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【事件名】ショルダーバッグの不正競争事件 【年月日】平成13年1月30日 東京地裁 平成11年(ワ)第22096号 不正競争防止法に基づく差止等請求事件 (口頭弁論終結日 平成一二年一一月二八日) 判決 原告 株式会社レジャープロダクツ 右代表者代表取締役 【A】 右訴訟代理人弁護士 永井均 被告 優美社産業株式会社 右代表者代表取締役 【B】 被告 株式会社サザン 右代表者代表取締役 【C】 右両名訴訟代理人弁護士 木村圭二郎 同 籠池信宏 同 野村高志 同 阿部秀一郎 主文 一 被告優美社産業株式会社は、別紙被告商品目録(一)及び(二)記載の商品を輸入又は譲渡してはならない。 二 被告株式会社サザンは、別紙被告商品目録(二)記載の商品を輸入又は譲渡してはならない。 三 被告優美社産業株式会社は、原告に対し、金三五三万三五六五円及びこの内金三三七万八七四六円については平成一一年一〇月一三日から、金六万九〇八四円については同年一一月三〇日から、金七万九六八六円については平成一二年一月三一日から、金六〇四九円については同年三月三一日からいずれも支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 四 被告株式会社サザンは、原告に対し、金四三万六六八八円及びこの内金四三万〇六四〇円については平成一一年一〇月一三日から、金六〇四八円については平成一二年三月三一日からいずれも支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 五 原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 六 訴訟費用は、これを八分し、その五を原告の負担とし、その二を被告優美社産業株式会社の負担とし、その余を被告株式会社サザンの負担とする。 七 この判決は、第三項及び第四項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第一 請求 一 被告優美社産業株式会社は、別紙被告商品目録(一)及び(二)記載の商品を輸入、譲渡又は引き渡してはならない。 二 被告株式会社サザンは、別紙被告商品目録(二)記載の商品を輸入、譲渡又は引き渡してはならない。 三 被告優美社産業株式会社は、原告に対し、金一八四〇万円及びこれに対する平成一一年一〇月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 四 被告株式会社サザンは、原告に対し、金六六四万円及びこれに対する平成一一年一〇月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第二 事案の概要 本件は、原告が被告らに対し、被告らが輸入、販売している別紙被告商品目録(一)及び(二)記載の小型ショルダーバッグ(以下それぞれ「被告商品(一)」「被告商品(二)」といい、これらを併せて「被告商品」という。)の形態が、原告の販売している別紙原告商品目録記載の小型ショルダーバッグ(以下「原告商品」という。)の形態を模倣したもので、被告らの行為は不正競争防止法二条一項三号に定める不正競争行為に該当すると主張して、その輸入、譲渡又は引渡しの差止め及び損害賠償の支払を求めた事案である。 一 争いのない事実等(認定事実には証拠を掲げる。) 1 原告は、バッグ、カバン及び袋物の輸入、製造及び販売を業とする株式会社であり、被告優美社産業株式会社(以下「被告優美社」という。)は、バッグ、カバン、袋物等の製造及び販売を業とする株式会社である(弁論の全趣旨)。 2 原告は、平成一〇年三月から、原告商品を販売している(弁論の全趣旨)。 3 被告優美社は、平成一一年三月ころから、被告商品を、同社の中華人民共和国(以下「中国」という。)所在の提携工場で製造し、被告商品(一)を卸売し、被告商品(二)を被告サザンに販売している(乙第七六ないし第七八号証、弁論の全趣旨)。 4 被告株式会社サザン(以下「被告サザン」という。)は、平成一一年三月ころから、被告商品(二)を卸売している(乙第七六号証、弁論の全趣旨)。 5(一) 原告商品の形態は、以下のとおりである(争いのない事実、甲第一号証、検甲第一号証)。 (1) 原告商品は、別紙原告商品目録添付図面Aー1ないし6記載のとおりの形状であり、大きく前室と後室の二つに分かれる。 @ 前室には、上部から前面にかぶせる形状の上蓋(先端部分に縦一一cm、横一五cmのプラスチック製の中板入り)が付いており、それを下部のワンタッチ・プラスチックバックルで開閉する。上蓋の下から約四分の一のところに切り替えがあり、そこに右バックルが縫い込まれている。上蓋の左端には、表面に「MANHATTAN PASSAGE.」、裏面に「NEWYORKCITY. N.Y. U.S.A.」と記載された赤色の布地が縫い付けられている。《図Aー1(a)・同(b)》。 A 上蓋を開けた前室表面には、開放式のポケットでペン差し(二本)とメモ帳入れが付いている《図Aー2》。 B 前室内部(前記Aの前室表面の裏側)は、四面の収納ケースで構成されている。 ア 前室のコの字型に取り付けたジッパーを開けると、一番前面は左に展開し、左端に下から上に閉めるジッパーが付いており、このジッパーで開閉するメッシュポケットがある《図Aー3》。 イ 二番目には透明の大型マップケースが二つ折りにして付いており、それを右に展開すると内側に入口がある《図Aー3》。 ウ 三番目には、オーガナイザーパネル部分の目隠し蓋としての機能を兼ねた、V字型に開く収納ケースがあり、オーガナイザーパネル部分とマジックテープで接合する構造になっている。蓋の表面には上部に引き手が付いている。蓋の裏側の上端にはマジックテープが、その下にはポケットが付いており、下端部分には、落下による紛失防止のための三角布(メッシュ)があってオーガナイザーパネル部分と縫合されている《図Aー4(a)》。 エ 前室最奥部はオーガナイザーパネルとして、上端にマジックテープが付いており、その下にパスポート専用ポケットと、ID・各種カード用ポケットが八段あり、一段目は透明フィルムポケットで、他の七段は非透明のポケットとなっている。カード用ポケットの右側にも縦長のメッシュポケットが付いている《図Aー4(b)》。 C 上部のみジッパーで開閉する後室は、間仕切りなく一室になっており、上部左側に取り外し自在なキーホルダーが装着されている《図Aー5》。 D バッグ背面上部にはベルトを通すためのベルトループが付いている。《図Aー6》。 (2) 寸法は、縦が約二二cm、横が約一五・五cm、奥行が約七cm(前室約三cm、後室約四cm)である。 (3) 原告商品の素材は、表面が高防水性二一〇デニールナイロンリップストップ、裏面が撥水性七〇デニールナイロンタフタで、中間にPUフォームを内蔵する三層複合ファブリック構造である。 (4) 原告商品には黒色とグレーオーク色の二色がある。 (二) 被告商品(一)の形態は以下のとおりである(争いのない事実、甲第二号証、乙第六五、第六六号証、検甲第二号証、検乙第一、第四、第五号証)。 (1) 被告商品(一)は、別紙被告商品目録(一)添付図面Bー1ないし6記載のとおりの形状であり、大きく前室と後室の二つに分かれる。 @ 前室には、上部から前面にかぶせる形状の上蓋(先端部分に縦一一cm、横一五cmのプラスチック製の中板入り)が付いており、それを下部のワンタッチ・プラスチックバックルで開閉する。上蓋の下から約四分の一のところに切り替えがあり、そこに右バックルが縫い込まれている。上蓋表面には、ジッパー付きポケットが付いている《図Bー1(a)・同(b)》。 A 上蓋を開けた前室表面には、開放式のポケットが付いているが、ペン差し用の区分はなく、単に中央で二つに分かれている《図Bー2》。 B 前室内部(前記Aの前室表面の裏側)は、四面の収納ケースで構成されている。 ア 前室のコの字型に取り付けたジッパーを開けると、一番前面は左に展開し、左端に下から上に閉めるジッパーが付いており、このジッパーで開閉する透明のポケットがある《図Bー3》。 イ 二番目には透明の大型マップケースが二つ折りにして付いており、それを右に展開すると内側に入口がある《図Bー3》。 三番目には、オーガナイザーパネル部分の目隠し蓋としての機能を兼ねた、V字型に開く収納ケースがあり、オーガナイザーパネル部分とマジックテープで接合する構造になっている。蓋の表面には上部に引き手が付いている。蓋の裏側の上端にはマジックテープが、その下にはポケットが付いており、下端部分には、落下による紛失防止のための三角布があってオーガナイザーパネル部分と縫合されている《図Bー4(a)》。 エ 前室最奥部はオーガナイザーパネルとして、上端にマジックテープが付いており、その下にパスポート専用ポケットと、ID・各種カード用ポケットが八段あり、一段目は透明フィルムポケットで、他の七段は非透明のポケットとなっている。カード用ポケットの右側にも縦長のポケットが付いている《図Bー4(b)》。 C 上部のみジッパーで開閉する後室は、間仕切りなく一室になっており、上部左側に取り外し自在なキーホルダーが装着されている《図Bー5》。 D バッグ背面上部にはベルトを通すためのベルトループが付いている。また、バッグ背面には、スナップボタンで止めるポケットが設けられている《図Bー6》。 (2) 寸法は、縦が約二二cm、横が約一五・五cm、奥行が約七cm(前室約三cm、後室約四cm)である。 (3) 被告商品(一)の素材は、表面が高防水性二一〇デニールナイロンリップストップ、裏面が撥水性七〇デニールナイロンタフタで、中間にPUフォームを内蔵する三層複合ファブリック構造である。 (4) 被告商品(一)には黒色、白色、ベージュ色及びカーキ色の四色がある。 (三) 被告商品(二)の形態は、以下のとおりである(争いのない事実、甲第三号証、乙第六七ないし第六九号証、検甲第三号証、検乙第六ないし第八号証)。 (1) 被告商品(二)は、別紙被告商品目録(二)添付図面Cー1ないし6記載のとおりの形状であり、上蓋の右端に、「bitch」と記載された黒色の布地が縫い付けられていること、上蓋表面に設けられたポケットのジッパーの引き手が「bitch」等と記載された長方形の合成皮革であること、他のジッパーの引き手が「bitch」と記載された金属であることを除く商品の形状、寸法、素材はすべて被告商品(一)と同じである。 (2) 被告商品(二)には、黒色、茶色、ベージュ色及びカーキ色の四色がある。 6 原告商品と被告商品は、その形状について、次の相違点を有する(以下、各相違点を「相違点@」又は「相違点A」という。)。 @ 被告商品の上蓋表面には、斜めにジッパーが付いたポケットが設けられているが、原告商品にはこのポケットがない。 A 被告商品の背面には、スナップボタンで止めるポケットが設けられているが、原告商品にはこのポケットがない。 二 争点 1 原告が、原告商品に関して、不正競争防止法二条一項三号所定の不正競争行為について、差止め又は損害賠償を請求し得るか。 2 被告商品の形態が、原告商品の形態を模倣したものであるか。 3 原告商品の形態は、同種の商品が通常有する形態であるか。 4 損害の発生及び額 三 争点に関する当事者の主張 1 争点1について 【被告らの主張】 (一) 不正競争防止法二条一項三号所定の不正競争行為につき、差止め又は損害賠償を請求し得る者は、形態模倣の対象とされた商品を、自ら開発、商品化して市場に置いた者に限られる。 原告商品については、その商品説明書(乙第二号証)、広告文(乙第五五号証の三、第五六号証)及び添付書類(乙第三号証)の記載内容からすると、原告とキッフェ社との間で、同社が開発した商品として販売する旨の合意があるものと推認される。そうすると、原告商品を商品化する権利はキッフェ社に属し、原告は下請として原告商品を製造したにすぎないことになるから、原告が右請求の主体となる余地はない。 (二) 仮に、原告商品が原告によって開発、商品化され、かつ、中国で製造されたものであるとすると、原告が、別紙表示目録5のように「マンハッタンパッセージ」という標章の保有者をキッフェ社と表示したこと、添付書類(乙第三号証)に原告を総輸入代理店と記載するなどして原告商品を米国で製造されたものと表示したこと及び原告商品の内容について、キッフェ社が一八七五年の設立以来、ミリタリー仕様商品について高い名声を得ている旨の表示をしたことは、不正競争防止法二条一項一二号所定の不正競争行為(原産地誤認表示、品質誤認表示)となる。 不正競争防止法は、事業者間の公正な競争の確保を目的とするものであるから、自ら不正競争行為を行っている原告が、同法に基づく保護を求めることは、クリーンハンズの原則及び信義則に照らして認められない。 【原告の主張】 (一) 原告商品の開発は、最初の着想から最終的なデザインの決定、商品化に至るまですべて原告によって行われたものであり、キッフェ社が開発したものではない。原告商品のシリーズ商品の説明書(乙第一号証)にも、原告の名称が末尾に記されている。 したがって、原告は、原告商品に関して、不正競争防止法二条一項三号所定の不正競争行為につき、差止め又は損害賠償を請求し得る。 (二) 原告商品の商品説明書(乙第二号証)の記載は、原告商品を米国と日本の両市場で販売するため、販売政策上提携関係にあるキッフェ社の名前を前面に出したにすぎない。 被告らが不正競争行為と主張している表示行為は、原告の本件請求とは関係ない。 2 争点2について 【原告の主張】 (一) 被告商品は、原告商品の最も特徴的な形状である四面の収納ケースとその収納部位の構成を模倣したのを始め、形状、寸法、素材のすべてについて原告商品と酷似しており、原告商品のデッド・コピーである。 確かに、原告商品と被告商品との間には、相違点@及びAが存するものの、これらはいずれも新規性、独自性のない安易な付加にすぎないから、原告商品の形態と被告商品の形態は実質的に同一といえる。 (二) 被告商品は、各部位ごとに、縫い代を含む縫製前の布地寸法まで原告商品とほぼ一致しており、被告らが原告商品を解体、採寸して模倣したことは明らかである。 (三) なお、バッグの形態として、収納部と外観は一体である。すなわち、物を収納するというバッグの性質上、内側の収納構造は、商品の形態を構成する重要な要素となる。 【被告らの主張】 (一) 不正競争防止法二条一項三号にいう「模倣」とは、既に存在する他人の商品の形態をまねて、これと同一又は実質的に同一の形態の商品を作り出すことであり、これらの商品がいわゆる「デッド・コピー」といわれる程酷似していることを要する。 (二) 原告商品と被告商品は、相違点@及びAという、外観上明白な差異を有しており、形態よりも機能性やブランドイメージが重視され、市場の成熟したアウトドア用の小型携帯小物入れとしては十分な差別化が図られている。 特に、相違点@は、商品の顔ともいうべき上蓋部分に設けられた一見して明らかな特徴的形態であり、この形態によって被告商品のファッション性は高められ、同種商品とのデザイン上の差別化が図られると同時に、コの字型のジッパーを開閉することなく小物を容易に出し入れできるように創意工夫されている。 (三) 原告商品の形状の特徴のうち、外観上の特徴である@前室に、上部から前面にかぶせる形状の上蓋が付いており、それを下部のワンタッチ・プラスチックバックルで開閉する形状及びAバッグ背面上部にベルトを通すためのベルトループが付いており、ウエストバッグとしても使用できる形状であること以外のものは、いずれも商品の内部構造に関するもので、外観上認識できないものか、機能的特性やアイディアにすぎないから、「商品の形態」には該当しない。 仮に、それらの内部の形状が「商品の形態」に該当するとしても、原告商品の形態全体からすると瑣末な点であるから、それらの模倣を商品全体の模倣と評価することはできない。 (四) また、原告商品には、黒色とグレーオーク色の二色しかなく、白色の被告商品(一)との相異は明らかである。 (五) 以上のとおり、原告商品と被告商品は酷似しているとはいえず、それらの形態が同一又は実質的に同一ではないから、被告商品が原告商品の形態を模倣したものとはいえない。 3 争点3について 【被告らの主張】 (一) 原告商品の外観上の特徴は、前記2【被告らの主張】(二)で述べた@及びAであるところ、これらは同種商品が同じく採用しているありふれた形態であるから、原告商品の形態は、「同種商品が通常有する形態」というべきである。 (二) 原告商品のようなアウトドア用の小型携帯小物入れの寸法は、用途や機能から必然的に画一化されるものであり、原告商品の寸法も、同種商品の寸法と大差なく、なんら特異性がない。 アウトドア用の小型携帯小物入れにおいては、その用途から耐水性・撥水性及び衝撃吸収性が重視されるから、原告商品の素材も、同種商品の素材と比べてなんら特異性がない。 (三) 以上によると、原告商品の形状、寸法及び素材は、いずれも没個性的であって、原告商品の形態は「同種商品が通常有する形態」に当たる。 【原告の主張】 前記2【原告の主張】(三)で述べたとおり、内側の収納構造は、商品の形態を構成する重要な要素となる。 四面の収納ケースとその収納部位の構成は、原告が試作・改良を重ねて漸くできあがったものであり、決してありふれた形態ではない。また、原告商品の素材についても、薄いPUフォームを内蔵した三層複合素材を用いたのは原告商品が最初であってありふれたものではない。 4 争点4について 【原告の主張】 (一) 被告優美社は、被告商品(一)を一個当たり八八〇円の卸値で、少なくとも一万個を販売しているところ、同商品の一個当たりの原価は四五〇円以内であり、販売管理費は売上高の一〇パーセント程度であるから、同商品の販売によって被告優美社が得た利益は三四二万円となる。 また、被告優美社は、被告商品(二)を一個当たり一八三三円の卸値で、少なくとも一〇〇〇個を販売しているところ、同商品の一個当たりの原価は五五〇円以内であり、販売管理費は売上高の一〇パーセント程度であるから、同商品の販売によって被告優美社が得た利益は一一〇万円となる。 したがって、被告優美社は、被告商品の販売によって合計四五二万円の利益を得たから、原告は右同額の損害を被ったものと推定される。 (二) 被告サザンは、被告商品(二)を一個当たり二二二三円の卸値で、少なくとも一〇〇〇個を販売しているところ、同商品の一個当たりの仕入れ値は一八三三円であり、販売管理費は売上高の五パーセント程度であるから、同商品の販売によって被告サザンが得た利益は二七万九〇〇〇円となる。 したがって、原告は、右同額の損害を被ったものと推定される。 (三) 原告は、被告らが行った悪質な模倣行為によって、原告商品の開発のために費やした労苦を無にされた上、ブランドイメージを傷つけられ、精神的苦痛を受けた。これを慰藉する金額は、二〇〇万円を下らない。 (四) 原告は、本件に関し、弁護士費用として二〇〇万円を支払う旨を約しており、右同額の損害を被った。 (五) よって、原告は、被告優美社に対し、前記推定に基づく損害金として一四九〇万円(当初主張金額)、慰藉料として二〇〇万円及び弁護士費用のうち一五〇万円の合計一八四〇万円、被告サザンに対し、前記推定に基づく損害金として六一四万円(当初主張金額)及び弁護士費用のうち五〇万円の合計六六四万円並びにこれらに対する平成一一年一〇月一三日から各支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。 【被告らの主張】 (一) 損害額に関する原告の主張を争う。 (二) 原告は、原告商品及びその説明書等に別紙表示目録1ないし6記載の表示(以下、各表示を「本件表示1」等といい、本件表示1ないし6を併せて「本件表示」という。)をしているところ、本件表示は、「Manhattan」「NewYork NY」という米国の著名な地名を包含し、又は、「KIFFE USA」という米国の会社を商品主体として表示していることから、原産地を誤認させる表示であって、不正競争防止法二条一項一二号及び関税法七一条一項に該当する。 したがって、原告商品は、前記関税法の規定により、そのままの状態では日本国内に輸入できず、また、不正競争行為として販売が許されない商品である。 そうすると、原告には、原告商品の適法な販売が可能であることを前提とする逸失利益が発生する余地がないから、不正競争防止法五条一項を適用する基礎を欠くことになり、同条項の推定に基づく損害金の請求は失当である。 第三 当裁判所の判断 一 争点1について 1 不正競争防止法二条一項三号は、資金と労力を投下して開発し、商品化した商品の形態を安易な模倣から守ることで、開発者の利益を保護した規定であるから、同号所定の不正競争行為につき、差止め又は損害賠償を請求し得るのは、形態模倣の対象とされた商品を自ら開発、商品化して市場に置いた者である。 2 そこで、本件において、原告が原告商品を自ら開発、商品化して市場に置いた者といえるか否かについて以下検討する。 (一) 確かに、証拠(乙第二、第三号証、第五五号証の三、第五六号証)によると、原告商品の説明書、添付書類及び広告の中で、原告を「Dealer in Japan」(日本の特約店)と表示したり、「総輸入代理店」と表示していること、原告商品を「アメリカ・キフィー社とのライセンス契約により韓国で生産されたものです。」とか、「中国製〈アメリカ・マンハッタンパッセージ社〉」と広告していることがそれぞれ認められる。 (二) しかしながら、証拠(甲第四号証の1ないし16、第五ないし第八号証)によると、原告商品は、平成九年一〇月から平成一〇年二月にかけて、原告の社員らによって試作と改良を繰り返して開発、商品化されたこと、キッフェ社は原告商品の開発に関与していないことがそれぞれ認められ、原告とキッフェ社との間で、原告がキッフェ社から原告商品の開発を請け負ったというような事情を認めるに足りる証拠もないから、原告は、資金と労力を投下して原告商品を開発、商品化して市場に置いた者であると認められる。 原告が行った表示のうちに右(一)認定のような表示があったことは、資金と労力を投下して原告商品を開発、商品化して市場に置いた者は原告であるとの右認定を覆すに足りるものではない。 3 よって、原告は、原告商品に関して、不正競争防止法二条一項三号所定の不正競争行為につき、差止め又は損害賠償を請求し得る。 4 なお、被告らは、原告商品が原告によって開発、商品化され、かつ、中国で製造されたとすると、原告が原告商品及びその説明書等に本件表示等を付した行為は、不正競争防止法二条一項一二号所定の不正競争行為に該当するから、自ら不正競争行為を行っている原告が、同法に基づく保護を求めることは、クリーンハンズの原則及び信義則に照らして認められない旨主張する。 原告が不正競争防止法二条一項一二号所定の不正競争行為を行ったとしても、その不正競争行為については、被告らは、別途差止めや損害賠償の請求をもって対処し得るのであり(乙第八一号証によると、現に被告優美社は原告に対して訴えを提起して、そのような請求をしているものと認められる。)から、原告自身に不正競争行為があったからといって直ちに不正競争防止法二条一項三号所定の不正競争行為につき、原告が差止め又は損害賠償を請求することが許されないとまでいうことはできない。 二 争点2について 1 不正競争防止法二条一項三号にいう「模倣」とは、他人の商品の形態をまねて、その商品と同一又は実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいい、双方の商品を対比して観察したときに、形態が同一であるか又は実質的に同一といえる程に酷似していることを要する。すなわち、同号は、他人の商品の形態をそのまま模倣するような行為を禁止することによって商品開発のために資金や労力を投下した者を保護する一方で、模倣一般を禁止したのでは、自由な競争や産業の健全な発展を阻害することにもなりかねないため、他人が資本や労力を投下した成果を他に選択肢があるにもかかわらず、ことさら模倣する、いわゆるデッドコピーに限って不正競争行為としたものと解される。 2 そこで、原告商品と被告商品が実質的に同一といえる程に酷似しているか否かについて以下検討する。 (一) 前記第二の一5(争いのない事実等)(一)ないし(三)の事実と前記第二の一6の事実(争いのない事実等)を総合すると、原告商品と被告商品について次のようにいうことができる。 (1) 原告商品と被告商品とは、次の点がいずれも共通している。 @ 大きく前室と後室に分かれ、前室には、上部から前面にかぶせる形状の上蓋(先端部分に縦一一cm、横一五cmのプラスチック製の中板入り)が付いており、それを下部のワンタッチ・プラスチックバックルで開閉すること。 上蓋の下から約四分の一のところに切り替えがあり、そこに右バックルが縫い込まれていること。 右バックルの形状。 A 上蓋を開けた前室表面に、開放式のポケットが付いていること。 B 前室内部(前記Aの前室表面の裏側)が、四面の収納ケースで構成されていること。 ア 前室のコの字型に取り付けたジッパーを開けると、一番前面は左に展開し、左端に下から上に閉めるジッパーが付いており、このジッパーで開閉するポケットがあること。 イ 二番目には透明の大型マップケースが二つ折りにして付いており、それを右に展開すると内側に入口があること。 ウ 三番目には、オーガナイザーパネル部分の目隠し蓋としての機能を兼ねた、V字型に開く収納ケースがあり、オーガナイザーパネル部分とマジックテープで接合する構造になっていること。 蓋の表面の上部に引き手が付いていること。 蓋の裏側の上端にはマジックテープが、その下にはポケットが付いており、下端部分には、落下による紛失防止のための三角布があってオーガナイザーパネル部分と縫合されていること。 エ 前室最奥部はオーガナイザーパネルとして、上端にマジックテープが付いており、その下にパスポート専用ポケットと、ID・各種カード用ポケットが八段あり、一段目は透明フィルムポケットで、他の七段は非透明のポケットとなっていること。 カード用ポケットの右側にも縦長のポケットが付いていること。 C 上部のみジッパーで開閉する後室は、間仕切りなく一室になっており、上部左側に取り外し自在なキーホルダーが装着されていること。 D バッグ背面上部にはベルトを通すためのベルトループが付いていること。 E 寸法及び材質 (2) 他方、原告商品と被告商品とは、次の点で相違している。 @ 被告商品の上蓋表面には、斜めにジッパーが付いたポケットが設けられているが、原告商品にはこのポケットがないこと。 A 被告商品の背面には、スナップボタンで止めるポケットが設けられているが、原告商品にはこのポケットがないこと。 B 原告商品と被告商品はいずれも上蓋を開けた前室表面に、開放式のポケットが設けられているが、このポケットが、原告商品ではペン差し(二本)とメモ帳入れになっているのに対し、被告商品ではペン差し用の区分がなく、単に中央で二つに分かれていること。 C 原告商品では、前室内部の一番前面に設けられたジッパー開閉式のポケット、前室内部三番目の収納ケース下端の三角布、前室最奥部右側の縦長のポケットに、いずれもメッシュ生地を用いているのに対し、被告商品では透明フィルムやナイロン生地を用いていること。 D 原告商品では、上蓋の左端に、表面に「MANHATTAN PASSAGE.」、裏面に「NEWYORKCITY. N.Y. U.S.A.」と記載された赤色の布地が縫い付けられているのに対し、被告商品(一)では、上蓋に布は縫い付けられておらず、被告商品(二)では、上蓋の右端に、「bitch」と記載された黒色の布地が縫い付けられていること。 E 後室内部に装着されたキーホルダーの形状。 F 被告商品(二)については、ジッパーの引き手が合成皮革又は金属であること。 G 原告商品の色は黒色とグレーオーク色の二色であるのに対し、被告商品(一)の色は黒色、白色、ベージュ色及びカーキ色の四色、被告商品(二)の色は黒色、茶色、ベージュ色及びカーキ色の四色であること。 (二) 前記第二の一5(争いのない事実等)の事実に後記三2認定の事実と弁論の全趣旨を総合すると、原告商品の形態において、最も特徴的な点は、前室内部が、左右前後に展開する四面の収納ケースとなっており、各面ごとに、右第二の一5(一)認定のとおり形状の異なる収納部分の構成となっていることであり、他には、その前室と、前室より若干奥行が大きく間仕切りのない後室の二つからなっていること、前室にかぶせる形状の上蓋が付いていることが、原告商品の形態の主な特徴となっているものと認められる。 そして、右(一)(1)で認定した原告商品と被告商品の共通点は、右のとおり原告商品の形態の特徴となっている部分に関するものであると認められる。また、原告商品と被告商品では、寸法及び材質が一致している。 これに対し、右(一)(2)で認定した原告商品と被告商品の相違点のうち、被告商品に存する上蓋表面のポケット及び背面のポケット(@及びA)は、外側表面にあるものではあるが、いわば原告商品の形態に付加されたものにすぎないと評価できるうえ、これらが特に目立つということもない。その余の形状の相違点(BないしF)は、些細なものであり、商品全体の形態からすると有意な相異とはいい難い。 さらに、原告商品と被告商品では、色が必ずしも同じでないが、右のとおり、形状、寸法及び材質が共通していることからすると、色の違いは、同一性の判断に影響するとはいえない。 以上によると、原告商品と被告商品の形態は実質的に同一といえる程に酷似しているということができる。 (三) この点について、被告らは、原告商品の内部の形状については、商品の内部構造にすぎず、外観上認識できないか、機能的特性やアイディアをいうものであるから、商品の形態には当たらないと主張する。 しかしながら、原告商品は、ジッパー等を開き、内部を展開させて各収納場所に、それぞれ適した物を収納するためのバッグであって、取引に当たっては、ジッパー等を開いて確認するなどして、内部の形状にも着目して取引されるものと推認されるから、内部の形状についても、商品の形態に当たるというべきである。 3 以上の事実に弁論の全趣旨を総合すると、被告商品は、原告商品の形態を模倣したものと認められる。 三 争点3について 1 被告らは、原告商品の形態について、外表面のみを商品の形態と捉えて同種商品が通常有する形態であると主張するが、内部の形状も商品の形態に当たることは前記二で述べたとおりである。 2 証拠(甲第一三号証の1、2、第一四ないし第一七号証、乙第四号証の1ないし10、第五及び第六号証の各1ないし7、第七ないし第九号証の各1ないし8、第一〇号証の1ないし7、第一一号証ないし第一六号証の各1ないし8、第一七号証の1ないし11、第一八及び第一九号証の各1ないし8、第二〇号証の1ないし10、第二一号証の1ないし11、第二二号証の1ないし8、第二三号証の1ないし9、第二四及び第二五号証の各1ないし8、第三二及び第三三号証の各2、第四三号証の2、第五四号証の1ないし10)と弁論の全趣旨によると、原告商品と同種商品である小型ショルダーバッグにおいて、原告が原告商品の模倣品であるとして警告し、すでに販売を中止した二社の商品を除き、原告商品のような左右前後に展開する四面の収納ケースの形態を有する商品は存在しないことが認められる。 3 以上によると、原告商品の形態は、同種商品が同じく採用しているありふれた形態ということはできないから、原告商品は、旅行用小型ショルダーバッグとして通常有する形態ではないと認められる。 四 争点4について 1 原告は、被告らの不正競争行為によって被った損害として、被告らが右行為によって得た利益に相当する金額の賠償を請求しているので、右金額について、以下検討する。 (一) 被告優美社が平成一一年三月から平成一二年一月までの間に被告商品(一)を一個当たり八八〇円で八一七八個(返品分を除く)販売したこと、被告サザンが平成一一年三月から平成一二年三月までの間に被告商品(二)を一個当たり一八三三円で六六八個(返品分を除く)販売したことについては、いずれも被告らにおいて自認しているところ、被告らがこれらを超える商品を販売したことを認めるに足りる証拠はない。 (二) また、原告は、被告商品(一)の原価を四五〇円、被告商品(二)の原価を五五〇円と主張し、被告らはこれを争わない。 (三) 証拠(乙第七五、第七九号証)によると、被告優美社の第三六期(平成一〇年五月一日から平成一一年四月三〇日まで)の決算報告書では、売上高七八億八二三八万八六七四円に対する販売費及び一般管理費一九億一〇九〇万七六四三円の割合が二四・二四パーセントとなっていることが認められる。 しかしながら、前述のとおり、被告商品は、原告商品を模倣したものであること及び乙第七六号証によると、被告商品の販売期間は一年足らずで、そのうち最初の三か月間で大多数を販売しているものと認められることからすると、右割合が被告商品についてそのまま妥当するとは考えられない。 また、被告商品(二)は、被告らの二社を経由している点において、被告商品(一)よりも、被告らにおいて要した販売費及び一般管理費の額は、高いものと推認される。 そうすると、被告らにおける販売費及び一般管理費として、被告商品(一)については売上高の一〇パーセント、被告商品(二)については売上高の一五パーセントを控除するのが相当である。 (四) 以上によると、被告優美社が被告商品(一)について得た利益の額は、次のとおり、売上高から原価と販売費及び一般管理費を控除した二七九万六八七六円と認められる。 {880−450−(880×0.10)}×8,178 = 2,796,876 被告らが被告商品(二)について得た利益の額についても同様に計算すると、六七万三三七七円(一円未満四捨五入)と認められるところ、被告らがそれぞれ得た利益の割合については、これを具体的に認めるに足りる証拠がないので、二分の一ずつとし、被告優美社につき三三万六六八九円、被告サザンにつき三三万六六八八円と認める。 {1,833−550−(1,833×0.15)}×668 = 673,377 2 被告らは、原告商品は原産地を誤認させる表示がされているため、関税法七一条一項によって日本国内への輸入が許されず、また、不正競争防止法二条一項一二号によって販売が許されないため、原告には、原告商品の適法な販売が可能であることを前提とする逸失利益が発生する余地がないから、同法五条一項の推定を適用する基礎を欠く旨主張する。 そこで検討するに、証拠(乙第一、第二号証、検甲第一号証)と弁論の全趣旨によると、原告商品には本件表示1及び3が記載されたシリーズ商品の説明書(乙第一号証)と本件表示2、3(大文字で表記されたもの)及び5が記載された商品説明書(乙第二号証)がそれぞれ取り付けられていること、原告商品の内側には本件表示4のタグが付されていること、原告商品には本件表示6Aが表面に、@が裏面にそれぞれ大文字で記された細いネームが付されていること、以上の事実が認められる。 そして、原告商品に、他に同商品の真正な原産地を明示する表示があると認めるに足りる証拠はないから、本件表示のうち本件表示6Aを除く表示については、関税法七一条一項及び不正競争防止法二条一項一二号にいう原産地誤認表示に該当するものと認められる。ただし、本件表示6Aについては、証拠(乙第一号証)によると、原告の商品名であると認識されると認められるから、原産地誤認表示に該当するとは認められない。 以上のとおり関税法に違反するものであるとすると、原告は、原告商品をそのままの形で輸入することは許されなかったものと認められる。しかしながら、弁論の全趣旨によると、原告商品は現実には輸入を許可されて輸入されているものと認められること、関税法違反の事実があったとしても、現実に輸入を許可されて輸入された場合に直ちに何らかの私法上の効果を生じるとはいえないこと、原告としてもそのままの形で輸入できないとなれば、説明書を外すなり原産地を明示するなりして違法状態を容易に解消することができたと考えられること、以上の諸点に鑑みると、関税法違反の事実から直ちに原告に逸失利益が発生する余地がないとまでいうことはできない。 また、以上のとおり不正競争防止法二条一項一二号の不正競争行為にも該当するのであるが、弁論の全趣旨によると、原告は被告らが被告商品を販売していた期間原告商品を販売しており、その販売を差し止められていたわけではないと認められること、差止めが問題となれば、原告としても違法状態を容易に解消できたと考えられること、以上の諸点に鑑みると、やはり原告に逸失利益が発生する余地がないとまでいうことはできない。 したがって、不正競争防止法五条一項の適用がないとする被告らの主張は採用できない。 よって、被告商品の販売によって被告らが得た利益額は、同条項により、被告らの不正競争行為によって原告が被った損害の額と推定される。 3 次に、原告は、被告優美社の模倣行為によって受けた精神的苦痛に対する慰藉料の支払を請求するが、原告は、法人であるから、被告優美社の右行為によって精神的損害が生じる余地はない。また、原告の右請求を被告優美社の不正競争行為によって原告の信用が毀損されたことによる無形損害の賠償を求める趣旨と解したとしても、原告商品のブランドイメージは、前述のとおり原産地誤認表示に当たる本件表示によって形成された面が存すると考えられるうえ、被告優美社の不正競争行為によって原告の信用が毀損されたことを具体的に認めるに足りる証拠はないから、不正競争行為によって原告が被った無形損害の賠償を認めることはできない。 4 また、本件において、原告が被告らに対して訴訟を追行するに当たり、弁護士を代理人としたことは当裁判所に顕著な事実であるところ、本件の事案の内容、訴訟経過、認容額等の諸般の事情を勘案すると、被告らの不正競争行為と相当因果関係を有する損害として認められる弁護士費用としては、被告優美社につき四〇万円、被告サザンにつき一〇万円とするのが相当である。 5 以上によると、原告が被告らの不正競争行為によって被った損害の金額は、被告優美社につき三五三万三五六五円、被告サザンにつき四三万六六八八円となる。 そして、乙第七六号証によると、被告らは、本件訴状送達の日の翌日である平成一一年一〇月一三日以降にも、被告商品(一)について同年一一月に二〇二個、平成一二年一月に二三三個(同年二月及び三月の返品分を控除した個数)を、被告商品(二)について同年三月に一二個を販売したことが認められる。 したがって、原告の損害賠償請求は、被告優美社につき三五三万三五六五円及びこの内三三七万八七四六円については平成一一年一〇月一三日から、六万九〇八四円については同年一一月三〇日から、七万九六八六円については平成一二年一月三一日から、六〇四九円については同年三月三一日からいずれも支払済みまで、被告サザンにつき四三万六六八八円及びこの内四三万〇六四〇円については平成一一年一〇月一三日から、六〇四八円については平成一二年三月三一日からいずれも支払済みまで、それぞれ民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 五 以上述べたところからすると、原告が、被告優美社に対して、被告商品の輸入又は譲渡をすることの差止めを求める請求、被告サザンに対して、被告商品(二)の輸入又は譲渡をすることの差止めを求める請求は、いずれも理由がある。 また、原告が、被告らに対して、被告商品の引渡しをすることの差止めを求める請求は、不正競争防止法二条一項三号所定の不正競争行為に、他人の商品の形態を模倣した商品を引き渡す行為を含まないので、いずれも理由がない。 六 以上の次第で、原告の本訴請求は、主文掲記の限度で理由があるから、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第四七部 裁判長裁判官 森義之 裁判官 岡口基一 裁判官 男澤聡子 別紙 被告商品目録(一) 添付図面(B−1〜6) 別紙 被告商品目録(二) 添付図面(C−1〜6) 別紙 原告商品目録 添付図面(A−1〜6) 別紙 表示目録1〜6 |
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