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【事件名】「週刊現代」のプロ野球チームドクター名誉毀損事件 【年月日】平成15年6月16日 神戸地裁 平成13年(ワ)第782号 損害賠償等請求事件 判決 主文 1 被告株式会社講談社は、原告に対し、金200万円及びこれに対する平成13年4月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告株式会社講談社は、原告に対し、別紙1記載の謝罪広告を、同社発行の週刊誌「週刊現代」に、別紙1記載の条件にて1回掲載せよ。 3 原告の被告株式会社講談社に対するその余の請求及び原告の被告Aに対する請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、原告に生じた費用の10分の1と被告株式会社講談社に生じた費用の5分の1を被告株式会社講談社の負担とし、原告及び被告株式会社講談社に生じたその余の費用と被告Aに生じた費用を原告の負担とする。 5 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは、原告に対し、連帯して、金1000万円及びこれに対する平成13年4月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは、原告に対し、週刊誌「週刊現代」に別紙2の謝罪文を掲載して広告せよ。 3 訴訟費用は被告らの負担とする。 5 仮執行宣言 第2 事案の概要 本件は、医師である原告が、主に被告Aの談話形式で構成された平成13年4月9日発売の「週刊現代」(平成13年4月21日号 以下「本誌」という。)の「『ボクはこれで死にかけた・・・』A『球界のクスリ漬け選手を告発する!』」との見出しの下に掲載された記事(別紙3 以下「本件記事」という。)のうち、別紙4記載の記事部分(以下「本件記事部分」という。)により、原告の名誉が毀損されたとして、本誌を発行する被告株式会社講談社(以下「被告講談社」という。)及び本件記事に引用された発言を被告講談社の取材に対して行った被告Aに対し、共同不法行為に基づく損害賠償として、金1000万円及びこれに対する不法行為の日である平成13年4月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払い並びに別紙2記載の謝罪広告の掲載をそれぞれ求めた事案である。 1 争いのない事実等(証拠を掲記した部分以外の事実は、当事者間に争いがない。) (1) 当事者 ア 原告は、昭和59年3月兵庫医科大学卒業後、同大学整形外科等を経て、平成10年2月から平成13年10月まで、中日ドラゴンズチームドクターであった医師である(甲4、25)。 イ 被告講談社は、雑誌及び書籍の出版等を目的とする株式会社であり、週刊誌「週刊現代」を定期的に発刊している。 ウ 被告Aは、横浜高校卒業後、ロッテ球団に入団し、その後、平成8年には、中日球団に移籍して打者として活躍し、平成12年に引退した元プロ野球選手である。 (2) 被告講談社は、平成13年4月1日、被告Aの自宅近くのレストランにおいて、同人に対して取材し(以下「本件取材」という。)、そこでの被告Aの発言内容を基に、平成13年4月9日発売の「週刊現代」平成13年4月21日号(本誌)において、別紙3のとおり、被告Aの談話形式をとった本件記事を掲載した。 2 争点 (1) 被告講談社の原告に対する名誉毀損の成否 ア 本件記事が原告の名誉を毀損するものであるか。 (原告の主張) (ア) 本件記事部分は、中日球団のチーム・アドバイザーである医師のSという40代の女性が、選手らに対し、ステロイド系の注射薬を頻繁に使用し、それが原因で選手に身体的異常が発生している旨の事実を摘示すると共に、見出しにおいて「ボクはこれで死にかけた・・・」と強調することにより、本文記事と相まって、上記Sなる女性がステロイド系の注射薬を使用したことにより、被告Aの生命・身体に重大な危険を与えたとの事実を摘示するものである。 (イ) 本件記事において摘示される「S」なる人物が原告を指すことは、中日球団のみならず他球団関係者、原告の所属する医学界及び原告の知人、友人には顕著である。 (ウ) よって、本件記事により原告の名誉は著しく毀損された。 (被告講談社の主張) (ア) 本件記事は、原告のステロイド系薬剤を使用した施術のみを問題としてこれを告発したものではなく、ステロイド系筋肉増強剤の服用を含めて、被告Aの行ってきたステロイド系の薬剤に浸ったプロ野球生活を例にとって、プロ野球界において選手たちが薬漬けになっている実情を取り上げたものであり、原告の行為によって、選手としての被告Aが死にそうになった、すなわち、同被告の生命・身体に重大な危険を与えたということを記載し伝達したものではない。 確かに、本件記事には、被告Aが「静脈血栓症」に罹患して生命・身体が危殆に瀕した旨の記述箇所が存する(甲1本文34頁3段1行ないし4段7行)。しかし、当該記事の前には、被告Aが自らステロイド系の筋肉増強剤を服用していた旨を摘示し、「静脈血栓症」についても、「こちらは筋肉増強剤の副作用と思われます。」として、ステロイド系筋肉増強剤の服用により生命に危険を生ぜしめる疾病に罹患してしまった事実を読者に伝達しているのであり、原告の施術によって被告Aの生命に危険が生じるような事態が生起した事実は、本件記事のどこにも書かれていない。 原告の施術に関しては、むくみ、肥満などの症状が生じた疑いがあるということを記載しているに過ぎないのであり、原告の治療行為によって被告Aが死にかけたなどということは、本件記事中のどこにも書かれていない。 (イ) 本文内容を要約して紹介した見出しに付せられた「ボクはこれで死にかけた・・・」という副題も、本文中で明示されているとおり、ステロイド系の筋肉増強剤を常用するという被告Aの生活が、生命の危険を生み出したものであることを読者に誤解を生じることなく伝達している。 (ウ) 以上により、本件記事が原告の施術によって被告Aの生命に危険が生じるような内容の記事であることは否認し争う。 ただし、本件記事において、原告が被告Aに対して、頻繁にステロイド系の薬剤を注射したこと及びこれによって被告Aの身体にむくみや肥満の症状が発生したという事実を摘示したことが、原告の社会的評価に触れるものであることは争わない。 イ 本件記事が公共の利害に関する事項について、専ら公共の利益を図る目的をもって企画され公表されたものであるか。 (被告講談社の主張) 本件記事は、被告Aが自身の体験した経口薬及び注射による多量のステロイド系薬剤の摂取とそれによる体調の変調の事実、あるいは同人が現認した訴外のプロ野球選手の薬物使用状況について、その証言するところをそのまま読者に紹介し、もってプロ野球界における危険な薬物に対する親近性や無規制状況を「クスリ漬け」という言葉で批判し、球界の薬物禍として警鐘を鳴らしたものであり、原告のステロイド系薬剤を頻繁に使用した治療行為のあり方のみをことさらに取り上げて批判したものではない。 よって、本件記事は公共の利害に関する事項について、専ら公共の利益を図る目的をもって企画、作成され公表されたものである。 (原告の主張) 争う。 一般読者が本件記事を読めば、「中日球団のチーム・アドバイザーである医師のSという40代の女性が、選手らに対し、ステロイド系の薬剤を頻繁に使用しており、これが原因で選手には身体的異常が発生している。」との印象を持つし、また、見出しにおいて「ボクはこれで死にかけた・・・」と強調することにより、本文記事と相まって「上記Sなる女性のステロイド系の注射薬の使用により、被告Aの生命・身体に重大な危険を与えた」との印象を持つものである。被告講談社の主張するような「球界の薬物禍として警鐘を鳴らした」という印象を一般読者が抱くことはない。 ウ 本件記事の真実性及び真実と信じることの相当性 (被告講談社の主張) (ア) 前記のように、本件記事において、@原告が被告Aに対して、頻繁にステロイド系の薬剤を注射したこと及びAこれによって被告Aの身体にむくみや肥満の症状が発生したという事実を摘示したことが、原告の社会的評価に触れるものであることは争わない。 (イ) しかし、被告Aは、被告講談社からの取材に対して、ステロイド系の薬剤について、被告A自身に一定程度以上の知識があることを述べた上で、女性医師からステロイド系の薬剤を1日3回の頻度で注射されたことを述べていること、原告の依拠するカルテ(甲3)の記載には不自然な点が多いことからすると、@は真実である。 また、Aの事実についても、上記のように、原告は頻繁にステロイド系の薬剤を被告Aに注射していたこと、原告が使用していた副腎皮質ステロイドであるデカドロンについて血栓症を引き起こすような副作用が認められていることは一般的な医学的知見であること、被告Aが本件取材において原告の注射したステロイドによって、足に異常が生じたことを述べていることからすると、真実である。 (ウ) 仮に、上記@、Aの事実が真実ではないとしても、@の事実は、原告の治療を受けて当該治療行為を実際に体験し、原告から説明を受けていた患者である被告Aが、被告講談社の取材に対して、直接体験した事実を発言し、これを受けて被告講談社が確認したものであること、被告Aのようなプロ野球選手は、自身の身体状況や、自身の故障箇所に対する治療内容、その効果、副作用等について、相当な関心と知識を有して対処しているものと考えられ、これに関する被告Aの発言には十分な信用性が認められること、また、原告は被告Aに対して、ステロイド系の薬剤を使用していないときも、使用している薬剤が副腎皮質ステロイドであることを被告Aに説明したことがあり、被告Aが原告に頻繁に注射されていた薬剤が全て副腎皮質ステロイドであると思い込んだことには、やむを得ない事情があったことからすれば、被告講談社が、被告Aの発言内容から@の事実を真実と信じたことについては、まさしく相当な理由があると認められる。 また、Aの事実についても、当該症状の発現自体は真実であり、被告Aがその症状の発現を原告によるステロイド系薬剤の注射の影響であると考え、本件取材においてもその旨の発言をしたこと、上記のように被告Aの発言内容は十分信用するに値すること、本件記事中で引用した日本陸上連盟アンチドーピング委員会委員長のB医師が、副腎皮質ホルモンの服用による副作用として、同種の症状が発現する可能性を述べていることからすると、被告講談社が、被告Aの述べる症状を、頻回にわたるステロイド系薬剤の注射によるものと信じたことについては、相当な理由があると認められる。 (エ) 裏付け取材について 原告は、被告講談社が十分な裏付け取材をしていないと主張するが、週刊現代編集部は、本件取材後、平成13年4月3日及び同月5日に、中日球団の広報部長に対して、取材事実を明示し、原告本人取材の可否も含めてこれを打診して、事実関係の確認を求めている。また、週刊現代編集部は、同月4日、被告Aの主治医であった習志野市内の花輪病院の医師2名に対して取材を行った。しかし、同月5日まで、連絡がなかったために、再び中日球団に原告への取材について打診したが、前向きの回答は得られなかった。そこで、週刊現代編集部は、原告に対する取材をあきらめて、同日記事を作成し校了した。 一般に、プロ野球球団は、その所属メンバーに関する取材に関しては、全て球団広報を通じて行うことを各マスコミに働きかけ、球団を通さない取材に関しては、球場の出入りを禁止する等の制裁を科すことが多く、マスコミとしてはその手続き、段取りについては慎重になっている。本件においても、週刊現代編集部は、球界の取材ルールに基づいて、本件伝達事実について原告本人の取材を試みている。それが叶えられなかったのは、中日球団側の事情に基づくものであり、週刊現代編集部に非はない。 (原告の主張) (ア) 上記@及びAの事実は、いずれも否認する。 @の事実について、原告が被告Aに対してステロイド系の薬剤を注射していたことは認めるが、その回数については、カルテの記載からも明らかなとおり、平成11年に6回(3月15日、4月5日、5月10日、7月20日、7月26日、10月27日)、平成12年に3回(3月4日、4月29日、5月10日)のみである。 また、Aの事実について、そもそもステロイドには「副腎皮質ステロイド」と「蛋白同化ステロイド」があるところ、筋肉増強剤は後者であり、原告はこれを使用したことはない。他方、前者は一般の整形外科の臨床において抗炎症作用を期待して使用されている薬剤である。「副腎皮質ステロイド」の関節内注射、局所内注射は、日本体育協会ドーピングマニュアルにも、治療上必要と医師が判断した場合には、その使用が認められており、決して禁忌ではない。発症以来数十年間使用している患者でも、治療を中止せざるを得ない副作用はほとんど認められていないのである。 しかも、原告は、野球選手に使用する場合は、症例を限定し、著しい炎症を呈している場合に限って使用しており、被告Aに対しても前記のような使用回数であって、これにより、副作用が発生することは考えられない。 (イ) 被告講談社が本件記事内容を真実と信じたことについて相当な理由があるとの主張については否認し争う。 プロ野球選手はあくまでもスポーツ選手であって、専門的な医学的知識をほとんどの場合持ち合わせていない。被告Aも、本件取材において、自分はもとより日本のプロ野球選手は医学的知識に乏しいことを自認しており、被告Aの言を信用したとしても、相当な理由があるとは認められない。 また、本件において、被告講談社は、原告に対して直接裏付け取材を試みるべきであったにもかかわらず、原告に対する裏付け取材はなされていない。 この点、被告講談社は、プロ野球球団に対する取材について規制があったと主張する。しかし、球団がそのような規制をしたとしても、当該個人に対する裏付け取材を欠落させてもよいということにはならない。そもそも、言論機関が記事の対象者に対して裏付け取材を試みることは当然のルールであって、それがなければ当該記事の真実性を担保することはできない。球団が理不尽な規制をするのであれば、被告講談社は、報道機関として断固として争うべきである。 また、被告講談社は、中日球団に対して、裏付け取材を試みたと主張するが、被告講談社の記者が球団に対して連絡をしたのは、本誌発刊の1週間くらい前のことである。その際、同記者は「そちらの嘱託医師が禁止薬物のステロイドを使用している。」と発言し、これに対し同球団側が「そのことが事実であれば由々しきことだ。詳しいことが分かったら教えてほしい。」と答えたところ、同記者は「分かりました。」と確約した。しかるに、その後、被告講談社からは連絡がないまま、突然本誌が発売された。したがって、被告講談社は中日球団に対してすら、十分な裏付け取材を試みていない。 以上のような経緯からすれば、被告講談社が、@及びAの事実を真実と信じたことについて、相当な理由がないことは明らかである。 (2) 被告Aの原告に対する名誉毀損の成否 (原告の主張) ア 本件記事によって原告の名誉が毀損されたことについては、上記(1)ア(原告の主張)記載のとおりである。 イ 被告Aは、平成13年4月1日、被告講談社の取材に対して、自宅近くのレストランにおいて、本件記事の被告A発言部分の内容の発言をしたか、あるいは被告講談社が同部分のように受け取ってもやむを得ないような内容の発言をした。 (被告Aの主張) ア 上記ア(上記(1)ア(原告の主張))のうち、(ア)の事実は認め、(イ)及び(ウ)は否認ないし争う。 イ 上記イにつき、被告Aは、本件記事の被告A発言部分にあるような内容の発言はしていない。 取材の中で、被告Aは、薬物に関して、自らが選手時代に筋肉増強剤を飲用したこと(C選手が使用したものと同じものと言ったがステロイド系とは言っていない。)、中日球団在籍時、アキレス腱に痛みがあり、球団の関係の医師で大学病院の先生(チームドクターではなく何とも不思議な存在の女の人と表現した。)に痛み止めを注射してもらったこと、チームに4人いるトレーナーから、注射してもらった薬がステロイド系の薬剤であることを聞いたことがあり、注射し過ぎると体によくない旨の忠告を受けたこと、被告Aは既に年齢的に野球選手を続けることが難しい年代に入っていたので、選手生活が続けられるのであれば構わないと思い、その女性医師に注射をしてもらったこと、女性医師に注射をしてもらったおかげで選手生命が延びて感謝していること、暴飲暴食をしたこともないのに体重が約6キログラム増えたこと等があり、引退後に主治医に聞いたところ、被告Aが飲用していた筋肉増強剤の副作用である可能性が強いと言われたが、足に注射した薬は関係ないと思われると聞いたことなどを発言したに過ぎない。 ウ 仮に、被告Aが本件記事部分の内容の発言をしたとしても、被告Aは取材された発言について被告講談社がそのとおり記事にするとは考えていなかった。 被告Aは、本件取材において、取材していた週刊現代編集部D記者に対し、球界、中日球団及び原告に迷惑のかからないように対応してほしいこと、記事ができた場合には必ず自分に閲読させて、掲載の了解を得て欲しいことなどについて念を押し、D記者もこれを了解した。 にもかかわらず、被告Aには何の連絡もなく、平成13年4月9日、本件記事を掲載した本誌が発売されたのである。 したがって、本件記事は被告Aの予想外のものであり、同記事が仮に原告の名誉を毀損するものであったとしても、被告Aの想定外のことである。したがって、被告Aには、被告講談社と意思を通じたというような事情もないのであり、被告Aの発言と被告講談社による原告の名誉毀損とは相当因果関係を欠く。 (3) 原告の損害等 (原告の主張) 原告は、本件記事により医師としての社会的信用を失墜させられ、著しい精神的苦痛を受けた。これを慰謝するに足りる慰謝料額は、金1000万円が相当である。 また、原告の名誉を回復し、精神的苦痛を慰謝するには、被告らにおいて週刊誌「週刊現代」に別紙2に記載の謝罪文を掲載して広告するのが相当である。 (被告らの主張) いずれも争う。 第3 争点に対する判断 1 事実認定 前記争いのない事実等に加えて、証拠(甲1、24、25、乙1、3、4、6、丙1、3、原告本人、被告A本人、証人D)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1) 本件取材に至る経緯 平成13年3月22日、名古屋の編集プロダクション「ピー・ヴォイス」から週刊現代編集部に対して、被告Aが金銭的な苦境に陥り、現在失踪中であるとの情報がもたらされた。週刊現代編集部は、かかる情報が真実であれば報道する意義は十分にあると考え、D記者を担当編集者として取材チームを編成した(以下「本件取材班」という。)。 同月25日、D記者が、千葉県船橋市内の被告Aの自宅を訪ねると、被告A本人が在宅していた。そこで、D記者は、被告Aに対して、直接事情を聞き、さらに改めて取材の機会を設けるとの合意を取り付けた。その取材日は当初、同月28日に予定されていたが、被告Aの都合により同年4月1日に変更され、同日、被告Aの自宅近くのレストランで本件取材が実現した。 (2) 本件取材における被告Aの発言内容 同日、被告Aは、本件取材班に対し、別紙5のとおりの発言をした(乙1)。 (3) 取材後、本誌発行に至る経緯 週刊現代編集部は、本件取材において、被告Aのステロイド系の薬物使用が語られたため、これを取り上げることとし、上記「ピー・ヴォイス」を通じて中日球団に対して、原告の治療行為についての取材を開始した。 「ピー・ヴォイス」は、同年4月3日、同球団の広報部に対し、原告に対する取材を申し込んだが、色よい返事が得られなかったため、同球団の当時のE広報部長に対し、原告が禁止薬物のステロイドを使用していることを説明し、原告との取材を申し込んだところ、E広報部長から「原告と連絡を取り、取材が可能であればセッティングする。」との返事を得た。 また、本件取材班は、同月4日、B医師に取材し、ステロイド系薬剤の副作用について説明を受けた(乙4)。さらに、被告Aの主治医であった習志野市内の北習志野花輪病院の医師に対して取材を試みたが、実現しなかった(乙3、丙1、被告A本人)。 「ピー・ヴォイス」は、同月4日及び5日、中日球団広報部からの連絡を待つとともに、「ピー・ヴォイス」からも何度か中日球団広報部に対し電話連絡をしたが、原告に対する取材についての確たる回答は得られなかった。 週刊現代編集部は、原告に対する取材をあきらめ、同月5日記事を作成、校了とした。 本件記事を掲載した本誌は、翌週の月曜日である同月9日に発行された。 2 争点(1)(被告講談社の原告に対する名誉毀損の成否) (1) 争点(1)ア(本件記事部分の名誉毀損性)について ア そもそも、雑誌における特定の記事中の記述が他人の名誉を毀損するものとして不法行為を構成するものであるか否かは、当該記事全体の趣旨、目的等の諸般の事情を総合的に斟酌した上で、一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、その記事の意味内容を解釈した場合、その記事が当該他人の社会的評価を低下させるものといえるかどうかによって判断すべきであって、当該記事が、たとえ精読すれば別個の意味に解されないことはないとしても、上記基準に従って当該記事を解釈した結果、その意味内容が当該他人の名誉を毀損するものと認められる以上、これをもって名誉毀損の記事と解するべきである(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)。 イ 以上を前提として、本件記事がいかなる事実を摘示し、原告の名誉を毀損するものかどうかについて検討する。 この点、確かに、原告が名誉毀損と主張する本件記事部分を文面通り読むと、「S」なる女性医師が、被告Aにステロイド系の痛み止め薬を注射したこと、また、被告Aが自らステロイド系の筋肉増強剤を服用したこと、その結果、被告Aらに、肘が曲がったまま元に戻らなくなる、内臓に障害が生じる、突然太りだす等の症状が発生したことを、被告Aの発言として紹介する形で記載されているにとどまり、それ以上に、「S」の注射によって、被告Aの生命・身体に重大な危険が発生したことが明確に記載されているわけではない。 しかし、名誉毀損による不法行為の成否を検討するにあたっては、前記のように、当該記事全体の趣旨、目的等の諸般の事情を総合的に斟酌した上で、一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、その記事の意味内容を解釈しなければならないところ、週刊誌等の雑誌においては、本文記事のみならず、これに付された見出しも、その記事の全体の趣旨を構成する重要な要素として考慮する必要がある。 そこで、このような観点から本件記事を検討するに、別紙3のとおり、本件記事大見出しは、本件記事34頁及び35頁の見開き中央部分34頁側に、被告A自身の顔写真を掲載の上、その上部に「ボクはこれで死にかけた・・・」と、2段抜きで大きく掲載し、さらに、35頁側には、「球界のクスリ漬け選手を告発する!」と、5段抜きでさらに大きく掲載し、もって、球界にいかがわしい薬物汚染が蔓延しており、被告Aはその使用によって死に至るような重大な事態に陥ったとの印象を一般読者に与えている。また、本文見出しにおいても34頁右上部に2段抜きで「心臓がキュウッと痛みました」と掲載の上、その下に、3段抜きで「『野球が大好きだから、1年でも長くプレーしたい』。そんな悲壮な覚悟からステロイド剤の使用に踏み切ったA。だが、その代償はあまりにも大きかった。現在もステロイドの後遺症に苦しむAが、自らの体験をもとにプロ野球の“薬物汚染”の実情を訴えた。」と掲載し、もって、一般読者に被告Aが薬物によって死に至るような重大な後遺症に苦しんでおり、その原因は「ステロイド剤」であることを強く印象づけている。 また、本文頭書でも、被告Aがステロイド系の筋肉増強剤とステロイド系の痛み止め薬を両方使用していたこと、痛み止め薬の副作用として、体重増加、左足のむくみが発生し、その原因がステロイド系の痛み止め薬にあることがそれぞれ摘示されているが、これに続けて、いずれの副作用かは明らかにしないまま、被告Aにおいて、胸が苦しくなり心臓がキュウッと締め付けられるような痛みが広がったこと、これは「静脈血栓症」であり死に至るおそれがある病気であることが摘示されている。そして、その後になってようやく、これについては筋肉増強剤の副作用と思われる旨の摘示が一言なされているのみである。 かかる文章構成によると、ステロイド系の筋肉増強剤と痛み止め薬の区別が截然となされているとはいえず、ステロイド系の痛み止め薬の副作用が重症化すると静脈血栓症などの危険な病気になるおそれがあるとの誤解を生じるおそれが十分にある。 このように、本件記事は、既に見出し部分及び本文頭書部分において、ステロイド系の痛み止め薬と筋肉増強剤との区別が十分になされておらず、その後を読み進めるならば、一般読者においてステロイド系の薬剤一般が、生命・身体に重大な危険を及ぼす可能性があることを強く印象づけるものとなっている。 とすると、本件記事は、本文において、「S」なる女性医師がステロイド系の痛み止め薬を注射していると記載し、その後、様々な副作用が発生した事実を摘示することにより、見出しや頭書きなどとあいまって、全体として、一般読者に対し、「S」なる女性医師が、被告Aの生命・身体に重大な影響を与えるような危険なステロイド系の薬剤を注射したと理解させる余地が十分にあるといえる。 ウ 次に、本件記事部分における「S」なる女性医師が、原告を指し示すかどうかについて検討するに、証拠(甲2、4ないし15、原告本人)によれば、原告は「中日ドラゴンズチームドクター」との肩書きで学会等各種協議会に参加していること、専門誌においてもその旨の肩書きで複数回にわたって紹介されていることがそれぞれ認められる。とするならば、本件記事部分における、チームアドバイザーである40代の女性医師「S」が原告を示すことは、スポーツ医学に携わる不特定多数の者の間では顕著であるといえる。 エ 以上からすると、本件記事部分の摘示は、本件記事の見出し等と相まって、原告が被告A等に、ステロイド系の薬剤を注射し、もって、被告Aの生命・身体に重大な危険を生じたとの事実を摘示したものであり、これにより、原告の社会的名誉は毀損されたと認められる。 (2) 争点(1)イ(本件記事の公共性及び目的の公益性)について ア 本件記事は、被告Aの談話形式で、現役時代の被告A及びその周辺における薬物の使用状況を報道するものであるところ、プロ野球は国民的人気の高いスポーツであり、プロ野球界における安易な薬物使用は、青少年を含めたスポーツに携わる全ての関係者にも波及しかねない重大な問題であることからすると、本件記事は公共の利害に関する事実と認められる。 イ また、本件記事を掲載した被告講談社の目的についても、本件記事が上記のように公共の利害に関する事実であること、本件記事を精読すると、一応ステロイド系の痛み止め薬と筋肉増強剤は、ある程度区別して記載されていること、34頁及び35頁中央の大見出しも「球界のクスリ漬け選手を告発する!」との文言であり、特定人を批判するものではないこと、本文でも原告を「S」と匿名表記しており、「S」医師を個人的に攻撃したものとは認められないことからすると、本件記事は、一般読者に誤解を与え得る軽率な表現は見受けられるものの、専らプロ野球界における危険な薬物に対する親近性や無規制状況を批判したものと認められ、上記のようなプロ野球界の影響力からすると、専ら公共の利益を図る目的をもって企画され公表されたものと認められる。 (3) 争点(1)ウのうち本件記事の真実性について ア 被告講談社は、本件記事において摘示した、@原告が被告Aに対して、頻繁にステロイド系の薬剤を注射したこと及びAこれによって被告Aの身体にむくみや肥満の症状が発生したという事実が真実であると主張するから、以下この点について検討する。 なお、本件記事は前記のように、一般読者をして、原告の被告Aに対するステロイド系の薬剤の注射により、被告Aの生命・身体に重大な危険が生じたと理解させる内容のものと認められることからすると、真実性の立証も、これに対応したものでなければならず、上記@及びAの事実のみでは、真実性の立証対象としては必ずしも十分でない。しかしながら、上記@及びAの事実について真実性の立証がなされた場合には、記事全体についての違法性が減少する余地があり得るから、以下、この点を検討する。 イ 上記@の事実について 前記認定のとおり、確かに被告Aは本件取材において、「だって、ぼく何十本どころか1日に3回ぐらい打った。練習前に打って、試合前に打って、試合が終わって帰るときに打って。」と発言したことが認められる(別紙5参照)。しかし、原告が被告Aの診察について記録していたカルテ(甲3)には、原告が被告Aに頻繁にステロイド系の薬剤を注射した旨の記載はないこと(同カルテによると、ステロイド系の痛み止め薬の注射回数は、平成11年に6回、平成12年に3回であること、ステロイド系以外の痛み止め薬の注射回数は、平成11年に12回、平成12年に11回であること、そのうち、原告がステロイド系の痛み止め薬と説明した上で、それを使用していない場合が2回あることがそれぞれ記載されているのみである。)、被告Aは、本人尋問において「確か試合中と最後試合後にも打っていただいたと思うんですけど。」と述べるものの、注射箇所については「同じ箇所でなかったのかも知れない。」などと述べ、また、薬剤の内容についても「何の薬だったのかというのは、僕はちょっと分からないですけれど。」などと述べるなど、曖昧な発言をしていることからすると、上記被告Aの発言のみを もって、原告が被告Aに頻繁にステロイド系の痛み止め薬を注射したという@の事実を真実と認めることはできず、その外にこれを認めるに足りる証拠はない。 もっとも、被告講談社は、カルテ(甲3)の記載自体に不自然な点があると主張するところ、複数回にわたって同様の薬剤処方をする場合に、処方方法に番号を付することは見受けられないわけではないし、また、カルテの記載がやや整然とし過ぎるきらいは認められるものの、そのことがカルテの信用性を失わせるほどのものとは認められない。 ウ 上記のように@の事実が真実と認められない以上、同事実を前提とするAの事実の真実性について検討するまでもなく、この点に関する被告講談社の主張は認められない。 (4) 争点(1)ウのうち本件記事を真実と信じたことの相当性について ア 被告講談社は、上記@及びAの事実が真実ではないとしても、これらを真実と信じたことについて相当の理由があると主張するので、以下検討する。 イ 被告講談社は、@及びAの事実を真実と信じたことの理由として、まず、本件取材における被告Aの発言が信用するに足りるものであることを主張する。 確かに、被告Aは自らが経験した事実について発言しているのであるから、これに一定の信用性を認めることはできるとしても、別紙5の本件取材における発言内容に照らせば、その治療効果、副作用等につき十分な医学的知識を持ち、これを理解したうえで原告から治療を受けていたものとは認め難い。そうとすれば、本件取材における原告から受けた治療内容及び副作用等に関する被告Aの発言内容に、裏付け取材を不要とするほどの信用性があるものとは認められない。 ウ そこで次に、被告講談社の裏付け取材の程度、内容についてみるに、被告講談社は、原告に対する直接取材について、中日球団に取材を申し込んだが、同球団がこれに対応しなかったために実現しなかったと主張する。 しかしながら、前記認定のとおり、被告講談社は、原告や中日球団に対する取材については、専ら編集プロダクション「ピー・ヴォイス」に任せきりにしており、D記者は中日球団に対して何らの裏付け取材も試みていないこと、「ピー・ヴォイス」が中日球団に取材を申し込んだのは4月3日であるところ、本件取材班は、その2日後の同月5日には、同球団から何らの対応もないとして、一方的に本件記事を校了しているのであって、同球団に対して取材対応についての十分な時間的余裕を与えていないこと、本件記事の内容からして、報道の緊急性が求められるものではないこと、他誌に先行報道される可能性についても、これは専ら報道機関側の利益に関するものであって、これをもって裏付け取材を軽視してもよい理由にはならないことからすると、本件において、原告に対する直接取材をしなかったことに相当な理由があるとは認められない。 確かに、被告講談社はB医師に対して、ステロイド系の痛み止め薬の副作用について取材をし、北習志野花輪病院にも取材を試み、D記者自身も、本件記事の作成過程でステロイド系の薬剤について一定の知識を得ていたと認められる。しかし、薬剤による副作用を具体的に論じるにあたっては、当該薬剤の投与期間、回数及び投与量等、その投薬内容を子細に検討することが必須の前提といってよく、この点の裏付け取材は不可欠というべきである。 特に、本件では、被告Aは本件取材において、投薬内容についてステロイド系の薬剤であることは知っているが具体的な投薬内容については分からない旨答えており、投与量に至っては何ら発言しておらず、また、ステロイド系の痛み止め薬と被告Aに発現した症状との因果関係については分からない旨の発言もしていることからすると、当然、これらの点についての裏付け取材が必要であったと認められる。 以上のとおり、被告講談社は、被告Aに対するステロイド系薬剤の投薬による副作用を論ずるにあたって、その必須の前提となる投薬期間、回数、投薬量といった投薬内容について、安易に被告Aの本件取材における発言のみに依拠して、必要な裏付け取材を行わなかったのであるから、前記@及びAの事実を信じたことについて相当な理由があるとは認められない。 (5) 小括 そうすると、本件記事部分が原告の社会的評価を毀損するものであることが認められ、他方、本件記事部分が真実であること及び真実と認めるに足りる相当な理由があることのいずれも認められないのであるから、原告に対する名誉毀損による不法行為が成立する。 3 争点(2)(被告Aの原告に対する名誉毀損の成否)について (1) 本件記事部分が、原告の名誉を毀損するものであることについては、前記2(1)争点(1)アのとおりである。 (2) しかしながら、被告Aは報道機関ではなく、情報提供者であるから、被告講談社の責任と同列に論じることはできない。報道機関により公表された記事による名誉毀損が問題とされる場合、その情報提供者に対して不法行為責任を問うためには、当該情報提供者に故意または過失を要するとともに、その情報提供と名誉毀損との間に相当因果関係が認められることを要すると解すべきである。 そして、一般に雑誌記事の編集権はその報道機関が独占的に有するものであり、情報提供者としても報道機関によって裏付けがなされることを期待することが通常であるから、報道機関の取材を受けた者がその取材に対応して、何らかの発言をした場合でも、公的機関による公式の記者会見を通じた情報提供の場合を除けば、報道機関による裏付け取材や独自の編集作業による情報の取捨選択等の過程を経て記事が作成されるのが通常であり、被取材者としても、その発言内容がそのままの形で雑誌に掲載されるとは予見していないのが通常である。そうすると、仮に被取材者が、取材側の報道機関に対して第三者の社会的評価を低下させるような発言をした事実があっても、その発言を取材資料として編集された記事の公表によって生じた第三者の社会的評価の低下との間には、原則として相当因果関係が欠けると解するのが相当である。情報提供と名誉毀損との間に相当因果関係が認められるのは、報道機関の取材を受けた者が、取材における自らの発言をそのまま雑誌へ掲載することについて、あらかじめ報道機関と意思を通じた上で、第三者の社会的評価を低下させる内容の発言をしたというような特段の事情が認められる場合に限られるというべきである。 (3) 本件についてみるに、本件取材における被告Aの発言内容は前記認定のとおりであるところ(別紙5参照)、被告Aは、原告の実名を明かさず、「チーム付きのドクター」、「ちゃんとした大学病院の先生」、「何とも言えない不思議な存在の女の人」などと述べているに過ぎないこと、女性医師による注射と被告Aに生じた種々の副作用との因果関係については、トレーナー等からの伝聞の形式で発言するか、または、分からない旨答えていること、本件記事34頁及び35頁中央に配された大見出し部分の発言もしていないことからすると、本件記事は見出しも含めて、必ずしも被告Aの発言をそのまま引用したものではなく、被告講談社において、被告Aの発言に一定の脚色を加えたものと認められる。 また、D記者は、本件取材において、被告Aに対し、プロ野球生活全般について振り返ってほしいと依頼し(被告A本人、証人D)、これを受けて、被告Aはステロイド系の薬剤使用以外にも、日本のプロ野球界の抱える問題点や、トレーニング方法等、様々な事項について意見を述べており、薬剤の使用に関する供述は、そのうちの一部に過ぎないことが認められる(乙1)。 以上の事実からすると、本件において、被告Aが、取材における自らの発言をそのまま雑誌へ掲載することについて、あらかじめ出版社と意思を通じた上で、原告の社会的評価を低下させる内容の発言をしたとは到底認められない。 よって、被告Aの発言と本件記事による原告の名誉毀損との間に相当因果関係を認めることはできない。 (4) 以上より、その余について判断するまでもなく、原告の被告Aに対する請求については、理由がない。 4 争点(3)(損害等)について (1) 損害額について 被告講談社による名誉毀損に基づく精神的苦痛を慰謝するに足りる損害額を検討するに、本誌発行当時の「週刊現代」の実売部数は約80万部弱であること(証人D)、本誌の販売促進のために電車等の中吊り広告として、本件記事見出し部分が掲載されたこと(被告A本人)、原告が公人ではなく私人であること、本誌発行により原告に対する講演依頼が途絶えるなど、原告の医師としての業務遂行に多大な支障を来したこと(原告本人)がそれぞれ認められるが、他方、本件記事において原告は「S」と匿名表記されており、原告の顔写真等も掲載されていないこと(甲1)、前記のように、本件記事は専ら公益目的で掲載されたものであること、本件記事本文を精読すると、原告の投与したステロイド系の痛み止め薬と被告Aが自ら服用した筋肉増強剤とは、ある程度区別して記載されているとも読めること、被告講談社が本誌発行前に甚だ不十分ながら一応の裏付け取材を試みていることがそれぞれ認められる。 そこで、以上の諸事情に、後記のとおり、本件では被告講談社に謝罪広告が命ぜられることを併せ考慮するならば、本件記事部分によって原告が被った精神的苦痛を慰謝するための慰謝料としては、金200万円を認めるのが相当である。 (2) 謝罪広告について 本件により、原告は週刊誌というマスメディアによって名誉を毀損されたのであり、原告はこれにより上記のごとく業務遂行に支障をきたすなど金銭的解決では回復されない損害を被ったことをも考慮すると、別紙1の謝罪文を被告講談社発行の週刊誌「週刊現代」に、別紙1の条件において1回掲載することを命ずるのが相当である。 5 結論 以上のとおりであるから、原告の本訴請求は、主文1、2項の限度で理由があるからこれを認容することとし、その余はいずれも理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 なお、主文2、4項の仮執行宣言については、相当でないから付さないこととする。 神戸地方裁判所第4民事部 裁判長裁判官 上田昭典 裁判官 太田敬司 裁判官 北岡裕章 |
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