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【事件名】商標“別冊フレンド”審決取消事件(2)
【年月日】平成4年7月28日
 東京高裁 平成3年(行ケ)第192号

判決
原告 株式会社講談社
同代表者代表取締役 X
同訴訟代理人弁護士 的場徹
同弁理士 世良和信
同訴訟復代理人弁理士 奥田規之
被告 特許庁長官Y
同指定代理人 川崎義晴<ほか二名>


主文
 特許庁が同庁昭和60年審判第20555号事件について平成3年5月23日にした審決を取り消す。
 訴訟費用は被告の負担とする。

事実
第1 当事者双方の求めた裁判
1 原告
 主文同旨の判決
2 被告
(1)原告の請求を棄却する。
(2)訴訟費用は原告の負担とする。
第2 請求の原因
1 特許庁における手続の経緯
 原告は、昭和58年9月16日、「別冊フレンド」の文字を左横書きしてなる商標(以下「本願商標」という。)につき、商標法施行令(平成3年政令299号による改正前)別表第26類「雑誌」を指定商品として商標登録出願(昭和58年商標登録願第87740号)をしたところ、昭和60年8月9日、特許庁審査官から商標法15条の規定に基づきその出願を拒絶する査定を受けたので、同年10月17日、拒絶査定不服の審判を請求し、昭和60年審判第20555号事件として審理された結果、平成3年5月23日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決がされ、その謄本は同年7月15日原告代理人に送達された。
2 審決の理由の要点
(1)本願商標の構成及び指定商品は、前項記載のとおりである。
(2)これに対し、登録第553151号商標(以下「引用商標」という。)は、「フレンド英和辞典」の文字を縦書きしてなり、旧第66類「辞典」を指定商品として、昭和33年12月3日登録出願、昭和35年7月21日登録、その後2回に亙り商標権存続期間の更新登録がされ、該商標権は現に有効に存続するものである。
(3)按ずるに、本願商標は「別冊フレンド」の文字から成るところ、その構成中の「別冊」の文字は、「別にとじた冊子。また、付録として別に作った本。」(株式会社岩波書店発行、広辞苑第3版)の意味合を有する語であって、これを本願商標の指定商品である雑誌についてみれば、該商品の発行形態の一つを表わすにすぎないものということができるから、本願商標は、原告の主張する如く「ベッサツフレンド」と読まれる場合もある一方で、その構成中自他商品識別標識としての機能を果たし得ない「別冊」の文字部分は省略され、「フレンド」の文字部分をもって取引に資せられる場合も決して少なくないものというのが相当である。
 してみれば、本願商標からは「フレンド」の文字部分に相応して「フレンド」の称呼も生ずるものといわざるを得ない。
 他方、引用商標は、「フレンド英和辞典」の文字を書して成るものであるが、後半部の「英和辞典」の文字部分は、その指定商品に含まれているものと認められる商品「英和辞典」を表したものといえるから、引用商標がその指定商品中の英和辞典について使用されたとき、取引者、需要者は、これを「フレンドエイワジテン」と読んで取引に当たる一方で、その構成中自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない「英和辞典」の文字部分を省略し、「フレンド」の文字部分から生ずる「フレンド」の称呼によって取引に当たる場合も決して少なくないとみるのが相当である。
 してみれば、引用商標は「フレンド」の称呼も生ずるものといわなければならない。
(4)そうとすれば、本願商標と引用商標とは、その外観、観念について論及するまでもなく、「フレンド」の称呼を同一にする類似の商標というべきである。
(5)また、両商標の指定商品は類似のものと認め得るものであるから、本願商標は商標法4条1項11号に該当するものであるとして、その出願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消す限りでない。
3 審決を取り消すべき事由
 審決は、本願商標、引用商標はいずれも「フレンド」の称呼を生ずるから、称呼を同一にする類似の商標であると判断したが、次のとおり、本願商標からは「ベッサツフレンド」という一連の称呼しか生じないし、また、現実の取引における本願商標と引用商標に係る商品の販売形態の相違から両者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがないから、審決の判断は誤っており、審決は違法として取り消されるべきである。
(1)取消事由1
@ 商品「雑誌」の分野における取引界の実情
 本願商標の指定商品である「雑誌」の分野においては、一般に、その題号全体が自他商品識別力を有し商標の要部であると認識されているのが実情である。すなわち、雑誌は、特定の出版社により定期的継続的に編集発行されるから、定期的に発行される個性ある商品であることを示す出所表示の性格が極めて顕著な商品であり、例えば「週刊」、「月刊」、「別冊」、「特集」等が特定の名称と結合して成る題号の雑誌は、それぞれ個性を有すると認識されている。
 本願商標も、雑誌の題号として使用されている以上、「別冊フレンド」という構成全体が商標の要部として認識され、「ベッサツフレンド」と一連に称呼されて取引されるのである。
A 本願商標をめぐる取引界の実情
 原告は、昭和59年12月以降現在に至るまで、本願商標を自己の出版に係る商品「雑誌」の題号として使用してきた。すなわち、原告社内には、単なる「フレンド」という題号の雑誌は存在せず、本願商標を使用した雑誌「別冊フレンド」は、姉妹誌である「月刊少女フレンド」の編集発行部門等原告社内の他の雑誌編集部から完全に独立した「別冊フレンド」編集部において編集発行され、その発行部数も40万部という極めて多数に達している。この雑誌は、17才の女子高校生を読者層としてその読者層が関心を持つ話題を内容としており、本願商標は、他社競合誌「別冊マーガレット」「別冊少女コミック」との自他商品識別標識としても通用してきており、更に、現実に原告と取次店との間の取引において、この雑誌は、「別冊フレンド」と一連に称呼されて取引されている。なお、「別冊」の部分は、原告の発行する他の雑誌「月刊少女フレンド」(読者層は小学校高学年)との比較において異なる内容を提供する雑誌であることを表示するものとしても流通している。
 このように、本願商標は、原告商品「別冊フレンド」を指称するものとして、取引者、需要者間において極めて周知、著名な商標となっている。その結果、取引者、需要者は、本願商標を構成する「別冊」の文字と「フレンド」の文字とを一連不可分のものとして全体的に認識して称呼し、取引しているのが実情である。
 この点について、被告は、本願商標に接する需要者が本誌としての「フレンド」が現に発行され、又は将来発行されることがありうると認識することは予想に難くない旨主張する。しかしながら、「別冊」の文字は、「本誌」との区別のためにのみ使用されているわけではないし、本誌としての「フレンド」は現実に存在せず、需要者が書店等で「フレンド」という題号の雑誌を目にすることは全くありえず、別冊が先に発行されてその後本誌が発行されるようなことも到底考えられず、現に「別冊フレンド」の構成全体が一体的に永年全国的かつ多量に使用されている以上、被告の上記主張は、失当である。
 また、被告は、本願商標の使用態様でも、「別冊」の文字は小さく、「フレンド」の文字は大きいことをも理由に、本願商標の要部は、「フレンド」という部分にあると主張する。しかしながら、原告の本願商標の現実の使用例においては、「別冊」の部分と「フレンド」の部分とは、配置、色彩等において一体構成のものとして見るべきデザイン上の統一が図られ、雑誌の背表紙でも常に同大かつ一連に表示されており、また、「別冊フレンド」の文字部分には愛称である「BETSUFURE」の文字が付記されており、これらの点からして、「別冊」と「フレンド」との間には一体構成のものとしての結合関係が付されているから、被告のこの主張も理由がないというべきである。
(2) 取消事由2
 引用商標「フレンド英和辞典」は、現に使用されているが、その指定商品は、「辞典」であり、本願商標の商品である雑誌とは、書店における販売形態が異なることから、両者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはない。
 すなわち、書店は、需要者の便宜等を考慮して、雑誌、辞典、文庫本等印刷物の種別に応じて販売コーナーを明確に区分して販売しているのが実情である。また、引用商標に係る英和辞典と本願商標に係る漫画雑誌とは内容、用途が全く異なる。したがって、需要者が両者の出所を混同するとは考えにくい。
 なお、被告は、一定の販売コーナーで販売することは当然のことで、雑誌、辞典等の印刷物の販売にのみ特殊な販売形態とはいえないから、商品の混同を生じないとするには当たらないと主張するが、本願商標に係る雑誌
 「別冊フレンド」は、いわゆるコンビニエンスストアや駅の売店、小規模書店においても販売されるのに対し、引用商標に係る辞典はこれらの販売場所で販売されることはほとんどなく、これらの場所で両商品が競合することはあり得ないし、同一書店で販売される場合にも、月刊雑誌と辞典とでは収納場所も異なり、販売コーナーを完全に異にし、読者層も異なるから、取引者、需要者が両商品の出所の混同を生じるとは言い難いというべきである。
第3 請求の原因の認否及び被告の主張
1 請求の原因1、2の各事実は認める。
2 同3の審決の取消事由は争う。審決の認定、判断は正当であって、審決に原告主張の違法は存在しない。
(1) 取消事由1について
@ 商品「雑誌」の分野における取引界の事情について
 指定商品「雑誌」についての商標であっても、その構成中に自他商品識別標識としての機能を果たす部分と果たさない部分がある場合には、前者の部分のみをもって、取引に資することも少なくないことは、取引の経験則が教えるところである。本願商標も、原告の主張する如く「ベッサツフレンド」と読まれる場合もある一方で、その構成中自他商品識別標識としての機能を果たし得ない「別冊」の文字部分を省略し、単に「フレンド」の文字部分をもって取引に資せらる場合も決して少なくないとみるのが当然である。
 したがって、雑誌の題号として使用されているから「別冊フレンド」という構成全体が商標の要部として認識され、「ベッサツフレンド」と一連に称呼され取引されるとの原告の主張は、失当である。
A 本願商標をめぐる取引界の事情について
 本誌をいくつかの冊子としたものや、本誌の付録、本誌の予定発行時期以外に発行するもの等を表すために本誌についての商標に「別冊」の文字を冠し使用することは、本願商標の指定商品「雑誌」を取り扱う業界において一般に採択されている。したがって、本願商標に接する需要者が、本誌としての「フレンド」が現に発行されており、又は、将来発行されることがありうると認識することは予想に難くない。そうすると、本願商標が取引者、需要者間で「別冊フレンド」と一連不可分のものとして全体的に認識され、称呼されているとの原告の主張は、失当である。
 また、本誌に対して別冊が発行されている例が数多くある実情からすると、取引者、需要者が「別冊」の称呼部分を省略することなく、「別冊フレンド」というように一連に称呼、観念することがあるとしても、「別冊」の文字を含めた全体で自他商品識別力があると認識して一連に称呼している訳ではなく、単に「本誌」と区別するために「別冊」の称呼部分を省略することなく、一連に称呼、観念しているにすぎないこととなる。そのうえ、現実の本願商標の使用態様でも、「別冊」の文字は小さく、「フレンド」の文字は大きく表示されている。したがって、本願商標の要部は「フレンド」という部分にあり、「別冊」の文字を含めた全体で自他商品識別がされているわけではなく、いずれにしても原告の主張は失当というべきである。
(2) 取消事由2について
 原告は、書店において雑誌と辞典とは販売形態が異なると主張する。しかし、一定の販売コーナーで販売することは、販売者側の商品管理、需要者側の便宜等のために当然のことで、雑誌、辞典等の印刷物の販売にのみ特殊な販売形態とはいえず、このような取引の実情をもって商品の混同を生じないとするには当たらない。
 また、原告は、引用商標に係る商品である英和辞典と本願商標に係る商品である雑誌とは内容、用途が異なると主張する。しかしながら、内容、用途の違いは、当該印刷物の発行目的の違いから来る必然的なものにすぎず、両者が類似の商品であるか否かには関係をもたない。むしろ、本願商標に係る雑誌も引用商標に係る辞典も、一定の編集方針の下に出版社により発行され、同一店舗(書店)で販売され、購読者、利用者は、主に学生生徒でその需要者を同じくする印刷物ということができ、生産者、取引者、需要者を共通としている。そうすると、これらの商品に同一又は類似の商標を付して使用した場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。
 仮に、月刊の少女漫画雑誌について原告の主張するような事実があるとしても、本願商標は、その構成文字からして少女漫画雑誌にのみ使用される題号を表したものと理解、認識されるものではないから、英語に関する学習雑誌(引用商標が使用されている英和辞典と需要者が一致し、その内容や用途の点においても極めて近似した商品である。)をはじめ、あらゆる種類の雑誌に使用され得るものであり、そうだとすれば、本願商標は、引用商標と商品の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標であることを否定することはできない。
第4 証拠関係(省略)

理由
1 請求の原因1(特許庁における手続の経緯)及び同2(審決の理由の要点)の各事実は、当事者間に争いがない。
2 そこで、原告主張の審決の取消事由について判断する。
 原告は、商品「雑誌」の分野における取引の実情及び本願商標をめぐる取引の実情に照らし、本願商標からは「ベッサツフレンド」という一連の称呼しか生じないから、本願商標は引用商標とは称呼を同一にする類似の商標であるとした審決の判断は誤っており、審決は違法である、と主張する。
 成立について争いのない甲第16号証の2、第17、第18号証、原本の存在及び成立について争いのない甲第3号証、第16号証の1、3、第19号証の1ないし5、第20号証、証人【A】の証言により真正に成立したものと認められる甲第4号証の1ないし4、第5号証の1ないし6、第6号証の1ないし27、第15号証の1ないし47、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第11号証の1、2、証人【A】の証言に前記当事者間に争いがない事実を総合すれば、次の事実が認められる。
(1)本願商標は、「別冊フレンド」の文字を横書きにしてなり、「雑誌」を指定商品とするものである。これに対し、引用商標は、「フレンド英和辞典」の文字を縦書きしてなり、「辞典」を指定商品とするものである。
(2)原告は、昭和38年1月以降週刊誌である「週刊少女フレンド」という雑誌を発行していたが、その後、同誌と全く別個に編集部を設けたうえ、昭和41年1月、月刊誌「別冊少女フレンド」(以下「本件雑誌」という。)を創刊し、毎月発行を続けて来た。
 本件雑誌は、昭和59年12月に発売された昭和60年1月号から本願商標に係る「別冊フレンド」と改題された。
 なお、「週刊少女フレンド」は、平成3年4月月刊化され、「月刊少女フレンド」と改題されたが、前後を通じて原告から「フレンド」という題号の雑誌が発行されたことはない。
(3)本件雑誌は、女性を読者対象とする月刊の漫画雑誌である。一般に、女性を読者層とする雑誌では、読者の関心を示す事柄が年齢層毎に顕著な差異があるため、想定される対象読者の年齢層は、漫画雑誌を含めて、個別化され、相当厳格に特定されたうえ発行されている。
 本件雑誌は、概ね17歳程度の女子高校生を読者対象として限定し、その読者層が関心を示す内容の漫画を掲載することを方針として編集発行され、現実のアンケート調査の結果でもその年代の女子高校生によって購買されている。
 本件雑誌と共通の読者層を対象とする競合誌として、別の出版社から発行されている「別冊マーガレット」、「別冊少女コミック」等があり、前記の「週刊少女フレンド」(改題後の題号「月刊少女フレンド」)は12歳程度の少女を読者対象としており、本件雑誌とは読者層の年齢が異なる。他方、原告は、本件雑誌自体をいわば本誌として、「別冊フレンドDX juliet」という姉妹誌をも発行している。
(4)本件雑誌は、他の雑誌と同様、書籍取次業者の取次により、全国で販売されているが、一般書店の外にいわゆるコンビニエンスストア、スタンド専業店でも販売されており、その平均発売部数は、本願商標の「別冊フレンド」に改題されて以降、多少の減少傾向はあるが、毎号40万部に達し、毎号平均実売部数も30万部を越えている。
 その結果、書籍取次業者、書店等雑誌の小売業者、読者の間で、本願商標は、原告の発行する雑誌の題号として周知のものとなっている。
(5)本件雑誌は、雑誌取次業者の販売実績表等の上で「別冊フレンド」と記載されるなど、雑誌の取次業者、書店の間において、専ら本願商標のとおり「別冊フレンド」の一連の名称で取引されるのが通常であり、「別冊」の部分を省略し、単に「フレンド」という名称で取引されることはなく、読者も、本件雑誌を単に「フレンド」と呼ぶことはなく、本願商標の「別冊フレンド」の名で書店から本件雑誌を購入するのが常である。
 もっとも、本件雑誌は、「別冊フレンド」と改題された後、取引、編集の場面で自然発生的にときに「ベツフレ」と略称されることも生じたため、デザインの観点もあって昭和62年1月号から表紙にローマ字で「BETSUFURE」の表示もされるようになった。
 上記認定事実によれば、原告は、昭和59年12月以降相当の期間にわたり継続的に本願商標を原告発行に係る本件雑誌の誌名として使用し続けたため、本願商標は、判断基準時となる審決時までに取引者、需要者間において原告の発行する雑誌の題号として周知となっていること、本件雑誌は、取引者、需要者間で本願商標の全体を一連不可分のものとして称呼されるのが常であり、略称される場合にも「ベツフレ」と称呼され、その一部の「フレンド」のみを取り出して称呼される例がないことが明らかである。
 そして、商標の類否はその商品の取引の実情に基づいて判断すべきところ、上記の検討の結果によれば、本願商標と引用商標とは、構成の一部に「フレンド」という共通の部分を含んでいても、取引の具体的状況を考慮すると、本願商標は「別冊」の構成部分を省略して単に「フレンド」と称呼されることはないから、本願商標と引用商標とは称呼が共通することはなく、称呼が共通することから商品の出所に誤認混同をきたすおそれはないというべきである。そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼を同一にする類似の商標ということはできない。
3 もっとも、被告は、一般的に雑誌の業界において本誌の商標に「別冊」の文字を付して使用する例があり、本願商標に接する需要者が本誌としての「フレンド」が現に発行され又は将来発行され得ると認識することが予想できるから、本願商標が取引者、需要者間で「別冊フレンド」と一連不可分のものとして全体的に認識されることはないし、「別冊」の称呼部分を省略することがないとしても、本誌と区別するためのものにすぎず、本願商標の使用態様でも「別冊」の文字は「フレンド」より小さく表示されているから、本願商標の要部は「フレンド」という部分にあり、更に、自他商品識別機能標識としての機能を果たさない「別冊」の部分を省略して取引に資せられる場合も少なくないはずであると主張している。
 確かに、前掲甲第16号証の1ないし3、第20号証、成立に争いのない乙第1ないし第25号証、によれば、出版界においては、本誌の商標に「別冊」の文字を冠して出版物が出版され、また商標登録もされている例が相当数あること、本件雑誌の表紙には「フレンド」の文字が大きく印刷され、「別冊」の文字はそれより小さく印刷されていることを認めることができる。しかしながら、前記認定のとおり、原告により「フレンド」という名の雑誌が発行されたことはなく、本願商標に対応する「フレンド」という題号の本誌はないところ、本願商標は、現実に取引者、需要者の間の取引の場で「別冊フレンド」という一連不可分の称呼により原告の商品であることを示すものとして使用されていることが明らかにされており、また、上記甲号各証によれば、「別冊」の文字は「フレンド」の文字に重ねて印刷され、ローマ字で記載された「BETSUFURE」の文字とあいまって一連の称呼を連想させるといいうることをも考慮すると、本願商標の要部が「フレンド」という部分にあるとはいい難く、「別冊」の部分が現実に省略されることもないのであるから、その部分だけを取り出して自他商品識別標識としての機能がないともいえず、上記主張は理由がない。
4 そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼を同一にする類似の商標として本願商標は商標法4条1項11号に該当するとした審決の判断は誤りであり、取消事由2について判断するまでもなく、審決は違法なものとして、取消を免れない。
5 よって、審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求は正当であるから、これを認容することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

東京高等裁判所
 裁判官 竹田稔
 裁判官 成田喜達
 裁判官 佐藤修市
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