」についての解説が記載されているから、本件書籍?の「手相の見かた」(234、235頁)と被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)との間には、素材の選択及び配列のいずれについても、同一性又は類似性があるということはできない。
 したがって、本件書籍の「手相の見かた」(234、235頁)と被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「手相で自分を知る」(212ないし214頁)は、本件書籍?の「手相の見かた」(234、235頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
コ 四神相応の図(236頁)
 原告は、被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図が本件書籍の「四神相応の図」(236頁)と酷似し、被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図の素材の選択及び配列は本件書籍と酷似しているから、被告書籍は、本件書籍についての編集著作権を侵害すると主張するので、以下判断する。
 本件書籍の「四神相応の図」(236頁)は、中央に家を描き、家の上側には「北」、「黒」及び「玄武」と記載するとともに、玄武を山とともに描いて説明を付し、家の下側には「南」、「赤」及び「朱雀」と記載するとともに、朱雀を描いて説明を付し、家の右側には「東」、「青」及び「青龍」と記載するとともに、青龍を川とともに描いて説明を付し、家の左側には「西」、「白」及び「白虎」と記載するとともに、白虎を建物とともに描いて説明を付している。
 被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図は、中央に家を描き、家の上側には「北」及び「玄武」と記載するとともに、玄武を山とともに描き、家の下側には「南」及び「朱雀」と記載するとともに、朱雀を描き、家の右側には「東」及び「青龍」と記載するとともに、青龍を川とともに描き、家の左側には「西」及び「白虎」と記載するとともに、白虎を道とともに描いている。
 両書籍を対比すると、本件書籍の「四神相応の図」(236頁)と被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図とは、中央に家を描いたこと、家の上側には「北」及び「玄武」と記載するとともに、玄武を山とともに描いたこと、家の下側には「南」及び「朱雀」と記載するとともに、朱雀を描いたこと、家の右側には「東」及び「青龍」と記載するとともに、青龍を川とともに描いたこと、家の左側には「西」及び「白虎」と記載するとともに、白虎を道とともに描いたことにおいて共通するが、本件書籍の中央の家は2階建てであるのに対し、被告書籍の中央の家は平家建てであるし、本件書籍の玄武、朱雀、青龍及び白虎の絵と被告書籍の玄武、朱雀、青龍及び白虎の絵とは全く異なっており、本件書籍には玄武、朱雀、青龍及び白虎についての説明が付されているのに対し、被告書籍には説明が付されていない。
 以上の対比によれば、本件書籍の「四神相応の図」(236頁)と被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図とは、素材を異にするものであり、素材の選択及び配列のいずれについても、同一性又は類似性があるということはできない。
 したがって、本件書籍の「四神相応の図」(236頁)と被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図との間に同一性又は類似性はなく、被告書籍の「家相・地相」(223頁)の末尾の「四神相応の図」と題する図は、本件書籍の「四神相応の図」(236頁)を複製ないし翻案したものということはできない。
 したがって、上記アないしオの各部分について、原告の有する著作権又は編集著作権が侵害されたとの原告の主張は、理由がなく、本件各書籍について原告が有する著作権又は編集著作権の侵害を理由とする複製等の差止めの請求及び損害賠償請求は、いずれも理由がない。
第4 結論
 以上によれば、原告の本訴請求は、その余の点を判断するまでもなく、いずれも理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第29部
 裁判長裁判官 清水節
 裁判官 山田真紀
 裁判官 東崎賢治


(別紙)書籍目録
1 題号 平成十一年神聖館開運暦
 蔵版 高島易断神聖館
 発行者 G
 発行所 高島易断神聖館 東京総本部
2 題号 平成十二年神聖館開運暦
 蔵版 高島易断神聖館
 発行者 G
 発行所 高島易断神聖館 東京総本部
3 題号 平成十三年神聖館開運暦
 蔵版 高島易断神聖館
 発行者 G
 発行所 株式会社フォーチューン
4 題号 平成十四年神聖館開運暦
 蔵版 高島易断神聖館
 発行者 G
 発行所 株式会社フォーチューン
5 題号 平成十五年神聖館運勢暦
 蔵版 高島易断神聖館
 発行者 G
 発行所 株式会社フォーチューン
6 題号 平成十六年高島本暦
 蔵版 高島易断総本家株式会社
 発行者 高島易断総本家総裁H
 発行所 高島易断総本家株式会社
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