判例全文 | ![]() |
|
![]() |
【事件名】海賊版CD・ビデオテープの複製・販売事件(刑) 【年月日】平成9年6月27日 東京地裁 平成9年特(わ)第796号、同2095号 著作権法違反被告事件 平成9年6月27日宣告 裁判所書記官 倉石直一 判決 本店所在地 東京都(以下住所略) 有限会社シーディーコレクター (右代表者取締役 K・T) 本籍 同(以下住所略) 住居 同(以下住所略) 無職 M・N 昭和26年(以下略)生 本籍 山口市(以下住所略) 住居 千葉県(以下住所略) 無職 A・T 昭和43年(以下略)生 主文 被告会社有限会社シーディーコレクターを罰金50万円に、被告人M・Nを懲役10月に、被告人A・Tを懲役5月にそれぞれ処する。 被告人M・N及び被告人A・Tに対し、この裁判確定の日から3年間それぞれの刑の執行を猶予する。 被告会社有限会社シーディーコレクターから、警視庁赤坂警察署で保管中のビデオテープ合計40本(平成9年東地庁外領第2954号符108号ないし符115号、符139号ないし符149号、符152号ないし符160号、符162号ないし符167号、符169号ないし符174号)を没収する。 被告会社有限会社シーディーコレクター及び被告人M・Nについて生じた訴訟費用は、その2分の1ずつを右各被告人の負担とする。 理由 (犯罪事実) 被告会社有限会社シーディーコレクターは、東京都(以下住所略)に本店を置き、同所に「ディスクロックプレイス」の名称で店舗を設け、輸入レコード等の小売販売等を目的とするもの、被告人Nは、同社の実質的経営者であり、右「ディスクロックプレイス」の業務全般を統括するもの、被告人Tは、同店舗において、輸入ビデオテープ等の小売販売等の業務に従事するものであるが、被告人両名は、共謀の上、被告会社の業務に関し、法定の除外事由がないのに 第一 平成9年1月24日、前記店舗において、Ta・Yoに対し、実演家であるデビッド・ボウイことデビッド・アール・ジョーンズが、平成7年11月中旬ごろグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国において行った実演を同人の許諾なく収録した上複製して作成されたものであることの情を知りながら、「DAVID BOWIE/WHAT A FANTASTIC DEATH!108min.」と題するビデオ録画テープ1本を代金2700円で販売して頒布し、もって、デビッド・ボウイの著作隣接権を侵害し 第二 平成9年2月17日、前記店舗において、デビッド・ボウイが、別表一記載の番号1ないし7のとおり、平成2年5月16日から平成8年7月18日までの間、日本国ほか5ヵ国において行った各実演を同人の許諾なく収録した上複製して作成されたものであることの情を知りながら、「DAVID BOWIE JAPAN 90」などと題するビデオ録画テープ合計34本を頒布の目的で所持し、もって、デビッド・ボウイの右別表記載の各実演の著作隣接権を侵害し 第三 平成8年11月7日、前記店舗において、H・Tに対し、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国の実演家であるケイト・ブッシュが昭和54年11月7日ころ及び同月8日ころ(同国標準時)同国において行った実演を同女の許諾なく収録した上複製して作成されたものであることの情を知りながら「KATE BUSH BBC X'MAS SHOW'79(50)No0930」と題するビデオ録画テープ1本を販売価格2800円で販売して頒布し、もって、ケイト・ブッシュの著作隣接権を侵害し 第四 平成9年2月17日、前記店舗において 一 実演家であるケイト・ブッシュが昭和54年11月7日ころ及び同月8日ころ(グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国標準時)同国において行った実演を同女の許諾なく収録した上複製して作成されたものであることの情を知りながら「KATE BUSH BBC X'MAS SHOW'79(50)No0930」と題するビデオ録画テープ合計3本を 二 別表2記載の番号1ないし10のとおり,グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国の法人であるイーエムアイ・レコーズ・リミテッドが著作権を有する映画の著作物である「Running Up That Hill」、「Hounds Of Love」ほか8点の作品を同社の許諾なく収録した上複製して作成されたものであることの情を知りながら「KATE BUSH/THE SENSUAL WORLD 44min.」などと題するビデオ録画テープ合計3本を いずれも頒布の目的で所持し、もって、ケイト・ブッシュの著作隣接権及びイーエムアイ・レコーズ・リミテッドの右別表記載の各著作物の著作権を侵害したものである。 (証拠) (括弧内の甲乙の番号は、証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。) 判示事実全部について 1 被告人両名及び被告会社代表者K・Tの各公判供述 2 被告人Nの検察官調書(乙2) 3 被告人Tの警察官調書(乙5)、検察官調書三通(乙6ないし8) 4 K・Tの検察官調書(乙10) 5 H・Fの検察官調書二通(甲39、40) 6 T・Tの警察官調書(甲26) 7 S・M(甲36)、M・K(甲37)、J・I(甲38)、E・N(3通・甲41ないし43)、Ka・Na(甲45)の各警察官調書 8 捜査報告書2通(甲27、44) 9 写真撮影報告書2通(甲25、76) 10 捜索差押調書謄本(甲49) 11 実況見分調書(甲24) 12 履歴事項全部証明書(乙11) 判示第一、第二の各事実について 13 Ta・Yoの検察官調書4通(甲14ないし17) 14 T・S(甲28)、K・Y(甲29)、M・M(甲30)、To・Og(甲31)、N・Y(2通・甲32、33)、Ky・Nk(甲34)、Te・Yk(甲35)の各警察官調書 15 Y・S(甲6)、Ta・Yo(甲13)の各上申書 16 捜査関係事項照会回答書3通(甲8、10、19) 17 捜査報告書5通(甲11、12、21ないし23) 18 写真撮影報告書(甲20) 判示第3、第4の1および第4の2の各事実について 19 被告人N(乙12)、同T(乙13)の各検察官調書 20 H・T(甲52)、N・Y(甲71)、A・T(甲72)、Sa・Ya(甲73)、M・H(甲74)の各警察官調書 21 Tu・Ok(甲56)、Sh・Yu(甲57)、H・S(3通・甲60、66、67)の各上申書 22 捜査報告書6通(甲51、58、59、61、70、75) 23 写真撮影報告書(甲62) 24 捜査関係事項照会回答書2通(甲65、69) (適用法令) 一 罰条 1 被告会社について 第一ないし第四の二の各行為 平成8年法律第117号による改正前の著作権法(以下「改正前の著作権法」という。)119条1号、113条1項2号、124条1項(第二については、別表1の番号1ないし7の各実演ごとに。第四の二については、別表2の番号1ないし10の各著作物ごとに) 2 被告人N、同Tについて 第一ないし第四の二の各行為 刑法60条、改正前の著作権法119条1号、113条1項2号(第二については、別表1の番号1ないし7の各実演ごとに。第四の二については、別表2の番号1ないし10の各著作物ごとに) 3 被告会社及び各被告人の第一の行為と第二の別表1の番号3の行為、第三の行為と第四の一の行為は、それぞれ同一の著作隣接権に係るものであるから、著作隣接権ごとに包括して各1個の罪が成立する。 二 科刑上一罪の処理 被告会社及び各被告人の判示の各罪について 刑法54条1項前段、10条(以上を1罪として、犯情の最も重い第三及び第四の一の罪の刑で処断) 三 刑種の選択 各被告人について 懲役刑を選択 四 刑の執行猶予 各被告人について 刑法25条1項 五 没収 刑法19条1項1号、2項本文 六 訴訟費用の負担 被告会社及び被告人Nについて 刑訴法181条1項本文 (量刑の理由) 一 本件は、被告人らが、被告会社の業務に関して、外国の実演家の実演等を無断で収録、複製して作成したブートレック商品といわれる海賊版のビデオテープを頒布するなどして、右実演家等の著作隣接権等を侵害した事案である。 二 被告会社及び被告人らは、東京都内西新宿の店舗において、かねて営業として、違法な海賊版商品のCDやビデオテープを仕入れて販売し、途中からは、仕入れた商品を更にダビングして販売し、売り上げを伸ばしてきていたものである。特に、最近、国の内外において、著作権や著作隣接権の保護が強く叫ばれていることを考え合わせると、本件の犯情は悪質である。 被告人Nは、オウム真理教団の信者であったが、収益を上げて教団へのお布施とするために被告会社を実質的に経営し、違法な業務を続けていたものであり、その刑責は軽視できない。 被告人Tは、同教団の縁で被告会社の従業員となり、給料をもらいながら、被告人Nの下で海賊版商品の複製、販売等に当たっていたものであり、その刑責も軽いとはいえない。 しかし、他方、被告人両名及び被告会社の代表者は、本件公訴事実を認めて争わず、今後このような行為はしないと述べて反省の態度を示していること、被告人Nには、業務上過失傷害罪による罰金前科1犯があるほかは、前科がないこと、被告人Tには、前科がないことなど被告人両名及び被告会社に有利な事情もある。 三 このような事情を総合考慮し、主文のとおり判決する。 (公判出席検察官 藤川浩司) 平成9年6月27日 東京地方裁判所刑事第3部 |
![]() 日本ユニ著作権センター http://jucc.sakura.ne.jp/ |