判例全文 line
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【事件名】日経新聞要約翻案・コムライン事件
【年月日】平成6年2月18日
 東京地裁 平成4年(ワ)第2085号 著作権侵害差止請求事件

判決
原告 株式会社日本経済新聞社
右代表者代表取締役 X
右訴訟代理人弁護士 光石忠敬
同 光石俊郎
被告 コムラインインターナショナル株式会社
右代表者代表取締役 Y
右訴訟代理人弁護士 角山一俊
同 志知俊秀
同 松尾祐美子


主文
1 被告は、原告に対し、金9900円及びこれに対する平成5年3月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
 この判決は仮に執行することができる。

事実
第1 当事者の求めた裁判
一 原告
 主文同旨。
二 被告
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第2 請求原因
一1 原告は、日刊新聞の発行等を目的とし、日刊新聞である「日本経済新聞」、「日経産業新聞」、「日経金融新聞」や週3回刊行される「日経流通新聞」(以下、これを総称して「日経新聞等」ということがある。)を発行する株式会社である。
2 被告は、コンピューター通信網による情報提供サービス及び各種情報の収集、処理並びに販売等を目的として、昭和62年12月23日に設立された株式会社であるが、定期購読サービスとして、オンライン、ファクシミリ、印刷物による「コムライン・デイリーニュース」、印刷物による「コムライン・インダストリアルリポート」、ファクシミリ、印刷物による「トウキョウ・ファイナンシャル・ワイア」及び「コムネット」名のオンライン・サービスを行っている。
二1 原告の従業員である新聞記者は、原告の発意に基づき、その職務上、別紙対比目録左欄の「1 本件著作物中の各記事」欄(1)ないし(11)記載の日付けの直前頃、同記載の各新聞記事を創作し(以下「原告記事(1)」、「原告記事(2)」などといい、これらを総称して「原告記事」ということがある。)、原告は、原告の著作名義により右各新聞記事を各日付けの各新聞に掲載することにより公表し、原告記事の著作権を取得した。
2 右新聞記事は、いずれも事実の伝達にすぎない雑報や時事の報道に止まるものではなく、その盛り込む事項の選択、報道事実や論理の展開の仕方、文章表現等に創作性が認められる著作物である。
三1 被告は、別紙対比目録右欄上段、「2対象文書中の各記事」欄に記載の文章(以下、「被告文章(1)」、「被告文章(2)」などといい、これらを総称して「被告文章」ということがある。)を作成し、右を定期購読サービスとして、コムライン・デイリーニュース(オンライン、ファクシミリ、印刷物)、コムライン・インダストリアルリポート(印刷物)、トウキョウ・ファイナンシャル・ワイア(ファクシミリ、印刷物)及びコムネット名のオンライン・サービス等によりこれを頒布し、有線送信した。
2 被告は、被告文章の作成に当たり、原告に無断で、原告記事を要約し、英語に翻訳した。
3 被告は、原告記事のうち、創作性のある部分を捨象して、事実そのものを要約していると主張している。
 しかし新聞記者は「生の事実」に迫ろうとして調査、取材活動をするが、その結果、見出しを付して選択、配列、作成される新聞記事は「生の事実」そのものではない。新聞記事は、取材記者、編集記者が「生の事実」に肉薄しようとして、選択し、自らの言葉や表現、論理によって切り取り、報道価値の重みを付け加えた文章表現である。新聞の報道記事のほとんどは、その中に盛り込む事項の選択、記事や論理の展開の仕方、文章表現等に創作性がある。事実の伝達にすぎない雑報や時事の報道を除く新聞記事は、五つのWと一つのH、即ち、誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように、の各構成要素を、読者に迅速かつ正確に伝えるためにできるだけ簡明に述べる文章である。それは見出しと本文からなり、本文は、書き出し部分とその他の部分とからなる。新聞記事は、現場、目撃者、証人、資料など生の事実に接近する記者の創作した、つくりごとではない現実の事実に基づく素材としての五つのWと一つのHについて、記事の中に盛り込む事項の選択、記事や論理の展開の仕方、文章表現等に創作性がある著作物である。「読みやすく、分かりやすく、そして味がある」ことが他の文章に比べて特に要求される。被告が主張するような「記事に含まれている創作性のある部分を捨象した生の事実」なるものは新聞記事には存在しない。存在するのは、新聞記者らによって作成された表現である。即ち、「生の事実」に接近する記者が、数多い事項、記事の展開、文章表現などの中から選び取り、切り取ってきた表現である。新聞記事を「創作性のある部分」とそうでない部分とに分けることは不可能である。新聞記事の各構成要素、各部分の具体的な表現において、どのような事項を選択するか、どのように論理を展開するか、どのような用語なり文章なりで表現するかにおいて、新聞記者と編集デスクの工夫や創作性が存するのである。
 被告が主張するように、記事を参照して生の事実を抽出することは、右に見たことから明らかなように、もともとできないことである。被告は、新聞記事である原告記事の文章表現の中から、見出しの文言を中心に、その中に選択されている事項、展開されている論理、文章表現等を要約し英文化しているに過ぎない。被告文章は、原告記事の主たる構成を母体として派生的な著作物を作成している。被告が必ず原告記事の題号を出典として明記しているのは、まさに原告記事の主たる構成を母体としているからにほかならない。
4 仮にそうでないとしても、原告記事の創作性は、主として記事の展開の仕方、記事に盛り込む事項の選択に存するものであるところ、原告記事における記事の展開の仕方及び記事に盛り込まれた事項は、別紙対照目録左欄のとおりであり、これに対し、被告文章の展開の仕方及び記事に盛り込まれた事項は同目録右欄のとおりであり、両者がこれらの点において類似していることは、この目録によっても明らかである。
5 被告文章は、項目末尾に、「Ref・」(Referenceの短縮形で出典の意味)として原告記事の掲載された新聞名が表示されている。いずれも原告記事の掲載された日経新聞のみが「出典」とされており、他の日刊新聞は被告において参照していない。したがって、被告が主張するように、各種の情報源から、重要と思われるニュースごとの資料を収集して、これを検討してそこから事実のみを抽出するなどといったことがなされていないことは明らかである。右の表示からしても、被告は、原告記事に依拠してこれを翻案、要約して被告文章を作成したものであるということができる。
 被告の営業案内には、毎朝5時半から原告の新聞記事をモニターし、毎朝8時半までにはファクシミリで被告の文章を顧客に届ける旨明記されており、右の時間帯に記事の内容に取り上げられた会社への取材を必ず行なうなどという被告の主張は信用できない。
6 よって被告が、被告文章を作成し、これを文書として発行し、あるいは有線送信したことは、原告記事についての原告の翻案権及び有線送信権を侵害したものである。
四 被告は、請求原因三1、2の行為をするにあたり、原告記事についての原告の著作権を侵害するものであることを知り、または過失によりこれを知らなかった。
五 原告が、被告による右三の態様による原告記事の使用について通常受けるべき金銭は、原告記事一つ当たり少なくとも金900円であるから、原告は被告に対し少なくとも金9900円の損害賠償請求をすることができる。
六 よって原告は被告に対し、損害賠償金9900円及びこれに対する不法行為後の日である平成5年3月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める。
第3 請求原因に対する認否及び被告の主張
一 請求原因一は認める。なお被告は、現在、原告主張の各サービスは行っていない。
二 請求原因二1は知らない。同2中、原告記事(1)ないし(7)が著作物であることは認め、その余は知らない。
三1 請求原因三1中、被告が被告文章を、定期購読サービスとして、コムライン・デイリー・ニュース(オンライン、ファクシミリ、印刷物)、コムライン・インダストリアルリポート(印刷物)で、被告文章(1)ないし(7)をコムネット名のオンライン・サービスにより、各頒布又は有線送信したことは認め、その余は否認する。同2は否認し、同3、同4は争う。同5は、被告文章の末尾に「Ref・」(「reference」の短縮形)という表示がされて原告発行の新聞名が表示されていることは認め、その余は否認する。同6は争う。
2 被告の営むサービスは、いずれも日本の産業、技術、経済に関する情報を英語で簡潔に提供するものであり、その記事は、それぞれの専門分野を担当する専門知識を有する1名ないし数名の日本人又は日本語の堪能な外国人の記者が作成しているものである。その記事の作成方法は、これらの記事が、毎日、日経新聞等を含む各種日刊新聞、各通信社から入電のニュース及び企業が出すプレス・リリース等を読んで、重要と思われるニュースごとの資料を収集し、収集したニュースを検討してそこから事実のみを抽出して、更に、会社に電話やファックスによる取材等も必要に応じ行って、記者自らの考えに基づいて整理した上、抽出した事実について記者自身の言葉で3ないし4段程度の短い記事を作成するという方法であり、取材源になった新聞名を記事の末尾に「Ref・」(参照)と表示して掲げている。複数の新聞名を掲げることも少なくない。その上で、更に外国人編集者が英文で書かれた記事をチェックし、疑問点等を指摘して、この点について更に記者が再調査を行った上で修正、点検して最終的な記事としている。
 このような被告文章の記事の作成過程において、各種の取材源からは著作権の及ばない事実のみを取り上げているのであり、それを越えて要約、翻訳をしているのではない。ただ産業、経済等の専門的な情報の伝達を行っているのであるから、これらの情報の性質上、表現方法には自ずと限界があり、同じ事実を報道すれば結果的に表現が共通してくる部分が多くなることは避けられない。
 被告文章の記事は、あくまで取材源として記事に含まれている創作性のある部分を捨象した生の事実なのであって、被告の記事は各種の取材源からの情報の中から生の事実を取り出して記事にしているにすぎない。
 また、被告文章の「Contact」欄に、電話番号又はファックス番号が記載されているが、これは被告の記者が会社に対して電話等で事実について確認した場合に記載しているものであり、被告文章のほとんどについて事実確認をした上で記事が作成されている。
3 被告自身も、記者に対して、記事(ただし、事実の伝達にすぎない雑報、時事の報道記事を除く)の要約にならないよう常に注意を喚起しており、記者に確認もさせている。このため事実の報道を中心としている簡潔なコムライン等の記事でも、参照した記事には出ていない、あるいは参照した記事の見解とは異なる被告の記者の独自の見解を盛り込んでいるものも少なくないし、独自の取材による調査を反映して、日刊新聞の記事の報道は誤っていて、被告の記事では正しい情報が提供されているケースもある。これらの事実はすべて被告記事が、日経新聞等を含む各種日刊紙の記事を要約又は翻訳したものではないことを示すものである。
4 なお、原告は、別紙対照目録において、原告記事と被告文章を対比しているが、これらを比較すれば、むしろ被告の文書〈「書」は「章」の誤〉は見出しにおいても独自性を出していることが明らかである。新聞記事は、事実を簡潔に報道するという性質上、キーワードは限定されてくるものであり、見出しも「誰が何をした」かを簡潔にまとめたものになるのが通常であるから、原告記事の見出しと被告文章の見出しは、「誰が」の部分は共通しているものの、「何をした」かについての表現は、一部キーワードを共通しているものがある以外には全く異なっている。
 また記事に盛り込まれた事項についても、事実の報道である以上、内容がある程度共通するのはやむを得ないことであり、創作性は、限られた情報の中から記事が何を取捨選択し、選択した事項を、どのような順序で、どういう言葉で展開するかという点に表れてくるものである。被告文章は、原告記事と比べると記事に盛り込む内容をより限定して選択している。また被告文章は、選択した事項を原告記事とは異なった順序で展開している。選択した事項をどのような順序でどのような表現によって文章にするかによって、その記事が、どの事項に、より重点を置いているかの違いが表れるのであり、この点でも、被告文章には、被告の記者の独自の視点が表現されているものである。
四 請求原因四は否認する。
五 請求原因五は、原告が原告記事について通常受けるべき金額が1記事当たり900円であることは知らない、その余は否認する。
六 請求原因六は争う。
第4 証拠
 証拠関係は記録中の書証目録記載のとおりである。
理由
一 請求原因一は当事者間に争いがない。
二 原告記事(1)ないし(7)が著作物であることは当事者間に争いがない。
 真正に成立したものであることについて当事者間に争いのない甲第1号証ないし甲第6号証、甲第18号証ないし甲第21号証及び弁論の全趣旨によれば、
1 原告の従業員である新聞記者が、原告の発意に基づき、その職務上、各原告記事を創作し、原告は、原告の著作名義で、原告記事を、各日付けの各新聞に掲載して公表したこと、
2 原告記事の各新聞紙面での扱いは、次のとおりであったこと、
(原告記事番号)(見出し)(本文)
(1)3段抜き9行分 55行
(2)2段抜き5行分 34行
(3)3段抜き8行分 47行
(4)3段抜き6行分 41行
(5)4段抜き8行分 56行
(6)3段抜き10行分 39行
(7)3段抜き8行分 33行
(8)1段横見出し23行分 41行
(9)3段抜き7行分 26行
(10)2段抜き 3段抜き
   横見出し 前書き6行
   31行分 本文47行
(11)1段横見出し 4段抜き
   30行分 前書き4行
   4段抜き
   縦見出し
   8行分 本文42行
3 原告記事(8)ないし(11)も、その内容、長さ等に照らし、事実の伝達にすぎない雑誌及び時事の報道ではなく、著作権法上の著作物に該当することが認められる。
三 請求原因三1中、被告が被告文章を、定期購読サービスとして、コムライン・デイリー・ニュース(オンライン、ファクシミリ、印刷物)、コムライン・インダストリアルリポート(印刷物)で、被告文章(1)ないし(7)をコムネット名のオンライン・サービスにより、各頒布又は有線送信したことは争いがなく、成立に争いのない甲第12号証、甲第24号証ないし甲第27号証、乙第3号証の4によれば、被告が、被告文章(4)をトウキョウ・ファイナンシャル・ワイア(ファクシミリ、印刷物)により頒布又は有線送信したこと、被告が被告文章(8)ないし(11)をコムネット名のオンライン・サービスにより有線送信したことが認められ、弁論の全趣旨によって真正に成立したものと認められる乙第13号証中右認定に反する部分は、前記争いない事実に照らし信用できない。なお、被告は被告文章の訳文として、乙第3号証の1ないし7を提出するが、右をもってしても、後記四の対比の判断に影響を及ぼすものとは認められないので、以下の検討は、別紙対比目録下段の原告作成の訳文によって行なう。
四 著作権法27条所定の翻案には、原著作物を短縮する要約を含むところ、言語の著作物である原著作物の翻案である要約とは、それが原著作物に依拠して作成され、かつ、その内容において、原著作物の内容の一部が省略され又は表現が短縮され、場合により叙述の順序が変更されてはいるが、その主要な部分を含み、原著作物の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものをいうと解するのが相当である。したがって、要約は、これに接する者に、原著作物を読まなくても原著作物に表現された思想、感情の主要な部分を認識させる内容を有しているものである。
 そのことは、原著作物が事実を報道した新聞記事であっても、それが、著作物といえるものである限り同様である。
 また、以上のことは、原著作物に依拠して、直接に外国語で要約が作られた場合も同様である。
 以上のことを前提として、被告文章が原告記事の翻案としての要約、翻訳に該当するか否かについて、検討する(なお、以下において原告記事及び被告文章の本文の行数の表示は、別紙対比目録(被告文章についてはその日本語訳文)のそれによる)。
1 被告文章(1)と原告記事(1)を対比する。
被告文章(1)中、
(一)見出しの「肺ガン切除患者の予後を予想する検査法を開発」という部分は、原告記事(1)本文(以下単に「原告記事」という。)の1行目ないし2行目の、「京都大学放射線生物研究センターの内田温士教授らは初期の肺ガンの切除手術を受けた患者が完治に向かうか、それとも芳しくない経過をたどるかを予測する方法を開発した。」という部分の
(二)本文1行ないし2行目(以下単に「1行目」などという。)の「京都大学放射線生物センターの内田温士教授は、初期の〈原文には「初期の」はない〉肺ガンの早期切除手術を受けている患者の予後を予想する簡単な検査法を開発した。」という部分は、原告記事1行目ないし2行目の「京都大学放射線生物研究センターの内田温士教授らは初期の肺ガンの切除手術を受けた患者が完治に向かうか、それとも芳しくない経過をたどるかを予測する方法を開発した。」という部分の
(三)3行目から4行目の「内田の検査法は、手術の前に採取した血液からリンパ球を分離し、これを切除された肺ガンの細胞に約6時間混合させる。」という部分は、原告記事6行目ないし7行目の「内田教授によると、判定の方法はまず、ガンの切除手術の直前に採取した血液からリンパ球を分離、これを手術で摘出されたガン組織の細胞と6時間反応させ、ガン細胞に対する殺傷能力を調べる。」という部分の
(4)5行目から6行目の「内田によると、ガン細胞を殺すリンパ球の能力は、患者の生存の見込みを予示する。実験では、内田はガンの外傷が3ミリ以下で転移がない50人の肺ガン患者の予後を予測する検査法を用いた。」という部分は、原告記事3行目の「リンパ球のガン細胞殺傷能力を測定する手法で」という部分及び原告記事全体の趣旨から読み取ったもの、原告記事8行目の「@ガンの大きさが3センチ以下A全身の他の個所に転移がない」という部分及び原告記事9行目における「肺ガン患者50人にこの検査を実施。」という部分の(ただし、3センチ以下を3ミリ以下と間違えている。)
(五)7行目ないし9行目の「27人の患者の検査の結果、彼らのリンパ球が10%以上のガン細胞を殺したことがわかった。5年間の追跡調査の結果、27人の内の4人のみが手術後3年以内に死亡したが、残りの23人の患者は5年以上生存したことがわかった。」という部分は、原告記事11行目ないし12行目の「10%以上殺傷したグループは計27人で、うち4人は3年以内に死亡した。しかし、残る23人はガンが完治したと見なされる5年以上生存。」という部分の
(六)9行目ないし10行目の「10%以下のガン細胞しか殺せなかったリンパ球を持っていた患者のすべては、化学・放射線療法などを受けていたにもかかわらず、手術後3年以内に死亡している。」という部分は、原告記事14行目ないし15行目の「10%以下の殺傷力しかなかった23人の患者は、いずれも手術から1年半以内にガンの再発や転移が発生。化学、放射線療法などさまざまな治療が試みられたが、3年以内に全員が死亡したという。」という部分の
(七)11行目ないし12行目の「内田は、検査結果は手術後の最高の治療法の決定と抗ガン剤の効果の評価に有益であると述べている。この検査法は、その他いくつかのガンの種類にも用いることができる。」という部分は、原告記事4行目ないし5行目の「肺ガン以外でも有効と見られ、手術後の治療法の選択や抗ガン剤の効果を判定するのに大いに役立ちそうだ」という文章、及び19行目の内田教授の談話として紹介されている「肺ガン以外でも適用できると思う」という部分の
それぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(1)はその内容において、原告記事(1)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更されてはいるが、原告記事(1)の主要な部分を含み、原告記事(1)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
2 被告文章(2)と原告記事(2)を対比する。
被告文章(2)中、
(一) 見出しの「イタノ冷凍、バイオテクノロジー使用による色素抽出工場を建設」という部分は、原告記事(2)(以下「原告記事」という。)全体の趣旨の、
(二)1行目ないし2行目の「魚加工のイタノ冷凍株式会社は、7月17日、徳島県石井で新工場の建設を開始すると発表。同社は、バイオテクノロジーを使ってオキアミからエキスや天然色素を取り出す。」という部分は、原告記事1行目ないし3行目の「水産加工のイタノ冷凍(本社鳴門市、社長乙瀬速雄氏、資本金1億円)は7月17日、徳島県石井町で新工場の建設に着手する。バイオテクノロジー(生命工学)を使いオキアミから天然色素、エキスを抽出する新鋭工場で来年5月に完成」という部分の、
(三)3行目の「新工場(建設費、28億円)の総面積は3300平方メートルになる。工場建設は1992年5月に完成予定。」という部分は、原告記事3行目の「新鋭工場で来年5月完成」、7行目ないし8行目の「(延べ床面積は3300平方メートル)」及び「事業費は28億円」という部分の
(四)4行目ないし5行目の「同社は、ソ連から年間6000トンのオキアミを輸入して健康食品、医薬品、調味料に使用するアミノ酸に富んだエキスを生産する。」という部分は、原告記事3行目ないし4行目の「製品のエキスは調味料、天然色素は医薬品、健康・機能性食品として」という部分、8行目ないし9行目の「オキアミはソ連から独占輸入する権利を取得済みで、年間6000トンを購入する」という文章及び10行目の「オキアミから抽出したエキスは高品質なアミノ酸類の混合液。」という部分の
(五)5行目ないし6行目の「同社は試験工場で製造したエキスを、フランス料理用として、仏に輸出している。近く、韓国にも調味料として輸出される。」という部分は、原告記事10行目ないし12行目の「試験プラントで製造したエキスはすでに大手医薬品メーカーが調味料として販売中。フランス料理の調味料として仏に輸出しているのに続き、キムチ用に近く韓国にも輸出する。」という部分の
(六)7行目の「初年度のエキス生産額は金額にして20億円を目指し、3年後に35億円に拡大したいとしている。」という部分は、原告記事4行目ないし5行目の「初年度は20億円、3年後〈原文には「に」が挿入されている〉は35億円の出荷を目指す。」という部分の
 それぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(2)はその内容において、原告記事(2)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更されてはいるが、原告記事(2)の主要な部分を含み、原告記事(2)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
3 被告文章(3)と原告記事(3)を対比する。
被告文章(3)中、
(一)見出しの「東京エレクトロン、アナログ・デジタル・ハイブリッド IC検査装置の販売の増大を予想」という部分は、原告記事(3)(以下「原告記事」という。)1行目ないし4行目の「東京エレクトロンはデジタル・アナログ混在半導体用検査装置の販売に力を入れ、半導体検査装置市場でのシェア向上をめざす。デジタル・アナログ混在半導体用は検査装置の中でもまだ市場規模が小さいが需要が伸びており、今後急拡大が予想される。このため、東京エレクトロンはこの分野の検査装置に重点を置いて攻勢をかける。」という部分の
(二)1行目ないし5行目の、「東京エレクトロン株式会社〔8035〕は、イーグルテストシステムズ社(イリノイ州)が開発したアナログ・デジタル・ハイブリッドIC検査装置〔LSI―5XP〕の本年度の販売を30台と見込んでいる。LSI―5XPは、テストヘッドに計測部分を組込んでいる。このため、ノイズをマイナス120デシベル以下に抑え込むことができる。設置面積も、これまでの通常の検査装置が必要とした10平方メートルから4平方メートルに抑えた。検査に要する時間も従来より20%短縮。価格は1台5000万円〜1億円。」という部分は、原告記事7行目の「米イーグルテストシステムズ社(本社イリノイ州)の「LSI―5XP」、8行目ないし9行目の「今年度に30台販売するのが目標だ。」、11行目ないし12行目の「テストヘッドに計測機器部分を組み込んでいる。これで、ノイズをマイナス120デシベル以下に抑え込み」、13行目の「設置面積もこれまでの10平方メートル強から4平方メートルに抑えた」、12行目から13行目の「検査スピードも従来機種より20%程度短縮」、8行目の「標準小売価格は5000万〜1億円で」という部分の
(三)6行目ないし8行目の「同社によれば、国産IC検査装置の年間販売台数は700台以上であり、アドバンテスト株式会社〔6857〕や安藤電気株式会社〔6847〕などが市場で大きなシェアを占めている。現在まで、東京エレクトロンは主として前処理装置を販売してきた。」という部分は、原告記事9行目ないし10行目の「同社によると、国内の半導体検査装置の総販売台数は700台強と見られる。」という文章、5行目の「検査装置ではアドバンテストや安藤電気などが大きなシェアを握っているが」という文章、4行目の「同社の販売する半導体関連装置は前工程用が中心で」という部分の
(四)9行目ないし10行目の「同社は、既にこの装置のマーケティング活動を支持するためプロジェクトチームを設けており、5年以内にIC検査装置市場で10%のシェアの確保を目標にしている。」という部分は、原告記事14行目の「東京エレクトロンは計測機器部内にこの機種を専門に担当するプロジェクトチームを設けた。」、5行目ないし6行目の「東京エレクトロンは5年後に国内の総販売台数の10%のシェア確保が目標だ。」という部分の
 それぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(3)はその内容において、原告記事(3)はその内容において、原告記事(3)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更されてはいるが、原告記事(3)の主要な部分を含み、原告記事(3)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
4 被告文章(4)と原告記事(4)を対比する。
被告文章(4)中、
(一)見出しの「飛鳥〈「鳥」は原文では「島」以下同じ〉建設、不動産の大型処分を検討」は、原告記事(4)(以下「原告記事」という。)全体の趣旨の、
(二)1行目ないし3行目の「建設大手の飛鳥〈「島」〉建設はメインバンクの富士銀行に対して2年間で約1500億円の不動産を売却する計画を提出した。その売却代金をほぼ同額の債務返済に当てるという。1990年9月末の同社の負債総額は3700億円強であった。」という部分は、原告記事5行目の「メーンバンクの富士銀行に債務圧縮計画を示し」、1行目ないし2行目の「93年3月までに販売する予定の不動産の代金回収を急ぐ。」、1行目の「借入金のうち1500億円の圧縮に乗り出す。」、6行目の「飛鳥〈「島」〉建設の90年9月中間期末の借入金残高は3730億円。」という部分の
(三)3行目ないし6行目の「同社によると、ナナトミ倒産の成行き次第では、売却予定額を引き上げる必要が出てくるという。飛鳥〈「島」〉建設はナナトミに対する融資や債務保証により1200億円の債権残高を抱えている。同社はさらに系列会社に対して藤田観光株購入用に総額300億円を融資している。1993年3月までに不動産を処分したいとしている。」という部分は、原告記事12行目ないし13目行目の「ナナトミの和議の進行状態によっては、飛鳥〈「島」〉建設が肩代わりする債務が膨れ、不動産圧縮をさらに拡大する必要に迫られる可能性もある。」という部分、2行目ないし3行目の「16日に和議申請したナナトミ(本社東京・江川明氏)に総額1200億円にのぼる債務保証、貸し付けが明らかになっていた。」、8行目の「藤田観光株を取得するために関連会社の飛島リースに貸し付けた約300億円など」、1行目ないし2行目の「93年3月までに販売する予定の不動産の代金回収を急ぐ。」という部分の
 それぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(4)はその内容において、原告記事(4)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更されてはいるが、原告記事(4)の主要な部分を含み、原告記事(4)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
5 被告文章(5)と原告文章(5)を対比する。
被告文章(5)中、
(一)見出しの「スズキ、レーザーによるダイカスト部品検査装置を開発」という部分は、原告記事(5)(以下「原告記事」という。)1行目の「スズキはダイカスト部品の表面をレーザーで自動検査するシステムを開発した。」という部分の
(二)1行目ないし2行目の「スズギ株式会社〔7269〕は、ダイカスト部品の表面のひびや傷を検査するための自動化され、レーザー内蔵を特長とする装置のプロトタイプを開発した。」という部分は、原告記事1行目の「スズキはダイカスト部品の表面をレーザーで自動検査するシステムを開発した。」、8行目ないし9行目の「まず、幅約2ミリのレーザーを部品に照射。部品の表面に傷や割れがあれば、レーザーの反射時間が正常な場合に比べ少し遅くなる。」という部分の
(三)2行目ないし3行目の「本装置は、シリンダーヘッドやトランスミッションケースなどの自動車部品の検査に使用することが期待される。」という部分は、原告記事7行目の「当初、シリンダーヘッドやミッションケースなどのダイカスト部品の検査用に開発した。」という部分の
(四)4行目ないし5行目の「この新装置は、半導体レーザー、試料ステージ及び各種制御器で構成される。しかし、この装置は現在、30センチ幅の試料の表面の走査に5〜6分要しており、そのデータの分析には30分要している。」という部分は、原告記事6行目の「このシステムは半導体レーザー装置や検査対象物を置くステージ、各種コントローラーなどで構成する。」という部分、14行目ないし15行目の「ただ、このシステムは約30センチ幅の部品の場合で、全体にレーザーを当てるだけでも〈原文には「も」はない〉5〜6分、データの分析も含めると30分ほどかかっており、」という部分の、
(五)6行目ないし7行目の「同社は、この検査時間の短縮方法を研究中であり、さらにダイカスト部品と完成車の両方の検査が可能なシステムの実用化に向け、その他の改良を行っている。」という部分は、原告記事15行目ないし16行目の「実用化までには検査時間の短縮が必要と見〈「見」は原文では「み」〉ている。」という部分、4行目ないし5行目の「同社ではこのシステムを将来、ダイカスト以外の部品や完成車の検査に転用する研究開発を急ぐ方針。」という部分の
 それぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(5)はその内容において、原告記事(5)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更されてはいるが、原告記事(5)の主要な部分を含み、原告記事(5)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
 6 被告文章(6)と原告記事(6)を対比する。
被告文章(6)中、
(一)見出しの「三井金属、リンゴの味の非破壊試験装置を開発」という部分は、原告記事(6)(以下「原告記事」という。)全体の趣旨の
(二)1行目ないし2行目の「非鉄製錬会社の三井金属株式会社〔7506〕(本社東京)は、長野県農村工業研究所(NRIAI)と共同で、リンゴの味を検査する非破壊検査装置を開発した。」という部分は、原告記事1行目ないし2行目の「三井金属と長野県農村工業研究所(理事長堀内巳次・全国農協中央会長)は、リンゴ味が分かる非破壊検査装置を開発、」という部分に、三井金属が非鉄製錬会社で、その本社所在地が東京であることを付加したのみの
(三)3行目ないし5行目の「リンゴの等級は、これまで色と形を基準に決められてきたが、評価結果は必ずしも正確ではなかった。この問題の解決のため、三井金属はより正確で、客観的な評価が出来る装置の開発に、同社のリモートセンシング装置技術を応用した。」という部分は、原告記事3行目の「リンゴの等級は色と形を基準に決めてきたが、」、12行目ないし14行目の「食味の基準はなかった。このため、消費者から「外見はいいが、まずい」などの不満が出ていたが、味の判別につながる検査装置の開発は」、3行目ないし4行目の「リンゴの等級は色と形を基準に決めてきたが、食味が科学的に測定できるようになるため、」、5行目の「この装置は資源探査衛星のリモートセンシング(遠隔識別)技術を応用、」という部分の
(四)6行目ないし8行目の「本試験装置は、遠赤外線をリンゴに照射させ、その反射光をコンピューターで分析して糖度や酸度を測定。リンゴの糖度と酸度の比率はその味を示し、出荷前により信頼度の高い等級付けが可能となった。」という部分は、原告記事5行目ないし8行目の「リンゴに近赤外線を当て、その反射をコンピューターで分析して糖度や酸度を測る。消費者を対象にした各種の検査でリンゴの食味と糖度・酸度の関係についての科学的なデータをそろえており、糖と酸のバランス(糖酸比率)を基準においしいリンゴを選び出す。」、3行目ないし4行目の「食味が科学的に測定できるようになるため、生産や出荷に大きな影響を与えそうだ。」という部分の(ただし、近赤外線を遠赤外線と間違えている)
(五)9行目ないし10行目の「三井金属と長野県農村工業研究所は今年後半、装置のテストを行い、1992年産のリンゴの等級付けに本装置を使用する。」という部分は、原告記事1行目ないし2行目の「三井金属と長野県農村工業研究所(理事長堀内巳次・全国農協中央会長)は、リンゴの味が分かる非破壊検査装置を開発、今秋から実用化テストを始める。」という部分、9行目ないし10行目の「結果が良ければ来シーズンから本格的に使用する。」という部分のそれぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(6)はその内容において、原告記事(6)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更され、三井金属が非鉄製錬会社で、その本社所在地が東京であるという周知の事実を付加されてはいるが、原告記事(6)の表現の主要な部分を含み、原告記事(6)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
7 被告文章(7)と原告記事(7)を対比する。
被告文章(7)中、
(一)見出しの「日立建機 油圧ショベル10%減産」という部分は、原告記事(7)(以下「原告記事」という。)見出しの「日立建機 月産1700台に修正 油圧ショベル10%減産」という部分の
(二)1行目ないし2行目の「日立建機株式会社〔6305〕は、油圧ショベルの月産台数を10%引き下げる。今年度当初、月産1900台の生産目標を立てたが、現在月産約1700台に落ちついている。」という部分は、原告記事1行目ないし2行目の「日立建機は油圧ショベルの月産生産目標台数を10%程度引き下げる。年度当初、月産1900台を目標に置いて生産計画を立てていたが、約1700台の水準に落とすことにした。」という部分の
(三)2行目ないし3行目の「油圧ショベルを生産している同社の土浦工場(茨城県)は従業員の残業を減らす。」という部分は、原告記事5行目ないし6行目の「減産するため油圧ショベルを生産している土浦工場(茨城県土浦市)の従業員の残業を減らし、稼働率を下げる。」という部分の
(四)4行目ないし5行目の「同社の油圧ショベルの需要は、国内経済の減速と高金利の影響を受けて落ち込んでいる。その結果、同社のショベルの在庫は昨年の2倍になっている。」という部分は、原告記事2行目ないし3行目の「国内景気の鈍化を背景に、油圧ショベルなど建設機械の販売が国内外で落ち込んでいるため。」という部分、原告記事9行目ないし10行目の「建機市場は昨年まで2ケタの伸びを見せてきたが、昨年末から金利高の影響で販売が低迷し、在庫水準も昨年と2倍になっている。」という部分の
 それぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(7)はその内容において、原告記事(7)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更されてはいるが、原告記事(7)の主要な部分を含み、原告記事(7)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
8 被告文章(8)と原告記事(8)を対比する。
被告文章(8)中、
(一)見出しの「富士通、93年から米でワークステーション用ソフトを販売」という部分は、原告記事(8)(以下「原告記事」という。)見出しの「富士通 米でWS用ソフト販売・・まずネットワーク管理用・・」、原告記事1行目ないし2行目の「富士通は来年前半に米国のソフト子会社で開発したワークステーション(WS)用ソフトウェアを米国内で販売する。」という部分の
(二)1行目ないし2行目の「富士通は93年前半に米国の子会社、オープンシステムズソリューションズが開発したワークステーション用ソフトを米国内で販売する計画である。」という部分は、原告記事1行目ないし2行目の「富士通は来年前半に米国のソフト子会社で開発したワークステーション(WS)用ソフトウェアを米国内で販売する。」という部分、7行目ないし8行目の「子会社のオープンシステムズソリューションズ(本社カリフォルニア州)が開発した初の製品で、」という部分の
(三)2行目ないし3行目の「同社のこうした動きは機器の売上が低迷していることによる。」という部分は、原告記事4行目ないし5行目の「景気後退で機器の売り上げが伸び悩む中、付加価値の高いソフトを今後の主力事業に育成する動きといえる。」という部分の
(四)4行目ないし5行目の「このソフト「ネットウォーカー」はサン・マイクロシステムズのワークステーション「スパークステーション」上で稼働する。」という部分は、原告記事7行目の「富士通が米国で販売するネットワーク管理用のソフト「ネットウォーカー」。」という部分、8行目ないし9行目の「米WS最大手のサン・マイクロシステムズの製品「スパークステーション」上で稼働する。」という部分の
(五)5行目ないし6行目の「富士通ではソフトのほとんどをハードウェアに搭載して販売している」という部分は、原告記事2行目ないし4行目の「従来、同社は米国では自社のハードウェアにソフトを搭載して販売するケースがほとんどで、ソフトは機器を売るために装備する商品という意味合いが強かった。」という部分の
(六)6行目ないし7行目の「富士通はこのソフトの販売を促進するため、米国で新たな販売網の構築を検討している。販売価格や販売目標は未定。」という部分は、原告記事12行目の「富士通はこのソフトの普及を進めるため米国で新たな販売網を構築する考え。」という部分、13行目の「販売価格や販売目標は未定だが、」という部分の
 それぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(8)はその内容において、原告記事(8)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更されてはいるが、原告記事(8)の主要な部分を含み、原告記事(8)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
9 被告文章(9)と原告記事(9)を対比する。
被告文章(9)中、
(一)見出し「NECコンピューターシステム、ワークステーションを使った電話マーケティング・システムを共同開発」という部分は、原告記事(9)の(以下「原告記事」という。)見出しの「WS使い電話市場調査・・NECコンピューターシステム システム共同開発・・」という部分の
(二)1行目ないし2行目の「NECコンピューターシステムは電話によるマーケティングのコンサルタント会社、テレフォニー(本社東京)と共同でワークステーションを使った電話マーケティングシステムを開発、販売する。」という部分は、原告記事1行目ないし3行目の「NECコンピュータシステムは電話マーケティングのコンサルティングやシステム開発のテレフォニー(本社東京)と提携し、高性能コンピューターであるワークステーションを使った電話マーケティングシステムを共同で開発、販売する。」という部分の
(三)4行目ないし5行目の「企業は情報処理機器に対する投資を削減しているが、電話マーケティングシステムへの投資は増えている。」という部分は、原告記事3行目ないし4行目の「金融機関は情報化投資を削減する動きを強めているが、電話マーケティングシステム構築への投資は増えており、成長分野といわれている。」という部分の(ただし、金融機関を企業としている)
(四)5行目ないし7行目の「この「Callmagic」というシステムは、顧客の情報をデータベース化し、顧客と直接電話で接触する。テレフォニーは人材育成やマーケティング方法の企画を担当し、このシステムを問題解決策として販売していく。」という部分は、原告記事5行目ないし8行目の「共同開発するのは、「Callmagic」というシステムで、顧客の情報をデータベース化し、これを活用しながら、電話を使って顧客に接触し、営業効率を高めるシステム。NECコンピューターシステムは機器面でのシステム構築、テレフォニーは人材育成、マーケティング方法の企画などを担当し、ソリューション(情報システムの問題解決策)として顧客に提供していく。」という部分の
 それぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(9)はその内容において、原告記事(9)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更されてはいるが、原告記事(9)の主要な部分を含み、原告記事(9)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
10 被告文章(10)と原告記事(10)を対比する。
被告文章(10)中、
(一)見出しの「ソニー、任天堂とのCD―ROMゲーム互換機を棚上げ」という部分は、原告記事(10)(以下「原告記事」という。)の見出し「ソニーのCD―ROMゲーム機・・任天堂との互換機棚上げ 別規格含め再検討・・」という部分の
(二)1行目の「ソニーは任天堂の製品と互換性のあるCD―ROMゲーム機の販売を無期延期することを決めた。」という部分は、原告記事1行目ないし2行目の「ソニーは任天堂のCD―ROM(コンパクトディスクを使った読み出し専用メモリー)ゲーム機の互換機発売を無期延期することを決めた。」という部分の
(三)2行目ないし3行目の「ソニーは90年1月に任天堂と共同で16ビットゲーム機とCD―ROMプレーヤーを一体化した装置を開発・販売する契約を結んだ。」という部分は、原告記事7行目ないし8行目の「ソニーは90年1月に任天堂とゲーム機分野で提携、任天堂製の16ビットゲーム機「スーパーファミコン」とCD―ROMプレーヤーを一体化した装置を開発・販売する契約を結んだ。」という部分の
(四)3行目ないし4行目の「しかし91年にCD―ROMゲーム部門での任天堂とフィリップスの提携が表面化、関係が悪化しソニー側の開発が遅れた。」という部分は、原告記事本文9行目ないし10行目の「しかし91年に任天堂がオランダ・フィリップスとCD―ROMゲーム機開発で提携したことが表面化、ソニーとの関係が悪化した。」という部分、本文3行目の「その後思惑が一致しなくなり、開発が後れてソニーは市場参入の時期を逸したと判断した。」という部分の
(五)4行目ないし5行目の「その後両者は和解し、当初契約の一部改定を含めた合意に達した。」という部分は、原告記事10行目ないし11行目の「その後両者は関係修復をはかり、今夏には当初契約の一部改定を含め、合意に達していた。」という部分の
(六)5行目ないし7行目の「しかしソニーは市場参入の時期を逸したと判断した。同社はゲーム機市場への参入計画について現時点では「白紙の状態」としているが、独自企画の商品開発について検討しているという。」という部分は、原告記事3行目ないし4行目の「開発が後れてソニーは市場参入の時期を逸したと判断した。同社はゲーム機市場への参入計画について現時点では「白紙の状態」としているが、独自規格の商品開発についても検討を進めていく。」という部分の
 それぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(10)はその内容において、原告記事(10)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更されてはいるが、原告記事(10)の主要な部分を含み、原告記事(10)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
11 被告文章(11)と原告記事(11)を対比する。
被告文章(11)中、
(一)見出しの「アップル、日本法人を格上げ」という部分は、原告記事(11)(以下「原告記事」という。)見出しの「アップル、日本法人格上げ・・4大拠点のひとつに 市場開拓弾み 販売戦略、独自に策定・・」という部分の
(二)1行目ないし5行目の「アップル・コンピュータは日本法人のアップルコンピュータ・ジャパンを同社の4大国際部門の一つに格上げした。日本法人はこれまでアジア太平洋地域を担当するアップル・パシフィックの管轄下にあったが、この格上げにより日本法人はアップルUSA、アップル・ヨーロッパ、アップル・パシフィックと並ぶことになる。」という部分は、原告記事1行目ないし4行目の「米アップルコンピュータは日本法人のアップルコンピュータ(本社東京、社長武内重親氏。資本金4億8千万円)を世界市場の4大拠点のひとつに格上げした。日本法人はこれまで、組織上はアジア太平洋地区を担当するアップル・パシフィックの下に属していたが、今後はアップル・USA、アップル・ヨーロッパ、アップル・パシフィックと並ぶ拠点となり、」という部分の
(三)6行目ないし7行目の「これにより同日本法人は国内でのマーケティング戦略でより独自性を強めることになり、日本市場向け製品の開発についてもかなり発言力を高めることになる。」という部分は、原告記事4行目ないし5行目の「国内でのマーケティング戦略などの面でより独自性を強めることになる。」という部分の
(四)8行目の「アップルコンピュータ・ジャパンは95年度に売上高10億米ドルを目指す中期計画を作成している。」という部分は、原告記事9行目ないし10行目の「これにともない日本のアップルは「チャレンジ95」と呼ぶ中期経営計画をまとめ、95年度に売上高10億ドル(約千2百億円)の達成を目指すことにした。」という部分の
 それぞれ実質的に同一の表現、短縮された表現であり、被告文章(11)はその内容において、原告記事(11)の内容の一部が省略され、表現が短縮され、叙述の順序が変更されてはいるが、原告記事(11)の主要な部分を含み、原告記事(11)の表現している思想、感情の主要な部分と同一の思想、感情を表現しているものと認められる。
12 被告文章の末尾に「Ref・」という表示がされて、原告発行の新聞名が表示されていることは当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨により認められる被告は被告文章を作成することに当たり、原告記事を参照していることに、前記1ないし11認定のとおり、被告文章に記載された事項で、これに対応する原告記事に記載されていない事項は被告文章(6)の三井金属の主要な営業の紹介と本社所在地という周知の事実のみであること、被告文章記載の事項が原告記事に依拠したものでないのなら、それらの事項は被告社内の誰が、どのような取材源から、どのような方法で取材したのかを明らかにすることは被告にとって容易なことであると考えられるのに、これを明らかにしない態度に照らせば、被告は、各原告記事に依拠して対応する被告文章を作成したものと認められる。
13 以上認定したところによれば、被告文章(1)ないし(11)は、原告記事(1)ないし(11)の翻案としての要約の翻訳であって、原告の翻案権を侵害するものであり、被告文章を顧客に配布するため印刷したことは二次的著作物である被告文章について原告の有する複製権を、被告文章をファクシミリ、オンラインで送信したことは、二次的著作物について原告の有する有線送信権をそれぞれ侵害したものであると認められる。
五1 被告は、被告文章は、各種の取材源から著作権の及ばない生の事実だけを取り上げている、ただ産業経済等の専門的な情報の伝達を行っているのであるから、これらの情報の性質上、表現方法には自ずと限界があり、同じ事実を報道すれば結果的に表現が共通してくる部分が多くなることは避けられない旨主張する。
 成立に争いのない甲第29号証及び弁論の全趣旨によれば、事実を報道する新聞記事の作成の経過は、報道すべき主題を発見し、それに対応する取材源を探知して、そこから記事の内容となる素材を収集した上で、収集した素材の中から記事に盛り込む事実を選択し、一定の構成に配列し、組み立てて、適切な文体、修辞で表現するというものであると認められる。
 ところで、右のような報道すべき主題の発見、取材源の探知、素材の収集は著作権による保護の対象ではないから、それがいかに苦心して発見、探知、収集されたものであっても、既に報道された新聞記事によってその記事が主題とした事項や取材源を知り、その取材源から同様の素材を収集し、その結果、元の記事と同様の事実を含む記事が作成されたとしても、元の記事の著作権を侵害するものとはいえない。
 しかし、被告文章が原告記事に依拠した以外に、どのような取材源から取材したのかについては、弁論の全趣旨によって真正に成立したものと認められる乙第13号証、乙第22号証によれば、被告においては一般に各種日刊新聞、各通信社から入電するニュース、企業の発表するプレス・リリース、プレス・リリース発行社への資料請求、会社への電話取材等に基づいて記事を作成していたが、情報源が一つの場合もあったことが認められるのみで、具体的に、被告文章について原告記事以外に情報源があったものとは認めるに足りる証拠はない。被告は、被告文章中の「Contact」欄に電話番号又はファックス番号の記載のあるものは被告の記者が会社に確認した場合に記載したものである旨主張するが、これにそう証拠はない。むしろ、被告文章は原告記事に依拠したものと認められることは四12に認定したとおりである。
 被告の主張は採用できない。
2 被告は、客観的な事実が同じである以上、被告文章が原告記事と似たような表現になることはやむを得ないとも主張する。
 しかしながら客観的な事実を素材とする新聞記事であっても、収集した素材の中からの記事に盛り込む事項の選択と、その配列、組み立て、その文章表現の技法は多様な選択、構成、表現が可能であり、新聞記事の著作者は、収集した素材の中から、一定の観点と判断基準に基づいて、記事に盛り込む事項を選択し、構成、表現するのであり、著作物といいうる程の内容を含む記事であれば直接の文章表現上は客観的報道であっても、選択された素材の内容、量、構成等により、少なくともその記事の主題についての、著作者の賞賛、好意、批判、断罪、情報価値等に対する評価等の思想、感情が表現されているものというべきである。
 そのような記事の主要な部分を含み、その記事の表現している思想、感情と主要な部分において同一の思想、感情を表現している要約は、元の記事の翻案に当たるものである。
六 右三、四に認定した事実によれば、被告は原告記事に依拠して、翻案して被告文章を作成し、これを業として複製、有線送信していたものであり、原告が原告記事について著作権を有するものであり、被告の行為が原告記事についての翻案権を侵害することは、例え認識がなかったとしても容易に知り得たものと認められるから、被告には少なくとも過失があったものと認められる。
七 弁論の全趣旨により真正に成立したものであると認められる甲第28号証によれば、原告においては、その発行する新聞の記事を第三者に利用させるに当たって、印刷物への利用については少なくとも1記事につき1000円、オンラインサービスについては1記事につき約900円の使用料を得ていることを認めることができる。
 右事実によれば、原告記事(1)ないし(11)についての通常の使用料はそれぞれ、少なくとも900円と認められるから、原告は被告の行為により受けた損害として9900円の賠償を請求することができる。
八 以上によれば、損害賠償金9900円及びこれに対する不法行為の日以後である平成5年3月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める原告の本訴請求は理由があるから認容することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法89条を、仮執行宣言について同196条1項を、各適用して、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第29部
 裁判長裁判官 西田美昭
 裁判官 大須賀滋
 裁判官 櫻林正己
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