判例全文 | ||
【事件名】ホームページ無断掲載事件(SEO.COM) 【年月日】平成15年5月29日 大阪地裁 平成15年(ワ)第2797号 著作権侵害差止等請求事件 (口頭弁論終結日 平成15年4月30日) 判決 原告 A 訴訟代理人弁護士 伊原友己 同 加古尊温 被告 株式会社ネットワークジャパン 主文 1 被告は、その運営するウェブ・サイト内のウェブページから別紙目録その1ないし26記載の各文章を削除せよ。 2 被告は、原告に対し、金300万円及びこれに対する平成15年3月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 4 この判決は、仮に執行することができる。 事実及び理由 原告は、主文第1ないし第3項と同旨の判決及び仮執行宣言を求め、別紙のとおり請求原因を述べた。 被告は、適式の呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しないから、請求原因事実を明らかに争わないものと認め、これを自白したものとみなす。 上記の事実によれば、原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を、仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官 小松一雄 裁判官 中平健 裁判官 大濱寿美 請求原因 1 当事者 (1) 原告は、SEO(Search Engine Optimization、「検索エンジン最適化」)に関するコンサルティング、ウェブデザイン制作などを業とする者である。 (2) 被告は、インターネットプレゼンス業務、インターネットホスティングサービス業務、システムインテグレーションサービス業務などを業とする、アメリカ合衆国デラウェア州株式会社法に基づいて設立され、同州に本店を有する株式会社である。 2 原告の著作権等 原告は、「アクセスアップのためのSEOロボット型検索エンジン最適化」と題する書籍(平成14年(2002年)10月10日第1版第1刷発行、発行所エーアイ出版株式会社。以下「原告書籍」という。)の著作者及び著作権者であり、また、原告が開設・運営する「SEO検索エンジン最適化」と題するウェブ・サイト(HTTP://www.searchengineoptimization.jp。以下「原告サイト」という。原告サイトに掲載された各文章表記等も含む。)の著作者及び著作権者である。 3 被告の行為 (1) 被告は、「@SEO.COM検索エンジン最適化」と題するウェブ・サイト(HTTP://www.at-seo.com。以下「被告サイト」という。)を開設・運営し、別紙目録その1ないし26記載の各文章(以下「本件被告文章」という。)を被告サイト内の各ウェブページ上に掲載(すなわち、サーバーに当該ウェブページデータをアップロードし、公衆においてアクセス可能に)している。本件被告文章が掲載される被告サイト内の各ウェブページ上には、原告の氏名は表示されていない。 (2)@ 被告サイト内に掲載された本件被告文章のうち、別紙目録その1に記載された文書は、原告書籍(138頁ないし139頁)に記載された文章(別紙対照表の対照番号bP記載の文章)と同一であり、別紙目録その2ないし26に記載された文書は、それぞれ、原告サイト内の各ウェブページに記載された文章(別紙対照表の対照番号bQないし26記載の文章)と同一である。 A したがって、本件被告文章は、原告書籍及び原告サイトに依拠し、これを複製したものであり、これを被告サイトに掲載することは、原告が原告書籍及び原告サイトについて有する複製権を侵害する。 また、本件被告文章を被告サイトに掲載することは、原告が原告書籍及び原告サイトについて有する公衆送信権(送信可能化権)を侵害する。 さらに、被告が、原告の氏名を表示せずに本件被告文章を被告サイトに掲載することは、原告が原告書籍及び原告サイトについて有する氏名表示権を侵害する。 (3) 被告は、故意に、原告の複製権、公衆送信権、氏名表示権を侵害した。 4 損害 (1) 原告が原告書籍及び原告サイトについて有する氏名表示権を侵害されたことに対する慰謝料としては200万円が相当である。 (2) 原告は、被告に対し、平成15年2月19日付けの警告書(同月20日、被告に到達した。)を送付し、善処を求めるとともに同月28日までに被告の対応について回答するよう求めたが、何らの応答もなかった。そのため、原告は、弁護士に本訴提起を委任せざるを得なかったものであり、100万円の弁護士費用相当額の損害を被った。 (3) したがって、原告が被った損害の合計額は300万円である。 5 結論 よって、原告は、被告に対し、原告書籍及び原告サイトについて有する複製権、公衆送信権、氏名表示権に基づき、被告サイト内のウェブページから別紙目録その1ないし26記載の各文章の削除を求めるとともに、損害賠償として金300万円及びこれに対する不法行為の後である平成15年3月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 |
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